障害者雇用納付金の計算と申告実務|月50,000円・調整金29,000円・報奨金21,000円の正しい単価

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
障害者雇用納付金の計算と申告実務|月50,000円・調整金29,000円・報奨金21,000円の正しい単価
目次

最終更新日: 2026年5月

本記事は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)に申告する「障害者雇用納付金」「障害者雇用調整金」「報奨金」の計算と申告実務を、人事・経理担当者向けに整理したものである。法定雇用率2.7%への引上げ(2026年7月1日施行)と対象企業の37.5人以上拡大を受け、初めて納付金制度に対応する中小企業の実務担当者を主な読者として想定している。法改正全体像と5ステップ対応は障害者雇用率2.7%引上げ完全ガイドを参照されたい。

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⚠️ 本記事は2026年5月時点の障害者雇用促進法・障害者の雇用の促進等に関する法律施行令・JEED公表資料に基づく。 納付金月額50,000円/人・調整金月額29,000円/人・報奨金月額21,000円/人は確定値で、本則として2024年4月から既に適用されている(2024年改正で引上げ済み)。一方で「100人超300人以下の経過措置」(旧月40,000円減額)は適用期限切れで終了している点に注意。最終的な申告書様式・記入例は必ずJEED公式サイトの最新公示を確認すること。

障害者雇用納付金は、法定雇用率(2026年7月以降は2.7%)を達成できなかった常用労働者100人超の事業主が、不足1人あたり月額50,000円を独立行政法人JEEDに申告納付する制度である。逆に法定雇用率を超えて雇用する場合は、100人超の企業に調整金(月額29,000円/人)、100人以下の企業に報奨金(月額21,000円/人、要件充足時)が支給される。申告期間は毎年4月1日から5月15日(必着)で、提出先はJEED都道府県支部。本記事では計算式・申告実務・減額調整・規模別シミュレーション・よくある計算ミスまでを網羅した。

実務ポイント

納付金単価は本則の月50,000円のみ。かつての「100〜300人企業向け月40,000円減額の経過措置」は適用期限切れで終了済み。常用労働者101人以上は規模を問わず月50,000円が適用される。

申告期間は4月1日〜5月15日(必着)。前年度4月から3月までの実績を翌年度4月以降に申告する。納付金は5月15日までの申告と同時納付(口座振替・銀行振込・延納制度あり)。遅延すると追徴金10%が科される。

調整金・報奨金には「年120人月」「年420人月」の減額調整境界がある。一定規模を超えて支給される分は単価が下がる(調整金29,000円→23,000円、報奨金21,000円→16,000円)。大企業ほど超過分の単価が低くなる仕組みだ。


障害者雇用納付金制度の全体像

制度の目的と法的根拠

障害者雇用納付金制度は、障害者雇用促進法(昭和35年法律第123号)第49条以下に基づき、障害者を雇用することによる経済的負担の調整と、障害者雇用の促進・継続を図るための共同拠出金制度である。法定雇用率を達成している企業と達成していない企業の経済的負担を調整し、達成企業に調整金・報奨金として還元する。

実施主体は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED:Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers)。事業主は本社所在地を管轄するJEED都道府県支部に申告書を提出する。

4つの金銭給付・徴収の関係

名称 対象事業主 単価(月額/人) 性質
納付金 常用労働者101人以上で法定雇用率未達成 50,000円 徴収(事業主負担)
調整金 常用労働者101人以上で法定雇用率超過 29,000円 支給(事業主受取)
報奨金 常用労働者100人以下で一定要件超過雇用 21,000円 支給(事業主受取)
在宅就業障害者特例調整金/報奨金 在宅就業障害者・在宅就業支援団体への発注 発注額に応じる 支給(追加分)

重要: 「100人ジャスト」は「100人以下扱い」(報奨金対象)。「101人以上」が「100人超扱い」(納付金・調整金対象)となる。境界規模の企業は常用労働者数の月平均を厳密に確認すること。

「常用労働者」の定義

常用労働者とは、次のいずれかに該当する者をいう(短時間労働者は0.5人カウント)。

  • 雇用契約の形式の如何を問わず、1年を超えて雇用される者または雇用が見込まれる者
  • 1年を超えて雇用された者
  • パート・アルバイトでも上記要件を満たせば含む

