ふるさと納税2026年改正|付加価値基準・地場産品認定の実務対応を総務省告示から解説

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ふるさと納税2026年改正|付加価値基準・地場産品認定の実務対応を総務省告示から解説
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最終更新日: 2026年10月5日

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ふるさと納税制度において、返礼品の提供は自治体にとって寄附金獲得の重要な手段であると同時に、法令上の厳格な基準への適合が求められる領域である。本記事では、地方税法・総務省告示に基づく返礼品の「3割基準」「寄附金活用可能額基準」の法的構造、地場産品基準の各号(第1号〜第9号+枝番3つ)、指定制度の運用実務、仲介サイト対応、不指定・取消事例を体系的に整理する。自治体担当者が返礼品の選定・審査・見直しにあたって参照すべき実務情報を網羅した。


ふるさと納税制度の法的根拠と指定制度の全体像

制度の法的根拠

ふるさと納税制度は、個人が地方自治体に寄附を行った場合に、一定額を所得税・住民税から控除する仕組みである。法的根拠は以下の通りである。

法令等 条文 規定内容
地方税法 第37条の2 個人住民税(道府県民税)の寄附金税額控除
地方税法 第314条の7 個人住民税(市町村民税)の寄附金税額控除
所得税法 第78条 寄附金控除(所得控除)
地方税法施行令 第7条の17の4 特例控除額の計算方法
平成31年総務省告示第179号 全条 ふるさと納税に係る指定制度の基準

地方税法第37条の2第2項は、寄附金税額控除の特例(いわゆる「ふるさと納税の特例控除」)の適用対象となる地方団体について、総務大臣が指定する団体に限定している。この指定制度は、2019年(令和元年)6月1日施行の地方税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第2号)により創設された。

指定制度の仕組み

指定制度の下では、地方団体が総務大臣に対して申出書及び添付書類を提出し、基準適合の審査を受ける。指定対象期間は原則として各年10月1日から翌年9月30日までの1年間である。

項目 内容
指定権者 総務大臣
指定の法的根拠 地方税法第37条の2第2項
指定対象期間 原則:各年10月1日~翌年9月30日
申出時期 指定対象期間開始前に申出書を提出
審査事項 募集適正基準・返礼品基準・地場産品基準への適合
不指定の効果 特例控除の対象外(基本控除のみ適用)
取消の効果 指定の取消し+3年以内の期間を定めて指定を行わない旨の決定(地方税法第37条の2第6項)

指定を受けられなかった場合または指定が取り消された場合、当該自治体に対する寄附は「ふるさと納税の特例控除」(住民税所得割額の2割を上限とする控除)の対象外となり、寄附者にとっての税制上のメリットが大幅に縮小する。


返礼品の「3割基準」:調達費用の上限規制

3割基準の法的構造

返礼品の調達に要する費用に関する基準は、地方税法本体に規定されている。道府県民税については第37条の2第2項(2026年9月30日までは第2号、2026年10月1日からは第3号)、市町村民税については第314条の7第2項(同様に号がずれる)が、それぞれ「都道府県等が個別の第一号寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額として総務大臣が定めるところにより算定した額が、いずれも当該都道府県等が受領する当該第一号寄附金の額の百分の三十に相当する金額以下であること」と定めている。

総務省告示(平成31年総務省告示第179号)が定めているのは、この調達費用の算定方法であって、3割という基準値そのものではない。算定方法の規定は2026年9月30日までは告示第4条、2026年10月1日からは告示第5条に位置する。

基準項目 根拠規定 基準値
返礼品の調達費用が3割以下であること 地方税法第37条の2第2項第2号(〜2026年9月30日)/同項第3号(2026年10月1日〜)、第314条の7第2項も同様 寄附金額の30%以下
調達費用の算定方法 告示第4条第1号(〜2026年9月30日)/告示第5条第1号(2026年10月1日〜) 地方団体が現に支出した額(税込)
価格の基準 告示運用Q&A 一般的な小売価格を参考に判定

3割基準の具体的な計算

3割基準は、個別の返礼品ごとに判定される。以下に計算例を示す。

寄附金額 返礼品調達費用上限(30%) 適合例 不適合例
10,000円 3,000円以下 調達費2,800円 調達費3,500円
30,000円 9,000円以下 調達費8,500円 調達費10,000円
50,000円 15,000円以下 調達費14,000円 調達費18,000円
100,000円 30,000円以下 調達費28,000円 調達費35,000円

調達費用に含まれるもの(告示第4条第1号。2026年10月1日からは第5条第1号)

  • 返礼品そのものの仕入価格
  • 返礼品の配送料
  • 消費税及び地方消費税
  • 返礼品に付随する包装・ラッピング費用

なお、2023年(令和5年)10月の告示改正により、返礼品の調達に要する費用は「地方団体が現に支出した額」として消費税及び地方消費税を含めて算定することが明確化された。従前は税抜価格で計算していた自治体も存在したが、改正後は税込での算定が義務付けられている。


募集費用の「5割基準」と「寄附金活用可能額基準」:総コストの上限規制

2026年9月30日まで:5割基準

返礼品の調達費用だけでなく、ふるさと納税の募集に要する費用の総額についても上限が設けられている。2026年9月30日までは、平成31年総務省告示第179号第2条第2号に基づき、募集に要する費用の合計額が寄附金受領額の合計額の5割以下でなければならない。

2026年10月1日から:寄附金活用可能額基準に置き換わる

2026年10月1日から開始するR8指定対象期間(令和8年10月1日〜令和9年9月30日)以降、「募集費用5割以下」という基準は告示から削除される。 代わりに、地方税法第37条の2第2項第2号(新設。道府県民税側。市町村民税側は第314条の7第2項の対応号)に基づく「寄附金活用可能額」基準が適用される。

寄附金活用可能額とは、指定対象期間に受領した第一号寄附金の合計額から、募集に要する費用を控除して得た額をいう(同項第2号イ)。これが寄附金合計額の100分の60以上であることが本来の基準値だが、本則の60%に到達するのは令和11年10月1日開始の指定対象期間からで、それまでは4段階の経過措置がある。

指定対象期間 寄附金活用可能額の基準値 募集費用の上限(裏返し)
R8(令和8年10月〜令和9年9月) 52.5%以上 47.5%以下
R9(令和9年10月〜令和10年9月) 55%以上 45%以下
R10(令和10年10月〜令和11年9月) 57.5%以上 42.5%以下
R11(令和11年10月〜)以降 60%以上(本則) 40%以下

根拠:総務省資料(令和8年3月24日公表)逐語

○ 寄附金活用可能額(寄附金のうち地方団体が活用できる財源)の割合を60%以上と設定するとともに、使途を公表。(令和8年指定から段階的に適用する。)
(R8:52.5%、R9:55%、R10:57.5%、R11:60%)

R8(52.5%)の根拠は地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)附則第3条第5項・第11条第4項(総税市第71号が明示的に引用)。R9〜R11の55%・57.5%・60%は同法の改正要綱(令和8年4月1日付け総税市第34号 添付資料)に明記されている。

52.5%を下回った場合の効果(令和8年6月26日付け総税市第71号):

なお、令和8年指定対象期間に係る寄附金活用可能額の割合が100分の52.5未満となった地方団体については、令和9年10月1日から開始する指定対象期間において指定の取消しの対象となり得るものであること。また、これに関する実績調査についても予定していること。

あわせて、寄附金活用可能額の使途を公表する義務が新設される(地方税法第37条の2第2項第2号ロ、告示第4条第2項〔新設〕)。地方団体が決算を議会の認定に付したときに遅滞なく、指定対象期間の初日・末日が属する各年度における寄附金活用可能額の使途に関する事項を、当該地方団体のウェブサイトに掲載する。公表様式は告示に定めがなく、総務省が参考例を別途情報提供する予定である。

5割基準は「過去の実績評価」として残る

R8指定を受けるための要件として、前期間(R7=令和7年10月〜令和8年9月)の5割基準は生きている。総税市第71号:

また、令和8年指定対象期間に係る指定に当たっては、令和7年指定対象期間…において、募集費用が寄附金受領額の合計額の5割以内となっていることが要件となっていること。なお、今後、募集費用及び寄附金受領額の実績調査を実施することを予定しており、当該調査において、募集費用が寄附金受領額の合計額の5割を超過したことが判明した地方団体については、指定取消しの対象となり得るので留意すること。

