障害福祉サービス事業所2026年|指定基準・人員要件・開設申請の手順

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障害福祉サービス事業所2026年|指定基準・人員要件・開設申請の手順
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最終更新日: 2026年9月8日(2026年6月1日施行の臨時報酬改定を反映。処遇改善加算の改定後加算率、新規指定事業所の基本報酬減額率、就労継続支援B型の平均工賃月額区分の再編を告示原文で確認のうえ更新)

免責事項: 本記事は、障害者総合支援法および関連法令に基づき、障害福祉サービス事業所の開設に必要な情報を整理したものです。法令・通知の改正、自治体独自の運用により内容が変わる可能性があります。実際の申請にあたっては、必ず指定権者(都道府県・政令指定都市・中核市)の窓口で最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づく判断・行動によって生じた損害について、筆者は一切の責任を負いません。


本記事の対象読者: サービスを開設・運営する事業者向け(指定基準・人員要件・申請手続き)

サービスを利用したい方は別記事をご参照ください → 障害福祉サービス受給者証2026|申請手順・必要書類・利用料完全ガイド(申請2か月・月額負担上限・必要書類を解説)

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障害福祉サービスの全体像

障害福祉サービスは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法、平成17年法律第123号)に基づき提供される公的サービスである。利用者は市町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受け、指定事業所からサービスを利用する仕組みとなっている(同法第19条〜第22条)。一般企業への就労を支援する就労継続支援事業所の利用者は、2026年7月に法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられたことで、受け入れ企業側の受け皿拡大が期待される。

サービス類型の一覧と分類

障害福祉サービスは大きく「自立支援給付」と「地域生活支援事業」に分かれ、自立支援給付はさらに以下のカテゴリに細分化される。

分類 主なサービス 概要
訪問系 居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援 利用者の自宅を訪問して介護・支援を提供
日中活動系 生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援、就労選択支援 事業所に通所して訓練・就労・生産活動に参加
施設系 施設入所支援 入所施設において夜間の生活支援を提供
居住支援系 共同生活援助(グループホーム)、自立生活援助 住まいの場を提供し地域生活を支援
相談支援系 計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援 サービス等利用計画の作成・地域移行の支援

なお、2022年の障害者総合支援法改正(令和4年法律第104号)により「就労選択支援」が新たに創設された(同法第5条第13項)。同改正法は条項ごとに施行日が異なる段階施行であり、就労選択支援に係る規定の施行、すなわちサービス提供の開始は2025年10月1日である。就労アセスメントの手法を活用して利用者の就労先・働き方の選択を支援する仕組みであり、2025年10月以降、新たに就労継続支援B型の利用を申請する場合等には原則として就労選択支援の利用が求められる。

指定権者(都道府県 or 市町村)の区分

事業所の指定を行う権限を持つ「指定権者」は、サービスの種類と事業所の所在地によって異なる。

指定権者 対象サービス
都道府県(政令指定都市・中核市は当該市) 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援、就労選択支援、施設入所支援、共同生活援助、自立生活援助、計画相談支援 等
市町村 地域生活支援事業(移動支援、地域活動支援センター、日中一時支援等)

根拠条文: 障害者総合支援法第29条第1項(指定障害福祉サービス事業者)、第36条第1項(指定は事業者の申請により、サービスの種類及び事業所ごとに行う)、同条第3項(都道府県知事が指定をしてはならない場合=欠格事由・人員設備運営基準の未充足)、第51条の14第1項(一般相談支援事業者の指定)。

政令指定都市(地方自治法第252条の19)および中核市(同法第252条の22)については、都道府県から権限が移譲されているため、事業所の所在する市が指定権者となる。新規開設を検討する際は、まず事業所所在地の指定権者を確認することが第一歩である。


指定基準の3本柱を類型別に解説

障害福祉サービス事業者の指定を受けるためには、厚生労働省令で定める「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3要件を満たす必要がある(障害者総合支援法第36条第3項)。具体的な基準は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号、以下「指定基準省令」)に規定されている。

人員基準(サービス管理責任者・支援員等の配置数)

人員基準は、利用者に対して適切な支援を提供するために必要なスタッフの職種・人数・勤務形態を定めたものである。主要なサービス類型別の配置基準は以下のとおりである。

就労系サービスの人員配置基準と一般就労への連携

職種 就労継続支援A型 就労継続支援B型 就労移行支援
管理者 1人(常勤、兼務可) 1人(常勤、兼務可) 1人(常勤、兼務可)
サービス管理責任者 利用者60人以下:1人以上、61人以上:1人+40人ごとに1人追加(うち1人以上は常勤) 同左 同左
職業指導員+生活支援員(合計) 常勤換算で利用者数÷10以上 常勤換算で利用者数÷10以上 常勤換算で利用者数÷6以上
職業指導員 1人以上 1人以上 1人以上
生活支援員 1人以上 1人以上 1人以上
就労支援員 ― ― 常勤換算で利用者数÷15以上
常勤要件 職業指導員・生活支援員のうちいずれか1人以上が常勤 同左 同左

なお、2026年6月の臨時改定では、障害福祉職員の処遇改善加算の拡充も実施されており、採用時の給与設定に際しても参考となる。

根拠条文: 指定基準省令第186条(就労継続支援A型)、第199条(就労継続支援B型。同条が第186条を準用する構成で、B型固有の人員条文は置かれていない)、第175条(就労移行支援)。

【条番号に注意】 就労継続支援B型の人員基準を「第197条」と紹介する解説を見かけるが、第197条は就労継続支援A型についての準用規定であり、B型とは無関係である。B型の人員基準は第199条(第186条の準用)。指定権者への説明や申請書類に条番号を書く場合は、e-Gov法令検索で条文の見出しを必ず確認すること。

補足事項:
– 職業指導員と生活支援員は、それぞれ1人以上の配置が必要であり、かつ「いずれか一方は常勤」でなければならない(第186条第4項・第175条第4項)。両方を常勤にする義務はない
– 省令が定めるのは「職業指導員及び生活支援員の総数」であり、常勤換算で利用者数を10(就労移行支援は6)で除した数以上とされている。職種ごとの内訳比率までは省令で決まっていない
– 「7.5:1」「6:1」といった手厚い配置は省令上の指定基準ではなく報酬上の区分である。基本報酬のサービス費の種類(A型は(Ⅰ)7.5:1/(Ⅱ)10:1、B型は(Ⅰ)6:1/(Ⅱ)7.5:1/(Ⅵ)10:1 等)が分かれており、手厚く配置するほど高い単位数を算定できる
– サービス管理責任者は、実務経験要件(3年〜8年、業務内容により異なる)と相談支援従事者初任者研修・サービス管理責任者研修の修了が求められる

生活介護の人員配置基準

職種 配置基準
管理者 1人(常勤、兼務可)
サービス管理責任者 利用者60人以下:1人以上、61人以上:1人+40人ごとに1人追加(うち1人以上は常勤)。就労系と同じ基準(第78条第1項第3号・第7項)
看護職員・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・生活支援員(合計) 平均障害支援区分に応じ、常勤換算で以下のとおり
・4未満:利用者数÷6以上
・4以上5未満:利用者数÷5以上
・5以上:利用者数÷3以上
看護職員 1人以上
生活支援員 1人以上(うち1人以上は常勤)
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 機能訓練を行う場合に必要な数
医師 健康管理・療養上の指導に必要な数

