最終更新日: 2026年4月
【結論】 介護事業者は2026年6月改定で本体+2.03%・処遇改善加算6区分化(訪問介護Ⅰロ28.7%/特養Ⅰロ17.6%/通所Ⅰロ12.0%)。最大要因はⅠロ追加要件(ケアプラン連携・生産性向上加算・社福連携法人のいずれか)で、訪看1.8%・訪リハ1.5%・居宅2.1%が新規対象、経過措置Ⅴ全廃止、LIFE未提出は2〜3%減算。5月末届出受理を絶対防衛ラインに動く。本記事は2026年3月13日付厚労省告示・通知(老発0313第6号)に基づく。
本記事では2026年6月施行の介護報酬改定における主要変更点(処遇改善加算統合後の最新体系、LIFE活用加算の拡充、サービス種別ごとの単位数変更)を解説する。診療報酬改定との同時施行による医療・介護連携への影響は診療報酬改定2026年6月の解説も参照されたい。
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⚠️ 本記事は2026年3月28日公表の厚生労働省告示・通知に基づく。 本文中で「見込」「審議中」と記載される内容(医療連携加算の新設、LIFE提出頻度の見直し等)は2026年4月時点の審議状況を反映しており、告示で変更される可能性があります。確定値として扱わず、必ず厚生労働省の最新告示・通知を確認してください。【2026-05-12更新】 LIFE未提出時の取扱いを「2〜3%減算」から正しい「LIFE関連加算自体が算定不可」に修正しました。一次ソース(厚労省告示・解釈通知・介護保険最新情報Vol.1216等)に「所定単位数の○%減算」規定は存在せず、未提出月は当該LIFE関連加算が利用者全員分について算定不可となるのが正しい取扱いです。
2026年6月1日施行の介護報酬改定では、2024年に統合された処遇改善加算の運用要件が本格化し、LIFEデータ提出を前提とした科学的介護加算が拡充されるため、未対応の介護事業者は主要加算の算定機会を失い、月収支に数万〜数十万円規模の影響が生じる。
① 処遇改善加算が再編される。2026年6月施行で旧4区分が6区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)に拡充され、上位区分の「ロ」では生産性向上・協働化(ケアプランデータ連携・生産性向上推進体制加算・社会福祉連携推進法人所属のいずれか)が追加要件となる。経過措置の加算Ⅴは全廃止。
② LIFEデータ未提出はLIFE関連加算が算定不可になる。科学的介護推進体制加算・個別機能訓練加算II・自立支援促進加算・栄養ケア・マネジメント加算等のLIFE関連加算は、提出を怠った月は利用者全員分について加算を算定できない(やむを得ない事情を除く)。基本報酬への減算ではなく「加算ロス」として収益影響を試算する必要がある。
③ 加算取得の有無で月8〜12万円の差が開く。処遇改善加算I+LIFE対応加算+医療連携強化加算をフル取得すれば、全未取得と比べて年間100万円超の収支差が生じると試算される。
2026年介護報酬改定の全体像
改定率と基本方針
2026年介護報酬改定は診療報酬改定と同時施行(2026年6月1日)となる。改定率は+2.03%(介護報酬本体、2025年12月23日に厚生労働省が確定公表)であり、2024年度改定(+1.59%)を上回る水準となった。
| 改定区分 | 改定率 | 内容 |
|---|---|---|
| 介護報酬本体 | +2.03% | 基本単位数の引き上げ+加算体系の見直し |
| うち処遇改善対応分 | +1.95% | 介護職員処遇改善加算の充実分 |
| うち食費基準額等 | +0.09% | 施設入所者の食費基準額の見直し等 |
注1: 加算率・単位数の確定値は厚生労働省の告示を確認のこと(以下同様)。
注2: 上記改定率のうち「+0.09%(食費基準額等)」の施行時期は2026年8月となる(処遇改善等の主要改定は6月1日施行)。
+2.03%
加算算定不可
28.7%
8〜12万円
2026年改定の3つの重点項目
- 処遇改善加算の運用本格化 — 2024年統合後の体系が定着し、2026年は加算取得の「質」を問う評価に移行
- LIFE活用加算の拡充・義務化拡大 — 対象サービス種別が拡大、未提出施設の加算減算も強化
- 医療・介護連携の評価充実 — 診療報酬改定との同時施行を活かした連携加算の新設・拡充
サービス種別ごとの主要変更
訪問介護
| 項目 | 現行 | 改定後(見込) | 変更ポイント |
|---|---|---|---|
| 身体介護(30分以上1時間未満) | 396単位 | 410単位前後 | 賃上げ対応を含む引き上げ |
| 生活援助(45分以上) | 183単位 | 190単位前後 | 同上 |
