フリーランス保護法2026年|発注者7義務・違反事例・契約書対応

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フリーランス保護法2026年|発注者7義務・違反事例・契約書対応
目次

最終更新日: 2026年2月

2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス保護法)は、フリーランスとの業務委託取引に関する初の包括的な法規制である。施行から1年余りが経過し、公正取引委員会は445件の執行措置(うち4件の正式勧告)を実施している。小学館や島村楽器に対する勧告事例は、書面交付義務違反や不当な利益提供要請が発注企業にとって重大なコンプライアンスリスクであることを明確に示した。本記事では、発注企業が遵守すべき7つの義務、施行後の違反事例から学ぶ教訓、下請法との適用関係、そして具体的な社内体制構築のステップまでを体系的に整理する。


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フリーランス保護法の全体像

法律の基本情報

フリーランス保護法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスとの取引適正化と就業環境の整備を目的として制定された法律である。

項目 内容
正式名称 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)
略称 フリーランス保護法、フリーランス新法
公布日 2023年(令和5年)4月28日
施行日 2024年(令和6年)11月1日
所管官庁 公正取引委員会(取引適正化)、厚生労働省(就業環境整備)
目的 フリーランスとの取引の適正化 + フリーランスの就業環境の整備
保護対象 特定受託事業者(従業員を使用しないフリーランス)
規制対象 業務委託事業者(発注者)のうち、従業員を使用する者等

立法の背景と趣旨

フリーランス保護法が制定された背景には、フリーランスとして働く者が全国で約462万人(内閣官房「フリーランス実態調査」2020年)に達する中、取引条件の不明確さ、報酬の不払い・遅延、一方的な契約変更、ハラスメントなどの問題が常態化していたことがある。

従来の法制度では、これらの問題に包括的に対応できていなかった。

従来の法制度 限界 フリーランス保護法による解決
下請法 資本金基準による適用制限(資本金1,000万円以下の発注者は対象外) 資本金要件なし(従業員を使用する者は全て対象)
下請法 自己利用役務(自社で使うサービスの委託)は対象外 自己利用役務も対象
下請法 建設工事は適用除外 建設工事も対象(建設業法と併せて適用)
独占禁止法 優越的地位の濫用の立証ハードルが高い 具体的な禁止行為を法定(立証容易)
労働基準法 フリーランスは「労働者」に該当しない場合が多い 事業者間取引として保護(労働者性を問わない)

適用対象:「特定受託事業者」と「業務委託事業者」の定義

フリーランス保護法の理解において最も重要なのが、保護される側(特定受託事業者)と規制される側(業務委託事業者)の定義である。

特定受託事業者(フリーランス)の定義

類型 定義 具体例
個人型 従業員を使用しない個人事業主 フリーランスのデザイナー、ライター、エンジニア、翻訳者
法人型 代表者1人のみで従業員を使用しない法人 一人社長の合同会社、株式会社

業務委託事業者(発注者)の2つの区分

区分 定義 義務の範囲
業務委託事業者(全般) フリーランスに業務委託する事業者全て(個人含む) 書面交付義務(第3条)、募集情報の正確表示(第12条)
特定業務委託事業者 従業員を使用する事業者(法人・個人問わず) 上記に加え、60日以内支払い、7つの禁止行為、ハラスメント防止、契約解除予告の全義務

重要: 「従業員を使用する」とは、週20時間以上の労働者を1人以上雇用している場合をいう。パートタイマーであっても週20時間以上であれば「従業員」に該当する。つまり、アルバイトを1人でも雇っている個人事業主が、フリーランスに業務を委託する場合には「特定業務委託事業者」として全ての義務を負う。


発注者の義務体系:2階建て構造

全ての業務委託事業者に課される義務

フリーランスに業務を委託する事業者は、その規模にかかわらず以下の義務を負う。

条文 義務 概要
第3条 書面等による取引条件の明示 業務委託の際、直ちに9項目を書面又は電磁的方法で明示
第12条 募集情報の的確な表示 広告等によりフリーランスを募集する際、虚偽・誤解を招く表示の禁止

