フリーランス保護法2026年|発注者7義務・違反事例・契約書対応

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フリーランス保護法2026年|発注者7義務・違反事例・契約書対応
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最終更新日: 2026年10月

2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス保護法)は、フリーランスとの業務委託取引に関する初の包括的な法規制である。公正取引委員会の公表によれば、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)には10件の勧告と1,542件の指導が行われた(令和8年6月10日公表)。小学館・光文社・島村楽器に対する勧告をはじめとする事例は、取引条件の明示義務違反や不当な利益提供要請が発注企業にとって重大なコンプライアンスリスクであることを示している。本記事では、発注企業が遵守すべき7つの義務、施行後の違反事例から学ぶ教訓、下請法との適用関係、そして具体的な社内体制構築のステップまでを体系的に整理する。


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フリーランス保護法の全体像

法律の基本情報

フリーランス保護法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスとの取引適正化と就業環境の整備を目的として制定された法律である。

項目 内容
正式名称 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)
略称 フリーランス保護法、フリーランス新法
公布日 2023年(令和5年)5月12日(国会での可決成立は同年4月28日)
施行日 2024年(令和6年)11月1日
所管官庁 公正取引委員会・中小企業庁(取引適正化)、厚生労働省(就業環境整備)
目的 フリーランスとの取引の適正化 + フリーランスの就業環境の整備
保護対象 特定受託事業者(従業員を使用しないフリーランス)
規制対象 業務委託事業者(発注者)。そのうち従業員を使用する個人、または二以上の役員がある・従業員を使用する法人(特定業務委託事業者)には、追加の義務が課される

立法の背景と趣旨

フリーランス保護法が制定された背景には、フリーランスとして働く者が全国で約462万人(内閣官房「フリーランス実態調査」2020年)に達する中、取引条件の不明確さ、報酬の不払い・遅延、一方的な契約変更、ハラスメントなどの問題が常態化していたことがある。

従来の法制度では、これらの問題に包括的に対応できていなかった。

従来の法制度 限界 フリーランス保護法による解決
下請法(旧制度) 資本金基準のみで適用を判定していた(取適法の施行で従業員数基準が加わった) 資本金要件なし(特定業務委託事業者かどうかは、従業員の使用や役員の人数で判定)
下請法 自己利用役務(自社で使うサービスの委託)は対象外 自己利用役務も対象
下請法 建設工事は適用除外 建設工事も対象(建設業法と併せて適用)
独占禁止法 優越的地位の濫用の立証ハードルが高い 具体的な禁止行為を法定(立証容易)
労働基準法 フリーランスは「労働者」に該当しない場合が多い 事業者間取引として保護(ただし、実態が労働者である受注者は特定受託事業者に該当せず、労働基準法等が適用される)

適用対象:「特定受託事業者」と「業務委託事業者」の定義

フリーランス保護法の理解において最も重要なのが、保護される側(特定受託事業者)と規制される側(業務委託事業者)の定義である。

特定受託事業者(フリーランス)の定義

類型 定義 具体例
個人型 従業員を使用しない個人事業主 フリーランスのデザイナー、ライター、エンジニア、翻訳者
法人型 代表者以外に役員がなく、かつ従業員を使用しない法人 一人社長の合同会社、株式会社

なお、契約上はフリーランスとして業務委託を受けていても、働き方の実態が労働基準法等における「労働者」と認められる場合は、特定受託事業者に該当せず、本法は適用されない(公正取引委員会「Q&A」Q5)。この場合は労働基準法等の個別的労働関係法令が適用される。

業務委託事業者(発注者)の2つの区分

区分 定義 義務の範囲
業務委託事業者(全般) 特定受託事業者に業務委託をする事業者全て 書面等による取引条件の明示(第3条)、申出を理由とする不利益取扱いの禁止(第6条第3項)
特定業務委託事業者 個人で従業員を使用するもの、または法人で二以上の役員があり、もしくは従業員を使用するもの(第2条第6項) 上記に加え、60日以内の支払い(第4条)、禁止行為(第5条)、募集情報の的確表示(第12条)、育児介護等への配慮(第13条)、ハラスメント防止(第14条)、契約解除予告(第16条)

重要: 「従業員を使用する」とは、①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、②継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者を雇用することをいう(公正取引委員会「Q&A」Q3)。したがって、この要件を満たす従業員を1人でも雇っている個人事業主が、フリーランスに業務を委託する場合には「特定業務委託事業者」として全ての義務を負う。また、法人の場合は、従業員がいなくても二以上の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事、監査役等)があれば特定業務委託事業者に該当する。


