最終更新日: 2026年8月21日
本記事では、令和8年度診療報酬改定で新設される「急性期病院一般入院料(急性期A・急性期B)」の施設基準と、既存の急性期一般入院料1~6の見直し内容、地域包括医療病棟入院料の6区分化、回復期リハビリテーション病棟入院料の実績指数変更について、比較表を用いて解説する。
令和8年度診療報酬改定シリーズ
– 改定の全体像と施設基準の基礎
– 急性期病院一般入院料の新設と再編(本記事)
– 医療DX・電子的診療情報連携体制外来運営に関する関連記事
– 病院・診療所の予約キャンセル料/予約システム利用料 2026年6月新設の実務 — 同じ2026年6月施行で導入された保険外負担の取扱い・院内掲示・同意取得
急性期入院料の再編:急性期病院一般入院料の新設
再編の趣旨
令和8年度改定の最大の目玉の一つが、急性期病院一般入院料(急性期A・急性期B)の新設である(2026年6月1日施行済み)。新たな地域医療構想における急性期病院の集約化を見据え、「地域の急性期医療の拠点」となる病院を高く評価する仕組みが導入された。既存の急性期一般入院料1〜6は廃止されず存続し、点数引き上げ(入院料1は1,688点→1,874点)と看護必要度の評価方法見直しが行われた。
急性期病院一般入院料(新設)の施設基準
急性期病院A一般入院料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数(1日につき) | 1,930点 |
| 看護配置 | 7対1 |
| 救急搬送件数 | 年間2,000件以上 |
| 全身麻酔手術件数 | 年間1,200件以上 |
| 看護必要度(必要度I) | 割合1:28%以上、割合2:35%以上 |
| 看護必要度(必要度II) | 割合1:27%以上、割合2:34%以上 |
| 平均在院日数 | 16日以内 |
| 在宅復帰率 | 8割以上 |
急性期病院B一般入院料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数(1日につき) | 1,643点(多職種協働加算で最大1,898点) |
| 看護配置 | 10対1 |
| 救急搬送件数等 | 年間1,500件以上の救急搬送、または年間500件以上の搬送かつ500件以上の手術 |
| 看護必要度(必要度I) | 割合1:28%以上、割合2:35%以上 |
| 看護必要度(必要度II) | 割合1:27%以上、割合2:34%以上 |
| 平均在院日数 | 21日以内 |
ポイント: 急性期病院A一般入院料は、急性期一般入院料1(1,874点)を上回る1,930点と最高点数に設定されている。大規模救急病院に対するインセンティブとなる一方、救急搬送件数や手術件数に高いハードルが課されるため、取得できる病院は限定される。
急性期一般入院料1~6の見直し
見直し後の比較
既存の急性期一般入院料1〜6は廃止されず存続し、点数引き上げと看護必要度の評価方法見直しが行われた。
急性期一般入院料1~6の比較表(改定後)
| 項目 | 入院料1 | 入院料2 | 入院料3 | 入院料4 | 入院料5 | 入院料6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 点数(1日につき) | 1,874点 | 1,779点 | 1,704点 | 1,597点 | 1,575点 | 1,523点 |
| 看護配置 | 7対1 | 10対1 | 10対1 | 10対1 | 10対1 | 10対1 |
| 看護師比率 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 |
| 平均在院日数 | 16日以内 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 |
| 在宅復帰率 | 80%以上 | 80%以上 | 80%以上 | ― | ― | ― |
注: 急性期一般入院料1の平均在院日数基準は令和6年度改定で18日以内から16日以内に短縮済みであり、令和8年度改定後も16日以内である(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」の急性期病院一般入院基本料等の評価に係る比較表)。入院料2〜6の基準値は基本診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示第70号)で確認すること。
看護配置について: 7対1は急性期一般入院料1のみであり、入院料2〜6は10対1である。根拠は次の2点。(1) 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定 3. 急性期・高度急性期入院医療」の比較表において、看護職員の欄は「7対1以上(急性期病院A)/10対1以上(急性期病院B)/7対1以上(急性期一般入院料1)/10対1以上(急性期一般入院料2〜6)」の構成になっている。(2) 令和8年3月5日 保医発0305第7号 別添6の別紙5の配置状況例は「入院患者数40人で急性期一般入院料2の届出を行う場合」として「各勤務帯に従事している看護職員の1人当たりの受け持ち患者数が10人以内であること」と記載している。看護師本人の視点から配置基準の読み方を整理した記事として「看護配置基準(7対1・10対1)の見方2026」も参照されたい。
看護必要度の評価方法の変更: 該当患者の基準は入院料の区分ごとに異なる。一律ではない点に注意すること。