| 夜間・早朝加算 | 25% | 25%(据え置き見込) | 変更なし |
| 特定事業所加算I | 500単位 | 520単位前後 | 質の高い事業所への重点配分 |
| 訪問介護における医療連携加算(新設検討) | ― | 50単位/回(審議中) | 在宅医療との連携記録要件あり |
注: 訪問介護の基本単位数は確定値が2026年3月告示で公布済みだが、医療連携加算の新設は2026年3月時点で審議中。最終確定は告示を確認のこと。
訪問看護
訪問看護は医療保険・介護保険の両制度にまたがるサービスであり、2026年6月の診療報酬・介護報酬同時改定で両制度の整合性を意識した見直しが行われた。在宅医療の重点化と看取り対応の評価強化が中心となる。
| 項目 | 現行 | 改定後(参考値) | 変更ポイント |
|---|---|---|---|
| 訪問看護費I(20分未満) | 314単位 | 320単位前後 | 短時間訪問の評価を維持しつつ微増 |
| 訪問看護費I(30分未満) | 471単位 | 480単位前後 | 賃上げ対応分の上乗せ |
| 訪問看護費I(30分以上1時間未満) | 823単位 | 840単位前後 | 同上 |
| 看護体制強化加算I | 550単位/月 | 570単位/月前後 | 重症者・ターミナル受け入れ実績の要件強化 |
| 看護体制強化加算II | 200単位/月 | 210単位/月前後 | 同上の要件緩和版 |
| ターミナルケア加算 | 2,500単位/死亡月(1回限り) | 2,600単位/死亡月前後(1回限り) | 死亡日前14日の訪問記録要件を明確化 |
| 専門研修修了看護師評価加算(新設検討・仮称) | ― | 単位数は審議中 | 介護報酬側でも同種の専門研修修了看護師評価加算が新設される見込み(仮称・名称未定、医療保険の同名加算とは別建て、単位数は審議中)。緩和ケア・褥瘡ケア等の専門研修修了看護師の配置を評価 |
注: 訪問看護の単位数は介護保険・医療保険で算定構造が異なる。上記は介護保険指定訪問看護ステーションの介護報酬区分を示す。医療保険側の訪問看護療養費との整合は2026年3月告示・通知で確認のこと。なお、遠隔死亡診断補助加算(150単位)は医療保険の訪問看護療養費上の加算であり、介護保険指定訪問看護では現行算定不可。介護報酬側での新設は審議中であるため、医療保険側で関連加算がある点のみ参考情報として留意されたい。
LIFE関連の取り扱い
訪問看護では2024年改定でLIFE関連加算(科学的介護推進体制加算)の対象外であったが、2026年改定で重症者対応加算の算定要件にLIFEデータ活用が組み込まれた(見込)。利用者の褥瘡・排尿・服薬状況等を月1回提出することで、フィードバックを訪問計画に反映させる仕組みである。
通所介護(デイサービス)
| 項目 | 変更の概要 |
|---|---|
| 基本単位数 | 各所要時間区分で5〜15単位程度の引き上げ(見込) |
| 個別機能訓練加算 | LIFEデータ提出要件の強化(提出頻度の見直し) |
| 入浴介助加算II | 算定要件の見直し(リハビリ職との連携記録が必須化) |
| 科学的介護推進体制加算 | 対象を全利用者に拡大・提出様式の簡素化 |
| 認知症加算 | 専門研修修了者の配置要件を明確化 |
居宅介護支援(ケアマネジメント)
| 項目 | 変更の概要 |
|---|---|
| 居宅介護支援費 | 担当件数上限・逓減制の緩和検討(審議中) |
| 特定事業所加算 | 医療機関・入退院時連携の実績要件が追加(見込) |
| 退院・退所加算 | 入院日数短縮に伴い算定機会が増加する傾向 |
| 認知症加算 | BPSD(行動・心理症状)対応の研修要件が加重 |
施設系サービス(特別養護老人ホーム・老人保健施設)
| 項目 | 変更の概要 |
|---|---|
| 施設サービス費(基本) | 賃上げ対応を含む引き上げ(10〜30単位/日程度) |
| 在宅復帰・在宅療養支援機能加算 | 老健の退所者の在宅生活継続に係る実績要件強化 |
| LIFEデータ提出 | 全施設で必須化(未提出月はLIFE関連加算が利用者全員分について算定不可。基本報酬への%減算ではない) |
| 看取り介護加算 | 死亡前30日以降の算定単位数の引き上げ(見込) |
処遇改善加算の新体系(令和8年6月施行・告示確定値)
2024年6月改定で旧3加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されて以降、2026年6月の期中改定でⅠロ・Ⅱロの2区分を新設し計6区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)に再編された。「ロ」は生産性向上・協働化に取り組む事業者への上乗せ区分である。また、2024年改定で経過措置として残されていた加算Ⅴ(⑴〜⒁)は2026年6月施行の告示改正で全て廃止された。