発注者の義務体系:2階建て構造

全ての業務委託事業者に課される義務

フリーランスに業務を委託する事業者は、その規模にかかわらず以下の義務を負う。

条文 義務 概要
第3条 書面等による取引条件の明示 業務委託の際、直ちに、公正取引委員会規則第1条第1項の事項を書面又は電磁的方法で明示
第6条第3項 申出を理由とする不利益取扱いの禁止 フリーランスが公正取引委員会又は中小企業庁長官に違反事実を申し出たことを理由に、取引の数量の削減、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならない

特定業務委託事業者に追加される義務

従業員を使用する個人、又は二以上の役員がある・従業員を使用する法人(特定業務委託事業者)には、上記に加えて以下の義務が課される。

条文 義務 適用条件 概要
第4条 報酬の支払期日の設定・支払い 全ての業務委託 成果物の受領日から60日以内の支払い
第5条 7つの禁止行為 期間1か月以上の業務委託 受領拒否、報酬減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し
第12条 募集情報の的確な表示 広告等でフリーランスの募集情報を提供する場合 虚偽・誤解を生じさせる表示の禁止、正確かつ最新の内容に保つ義務
第13条 妊娠・出産・育児・介護への配慮 期間6か月以上の業務委託は義務、6か月未満は努力義務 申出に応じた必要な配慮
第14条 ハラスメント対策の体制整備 全ての業務委託 セクハラ・妊娠出産に関するハラスメント・パワハラに対する相談体制・防止措置
第16条 中途解除等の事前予告 期間6か月以上の業務委託 契約解除・不更新の30日前までの予告

義務の適用関係:フローチャート

ステップ 判断基準 該当する義務
1 フリーランスに業務委託しているか? No → 対象外 / Yes → ステップ2
2 書面等による取引条件の明示(第3条)・不利益取扱いの禁止(第6条第3項)※全発注者 明示義務
3 自社は特定業務委託事業者か?(個人で従業員を使用している、又は法人で二以上の役員がある・従業員を使用している) No → ステップ2の義務のみ / Yes → ステップ4
4 報酬の60日以内支払い(第4条)※全取引 支払期日の義務
5 業務委託の期間は1か月以上か? Yes → 7つの禁止行為(第5条)
6 業務委託の期間は6か月以上か? Yes → 育児介護等への配慮(第13条第1項)+解除予告(第16条) / No → 配慮は努力義務(第13条第2項)
7 ハラスメント防止措置(第14条)・募集情報の的確表示(第12条)※特定業務委託事業者 ハラスメント対策・募集情報の表示


書面等による取引条件の明示義務(第3条):明示事項

明示すべき事項

フリーランスに業務を委託する際、発注者は直ちに、公正取引委員会規則第1条第1項(2026年10月時点の現行規則)が定める次の事項を、書面又は電磁的方法(メール、チャット、SMS等)で明示しなければならない。事項は12号で構成され、第8号〜第11号は該当する支払方法を用いる場合、第12号は未定事項がある場合に必要となる。

号 明示事項 具体的な記載内容
1 業務委託事業者及び特定受託事業者の名称 双方の商号・氏名・名称、又は事業者別に付された番号・記号その他の符号で双方を識別できるもの
2 業務委託をした日 発注日(年月日)
3 給付(役務)の内容 委託する業務の具体的な範囲・仕様
4 給付を受領し、又は役務の提供を受ける期日 納品日又はサービス提供の期日(期間を定めるものは当該期間)
5 給付を受領し、又は役務の提供を受ける場所 納品方法(メール添付、クラウド等)又は役務提供の場所
6 検査を完了する期日 給付の内容について検査をする場合のみ
7 報酬の額及び支払期日 具体的な金額と支払日
8 手形を交付する場合 手形の金額及び満期
9 債権譲渡担保方式・ファクタリング方式・併存的債務引受方式により金融機関から貸付け又は支払を受けられることとする場合 金融機関の名称、貸付け又は支払を受けられる額、金融機関に支払う期日
10 電子記録債権で報酬を支払う場合 電子記録債権の額、支払期日
11 資金移動業者の口座へ資金移動を行う場合 資金移動業者の名称、資金移動に係る額
12 未定事項がある場合 内容が定められない理由、内容を定めることとなる予定期日