短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)は0.5人としてカウント。週20時間未満は原則カウント外(精神障害者の特例除く)。

詳細な判定境界は従業員37.5人判定ガイド(公開予定)で解説する。


納付金の計算式

基本計算式

納付金額は、各月ごとに法定雇用率未達成数を算定し、年間で合計する。

【月別不足数】 = 法定雇用障害者数(各月初日時点)− 実雇用障害者数(各月初日時点)
【年間不足月数】 = 各月の不足数を年間(4月〜翌3月)で合計
【納付金額】 = 年間不足月数 × 50,000円

「各月初日時点」とは、その月の1日時点における常用労働者数および雇用障害者数を意味する。月途中の入退社は翌月分から反映される。

法定雇用障害者数の算定

【法定雇用障害者数】 = 常用労働者数 × 法定雇用率(2026年7月以降は2.7%)

小数点以下は切り捨て。除外率業種は、常用労働者数から除外労働者数を控除した上で雇用率を乗じる。

: 常用労働者500人(除外率業種でない)の場合、500人 × 2.7% = 13.5人 → 13人が法定雇用障害者数。

実雇用障害者数の算定(重度・短時間特例)

実雇用障害者数の算定では、障害者の種別・重度区分・労働時間に応じてカウント数が異なる。

区分 通常(週30時間以上) 短時間(週20時間以上30時間未満)
身体障害者・知的障害者 1人 0.5人
重度身体障害者・重度知的障害者 2人(ダブルカウント) 1人
精神障害者 1人 1人(特例措置)※

精神障害者の短時間労働者特例: 一定要件(新規雇入れから3年以内または雇入れから精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内、かつ手帳更新有効期限内)を満たす精神障害者の短時間労働者は、当面1人としてカウントする特例措置が継続中(2018年4月施行・現行制度として継続中、有効期限は厚労省告示で都度確認)。要件外は0.5人カウントに戻る。最新要件は厚生労働省「障害者雇用率制度における精神障害者の取扱い」を必ず確認すること。

計算例:常用労働者300人、雇用率2.7%、不足2人の場合

常用労働者数 法定雇用障害者数 実雇用数 不足数
4月 300 8(300×2.7%=8.1切捨) 6 2
5月 302 8 6 2
6月 305 8 6 2
…(毎月同様)
3月 310 8 7 1
年間合計 23人月(仮)
納付金額 = 23人月 × 50,000円 = 1,150,000円(年額)

調整金(100人超企業)の計算

基本計算式

調整金は、常用労働者101人以上の事業主が法定雇用率を超えて障害者を雇用した場合に支給される。

【月別超過数】 = 実雇用障害者数(各月初日時点)− 法定雇用障害者数(各月初日時点)
【年間超過月数】 = 各月の超過数を年間(4月〜翌3月)で合計
【調整金額】 = 年間超過月数 × 29,000円

減額調整:年120人月超分は23,000円

調整金は、年間超過月数のうち120人月を超える分については、月額単価が23,000円に減額される。これは大規模事業主が大量に雇用した場合の財政負担を抑える趣旨である。

【調整金額】 = (min(年間超過月数, 120) × 29,000円)+(max(年間超過月数 − 120, 0) × 23,000円)

: 年間超過月数 240人月の場合(常用労働者1,000人規模で2.7%+20人超過のケース等)

120人月 × 29,000円 = 3,480,000円
(240 − 120)人月 × 23,000円 = 120人月 × 23,000円 = 2,760,000円
調整金額合計 = 6,240,000円(年額)

「年120人月」の意味

「年120人月」は、月平均10人の超過雇用に相当する(10人 × 12か月 = 120人月)。常用労働者数で見ると、概ね1,000〜1,500人規模の企業で雇用率を1〜2ポイント超過させた場合に到達する水準である。中堅・大企業の障害者雇用担当者は、この境界を意識して年度計画を立てる必要がある。


報奨金(100人以下企業)の計算

基本計算式と支給要件

報奨金は、常用労働者100人以下の事業主が、一定要件を超えて障害者を雇用した場合に支給される(100人ジャストは100人以下扱い)。

【支給要件】 = 各月の常用労働者数の年間合計の4%、または年72人月のいずれか多い数を超える雇用
【報奨金額】 = (年間支給対象超過月数)× 21,000円

要件の「いずれか多い数」がポイント。常用労働者数が少ない企業(37.5〜80人程度)では「年72人月」が基準となり、常用労働者数が90〜100人規模では「年4%」が基準になることが多い。