特定業務委託事業者に追加される義務

従業員を使用する事業者(特定業務委託事業者)には、上記に加えて以下の義務が課される。

条文 義務 適用条件 概要
第4条 報酬の支払期日の設定・支払い 全ての業務委託 成果物の受領日から60日以内の支払い
第5条 7つの禁止行為 期間1か月以上の業務委託 受領拒否、報酬減額、返品、買いたたき、購入強制、不当利益提供要請、不当やり直し
第13条 育児・介護等への配慮 期間6か月以上の業務委託 申出に応じた必要な配慮
第14条 ハラスメント対策の体制整備 全ての業務委託 セクハラ・マタハラ・パワハラに対する相談体制・防止措置
第16条 中途解除等の事前予告 期間6か月以上の業務委託 契約解除・不更新の30日前までの予告

義務の適用関係:フローチャート

ステップ 判断基準 該当する義務
1 フリーランスに業務委託しているか? No → 対象外 / Yes → ステップ2
2 書面等による取引条件の明示(第3条)※全発注者 書面交付義務
3 自社に従業員がいるか?(=特定業務委託事業者か?) No → ステップ2の義務のみ / Yes → ステップ4
4 報酬の60日以内支払い(第4条)※全取引 支払期日の義務
5 業務委託の期間は1か月以上か? Yes → 7つの禁止行為(第5条)
6 業務委託の期間は6か月以上か? Yes → 育児介護配慮 + 解除予告(第13条・第16条)
7 ハラスメント防止措置(第14条)※全取引 ハラスメント対策


書面交付義務(第3条):9つの明示事項

明示すべき9項目

フリーランスに業務を委託する際、発注者は直ちに以下の9項目を書面又は電磁的方法(メール、チャット、クラウド上の文書等)で明示しなければならない。

No. 明示事項 具体的な記載内容
1 業務委託事業者の名称 法人名、代表者名又は個人名
2 業務委託をした日 発注日(年月日)
3 業務の内容 委託する業務の具体的な範囲・仕様
4 成果物の納期・役務提供の期日 成果物の納品日又はサービス提供の完了日
5 成果物の納品場所・役務提供の場所 納品方法(メール添付、クラウド等)又は役務提供の場所
6 報酬の額 具体的な金額(算定方法が定まらない場合はその算定方法)
7 報酬の支払期日 支払日(月末締め翌月末払い等)
8 検査の完了日 検査を行う場合はその完了予定日
9 現金以外の報酬支払方法 手形・電子記録債権等の場合はその旨

明示の方法と時期

項目 内容
明示の時期 業務委託をした日に直ちに(事前又は同時が原則)
書面の方法 紙の書面、メール、チャット(Slack、Teams等)、電子契約サービス
口頭発注 禁止(口頭のみでの発注は第3条違反)
報酬額が未確定の場合 確定した時点で直ちに補充の書面等を交付
フリーランスからの書面請求 電磁的方法で明示した場合でも、フリーランスから請求があれば紙の書面を交付する義務

小学館の勧告事例に学ぶ書面交付義務

2025年8月、公正取引委員会は株式会社小学館に対し、フリーランス保護法に基づく初の勧告を行った。

項目 内容
違反企業 株式会社小学館
違反条文 フリーランス保護法 第3条(書面交付義務違反)
違反の内容 漫画家・イラストレーター等フリーランス191名に対し、業務委託に際して書面等による取引条件の明示を行わなかった
措置 公正取引委員会による勧告(企業名公表)
同時期の類似事例 光文社(フリーランス31名に対する書面交付義務違反で勧告)

教訓: 出版業界では従来、編集者とクリエイターの間の「暗黙の了解」や口頭ベースの発注が慣行とされてきた。しかし、フリーランス保護法の施行により、こうした商慣行は明確な法令違反となった。191名という大規模な違反は、組織的な対応の欠如を示している。


60日以内の報酬支払い義務(第4条)

支払期日のルール

特定業務委託事業者は、フリーランスに対する報酬を、成果物の受領日(役務提供の場合は提供日)から起算して60日以内の、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

項目 内容
起算日 成果物を受領した日(役務提供の日)
支払期限 受領日から60日以内
検査がある場合 検査の有無にかかわらず受領日から起算(検査合格待ちを理由に支払いを遅延させることは不可)
再委託の場合 元委託者からの報酬支払期日から30日以内に支払い(元委託者の支払いが早い場合はそちらが起算日)