具体的な報酬の金額の明示が困難なやむを得ない事情がある場合は、報酬の具体的な金額を定めることとなる算定方法の明示で足りる(規則第1条第3項)。

明示の方法と時期

項目 内容
明示の時期 業務委託をした日に直ちに
書面の方法 紙の書面のほか、電子メール等の電気通信による送信、電磁的記録媒体に記録したファイルの交付(規則第2条)。チャットツール、SMS等も該当する(Q&A Q41)
口頭のみの発注 書面又は電磁的方法による明示がなければ第3条違反となる
内容が定められない事項がある場合 定められないことに正当な理由がある事項に限り、当初は明示を要しない。その場合は、当初に未定の理由と予定期日を明示し、内容が定まった後直ちに明示する(第3条第1項ただし書、規則第1条第1項第12号)
フリーランスからの書面請求 電磁的方法で明示した場合でも、フリーランスから書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する義務がある(第3条第2項。保護に支障がない場合として規則で定める場合を除く)

小学館・光文社の勧告事例に学ぶ明示義務

令和7年6月17日、公正取引委員会は株式会社小学館と株式会社光文社に対し、同日付で勧告を行った(勧告一覧の最初の2件)。

項目 内容
違反企業 株式会社小学館(勧告日 令和7年6月17日)
違反条文 フリーランス保護法 第3条第1項(取引条件の明示義務)、第4条第5項(期日における報酬支払義務)
違反の内容 月刊誌・週刊誌に関する原稿、写真データ、イラスト等の作成、ヘアメイクの実施等を委託した特定受託事業者191名(令和6年12月1日〜同月31日)に対し、取引条件を直ちに明示せず、報酬の支払期日も明示せず、受領日までに報酬を支払わなかった
措置 公正取引委員会による勧告(勧告一覧に掲載)
同日の勧告 株式会社光文社(特定受託事業者31名に対し、同じく第3条第1項・第4条第5項違反。令和6年11月1日〜令和7年2月27日)

教訓: 勧告の対象は、取引条件を明示しなかったこと(第3条第1項)と、支払期日を明示せず受領日までに報酬を支払わなかったこと(第4条第5項)である。支払期日を定めなかった場合は、給付を受領した日が支払期日とみなされる(第4条第2項)ため、明示の漏れは支払遅延の違反にも直結する。


60日以内の報酬支払い義務(第4条)

支払期日のルール

特定業務委託事業者は、フリーランスに対する報酬を、成果物の受領日(役務提供の場合は提供日)から起算して60日以内の、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

項目 内容
起算日 成果物を受領した日(役務提供の日)
支払期限 受領日から60日以内
検査がある場合 検査の有無にかかわらず受領日から起算(検査合格待ちを理由に支払いを遅延させることは不可)
支払期日を定めなかった場合 給付を受領した日が支払期日とみなされる。60日を超えて定めた場合は、受領日から60日を経過する日が支払期日とみなされる(第4条第2項)
再委託の場合 第3条の明示で「再委託である旨」「元委託者の名称」「元委託業務の対価の支払期日(元委託支払期日)」等を明示した場合に限り、元委託支払期日から30日以内で、できる限り短い期間内に定めればよい。明示しなければ通常どおり受領日から60日以内(第4条第3項)

支払遅延と遅延利息について

フリーランス保護法には、遅延利息の規定はない。支払期日までに報酬を支払わない場合は、第4条第5項違反として勧告等の対象となる。

なお、取適法(中小受託取引適正化法)の対象となる取引では、取適法第6条により、委託事業者は、製造委託等代金を支払期日までに支払わなかったとき、給付を受領した日から起算して60日を経過した日から支払日までの期間について、公正取引委員会規則で定める率の遅延利息を支払わなければならない。フリーランスとの取引が取適法の対象にもなる場合に限り、この規律が加わる(適用関係は後述)。

よくある違反パターン

違反パターン 具体例 問題点
検査完了待ち 「検収が終わるまで支払えない」 受領日から起算するため、検査遅延は支払遅延の理由にならない
月末締め翌々月末払い 1月15日受領、3月31日支払い 受領から75日経過しており60日を超過
元請の入金待ち 「クライアントからの入金後に支払う」 再委託の特例(元委託支払期日から30日以内)は、再委託である旨等を第3条で明示した場合に限られる。元委託者の支払遅延を転嫁することは不可
修正指示後の起算日変更 「修正版の受領日から60日以内」 最初の受領日が起算日であり、修正指示を繰り返しても起算日は変わらない