計算例①:常用労働者60人(年720人月)、障害者2人通年雇用の場合

4%基準:720人月 × 4% = 28.8人月
72人月基準:72人月(こちらが大きい)
→ 支給要件は「年72人月超の雇用」
雇用実績:2人 × 12か月 = 24人月
24人月 < 72人月 → 報奨金支給対象外

計算例②:常用労働者60人、障害者7人通年雇用の場合

雇用実績:7人 × 12か月 = 84人月
84人月 − 72人月 = 12人月(支給対象超過分)
報奨金額 = 12人月 × 21,000円 = 252,000円(年額)

減額調整:年420人月超分は16,000円

報奨金も、年間支給対象超過月数のうち420人月を超える分については月額単価が16,000円に減額される。ただし常用労働者100人以下の企業で年420人月超に到達することは稀(月35人超の超過雇用が必要)であり、特例子会社など特殊形態を除けば実務上ほとんど発生しない。

報奨金の落とし穴:「法定雇用率超過=即支給」ではない

中小企業(100人以下)は法定雇用率の対象外(37人以下)または雇用義務1〜2人(37.5〜100人)であるため、「障害者を1人雇えば即報奨金が出る」と誤解されがちだが、報奨金の支給要件は年4%または年72人月のいずれか多い数を超える雇用であって、法定雇用率超過の有無とは独立である。

例えば常用労働者40人の企業が雇用率2.7%で計算すると法定雇用障害者数は1人だが、報奨金支給には「年72人月超の雇用」(実質6人超の通年雇用)が必要で、ハードルは高い。報奨金を当てにした採用計画は要注意である。


申告フローと申告期限

年間スケジュール

時期 実施事項 主体
前年度 4/1〜翌3/31 雇用実績の発生(毎月初日時点でカウント) 事業主
翌4月初旬 JEED支部から申告書様式が郵送/オンライン公開 JEED
翌4/1〜5/15 申告書提出・納付金納付(必着) 事業主
翌6〜10月頃 調整金・報奨金の審査・支給 JEED
翌11〜12月頃 不足申告の追徴調査・口頭ヒアリング等 JEED

申告書類

書類名 内容
障害者雇用納付金等申告書 常用労働者数・雇用障害者数・除外率・納付金/調整金/報奨金の総括
申告書付属様式(各月内訳) 各月初日時点の常用労働者数・雇用障害者数の内訳(重度・短時間別)
障害者手帳の写し 雇用障害者全員分。等級・有効期限が明記されたページ
雇用契約書・労働条件通知書の写し 短時間労働者の所定労働時間確認のため(要請時提出)
除外率該当事業の証明書類 除外率業種に該当する事業所の場合

提出先・提出方法

提出先は本社所在地を管轄するJEED都道府県支部。提出方法は次のいずれか。

  • 電子申告: JEED電子申告システム(推奨。e-Govではなく専用システム)
  • 窓口持参: JEED都道府県支部の窓口(本社所在地管轄)
  • 郵送: 簡易書留・特定記録郵便等の追跡可能な方法を推奨。5/15必着

納付方法(納付金が発生する場合)

納付方法 手続き 備考
口座振替 申告書に振替口座を記入 JEED指定口座から自動引落(推奨)
銀行振込 JEED指定口座へ5/15までに振込 振込手数料は事業主負担
延納制度 申告時に延納申請。年3回(5月・8月・11月)の分割納付 100万円超(具体的な閾値は申告書記載の納付金額に応じてJEEDが定める)で利用可。延納希望の場合は所轄JEED支部に確認。延納利息あり

規模別シミュレーション

パターン①:境界規模(常用労働者37.5人)

新規対象企業の典型例。法定雇用率2.7%×37.5人=1.0人で、雇用義務1人が発生する。

項目 数値
常用労働者数 37.5人(短時間1人を0.5カウント)
法定雇用障害者数 1人
実雇用障害者数(仮:1人) 1人
納付金 対象外(100人以下のため)
報奨金(仮:障害者1人通年) 12人月 < 72人月 → 対象外
行政指導リスク なし(雇用率達成)