加算率はサービス類型ごとに大きく異なるため、自事業所のサービス区分で確認すること。
主要サービスのサービス類型別加算率(令和8年6月以降・別紙1表1-2準拠)
| サービス区分 | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 訪問介護(最高率) | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
| 介護老人福祉施設(特養) | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% | 13.6% | 11.3% |
| 通所介護(デイ) | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% | 9.9% | 8.3% |
2026年6月から新たに加算対象となったサービス(単一加算率)
| サービス区分 | 加算率 |
|---|---|
| 訪問看護(介護予防含む) | 1.8% |
| 訪問リハビリテーション(介護予防含む) | 1.5% |
| 居宅介護支援・介護予防支援 | 2.1% |
重要: 訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等は2024年改定までは処遇改善加算の対象外だった。2026年6月施行で新規対象となり、ケアマネ事業所等でも算定可能となった。
加算Ⅰロの追加要件(令和8年度特例要件)
加算Ⅰロを算定するには、Ⅰイの全要件に加え、以下のいずれかを満たす必要がある(生産性向上・協働化に係る取組):
- ケアプランデータ連携システムの利用(訪問・通所系等)
- 生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡの算定(施設・居住系等)
- 社会福祉連携推進法人への所属
詳細記事
– 処遇改善加算2026年6月改定|新区分Ⅰロ・Ⅱロの要件と加算率一覧 — 6区分の要件体系・全15サービスの加算率・移行パターン・届出スケジュール
– 処遇改善加算の計画書作成・届出ガイド — 計画書の書き方・記入例・差戻し事例・実績報告の実務
令和9年3月末までの誓約特例(経過措置)
令和8年度に限り、Ⅰロ・Ⅱロの上位区分を「誓約」により取得できる経過措置が設けられている(厚労省 老発0313第6号 通知)。
| 区分 | 通常の要件 | 令和8年度の誓約特例 |
|---|---|---|
| 令和8年度特例要件 | ケアプランデータ連携利用/生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡの算定/社会福祉連携推進法人所属のいずれか | 令和9年3月末までに上記いずれかに着手する旨を計画書に記載・誓約 |
| キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳ | 全要件の充足 | 令和8年度特例要件の充足を前提に、令和9年3月末までに未充足要件を満たす誓約 |
| 職場環境等要件 | 6区分から各1項目以上の取組 | 令和8年度特例要件の充足を前提に、令和9年3月末までに取組を実施する誓約 |
訪問介護事業所の算定例(加算Ⅰロ+特定事業所加算Ⅰ)
処遇改善加算は他の加算を含めた所定単位数合計に対して加算率を乗じる仕組みである。特定事業所加算など上位加算を取得している事業所ほど処遇改善加算額も連動して増える「複利効果」が働く。
前提: 訪問介護、月間基本報酬 100,000単位、特定事業所加算Ⅰ(20%)算定、加算Ⅰロ(28.7%)の場合
| 項目 | 計算 | 単位数 |
|---|---|---|
| ① 基本報酬 | — | 100,000単位 |
| ② 特定事業所加算Ⅰ | 100,000 × 20% | 20,000単位 |
| ③ 処遇改善加算の計算基礎(①+②) | — | 120,000単位 |
| ④ 処遇改善加算Ⅰロ | 120,000 × 28.7% | 34,440単位 |
| 合計(①+②+④) | — | 154,440単位(約154.4万円) |
基本報酬のみで見ると100万円の事業所でも、特定事業所加算と処遇改善加算Ⅰロの組み合わせで約1.5倍の収入となる。逆に言えば、特定事業所加算を取得していない事業所は処遇改善加算の効果も小さくなるため、上位加算とのセット取得が経営上重要である。
ハラスメント対策の整備(労働法令上の措置義務として推奨)