つまり、5割基準は「過去(R7)の実績評価」として残り、これから運用すべき値は令和8年10月以降47.5%(経過措置終了後は40%)という整理になる。

費用区分 含まれる経費の例 根拠
返礼品調達費 返礼品の仕入価格・配送料(税込) 告示第4条第1号(2026年10月1日〜第5条第1号)
事務費・人件費 受領証発行事務、ワンストップ特例申請受付事務、ふるさと納税業務の職員人件費(兼務分含む) 令和8年6月26日付け総税市第71号
ポータルサイト利用料等 仲介サイト運営事業者への支払、事務委託費 同上
広告宣伝費 自治体が独自に行う広告費用 同上
決済手数料 クレジットカード決済等の手数料 同上

上表の事務費・ポータルサイト利用料等の根拠は、告示ではなく総税市第71号の列挙である。同号は「告示第4条第2号」(施設・設備を使用させる役務等の調達費用算定規定)とは別のものなので、根拠を混同しないよう注意したい。逐語:

・寄附金に係る受領証の発行事務に要する費用
・ワンストップ特例に係る申請書の受付事務に要する費用
・ふるさと納税に関する業務に係る職員の人件費(ふるさと納税以外の業務も兼任している職員に係るものを含む。)
・ふるさと納税に係る寄附の募集や返礼品等に係る情報を掲載するポータルサイトの運営事業者に対して支払う費用
・ふるさと納税に関する様々な事務を委託するために事業者に対して支払う費用
などといった、ふるさと納税の募集を行ったことや寄附金を受領したことにより発生したと考えられる費用は、全て含まれるものであることに留意すること。

同通知は費用区分を返礼品等の調達に係る費用/返礼品等の送付に係る費用/広報に係る費用/決済に係る費用/事務に係る費用の5つに整理している。また、募集費用の計上方法は、令和8年4月1日付け総税市第34号およびQ&A問16により寄附金受領日ベースに統一された。

3割基準と寄附金活用可能額基準の関係

基準 対象 算定単位 基準値 根拠条文
3割基準 返礼品調達費用 個別の返礼品ごと 寄附金額の30%以下 地方税法第37条の2第2項第2号(〜9月30日)/第3号(10月1日〜)
寄附金活用可能額基準(2026年10月1日〜。R8は52.5%、R9〜R11にかけて段階的に60%まで引上げ) 募集に要する費用の総額 年間の合計額 寄附金活用可能額が寄附金合計額の52.5%以上(=募集費用47.5%以下、R8指定対象期間) 地方税法第37条の2第2項第2号(新設)。経過措置は令和8年法律第2号附則第3条第5項・第11条第4項ほか改正要綱

経費率の具体的な内訳例

費用項目 寄附金額に対する割合(目安) 備考
返礼品調達費 25~30% 3割上限
ポータルサイト利用料 8~12% サイトにより異なる
事務経費(決済・配送管理等) 3~5% 規模により変動
人件費 2~5% 兼務職員分を按分
広告宣伝費 0~3% 自治体により異なる
合計 38~55% R8指定対象期間(2026年10月〜)は47.5%以下が目安(経過措置)

上記の通り、返礼品調達費を30%近くに設定した場合、その他経費の合計を17.5%以内に収める必要がある(経過措置期間中)。ポータルサイト利用料が10%前後であることを考慮すると、実務上は返礼品調達費を25~27%程度に抑制する自治体が多い。


地場産品基準:告示第5条各号(〜2026年9月30日)/第6条各号(2026年10月1日〜)

地場産品基準の全体構造

地場産品基準は、平成31年総務省告示第179号第5条各号(2026年10月1日からは第6条各号)に規定されており、返礼品等が当該地方団体の「区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するもの」に該当することを求める基準である。告示に「別表」は存在しない。 具体的な類型は、条文本体の各号として定められている。

号の番号と並びは改正前後で変わらない(条番号だけが第5条から第6条に移る)。ただし第3号(付加価値基準)と第5号(広報目的のグッズ)の2つは、令和7年総務省告示第220号により条文の中身も変わる(後述)。それ以外の号(第1・2・4・6・7・7の2・7の3・7の4・8・9号)は中身も変わらない。号は第1号〜第9号に加えて枝番(七の二・七の三・七の四)があり、実質12類型である(「10類型」ではない)。

2つの告示が、どちらも令和8年10月1日から効く。役割が違う。

告示 公布 何を変えるか
令和7年総務省告示第220号 令和7年6月24日 中身(第2条・第5条の条文。第3号・第5号など)
令和8年総務省告示第145号 令和8年3月31日 条番号(第2条→第3条、第5条→第6条 等)

令和7年総務省告示第220号 附則の逐語:

1 この告示は、公布の日から施行する。
2 …新告示第二条及び第五条の規定は、令和八年十月一日以後に開始する期間に係る…指定について適用

なお、次の各号のいずれかに該当する返礼品等とのみ交換させるために提供するもの(ポイント等)も基準に適合する。これは独立した号ではなく、柱書の括弧書きに規定されている。逐語:

…地方団体が提供する返礼品等が、次の各号のいずれかに該当するもの(当該各号のいずれかに該当する返礼品等とのみ交換させるために提供するものを含む。)であることとする。

号 内容
第1号 当該地方団体の区域内において生産されたもの
第2号 区域内において返礼品等の原材料の主要な部分が生産されたもの
第3号 区域内での製造・加工等により価値の過半が生じているもの(付加価値基準。詳細は後述)
第4号 区域内産と近隣の他の市区町村産が混在したもの(流通構造上、混在することが避けられない場合に限る)
第5号 地方団体の広報の目的で製造等がされたキャラクターグッズ・オリジナルグッズ等
第6号 前各号該当品と附帯するものを合わせて提供するもの(返礼品の価値が全体の7割以上)
第7号 区域内において提供される役務その他これに準ずるもの(宿泊の提供に係る役務を除く)
第7号の2 区域内の宿泊施設のうち、当該都道府県内でのみ宿泊施設を運営する者が運営するものにおける宿泊役務
第7号の3 第7号の2に該当しない区域内宿泊施設の宿泊役務のうち、調達費用が一夜一人5万円以下のもの等
第7号の4 区域内において地域のエネルギー源により発電された電気
第8号 近隣市区町村との共同・都道府県との連携、または都道府県による地域資源としての認定
第9号 災害により従前の返礼品を提供できなくなった場合の代替品

各号の詳細要件

第1号:区域内生産

最も基本的な類型であり、農産物・水産物・畜産物など、当該自治体の区域内で生産(収穫・漁獲・飼養等)された一次産品が典型例である。

判定要素 内容
対象 農産物、水産物、畜産物、林産物等
要件 区域内において「生産」されたこと
「生産」の意味 播種・栽培・収穫、飼養・と畜、漁獲・養殖等
適合例 区域内の田んぼで栽培された米、区域内の牧場で飼養された牛肉
不適合例 他自治体で栽培された米を区域内で精米しただけのもの(→第3号で判定)

第2号:原材料の主要部分が区域内生産

返礼品の原材料の「主要な部分」が区域内で生産されている場合に適用される。

判定要素 内容
対象 加工食品、工芸品等で原材料の主要部分が区域内産のもの
「主要な部分」 重量比・価格比等で原材料全体の過半を占めること
適合例 区域内産の果物を70%以上使用したジャム
不適合例 区域内産原材料が10%程度の加工食品

第3号:区域内での製造・加工(付加価値基準)— 2026年10月改正の中心

改正前(第5条第3号)逐語:

三 当該地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものであること。ただし、当該工程が次に掲げるものである場合には、それぞれに定めるものに限ることとする。
イ 食肉の熟成又は玄米の精白 当該地方団体の属する都道府県の区域内において生産されたものを原材料とするもの
ロ 製品の企画立案その他の当該製品に実質的な変更を加えるものでない工程 当該製品の製造業者により、当該製品の価値の過半が当該地方団体の区域内で生じている旨の証明がなされたもの

イ・ロの読み方:イは食肉の熟成・玄米の精白という工程に限った特例。ロは「製品の企画立案その他の実質的な変更を加えるものでない工程」——つまりモノに手を加えず企画立案しかしていない場合——について、製造業者による過半証明がなければ地場産品と認めないという限定・厳格化の規定である。この規定は「企画立案しかしていない場合を認めない」という限定であって、「企画立案すれば認められる」という意味ではない点に注意したい。

