処遇改善加算の計画書作成・届出ガイド|記入例・ミス事例・実績報告の実務

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処遇改善加算の計画書作成・届出ガイド|記入例・ミス事例・実績報告の実務
目次

最終更新日: 2026年4月
本記事は、介護職員等処遇改善加算の計画書の作成方法・届出手続き・実績報告に特化した実務ガイドです。加算見込額の算定手順、記入例、ありがちなミスと差戻し事例を網羅しています。


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2026年6月施行の重要変更

2026年6月の臨時改定(+2.03%)により、処遇改善加算は6区分に拡充(Iロ・IIロ新設)、対象が介護従事者全般に拡大されます。新加算率・新区分の詳細は「処遇改善加算2026年6月改定ガイド」を参照してください。

本記事では、計画書作成・届出・実績報告の実務手順を中心に解説しています。


2025年度の経過措置延長について

2025年度(令和7年度)においても、以下の経過措置が継続されています。

  • キャリアパス要件I~IIIの猶予:令和8年(2026年)3月末までに要件を整備する旨を処遇改善計画書で誓約すれば、当該年度は要件を満たしたものとみなされます(※キャリアパス要件IVは2025年度は誓約による代替の対象外)
  • 職場環境等要件の猶予:2025年度中に対応する旨の誓約をもって1年間猶予(令和8年3月末まで)

加算Vは2025年3月末で廃止済みのため、加算I~IVのいずれかへの移行が必要です。


2024年度介護報酬改定で何が変わったか

旧3加算(処遇改善・特定処遇改善・ベースアップ等支援)の一本化の経緯

2024年度(令和6年度)介護報酬改定の目玉の一つが、介護職員の処遇改善に関する3つの加算の一本化です。

従来、介護職員の賃金改善を目的とした加算は以下の3種類が併存していました。

旧加算名 創設年度 主な目的
介護職員処遇改善加算(I~III) 2012年度(平成24年度) 介護職員全体の賃金改善
介護職員等特定処遇改善加算(I~II) 2019年度(令和元年度) 経験・技能のある介護職員への重点配分
介護職員等ベースアップ等支援加算 2022年度(令和4年度) 基本給等の引上げによる恒常的な処遇改善

これら3加算は制度趣旨や要件が異なり、事業所にとって届出・管理が煩雑であることが長年の課題でした。社会保障審議会介護給付費分科会での議論を経て、2024年度改定において3加算を統合し、新たな「介護職員等処遇改善加算」(I~IV)として再編されました。

根拠法令・通知:
– 「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」(社会保障審議会介護給付費分科会、2024年1月22日)
– 「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老発0405第6号、令和6年4月5日厚生労働省老健局長通知)
– 厚生労働省「介護職員の処遇改善」公式ページ: https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/

新・介護職員等処遇改善加算の区分体系(I~IV)

新加算は、旧3加算の要件・加算率を組み合わせ、I~IVの4区分に再編されました。加算Iが最も要件が厳しく加算率も高い上位区分、加算IVが最低限の要件で取得できる区分です。

また、旧加算からの移行を円滑にするため、経過措置区分(加算V)が2024年6月~2025年3月末の期間限定で設けられました(加算Vは14パターン)。

新区分 旧加算との対応関係(イメージ) 特徴
加算I 旧処遇改善I + 旧特定処遇改善I + 旧ベースアップ等支援加算 最上位。キャリアパス要件I~Vすべて+職場環境等要件を充足
加算II 旧処遇改善I + 旧特定処遇改善II + 旧ベースアップ等支援加算 キャリアパス要件I~IV+職場環境等要件を充足
加算III 旧処遇改善I + 旧ベースアップ等支援加算 キャリアパス要件I~III+職場環境等要件を充足
加算IV 旧処遇改善I~IIIのいずれか 最低限のキャリアパス要件+職場環境等要件を充足
加算V(経過措置) 旧3加算の既取得パターン14種に対応 2025年3月末で廃止

各区分の加算率一覧表(サービス類型別)

以下は、令和6年6月サービス提供分からの主要サービスにおける加算率です。

出典: 厚生労働省告示「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年厚生労働省告示第86号)、大阪府国民健康保険団体連合会「介護職員等処遇改善加算 加算率一覧(令和6年6月サービス分から)」