法令根拠(一般的な労働法令上の義務)
- 労働施策総合推進法 第30条の2(事業主の措置義務)— 職場におけるパワーハラスメント防止の措置を講じる義務(2020年6月施行、中小企業は2022年4月1日適用)
- 男女雇用機会均等法 第11条・第11条の3(セクハラ・マタハラ防止)
- 介護現場では利用者・家族から職員への暴言・暴力・性的言動・過大要求を含むカスタマーハラスメント対策が業界課題となっている
「対象となるハラスメント」は職員間のものに加え、利用者・家族から職員への暴言・暴力・性的言動・過大要求を含む点が介護分野の特徴である。
必須整備項目チェックリスト
| 整備項目 | 必須/推奨 | 内容 |
|---|---|---|
| ハラスメント防止規定の策定 | 必須 | 就業規則に組み込み、または別規程として整備 |
| 相談窓口の設置 | 必須 | 内部窓口(管理者)+外部窓口(社労士・産業医・委託機関) |
| 全職員研修の実施 | 必須 | 年1回以上、参加記録・資料保存 |
| ハラスメント発生時の対応マニュアル | 必須 | 事実確認→被害者保護→加害者対応→再発防止の手順を文書化 |
| 利用者・家族への周知文書 | 推奨 | 重要事項説明書または別添資料に「ハラスメントへの対応方針」を明記 |
| 契約解除条項の整備 | 推奨 | 重大なハラスメント発生時のサービス契約解除事由を契約書に明記 |
| 警察・行政との連携手順 | 推奨 | 暴力・刑事事案発生時の通報フロー |
就業規則記載例(雛形)
第○条(職場におけるハラスメントの禁止)
1. すべての職員は、職務遂行にあたり、相互に人格と人権を尊重し、
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント
その他あらゆるハラスメント行為を行ってはならない。
2. 利用者およびその家族からのハラスメント(カスタマーハラスメント)
についても、当法人は職員を保護する責務を負い、適切な対応を行う。
第○条(相談窓口)
1. ハラスメントに関する相談および苦情を受け付ける窓口を、
内部に管理者および外部に○○(社労士事務所等)に設置する。
2. 相談者および事実確認に協力した者は、相談・協力を理由として
不利益な取扱いを受けない。
第○条(カスタマーハラスメントへの対応)
1. 当法人は、利用者または家族から職員に対して暴言・暴力・性的言動
その他社会通念上不相当な要求があった場合、職員の安全を最優先に
対応する。
2. 重大かつ継続的なハラスメント行為があった場合、契約解除を含む
毅然とした対応を行う。
対応マニュアル骨子(A4 1〜2ページで作成)
- 早期発見: 申告フォーマット・チェックリストを職員休憩室に常設
- 事実確認: 被害職員ヒアリング → 関係者・記録確認(24時間以内)
- 被害者保護: 担当変更・配置転換・産業医面談の手配
- 加害者対応: 利用者の場合は契約見直し協議、職員の場合は懲戒処分検討
- 再発防止: 全体研修への反映・規定改訂
- 記録保管: 5年間以上保存(個人情報配慮)
LIFE(科学的介護情報システム)活用加算の拡充
LIFEとは
LIFE(Long-term care Information system For Evidence)は、厚生労働省が運営する科学的介護のためのデータ収集システムである。利用者の状態(認知機能・ADL・栄養状態等)のデータを定期的に提出することで加算が算定でき、フィードバックデータをケアの質改善に活用することが求められる。
2026年の拡充ポイント
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 対象加算の拡大 | 科学的介護推進体制加算に加え、栄養ケア・マネジメント加算・個別機能訓練加算IIでもLIFE提出が必須化(見込) |
| 提出頻度の見直し | 一部加算で「少なくとも3か月に1回」→「月1回」への強化(審議中) |
| 未提出時の取扱い | 当該LIFE関連加算は未提出月に算定不可(利用者全員分。やむを得ない事情を除く。基本報酬への%減算は規定なし) |
| フィードバック機能の充実 | 同法人内の他施設や全国平均との比較機能が追加 |
| 入力の簡素化 | スマートフォン・タブレット対応の入力フォームが標準化 |
LIFE導入逆算工程表(6月本番→3月着手)
LIFE未対応の事業所が2026年6月からの加算算定(および減算回避)に間に合わせるための逆算工程表を示す。「6月1日に提出体制が完成している」状態をゴールに、3月から月単位でアクションを設計する。
※本工程表は中規模以上の事業所(通所15名以上・訪問介護10名以上等)向けの推奨スケジュールです。超小規模事業所はLIFE導入を見送る選択肢もあります(後述「加算優先度診断フロー」参照)。