支払遅延時の遅延利息

支払期日までに報酬を支払わなかった場合、支払期日の翌日から支払日までの日数に応じ、年率14.6%の遅延利息が発生する。

項目 計算例
報酬額 100万円
遅延日数 30日
遅延利息 100万円 × 14.6% × 30日/365日 = 12,000円

よくある違反パターン

違反パターン 具体例 問題点
検査完了待ち 「検収が終わるまで支払えない」 受領日から起算するため、検査遅延は支払遅延の理由にならない
月末締め翌々月払い 1月15日受領、3月31日支払い 受領から75日経過しており60日を超過
元請の入金待ち 「クライアントからの入金後に支払う」 再委託の特例(30日以内)はあるが、元委託者の支払遅延を転嫁することは不可
修正指示後の起算日変更 「修正版の受領日から60日以内」 最初の受領日が起算日であり、修正指示を繰り返しても起算日は変わらない


7つの禁止行為(第5条):期間1か月以上の取引に適用

禁止行為の一覧

特定業務委託事業者が、期間1か月以上の業務委託において行ってはならない7つの行為は以下のとおりである。

No. 禁止行為 条文 具体例
1 受領拒否 第5条第1項第1号 発注した成果物を正当な理由なく受け取らない
2 報酬の減額 第5条第1項第2号 発注後に一方的に報酬を減額する、振込手数料をフリーランス負担にする
3 返品 第5条第1項第3号 受領した成果物を正当な理由なく返品する
4 買いたたき 第5条第1項第4号 通常の対価に比べて著しく低い報酬額を定める
5 購入・利用強制 第5条第2項第1号 フリーランスに自社製品やサービスの購入・利用を強制する
6 不当な経済上の利益の提供要請 第5条第2項第2号 金銭・労務等の不当な提供を要請する
7 不当な給付内容の変更・やり直し 第5条第2項第3号 費用を負担せずに仕様変更ややり直しを要求する

島村楽器の勧告事例に学ぶ禁止行為

2025年、公正取引委員会は株式会社島村楽器に対し、フリーランス保護法第5条違反で勧告を行った。

項目 内容
違反企業 株式会社島村楽器
違反条文 フリーランス保護法 第5条第2項第2号(不当な経済上の利益の提供要請)
違反の内容 フリーランスの音楽講師97名に対し、無償での体験レッスンの実施を強要。報酬の支払いなく体験レッスン(営業行為)に従事させた
措置 公正取引委員会による勧告(企業名公表)
背景 入会促進のための体験レッスンを講師の「サービス」として無償実施させていた

教訓: 島村楽器の事例は、「業務委託契約の範囲外の業務を無償で行わせる」行為が典型的な「不当な経済上の利益の提供要請」に該当することを示している。体験レッスンは企業の営業活動であり、その労務提供に対して報酬を支払わないことは、フリーランスの経済的利益を不当に害する行為にほかならない。


ハラスメント防止義務(第14条)

対象となるハラスメントの類型

特定業務委託事業者は、フリーランスに対するハラスメントを防止するための体制整備が義務付けられている。対象となるハラスメントは以下の3類型である。

類型 概要 具体例
セクシュアルハラスメント 性的な言動により就業環境を害する行為 性的な発言、身体的接触、性的関係の強要
マタニティハラスメント 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い 妊娠報告を理由とした契約解除、出産に伴う業務制限への嫌がらせ
パワーハラスメント 優越的な関係を背景とした言動で就業環境を害する行為 過大な要求、人格否定、業務外の強要

体制整備義務の内容

対応事項 具体的な措置
方針の明確化 ハラスメントを行ってはならない旨の方針を策定・周知
相談窓口の設置 フリーランスが相談できる窓口の設置・周知
事後の適切な対応 相談があった場合の事実確認・対処の仕組みの整備
プライバシー保護 相談者のプライバシーを保護する措置
不利益取扱いの禁止 相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止

従業員向けハラスメント防止措置との関係: 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)、男女雇用機会均等法等に基づき、既に従業員向けのハラスメント相談窓口を設置している企業は、当該窓口をフリーランスからの相談にも対応可能とすることで義務を履行できる。ただし、窓口の存在をフリーランスに周知する措置が別途必要である。


育児介護等への配慮義務(第13条)と契約解除予告義務(第16条)

育児・介護等への配慮義務

期間6か月以上の業務委託において、フリーランスから育児や介護等に関する申出があった場合、特定業務委託事業者は必要な配慮をしなければならない。

項目 内容
適用要件 業務委託の期間が6か月以上(更新により通算6か月以上を含む)
対象となる事由 妊娠、出産、育児、介護その他厚生労働省令で定める事由
義務の内容 フリーランスからの申出に応じ、業務の内容・実施方法・実施時期等について必要な配慮
配慮の具体例 納期の柔軟な変更、オンラインでの業務遂行の許可、業務量の調整