サービス類型 加算I 加算II 加算III 加算IV
訪問介護 24.5% 22.4% 18.2% 14.5%
訪問入浴介護 11.0% 10.5% 8.6% 6.8%
通所介護 9.2% 9.0% 8.0% 6.4%
通所リハビリテーション 8.6% 8.0% 6.4% 5.0%
短期入所生活介護 11.0% 10.5% 8.6% 6.8%
特定施設入居者生活介護 12.4% 11.5% 9.2% 7.3%
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 18.6% 17.8% 15.5% 12.5%
介護老人福祉施設(特養) 14.0% 13.6% 11.3% 9.0%
介護老人保健施設(老健) 8.6% 8.0% 6.4% 5.0%
介護医療院 5.5% 5.3% 4.5% 3.6%
小規模多機能型居宅介護 14.9% 14.6% 13.4% 10.6%
看護小規模多機能型居宅介護 11.0% 10.5% 8.6% 6.8%
訪問看護 5.2% 5.0% 4.2% 3.4%

注1: 居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援は加算算定の対象外です。
注2: 介護予防サービスについても上表に準じた加算率が設定されています。詳細は厚生労働省告示をご参照ください。
注3: 上記加算率には、旧3加算の合算に加え、2024年度改定による最大2.3ポイントの引上げ分が含まれています。


新区分の要件を完全整理

キャリアパス要件の具体的基準

新加算では、キャリアパス要件がI~Vの5種類に整理されました。どの加算区分を取得するかによって、充足すべき要件が異なります。

出典: 老発0405第6号通知「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年4月5日)

キャリアパス要件I~V 一覧

要件 内容 対象区分
キャリアパス要件I(任用要件・賃金体系) 介護職員の職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備し、就業規則等で明文化のうえ全介護職員に周知する I・II・III・IV
キャリアパス要件II(研修の実施) 介護職員の資質向上の目標と具体的な研修計画を策定し、研修の実施又は研修機会の確保を行う。資格取得支援(勤務シフト調整・費用援助等)を含む I・II・III・IV
キャリアパス要件III(昇給の仕組み) 経験年数・資格・評価に基づく昇給の仕組み(昇給時期の明確化を含む)を設け、就業規則等で明文化する I・II・III
キャリアパス要件IV(改善後の賃金水準) 経験・技能のある介護職員のうち1人以上について、賃金改善後の賃金見込額が年額440万円以上となること I・II

| キャリアパス要件V(介護福祉士等の配置) | サービス類型ごとに定められた割合以上の介護福祉士等を配置する(例:訪問介護では介護福祉士30%以上) | I |

キャリアパス要件IVの補足(月額8万円の特例):
2024年度(令和6年度)中に限り、年額440万円の要件について、「旧特定処遇改善加算に相当する部分の賃金改善額が月額平均8万円以上の職員が1人以上いること」で代替可能です(令和7年度以降は廃止)。

加算区分別のキャリアパス要件充足表

キャリアパス要件 加算I 加算II 加算III 加算IV
要件I(任用・賃金体系) 必須 必須 必須 必須※
要件II(研修) 必須 必須 必須 必須※
要件III(昇給の仕組み) 必須 必須 必須
要件IV(年額440万円) 必須 必須
要件V(介護福祉士等配置) 必須

※加算IVでは、要件IまたはIIのいずれかを充足すればよいとされています。

職場環境等要件の充足項目

職場環境等要件は、介護職員の離職防止・定着促進のために事業所が取り組むべき項目です。

2024年度(令和6年度中)の要件:
旧加算と同様の6区分24項目のうち、各区分から1項目以上取り組むことが必要です。

2025年度(令和7年度)以降の要件:
6区分28項目に拡充され、必須項目数が以下のとおり増加します。

区分 取組分野 2024年度 2025年度以降
1 入職促進に向けた取組 各区分から1項目以上 各区分から2項目以上(加算I・IIは一部必須指定あり)
2 資質の向上やキャリアアップに向けた支援 同上 同上
3 両立支援・多様な働き方の推進 同上 同上
4 腰痛を含む心身の健康管理 同上 同上
5 生産性向上のための業務改善の取組 同上 同上(加算I・IIは生産性向上ガイドライン活用が必須)
6 やりがい・働きがいの醸成 同上 同上

ポイント: 2025年度以降は、加算I・IIの取得にあたって「見える化要件」(処遇改善に関する情報を介護サービス情報公表システム等で公表すること)が引き続き求められます。