| 月 | フェーズ | 必須アクション | 必要な準備物・時間目安 | つまずきポイント |
|---|---|---|---|---|
| 3月 | 体制構築 | ① LIFE主担当・副担当の指名(看護職または相談員) / ② 厚生労働省「LIFEログイン申請」を電子申請届出システム経由で実施 / ③ 介護ソフトのLIFE連携機能(CSV出力/API連携)の有無を確認 | LIFE主担当の業務時間捻出(週3〜5時間) / 介護ソフトベンダーへの問い合わせ1〜2週間 | 介護ソフトがLIFE連携未対応の場合、CSV手入力となり工数が3倍に増える。早期にベンダー確認を |
| 4月 | マスタ整備 | ① 利用者基本情報(介護度・主病名・ADL区分)のシステム登録 / ② 提出対象加算ごとの記録様式(栄養スクリーニング・口腔機能・認知機能評価等)の整備 / ③ 厚労省マニュアル・操作説明動画を全職員で視聴 | 利用者1人あたり登録30分(30名規模で15時間) / 様式テンプレート作成2〜3日 | 主病名・介護度の登録ミスが多い。ケアマネ作成のケアプランと突合せて整合確認すること |
| 5月 | リハーサル | ① テスト用に1〜2名分のデータをLIFEへ試行提出 / ② エラーメッセージ対応マニュアル化 / ③ フィードバックレポートの読み解き研修 / ④ バックアップ担当への引継ぎ研修 | テスト提出1人あたり1〜2時間 / 研修会2時間×2回 | テスト提出時のエラー(年齢不整合・コード未登録等)の対処に1週間以上かかる事例あり |
| 6月 | 本番運用 | ① 6月1日以降のサービス提供分から正式提出 / ② 月次提出スケジュール(毎月10日まで等)を定例化 / ③ 提出結果のスクリーンショット保存 | 月次提出作業3〜5時間 | 「提出した」と思っていたら未送信ステータスのまま、というケースが頻発。送信完了通知の確認を必須化 |
| 7月以降 | 改善サイクル | ① フィードバックレポートをケアカンファレンスで共有 / ② ケア改善の記録(PDCA)を整備 / ③ 全国平均との比較で自施設の強み/弱みを把握 | 月1回30分のカンファレンス時間 | 「提出するだけ」で終わらせない。フィードバック活用の記録は次回実地指導で確認される |
加算優先度診断フロー(規模×サービス別)
「加算は何から取るべきか」は、事業所の規模・サービス種別・現在の体制によって異なる。以下は最初に取るべき加算を1つに絞り込むための診断フローである。すべての加算を同時に狙うとコストが先行して赤字化するため、優先順位を明確化することが重要となる。
Step 1: 現在の処遇改善加算取得状況を確認
| 現状 | 最優先アクション |
|---|---|
| 未取得 | まず加算IV(17.0%相当)を即座に届出。要件が最も軽く、最短2か月で算定開始可能 |
| III取得済 | キャリアパス要件IIをクリアして加算II(24.9%)への移行を狙う。月収益差は約4%pt |
| II取得済 | 月額平均賃金改善要件をクリアして加算I(27.0%)へ。さらに生産性向上要件でIロ(28.7%)も視野に |
| I取得済 | 新設のIロを目指す。生産性向上委員会の設置・タスクシフト計画の策定が要件 |
Step 2: サービス種別×規模別の「2つ目に取るべき加算」
| サービス種別 | 規模 | 推奨される次の加算 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 利用者10名以下 | 特定事業所加算III(10%) | 看護師配置等の重い要件不要。初任者研修修了者比率の管理のみで取得可能 |
| 訪問介護 | 利用者11〜30名 | 特定事業所加算II(10%)+緊急時訪問加算 | 重度者対応で単価UP。サ責配置がカギ |
| 訪問介護 | 利用者31名以上 | 特定事業所加算I(20%) | 全要件クリアで20%上乗せ。年間500〜800万円規模の収益増 |
| 通所介護 | 1日10名以下 | 入浴介助加算I(40単位/日) | 個別浴槽あれば算定可。ハードル低 |
| 通所介護 | 1日11〜20名 | 個別機能訓練加算II+LIFE加算 | 機能訓練指導員配置が必要だが収益効果高 |
| 通所介護 | 1日21名以上 | LIFE関連加算をフル算定 | 規模メリットで提出工数を吸収。月10〜15万円増 |
| 訪問看護 | 看護師2〜3名 | 24時間対応体制加算 | 当番制の構築が必要だが算定効果が大 |
| 訪問看護 | 看護師4名以上 | 看護体制強化加算II → I | 重症者・ターミナル受け入れ実績の積み上げ |
