産業廃棄物処理業の許可区分を完全整理|収集運搬・中間処理・最終処分の違いと申請実務

目次
  1. 産業廃棄物処理業の許可制度の全体像
    1. 産業廃棄物の20種類一覧
    2. 特別管理産業廃棄物との違い
    3. 収集運搬業と処分業の区分
    4. 許可の有効期間(5年/7年)と更新
    5. 積替保管の有無による区分の違い
  2. 許可申請の実務フロー
    1. 事前相談から許可取得までのステップ
    2. 必要書類一覧と作成ポイント
    3. 申請手数料と審査期間
  3. 広域認定制度の詳細
    1. 制度の趣旨と対象者
    2. 環境省への申請手続き
    3. 認定の要件と審査基準
  4. 個別許可 vs 広域認定の比較表
    1. コスト比較
    2. 対象廃棄物の範囲
    3. 運用上のメリット・デメリット
    4. 代表的な活用事例
  5. 関連規制(マニフェスト制度・電子マニフェスト)
    1. マニフェスト制度の概要
    2. 電子マニフェスト(JWNET)
  6. FAQ:産廃許可に関するよくある質問
    1. Q1. 産業廃棄物収集運搬業の許可は、都道府県ごとに取得する必要がありますか?
    2. Q2. 許可を受けずに産業廃棄物の処理を行った場合、罰則はありますか?
    3. Q3. 許可の更新を忘れた場合、どうなりますか?
    4. Q4. 自社で排出した産業廃棄物を自社で処理する場合も許可は必要ですか?
    5. Q5. 広域認定制度とメーカーの自主回収の違いは何ですか?
    6. Q6. 産業廃棄物処理施設の設置許可(第15条許可)と処理業の許可(第14条許可)の違いは何ですか?
    7. Q7. 電子マニフェストの使用が義務化される対象事業者はどこまで拡大される予定ですか?
  7. まとめ

記事タイトル: 産業廃棄物処理業の許可区分を完全整理|収集運搬・中間処理・最終処分の違いと申請実務

最終更新日: 2026年2月10日
対象法令: 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)、同施行令(昭和46年政令第300号)、同施行規則(昭和46年厚生省令第35号)
免責事項: 本記事は2026年2月時点の法令・通知に基づいて作成しています。産業廃棄物処理業の許可制度は都道府県・政令市ごとに運用が異なる場合があります。実際の申請にあたっては、管轄する自治体の廃棄物担当部局や、産業廃棄物処理業の許可申請を専門とする行政書士にご相談ください。本記事の情報により生じた損害について、筆者は一切の責任を負いません。


産業廃棄物処理業の許可制度の全体像

産業廃棄物の収集運搬または処分を業として行う場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」)第14条に基づき、事業を行う区域を管轄する都道府県知事(政令指定都市・中核市にあっては市長)の許可が必要である。

廃棄物処理法は、産業廃棄物を事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類の廃棄物と定義している(法第2条第4項、施行令第2条)。さらに、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものは特別管理産業廃棄物として区分され、より厳格な処理基準が適用される(法第2条第5項、施行令第2条の4)。

産業廃棄物の20種類一覧

産業廃棄物は以下の20種類に分類される。このうち、あらゆる事業活動に伴うものと、特定の事業活動に伴うものに区分される。

あらゆる事業活動に伴うもの(12種類)

番号 種類 具体例
1 燃え殻 焼却炉の残灰、石炭がら、活性炭の使用済みのもの
2 汚泥 排水処理後の泥状物、建設汚泥、製造工程の泥状廃棄物
3 廃油 潤滑油系廃油、洗浄油系廃油、切削油、溶剤
4 廃酸 写真定着廃液、廃硫酸、各種有機廃酸類
5 廃アルカリ 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液
6 廃プラスチック類 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず
7 ゴムくず 天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類)
8 金属くず 研磨くず、切削くず、鋳造廃砂に含まれる金属
9 ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず ガラスくず、耐火レンガくず、陶磁器くず
10 鉱さい 高炉・電気炉等の残さ(スラグ)、不良鉱石
11 がれき類 工作物の新築・改築・除去に伴うコンクリート破片、アスファルト破片
12 ばいじん 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設等で発生したもの