配分ルールの変更点

旧制度と新制度で、賃金改善の配分ルールが大きく変わりました。

旧制度 vs 新制度 配分ルール比較表

項目 旧制度(旧3加算) 新制度(新加算I~IV)
配分対象 加算により異なる(処遇改善加算:介護職員のみ/特定処遇改善加算:経験・技能のある介護職員に重点) 介護職員への配分を基本としつつ、事業所内で柔軟に配分可能(介護職員以外も対象可)
職種間の配分比率 特定処遇改善加算では「経験・技能のある介護職員」「他の介護職員」「その他の職員」の3グループ間で配分比率のルールあり(2:1:0.5等) 職種間の配分比率ルールは撤廃
基本給への反映 ベースアップ等支援加算は基本給等(毎月支払われる手当含む)の引上げに充当 新加算による賃金改善の2/3以上を基本給又は毎月支払われる手当の引上げに充てることが必要(加算I~IV共通)
配分の制限 職種・グループ間の厳格なルールあり 「職務内容や勤務実態に見合わない著しく偏った配分」は禁止

実務上のメリット: 配分ルールの柔軟化により、事務職員・相談員・管理栄養士等への配分も可能となり、事業所全体の処遇改善が図りやすくなりました。ただし、あくまで介護職員の処遇改善が主目的であることに留意してください。


計画書の作成手順【記入例付き】

新様式のダウンロード先と記載概要

2024年6月以降の新加算に対応した処遇改善計画書は、厚生労働省が提供する別紙様式2(処遇改善計画書)を使用します。

ダウンロード先:
– 厚生労働省「介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式」
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/apply.html
– 各都道府県・指定権者のホームページでも様式を公開している場合があります

注意: 都道府県ホームページからダウンロードした場合、Excelの計算式が正しく反映されないケースが報告されています。計算式の不具合がある場合は、厚生労働省公式ページからの再ダウンロードを推奨します。

計画書の主要構成:

様式 内容
別紙様式2(総括表) 法人・事業所の基本情報、加算区分の選択、賃金改善計画の総括
別紙様式2(個票) 事業所ごとの加算見込額・賃金改善額の詳細
別紙様式2(添付書類) キャリアパス要件充足状況、職場環境等要件の取組内容

賃金改善額の算定方法と記載例

計画書に記載する賃金改善額は、以下の手順で算定します。

ステップ1: 加算見込額の算出

加算見込額 = 介護報酬総額(見込み)× 加算率

【記載例】通所介護事業所(加算II取得の場合)

項目 金額
年間介護報酬総額(見込み) 30,000,000円
加算率(通所介護・加算II) 9.0%
加算見込額 2,700,000円

ステップ2: 賃金改善所要額の計算

賃金改善所要額 = 賃金改善後の総額 − 賃金改善前の総額
  • 賃金改善前の総額: 加算を算定しない場合の賃金水準(前年度実績ベース)
  • 賃金改善後の総額: 加算算定に伴い引き上げた後の賃金水準

重要: 賃金改善所要額は加算見込額を上回るように計画する必要があります(加算額以上の賃金改善を行うことが要件)。

ステップ3: 基本給等への充当割合の確認

基本給等の引上げに充てる額 ÷ 賃金改善所要額 ≧ 2/3

【記載例】

項目 金額
賃金改善所要額(合計) 2,800,000円
うち基本給・毎月の手当の引上げ分 2,000,000円
うち賞与・一時金等の引上げ分 800,000円
基本給等への充当割合 71.4%(≧ 2/3 = 66.7%)

対象職員の範囲と配分計画の立て方

新加算では対象職員の範囲が柔軟化されていますが、計画書作成にあたっては配分方針を明確にする必要があります。

対象職員の範囲

【配分の優先順位(原則)】
  介護職員(常勤・非常勤・パート) ← 最優先
    ↓
  その他の職種(看護師・事務員・栄養士等) ← 事業所判断で柔軟に配分可
    ↓
  管理者・役員 ← 兼務の場合、介護職員としての勤務分に限定

配分計画チェックリスト

計画書の作成・提出前に、以下の項目を確認してください。

  • [ ] 加算見込額を上回る賃金改善所要額となっているか
  • [ ] 賃金改善額の2/3以上が基本給又は毎月支払われる手当の引上げに充てられているか
  • [ ] キャリアパス要件の充足状況を正確に記載しているか
  • [ ] 職場環境等要件の取組項目を各区分から必要数以上選択しているか
  • [ ] 加算区分に誤りがないか(事業所番号との整合性)
  • [ ] 就業規則・賃金規程の添付(または整備予定の誓約)があるか
  • [ ] 介護職員への周知方法を記載しているか
  • [ ] 法人内の全対象事業所の情報が漏れなく記載されているか