契約解除・不更新の事前予告義務

期間6か月以上の業務委託について、契約を中途解除する場合又は契約を更新しない場合には、30日前までにフリーランスに予告しなければならない。

項目 内容
適用要件 業務委託の期間が6か月以上(更新により通算6か月以上を含む)
予告期間 契約解除又は不更新の30日前まで
理由の開示 フリーランスから求めがあった場合は、解除又は不更新の理由を開示
予告なしの解除 フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合は予告不要


募集情報の的確表示義務(第12条)

虚偽・誤解を招く表示の禁止

フリーランスを広告等で募集する際、虚偽の表示又は誤解を招く表示をしてはならない。この義務は従業員の有無にかかわらず全ての業務委託事業者に適用される。

禁止される表示 具体例
報酬の虚偽表示 「月収50万円以上可能」と表示しながら、実際にはごく一部の者しか達成不可能
業務内容の虚偽表示 「ライティング業務」と表示しながら、実際は営業活動が主体
就業条件の誤解表示 「完全リモート」と表示しながら、定期的な出社を求める
正確でない情報の放置 報酬単価を改定したにもかかわらず、旧単価のまま募集を継続


フリーランス保護法と下請法の適用関係

適用範囲の比較

フリーランス保護法と下請法(現行:中小受託取引適正化法)は、いずれもフリーランスとの取引に適用される可能性がある。両法の適用関係を正確に理解することが、実務上の重要なポイントとなる。

項目 フリーランス保護法 下請法(取適法)
適用基準 資本金基準なし(従業員の有無で判定) 資本金基準 + 従業員数基準
保護対象 特定受託事業者(従業員なしの個人・一人法人) 中小受託事業者(資本金・従業員数で判定)
自己利用役務 対象 対象外(自社使用目的の委託は非該当)
建設工事 対象 対象外(建設業法で規律)
書面交付義務 あり(9項目、直ちに) あり(四条書面)
支払期日 受領日から60日以内 受領日から60日以内
禁止行為 7項目(期間1か月以上) 11項目
ハラスメント防止 義務あり 規定なし
育児介護配慮 義務あり(6か月以上) 規定なし
契約解除予告 義務あり(6か月以上) 規定なし
執行機関 公正取引委員会 + 厚生労働省 公正取引委員会

両法が同時に適用される場合

フリーランスとの取引において、発注者の資本金が下請法の基準を満たす場合、フリーランス保護法と下請法の双方が適用される。

発注者の状況 フリーランス保護法 下請法(取適法)
資本金1億円・従業員100人・フリーランスにデザイン委託 適用 適用(情報成果物作成委託)
資本金500万円・従業員5人・フリーランスにライティング委託 適用 対象外(資本金基準を満たさない)
資本金3億円・フリーランスに自社オフィスの清掃を委託 適用 対象外(自己利用役務)
従業員なしの個人事業主がフリーランスに翻訳を委託 書面交付義務のみ 対象外

実務上の推奨: 下請法(取適法)の適用対象である取引は、同法の書面交付義務(四条書面)を遵守していれば、フリーランス保護法の書面交付義務(第3条)も実質的に満たすことができる(記載事項が重複するため)。取適法の適用基準や禁止行為の詳細は改正下請法2026年|手形支払禁止・価格協議義務化の実務対応ガイドを参照されたい。ただし、ハラスメント防止・育児介護配慮・契約解除予告はフリーランス保護法固有の義務であり、下請法にはない規律であるため、追加の対応が必要である。


エンフォースメント(執行体制と制裁)

執行機関の役割分担

フリーランス保護法は、規律の性質に応じて2つの官庁が執行を分担する。

規律の分野 執行機関 対象条文
取引の適正化 公正取引委員会(中小企業庁と共同) 第3条〜第5条(書面交付、支払い、禁止行為)
就業環境の整備 厚生労働省 第12条〜第16条(募集情報、配慮、ハラスメント、解除予告)

段階的な執行措置

段階 措置 内容
1 助言 軽微な違反に対する改善の助言
2 指導 改善を求める行政指導
3 勧告(公表) 明確な違反に対する是正勧告。違反事実と企業名が公表される
4 命令 勧告に従わない場合の是正命令
5 罰金 命令違反に対し50万円以下の罰金