特定の事業活動に伴うもの(7種類)

番号 種類 排出業種の限定
13 紙くず 建設業、パルプ・紙製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業
14 木くず 建設業、木材・木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業・物品賃貸業
15 繊維くず 建設業、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)
16 動植物性残さ 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業
17 動物系固形不要物 と畜場、食鳥処理場
18 動物のふん尿 畜産農業
19 動物の死体 畜産農業

すべての廃棄物に適用

番号 種類 内容
20 産業廃棄物を処分するために処理したもの(13号廃棄物) 上記19種類の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記に該当しないもの(コンクリート固型化物等)

特別管理産業廃棄物との違い

特別管理産業廃棄物は、産業廃棄物のうち特に危険性が高いものとして政令で指定されたものである。主な種類は以下のとおり。

  • 廃油(引火点70℃未満の揮発油類・灯油類・軽油類)
  • 廃酸(pH2.0以下の著しい腐食性を有するもの)
  • 廃アルカリ(pH12.5以上の著しい腐食性を有するもの)
  • 感染性産業廃棄物(医療機関等から排出される血液・使用済み注射針等)
  • 特定有害産業廃棄物(廃PCB・PCB汚染物、廃石綿等、有害重金属含有廃棄物等)

特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分を業として行う場合は、通常の産業廃棄物処理業許可とは別に、法第14条の4に基づく特別管理産業廃棄物処理業の許可が必要となる。

収集運搬業と処分業の区分

産業廃棄物処理業の許可は、大きく以下の2つに区分される。

区分 根拠条文 事業内容 許可権者
産業廃棄物収集運搬業 法第14条第1項 排出事業者から産業廃棄物を収集し、処理施設まで運搬する 積込み地及び荷下ろし地の都道府県知事等
産業廃棄物処分業 法第14条第6項 産業廃棄物の中間処理(破砕・焼却・脱水等)又は最終処分(埋立処分・再生)を行う 処分施設の所在地の都道府県知事等
特別管理産業廃棄物収集運搬業 法第14条の4第1項 特別管理産業廃棄物を収集し運搬する 積込み地及び荷下ろし地の都道府県知事等
特別管理産業廃棄物処分業 法第14条の4第6項 特別管理産業廃棄物の中間処理又は最終処分を行う 処分施設の所在地の都道府県知事等

収集運搬業の特徴として、積込み地と荷下ろし地の両方の自治体で許可が必要である点に注意が必要である。例えば、東京都で排出された産業廃棄物を千葉県の処理施設まで運搬する場合、東京都と千葉県の両方の収集運搬業許可が必要となる。

一方、処分業は処分施設の所在地を管轄する自治体の許可のみで足りる。

処分業の中間処理と最終処分の違い

項目 中間処理 最終処分
目的 廃棄物の減量化・安定化・無害化 廃棄物の最終的な処理(埋立等)
主な方法 破砕、焼却、脱水、中和、溶融、選別 安定型埋立、管理型埋立、遮断型埋立、海洋投入処分
施設許可 施行令第7条に定める一定規模以上は法第15条の許可が必要 全ての最終処分場で法第15条の許可が必要
残さの処理 中間処理後の残さは最終処分又は再生が必要 処理の最終段階

許可の有効期間(5年/7年)と更新

産業廃棄物処理業の許可の有効期間は、原則として5年間である(法第14条第2項、施行規則第10条の5)。許可を引き続き受けようとする場合は、有効期間満了前に更新許可申請を行わなければならない。

ただし、優良産廃処理業者認定制度(後述)の認定を受けた事業者は、許可の有効期間が7年間に延長される(法第14条第2項ただし書、施行規則第9条の3)。

優良産廃処理業者認定制度(優良認定)

優良産廃処理業者認定制度は、通常の許可基準よりも厳しい基準に適合した優良な産廃処理業者を、都道府県知事等が審査して認定する制度である(法第14条第2項、施行規則第9条の3)。