根拠条文: 指定基準省令第78条。

【条番号・数値に注意】 生活介護の配置基準を「区分6は利用者2.5人に1人以上」と紹介する解説があるが、第78条にそのような区分はない。省令は個々の利用者の障害支援区分ではなく事業所の平均障害支援区分を用い、「4未満/4以上5未満/5以上」の3段階で区切っている。最も手厚い段階でも3:1である。2.5:1は報酬告示側の人員配置区分と混同されたものと考えられる。

設備基準(訓練室・相談室等の面積要件)

設備基準は、サービス提供に必要な物理的環境を定めたものである。

就労系・生活介護のいずれも、設けるべき設備は「訓練・作業室、相談室、洗面所、便所及び多目的室その他運営上必要な設備」で共通している。

設備 主な要件(省令の文言)
訓練・作業室 訓練又は作業に支障がない広さを有すること。訓練又は作業に必要な機械器具等を備えること※
相談室 室内における談話の漏えいを防ぐための間仕切り等を設けること
洗面所 利用者の特性に応じたものであること
便所 利用者の特性に応じたものであること
多目的室等 運営上必要な設備を備えること。相談室・多目的室は利用者の支援に支障がない場合は兼用可

根拠条文(サービスごとに条番号が異なる):

サービス 設備基準の根拠条文
就労継続支援A型 指定基準省令第188条
就労継続支援B型 第200条(第188条を準用)
就労移行支援 第179条(第81条を準用)
生活介護 第81条

【条番号に注意】 設備基準の根拠を「第186条」とする解説があるが、第186条は人員(従業者の員数)の条文であり設備とは無関係である。設備はA型が第188条、B型が第200条(第188条の準用)。

※面積基準に関する重要な注意点: 指定基準省令上、訓練・作業室の具体的な面積数値(「○㎡以上」)は明記されていない。「訓練又は作業に支障がない広さ」という抽象的な要件のみである。実際の面積は指定権者が運用する基準で決まる。

例えば東京都は、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援のいずれについても「訓練・作業室…有効面積で定員数×3㎡の広さ以上」としている(東京都福祉局障害者施策推進部「指定申請の手引き」令和8年4月版)。「有効面積」とされている点に注意が必要で、柱・什器等を除いた実際に使える面積で計算する。

「1人あたり3.3㎡(1坪)」という数字が業界の目安として広く流通しているが、これは法令にも東京都の基準にも存在しない。 全国一律の面積基準はないため、必ず事業所所在地の指定権者に確認すること。

物件選定のポイント:
1. 用途地域の確認: 都市計画法上の用途地域によっては福祉施設の設置が制限される場合がある
2. 建築基準法上の用途変更: 既存建物を転用する場合、用途変更の確認申請が必要になることがある(床面積200㎡超の場合)
3. 消防法の適合: スプリンクラー設備や自動火災報知設備等の設置義務を確認する
4. バリアフリー: 障害者が利用する施設であるため、段差の解消、車椅子対応トイレ等のアクセシビリティ確保が求められる

運営基準(個別支援計画・苦情処理等)

運営基準は、サービスの質を担保するための事業運営上のルールを定めたものである。

条番号の読み方: 指定基準省令は、同じ内容の条文を各サービスの章に繰り返し書くのではなく、先に出てくる章の条文を後の章が準用する(=そのまま当てはめる)構造をとっている。共通ルールの多くは居宅介護の章(第9条〜第42条)と療養介護の章(第57条〜第60条)に置かれているが、準用元はそこだけではない。運営規程の第89条は生活介護の章にあり、就労移行支援・B型はこれを準用する。A型だけは固有の第196条の2を持つ。

したがって就労系・生活介護の運営基準を条文で示すときは「実際の中身が書かれている条番号(準用元)」と「そのサービスに適用すると定めた条番号(準用規定)」の両方が必要になる。準用規定は、就労移行支援=第184条、就労継続支援A型=第197条、就労継続支援B型=第202条、生活介護=第93条である。

運営基準の項目 概要 中身が書かれている条番号(準用元・指定基準省令)
個別支援計画の作成 サービス管理責任者が利用者ごとにアセスメントを行い、個別支援計画を作成・交付する。モニタリングは少なくとも6ヶ月に1回以上(就労移行支援のみ3ヶ月に1回以上) 第57条〜第60条
運営規程の整備 事業の目的、運営方針、利用定員、職員の職種・員数、営業日時、利用料、苦情処理体制等を定めた運営規程を策定し掲示する 生活介護・就労移行支援・B型=第89条/A型=第196条の2(A型のみ固有の条文)
苦情処理体制 苦情受付窓口の設置、苦情処理の記録・保管。都道府県運営適正化委員会との連携体制を整備 第39条
秘密保持 従業者は、正当な理由なく業務上知り得た利用者等の秘密を漏らしてはならない。退職後も同様 第36条
事故発生時の対応 事故発生時の市町村・家族への連絡、記録の作成・保管。損害賠償すべき事態への対応方針を整備 第40条
虐待防止 虐待防止委員会の定期開催、研修の実施、虐待防止責任者の設置。未実施は基本報酬の1%減算 第40条の2
身体拘束の適正化 やむを得ず身体拘束を行う場合の記録、身体拘束廃止未実施減算の対象となる体制整備 第35条の2
業務継続計画(BCP)の策定 感染症・災害に備えた業務継続計画を策定し、研修・訓練を定期実施 第33条の2

【条番号に注意】 BCPの根拠を「第35条の3」とする解説を見かけるが、指定基準省令に第35条の3という条文は存在しない(e-Gov法令APIが「該当する要素が法令本文に存在しません」を返す)。正しくは第33条の2である。また運営規程を「第31条」「第34条」とするものもあるが、第31条は居宅介護の運営規程、第34条は衛生管理等であり、いずれも就労系・生活介護の根拠にはならない。

業務継続計画未策定減算の適用時期(厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」):

  • 減算率は、生活介護・就労移行支援・就労継続支援など訪問・通所系は所定単位数の1%、療養介護・施設入所支援・共同生活援助・宿泊型自立訓練など施設・居住系は3%
  • BCP策定の義務そのものは令和3年度改定で3年の経過措置を経て2024年4月から義務化
  • ただし減算の適用にはさらに経過措置があり、令和7年(2025年)3月31日までは「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」と「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っていれば減算されなかった。2025年4月から本則どおり減算が適用されている
  • 就労選択支援については2027年3月31日までの間、減算を適用しない経過措置がある

就労継続支援A型 vs B型の完全比較

就労継続支援は、一般企業での就労が困難な障害者に対し、就労の機会と生産活動の機会を提供するサービスである。「A型」と「B型」では制度設計が根本的に異なるため、事業所開設を検討する際には両者の違いを正確に理解する必要がある。

雇用契約の有無と最低賃金の適用

比較項目 就労継続支援A型 就労継続支援B型
雇用契約 あり(労働基準法が適用) なし(福祉的就労)
最低賃金 適用あり(都道府県の最低賃金以上を支給) 適用なし(工賃として支給)
対価の名称 賃金(給与) 工賃
全国平均額(令和6年度) 月額91,451円(前年度比105.4%) 月額24,141円(前年度比106.6%)※
利用対象者 通常の事業所に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が可能な65歳未満の者 通常の事業所に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が困難な者(年齢制限なし)
利用期間 定めなし 定めなし
労働時間の目安 1日4〜8時間程度 1日4〜6時間程度(短時間利用も多い)