7つの禁止行為(第5条):期間1か月以上の取引に適用

禁止行為の一覧

特定業務委託事業者が、期間1か月以上の業務委託において行ってはならない7つの行為は以下のとおりである。

No. 禁止行為 条文 具体例
1 受領拒否 第5条第1項第1号 発注した成果物を、フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに受け取らない
2 報酬の減額 第5条第1項第2号 発注後に一方的に報酬を減額する、振込手数料をフリーランス負担として報酬から差し引く
3 返品 第5条第1項第3号 受領した成果物を、フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに引き取らせる
4 買いたたき 第5条第1項第4号 通常支払われる対価に比べて著しく低い報酬額を不当に定める
5 購入・利用強制 第5条第1項第5号 正当な理由がないのに、自己の指定する物の購入や役務の利用を強制する
6 不当な経済上の利益の提供要請 第5条第2項第1号 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させる
7 不当な給付内容の変更・やり直し 第5条第2項第2号 フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに、給付の内容を変更させ、又は受領後にやり直させる

なお、役務提供委託(第2条第3項第2号に該当する業務委託)では、第5条第1項第1号(受領拒否)と第3号(返品)は適用されない(第5条柱書)。

振込手数料について、令和8年(2026年)1月1日以降になされた業務委託(1か月以上行うもの)では、フリーランスとの合意の有無にかかわらず、振込手数料を報酬の額から差し引くことは報酬の減額に該当する(公正取引委員会 勧告一覧 令和8年度の注、Q&A Q30)。

島村楽器の勧告事例に学ぶ禁止行為

令和7年6月25日、公正取引委員会は島村楽器株式会社に対し、フリーランス保護法違反で勧告を行った。

項目 内容
違反企業 島村楽器株式会社
違反条文 第3条第1項(取引条件の明示義務)、第4条第5項(期日における報酬支払義務)、第5条第2項第1号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)
違反の内容 音楽教室でのレッスン・体験レッスン等を委託した特定受託事業者のうち、97名(取引条件の明示義務違反)に対し取引条件を明示せず、85名に対し支払期日を明示せず受領日までに報酬を支払わなかった(ほか1名に60日を超える支払期日を定めた)。さらに、11名に対し、合計19回の体験レッスンを無償で行わせていた(第5条第2項第1号違反)
対象期間 令和6年11月1日〜令和7年2月6日
措置 公正取引委員会による勧告(勧告一覧に掲載)

教訓: 島村楽器の事例では、報酬を支払わずに体験レッスンを行わせたことが「不当な経済上の利益の提供要請」(第5条第2項第1号)として勧告の対象となった。97名という数字は取引条件の明示義務違反の対象人数であり、無償の体験レッスンに係る人数は11名・19回である。同種の事案として、令和8年5月19日にはシアー株式会社が、特定受託事業者1,674名に自己のために無償で体験レッスンを行わせたとして、同号違反で勧告を受けている。また、令和8年6月22日の株式会社河合楽器製作所に対する勧告では、体験レッスンの報酬を通常レッスンより約33.9パーセントから約72.3パーセントまで引き下げた額に一方的に定めたことが、買いたたき(第5条第1項第4号)に当たるとされた。


ハラスメント防止義務(第14条)

対象となるハラスメントの類型

特定業務委託事業者は、フリーランスに対するハラスメントを防止するための体制整備が義務付けられている。対象となるハラスメントは以下の3類型である。

類型 概要 具体例
セクシュアルハラスメント 性的な言動により就業環境を害する行為 性的な発言、身体的接触、性的関係の強要
妊娠・出産に関するハラスメント 妊娠・出産に関する事由(厚生労働省令で定めるもの)に関する言動により就業環境を害する行為 妊娠報告を理由とした嫌がらせ、配慮の申出をしたことに関する言動
パワーハラスメント 優越的な関係を背景とした、業務遂行上必要かつ相当な範囲を超えた言動で就業環境を害する行為 過大な要求、人格否定、業務外の強要

体制整備義務の内容

対応事項 具体的な措置
方針の明確化 ハラスメントを行ってはならない旨の方針を策定・周知
相談窓口の設置 フリーランスが相談できる窓口の設置・周知
事後の適切な対応 相談があった場合の事実確認・対処の仕組みの整備
プライバシー保護 相談者のプライバシーを保護する措置
不利益取扱いの禁止 相談したこと等を理由とする契約の解除その他の不利益取扱いの禁止(第14条第2項)

従業員向けハラスメント防止措置との関係: 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)、男女雇用機会均等法等に基づき、既に従業員向けのハラスメント相談窓口を設置している企業は、当該窓口をフリーランスからの相談にも対応可能とすることで義務を履行できる(Q&A Q104)。ただし、窓口の存在をフリーランスに周知する措置が別途必要である。