認定の要件(施行規則第9条の3第1号~第5号)

  1. 遵法性: 許可の有効期間(5年以上)において、廃棄物処理法等に基づく不利益処分を受けていないこと
  2. 事業の透明性: 許可の内容、産業廃棄物の処理状況、施設の維持管理状況等の情報をインターネットで一定期間継続して公表し、所定の頻度で更新していること
  3. 環境配慮の取組み: ISO14001、エコアクション21等の環境マネジメントシステムの認証を取得していること
  4. 電子マニフェスト: JWNET(電子マニフェストシステム)に加入し、電子マニフェストが利用可能な状態であること
  5. 財務体質の健全性: 自己資本比率、経常利益等に関する一定の財務基準を満たすこと

優良認定のメリット

  • 許可の有効期間が5年から7年に延長
  • 更新申請時の添付書類の一部省略(自治体の判断による)
  • 環境配慮契約法に基づく国等の産業廃棄物処理契約での有利な取扱い
  • 財政投融資における優遇措置
  • 排出事業者からの信頼性向上による受注機会の拡大

積替保管の有無による区分の違い

収集運搬業には「積替え・保管を含む」と「積替え・保管を含まない」の2区分がある。

項目 積替え・保管なし 積替え・保管あり
運搬形態 排出事業場から処理施設まで直送 途中で積替保管施設に一時保管し、別車両で処理施設へ運搬
許可手数料(新規) 81,000円 81,000円
申請の難易度 比較的容易 保管施設の構造基準、保管量の上限設定等が必要で難易度が高い
必要な施設基準 運搬車両・容器の基準のみ 囲い・掲示板・飛散防止措置等の保管施設基準が追加
運用上のメリット 許可取得が早い 効率的な配車が可能、広域の収集が容易
運用上のデメリット 少量多箇所の収集では非効率 施設の維持管理費用が発生、保管量管理が必要
保管基準 なし 施行規則第1条の6に定める保管基準を遵守

積替え・保管ありの許可を取得する場合は、保管場所の所在地を管轄する自治体の許可が必要であり、保管場所の構造基準や保管できる産業廃棄物の数量上限等の追加要件を満たす必要がある。


許可申請の実務フロー

事前相談から許可取得までのステップ

産業廃棄物処理業の許可を取得するまでの標準的な流れは以下のとおりである。

ステップ1: 事前相談(目安:申請の2〜3か月前)

申請先の都道府県・政令市の廃棄物担当部局に事前相談を行う。事業計画の概要、取り扱う産業廃棄物の種類、使用する車両・施設等について相談し、許可の要否や申請区分を確認する。

ステップ2: 講習会の受講(目安:申請の1〜3か月前)

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を受講し、修了試験に合格する必要がある。

  • 新規申請の場合: 新規課程の講習会を受講(オンライン形式または対面形式)
  • 更新申請の場合: 更新課程の講習会を受講
  • 受講者: 法人の場合は代表者又は役員(業務を担当する役員)、個人の場合は申請者本人又は政令で定める使用人
  • 受講料: 新規課程は約30,500円~31,000円(Web申込・紙申込で異なる)、更新課程は約20,500円~21,000円
  • 修了証の有効期限: 新規課程は5年間、更新課程は2年間

ステップ3: 申請書類の準備

各自治体が定める申請書類一式を準備する(詳細は後述)。

ステップ4: 許可申請書の提出

管轄する自治体の窓口に申請書類を提出し、手数料を納付する。

ステップ5: 審査(標準処理期間:約40〜60日)

自治体による書類審査が行われる。必要に応じて施設の現地調査が実施される場合もある。標準処理期間は自治体により異なるが、概ね40日~60日程度である。

ステップ6: 許可証の交付

審査の結果、基準を満たしていると判断された場合に許可証が交付される。

必要書類一覧と作成ポイント

以下は、産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管なし)の新規許可申請を例とした標準的な必要書類一覧である。