根拠条文: 障害者総合支援法第5条第15項(就労継続支援)。A型・B型の区分は同項に基づく指定基準省令で規定。なお第5条第14項は就労移行支援、第13項は就労選択支援の定義であり、項番が1つずれた引用が流通しているため注意。

※平均工賃(賃金)の出典と注意点: 厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」(報告事業所22,465か所)。参考値となる令和5年度実績はA型86,752円・B型22,649円である。B型の令和5年度実績は当初23,053円と公表されたが、令和8年3月に22,649円へ修正されている(同資料の注記)。古い数値を引用している解説が残っているため、収支計画に用いる際は最新版を確認すること。なお、B型の平均工賃月額は令和6年度報酬改定で算定方法が変わり、分母が「工賃支払対象者数」から「1日当たりの平均利用者数」に改められている。

報酬体系の違い(スコア方式 vs 工賃連動)

就労継続支援A型:スコア方式

A型の基本報酬は「スコア方式」により算定される。7つの評価項目の合計点(最大200点)に基づき、報酬単位が決定する仕組みである。

スコア評価項目と配点:

評価項目 最大配点 評価の観点
I. 労働時間 80点 利用者1人あたりの1日の平均労働時間(長いほど高得点)
II. 生産活動 40点 生産活動収支が賃金総額を上回るか(収支率で評価。上回れば加点、下回れば減点あり)
III. 多様な働き方 15点 短時間勤務、在宅勤務等の多様な働き方に関する規程整備
IV. 支援力向上 15点 外部研修受講、資格取得支援等の職員のスキルアップへの取組み
V. 地域連携活動 10点 地域企業との協働、官公庁との連携活動とその公表
VI. 利用者の知識及び能力向上 20点 一般就労に向けた利用者のスキルアップ支援の取組み
VII. 経営改善計画 20点(減点方式) 改善計画書の未提出や連続提出に対する減算評価

A型の基本報酬単位数(定員20人以下):

人員配置によってサービス費の種類が分かれる。(Ⅰ)は7.5:1、(Ⅱ)は10:1の配置である。

スコア区分 サービス費(Ⅰ)7.5:1 サービス費(Ⅱ)10:1
170点以上 791単位 727単位
150点以上170点未満 733単位 671単位
130点以上150点未満 701単位 641単位
105点以上130点未満 666単位 608単位
80点以上105点未満 533単位 486単位
60点以上80点未満 419単位 382単位
60点未満 325単位 296単位

定員21人以上は単位数が下がる((Ⅰ)170点以上で定員21〜40人は710単位、41〜60人は672単位)。A型の基本報酬は2026年6月の臨時改定では改定されておらず、上記が現在の単位数である。

根拠: 障害福祉サービス費等の報酬算定構造。スコアが80点を下回ると単位数が3割以上落ちる設計になっている点に注意。

就労継続支援B型:平均工賃月額連動型

B型の基本報酬は、原則として「平均工賃月額」に応じた報酬体系となっている。利用者に支給する工賃の月額平均が高いほど、高い報酬が算定される仕組みである。2024年度改定で、従来の7.5:1配置に加え、より手厚い6:1配置の報酬体系が新設された。

2026年6月1日から、平均工賃月額の区分が8段階から14段階に細分化され、各区分の基準額が3,000円ずつ引き上げられている。 単位数そのものは据え置きだが、区分の切れ目が上がったため、工賃が変わらなくても報酬区分が1つ下がる事業所が生じる。

B型の基本報酬単位数(定員20人以下・2026年6月1日以降):

工賃連動型のサービス費は人員配置により(Ⅰ)6:1/(Ⅱ)7.5:1/(Ⅲ)10:1の3種類がある。以下は利用の多い(Ⅰ)(Ⅱ)を示す((Ⅲ)は同じ区分構成で、改定前の最上位が682単位・最下位が490単位)。

平均工賃月額 サービス費(Ⅰ)6:1 サービス費(Ⅱ)7.5:1
4万8千円以上 837単位 748単位
4万5千円以上4万8千円未満 812単位 726単位
3万8千円以上4万5千円未満 805単位 716単位
3万5千円以上3万8千円未満 781単位 695単位
3万3千円以上3万5千円未満 758単位 669単位
3万円以上3万3千円未満 738単位 649単位
2万8千円以上3万円未満 738単位 649単位
2万5千円以上2万8千円未満 726単位 637単位
2万3千円以上2万5千円未満 726単位 637単位
2万円以上2万3千円未満 705単位 618単位
1万8千円以上2万円未満 703単位 614単位
1万5千円以上1万8千円未満 682単位 596単位
1万円以上1万5千円未満 673単位 584単位
1万円未満 590単位 537単位

改定前(2026年5月31日まで)の区分は8段階で、最上位が「4万5千円以上=837単位(6:1)/748単位(7.5:1)」、以下「3万5千円以上=805/716」「3万円以上=758/669」「2万5千円以上=738/649」「2万円以上=726/637」「1万5千円以上=703/614」「1万円以上=673/584」「1万円未満=590/537」であった。

【区分数に注意】 上表で「3万円以上3万3千円未満」と「2万8千円以上3万円未満」がどちらも738単位、「2万5千円以上2万8千円未満」と「2万3千円以上2万5千円未満」がどちらも726単位と、同じ単位数が2行続く箇所がある。これは誤記ではなく、後述する配慮措置②(区分が下がる事業所の減収を3%程度に抑えるための中間的な区分の新設)そのものである。厚生労働省の説明資料には、この同一単価の隣接区分を1つのマスにまとめて描いたイメージ図が載っており、それを数えると12区分に見える。法的な正本は告示であり、告示は㈠から(十四)までの14項目を列挙している。 自事業所の区分を判定するときは告示の区切りで見ること。

根拠: 令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号(障害福祉サービス費等の報酬算定構造の一部改正)第14「就労継続支援B型」、および障害福祉サービス費等の報酬算定構造。

なお、B型にはもう一つの報酬体系として「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価するサービス費も存在する。定員20人以下で(Ⅳ)6:1が584単位/日、(Ⅴ)7.5:1が530単位/日、(Ⅵ)10:1が484単位/日である。新規開設の事業所や、工賃実績がまだない初年度の事業所はこちらを選択することが多い。

ただし、後述する臨時改定により、2026年6月1日以降に新規指定を受けるB型事業所は所定単位数の1000分の984(▲1.6%)が適用されるため、収支計画の策定時には減額後の単価で試算する必要がある。