戦略: 1人雇用で法定雇用率達成。報奨金は対象外だが、特定求職者雇用開発助成金(重度等以外でも最大120万円・2年支給)が活用できる。納付金回避の最小コスト戦略は「1人雇用+特定求職者雇用開発助成金」の組合せ。

パターン②:100人ジャスト(境界規模)

調整金/報奨金の境界。100人ジャストは「100人以下」扱い。

項目 数値
常用労働者数 100人
法定雇用障害者数 2人(100×2.7%=2.7→切捨)
実雇用障害者数(仮:3人) 3人
納付金 対象外(100人以下扱い)
報奨金算定 4%基準:1,200×4%=48人月 / 72人月基準:72人月 → 大きい方は72人月
雇用実績 3人 × 12か月 = 36人月
報奨金 36人月 < 72人月 → 対象外

戦略: 100人企業で法定雇用率を達成しても、3人通年雇用程度では報奨金支給要件(年72人月超)に届かない。報奨金を狙うなら6〜7人通年雇用が必要だが、これは2.7%の倍以上で現実的でない。むしろ法令遵守と特定求職者雇用開発助成金の活用に注力するのが定石。

パターン③:300人規模(中規模)

納付金本則の月50,000円が適用される最初の規模帯。

項目 数値
常用労働者数 300人
法定雇用障害者数 8人(300×2.7%=8.1→切捨)
実雇用障害者数(仮:6人=不足2人) 6人
不足月数(年間) 2人 × 12か月 = 24人月
納付金額 24 × 50,000円 = 120万円/年
達成時シナリオ:実雇用9人(1人超過)の場合
超過月数(年間) 1人 × 12か月 = 12人月
調整金額 12 × 29,000円 = 34.8万円/年

戦略: 不足2人で年120万円の納付金は経営インパクト大。逆に1人超過雇用すれば年35万円の調整金+特定求職者雇用開発助成金(最大120万円)で実質プラス。「納付金回避」より「1人多めに雇用して調整金獲得」が経済合理的。


よくある計算ミス3選

ミス①:短時間労働者を1人カウントしている

症状: 週24時間勤務(週20時間以上30時間未満)の障害者を「1人」とカウントして実雇用数を過大に計上。結果、実際は雇用率未達成なのに「達成している」と誤認し、納付金未申告で追徴金発生。

正解: 短時間労働者は原則0.5人カウント(精神障害者の特例措置除く)。重度であっても短時間は1人カウント(重度通常の2人ダブルカウントは適用されない)。

区分 通常 短時間(20-30時間)
身体・知的(一般) 1.0 0.5
身体・知的(重度) 2.0 1.0
精神(特例該当) 1.0 1.0
精神(特例外) 1.0 0.5

対策: 雇用契約書の所定労働時間を全雇用障害者について再点検する。週30時間ジャストは「通常(1人カウント)」、週29時間59分は「短時間(0.5人カウント)」と境界が厳格である点に注意。

ミス②:精神障害者の特例適用を誤る

症状: 全ての精神障害者短時間労働者を1人カウントしてしまう。実際には特例要件(雇入れから3年以内かつ手帳取得から3年以内、手帳有効期限内等)を満たさない者まで含めてしまい、実雇用数を過大計上。

正解: 精神障害者短時間労働者の特例措置は、要件を満たす者のみが1人カウント対象。要件外(雇入れから3年超等)は通常の0.5人カウントに戻る。手帳の有効期限切れも要注意。

対策: 全精神障害者の手帳発行日・更新日・雇入れ日を一覧化し、各月初日時点で特例要件を満たすかをチェックする台帳を整備すること。

ミス③:除外労働者の数え漏れ

症状: 除外率業種(鉱業・建設業・船員等)の事業所で、除外労働者を控除せずに常用労働者数で雇用率を計算。結果、必要な実雇用数を過大に算定し、達成しているのに「未達成」と誤申告し、納付金過大納付。

正解: 除外率業種では、常用労働者数から除外労働者数を控除した上で法定雇用率を乗じる。除外率は2025年4月に各業種で10ポイント引下げが告示済みで、最新の除外率はJEED公表資料で確認する必要がある。