対象 該当患者の基準(以下のいずれか) 急性期病院A・B一般入院料/急性期一般入院料1/看護・多職種協働加算/7対1入院基本料(特定機能病院一般病棟) A得点が3点以上 / C得点が1点以上 急性期一般入院料2〜5 A得点が2点以上かつB得点が3点以上 / A得点が3点以上 / C得点が1点以上 急性期総合体制加算 A得点が2点以上 / C得点が1点以上 地域包括医療病棟入院料 A得点が2点以上 / C得点が1点以上(改定前は「A3点以上」「A2点以上かつB3点以上」「C1点以上」の複合基準) 上表は「割合①」の基準である。該当患者割合の評価には割合①と割合②があり、入院料によって適用される組み合わせが異なる(例: 急性期一般入院料1は割合①と割合②の両方に基準が設定されている)。割合②の該当患者基準は割合①とは別に定められているため、届出の際は必ず告示第70号および保医発0305第7号で自院に適用される基準を確認すること。
さらに、該当患者割合に救急搬送応需係数を加えた「基準該当患者割合に係る指数」で評価する方式が導入され、救急患者受入れに積極的な病院が高く評価される。
地域包括医療病棟入院料の細分化
令和6年度改定で新設された地域包括医療病棟入院料(1区分・3,050点)は、令和8年度改定で6区分に細分化された(3,066〜3,367点)。区分の軸は、①同一病院内にA100一般病棟入院基本料の算定病棟があるか(医療機関ごとに入院料1/2を届出)、②患者の入院形態と手術の実施状況(患者ごとにイ/ロ/ハを算定)の2軸である。あわせて平均在院日数・ADL低下割合の基準が高齢者の特性に合わせて見直された。
| 項目 | 内容(改定後) |
|---|---|
| 区分数 | 6区分(3,367点~3,066点) |
| 看護配置 | 10対1以上 |
| 主な対象患者 | 高齢者の救急患者、急性期治療後の患者等 |
| 在宅復帰率 | 8割以上 |
| リハビリ要件 | リハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に提供 |
| 平均在院日数(改定後) | 20日を原則とし、85歳以上の患者割合が2割増すごとに+1日(2割以上で21日、4割以上で22日、6割以上で23日)。改定前は一律21日 |
| ADLが低下した患者の割合(改定後) | 7%未満(85歳以上の患者割合が2割未満の場合は5%)。改定前は5%未満 |
| 救急搬送後の患者の割合(改定後) | 15%以上 |
リハビリテーション料の施設基準比較
リハビリテーション料は、疾患別に区分された施設基準を満たす必要がある。
疾患別リハビリテーション料の施設基準比較
| 項目 | 心大血管リハ(I) | 脳血管リハ(I) | 脳血管リハ(II) | 運動器リハ(I) | 運動器リハ(II) | 呼吸器リハ(I) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 点数(1単位) | 205点 | 245点 | 200点 | 185点 | 170点 | 175点 |
| 専任医師 | 1名以上 | 専従1名以上 | 専任1名以上 | 専任1名以上 | 専任1名以上 | 専任1名以上 |
| PT/OT/ST | PT又は看護師等専従1名以上 | 専従PT・OT・ST合計10名以上(うちPT・OT各5名以上) | 専従PT・OT・ST合計4名以上 | 専従PT又はOT合計4名以上 | 専従PT又はOT合計2名以上 | 専従PT1名以上 |
| 病室面積 | ― | 160m²以上 | 100m²以上 | 100m²以上 | 45m²以上 | 100m²以上 |
| 算定上限日数 | 150日 | 180日 | 180日 | 150日 | 150日 | 90日 |
回復期リハビリテーション病棟入院料の比較
| 項目 | 入院料1 | 入院料2 | 入院料3 | 入院料4 | 入院料5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 点数(1日につき・改定前) | 2,229点 | 2,056点 | 1,899点 | 1,841点 | 1,678点 |
| 点数(1日につき・改定後) | 2,346点 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 | 告示第70号で確認 |
| 看護配置 | 13対1以上 | 13対1以上 | 15対1以上 | 15対1以上 | 15対1以上 |
| リハ実績指数 | 令和8年度改定で基準の引上げ(入院料1・3)と新規導入(入院料2・4)、算出方法の見直しが行われた。具体的な基準値は改定前後とも本記事では掲載しない(下記注参照) | ||||
| 専従PT・OT・ST | 専従常勤PT3名以上、OT2名以上、ST1名以上 | 同左 | 同左 | 同左 | 同左 |
| 在宅復帰率 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 | 70%以上 | ― |
| 重症患者割合 | 3割以上 | 2割以上 | ― | ― | ― |
| 重症患者改善割合 | 3割以上 | 3割以上 | ― | ― | ― |
| 管理栄養士 | 専任常勤1名以上 | 専任常勤1名以上 | ― | ― | ― |
よくある質問(FAQ)