申請書類

書類 ポイント
産業廃棄物収集運搬業許可申請書(様式第六号の二) 取り扱う産業廃棄物の種類を正確に記載
事業計画の概要を記載した書類 排出事業者、運搬先の処理施設、運搬ルート等を明記
運搬車両の写真・車検証の写し 全ての使用車両について提出
運搬容器等の写真 飛散・流出防止に適した容器であることを示す

法人に関する書類

書類 ポイント
定款又は寄附行為の写し 事業目的に産業廃棄物処理業に関する記載があること
登記事項証明書 発行後3か月以内のもの
役員全員の住民票の写し 本籍地記載のもの
役員全員の登記されていないことの証明書 成年被後見人・被保佐人に該当しないことの証明

申請者の能力に関する書類

書類 ポイント
講習会の修了証の写し 有効期限内のものであること
経理的基礎に関する書類(貸借対照表、損益計算書、法人税の納税証明書等) 直近3年分が一般的。債務超過の場合は中小企業診断士等による経営診断書の添付が求められることがある

欠格要件に関する書類

書類 ポイント
役員全員の誓約書 法第14条第5項各号の欠格要件に該当しないことの誓約
政令で定める使用人の誓約書・住民票等 使用人がいる場合

作成のポイント: 事業計画書は形式的な記載にとどめず、排出事業者との契約見込み、運搬先処理施設の受入確認、適切な運搬体制を具体的に記述することが審査を円滑に進めるコツである。また、定款の事業目的に「産業廃棄物の収集運搬業」等の記載がない場合は、事前に定款変更が必要となる。

申請手数料と審査期間

申請手数料は全国一律で、以下の金額が定められている(地方自治法に基づく手数料条例による)。

許可区分 新規申請 更新申請 変更申請
産業廃棄物収集運搬業 81,000円 73,000円 71,000円
産業廃棄物処分業 100,000円 94,000円 92,000円
特別管理産業廃棄物収集運搬業 81,000円 74,000円 72,000円
特別管理産業廃棄物処分業 100,000円 95,000円 93,000円

注意: 上記は許可申請の法定手数料であり、講習会費用(約20,500円~31,000円)、必要書類の取得費用(住民票・登記事項証明書等で数千円)、行政書士に依頼する場合の報酬(10万円~30万円程度が相場)は別途必要となる。

審査期間の目安

  • 収集運搬業(積替え・保管なし): 約40日~60日
  • 収集運搬業(積替え・保管あり): 約60日~90日
  • 処分業: 約60日~90日以上(施設の規模により大幅に異なる)

審査期間は申請先の自治体や申請内容の複雑さにより大きく異なる。特に処分業の場合は、施設設置許可(法第15条)が別途必要な場合があり、その審査を含めると半年以上かかることも珍しくない。


広域認定制度の詳細

制度の趣旨と対象者

広域認定制度は、廃棄物処理法第9条の9(一般廃棄物)及び第15条の4の3(産業廃棄物)に基づく特例制度である。製品の製造事業者等が、自ら製造・販売した製品が廃棄物となったものを、都道府県の区域を越えて広域的に回収・処理する場合に、環境大臣の認定を受けることで個々の都道府県知事の処理業許可を不要とする制度である。

制度の趣旨

拡大生産者責任(EPR: Extended Producer Responsibility)の考え方に基づき、製品の製造事業者等が自社製品の廃棄物の回収・処理に関与することで、以下を推進することを目的としている。

  • 効率的な再生利用・リサイクルの促進
  • 処理しやすい製品設計(DfE: Design for Environment)へのフィードバック
  • 廃棄物の適正処理の確保

対象者(申請者の要件)

広域認定の申請ができるのは以下の者に限られる。

  1. 製造事業者: 自ら製造した製品が廃棄物となったものを処理する者
  2. 加工事業者: 自ら加工した製品が廃棄物となったものを処理する者
  3. 販売事業者: 自ら販売した製品が廃棄物となったものを処理する者
  4. 上記の者の委託を受けて処理を行う者: 製造事業者等の統括管理の下で処理を行う者