経営リスクの比較

リスク項目 A型 B型
賃金支払リスク 最低賃金の支払義務あり。賃金の支払いに要する額は原則として自立支援給付(訓練等給付費)をもって充ててはならない(指定基準省令第192条第6項。ただし災害その他やむを得ない理由がある場合を除く)。生産活動収支が賃金総額を下回らないようにする義務も別途ある(同条第2項) 工賃に最低賃金の適用なし。ただし事業所は「工賃向上計画」の策定が求められる
利用者確保 雇用契約を結ぶため利用者のハードルは比較的高い 雇用契約不要のため利用者確保は相対的に容易
報酬変動リスク スコア方式のため、生産活動収支の悪化が直接報酬減に直結 平均工賃月額が下がると基本報酬が下がる
行政指導リスク 生産活動収支が赤字の場合、経営改善計画の提出が義務。未提出で減算 短時間利用減算あり(4時間未満利用者が5割以上で30%減算)
労務管理の負担 労働基準法・労働保険・社会保険の完全適用 雇用契約なしのため労務管理負担は相対的に小さい
廃業・倒産リスク 近年、A型事業所の大量閉鎖が社会問題化。厚生労働省も監視強化 B型は比較的安定しているが、工賃水準の低い事業所は報酬単価引き下げの影響を受ける
新規開設への影響 新規事業所向けの特別な報酬減額はなし(A型は対象外) 2026年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は所定単位数の1000分の984(▲1.6%)

新規指定申請の手続きフロー

事前相談から指定までのスケジュール

新規指定申請は、一般的に以下のフローで進行する。指定日は原則として毎月1日付け(自治体によっては4月・10月等の年2回に限定される場合もある)であり、申請から指定までの標準的な期間は3〜6ヶ月である。

【STEP 1】 事前相談(指定希望日の4〜6ヶ月前)
    ↓
  ※指定権者の障害福祉課等に事業計画を持参して相談
  ※自治体によっては「事前協議」として正式な手続きが必要
  ※法人格は指定申請の時点で必要。事前相談は法人設立前でも受け付ける自治体が多いが、
    設立予定の法人形態と定款の事業目的は決めてから臨むこと
    ↓
【STEP 2】 法人設立(指定希望日の3〜5ヶ月前までに完了させる)
    ↓
  ※株式会社・合同会社・NPO法人・社会福祉法人等を設立
  ※設立手続きそのものに1〜2ヶ月かかるため、STEP 1 と並行して着手する
  ※定款の事業目的に「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業」を明記
    ↓
【STEP 3】 物件確保・内装工事(指定希望日の3〜4ヶ月前)
    ↓
  ※設備基準を満たす物件を確保
  ※建築基準法上の用途変更・消防法の確認
    ↓
【STEP 4】 指定申請書類の提出(指定希望日の2〜3ヶ月前)
    ↓
  ※必要書類一式を指定権者に提出
    ↓
【STEP 5】 書類審査・現地確認(提出後1〜2ヶ月)
    ↓
  ※1次審査 → 補正指示 → 2次審査 → 現地確認
  ※補正で不備が解消しない場合や、現地確認で設備基準の未充足が判明した場合は、
    希望した指定日に間に合わず翌月以降にずれ込む。不足が重大なら不交付となり再申請になる
    ↓
【STEP 6】 指定通知・事業開始

開設時期の目安について: 上記の月数は法令が定めたものではなく、実務上の一般的な目安である。標準処理期間・事前協議の要否・指定日の設定(毎月1日か年2回か)は自治体ごとに異なるため、必ず STEP 1 の事前相談で指定権者に実際のスケジュールを確認すること。

根拠条文: 障害者総合支援法第36条〜第38条。

重要(臨時改定の影響): 2026年6月1日以降に新規指定を受ける就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)、児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所は、基本報酬が減額される。指定日が2026年5月31日以前か6月1日以降かで報酬水準が異なるため、開設スケジュールの見極めが重要である。減額率は「臨時報酬改定」セクションを参照。グループホームの開設については障害者グループホーム開設ガイド2026で人員基準・設備基準を含めて解説している。

申請に必要な書類チェックリスト

以下は、一般的に求められる書類の一覧である。自治体ごとに様式や追加書類が異なるため、必ず指定権者の公式サイトで最新の様式を入手すること。

法人関係書類:
– [ ] 法人の定款(事業目的に障害福祉サービスの記載があること)
– [ ] 法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
– [ ] 役員名簿及び役員の経歴書
– [ ] 役員の誓約書(欠格事由に該当しないことの誓約)

事業所関係書類:
– [ ] 指定申請書(指定権者所定の様式)
– [ ] 事業所の平面図(各室の面積・用途を明記)
– [ ] 事業所の写真(外観、各室の内部、設備等)
– [ ] 建物の賃貸借契約書の写し(自己所有の場合は登記事項証明書)
– [ ] 建築基準法の検査済証の写し
– [ ] 消防設備等の設置に関する書類(消防法令適合通知書等)

人員関係書類:
– [ ] 管理者の経歴書
– [ ] サービス管理責任者の実務経験証明書、研修修了証の写し
– [ ] 職業指導員・生活支援員等の資格証・経歴書
– [ ] 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
– [ ] 組織体制図

運営関係書類:
– [ ] 運営規程
– [ ] 利用者との契約書の案(重要事項説明書含む)
– [ ] 苦情処理体制の概要
– [ ] 個別支援計画の作成手順に関する書類
– [ ] 業務継続計画(BCP)
– [ ] 虐待防止に関する体制の概要
– [ ] 協力医療機関との契約書(又は協力の承諾書)

財務関係書類:
– [ ] 事業計画書(収支計画含む)
– [ ] 損害賠償保険の加入証明書

自治体ごとのローカルルールへの対応

指定基準省令は全国一律のルールであるが、実際の運用においては自治体独自の上乗せ基準やローカルルールが存在する。以下に代表的な例を挙げる。

項目 ローカルルールの例
事前協議の義務化 大阪府・大阪市等では正式な事前協議手続きが必須。協議完了から申請受付まで一定期間が必要
訓練・作業室の面積基準 省令上は「支障がない広さ」と規定されるのみだが、自治体が独自基準を設定(東京都は有効面積で定員数×3㎡以上)
定員上限の制限 地域の需給バランスを考慮し、就労継続支援A型の新規指定に定員上限を設ける自治体がある
指定時研修の受講義務 指定通知後に管理者・サービス管理責任者に対する研修受講を義務付ける自治体がある
総量規制 一部自治体では障害福祉計画に基づく総量規制(=その市区町村にサービスがどれだけ必要かを計画で見積もり、必要量に達していれば新しい事業所を増やさない仕組み)を実施している。基準を満たしていても指定が受けられないことがあるため、事前相談の最初に「この地域はいま指定を受けられるか」を確認すること

対策: 事前相談の段階で、指定権者に対し「当自治体独自の基準・手続きはあるか」を明確に確認することが重要である。


臨時報酬改定(+1.84%)と最新の対応事項

障害福祉サービス等報酬は通常3年に1度の改定サイクルであるが、物価高騰と人材確保の緊急性を踏まえ、2026年6月1日に臨時改定(+1.84%)が施行された。改定率は上野厚生労働大臣が令和7年12月24日の記者会見で「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定については、改定率をプラス1.84%とします。これは、障害福祉従事者について月1.0万円、福祉・介護職員について定期昇給込みで月最大1.9万円の賃上げが可能な水準です」と述べたものである。これは定期改定の前倒しではなく、通常の改定サイクルの間に差し込まれた臨時の改定である。前回の定期改定は令和6年度(2024年度)、次回は令和9年度(2027年度)で、令和9年度の定期改定は予定どおり別途行われる。今回の減額措置が「令和9年度報酬改定までの間」という期限つきで設計されているのは、そのためである。臨時改定の目的は、(1) 福祉・介護職員の賃上げの早期実行、(2) 物価高で悪化する事業所経営への手当て、(3) 急増する制度費用への「メリハリ付け」の3点である。