特例 内容
第3号イ(熟成肉) 同一都道府県内産の食肉を原材料として、区域内において熟成したもの
第3号イ(精米) 同一都道府県内産の玄米を原材料として、区域内において精白したもの
第3号ロ(企画立案のみで実質的な変更を加えない工程) 製造業者により、製品の価値の過半が区域内で生じている旨の証明が必要

2023年(令和5年)10月の告示改正により、熟成肉と精米は「同一都道府県内産」の原材料を用いることが要件として明確化された。他の都道府県産の原材料を用いた熟成肉・精米は第3号の特例として認められない。

改正後(第6条第3号、2026年10月1日〜)逐語:

三 当該地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程…を行うことにより当該返礼品等の価値の過半が生じているものであって、次のいずれにも該当するものであること。
イ 当該地方団体の区域内において製造等を行うことにより当該返礼品等の価値の過半が生じている旨の証明(ロにおいて「証明」という。)が、総務大臣の定めるところにより、当該返礼品等の製造等を行う者によりなされているもの
ロ 当該地方団体が第一号寄附金の受領に伴い本号に該当する返礼品等を提供する旨を表示して当該第一号寄附金の募集を開始する日までに、当該地方団体によって、証明の内容が総務大臣の定めるところにより公表されるもの

要件の文言は「工程の主要な部分+相応の付加価値」から「価値の過半」に変わり、あわせてイ(製造業者による証明)とロ(地方団体による公表)が新設される。「要件自体は変更なし」というのは実態と異なる。

標準的な算出方法(令和8年4月1日付け総税市第30号)逐語:

(総務大臣が定める標準的な算出方法)
算式 (A-B)/A
算式の符号
A:当該地方団体による返礼品等の調達費用
B:当該返礼品等の製造・販売等のために当該地方団体の区域外で生じた費用

この算式で算出した割合が過半であることが要件。その他の算出方法を用いる場合は、理由と算出方法の詳細を記載し、総務省が個別に確認する(総税市第71号)。「価格に基づく算出」という表現は一次資料には見当たらない。

証明・公表の一覧表(記載項目6つ、令和8年4月1日付け総税市第30号 別紙2 別添2):①返礼品等の名称 ②区域内において生じた価値の割合 ③算出方法(標準的/その他。その他の場合は理由と詳細) ④返礼品等の製造・加工地(国内は都道府県名+市区町村名、国外は国名) ⑤地方団体における調達費用 ⑥一般販売価格(非売品の場合は類似製品の通常価格)。公表期限は、当該返礼品等を提供する旨を表示して募集を開始する日まで。地方団体が管理するウェブサイトに掲載する。

調達費用の妥当性(総税市第71号 逐語):

なお、当該算出方法等に用いる調達費用については、地方自治法…第2条第14項の「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」との規定や、地方財政法…第3条第1項の「合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない」との規定に照らして、妥当なものである必要があり、合理的な理由なく、一般消費者に対して販売する際の通常の価格よりも高額である場合には、付加価値基準の適合性に疑義が生じ得るものであること。

問題視されている典型例は、海外から6万円で輸入した産品を、国内で保管しただけで12万円で納品するようなケース(保管により6万円の付加価値が生じたとする算出)である。

第4号:近隣の他の市区町村産との混在

逐語:

四 返礼品等を提供する市町村又は特別区(以下この号及び第八号において「市区町村」という。)の区域内において生産されたものであって、近隣の他の市区町村の区域内において生産されたものと混在したもの(流通構造上、混在することが避けられない場合に限る。)であること。

判定要素 内容
対象 区域内産品と近隣市区町村産品が混在したセット
要件 「近隣」の地理的近接性に加え、流通構造上、混在することが避けられない場合に限る(任意にセットを組んでよい号ではない)
適合例 同一JAが集出荷を管轄する複数市町村の産品が、集荷・選別の過程で混在せざるを得ない野菜の詰め合わせ
留意点 都道府県内であっても地理的に離れた市町村は該当しない場合がある

第5号:地方団体の広報目的のキャラクターグッズ・オリジナルグッズ等

改正前(〜2026年9月30日)は要件が1つだけだった:「形状、名称その他の特徴から当該地方団体の独自の返礼品等であることが明白なものであること」。

改正後(2026年10月1日〜)は要件が4つに増える。 逐語:

五 地方団体の広報の目的で製造等がされた当該地方団体のキャラクターグッズ、オリジナルグッズその他これらに類するものであって、次のいずれにも該当するものであること。
イ 形状、名称その他の特徴から当該地方団体の独自の返礼品等であることが明白なもの
ロ 指定対象期間の初日の属する年の前年の十月一日からその翌年の九月三十日までの間に、当該地方団体が広報の目的で自ら調達し、配布又は販売を行った実績(返礼品等の提供によるものを除く。)があるもの
ハ 指定対象期間において、当該地方団体が広報の目的で自ら調達し、配布又は販売を行う計画(返礼品等の提供によるものを除く。)を定めているもの
ニ 指定対象期間において、当該地方団体が返礼品等として提供する数量が、ロの配布又は販売を行った数量を超えないもの

ロ・ハ・ニが新設される。単にロゴやキャラクターを付しただけで、自治体自身の広報目的の配布・販売実績(返礼品としての提供とは別)がない商品は、2026年10月以降は返礼品として認められない方向になる。

第6号:前各号該当品に附帯するものを合わせて提供するもの

前各号(第1号〜第5号)のいずれかに該当する返礼品等に、これに附帯するものを合わせて提供する場合の号。返礼品等の提供に占める前各号該当品の価値が、全体の7割以上であることを要する。

第7号:区域内において提供される役務

宿泊の提供に係る役務を除く、区域内において提供される役務その他これに準ずるものが対象。役務の主要な部分が当該地方団体に相当程度関連性のあるものであることを要する。

判定要素 内容
対象 農業体験・工芸体験等の体験チケット、施設利用券、食事券等(宿泊は次項の第7号の2・第7号の3で判定)
要件 役務の主要な部分が当該地方団体に相当程度関連性のあること

第7号の2・第7号の3:宿泊に係る役務

逐語(第7号の2):

七の二 当該地方団体の区域内に所在する宿泊施設であって、当該地方団体の属する都道府県の区域内においてのみ宿泊施設の運営を行う者が運営するもの(フランチャイズチェーン等の方式により、当該地方団体の属する都道府県の区域外に所在する宿泊施設のブランド名を冠するものを除く。)における宿泊の提供に係る役務であること。

全国チェーンのホテルは第7号の2から明示的に除外される。 その場合は第7号の3で判定する。逐語:

七の三 当該地方団体の区域内に所在する宿泊施設における宿泊の提供に係る役務であって前号に該当しないもののうち、次のいずれかに該当するものであること。
イ 当該役務の調達に要する費用の額が一夜につき一人当たり五万円を超えないもの
ロ (特定非常災害の被災地に係る特例)

全国チェーンのホテルでも区域内に所在すれば適合する、と理解されることがあるが、これは誤りである。 都道府県内でのみ運営する事業者の施設は第7号の2に該当し金額の上限がないが、全国チェーンは第7号の3に落ち、調達費用が一夜一人当たり5万円を超えないことが要件になる。

第7号の4:地域のエネルギー源による発電電気

当該地方団体の区域内において、地域のエネルギー源により発電された電気が対象。

第8号:広域連携・都道府県による認定

イ 市区町村が近隣市区町村と共同で共通の返礼品とするもの/ロ 都道府県が域内の複数市区町村と連携した共通の返礼品/ハ 都道府県が域内の複数市区町村で地域資源として相当程度認識されている物品と市区町村を認定したもの、の3類型である。

第9号:災害時の代替品

震災・風水害・落雷・火災その他これらに類する災害により甚大な被害を受け、従前の返礼品を提供できなくなった場合の代替品が対象である。


告示の条番号は2026年10月1日から変わる

令和8年総務省告示第145号(令和8年3月31日公布・令和8年10月1日施行)が平成31年総務省告示第179号を改正し、条番号を組み替えた。この告示が変えるのは条番号だけであり、条文の中身(第3号・第5号の要件など)を変えたのは前掲の令和7年総務省告示第220号である。 本記事で条を引くときは「2026年9月30日まで/10月1日から」の別を必ず併記している。対照表は次のとおりである。