妊娠・出産・育児・介護への配慮義務(第13条)と契約解除予告義務(第16条)

妊娠・出産・育児・介護への配慮義務

期間6か月以上の業務委託(継続的業務委託)において、フリーランスから妊娠、出産、育児又は介護に関する申出があった場合、特定業務委託事業者は必要な配慮をしなければならない(第13条第1項、施行令第3条)。6か月未満の業務委託でも、申出に応じて必要な配慮をするよう努めなければならない(努力義務。第13条第2項)。

項目 内容
適用要件 6か月以上(契約の更新により6か月以上継続して行うこととなるものを含む)は配慮義務。6か月未満は努力義務
対象となる事由 妊娠、出産、育児、介護(育児介護等)
義務の内容 フリーランスからの申出に応じ、育児介護等と両立しつつ業務に従事できるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮
配慮の具体例 納期の柔軟な変更、オンラインでの業務遂行の許可、業務量の調整

契約解除・不更新の事前予告義務

期間6か月以上の業務委託について、契約を中途解除する場合又は契約期間の満了後に更新しない場合には、少なくとも30日前までにフリーランスに予告しなければならない(第16条第1項)。

項目 内容
適用要件 期間6か月以上の業務委託(契約の更新により6か月以上継続して行うこととなるものを含む)
予告期間 契約解除又は不更新の少なくとも30日前まで。予告は、書面の交付、ファクシミリ、電子メール等の方法で行う(厚生労働省関係規則第3条)
理由の開示 予告後、契約満了日までの間にフリーランスから請求があった場合は、遅滞なく解除又は不更新の理由を開示(第16条第2項。第三者の利益を害するおそれがある場合等は除く)
予告が不要な場合 厚生労働省関係規則第4条の5類型。(1)災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合、(2)元委託契約の解除等により再委託業務の大部分が不要となった場合その他直ちに解除することが必要と認められる場合、(3)基本契約に基づく契約期間30日以下の個別の業務委託契約を解除しようとする場合、(4)フリーランスの責めに帰すべき事由により直ちに解除することが必要と認められる場合、(5)基本契約を締結している場合で、フリーランスの事情により相当な期間、基本契約に基づく業務委託をしていない場合


募集情報の的確表示義務(第12条)

虚偽・誤解を招く表示の禁止

特定業務委託事業者は、広告等によりフリーランスの募集に関する情報(業務の内容、業務に従事する場所・期間・時間、報酬、契約の解除、募集を行う者に関する事項。施行令第2条)を提供するときは、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならない(第12条)。この義務の主体は特定業務委託事業者であり、従業員を使用しない個人事業主(業務委託事業者のみに該当する者)には適用されない。

禁止される表示 具体例
報酬の虚偽表示 「月収50万円以上可能」と表示しながら、実際にはごく一部の者しか達成不可能
業務内容の虚偽表示 「ライティング業務」と表示しながら、実際は営業活動が主体
就業条件の誤解表示 「完全リモート」と表示しながら、定期的な出社を求める
正確でない情報の放置 報酬単価を改定したにもかかわらず、旧単価のまま募集を継続


フリーランス保護法と下請法の適用関係

適用範囲の比較

フリーランス保護法と下請法(現行:中小受託取引適正化法)は、いずれもフリーランスとの取引に適用される可能性がある。両法の適用関係を正確に理解することが、実務上の重要なポイントとなる。

項目 フリーランス保護法 下請法(取適法)
適用基準 資本金基準なし(受託側は従業員の有無等で判定。追加義務を負う発注側は、従業員の使用や役員の人数で判定) 資本金基準 + 従業員数基準
保護対象 特定受託事業者(従業員なしの個人・代表者以外に役員がない一人法人) 中小受託事業者(資本金・従業員数で判定)
自己利用役務 対象 対象外(自社使用目的の委託は非該当)
建設工事 対象 対象外(建設業法で規律)
書面等による明示 あり(第3条、直ちに) あり(四条書面)
支払期日 受領日から60日以内 受領日から60日以内
禁止行為 7項目(期間1か月以上) 11項目
遅延利息 規定なし あり(取適法第6条)
ハラスメント防止 義務あり 規定なし
育児介護配慮 義務あり(6か月以上。6か月未満は努力義務) 規定なし
契約解除予告 義務あり(6か月以上) 規定なし
執行機関 公正取引委員会・中小企業庁 + 厚生労働省 公正取引委員会・中小企業庁等