重要: 広域認定は、申請者が自社の製造・加工・販売した製品に限り適用される。他社製品の処理には利用できない。

環境省への申請手続き

広域認定の申請手続きは以下の流れで進められる。

ステップ1: 地方環境事務所への事前相談

申請者の本社所在地を管轄する環境省地方環境事務所に事前相談を行い、実施しようとする処理の構想が制度に適しているか確認する。

ステップ2: 処理体制の構築と申請書類の作成

具体的な回収・処理の体制(回収拠点、運搬ルート、処理施設、処理方法等)を構築し、「広域認定制度申請の手引き」(環境省環境再生・資源循環局)に従って申請書類を作成する。

ステップ3: 事前確認

作成した申請書類を環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課(産業廃棄物の場合)に提出し、事前確認を受ける。

ステップ4: 正式申請

事前確認が完了した後、申請書類を環境省の担当窓口に正式に提出する。

電子申請の開始: 2025年(令和7年)10月1日より、広域認定制度の申請・届出は電子手続に移行している。新規申請及び変更申請はe-Gov電子申請により、変更届出及び廃止届出はメールにより提出する。

ステップ5: 審査・認定

環境省による審査が行われ、必要に応じて現地調査が実施される。書類提出から認定まで概ね3か月程度が目安とされている。

認定の要件と審査基準

広域認定を受けるためには、以下の要件を全て満たす必要がある(施行規則第6条の14、第12条の12の10)。

  1. 広域性: 2以上の都道府県の区域にわたって広域的に回収・処理を行うこと
  2. 統括管理能力: 申請者が収集運搬から最終処分(再生を含む)まで一貫して統括管理できる体制を有すること
  3. 適正処理の確保: 処理基準に適合した処理が行えること
  4. 知識及び技能: 当該処理を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること
  5. 経理的基礎: 当該処理を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること
  6. 欠格要件非該当: 廃棄物処理法第14条第5項第2号イからヘまでの欠格要件に該当しないこと
  7. 環境配慮: 再生利用等が行われない廃棄物にあっては、生活環境の保全上支障のない方法で処分すること

個別許可 vs 広域認定の比較表

コスト比較

項目 個別許可(都道府県ごと) 広域認定
申請手数料 1自治体あたり81,000円(収集運搬業新規) 環境省への手数料は不要
全国展開時のコスト 47都道府県+政令市等すべてに申請が必要(数百万円規模) 環境大臣の認定1回で全国対応可能
更新手数料 1自治体あたり73,000円(5年ごと) 認定の更新制度なし(変更届出は随時)
講習会費用 約30,500円(申請者が受講) 不要(ただし処理の的確性を示す必要あり)
行政書士費用 1自治体あたり10万円~30万円が相場 申請支援費用として50万円~200万円程度
年間維持費 変更届出費用、更新申請準備費用等 処理状況の記録・報告の管理費用

対象廃棄物の範囲

項目 個別許可 広域認定
対象廃棄物 許可申請時に指定した産業廃棄物の種類 申請者が製造・加工・販売した製品が廃棄物となったもの
他社の廃棄物 処理可能 原則として処理不可(自社製品に限定)
廃棄物の種類変更 変更許可申請が必要 変更申請が必要

運用上のメリット・デメリット

観点 個別許可 広域認定
メリット 許可取得後すぐに営業開始可能、対象廃棄物の自由度が高い 全国一括で処理可能、許可更新の手間がない
メリット 他社の廃棄物も処理可能 マニフェストの交付義務が免除される
メリット 制度が広く理解されており手続きが定型的 メーカーとしての製品差別化・ブランド価値向上
デメリット 都道府県ごとに許可取得が必要で管理負担大 自社製品に限定されるため汎用性が低い
デメリット 5年ごとの更新が必要 環境省の審査が厳格で認定取得まで時間がかかる
デメリット 全国展開には多大なコスト 統括管理体制の維持に継続的なコスト