内容 〜2026年9月30日 2026年10月1日〜
法の「総務大臣が定めるもの」(物品・役務との交換、電気) 告示第3条 告示第2条
募集の適正な実施に係る基準 告示第2条 告示第3条
募集費用5割以下 告示第2条第2号 削除(寄附金活用可能額基準に置き換え)
1支払先100万円以上の支払先公表 告示第2条第2号の2 告示第3条第2号
寄附金の活用に係る基準 (なし) 告示第4条(新設)
返礼品等の調達費用の額の算定 告示第4条 告示第5条
地場産品基準 告示第5条 告示第6条

告示145号 附則の逐語:

1 この告示は、令和八年十月一日から施行する。
2 この告示による改正後の平成三十一年総務省告示第百七十九号第二条から第六条までの規定は、この告示の施行の日以後に開始する指定対象期間に係る…指定について適用し、同日前に開始した指定対象期間に係る指定については、なお従前の例による。

総務省の実務通知(令和8年6月26日付け総税市第71号)もすでに新条番号で章立てしている:「3.募集適正基準(告示第3条関係)」「4.寄附金活用基準(告示第4条関係)」「5.返礼割合3割以下基準(告示第5条関係)」「6.地場産品基準(告示第6条関係)」。

あわせて、地方税法第37条の2第2項(市町村民税は第314条の7第2項)の号も繰り下がる。

内容 〜2026年9月30日 2026年10月1日〜
募集の適正な実施 第1号 第1号
寄附金活用可能額(60%以上)・使途公表 (なし) 第2号(新設)
返礼品調達費用が3割以下 第2号 第3号
地場産品基準 第3号 第4号
過去の基準不適合がないこと 第4号(前1年以内) 第5号(前4年以内。2026年10月1日施行。ただし経過措置あり。後述)
報告拒否・虚偽報告がないこと 第5号 第6号

2026年10月1日からの主な変更点

費用の透明化

どこに公表するのか:総務省への提出ではなく、自治体自身が管理するウェブサイトで公表する。令和8年6月26日付け総税市第71号逐語:

募集に要する費用の透明化を促進するため、毎年度の募集に要する費用の支払のうち1支払先あたり100万円以上のものについて、その支払先、支払額及び支払目的を総務大臣通知に定める様式により、翌年度の9月30日までに地方団体が管理するウェブサイトで公表するよう求めている。

記載事項は4つ(告示第3条第2号):支払先の氏名または名称、住所または本店若しくは主たる事務所の所在地、支払額、支払目的。支払先が個人である場合の例外:公表について当該個人の同意がある場合を除き、氏名・住所に代えて「これらを公表しない旨」を記載する。

透明化項目 内容 適用時期
支払先の社名・金額の公表 1支払先あたり100万円以上の募集費用について、支払先の氏名・名称・所在地・支払額・支払目的を、地方団体が管理するウェブサイトで公表。区分は調達・送付・広報・決済・事務・その他の全支払先が対象(仲介業者はその一部にすぎない) 令和7年度(2025年度)の募集費用について、令和8年9月30日までに公表
個人が支払先の場合 本人の同意がなければ氏名・住所は非公表とし、その旨を記載する 同上
例外 令和7年4月1日〜9月30日の費用について公表を避けるべき特段の理由があるときは、令和7年10月1日〜令和8年3月31日の費用について公表することができる(令和7年総務省告示第220号 附則第3項) 同上
対象 自治体が公表義務を負う 同上

寄附金活用可能額基準・指定取消に関する改正

寄附金活用可能額基準(募集費用5割以下から置き換わる基準)の詳細は「募集費用の『5割基準』と『寄附金活用可能額基準』」の節を参照。要点だけ再掲すると、地方税法第37条の2第2項第2号(令和8年法律第2号で新設・法定済み) により、R8指定対象期間(2026年10月〜2027年9月)は寄附金活用可能額52.5%以上(経過措置)が基準となる。

改正項目 現行(〜2026年9月30日) 改正後(2026年10月1日〜) 適用時期
取消後の再申出禁止期間 — 3年以内の期間を定めて指定を行わない旨を決定(地方税法第37条の2第6項) すでに施行済み。令和8年4月1日以降に基準違反の事実が生じた場合に、新ルール(3年以内)が適用される(総税市第71号)
取消の遡及期間 指定対象期間の初日前1年以内の違反 初日前4年以内の違反(ただし経過措置あり。次項参照) 2026年10月1日施行。同日以後に開始する指定対象期間に係る指定から適用される

「取消後の再申出禁止期間」の適用ルールと、後掲FAQ Q5の「再申出できる時期の計算方法」は、基準にしている日付が異なる。 前者は基準違反が発生した日(令和8年4月1日以降か否か)で新ルール(3年以内)の適用有無を決める。後者は取消処分が行われた日(令和8年3月31日以前か否か)で、再申出可能時期の計算方法(2年で計算するか、総務大臣が定める期間で計算するか)を決める。両者は同じ通知の別々の記述であり、通常は同じ結論になるが、基準違反の発生と取消処分の間には時間差があり得るため、常に一致するとは限らない。

根拠: 地方税法第37条の2第6項(再申出禁止期間)、同条第2項第5号(遡及期間、2026年10月1日施行)。いずれも令和8年度税制改正(令和8年法律第2号)で法定済み。

遡及期間「前4年以内」には経過措置がある(重要)

条文上は「指定対象期間の初日前四年以内」だが、経過措置により、当面はこの4年がフルには適用されない。 令和8年4月1日付け総税市第34号 添付「地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)改正要綱」逐語:

ロ 総務大臣は、指定をした都道府県等が指定対象期間の初日前四年以内に指定基準に適合していなかったと認めるときは、指定を取り消すことができることとする。
…
ト 指定対象期間の初日が令和十一年九月三十日までの期間に属する場合におけるロの適用については、ロの「指定対象期間の初日前四年以内」とあるのは、「令和七年十月一日から指定対象期間の初日の前日までの間」とする。

つまり、令和11年9月30日までの期間に属する指定対象期間については、「4年以内」ではなく「令和7年10月1日から指定対象期間の初日の前日まで」に読み替えられる。

指定対象期間の初日 実際に遡って見られる範囲
2026年10月1日(R8指定) 令和7年10月1日〜令和8年9月30日 = 実質1年
2027年10月1日(R9指定) 令和7年10月1日〜令和9年9月30日 = 実質2年
2028年10月1日(R10指定) 令和7年10月1日〜令和10年9月30日 = 実質3年
2029年10月1日(R11指定)以降 ここから4年フル(経過措置は令和11年9月30日までの初日に適用されるため)

これらの改正は、形式的に地場産品基準を満たしているが実質的に地域との関連性が薄い返礼品を排除することを目的としている。


仲介サイトとの実務対応

主要仲介サイトの概要

ふるさと納税の仲介サイト(ポータルサイト)は、寄附者と自治体を結ぶプラットフォームである。自治体はこれらのサイトを通じて返礼品情報を掲載し、寄附を受け付ける。

サイト名 運営事業者 特徴
ふるさとチョイス 株式会社トラストバンク 掲載自治体数最多、老舗プラットフォーム
さとふる 株式会社さとふる(ソフトバンクグループ) 配送管理の一元化に強み
楽天ふるさと納税 楽天グループ株式会社 楽天経済圏との連携
ふるなび 株式会社アイモバイル 家電等の返礼品に強み
ANAのふるさと納税 全日本空輸株式会社 マイル連携

ポイント付与禁止の告示改正

2024年(令和6年)6月28日の告示改正により、2025年(令和7年)10月1日から、寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集が禁止された(募集適正基準の改正)。

項目 内容
改正の根拠 平成31年総務省告示第179号の改正(令和6年6月28日)
適用開始日 2025年10月1日
禁止内容 仲介サイトによる寄附に伴う独自ポイント付与
対象 全仲介サイト(楽天ふるさと納税、さとふる等すべて)
例外 自治体が独自に付与するポイント・感謝券等は対象外

令和8年8月20日の新通知:ポータルサイトの表現規制の徹底

令和8年8月20日付け総税市第96号「ふるさと納税制度における募集適正基準の遵守の徹底について」 が発出された。ポータルサイトの表現に踏み込んだ内容であり、自治体担当者にとって直近の実務論点である。逐語:

一方で、返礼品等を掲載する一部ポータルサイトにおいては、「コスパ」、「特別寄附額」、「特別規格」、「家計応援」、「物価高応援」など、通常よりも必要寄附金額が割安であると寄附者に認識させる表現を用いた事例が散見されており、これらは募集適正基準に違反するおそれが高いと考えています。また、将来的な必要寄附金額の引上げを予告して募集を行うことも同様です。