施行後1年間の執行実績(2024年11月〜2025年10月)

項目 件数
執行措置の総数 445件
勧告(企業名公表) 4件(小学館、光文社、島村楽器 他)
指導 441件

施行後の主な勧告事例一覧

企業名 違反条文 違反の概要 影響を受けたフリーランス数
小学館 第3条(書面交付義務) 漫画家・イラストレーター等への書面未交付 191名
光文社 第3条(書面交付義務) フリーランスへの書面未交付 31名
島村楽器 第5条(不当な利益提供要請) 音楽講師への無償体験レッスン強要 97名


発注企業の社内体制構築チェックリスト

法務・コンプライアンス部門のチェックリスト

No. チェック項目 対応状況
1 フリーランスとの業務委託取引を全社的に棚卸ししたか [ ]
2 自社が「特定業務委託事業者」に該当するか判定したか [ ]
3 業務委託契約書のテンプレートに9つの明示事項を反映したか [ ]
4 口頭発注を禁止し、書面又は電磁的方法での発注を徹底する社内規程を整備したか [ ]
5 支払サイトが60日以内に設定されているか全取引を検証したか [ ]
6 7つの禁止行為に関する社内ガイドラインを策定・周知したか [ ]
7 ハラスメント相談窓口をフリーランスにも開放し、その旨を周知したか [ ]
8 契約期間が6か月以上の取引について、解除予告30日ルールを管理する仕組みがあるか [ ]
9 フリーランスとの取引に関する社内研修を実施したか [ ]
10 フリーランスの募集情報(求人サイト・SNS等)の掲載内容が正確か定期的に確認しているか [ ]

経理・購買部門のチェックリスト

No. チェック項目 対応状況
1 フリーランス向けの支払サイトが「受領日から60日以内」に設定されているか [ ]
2 支払サイト短縮に伴う追加運転資金の必要額を試算したか [ ]
3 振込手数料をフリーランス側から一方的に差し引いていないか(インボイス制度の経過措置縮小に伴う消費税処理も併せて確認) [ ]
4 発注管理システム(又はテンプレート)で9項目を漏れなく記載できるか [ ]
5 フリーランスとの取引記録(発注書・納品書・検収書・支払記録)を保存しているか [ ]

今すぐやること:フリーランス保護法 対応アクション

フリーランス保護法はすでに2024年11月1日に施行されている。対応の遅れは即座に法令違反リスクに直結する。

最優先:直ちに対応(法施行済み)

  • フリーランスとの取引を全社的に棚卸しする(法務/コンプライアンス部門):部門ごとにフリーランスへの外注実績を洗い出し、取引件数・金額・契約期間を一覧化する
  • 書面交付義務の遵守状況を確認する(法務/各部門):全てのフリーランス取引で書面又は電磁的方法による9項目の明示が行われているかを点検する。口頭発注は直ちに廃止する
  • 支払サイトが60日以内であることを確認する(経理部門):「月末締め翌々月末払い」等の長期サイトがある場合は、直ちに短縮を検討する

重要:2026年度上半期中

  • 業務委託契約書のテンプレートを改定する(法務部門):第3条の9項目を網羅し、ハラスメント禁止条項・相談窓口情報・契約解除予告条項を追加する
  • 7つの禁止行為に関する社内ガイドラインを策定し、研修を実施する(法務/人事部門):特に「報酬減額」「買いたたき」「不当なやり直し」は現場レベルで無意識に行われやすいため、具体事例を用いた研修を推奨する
  • ハラスメント相談窓口をフリーランスにも開放する(人事部門):既存の相談窓口の対象にフリーランスを追加し、業務委託開始時に窓口情報を通知する仕組みを構築する

中期:2026年度中

  • 発注管理システムの導入又は改修を検討する(IT/法務部門):書面交付の自動化、支払期日の自動管理、契約期間の通算管理を可能にするシステム基盤を整備する
  • 定期的な内部監査の仕組みを構築する(コンプライアンス部門):四半期に1回、フリーランス取引の書面交付状況・支払状況・禁止行為の有無を点検する

FAQ(よくある質問)

Q1. フリーランス保護法はいつから施行されていますか?

フリーランス保護法は2024年(令和6年)11月1日に施行されている。施行日以降に行われる業務委託取引に適用される。施行日前に締結された契約であっても、施行日以降に継続している取引には新法が適用される。

Q2. 従業員を1人も雇っていない個人事業主がフリーランスに発注する場合、どの義務が適用されますか?