代表的な活用事例

広域認定制度は、以下のような製品の回収・リサイクルで多く活用されている。

業界 対象製品例 活用のポイント
情報通信機器メーカー パソコン、プリンター、サーバー 資源有用金属の回収・リサイクル
建材メーカー 石膏ボード、サイディング、断熱材 建設現場からの廃建材回収・再生
タイヤメーカー 使用済みタイヤ 全国のタイヤ販売店経由での回収ネットワーク構築
繊維メーカー カーペット、ユニフォーム 使用済み製品の回収・再繊維化
家電メーカー エアコン、照明器具等 家電リサイクル法対象外の自主回収
蓄電池メーカー 鉛蓄電池、リチウムイオン電池 有害物質を含む使用済み電池の適正処理

参考: 日本建設業連合会のウェブサイトでは、広域認定を取得した建材メーカーの認定番号一覧が公開されており、建設現場での産業廃棄物処理の効率化に活用されている。


関連規制(マニフェスト制度・電子マニフェスト)

マニフェスト制度の概要

産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度は、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際に、委託内容に基づいて管理票を交付し、処理の流れを追跡・管理する制度である(法第12条の3)。

排出事業者は、産業廃棄物の引渡しと同時にマニフェストを交付し、収集運搬業者・処分業者から送付される管理票の写しにより、適正に処理が行われたことを確認する義務がある。

電子マニフェスト(JWNET)

電子マニフェストは、従来の紙マニフェストに代わり、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営するJWNET(Japan Waste Network)を通じて、インターネット上で産業廃棄物の処理状況を管理する仕組みである。

電子マニフェストの義務化

2020年(令和2年)4月1日より、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上の事業場を設置している排出事業者に対して、電子マニフェストの使用が義務化されている(法第12条の5)。

2027年の改正動向

2025年(令和7年)4月22日公布の廃棄物処理法施行規則の改正(2027年4月1日施行)に伴い、電子マニフェストシステム(JWNET)に新たな入力項目が追加される予定である。排出事業者・処理業者ともに、システム対応の準備が求められている。

電子マニフェストのメリット

  • マニフェスト情報の即時共有・照合が可能
  • 紙マニフェストの保管・管理が不要(法定保存義務5年間の管理負担軽減)
  • 都道府県知事への報告が自動化される(紙の場合は毎年6月30日までに報告書を提出する義務あり)
  • データの集計・分析による廃棄物管理の効率化

JWNET利用料金(参考)

  • 排出事業者の基本料金: 年間26,400円(税込)から(A料金の場合)
  • 登録件数に応じた従量料金: 1件あたり11円~22円程度

注意: 広域認定を受けた事業者が認定に基づいて処理を行う場合は、マニフェストの交付義務が免除される(法第12条の3第1項ただし書)。


FAQ:産廃許可に関するよくある質問

Q1. 産業廃棄物収集運搬業の許可は、都道府県ごとに取得する必要がありますか?

A1. はい、産業廃棄物収集運搬業の許可は、積込み地(排出場所)及び荷下ろし地(処理施設の所在地)の両方の都道府県知事等の許可が必要です(法第14条第1項)。例えば、大阪府内で排出された産業廃棄物を兵庫県の処理施設に運搬する場合、大阪府と兵庫県の両方の許可が必要です。ただし、運搬経路上の通過のみであれば、通過する都道府県の許可は不要です(環境省通知)。全国的に事業展開する場合は、多数の自治体での許可取得が必要となり、広域認定制度の活用も検討に値します。

Q2. 許可を受けずに産業廃棄物の処理を行った場合、罰則はありますか?

A2. 無許可で産業廃棄物の収集運搬又は処分を業として行った場合は、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこの併科が科されます(法第25条第1項第1号)。法人に対しては3億円以下の罰金が科される可能性があります(法第32条第1項第1号)。産業廃棄物の不法投棄についても同様の罰則が適用され、未遂であっても処罰の対象となります(法第25条第2項)。

Q3. 許可の更新を忘れた場合、どうなりますか?