「適切な寄附先の選択を阻害するような表現」に該当するか否かは、単に特定の文言を用いているかではなく、地方団体が募集に際し用いている表現全体を総合的に勘案して判断するものであり、Q&A別紙1問5に例示されている表現を用いなければ、募集適正基準違反とはならないという趣旨ではありません。

また、ふるさと納税に関係する外部事業者がポータルサイト上で「適切な寄附先の選択を阻害するような表現」を行った場合であっても、指定取消の対象となるのは当該地方団体です。

なお、各地方団体における取組状況を踏まえ、今後、調査を行うことを検討することとしています。

論点 内容
名指しされた表現 「コスパ」「特別寄附額」「特別規格」「家計応援」「物価高応援」
将来の引上げ予告 必要寄附金額の将来的な引上げを予告して募集することも違反のおそれ
判断基準 特定の文言の有無ではなく、表現全体を総合的に勘案。例示にない表現も違反となりうる
責任の所在 外部事業者(ポータルサイト運営事業者等)の表現であっても、指定取消の対象は当該地方団体
今後 総務省が調査を検討中

仲介サイト利用料と寄附金活用可能額基準の関係

仲介サイトへの利用料は、2026年9月30日までは5割基準における「募集に要する費用」に、2026年10月1日からは寄附金活用可能額基準における「募集に要する費用」に含まれる。自治体は複数サイトに掲載する場合、各サイトへの利用料の合計が基準値(R8指定対象期間は募集費用47.5%以下)を圧迫しないか管理する必要がある。

サイト 利用料率の目安 備考
ふるさとチョイス 寄附額の約8~10% 基本プランにより異なる
さとふる 寄附額の約10~12% 配送管理込みのプランあり
楽天ふるさと納税 寄附額の約8~12% 広告費用等により変動
ふるなび 寄附額の約8~10% プランにより異なる

注記: 上記の利用料率はあくまで目安であり、実際の料率は各仲介サイトとの個別契約内容、自治体の寄附規模、掲載プランの種別(基本掲載・広告オプション・配送代行の有無等)により異なる。自治体は契約前に各サイトから正式な見積りを取得し、寄附金活用可能額基準への影響を精査する必要がある。

総務省がポータルサイト手数料の実測値を公表し、引下げを要請している。 令和8年6月26日付け総税市第71号逐語:

特に、ふるさと納税のポータルサイト手数料に関しては、令和6年度における実質的な手数料が1,379億円、手数料率にして11.5%に達していることから、令和8年5月22日に、総務省として、大手ポータルサイト運営事業者が参加する一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に対し、速やかにポータルサイト手数料の引下げに取り組んでいただくよう要請したところ。各地方団体においても、今回の要請を踏まえつつ、ポータルサイト手数料等の見直しに向け各事業者と調整していただくなど、適切に対応いただきたいこと。なお、各地方団体における対応状況については、今後、調査を予定していること。

手数料率11.5%という総務省の実測値は、寄附金活用可能額基準(R8指定対象期間は52.5%以上)を満たすうえで最大の論点の一つになる。 個別契約での引下げ交渉は、各地方団体における対応状況の調査対象にもなり得る。


不指定・取消事例と注意点

制度創設時の不指定(2019年)

指定制度が創設された2019年(令和元年)6月1日の時点で、以下の4自治体が不指定とされた。

自治体 不指定の主な理由
大阪府泉佐野市 制度創設前に社会通念上節度を欠いた募集を行っていた
静岡県小山町 Amazonギフト券等の提供による過度な返礼
和歌山県高野町(※後に指定) 旅行券の提供による過度な返礼
佐賀県みやき町(※後に指定) 返礼品基準への適合性に疑義

泉佐野市の最高裁判決(令和2年6月30日)

泉佐野市は不指定処分の取消を求めて提訴し、最高裁判所第三小法廷は令和2年6月30日判決(令和2年(行ヒ)第68号)において、泉佐野市の逆転勝訴を言い渡した。最高裁は、泉佐野市の募集態様が「社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ない」としつつも、制度創設前には返礼品に関する法令上の規制が存在しなかったことから、過去の行為を理由とする不指定は違法と判断した。

指定取消事例

指定制度の運用開始後、2020年以降、以下の自治体が指定取消処分を受けている。

自治体 取消時期 違反の類型
高知県奈半利町 2020年7月 3割基準超過の返礼品を提供
宮崎県都農町 2022年1月 返礼品調達費が3割基準を大幅に超過(寄附額規模:年間約82億円・全国5位)
兵庫県洲本市 2022年5月 温泉券の返礼割合を巡る基準違反
長野県須坂市/岡山県吉備中央町 令和7年6月13日(取消告示施行は6月17日) 産地の不適正表示に起因する地場産品基準違反
岡山県総社市/佐賀県みやき町/長崎県雲仙市/熊本県山都町 令和7年9月26日(取消告示施行は9月30日) 個別の取消理由は総務省の公表資料に記載がない

出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/001016768.pdf(須坂市・吉備中央町)、https://www.soumu.go.jp/main_content/001034046.pdf(総社市・みやき町・雲仙市・山都町)。

佐賀県みやき町は、2019年の制度創設時に返礼品基準への適合性への疑義から不指定とされたが(前掲「制度創設時の不指定」参照)、後に指定を受け、2025年9月に改めて取消しとなった。

令和7年6月の取消し事案の背景について、令和8年6月26日付け総税市第71号は次のように述べている:

令和7年6月には、産地の不適正表示に起因する地場産品基準違反による指定取消し事案が発生するとともに、その後も、ふるさと納税の返礼品等も含めた食品の産地偽装事案が複数発生しているところである。

産地表示の実務:各地方団体が必要な措置を講ずることなく、食品返礼品取扱事業者が産地名の表示を偽った場合は、指定の取消しの対象となり得る(総税市第71号、Q&A問13)。また、返礼品等の選定・調達、広告等の一部又は全部を外部事業者に委託している場合であっても、地場産品基準等に適合しなくなったと認められたときは指定の取消しの対象となり得る(同)。ポータルサイト上の表現について責任が自治体に帰属するという考え方(前掲・令和8年8月20日通知)と共通する。

都農町の事例の詳細

都農町では、宮崎牛の返礼品において、当初の取扱業者が大量受注に対応できなくなったため、別の業者に依頼して商品を調達した。この結果、追加経費が発生し、返礼品調達費が3割基準を大幅に超過した(報道では調達費率「60〜85%」という数値があるが、一次資料に到達できていないため具体的な割合は記載しない)。約1万8千件の不適合な返礼品が発送されており、指定取消後は制度に復帰できなかった(当時の再申出禁止期間は2年間。現行制度では3年以内)。

不指定・取消を避けるためのチェックポイント

チェック項目 確認内容 リスク
返礼品調達費の算定 税込価格で30%以下か 税抜計算による基準超過
募集費用の総額管理 全経費合計が基準値以下か(R8指定対象期間は寄附金活用可能額52.5%以上=募集費用47.5%以下) ポータルサイト利用料の積み上がり
地場産品基準の該当号 各号(第1号〜第9号+枝番)のいずれかに明確に該当するか 形式的な該当性のみでの判定
一般販売価格との整合性 返礼品が通常販売されている場合の価格と乖離がないか 「見かけ上の3割」への疑義
事業者の供給能力 繁忙期の受注増に対応可能か 都農町型の代替調達リスク
記録の保存 調達費用・経費の根拠資料を保管しているか 総務省の調査時に説明困難

自治体担当者の実務フロー

返礼品の選定から提供までの標準フロー

自治体担当者が返礼品を選定・審査・提供するまでの実務フローは以下の通りである。

ステップ 実施内容 確認事項
1. 事業者からの申請受付 返礼品候補の提案・申請書の受理 事業者の所在地、供給能力
2. 地場産品基準の該当性審査 該当号(第1号〜第9号+枝番)のいずれに該当するか判定 該当号の要件充足、エビデンスの確認
3. 返礼割合の算定 調達費用が寄附金額の30%以下か確認 税込価格での算定、一般販売価格との比較
4. 寄附金額の設定 返礼品調達費÷0.3以上の金額を設定 寄附金活用可能額基準(R8指定対象期間は募集費用47.5%以下が目安)を考慮した余裕のある設定
5. 仲介サイトへの掲載 返礼品情報・画像・説明文の登録 誇大表示の排除、正確な産地表示
6. 寄附受付・返礼品発送 受注管理、事業者への発注、配送管理 在庫管理、季節品の発送時期
7. 定期的なモニタリング 調達費の実態確認、寄附金活用可能額基準の月次管理 価格変動による基準超過の検知
8. 指定申出書の作成・提出 年次の申出手続(R8指定は令和8年7月1日〜31日で終了済み) 添付書類の整備、期限管理