| 施設系(特養) | 全規模 | LIFE関連加算(科学的介護推進体制加算) | 未提出月は加算自体が利用者全員分について算定不可。取らない選択肢なし |
| 居宅介護支援 | ケアマネ2名以下 | 特定事業所加算III(309単位/月)または A(100単位/月) | 主任ケアマネ配置・研修参加で達成可 |
| 居宅介護支援 | ケアマネ3名以上 | 特定事業所加算II(407単位/月)→ I(505単位/月) | 24時間連絡体制と医療連携実績がカギ |
Step 3: 「取ってはいけない加算」の判断軸
加算取得には人員配置・研修・記録整備のコストが伴う。次の条件に該当する加算は算定単価よりコストが上回るリスクがあるため、慎重な判断が必要となる。
- 取得要件の研修費・人件費が年間加算収益の30%超となる場合
- 算定対象利用者が全体の20%未満で、記録工数が割に合わない場合
- 監査リスクが高く、実地指導での減算返還リスクが大きい場合(居宅療養管理指導等)
2026年介護報酬改定 施行スケジュール
月別アクションチェックリスト(3月〜7月)
上記4ステップを実務担当者が日々確認できるよう、月別の必須アクションを箇条書きで整理する。各月のチェック項目を5〜8項目に分解し、進捗管理に活用できる形式とした。
3月のチェックリスト
- [ ] 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」告示・通知(3月28日公表)を全管理職で読了
- [ ] 自事業所が算定中の全加算をリストアップ(届出書類フォルダから現状確認)
- [ ] 処遇改善加算の現在の取得区分・職場環境等要件の充足状況を棚卸し
- [ ] LIFE提出が必須化される加算と自事業所の対応状況を突合
- [ ] 介護ソフトベンダーに2026年改定対応版のリリース時期を確認(5月中旬までの提供が必須)
- [ ] 連携医療機関に「医療・介護連携加算」要件の協議申し入れを送付
4月のチェックリスト
- [ ] 処遇改善加算I取得要件の「ハラスメント対策研修」を実施(職員全員参加・記録保存)
- [ ] ハラスメント防止規定(就業規則別表)を整備・周知
- [ ] LIFEシステムへのログイン・利用者マスタ登録を完了
- [ ] 通所介護・施設系は基本単位引き上げの月収益試算を実施(経営判断材料に)
- [ ] 居宅介護支援事業所はケアマネの担当件数を見直し(逓減制緩和の影響確認)
- [ ] 4月末を目安に職員給与改定案を経営会議で決議(処遇改善加算の収益増を反映)
5月のチェックリスト
- [ ] 5月10日まで: 処遇改善加算の変更届出書を作成・指定権者(都道府県・市町村)へ提出準備
- [ ] 5月15日まで: 加算の上位区分(I・Iロ)への新規届出書を提出
- [ ] 5月20日まで: LIFE提出のテストデータを送信し、エラー解消
- [ ] 5月25日まで: 連携医療機関と「情報共有プロトコル」を文書化
- [ ] 5月末日: 全届出受理を完了(受理されないと6月算定不可)
- [ ] 利用者・家族への料金変更説明会またはお知らせ文書配布
※上記の各月10日・15日・20日等の日付は推奨スケジュールであり、介護報酬の届出締切は原則として算定開始月の前月15日までですが、指定権者(都道府県・市町村)によって独自運用があります。所管の指定権者に必ず最新の締切日を確認してください。
6月のチェックリスト
- [ ] 6月1日: 新単位数・新加算で介護報酬請求準備
- [ ] 6月10日まで: 5月分(旧単位)の請求送信
- [ ] 6月15日まで: 6月以降サービスのLIFE初回提出(7月10日請求に間に合わせるため)
- [ ] 介護給付費請求書(6月サービス分)の単位数・加算コードが正しいか管理者がダブルチェック
- [ ] 算定エラー(コード相違・加算重複等)の自己点検
- [ ] 利用者の自己負担額変更について個別説明(特に2割・3割負担者)
7月のチェックリスト
- [ ] 7月10日まで: 6月分(新単位)の請求送信(LIFE提出済証跡を保存)
- [ ] 6月診療分の国保連査定結果を確認(返戻・査定減の有無)
- [ ] 査定減があった加算については原因分析と是正対応
- [ ] LIFE初回フィードバックレポートをケアカンファレンスで活用
- [ ] 6月の月次収支を改定前と比較し、シミュレーションとの乖離を分析
- [ ] 7月末を目安に上半期見通しを修正
経営シミュレーション
以下は通所介護事業所を想定した月次収支変化の試算例である。
通所介護(規模別5パターン・週5日営業の場合)
通所介護を超小規模(1〜3名)から大規模(50名超)まで5段階で試算する。実際の収益はサービス提供時間区分・地域単価・要介護度構成により変動するため、概算値として参照されたい。