【除外率業種の法定雇用障害者数】
= (常用労働者数 − 除外労働者数)× 法定雇用率
※ 除外労働者数 = 当該事業所の常用労働者数 × 除外率

対策: 自社・自事業所が除外率業種に該当するかは「日本標準産業分類」で確認。該当する場合は最新の除外率告示(2025年4月施行版)に基づき、除外労働者数を厳密に算出する。


申告書の記入上の注意点

各月初日時点の正確な把握

申告書は「各月初日時点」の常用労働者数・雇用障害者数を月別に記入する。月途中の入退社は翌月分から反映される。月初日が土日祝の場合も、その日付時点の在籍者数で算定する(出勤の有無は無関係)。

雇用障害者の認定根拠(手帳の有効性)

雇用障害者として算定するには、各月初日時点で有効な障害者手帳を保有している必要がある。手帳の有効期限切れ・更新切れの月は雇用障害者として算定できない。

手帳種別 有効期限の有無 注意点
身体障害者手帳 原則なし(再認定指定者は期限あり) 再認定指定者は期限切れに注意
療育手帳(知的) 自治体により異なる 概ね2〜10年で更新。期限管理必須
精神障害者保健福祉手帳 2年ごとの更新 更新切れ月は算定不可。最も注意

対策: 各障害者の手帳有効期限を一覧化し、期限切れの3か月前に本人に更新案内する社内フローを整備。期限切れ月は雇用率算定から外し、申告書付属様式に正しく反映する。

特例子会社・関係会社特例の適用

特例子会社・関係会社特例の認定を受けた企業グループは、グループ全体で雇用率を通算できる。申告も親会社が一括して行う。認定要件・申請手続は障害者雇用率2.7%引上げ完全ガイドの特例子会社制度の節を参照。


申告漏れ・遅延のペナルティ

追徴金10%

申告期限(5月15日)までに申告しなかった場合、または虚偽申告が判明した場合、納付金本来額に10%の追徴金が加算される。例えば本来120万円の納付金が、120万円 + 12万円 = 132万円となる。

督促・滞納処分

納付金未納の場合は、督促状送付 → 督促状指定期日経過後の延滞金加算 → 国税滞納処分の例による滞納処分(差押え等)の流れで処理される。延滞金は年14.6%(最初の3か月間は年7.3%)と高率である。

行政指導と社名公表

法定雇用率の著しい未達成(雇用率0%または1人も雇用していない等)が続く場合、厚生労働大臣による雇入れ計画作成命令 → 適正実施勧告 → 企業名公表の段階的措置がとられる。社名公表は厚生労働省ウェブサイトで実名公開され、採用・取引先信用への影響が大きい。


まとめ

障害者雇用納付金制度の実務ポイントを整理する。

  • 納付金単価は本則の月50,000円のみ。100〜300人規模の経過措置(旧月40,000円)は終了済み。常用労働者101人以上は規模を問わず月50,000円
  • 申告期間は4月1日〜5月15日(必着)。提出先はJEED都道府県支部、提出方法は電子申告・窓口・郵送のいずれか
  • 調整金(100人超)は月29,000円、報奨金(100人以下)は月21,000円。100人ジャストは100人以下扱い
  • 減額調整境界: 調整金は年120人月超分が23,000円、報奨金は年420人月超分が16,000円
  • 報奨金の支給要件は「年4%または年72人月のいずれか多い数を超える雇用」。法定雇用率超過と独立した要件で、ハードルは意外と高い
  • 計算ミスの三大要因: 短時間労働者の0.5人カウント忘れ、精神障害者特例の誤適用、除外労働者の数え漏れ
  • 遅延・虚偽申告は追徴金10%+延滞金(年14.6%)。社名公表リスクもあり、雇用率達成と適正申告は経営課題

法定雇用率2.7%への引上げ(2026年7月施行)と対象企業の37.5人以上拡大により、新たに納付金制度の対象となる中小企業は数万社規模である。施行前の今こそ、計算実務と申告フローを正確に理解し、適正な雇用計画を組み立てるべきタイミングだ。改正全体像と5ステップ対応は障害者雇用率2.7%引上げ完全ガイド、判定境界の詳細は従業員37.5人判定ガイド(公開予定)を併せて参照されたい。