指定申出時の添付書類

申出書には、各指定基準への適合を証する書類として以下を添付する(地方税法第37条の2第3項・第314条の7第3項、省令第1条の17の2第1項。令和8年6月26日付け総税市第71号)。

様式 内容 根拠
様式1-1 前指定対象期間に受領した寄附金(見込額)及びその募集に要した費用(見込額) 省令第1条の17の2第1項第2号
様式1-2(該当団体のみ) ふるさと納税の募集に要した費用が寄附金総額の5割を超える見込みとなった要因 同上
様式2(該当団体のみ) 指定対象期間に提供する返礼品等の内容 告示第6条関係、省令第1条の17の2第1項第1号
様式3(都道府県のみ) 都道府県が地域資源として認定する物品(告示第6条第8号ハ)について、事前に総務省へ提出 総税市第71号

提出経路:市区町村に係る申出書等は、それぞれの市区町村を包括する都道府県を経由して総務大臣に提出する(省令第1条の16第1項)。都道府県は市区町村から提出された申出書・様式2の内容を「申出集計表(都道府県取りまとめ用)」に転記して取りまとめ、総務大臣に提出する。

R8指定対象期間に限った特則:様式1-1・様式1-2は、法第37条の2第4項・第314条の7第4項に基づく報告の求めへの回答をもって、申出書への添付に代える扱いとなった(報告期限は令和8年7月末を予定)。また「特定地方団体」(総務省が指定に関し支障がないと認める地方団体)は様式2の提出を原則として省略できるが、告示第6条第3号(付加価値基準)該当の返礼品を提供する場合は、証明書の内容の一覧表(総務大臣通知 別紙2 別添2)の提出が必要である。

書類 内容
返礼品一覧 全返礼品の品名・寄附金額・調達費用・地場産品該当号
募集費用の内訳 寄附金活用可能額基準の判定に係る全費用の内訳
地場産品基準の適合根拠 各返礼品が地場産品基準に適合する理由・証拠
前年度の実績報告 寄附金受領額、返礼品送付状況、費用内訳の実績

年間スケジュール(目安)

時期 業務内容
4~5月 前年度実績の集計、指定申出の準備開始
6~7月 指定申出書・添付書類の作成・提出
8~9月 総務省による審査、指定の可否決定
10月 新指定対象期間の開始、返礼品ラインナップの更新
11~12月 寄附繁忙期(年末)、在庫・供給体制の強化
1~3月 受領証・ワンストップ特例申請書の処理、次年度準備

寄附者への影響と2026年以降の最適戦略

ここまでは主に自治体担当者向けの制度解説を行ってきたが、本セクションでは寄附者(個人)の視点から、2026年以降のふるさと納税制度の変化と最適な活用戦略を整理する。2025年10月のポイント付与禁止、2026年10月の付加価値基準導入、さらに令和8年度税制改正(令和8年法律第2号)で法定された高所得者向け控除上限の新設により、寄附者の行動にも大きな変化が求められている。

2026年改正が寄附者に与える影響まとめ

時期 改正内容 寄附者への影響
2025年10月〜 ポイント付与禁止(仲介サイト経由でのポイント付与が不可) 楽天ポイント・PayPayポイント等の上乗せがなくなり、サイト選びの基準が「ポイント還元率」から「使いやすさ・品揃え」に変化
2026年10月〜 付加価値基準の導入(域内で価値の過半が生じている旨の証明義務) 一部の返礼品(域外原材料の加工品等)がラインナップから消える可能性。従来人気だった商品が提供終了になるケースも
2026年10月〜 一般販売価格の記載義務化 返礼品の「お得度」が可視化され、寄附者が比較しやすくなる
令和8年9月30日まで 支払先の社名・金額の公表(仲介業者に限らず、調達・送付・広報・決済・事務等の全支払先が対象) 自治体の経費構造が透明化され、寄附金がどう使われているか判断しやすくなる
令和10年度分以後の個人住民税から 高所得者への控除上限の新設(令和8年法律第2号で法定済み) 年収約1億円超の高所得者は、ふるさと納税の控除上限に実質的な定額上限(合計193万円)が設けられる

年収別の控除上限額の目安

ふるさと納税の控除上限額は、個人住民税の所得割額の約2割が目安となる。以下の表は、給与所得者の年収別・家族構成別の控除上限額の目安である。

年収 独身または共働き 夫婦(配偶者控除あり) 共働き+子1人(高校生) 夫婦+子1人(高校生)
300万円 約28,000円 約19,000円 約19,000円 約11,000円
400万円 約42,000円 約33,000円 約33,000円 約25,000円
500万円 約61,000円 約49,000円 約49,000円 約40,000円
600万円 約77,000円 約69,000円 約69,000円 約57,000円
700万円 約108,000円 約86,000円 約86,000円 約78,000円
800万円 約129,000円 約120,000円 約120,000円 約110,000円
1,000万円 約176,000円 約166,000円 約166,000円 約157,000円
1,500万円 約389,000円 約389,000円 約377,000円 約377,000円
2,000万円 約564,000円 約564,000円 約552,000円 約552,000円

高所得者向け控除上限の新設(令和8年度税制改正で法定済み)

令和8年度税制改正(令和8年法律第2号)により、ふるさと納税の特例控除額に実質的な上限を設けることが法定された。 大綱段階の「方針」ではなく、法律の条文として確定している。現行制度では、住民税所得割額の2割が控除上限であるため、高所得者ほど控除上限額が大きくなる構造にある。

項目 内容
改正内容 特例控除額の控除限度額を、個人住民税所得割額の2割と、次の定額とのいずれか低い金額とする
定額の上限 道府県民税(地方税法第37条の2第11項ただし書)77万2千円(指定都市に住所を有する者は38万6千円)
市町村民税(同法第314条の7第11項ただし書)115万8千円(指定都市に住所を有する者は154万4千円)
→ 合計193万円
現行制度の構造 住民税所得割額の2割が上限。高所得者ほど控除上限額が大きくなる
適用時期 令和10年度分以後の個人住民税について適用
背景 高所得者が数千万円規模の控除を受けることで、居住地自治体の税収が大幅に流出している問題への対応

根拠: 地方税法第37条の2第11項ただし書、同法第314条の7第11項ただし書(いずれも令和8年度税制改正・令和8年法律第2号による)

この改正は、令和8年度税制改正の全体像の一部として、超富裕層への課税適正化(ミニマム税の強化等)と同じ文脈に位置づけられる。

ポイント禁止後の寄附サイト選びと実務戦略

2025年10月のポイント付与禁止により、従来の「ポイント還元率が最も高いサイトを選ぶ」という戦略は意味をなさなくなった。ポイント禁止後の寄附サイト選びの基準を以下に整理する。

選定基準 確認すべきポイント
返礼品の品揃え 自分が希望するジャンル(食品・日用品・体験等)の掲載数。サイトによって得意分野が異なる
検索・絞込みの使いやすさ カテゴリ検索、金額帯絞込み、レビュー表示の充実度
レビュー・口コミの充実度 実際の寄附者による返礼品の評価が確認できるか
配送管理 配送状況の追跡、届け先変更、配送日指定の柔軟性
ワンストップ特例の対応 オンラインでのワンストップ特例申請(マイナンバーカード利用)に対応しているか
決済方法 クレジットカード、PayPay、d払い等の対応状況

ワンストップ特例制度の活用ポイント

項目 内容
利用条件 確定申告が不要な給与所得者で、寄附先が年間5自治体以内
申請方法 寄附後に送付される申請書を寄附先自治体に提出(マイナンバーカードを利用したオンライン申請も普及中)
申請期限 寄附年の翌年1月10日必着
注意点 医療費控除等で確定申告を行う場合はワンストップ特例が無効になるため、寄附金控除も確定申告で申告が必要

「お得な返礼品」の選び方と活用のコツ

ポイント還元がなくなった今、返礼品そのものの価値を見極める力がより重要になっている。以下に、返礼品選びの実務的なポイントを整理する。

還元率の考え方(3割基準の中での選び方)