改定の全体像と施行スケジュール

時期 内容
2025年12月〜2026年5月 令和7年度補正予算による「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」で、全サービスの障害福祉職員に月額1万円の賃上げを実施(一時的措置)
2026年4月 就労移行支援体制加算の要件見直し(年間就職者数の上限設定等)が先行施行
2026年6月1日 臨時報酬改定の本体が施行。処遇改善加算の拡充と、新規指定事業所の基本報酬減額が同時に開始

処遇改善加算の拡充

臨時改定の最大の柱は、福祉・介護職員の処遇改善(ベースアップ)である。障害福祉分野では月額1万円を基本とした賃上げが行われ、事業所の取組み状況に応じた上乗せにより最大月額1万9,000円の引上げが実施されている。

主な変更点:

項目 内容
賃上げの規模 月額1万円を基本に、取組み等により上乗せ(最大月額1万9,000円)
施行日 2026年6月1日(6月算定分から適用)
加算率の引上げ 福祉・介護職員等処遇改善加算I〜IVの加算率を引上げ。加算I・IIはそれぞれ「イ」「ロ」の2区分に細分化された
対象職員の拡大 加算の対象を「福祉・介護職員」から「障害福祉従事者」に拡大(加算率引上げの形で反映)
対象サービスの拡大 これまで対象外だった計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)に処遇改善加算を新設(加算率5.1%)
要件の経過措置 生産性向上・協働化の取組みが新たに求められるが、2026年度は誓約書の提出で算定可能
キャリアパス・職場環境要件 2026年度に限り誓約による算定が認められる経過措置あり

【よくある混同】 「訪問看護1.8%・訪問リハビリテーション1.5%・居宅介護支援2.1%への対象拡大」は介護保険(令和8年度介護報酬改定)の内容であり、障害福祉サービス等報酬の改定内容ではない。訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援はいずれも介護保険上のサービスで、障害福祉サービスの体系には存在しない。障害福祉側で新たに対象となったのは相談支援系の4サービスである。

補正予算による賃上げ先行措置: 2026年6月の臨時改定に先立ち、2025年12月から2026年5月までの半年間、令和7年度補正予算(439億円)による「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」が実施されている。全サービスの障害福祉職員を対象に月額1万円の賃上げを支援するものである。なお、介護分野ではさらに月額9,000円の上乗せメニューがあるのに対し、障害福祉分野では上乗せ分がない。厚生労働省は、障害福祉分野の平均給与額の伸び(5.4%)が介護分野(2%)を上回っていることを理由として説明している。

新規指定事業所の基本報酬減額(2026年6月1日〜)

臨時改定のもう一つの柱として、新規指定事業所に限定した基本報酬の減額が導入された。厚生労働省は趣旨を「障害福祉サービス等に係る総費用が増加し、また、人材確保が喫緊かつ重要な課題となっている中、一定の収支差率を確保しつつ、事業所数や利用者数の伸びが継続している状況である。このため、サービスの質を担保しつつ、制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限り、臨時応急的な見直しを実施する」と説明している(第53回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料2「応急的な報酬単価の特例」)。適用は令和9年度報酬改定までの間とされている。

対象サービスと選定基準

以下の3要件を全て満たすサービスが対象となる。

  1. 年間総費用額全体に占める割合が1%以上
  2. 令和6年度の収支差率が5%以上(収支差率=収入から支出を引いた差額が収入に占める割合。事業としての利益率にあたる指標で、厚生労働省の経営実態調査でサービス種別ごとに算出される)
  3. 事業所の伸び率が過去3年間5%以上

なお、この3要件はサービス種別を選ぶための基準であって、個々の事業所の収支を見るものではない。自事業所の収支差率が5%未満であっても、B型・グループホーム・児童発達支援・放課後等デイサービスとして新規指定を受ければ減額の対象になる。

上記の基準に該当した結果、以下の4サービスが対象となった。減額率はサービスごとに異なる。

対象サービス 所定単位数に代えて算定する単位数 実質の減額率
就労継続支援B型 1000分の984 ▲1.6%
共同生活援助(グループホーム)(介護サービス包括型・日中サービス支援型) 1000分の972 ▲2.8%
児童発達支援 1000分の988 ▲1.2%
放課後等デイサービス 1000分の982 ▲1.8%

根拠: 就労継続支援B型(1000分の984)と共同生活援助(1000分の972)は令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号の本文で確認できる(B型は第14の1注17、共同生活援助は第15の1注10・注13)。児童発達支援(988)・放課後等デイサービス(982)は障害児通所給付費に係る別告示で定められており、本記事では第53回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料2「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」に拠っている。障害児通所支援の事業者は、こども家庭庁が公布した該当告示で確認すること。

適用の条件と例外

  • 適用対象: 2026年6月1日以降に新規に指定を受けた事業所
  • 既存事業所: 2026年5月31日までに指定を受けている事業所は減額の対象外(従来の基本報酬が維持される)
  • 適用期間: 令和9年度報酬改定までの間の時限的措置
  • 事業承継: 合併・分割・事業譲渡に伴う指定であって、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同様の扱いとなり減額されない
  • 指定のスケジュール: 厚生労働省は指定権者に対し「通常の事前相談・審査スケジュールや標準処理期間に従って処理することが望ましい」としている(駆け込み指定を想定した運用変更は行われない)
  • 地域による除外: 告示は「別にこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める地域に所在する事業所」および「都道府県知事が地域に特に必要であるとして指定する事業所であることが客観的に明らかであるもの」を除外している。後者は自治体が公募等により必要と認めて指定した事業所を想定した規定であり、該当するかどうかは指定権者に確認が必要
  • 月単位の除外: 就労継続支援B型では、その月に視覚・聴覚言語障害者支援体制加算または高次脳機能障害者支援体制加算を1日以上算定している事業所、および医療連携体制加算(Ⅳ)を1日以上算定している利用者については、当該月は減額されず所定単位数を算定する(重度障害者を受け入れている事業所への配慮)

就労継続支援B型の追加見直しと3つの配慮措置

B型については、上記の新規事業所向け減額に加え、既存事業所も含む基本報酬区分の再編が行われた。従来の8区分が14区分に細分化され、各区分の平均工賃月額の基準額が3,000円引き上げられた(最上位は「4万5千円以上」→「4万8千円以上」、以下同様)。この3,000円という幅は、平均工賃月額の上昇幅(約6千円)の2分の1に留めたものである。ここで注意したいのは、この約6千円の上昇が工賃そのものの実質的な伸びを意味しないことである。一次資料は「平均工賃月額の算定方式の見直しにより、平均工賃月額が約6千円上昇し、想定以上に高い報酬区分の事業所の割合が増加したことに対応し」と述べており(第53回検討チーム資料2 7ページ)、令和6年度改定で算定式の分母を「工賃支払対象者数」から「平均利用者数」に変えたことによる、いわば計算上の押し上げが原因である。基準額の引上げは、この計算方式の変更で上振れした区分判定を実態に戻すための調整であって、工賃が上がったことへの報酬引下げではない。