両法が同時に適用される場合

フリーランスとの取引において、発注者が取適法の基準(資本金基準又は従業員数基準)を満たす場合、フリーランス保護法と下請法(取適法)の双方が適用される。

発注者の状況 フリーランス保護法 下請法(取適法)
資本金1億円・従業員100人・フリーランスにデザイン委託 適用 適用(情報成果物作成委託)
資本金500万円・従業員5人・フリーランスにライティング委託 適用 対象外(資本金・従業員数の基準を満たさない)
資本金3億円・フリーランスに自社オフィスの清掃を委託 適用 対象外(自己利用役務)
従業員なしの個人事業主がフリーランスに翻訳を委託 第3条(明示義務)と第6条第3項(不利益取扱いの禁止)のみ 対象外

実務上の推奨: 本法と取適法の両法が適用される発注では、同一の書面や電子メール等において、両法が定める記載事項を併せて一括で示すことができる。ただし、いずれかの法律のみに基づく記載事項があるときは、その事項も記載する必要がある(Q&A Q33)。取適法の適用基準や禁止行為の詳細は改正下請法2026年|手形支払禁止・価格協議義務化の実務対応ガイドを参照されたい。また、ハラスメント防止・育児介護配慮・契約解除予告はフリーランス保護法固有の義務であり、下請法にはない規律であるため、追加の対応が必要である。


エンフォースメント(執行体制と制裁)

執行機関の役割分担

フリーランス保護法は、規律の性質に応じて官庁が執行を分担する。

規律の分野 執行機関 対象条文
取引の適正化 公正取引委員会(中小企業庁長官は調査と公正取引委員会への措置請求が可能) 第3条〜第6条第3項(明示、支払い、禁止行為、不利益取扱いの禁止)
就業環境の整備 厚生労働省(権限の一部は都道府県労働局長が行う) 第12条〜第14条、第16条(募集情報、配慮、ハラスメント、解除予告)

執行措置の種類

指導・助言、勧告、命令は条文上それぞれ根拠があり、段階を順に踏むことを義務付ける規定はない。

措置 内容 根拠
指導・助言 公正取引委員会、中小企業庁長官、厚生労働大臣が、必要があると認めるときに業務委託事業者に対して行う 第22条
勧告 違反を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告する。公正取引委員会は勧告を行った事案を勧告一覧で公表している 第8条(公正取引委員会)、第18条(厚生労働大臣)
命令 勧告を受けた者が正当な理由なく措置をとらなかったときに、当該措置をとるべきことを命ずる。命令をした場合はその旨を公表できる 第9条、第19条第1項・第2項
公表(ハラスメント関係) 第14条に係る勧告に従わない場合は、命令ではなく、その旨の公表ができる 第19条第3項
罰金 50万円以下の罰金。対象は、命令違反のほか、報告をせず・虚偽の報告をしたこと、立入検査を拒み・妨げ・忌避したこと 第24条

令和7年度の運用状況(2025年4月〜2026年3月)

公正取引委員会が令和8年6月10日に公表した運用状況は次のとおりである。

項目 件数
違反被疑事件の申出 604件
新規着手した違反被疑事件 1,626件
措置件数(勧告+指導) 1,552件
勧告 10件
指導 1,542件
原状回復(特定業務委託事業者から特定受託事業者へ) 総額1734万円

措置件数を違反行為の類型別にみると、全体で2,727件のうち、期日における報酬の支払義務違反が1,135件(41.6%)、取引条件の明示義務違反が1,126件(41.3%)、買いたたきが250件(9.2%)で、この3類型で9割超を占める。業種別では、情報通信業が575件(37.0%)、学術研究、専門・技術サービス業が326件(21.0%)、運輸業、郵便業が135件(8.7%)の順に多い。

なお、施行(2024年11月1日)から2025年9月までの実績は、勧告4件・指導441件(公正取引委員会 事務総長定例会見、令和7年11月5日)。

出典:公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の運用状況及びフリーランスに係る取引の適正化に向けた取組」(令和8年6月10日)

勧告事例一覧

公正取引委員会の勧告一覧に掲載された事例は次のとおりである(令和7年度は令和8年3月31日現在、令和8年度は令和8年9月2日現在)。勧告法条の「3条1項」は取引条件の明示義務、「4条5項」は期日における報酬支払義務を指す。

令和7年度(10件)