返礼品の調達費用は寄附金額の3割以下と定められているが、この「3割」は自治体の調達価格ベースである。同じ寄附金額でも、返礼品の一般販売価格(市場価格)は商品によって異なる。

寄附金額 返礼品A(食品) 返礼品B(日用品)
10,000円 自治体調達価格3,000円・市場価格4,500円 自治体調達価格2,500円・市場価格2,800円
実質還元率 約45% 約28%

2026年10月以降は一般販売価格の記載が義務化されるため、この比較がさらに容易になる。

定期便の活用

メリット 内容
計画的な消費 毎月届くため冷凍庫の圧迫を避けられる
年間を通じた品質 旬の時期に合わせた発送で品質が安定
まとめて寄附が完了 1回の寄附で年間分の返礼品を確保できる
ワンストップ特例の自治体数節約 1自治体への寄附で複数回届くため、5自治体枠を節約できる

地場産品基準の理解が返礼品選びに役立つ理由

本記事の前半で解説した地場産品基準の各号を理解することで、返礼品の「地域との本質的なつながり」を判断できる。2026年10月以降、付加価値基準を満たさない返礼品は提供終了となるため、第1号(区域内生産)や第2号(原材料の主要部分が区域内産)に該当する返礼品は基準変更の影響を受けにくく、長期的に安定して提供される傾向がある。

地場産品基準の該当号 基準変更の影響 返礼品選びのポイント
第1号(区域内生産) 影響小 地元の農水畜産物はそのまま継続の可能性が高い
第2号(原材料の主要部分が区域内産) 影響小 地元原材料を使った加工品も安定
第3号(区域内での製造・加工。付加価値基準) 影響大 域外原材料の加工品は価値の過半が区域内で生じている旨の証明が必要
第5号(広報目的のキャラクターグッズ・オリジナルグッズ) 影響大 ロゴ付きだけの商品は自治体自身の配布・販売実績が必要に

今すぐやること:2026年10月改正対応チェックリスト

R8指定(令和8年10月1日〜令和9年9月30日)の申出は令和8年7月31日ですでに締め切られている。 以下は現在(2026年10月)を起点に、確認すべき順に並べ直したものである。9月30日期限の項目が未了なら、直ちに対応すること。

9月30日期限だったもの(未了なら直ちに)

  • 支払先の社名・金額の公表(財務・契約担当):1支払先あたり100万円以上の取引先について、調達・送付・広報・決済・事務・その他の全区分を対象に社名・金額を整理し、令和8年9月30日までに自治体のウェブサイトで公表する。公表を避けるべき特段の理由がある費用については例外規定(令和7年10月〜令和8年3月分の費用で代替公表可)を検討する

R8指定対象期間(10月1日開始)の募集で確認すること

  • 付加価値基準の証明書取得と一覧表の公表(ふるさと納税担当課):第6条第3号該当の返礼品について、標準的な算出方法((A-B)/A)で価値の過半が区域内で生じている旨の証明を製造業者から取得し、募集を開始する日までに一覧表(6項目)をウェブサイトで公表する。未公表の返礼品は、公表を終えてから募集を開始する
  • ロゴ付き商品の実績確認(ふるさと納税担当課):自治体ロゴ・キャラクターを付しただけの返礼品について、前年10月1日〜当年9月30日の自治体自身による配布・販売実績(返礼品提供によるものを除く)を確認。実績がない場合は返礼品から除外するか、実配布・実販売を開始する
  • ポータルサイト表現の点検(広報・契約担当):「コスパ」「特別寄附額」等、割安さを強調する表現がポータルサイト上にないか点検する(令和8年8月20日付け総税市第96号)

令和9年指定(2027年7月申出予定)に向けて

  • 寄附金活用可能額52.5%以上の実績確保(財務担当):R8指定対象期間の寄附金活用可能額が経過措置値(52.5%)を下回ると、令和9年10月開始の指定対象期間で取消対象となり得る。月次で募集費用と寄附金受領額をモニタリングする
  • ポータルサイト手数料の見直し交渉(財務・契約担当):総務省が実測した手数料率11.5%(令和6年度)を踏まえ、各事業者と手数料引下げの調整を進める

中期:年度内に体制整備

  • 月次モニタリング体制の構築(ふるさと納税担当課・財務担当):返礼品ごとの調達費率と全体の経費率を毎月集計し、基準超過リスクを早期検知する仕組みを整える
  • 繁忙期の供給体制確認(ふるさと納税担当課):12月の寄附集中期に向けて、返礼品ごとの月間最大供給量を事業者と書面で合意し、仲介サイト上の在庫数管理を設定する

よくある質問(FAQ)

Q1. 返礼品の「3割基準」は小売価格と調達価格のどちらで判定するのか?

A. 3割基準は、地方団体が返礼品の調達に「現に支出した額」(告示第4条第1号。2026年10月1日からは第5条第1号)で判定する。すなわち、自治体が事業者に支払う調達価格(税込)が寄附金額の30%以下であるかが基準となる。この30%という基準値自体は告示ではなく地方税法第37条の2第2項第2号(10月1日からは第3号)に規定されている。ただし、調達価格が一般的な小売価格と比較して著しく低い場合(例えば定価1万円の商品を2千円で調達)、寄附者にとっての実質的な返礼割合は30%を大幅に超過する可能性があり、総務省から是正を求められる場合がある。

Q2. 自治体のロゴやキャラクターを印刷しただけの商品は地場産品基準に適合するのか?

A. 現行基準(〜2026年9月30日)では、単にロゴやキャラクターを付しただけの商品は、地場産品基準第5号(広報目的のキャラクターグッズ・オリジナルグッズ等)に、「形状、名称その他の特徴から独自の返礼品等であることが明白」という1要件だけで該当する余地があった。しかし、2026年10月1日施行の告示改正により、①自治体自身が広報目的で自ら調達し配布・販売を行った実績(前年10月1日〜当年9月30日)、②同様の配布・販売計画、③返礼品としての提供数量が①の数量を超えないこと、の3要件が追加され、要件は合計4つになる。したがって、実質的な配布・販売実績のないロゴ付き商品は、2026年10月以降は返礼品として認められない方向である。

Q3. 近隣市町村の農産物を含むセット商品を返礼品にすることは可能か?

A. 告示第5条第4号(2026年10月1日からは第6条第4号)により、当該自治体の区域内で生産されたものと「近隣の他の市区町村」で生産されたものが混在したセット商品は地場産品基準に適合し得る。ただし、「流通構造上、混在することが避けられない場合に限る」という限定がある(条文の括弧書き)。単に近隣自治体の産品を任意に組み合わせてよいわけではない。「近隣」とは、単に同一都道府県内というだけでは足りず、「地理的に近隣であって、経済、社会、文化又は住民生活等において密接な関係を有する市区町村」として判定される。

Q4. 仲介サイトのポイント付与禁止後、自治体独自のポイント制度は継続できるのか?

A. 2025年10月1日施行の告示改正で禁止されるのは、「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集」である。すなわち、仲介サイト(ポータルサイト運営事業者)が独自に付与するポイントが禁止の対象であり、自治体が独自に運営するポイント制度(例えば、自治体独自のポータルサイトで寄附に応じて自治体ポイントを付与し、それを返礼品と交換する仕組み)は、直ちに禁止の対象とはならない。ただし、当該ポイント制度は、地場産品基準の各号のいずれかに該当する返礼品等とのみ交換させるものである必要がある(告示第5条柱書、2026年10月1日からは第6条柱書の括弧書き。号として独立しているわけではない)。

Q5. 指定を取り消された場合、いつ再申出ができるのか?

A. 令和8年3月31日以前に指定を取り消された地方団体は、取消の日から起算して2年を経過する日の属する月の初日から末日までの間に、1回に限り再申出ができる(例:2024年7月15日に取消された場合、2026年7月1日〜7月31日)。それ以降に取り消された団体は、総務大臣が定める期間(3年以内)を経過する日の属する月の初日から末日までの間となる(令和8年6月26日付け総税市第71号。根拠は地方税法施行規則第1条の15の2、第1条の16第2項・第3項)。再申出の際は、違反内容の是正措置と再発防止策を添付書類に含める必要がある。

この2年/3年以内という区分は取消処分が行われた日を基準にしている。これに対し、前掲「指定取消に関する改正」表の「3年以内」の新ルールは基準違反が発生した日(令和8年4月1日以降か否か)を基準に適用の有無を決めている。同じ通知の別々の記述であり、通常は同じ結論になるが、基準違反の発生が令和8年3月31日以前で、取消処分が令和8年4月1日以降になったケースがどちらの扱いになるかは、通知の記載からは読み取れない。 該当しうる団体は、総務省自治税務局市町村税課に個別に確認されたい。

なお、総務大臣による指定を受けられなかった(不指定の)地方団体は、取消の場合とは別の期間で再申出ができる。R8指定を受けられなかった団体の場合、令和9年4月1日〜8月31日の間に1回に限り申出書等を提出できる(総税市第71号)。

Q6. 寄附金活用可能額基準を下回った場合、直ちに指定が取り消されるのか?