単位数自体は据え置かれているため、工賃が横ばいのままだと区分が1つ下がって減収になりうる。ただし、厚生労働省は減収を抑えるために次の3つの配慮措置を講じている(第53回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料2「(参考)就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて(イメージ)」)。

  1. 令和6年度改定の前後で区分が上がっていない事業所は、この見直しの適用対象外
  2. 見直しにより区分が下がる場合も、基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう中間的な区分を新設(前掲の表で同じ単位数が2行続いている箇所——「3万円以上3万3千円未満」と「2万8千円以上3万円未満」がともに738単位、「2万5千円以上2万8千円未満」と「2万3千円以上2万5千円未満」がともに726単位——が、この緩和措置で新設された中間区分である)
  3. 令和6年度改定で単価を引き下げた区分七と八の間の基準額は据え置き(1万円のライン)

つまり「工賃が変わらないだけで大きく減収する」構造にはなっていない。自事業所が①の適用対象外に当たるかどうかは、令和6年度改定前後の区分を確認したうえで指定権者に照会すること。具体的な単位数は前掲の「B型の基本報酬単位数」表を参照。

現行の報酬体系の基盤(令和6年度改定・+1.12%)

現在適用されている報酬体系の基盤となったのは、令和6年度(2024年度)の改定である。全体で+1.12%の引き上げが行われ、以下の主要な変更が現在も適用されている。

改定項目 内容 事業所への影響
処遇改善加算の一本化 従来の3加算を「福祉・介護職員等処遇改善加算」に統合(2024年6月施行) 加算率はI〜IVの4段階。2026年6月の臨時改定で引き上げられ、加算I・IIはイ・ロに細分化された(次節の表を参照)
就労継続支援A型のスコア方式見直し 評価項目が5項目から7項目に拡大 一般就労移行に向けた取組みが評価対象に。改善計画未提出は減算あり
就労継続支援B型の6:1配置新設 従来の7.5:1配置に加え、手厚い6:1配置の報酬体系を新設 6:1配置で高い報酬単位を算定可能。ただし人件費増加とのバランスが課題
B型短時間利用減算の新設 4時間未満利用者が全体の5割以上の場合、所定単位数の70%を算定(=30%減算)。ただし、個別支援計画に一般就労等に向けた利用時間延長の支援を位置づけて実際に実施した利用者と、短時間利用にやむを得ない理由がある利用者は、割合の計算から除外される 短時間利用が多い事業所は経営に大きな打撃。「5割超」ではなく「5割以上」なので、ちょうど50%でも減算対象になる
BCP未策定減算・虐待防止措置未実施減算 それぞれ基本報酬の1%減算 BCP策定・虐待防止委員会設置は完全義務
地域移行支援の強化 施設入所者全員の意向確認を義務化 入所施設・グループホームは地域移行への取組み強化が必要

加算の取得戦略

新規開設時から計画的に加算を取得することは、経営安定化の重要な要素である。以下に、取得優先度の高い加算を整理する。

取得を最優先すべき加算

加算名 単位数(日額) 取得のポイント
福祉・介護職員等処遇改善加算I 加算を除く総報酬単位数に加算率を乗じる(サービス別の加算率は下表) 月額賃金改善要件、キャリアパス要件、職場環境等要件の全てを満たすこと。2026年度は誓約書による要件充足の経過措置あり
福祉専門職員配置等加算I 15単位/日((Ⅱ)10単位、(Ⅲ)6単位) 常勤の直接処遇職員のうち、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師の有資格者が35%以上
送迎加算 (Ⅰ)片道21単位/(Ⅱ)片道10単位。同一敷地内の送迎は(Ⅰ)×70/100 送迎を実施する場合に算定可能。利用者確保にも直結する重要な加算。なお生活介護では(Ⅰ)に28単位を上乗せする区分があるが、就労系にはこの上乗せはない

福祉・介護職員等処遇改善加算の加算率(2026年6月1日〜)

サービス Iイ Iロ IIイ IIロ III IV
就労移行支援 11.5% 11.9% 11.3% 11.7% 9.8% 8.1%
就労継続支援A型 10.8% 11.2% 10.6% 11.0% 9.1% 7.5%
就労継続支援B型 10.5% 10.9% 10.3% 10.7% 8.8% 7.4%
生活介護 9.3% 9.7% 9.2% 9.6% 7.9% 6.7%
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型) 16.3% 16.9% 16.0% 16.6% 14.4% 12.1%

改定前(2026年5月31日まで)の加算Iは、就労移行支援10.3%、就労継続支援A型9.6%、就労継続支援B型9.3%、生活介護8.1%、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)14.7%であった(厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」5ページの加算率表)。臨時改定でいずれも1.2〜1.6ポイント引き上げられている。

根拠: 令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号(各サービスの「福祉・介護職員等処遇改善加算」の項)、第53回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料2。加算率は処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に乗じる。

業務改善に伴い取得可能な加算

以下は単位数が定員区分・平均工賃月額・サービス費の種類によって変動する加算である。単一の数値では表せないため、自事業所の条件に対応する単位数は必ず「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」で確認すること。

加算名 単位数の決まり方 取得のポイント
目標工賃達成指導員配置加算(B型) 定員区分による(定員20人以下45単位/日、21〜40人40単位、41〜60人38単位、61〜80人37単位、81人以上36単位) 目標工賃達成指導員を常勤で配置。工賃向上に直結する取組み。別途「目標工賃達成加算」10単位/日もある
就労移行支援体制加算(A型・B型) 定員区分・平均工賃月額・サービス費の種類の組合せで決まる(B型サービス費(Ⅱ)定員20人以下なら45〜90単位/日の範囲)。さらに前年度に6か月以上就労継続した人数を乗じる 利用者が一般企業に就職し6か月以上継続した実績に基づく加算。2026年4月から算定可能な就職者数に上限(定員数まで)が設定された。なお、受入れ企業側では2026年7月に法定雇用率が2.7%に引上げられたため、一般就労の受け皿拡大が期待される
医療連携体制加算 看護の提供時間と医療的ケアの要否で(Ⅰ)〜(Ⅵ)に分かれる。32単位〜800単位/日 医療的ケアを必要としない利用者への看護は提供時間に応じ32/63/125単位、医療的ケアを必要とする利用者は対象人数に応じ800/500/400単位
食事提供体制加算 就労系は30単位/日(生活介護は(Ⅰ)48単位/(Ⅱ)30単位) 低所得者等に食事を提供する場合に算定。経過措置が延長中

今すぐやること:障害福祉サービス事業所開設チェックリスト

最優先:すぐに対応

  • 指定権者の確認と事前相談の予約(代表者・管理者候補):事業所所在地の指定権者(都道府県・政令指定都市・中核市)を確認し、事前相談の日程を確保。自治体によっては事前協議が正式手続きとして必須
  • サービス管理責任者の確保(人事担当):実務経験要件を満たす人材の採用活動を開始。研修は年1〜2回開催のため、次回開催日程を確認し受講申込みを完了させる
  • 法人定款の事業目的の確認・変更(代表者):「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業」が定款に明記されているか確認。未記載の場合は定款変更手続きを開始