企業名 勧告日 違反法条 違反の概要(対象人数)
光文社 令和7年6月17日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず31名、支払期日の不明示・受領日までの不払い31名
小学館 令和7年6月17日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず191名、支払期日の不明示・受領日までの不払い191名
島村楽器 令和7年6月25日 第3条第1項、第4条第5項、第5条第2項第1号 明示せず97名、支払期日の不明示等85名、無償の体験レッスン11名・合計19回
九州東通 令和7年9月26日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず44名、支払期日を定めず不払い44名
ZWEI 令和7年12月5日 第3条第1項 明示せず134名
グロービジョン 令和7年12月5日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず55名、支払期日の不明示等54名、請求書の提出遅れを理由とする遅延1名
共同通信社 令和8年2月25日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず45名、支払期日を定めず不払い41名
中部電力 令和8年2月27日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず39名、支払期日を定めず不払い12名、60日超の支払期日2名
テレビ北海道 令和8年3月16日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず33名、支払期日を定めず不払い32名
京都放送 令和8年3月31日 第3条第1項、第4条第5項、第5条第1項第2号 明示せず132名、支払期日を定めず不払い110名、振込手数料の差引き67名

令和8年度(10件)

企業名 勧告日 違反法条 違反の概要(対象人数)
シアー 令和8年5月19日 第5条第2項第1号 無償の体験レッスン1,674名
Timewitch 令和8年5月29日 第3条第1項、第5条第1項第2号 明示せず236名、報酬から「コンプライアンス対応費用調整額」等を差引き(148名・29名)
KADOKAWA 令和8年6月11日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず113名、支払期日を定めず不払い113名
ヘリテージ 令和8年6月11日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず82名、支払期日を定めず不払い82名
エス・ピー・シー 令和8年6月18日 第3条第1項、第4条第5項、第5条第1項第2号 明示せず84名、請求書の提出遅れ等を理由とする遅延31名、振込手数料の差引き36名
河合楽器製作所 令和8年6月22日 第3条第1項、第4条第5項、第5条第1項第4号 明示せず100名、支払期日を定めず不払い98名、体験レッスンの報酬を一方的に引下げ28名
ベイシア電器 令和8年6月24日 第4条第5項、第5条第1項第2号・第4号 支払遅延10名、「事務手数料」等の差引き17名、コスト上昇分の協議なく据置き10名
エフエム京都 令和8年7月31日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず39名、支払期日を定めず不払い29名、60日超の支払期日3名
ジェイトップ 令和8年8月26日 第5条第1項第2号 振込手数料を超える額の差引き138名(計481,031円)
日本郵便 令和8年9月2日 第3条第1項、第4条第5項 明示せず167名、支払期日を定めず不払い140名

出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法勧告一覧」(令和7年度・令和8年度)


発注企業の社内体制構築チェックリスト

法務・コンプライアンス部門のチェックリスト

No. チェック項目 対応状況
1 フリーランスとの業務委託取引を全社的に棚卸ししたか [ ]
2 自社が「特定業務委託事業者」に該当するか判定したか [ ]
3 業務委託契約書のテンプレートに規則第1条第1項の明示事項を反映したか [ ]
4 口頭発注を禁止し、書面又は電磁的方法での発注を徹底する社内規程を整備したか [ ]
5 支払サイトが60日以内に設定されているか全取引を検証したか [ ]
6 7つの禁止行為に関する社内ガイドラインを策定・周知したか [ ]
7 ハラスメント相談窓口をフリーランスにも開放し、その旨を周知したか [ ]
8 契約期間が6か月以上の取引について、解除予告30日ルールを管理する仕組みがあるか [ ]
9 フリーランスとの取引に関する社内研修を実施したか [ ]
10 フリーランスの募集情報(求人サイト・SNS等)の掲載内容が正確か定期的に確認しているか [ ]

経理・購買部門のチェックリスト

No. チェック項目 対応状況
1 フリーランス向けの支払サイトが「受領日から60日以内」に設定されているか [ ]
2 支払サイト短縮に伴う追加運転資金の必要額を試算したか [ ]
3 振込手数料をフリーランス側から差し引いていないか(2026年1月1日以降の業務委託では、合意があっても報酬の減額に該当。インボイス制度の経過措置縮小に伴う消費税処理も併せて確認) [ ]
4 発注管理システム(又はテンプレート)で明示事項を漏れなく記載できるか [ ]
5 フリーランスとの取引記録(発注書・納品書・検収書・支払記録)を保存しているか [ ]

今すぐやること:フリーランス保護法 対応アクション

フリーランス保護法はすでに2024年11月1日に施行されている。対応の遅れは即座に法令違反リスクに直結する。

最優先:直ちに対応(法施行済み)