FAQ

A

A. 5月15日(必着)の期限を過ぎて申告した場合、納付金本来額に10%の追徴金が加算されます。さらに納付金未納のまま放置すると、督促状送付 → 延滞金加算(年14.6%、最初3か月は7.3%)→ 国税滞納処分の例による滞納処分(差押え等)と段階的に処理が進みます。期限内申告が困難な場合は、事前にJEED都道府県支部へ相談し、可能な限り早期に自主申告すること。期限超過後でも自主申告すれば、悪質な隠蔽でない限り追徴金10%のみで済むケースが多いです。

A

A. 納付金・調整金・報奨金は各月初日時点の常用労働者数で判定されます。年度途中で100人を超えた場合、超えた月から翌3月までは「100人超扱い」として納付金・調整金の対象、超える前の月は「100人以下扱い」として報奨金の対象になります。年間を通じて月別に区分して算定するため、年度途中の規模変動企業は申告書付属様式の記入が複雑になります。境界規模の企業はJEED支部に事前相談することを推奨します。

A

A. 原則として、0.5人としてカウントします(常用労働者数・雇用障害者数の双方で適用)。ただし、精神障害者の短時間労働者については、新規雇入れから3年以内または手帳取得から3年以内、かつ手帳有効期限内である場合は当面1人としてカウントする特例措置が継続中です。週20時間未満の労働者は原則カウント外です。重度身体・重度知的の短時間労働者は2人ダブルカウント不可で、1人カウントです。境界(週30時間ジャストか29時間59分か)は雇用契約書・労働条件通知書で厳密に確認してください。

A

A. 厚生労働大臣の認定を受けた特例子会社は、親会社・関係会社グループ全体で雇用率を通算できます。申告も親会社が一括して行い、グループ全体の雇用障害者数で計算します。これにより、本社単独では雇用率未達成で納付金が発生していた企業が、特例子会社設立により達成・調整金支給に転じるケースが多くあります。ただし特例子会社の認定要件は厳格(障害者雇用5人以上・全従業員に占める障害者比率20%以上等)で、設立コスト・グループ内取引価格設定等の整備が必要です。中堅・大企業(300人超)向けの選択肢で、中小企業は社内雇用+ジョブコーチ活用が現実的です。

A

A. 申告書を提出した後、JEEDが内容を審査し、通常翌6月〜10月頃に支給決定通知が届き、指定口座に振込されます。ただし、雇用障害者の手帳の写し・雇用契約書等の添付書類に不備があると審査が遅れます。また、調整金・報奨金は所得として法人税・所得税の課税対象(雑収入計上)となります。「補助金等」として処理する場合の経理仕訳は、税理士・公認会計士に確認することを推奨します。

A

A. 除外率業種(鉱業・建設業・船員等)の事業所がある場合、その事業所の常用労働者数から「除外労働者数(=常用労働者数×除外率)」を控除した上で法定雇用率を乗じて、法定雇用障害者数を算定します。除外率は2025年4月に各業種で10ポイント引き下げられており、最新の除外率はJEED公表資料で確認が必要です。複数事業所がある企業で、本社(除外率なし)と建設現場(除外率あり)が混在する場合は、事業所ごとに分けて算定し、合算します。申告書付属様式に事業所別の記載欄があるので、正確に記入してください。

A

A. 法定雇用障害者数の小数点以下は切り捨てです。例えば常用労働者37人×2.7%=0.999人 → 切り捨てで「0人」、つまり雇用義務なし。常用労働者38人×2.7%=1.026人 → 切り捨てで「1人」、雇用義務1人発生。常用労働者37.5人ジャスト×2.7%=1.0125人 → 切り捨てで「1人」(四捨五入ではない点に注意)。常用労働者37.5人未満は法定雇用率の対象外(雇用義務なし)ですが、報奨金支給要件(年4%または年72人月のいずれか多い数を超える雇用)は満たせば100人以下企業として支給対象になります。


本記事の出典・参考資料
– 障害者雇用促進法(昭和35年法律第123号)
– 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「事業主の方へ:障害者雇用納付金制度」(https://www.jeed.go.jp/disability/employer/levy/)
– 厚生労働省「障害者雇用率制度における精神障害者の取扱い」
– 厚生労働省「障害者雇用対策」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/)
個別事案の納付金計算・申告書作成は、本社所在地を管轄するJEED都道府県支部または社会保険労務士への相談を推奨します。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。