重要:指定希望日の3ヶ月前までに

  • 物件の選定と事前確認(管理者候補):訓練・作業室の面積は省令に数値規定がないため、指定権者が運用する基準(東京都は有効面積で定員数×3㎡以上)を事前相談で確認。あわせて建築基準法の用途変更(床面積200㎡超)、消防法適合、バリアフリー対応を物件内見段階で確認する。賃貸借契約前に指定権者の事前協議を受ける
  • BCP(業務継続計画)の策定(管理者・サービス管理責任者):感染症・災害BCPを策定。未策定減算の経過措置は2025年3月末で終了しており、就労系・生活介護は基本報酬1%減算(施設・居住系は3%)。開設時から必須
  • 処遇改善加算の届出書類の準備(管理者・経理担当):賃金規程・キャリアパス規程・研修計画を指定申請書類と並行して作成し、加算Iの取得を目指す

中期:開設後3ヶ月以内

  • 臨時改定への対応確認(管理者・経理担当):2026年6月1日施行の臨時改定(+1.84%)に対応した加算率の届出を指定権者に提出。加算I・IIが「イ」「ロ」に分かれたため、どちらで届け出るかを判断する。新規指定事業所の基本報酬減額(B型1000分の984・グループホーム972・児発988・放デイ982)の該当有無を確認し、収支計画を更新
  • 実地指導(運営指導)への準備体制の構築(サービス管理責任者):個別支援計画の作成・モニタリング記録、人員配置の常勤換算記録、利用者への重要事項説明の同意書等、指導時に確認される書類の管理体制を整備

開業後の運営で押さえるべきポイント(FAQ含む)

運営上の重要チェックポイント

  1. 実地指導(運営指導)への備え: 指定後は原則として3年に1回以上、指定権者による実地指導が行われる。個別支援計画の作成状況、人員配置の遵守状況、記録の保管等が重点的に確認される
  2. 指定の更新: 障害福祉サービスの指定の有効期間は6年間(障害者総合支援法第41条第1項)。更新申請を怠ると指定が失効するため、期限管理を徹底すること
  3. 変更届の提出: 事業所名称、所在地その他主務省令で定める事項に変更があったとき、または休止した事業を再開したときは、10日以内に都道府県知事へ届出が必要(障害者総合支援法第46条第1項)。廃止・休止は、その日の1か月前までに届出(同条第2項)。なお「指定基準省令第49条」を根拠として挙げる解説があるが、同条は療養介護の基本方針を定めた条文であり変更届とは無関係である
  4. 国保連への請求: サービス提供月の翌月10日までに国民健康保険団体連合会(国保連)に報酬を請求する。請求ソフトの導入と正確な実績記録の体制を整備すること
  5. 情報公表制度への対応: 障害福祉サービス等情報公表制度に基づき、事業所の情報を公表する義務がある(障害者総合支援法第76条の3)
  6. 処遇改善加算の届出管理: 2026年6月の臨時改定で加算率が引き上げられたため、新しい加算率に対応した届出の提出・賃金改善計画の更新が必要となる。指定権者が定める届出期限を確認し、漏れなく対応すること
  7. 業務継続計画(BCP)の維持管理: 策定して終わりではなく、従業者への周知、研修・訓練の定期実施、定期的な見直しまでが省令上の義務(第33条の2第2項・第3項)。運営指導では研修・訓練の記録が確認される

FAQ(よくある質問)

A

障害福祉サービス事業所の指定を受けるためには法人格が必要であるが、法人の種類に制限はない(障害者総合支援法第36条第3項第1号)。株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人のいずれでも申請可能である。ただし、社会福祉法人は施設整備費補助金や税制優遇の面で有利な場合がある一方、設立手続きが煩雑で時間がかかる。実務上は株式会社や合同会社で開設し、事業拡大後に社会福祉法人への移行を検討する事業者も多い。

A

サービス管理責任者は実務経験要件(障害者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野における直接支援・相談支援等の実務経験が3年〜8年以上)と、相談支援従事者初任者研修(講義部分)及びサービス管理責任者研修の修了が必要である。確保策としては、(1) 自社職員に計画的に研修を受講させる、(2) 福祉人材バンクや専門求人サイトを活用する、(3) 開設準備段階から早期に採用活動を開始する(研修は年1〜2回の開催であるため、タイミングを逃すと指定日が大幅に遅れる)ことが挙げられる。

A

就労継続支援A型においては、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額が、利用者に支払う賃金の総額以上であることが求められている(指定基準省令第192条第2項)。生産活動収支が赤字、すなわち賃金総額を下回る場合は、経営改善計画の提出が必要となる。スコア方式において、経営改善計画の未提出や数年連続での提出に対するスコア減算が設定されている。継続的に改善が見られない場合は、指定取消しに至る可能性もある。

A

初期費用は事業所の規模や立地によって大きく異なるが、就労継続支援B型(定員20名)を例にした概算は以下のとおりである。

費目 概算金額
法人設立費用(株式会社の場合) 約25万〜30万円
物件取得費用(保証金・前家賃等) 約100万〜300万円
内装工事・設備費 約100万〜500万円
備品・什器購入費 約50万〜100万円
人件費(開設前2〜3ヶ月分) 約200万〜400万円
その他(保険料、広告費等) 約50万〜100万円
合計 約525万〜1,430万円

なお、自治体によっては障害福祉サービス事業所の開設に対する補助金・助成金制度を設けている場合がある。また、日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金」等の融資制度も活用可能である。補助金・助成金の申請実務や採択率を高めるポイントについては、補助金・交付金申請ガイドも参照されたい。

A

指定取消し事由は障害者総合支援法第50条第1項に13号にわたって列挙されている。主な号を条文の文言で示すと以下のとおりである。

  • 従業者の知識・技能・人員について、都道府県の条例で定める基準を満たすことができなくなったとき(第4号)
  • 設備及び運営に関する都道府県の条例で定める基準に従って適正な事業運営をすることができなくなったとき(第5号)
  • 介護給付費・訓練等給付費・療養介護医療費の請求に関し不正があったとき(第6号)
  • 不正の手段により指定を受けたとき(第9号)
  • この法律その他保健医療・福祉に関する法律、これらに基づく命令・処分に違反したとき(第10号)
  • 障害福祉サービスに関し不正又は著しく不当な行為をしたとき(第11号)

虐待を名指しした号は置かれていない。 虐待事案は第10号(障害者虐待防止法違反等)または第11号(著しく不当な行為)に該当するものとして処理される。

指定取消しを受けた場合、原則として取消しの日から5年間は再指定を受けることができない(同法第36条第3項第6号)。また、不正請求があった場合は、不正に受領した額の返還に加え、その返還額の40%に相当する加算金が課される(同法第8条第2項)。

A

可能である。グループホームの利用者が日中に就労継続支援や生活介護等の日中活動系サービスを利用する「日中分離型」の運営は一般的である。ただし、同一建物内で両サービスを提供する場合は、それぞれの設備基準を独立して満たす必要があり、スタッフの兼務についても制限がある。指定申請は各サービスごとに個別に行う。

A

現在、障害福祉分野の処遇改善加算は「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化されている(2024年6月施行)。旧3加算(処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算)の取得状況に基づく加算率を維持できる経過措置は令和6年度末=2025年3月31日で終了しており、2025年度からは新加算I〜IVの要件で算定する必要がある。