A3. 許可の有効期間が満了した場合、許可は失効し、その時点で無許可状態となります。有効期間満了後に処理業を行った場合は無許可営業として罰則の対象となります。更新申請は有効期間満了日の数か月前(自治体により異なるが概ね2~3か月前)までに行う必要があります。なお、更新申請を期限内に提出している場合は、審査中であっても従前の許可の効力が継続します(行政手続法の規定による)。許可の有効期間を適切に管理するため、自治体によっては更新時期の通知を行っている場合もありますが、最終的な管理責任は許可業者自身にあります。

Q4. 自社で排出した産業廃棄物を自社で処理する場合も許可は必要ですか?

A4. 自社の産業廃棄物を自社で処理する場合(自社処理)には、処理業の許可は不要です。廃棄物処理法第14条の許可は、他者から委託を受けて産業廃棄物の処理を「業として」行う場合に必要となるものです。ただし、自社処理であっても、一定規模以上の処理施設を設置する場合は施設設置許可(法第15条)が必要です。施行令第7条に定める種類及び規模に該当する産業廃棄物処理施設は、自社処理であっても設置許可を受けなければなりません。また、自社処理であっても廃棄物処理基準(法第12条)に従って処理する義務があります。

Q5. 広域認定制度とメーカーの自主回収の違いは何ですか?

A5. メーカーが自社製品の廃棄物を回収・処理する場合、広域認定制度を利用しなければ、回収する地域ごとに産業廃棄物処理業の許可を取得する必要があります。広域認定制度を利用すれば、環境大臣の認定1回で全国的な回収・処理が可能となり、都道府県ごとの処理業許可が不要となるメリットがあります。また、広域認定に基づく処理ではマニフェストの交付義務が免除されるため、管理負担が軽減されます。一方、広域認定は自社が製造・加工・販売した製品に限定されるため、他社製品の処理には利用できません。

Q6. 産業廃棄物処理施設の設置許可(第15条許可)と処理業の許可(第14条許可)の違いは何ですか?

A6. 第14条許可(処理業許可)は、他者から委託を受けて産業廃棄物の収集運搬又は処分を「業」として行うための許可です。一方、第15条許可(施設設置許可)は、施行令第7条に定める種類及び規模の産業廃棄物処理施設を設置するための許可です。両者の大きな違いは、第14条許可は「業」に対する許可であるのに対し、第15条許可は「施設」に対する許可である点です。自社の産業廃棄物を処理する場合でも、該当する規模の施設を設置するなら第15条許可が必要です。他者の産業廃棄物を処分業として処理する場合は、第14条の処分業許可と第15条の施設設置許可の両方が必要となることが一般的です。

Q7. 電子マニフェストの使用が義務化される対象事業者はどこまで拡大される予定ですか?

A7. 現行法では、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上の事業場を設置する排出事業者に対して電子マニフェストの使用が義務化されています(2020年4月施行)。今後のさらなる義務化の対象拡大については、環境省の審議会等で議論が進められているものの、2026年2月時点で具体的な拡大時期は確定していません。ただし、電子化の推進は政府の方針であり、紙マニフェストから電子マニフェストへの移行は今後も加速する見込みです。処理業者においても、排出事業者の電子マニフェスト利用ニーズに対応するため、JWNET加入を進めておくことが推奨されます。


まとめ

産業廃棄物処理業の許可制度は、収集運搬業・処分業の区分、積替え保管の有無、特別管理産業廃棄物への対応など、複数の軸で整理する必要がある。許可は都道府県知事等の管轄であるため、広域で事業を展開する場合には複数の自治体での許可取得が求められる。

広域認定制度は、製品メーカー等が自社製品の廃棄物を効率的に回収・処理するための有効な特例制度であり、個別許可と比較して全国展開時のコスト・管理負担を大幅に軽減できる。ただし、自社製品に限定される点や、環境省の審査が厳格である点には留意が必要である。

優良産廃処理業者認定制度の活用、電子マニフェスト(JWNET)への対応など、制度を適切に理解し活用することが、コンプライアンスの確保と事業効率の向上の両立につながる。


関連法令・参考資料

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