ありがちなミスと都道府県からの差戻し事例

処遇改善計画書の提出において、都道府県から差戻しとなる主なケースを紹介します。

No. ありがちなミス 対処法
1 事業所番号の記載誤り:複数事業所を運営する法人で、事業所番号と加算区分の組み合わせが不一致 提出前に事業所台帳と照合する
2 加算見込額の算定誤り:前年度の報酬実績ではなく、当年度の見込額を使用すべきところ、古いデータで計算 直近の報酬実績をもとに合理的な見込みを算出する
3 基本給等への充当割合が2/3未満:賞与・一時金に偏った配分計画 基本給又は毎月の手当の引上げ分を十分に確保する
4 キャリアパス要件の根拠書類不備:就業規則・賃金規程が未整備のまま上位区分を申請 2024年度中は「年度内に整備する」旨の誓約書で代替可能(経過措置)
5 Excelの保護解除・数式破壊:色なしセル(自動計算セル)に手入力して数式を破損 厚生労働省公式の様式を使用し、色付きセルのみに入力する
6 職場環境等要件の取組項目数不足:必要な区分数の取組を選択していない 6区分すべてから必要数以上の項目を選択しているか確認する
7 提出先の誤り:指定権者(都道府県・市町村)ではなく国保連に提出してしまう 事前に提出先を確認する(通常は指定権者)


届出から実績報告までのスケジュール

年間スケジュール表

以下は、2024年度(令和6年度)の処遇改善加算に関する年間スケジュールの一般的な目安です。

出典: 厚生労働省「介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式」、各都道府県通知

時期 手続き 備考
2024年2月頃 新加算の制度内容公表 厚生労働省告示・通知の発出
2024年4月15日 処遇改善計画書の提出期限(4月・5月分の旧加算算定用 + 6月以降の新加算計画書) 体制届と併せて提出
2024年6月1日 新加算の施行開始 旧3加算は5月サービス分をもって廃止
2024年6月14日 計画書の変更届の受付期限(当初分) 届出内容の修正が可能
2025年2月末頃 次年度(令和7年度)計画書の提出準備 都道府県から案内が届く
2025年3月31日 経過措置(加算V)の終了 以降は加算I~IVのみ
2025年4月15日 令和7年度計画書の提出期限 新規届出・変更届出
2025年7月末頃 令和6年度実績報告書の提出期限 最終加算支払月の翌々月末日

注意: 提出期限は都道府県・指定権者によって異なる場合があります。必ず所管の指定権者に確認してください。

届出の提出先と提出方法

項目 内容
提出先 事業所の指定権者(都道府県知事、政令指定都市の長、中核市の長)
提出書類 処遇改善計画書(別紙様式2)、体制届(介護給付費算定に係る体制等に関する届出書)、添付書類
提出方法 郵送・窓口持参・電子申請(自治体により異なる。近年は電子申請への移行が進んでいる)
届出のタイミング 加算を算定する月の前々月の末日まで(原則)。ただし4月算定開始の場合は4月15日まで

実績報告書の作成ポイント

加算を算定した事業所は、各事業年度終了後に実績報告書を提出する義務があります。

提出期限: 各事業年度における最終の加算支払月の翌々月の末日まで
(例:令和6年度の場合、3月サービス分の支払は5月 → 提出期限は2025年7月31日

実績報告書の主要チェックポイント:

  • [ ] 加算総額と実際の賃金改善総額を正確に記載しているか
  • [ ] 賃金改善額が加算総額を上回っていることを確認しているか(下回る場合は返還が必要)
  • [ ] 基本給等への充当割合が2/3以上であったことを確認しているか
  • [ ] 根拠資料(賃金台帳等)を2年間保存する体制が整っているか
  • [ ] 職員への配分実績が計画書の内容と著しく乖離していないか

加算総額 > 賃金改善実績額の場合:
差額分は介護報酬の返還が必要となります。実績報告の段階で発覚するため、年度途中での進捗管理が重要です。


経過措置と旧加算からの移行手続き

経過措置の期限と対応

2024年6月の新加算施行にあたり、旧加算を算定していた事業所が円滑に移行できるよう、以下の経過措置が設けられました。

出典: 老発0405第6号通知、厚生労働省「旧3加算の算定状況と新加算Ⅴの対応表」
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/A1_info_B.pdf