| 規模 | 月間利用者 | 改定後の月収支変化(試算) |
|---|---|---|
| 超小規模(1〜3名/日) | 延べ約20〜60名/月 | 基本単位引き上げ:+1万円、処遇改善加算III:+1万円、LIFE加算は工数対効果で見送り推奨 → 実質+1〜2万円 |
| 小規模(10名/日) | 延べ約200名/月 | 基本単位引き上げ:+3〜4万円、処遇改善加算I取得済みなら追加+2万円、LIFE未提出なら▲1万円 → 実質+4〜5万円 |
| 中規模(20名/日) | 延べ約400名/月 | 基本単位引き上げ:+6〜8万円、処遇改善加算I:+4万円、LIFE対応加算:+2万円 → +12〜14万円 |
| 大規模(30名/日) | 延べ約600名/月 | 基本単位引き上げ:+9〜12万円、処遇改善加算I:+6万円、LIFE対応加算:+3万円 → +18〜21万円 |
| 超大規模(50名超/日) | 延べ約1,000名以上/月 | 基本単位引き上げ:+15〜20万円、処遇改善加算Iロ(新設):+12万円、LIFE加算フル算定:+5万円、医療連携加算:+3万円 → +35〜40万円 |
超小規模(1〜3名/日)の戦略指針
- 無理な加算取得は不要: 加算研修・記録整備の工数が収益を上回るリスクが高い
- 重視すべきは「稼働率」: 定員充足が最大の収益改善要因
- 処遇改善加算IIIは要件が軽く取得推奨(年収益+12〜15万円)
- LIFE加算は工数対効果で見送り、必須化されたタイミングで対応開始
- 地域包括支援センターとの連携で利用者確保を優先
大規模(50名超/日)の戦略指針
- 加算をフル算定することで月35〜40万円の収益改善が見込める
- 処遇改善加算Iロ(新設)を狙い、生産性向上委員会・タスクシフト計画を整備
- LIFE専任担当者の配置(パート可)で他事業所と差別化
- 医療連携加算は連携医療機関との「共同カンファレンス記録」が必須要件
- 規模メリットを活かして実地指導対応も組織的に体制化
注: 上記はあくまで概算試算。実際の影響は介護度構成・加算の取得状況・地域単価(地域区分)により大きく異なる。必ず自事業所の実績をもとに試算すること。
処遇改善加算I+LIFE対応済みの場合
全加算未取得・LIFE未提出(減算あり)の場合
※基本単位引き上げ・処遇改善加算I・LIFE対応加算・減算を含む概算。地域単価・介護度構成により実際の影響は異なる。
加算取得の有無による月収差(10名/日規模)
| パターン | 月収変化額(概算) |
|---|---|
| 処遇改善加算Iのみ | +3万円 |
| 処遇改善加算I+LIFE対応加算 | +6万円 |
| 処遇改善加算I+LIFE対応加算+医療連携強化加算 | +8〜10万円 |
| 全加算未取得・LIFE未提出(減算あり) | ▲1〜2万円 |
医療・介護連携と薬局・電子処方箋への影響
診療報酬と介護報酬の同時改定により、訪問診療・訪問看護・介護事業者の情報連携を評価する加算が一体的に整備される。在宅訪問を行う介護事業者は連携医療機関の電子処方箋対応状況を確認し、LIFEと医療DXのデータ連携を視野に入れた記録様式の整備を進めておくことが望ましい。詳細は電子処方箋ガイド・医療DX推進加算2026を参照。
よくある質問(FAQ)
Q: 2024年に処遇改善加算を統合申請済みです。2026年6月にも再申請が必要ですか?
A: 既存の届出が継続している場合は原則として再申請は不要ですが、2026年改定による要件変更(職場環境等要件の内容充実・ハラスメント対策の追加等)に適合しているかを確認し、要件を満たさなくなった場合は変更届出が必要です。また上位加算(処遇改善加算I)への移行を目指す場合は新規届出が必要となります。5月末日を目安に届出を受理されるよう準備してください。
Q: LIFEシステムにデータを提出していない加算があります。2026年6月から減算されますか?
A: 「所定単位数の○%減算」というLIFE未提出減算の規定は、厚労省告示・解釈通知・介護保険最新情報のいずれにも存在しません。LIFE提出が算定要件となっている加算は、未提出月について当該加算自体が利用者全員分について算定不可となります(やむを得ない事情を除く。介護保険最新情報Vol.1316・Vol.1225・R6.9.27事務連絡)。基本報酬への%減算ではなく、加算単位数×利用者数×単価のロスとして試算してください。現在算定中の加算のうちLIFEデータ提出が求められるものをリストアップし、4〜5月中に提出体制を整えることが急務です。
Q: 診療報酬改定と同時施行ですが、医療・介護連携加算の算定には医療機関側の対応も必要ですか?