2026年6月1日の臨時改定で加算率が引き上げられ、加算I・IIはそれぞれ「イ」「ロ」に細分化された(加算率は前掲の表を参照)。事業所に求められる対応は以下のとおりである。

  1. 新加算率への対応: 臨時改定で引き上げられた加算率に応じた賃金改善計画を策定する
  2. 賃金改善の実施: 加算額の2分の1以上を基本給又は毎月決まって支払われる手当の引上げに充てること
  3. キャリアパス要件の整備: 賃金体系・昇給条件の明文化、研修計画の策定・実施(2026年度は誓約書で算定可能な経過措置あり)
  4. 職場環境等要件の充足: 6つの区分から指定数以上の取組みを選択し実施・公表(同じく経過措置あり)
  5. 生産性向上・協働化の取組み: 臨時改定で新たに求められる要件だが、2026年度は誓約書の提出で算定可能
  6. 届出の提出: 指定権者に対し、新加算率に対応した届出を所定の期限までに提出
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臨時改定により、2026年6月1日以降に新規指定を受けた就労継続支援B型(1000分の984=▲1.6%)、共同生活援助の介護サービス包括型・日中サービス支援型(1000分の972=▲2.8%)、児童発達支援(1000分の988=▲1.2%)、放課後等デイサービス(1000分の982=▲1.8%)の4サービスは、基本報酬が減額される。これは令和9年度報酬改定までの間の時限的措置であり、既存事業所には適用されない。合併・分割・事業譲渡で実質的に継続運営されると認められる場合も既存事業所扱いとなる。

対策として考えられるポイント:

  1. 処遇改善加算の上位区分を取得する: 基本報酬の減額分を処遇改善加算の拡充で補うことが可能。B型なら加算Iイで10.5%、Iロで10.9%であり、減額分(▲1.6%)を上回る
  2. 重度障害者の受入れ体制を整える: B型では、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算または高次脳機能障害者支援体制加算を1日以上算定した月、および医療連携体制加算(Ⅳ)を1日以上算定した利用者については、その月は減額されない
  3. 地域による除外の確認: 告示が定める地域に所在する事業所、および都道府県知事が地域に特に必要であるとして指定した事業所は対象外となる。該当しうる場合は指定権者に確認すること
  4. 収支計画の見直し: 減額後の報酬単価で収支シミュレーションを行い、加算取得や利用者確保の計画を精緻化する
  5. 令和9年度(2027年度)の本格改定を見据える: 今回の減額は令和9年度報酬改定までの時限的措置であり、同改定で改めて基本報酬が検討される。中長期的な事業計画を立てること

臨時改定の施行後に確認すべきこと(2026年6月1日〜)

告示で確定した改定内容

厚生労働省・こども家庭庁は障害福祉サービス等報酬の臨時改定(2026年6月1日施行)に係る告示を公布し、処遇改善加算の引上げ幅と新規指定事業所の基本報酬減額率が確定した。

処遇改善加算Iの改定前後(加算率)

サービス種別 改定前(〜2026年5月) Iイ(2026年6月〜) Iロ(2026年6月〜) 月額賃上げ目安
就労移行支援 10.3% 11.5% 11.9% 月額1万円を基本(最大1万9千円)
就労継続支援A型 9.6% 10.8% 11.2% 同上
就労継続支援B型 9.3% 10.5% 10.9% 同上
生活介護 8.1% 9.3% 9.7% 同上
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型) 14.7% 16.3% 16.9% 同上

加算I・IIが「イ」「ロ」の2区分に分かれ、ロの方が高く設定されている。イとロの差はサービス種別ごとに違う。 上表の4サービス(就労移行支援・A型・B型・生活介護)はいずれも0.4ポイント差だが、共同生活援助は16.3%→16.9%で0.6ポイント差、施設入所支援は18.6%→19.3%で0.7ポイント差、同行援護は44.6%→45.6%で1.0ポイント差である(第53回検討チーム資料2の加算率表)。自事業所のサービス種別の行を告示で確認すること。ロの算定に必要な要件(令和8年度特例要件=生産性向上・協働化の取組み等)の正確な文言も、厚生労働大臣が定める基準の告示で確認すること。

就労移行支援体制加算の要件見直し(2026年4月先行施行)

就労移行支援体制加算について、2026年4月から算定可能な就職者数に上限(定員数まで)が設定された。これは、同一利用者がA型事業所と一般企業の間で離転職を繰り返し、その都度加算を取得するという制度趣旨に反した算定事例への対応措置である。

実務上の対応

  • 2026年3月末時点で就労移行支援体制加算を算定している事業所は、4月から上限設定が適用されるため、利用者ごとの就職履歴と加算算定状況を確認する
  • 上限を超えた就職者数に相当する加算は4月以降算定不可となるため、収支計画の見直しが必要

旧3加算からの移行(経過措置は2025年3月末で終了済み)

処遇改善加算(旧3加算:福祉・介護職員処遇改善加算・福祉・介護職員等特定処遇改善加算・福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算)は、令和6年度改定により2024年6月から「福祉・介護職員等処遇改善加算」(I〜IVの4段階)へ一本化された。

このとき、令和6年度末(2025年3月31日)までの経過措置期間が置かれ、期間中は旧3加算の取得状況に基づく加算率を維持したまま改定による引上げを受けられる激変緩和措置がとられていた。厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」の原文は次のとおりである。

令和6年度末までの経過措置期間を設け、経過措置期間中は、現行の3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、今般の改定による加算率の引上げを受けることができる等の激変緩和措置を講じる。

この経過措置は2025年3月末で終了しており、2025年度からは新加算I〜IVの要件で算定する必要がある。 さらに2026年6月からは加算I・IIがイ/ロに細分化され加算率が引き上げられているため、届出内容が現行の区分に対応しているか確認すること。


本記事のまとめ: 障害福祉サービス事業所の開設には、(1) 指定基準省令が定める人員・設備・運営の3基準の充足、(2) 指定権者への申請手続き、(3) 報酬体系の理解と加算取得戦略の立案が不可欠である。現在の報酬体系は2024年度改定(+1.12%)を基盤としつつ、2026年6月1日施行の臨時改定(+1.84%)が上乗せされている。処遇改善加算は加算I・IIがイ/ロに細分化されたうえで引き上げられ(就労継続支援B型の加算Iは9.3%→10.5%/10.9%)、同時に新規指定事業所の基本報酬減額(B型1000分の984、グループホーム972、児童発達支援988、放課後等デイサービス982)が始まった。就労継続支援B型ではさらに平均工賃月額の区分が8段階から14段階に細分化され、各区分の基準額が3,000円引き上げられている。既存事業所は加算率の届出対応を、新規開設を検討する事業者は減額後の単価と初年度の下位区分を前提とした収支計画の精査を要する。条文の条番号は誤引用が広く流通しているため、指定権者への説明や申請書類に用いる際は必ずe-Gov法令検索で見出しを確認すること。


参考法令・一次資料

※最新の告示・通知は各機関の公式サイトで確認してください。


本記事は行政書士・福祉事業コンサルタントの実務知見に基づき作成しています。法令の解釈や運用は自治体によって異なる場合があるため、具体的な申請にあたっては必ず指定権者の窓口で最新情報をご確認ください。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。