経過措置の内容 期限 備考
加算V(経過措置区分)の算定 2025年3月31日まで 旧3加算の取得パターンに対応した14種類の経過措置区分
キャリアパス要件I~IIIの誓約による代替 2024年度末(2025年3月31日)まで 2024年度中に要件充足を誓約すれば算定可能
キャリアパス要件IVの月額8万円特例 2024年度末(2025年3月31日)まで 年額440万円に代えて月額平均8万円で代替可能
職場環境等要件の旧基準適用 2024年度末(2025年3月31日)まで 6区分24項目の旧基準。2025年度以降は6区分28項目に拡充

2025年4月以降の対応:
経過措置終了後は、加算I~IVのいずれかの要件を正式に充足する必要があります。加算Vを算定していた事業所は、2025年4月までに上位区分への移行届出を行わなければ加算の算定ができなくなります。さらに、2026年6月の臨時改定では加算体系がIロ・IIロを含む6区分に拡充されるため、移行先の選択にあたっては今後の制度変更も視野に入れた検討が求められます。

旧加算の取得状況別・移行パターン

旧加算の取得状況に応じた代表的な移行パターンを以下に示します。

旧加算の取得状況 経過措置(加算V) 推奨する移行先 主な追加対応
旧処遇改善I + 旧特定I + 旧ベースアップ 加算V(1) 加算I キャリアパス要件Vの充足確認
旧処遇改善I + 旧特定II + 旧ベースアップ 加算V(2) 加算II キャリアパス要件IVの充足確認
旧処遇改善I + 旧ベースアップのみ 加算V(3) 加算III キャリアパス要件IIIの充足確認
旧処遇改善I のみ 加算V(5) 加算IV 基本給等への2/3充当ルールへの対応
旧処遇改善II のみ 加算V(8) 加算IV キャリアパス要件Iの整備
旧処遇改善III のみ 加算V(11) 加算IV キャリアパス要件I又はIIの整備
いずれの旧加算も未取得 新規に加算IVから取得 すべての要件を新規に整備

実務的なアドバイス:
移行にあたっては、厚生労働省が公開している「新加算・移行についての入力シート」を活用すると、現在の取得状況から移行可能な区分を自動判定できます。


今すぐやること:処遇改善加算 対応チェックリスト

最優先:今月中に対応

  • 2026年3月末の経過措置終了に備え、キャリアパス要件I〜IIIの整備状況を最終確認する(人事・総務担当):就業規則の任用要件・賃金体系(要件I)、研修計画(要件II)、昇給の仕組み(要件III)が明文化・周知されているか点検し、未整備の場合は即時対応を開始する
  • キャリアパス要件IV(年額440万円)の達成見込みを確認する(経理・人事担当):対象職員の基本給・手当・賞与の年間見込額を再計算し、440万円未満の場合は処遇改善手当の増額や賃金規程の改定を検討する
  • 2026年6月の臨時改定(加算率引上げ・対象拡大)の影響をシミュレーションする(経営層・事務長):新加算率での加算見込額と、対象拡大に伴う配分計画の見直しを試算する

重要:3月末まで(経過措置終了前)

  • 職場環境等要件の2025年度基準(6区分28項目)への対応を完了する(管理者):加算I・IIを算定する場合は生産性向上ガイドライン活用が必須となるため、取組実績の文書化を進める
  • 令和7年度の処遇改善計画書を作成・提出する(事務担当):厚生労働省公式サイトから最新の別紙様式2をダウンロードし、加算見込額・賃金改善所要額・基本給等への充当割合を正確に算定する
  • 経過措置で誓約していた要件が未整備の場合、加算区分の引下げ届を提出する(管理者・事務担当):要件不備のまま上位区分を算定し続けると遡及返還リスクがあるため、指定権者に相談のうえ対応方針を確定する

中期:2026年6月までに

  • 2026年6月臨時改定への移行準備を本格化する(経営層・人事):「介護従事者」全体への対象拡大に対応した配分計画の見直し、上乗せ区分(生産性向上・協働化)の取得可否の検討を進める
  • 令和6年度の実績報告書を作成・提出する(事務担当):提出期限(最終支払月の翌々月末日)までに加算総額と賃金改善実績額の差額を確認し、不足がある場合は追加の一時金支給等で対応する
  • 見える化要件の公表内容を更新する(管理者):介護サービス情報公表システム又は事業所ホームページで、処遇改善の取組状況と賃金改善実績を最新の情報に更新する