A. 直ちに指定が取り消されるわけではない。ただし、R8指定対象期間(令和8年10月〜令和9年9月)の寄附金活用可能額の割合が経過措置値(100分の52.5)を下回った地方団体は、令和9年10月1日から開始する指定対象期間において指定取消しの対象となり得る(総税市第71号)。総務省はこれに関する実績調査も予定している。また、前期間(R7=令和7年10月〜令和8年9月)の5割基準についても、募集費用が寄附金受領額の合計額の5割を超過したことが実績調査で判明した場合、指定取消しの対象となり得る(総税市第71号)。自治体は月次での経費率モニタリングを行い、早期に超過リスクを検知する体制を構築すべきである。

Q7. 返礼品を提供しない「使途指定型」の寄附のみを募集する場合も指定は必要か?

A. 指定制度は、ふるさと納税の特例控除の適用を受けるために必要な制度であり、返礼品の提供の有無にかかわらず指定を受ける必要がある。返礼品を提供しない場合は返礼品基準・地場産品基準の適合は不要である。したがって、使途指定型の寄附のみを募集する自治体も、総務大臣への申出と指定を受ける手続は必要である。

返礼品を提供しない団体に求められる基準は、2026年10月1日から増える。 地方税法第37条の2第2項柱書は、返礼品を提供しない都道府県等に適用される基準を号で列挙している。2026年9月30日までは第一号(募集適正基準)・第四号(過去の基準不適合がないこと)・第五号(報告拒否・虚偽報告がないこと)の3つだが、2026年10月1日からはこれが第一号・第二号(寄附金活用可能額基準)・第五号・第六号(内容は従来の第四号・第五号と同じ)に改められる。つまり、返礼品を提供しない自治体も、2026年10月1日以降は寄附金活用可能額基準の対象になる(R8指定対象期間は経過措置により52.5%以上=募集費用47.5%以下)。使途指定型の寄附のみを募集する自治体も、この基準への対応が新たに必要になる。


R8指定の状況:2026年9月25日に指定済み、9月30日の公表期限は経過

確定している事実

  • R8指定(令和8年10月1日〜令和9年9月30日)の申出書等の提出期間は令和8年7月1日〜7月31日で、すでに終了している。 逐語(令和8年6月26日付け総税市第71号):

    申出書等の提出期間は、令和8年7月1日から同月31日までの間とするものであること(省令第1条の16第1項)。

  • 1支払先100万円以上の支払先公表の期限は令和8年9月30日で、すでに経過している。 逐語:

    令和8年指定対象期間の指定に当たっては、令和7年度の募集に要する費用を令和8年9月30日までに公表する必要があることから、指定申出を行った地方団体においては公表に向けた準備を進め、同日までに確実に公表すること。

  • 例外規定がある。 逐語:

    なお、令和7年4月1日から同年9月30日までの期間における募集に要する費用について、公表を避けるべき特段の理由があるときは、令和7年10月1日から令和8年3月31日までの期間における募集に要する費用について、公表すること(平成三十一年総務省告示第百七十九号の一部を改正する件(令和7年総務省告示第220号)附則第3項)。

  • R8指定は2026年9月25日に公表された。 総務省の報道資料「ふるさと納税指定制度に係る総務大臣の指定」(令和8年9月25日)は、令和8年10月1日から令和9年9月30日までの期間に係る対象団体を「別紙のとおり指定した」としている。同日には通知「ふるさと納税制度の適正な運用について」(令和8年9月25日総税市第108号)も出ている。前年のR7指定は令和7年9月26日告示(令和7年総務省告示第330号)。
  • 指定を受けられなかった団体の再申出は令和9年4月1日〜8月31日に1回限り。 逐語:

    総務大臣による指定を受けていない地方団体は令和9年4月1日から同年8月31日までの間に、指定を取り消された地方団体は当該取消しの日から起算して総務大臣が定める期間(令和8年3月31日以前に指定を取り消された地方団体については2年)を経過する日の属する月の初日から末日までの間に、それぞれ1回に限り、申出書等を総務大臣に提出することができる

ポイント付与禁止後の寄附動向

2025年10月のポイント付与禁止後の寄附動向について、四半期別の実績データは総務省の現況調査結果に含まれておらず、公表資料から離脱・増減の傾向を確認することはできない。実データとしては、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)通年の受入実績が約1兆3,314億円・約5,963万件と公表されており、令和6年度(約1兆2,727.5億円・約5,878.7万件)を上回り過去最高を更新している(令和8年7月31日公表「令和8年度ふるさと納税に関する現況調査結果」)。ただし令和7年度はポイント付与禁止(2025年10月1日)の前後が混在する期間であり、禁止前の駆け込み寄附があった可能性もある。「禁止後も増えた」と単純化することはできない。


免責事項

本記事は、ふるさと納税制度における返礼品基準・地場産品基準について、公開されている法令・告示・通知・判例等に基づき解説したものである。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、法令改正・告示改正・運用変更等により変更される場合がある。

個別の返礼品が地場産品基準に適合するか否かの判断、指定申出に係る手続等については、総務省自治税務局市町村税課への照会、又は自治体の顧問弁護士・行政書士等の専門家に確認されたい。本記事の情報に基づく判断・行為について、筆者及び運営者は一切の責任を負わない。


参考文献・法令等

法令

法令名 番号
地方税法 昭和25年法律第226号
地方税法施行令 昭和25年政令第245号
所得税法 昭和40年法律第33号
地方税法等の一部を改正する法律(指定制度の創設) 平成31年法律第2号
地方税法等の一部を改正する法律(寄附金活用可能額基準・控除上限・取消規定の改正) 令和8年法律第2号

総務省告示

告示名 番号
ふるさと納税に係る指定制度の基準(原告示) 平成31年総務省告示第179号
告示改正(2023年改正) 令和5年総務省告示第244号
告示改正(2024年改正・ポイント付与禁止) 令和6年6月28日改正
告示改正(2025年改正・地場産品基準厳格化の方向性) 令和7年総務省告示第220号(令和7年6月24日公布)
告示改正(条番号の全面組替え・寄附金活用に係る基準の新設等) 令和8年総務省告示第145号(令和8年3月31日公布・令和8年10月1日施行)
R7指定の告示 令和7年総務省告示第330号(令和7年9月26日)

総務省通知

  • 総務省自治税務局市町村税課長通知(総税市第74号、令和7年6月24日)
  • 総務省自治税務局市町村税課長通知(総税市第30号、令和8年4月1日):付加価値基準の標準的な算出方法・公表様式
  • 総務省自治税務局市町村税課長通知(総税市第34号、令和8年4月1日):募集費用の計上方法(寄附金受領日ベース)
  • 総務省自治税務局市町村税課長通知(総税市第71号、令和8年6月26日):R8指定に係る運用の総合的な通知
  • 総務省自治税務局市町村税課長通知(総税市第96号、令和8年8月20日):募集適正基準の遵守の徹底について
  • 総務省「令和8年度ふるさと納税に関する現況調査結果」(令和8年7月31日公表)

判例

  • 最高裁判所第三小法廷 令和2年6月30日判決(令和2年(行ヒ)第68号)不指定取消請求事件(泉佐野市事件)

税制改正の経緯

  • 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定):方針の表明
  • 令和8年度税制改正(令和8年法律第2号):法定・成立

参考資料

  • 総務省「ふるさと納税に係る指定制度について」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20190401.html)
  • 総務省「ふるさと納税に係る告示の改正」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000826061.pdf)
  • 総務省「ふるさと納税の指定基準等について」資料1(令和7年5月13日市町村税課)
  • 総務省「ふるさと納税のしくみ」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html)
  • 総務省「寄附金活用可能額の設定及び使途の公表(案)」(令和8年3月24日公表資料):経過措置4段階(R8:52.5%、R9:55%、R10:57.5%、R11:60%)の出典
JG

実務ガイド編集部

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本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。