自院の実績データ(救急搬送件数・全身麻酔手術件数)を過去1年分集計することが最初のステップです。急性期A(搬送2,000件以上・全麻1,200件以上)は大規模救急病院向けで取得できる施設は限定的です。急性期B(搬送1,500件以上、または搬送500件以上かつ手術500件以上)は中規模救急病院にも現実的な選択肢となります。多職種協働加算を含めた急性期Bの最大点数(1,898点)は急性期一般入院料1(1,874点)を上回る点も考慮して判断してください。
既存の急性期一般入院料1の届出は継続して有効です。ただし該当患者割合の基準値が引き上げられ(必要度II 割合①で20%→27%、割合②で27%→34%)、該当患者割合に救急搬送応需係数を加えた指数で評価する方式に変わったため、施行日(2026年6月1日)以降の基準適合を確認し、必要に応じて変更届出を行う必要があります。なお急性期一般入院料1の該当患者(割合①)の基準は「A得点3点以上」または「C得点1点以上」です(割合②の基準は割合①とは別に定められているため、告示第70号で必ず確認してください)。急性期病院一般入院料(A・B)への移行を希望する場合は新規届出が必要です。
あります。ただしどう変わるかは入院料の区分によって異なります。急性期病院A・Bおよび急性期一般入院料1では該当患者(割合①)の基準が「A得点3点以上」または「C得点1点以上」、急性期一般入院料2〜5では「A得点2点以上かつB得点3点以上」「A得点3点以上」「C得点1点以上」のいずれかです。「A得点2点以上またはC得点1点以上」への簡素化が行われたのは地域包括医療病棟入院料です(割合②の基準は割合①とは別に定められているため、告示第70号で確認してください)。加えて全体として該当患者割合の基準値が引き上げられ、救急搬送応需係数を加えた指数で評価する方式になりました。内科系の軽症救急患者が多い病院では該当患者割合が増える可能性があり、逆に外科系手術が少ない病院では影響が限定的なこともあります。改定前後の自院データで試算し、算定区分の変更要否を確認してください。
令和6年度改定で届け出た地域包括医療病棟入院料は、令和8年度改定に伴い6区分のいずれかへの再届出が必要となります。ADL低下割合等の基準が柔軟化されているため、現在の届出区分より上位区分への移行が可能なケースもあります。2026年3月の告示公表後、自院のデータを新基準で再評価することを推奨します。
令和8年度改定で実績指数の基準は引き上げられました。本記事では改定前後とも具体的な基準値を掲載していません。二次情報のあいだで入院料2・3・5に対応する基準値の記述が食い違っており、一次資料で確定できなかったためです。誤った基準値で届出可否を判断すると入院料区分を誤るため、必ず告示第70号の原文で確認してください。厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」は、回復期リハビリテーション病棟について「実績指数の基準の引上げ(入院料1、3)」「実績指数の基準の導入(入院料2、4)」「実績指数の算出方法の見直し(算出から除外できる患者の範囲を縮小)」を行うとしています。改定前の基準値(入院料1で40以上)をそのまま前提にしないでください。引き上げ後の具体的な基準値と算出方法は、基本診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示第70号)および届出手続き通知(保医発0305第7号)で確認し、直近6か月の自院データで試算してください。入院料1を維持できるか否かで年間収入に大きな差が生じるため、早期の確認が重要です。
正式な書類一覧は2026年3月5日公布の届出手続き通知(保医発0305第7号)に掲載されています。一般的に必要とされる書類は、(1)施設基準に係る届出書(様式)、(2)実績件数を証明する書類(DPCデータの集計表等)、(3)看護配置・看護師比率を示す書類、(4)在宅復帰率を示す書類などです。届出書類の準備と提出スケジュールの詳細は「施設基準の届出手続き(必要書類・スケジュール)」で解説しています。
直接の届出義務は診療側にはありませんが、2026年6月施行の改定では薬局側の調剤報酬も同時に見直されました。在宅患者への訪問服薬指導や電子処方箋対応など、薬局との連携体制に変化が生じる可能性があります。調剤報酬改定の実務上の変更点は調剤報酬改定2026年 わかりやすくまとめで確認できます。
参考法令・出典一覧
| 法令・資料名 | URL |
|---|---|
| 令和8年度診療報酬改定について | 厚生労働省 |
| 令和8年度診療報酬改定の基本方針 | 厚生労働省 |
| 令和8年度診療報酬改定 中医協答申(2026年2月13日) | 東京保険医協会 |
| 基本診療料の施設基準等(令和8年厚生労働省告示第70号) | 厚生労働省 |
| 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) | 厚生労働省 PDF |
免責事項: 本記事は2026年3月5日公布の告示(令和8年厚生労働省告示第69号〜第71号)および通知(保医発0305第6号〜第8号)に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものである。令和8年度診療報酬改定は2026年6月1日に施行済みであるが、通知は訂正版が発出されており疑義解釈も随時追加されている。実際の届出・算定にあたっては、必ず厚生労働省の最新の告示・通知及び管轄の地方厚生局にご確認いただきたい。本記事の内容に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負わない。