FAQ:現場管理者からよくある質問

A

現在の旧加算の取得状況と事業所の体制を踏まえて判断してください。旧3加算をすべて最上位で取得していた事業所は加算Iへの移行が自然です。キャリアパス要件Vの介護福祉士配置割合を満たせない場合は加算II、昇給の仕組みが未整備の場合は加算IVからの段階的な取得を検討してください。厚生労働省の「入力シート」を活用すると、移行先の判定が容易です。

A

いいえ。新加算では配分対象が柔軟化され、介護職員以外の職種(事務職員、看護師、管理栄養士等)にも配分可能です。ただし、介護職員への配分を基本とすることが前提であり、職務内容や勤務実態に見合わない著しく偏った配分は認められません。また、賃金改善総額は加算総額を上回る必要があります。

A

加算Vは2025年3月31日をもって廃止されます。それまでに加算I~IVのいずれかに移行届出を行わないと、2025年4月以降は処遇改善加算を算定できなくなります。移行が間に合わない場合は、まず加算IVの要件充足を目指し、その後段階的に上位区分へ移行することをお勧めします。

A

可能です。年度途中で配分方法を変更する場合は、変更届(処遇改善計画書の変更届)を速やかに指定権者に提出してください。ただし、加算区分の変更(上位区分への変更)は体制届の変更も必要となり、届出が受理された翌月からの算定となります。

A

加算額が賃金改善実績額を上回った場合、その差額分は介護報酬の返還が必要です。返還を避けるためには、年度途中で賃金改善の進捗状況を確認し、不足がある場合は追加の一時金支給等で対応することが重要です。実績報告書の提出期限(最終支払月の翌々月末日)までに正確に集計してください。

A

はい。新加算では、パート・非常勤職員も賃金改善の対象となります。派遣職員については、派遣元事業所との契約内容に基づき、実質的に賃金改善が行われる仕組みが確保されている場合は対象に含めることが可能です。ただし、計画書には対象職員の範囲を明確に記載する必要があります。

A

見える化要件とは、処遇改善に関する取組状況を介護サービス情報公表システム等で公表することを求めるものです。加算I・IIの算定にあたっては、具体的な取組内容や賃金改善の状況を外部に公表し、透明性を確保することが必要です。公表方法は、情報公表システムへの入力のほか、事業所のホームページへの掲載でも認められます。


まとめ

2024年度の介護報酬改定による処遇改善加算の一本化は、事業所の事務負担軽減と介護職員の処遇改善の両立を目指した大きな制度変更です。ポイントを整理すると以下のとおりです。

ポイント 内容
一本化の時期 2024年6月サービス提供分から
新区分 I~IV(経過措置Vは2025年3月末で終了)
最大加算率 訪問介護の加算I:24.5%
配分ルール 職種間の配分比率ルールは撤廃。2/3以上を基本給等に充当
計画書様式 厚生労働省公式の別紙様式2を使用
届出先 指定権者(都道府県・政令市・中核市)
実績報告 最終支払月の翌々月末日まで

参考資料・一次情報

本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

  1. 介護職員の処遇改善(TOP・制度概要) — 厚生労働省
  2. 介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式 — 厚生労働省
  3. 介護職員の処遇改善に係る加算等について — 厚生労働省(告示・通知・Q&A等の一覧)
  4. 令和6年度介護報酬改定について — 厚生労働省
  5. 老発0405第6号「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年4月5日) — 厚生労働省老健局長通知 ※最新版は厚生労働省の処遇改善ページで確認してください
  6. 厚生労働省告示第86号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年)
  7. 処遇改善に係る加算全体のイメージ(PDF) — 厚生労働省
  8. 旧3加算の算定状況と新加算Vの対応表(PDF) — 厚生労働省
  9. 社会保障審議会介護給付費分科会(第239回)「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」(令和6年1月22日)(PDF) — 厚生労働省
  10. 社会保障審議会介護給付費分科会 — 厚生労働省(審議会の議事録・資料一覧)

免責事項: 本記事は、2026年4月時点で公開されている法令・通知・公表資料に基づき作成した一般的な解説記事です。加算の届出・算定にあたっては、必ず最新の法令・通知及び所管の指定権者(都道府県・市町村等)の案内をご確認ください。本記事の内容に基づく届出・運用により生じた損害について、筆者及び運営者は一切の責任を負いません。個別の事案については、社会保険労務士や行政書士等の専門家にご相談されることを推奨します。

JG

実務ガイド編集部

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