A: はい。医療・介護連携加算の多くは、医療機関(かかりつけ医・訪問診療医等)との情報共有・共同カンファレンスの記録が要件となります。算定を目指す場合は、連携先の医療機関に2026年改定後の新加算要件を早めに説明し、連携プロトコルを共同で整備することが必要です。
Q: 処遇改善加算Iを取得するために、今からでも間に合いますか?
A: 2026年6月1日の改定施行から算定するには、5月末日までに届出が受理される必要があります(届出受理の翌月1日から算定開始が原則)。キャリアパス要件(評価制度の整備等)は時間がかかるため、現時点で未整備であれば6月施行への間に合わせは困難なケースもあります。まず現状の充足状況を確認し、可能な区分(加算II〜III)から届出を出しつつ、加算Iへの移行計画を策定することが現実的です。
Q: LIFE未提出のまま6月を迎えたら加算はどうなりますか?
A: LIFE提出が算定要件として組み込まれている加算(科学的介護推進体制加算・栄養ケア・マネジメント加算・個別機能訓練加算II・自立支援促進加算等)は、提出がなされない月について当該加算が利用者全員分について算定不可となります(やむを得ない事情を除く)。基本報酬への%減算規定はありません。影響額は「加算単位数×利用者数×単価」で計算する必要があり、例えば自立支援促進加算(280単位/月)を算定中の定員50名特養なら280×50×10円≈14万円/月のロスとなります(複数加算併算定中ならさらに拡大)。6月以降にLIFE提出体制を構築しても、提出開始月の翌々月請求分から正常算定となるため、未対応期間が長引くほど機会損失が拡大します。施行前に間に合わない場合でも、7月以降の早期復帰を目指して提出体制構築を急ぐことが重要です。
Q: 処遇改善加算の新区分「Iロ」と従来の「I」の違いは何ですか?事業所はどちらを選ぶべきですか?
A: 新設のIロは、従来Iの全要件(キャリアパス要件I〜III、月額平均賃金改善要件、職場環境等要件)に加えて、生産性向上の取組要件が追加された最上位区分です。具体的には、現時点の社保審分科会審議資料では以下の3点が想定されています(最終要件は告示で確定):(1)生産性向上委員会の設置、(2)介護ロボット・ICT導入による業務効率化計画の策定・実施、(3)タスクシフト・タスクシェアリングの推進——の3点が求められる見込みです。加算率は訪問介護で28.7%(Iイは27.0%)と1.7ポイントの差であり、訪問介護10名規模なら年間20〜30万円の収益増となります。ただし、生産性向上の取組には介護ロボット・ICTシステムへの初期投資(50〜200万円規模)が必要なケースが多く、投資回収までに2〜3年を要する場合があります。中小規模事業所はまずIイを確実に取得し、ICT補助金等を活用してIロへ段階的に移行する戦略が現実的です。一方、大規模事業所(職員30名以上)は規模メリットでIロを直接狙う価値があります。
Q: 訪問介護の身体介護「20分未満」区分の単位数や算定要件はどう変わりましたか?
A: 訪問介護の身体介護20分未満区分(「身体0」と通称される)は、頻回訪問・短時間集中ケアのニーズに対応するため2012年改定で創設された区分です。2026年改定では基本単位数が現行163単位(2024年改定後)から170単位前後への微増が見込まれます(参考値、最終確定は告示確認)。算定要件については、2024年改定で導入された「日中訪問の早朝・夜間時間帯における算定上限緩和」が継続される見込みです。重要な変更点として、2026年改定では「身体0」連続算定時の頻回訪問加算の評価が見直され、1日に4回以上の訪問を行う場合の追加単位が拡充される可能性があります。サービス担当者会議での必要性協議の記録要件も明確化される見込みのため、ケアマネとの連携記録の整備が必要です。なお、20分未満区分は「身体介護を中心とした20分未満の訪問」であることが算定要件であり、生活援助のみの訪問は対象外です。実地指導での確認頻度が高い区分のため、訪問記録に身体介護の具体的内容を必ず記載してください。
参考資料
免責事項: 本記事は2026年4月時点の告示・審議動向に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものである。単位数・加算要件の最終確定は厚生労働省の最新告示・通知を必ず確認すること。本記事の内容に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負わない。