従業員を使用しない個人事業主は「業務委託事業者」には該当するが、「特定業務委託事業者」には該当しない。したがって、書面交付義務(第3条)募集情報の的確表示義務(第12条)のみが適用される。60日以内の支払義務、7つの禁止行為、ハラスメント防止義務、契約解除予告義務は適用されない。ただし、パートタイマー等を週20時間以上1人でも雇用していれば「特定業務委託事業者」に該当し、全ての義務が発生する点に注意が必要である。

Q3. フリーランス保護法と下請法(取適法)はどちらが優先されますか?

両法が同時に適用される場合、それぞれの法律の義務を併せて遵守する必要がある。どちらかが優先されるという関係にはない。取引の適正化に関する規律(書面交付、支払期日、禁止行為)は内容が重複する部分が多いため、下請法(取適法)の四条書面を交付していれば、フリーランス保護法の書面交付義務も実質的に満たせることが多い。ただし、ハラスメント防止・育児介護配慮・契約解除予告はフリーランス保護法固有の義務であり、下請法を遵守しているだけでは足りない。

Q4. 書面交付はメールやチャット(Slack等)でも認められますか?

認められる。フリーランス保護法第3条は「書面又は電磁的方法」による明示を求めており、メール、チャットツール(Slack、Teams、Chatwork等)、電子契約サービス(クラウドサイン、freeeサイン等)、クラウド上の共有文書(Googleドキュメント等)のいずれも電磁的方法として適法である。ただし、フリーランスから紙の書面の交付を求められた場合には、書面を交付する義務がある。実務上は、検索性・保存性の観点から、電子契約サービス又はメールの利用が推奨される。

Q5. 「期間1か月以上」「期間6か月以上」の判定はどのように行いますか?

契約期間は、個別契約の期間だけでなく、更新・再契約を含めた通算期間で判定される。3か月契約を更新し、通算4か月目に入った時点で「1か月以上」の基準を満たし、7つの禁止行為の適用対象となる。同様に、3か月契約を2回更新して通算7か月目に入れば「6か月以上」に該当し、育児介護配慮義務・契約解除予告義務の対象となる。契約管理上、フリーランスとの取引の通算期間を正確に把握することが重要である。

Q6. 施行後1年で445件もの執行が行われていますが、どのような企業が対象になっていますか?

445件のうち441件は「指導」であり、企業名は公表されていない。勧告(企業名公表)は4件であり、小学館(書面交付義務違反・191名)、光文社(書面交付義務違反・31名)、島村楽器(不当な利益提供要請・97名)などの事例が公表されている。業種としては、出版・メディア、音楽・教育、ITなどフリーランス活用が盛んな業界が中心であるが、特定業種に限定されるものではない。公正取引委員会は2025年度以降も積極的な執行方針を示しており、特に書面交付義務違反は違反の有無が客観的に明確であるため、執行の優先対象とされている。

Q7. 違反が発覚した場合、どのような対応が最善ですか?

違反の疑いが生じた場合は、以下の手順で対応することが推奨される。(1)違反の事実関係を速やかに調査・確認する、(2)違反状態を直ちに是正する(書面の遡及的交付、未払報酬の支払い等)、(3)再発防止策を策定・実行する、(4)必要に応じて弁護士等の専門家に相談する、(5)自主的な改善措置を講じた上で、公正取引委員会への自主申告を検討する。公正取引委員会は、自主的な是正措置を講じた場合に勧告(公表)を回避できる可能性がある旨を示している。発見から是正までの期間が短いほど、企業名公表を免れる可能性は高まる。


免責事項

本記事は、2026年2月時点の公開情報に基づいて作成したものであり、法令の改正、通達・ガイドラインの発出等により内容が変更される場合がある。具体的な取引へのフリーランス保護法の適用可否や対応方法については、弁護士等の専門家又は公正取引委員会・厚生労働省に確認されたい。本記事の内容に基づく判断・行動により生じた損害について、筆者および運営者は一切の責任を負わない。


参考文献・法令等

法令

  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)
  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第258号)
  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(令和6年公正取引委員会規則第3号・厚生労働省令第122号)

公正取引委員会

厚生労働省

その他

  • 内閣官房「フリーランス実態調査結果」(令和2年5月)
  • 中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法パンフレット」
JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。