  • フリーランスとの取引を全社的に棚卸しする(法務/コンプライアンス部門):部門ごとにフリーランスへの外注実績を洗い出し、取引件数・金額・契約期間を一覧化する
  • 明示義務の遵守状況を確認する(法務/各部門):全てのフリーランス取引で、書面又は電磁的方法による規則第1条第1項の事項の明示が行われているかを点検する。口頭発注は直ちに廃止する
  • 支払サイトが60日以内であることを確認する(経理部門):「月末締め翌々月末払い」等の長期サイトがある場合は、直ちに短縮を検討する

重要:早期に(1〜3か月を目安)

  • 業務委託契約書のテンプレートを改定する(法務部門):規則第1条第1項の明示事項を網羅し、ハラスメント禁止条項・相談窓口情報・契約解除予告条項を追加する
  • 7つの禁止行為に関する社内ガイドラインを策定し、研修を実施する(法務/人事部門):特に「報酬減額」「買いたたき」「不当なやり直し」は現場レベルで無意識に行われやすいため、具体事例を用いた研修を推奨する
  • ハラスメント相談窓口をフリーランスにも開放する(人事部門):既存の相談窓口の対象にフリーランスを追加し、業務委託開始時に窓口情報を通知する仕組みを構築する

中期:半年程度を目安に

  • 発注管理システムの導入又は改修を検討する(IT/法務部門):書面交付の自動化、支払期日の自動管理、契約期間の通算管理を可能にするシステム基盤を整備する
  • 定期的な内部監査の仕組みを構築する(コンプライアンス部門):四半期に1回、フリーランス取引の明示状況・支払状況・禁止行為の有無を点検する

FAQ(よくある質問)

Q1. フリーランス保護法はいつから施行されていますか?

フリーランス保護法は2024年(令和6年)11月1日に施行されている。施行日以降に行われた業務委託が適用対象である。施行日前に行われた業務委託については第3条の明示を行う必要はないが、施行日後に契約の更新(自動更新を含む)が行われた場合は、新たな業務委託が行われたものとして扱われる(公正取引委員会「Q&A」Q34)。

Q2. 従業員を1人も雇っていない個人事業主がフリーランスに発注する場合、どの義務が適用されますか?

従業員を使用しない個人事業主は「業務委託事業者」には該当するが、「特定業務委託事業者」には該当しない。したがって、適用されるのは書面等による取引条件の明示義務(第3条)と、申出を理由とする不利益取扱いの禁止(第6条第3項)である。60日以内の支払義務、7つの禁止行為、募集情報の的確表示義務(第12条)、ハラスメント防止義務、契約解除予告義務は適用されない。ただし、週所定20時間以上かつ継続して31日以上の雇用が見込まれるパートタイマー等を1人でも雇用していれば「特定業務委託事業者」に該当し、これらの義務が発生する点に注意が必要である。なお、法人の場合は、従業員がいなくても二以上の役員があれば特定業務委託事業者に該当する。

Q3. フリーランス保護法と下請法(取適法)はどちらが優先されますか?

両法が同時に適用される場合、それぞれの法律の義務を併せて遵守する必要がある。どちらかが優先されるという関係にはない。両法が適用される発注では、同一の書面や電子メール等で両法が定める記載事項を併せて一括で示すことができるが、いずれかの法律のみに基づく記載事項があるときは、その事項も記載する必要がある(Q&A Q33)。また、ハラスメント防止・育児介護配慮・契約解除予告はフリーランス保護法固有の義務であり、下請法を遵守しているだけでは足りない。

Q4. 書面交付はメールやチャット(Slack等)でも認められますか?

認められる。フリーランス保護法第3条は「書面又は電磁的方法」による明示を求めており、電子メール、チャットツール(Slack、Teams等)、SMS等の受信者を特定して電気通信により送信する方法や、明示事項を記録したファイルを交付する方法が電磁的方法に当たる(規則第2条、Q&A Q41)。ただし、フリーランスから書面の交付を求められた場合には、遅滞なく書面を交付する義務がある(第3条第2項。保護に支障がない場合として規則で定める場合を除く)。実務上は、メッセージの削除や閲覧不能に備え、発注内容を保存しておくことが望ましい。

Q5. 「期間1か月以上」「期間6か月以上」の判定はどのように行いますか?

契約期間は、個別契約の期間だけでなく、契約の更新により継続して行うこととなる期間も含めて判定される(第5条第1項、第13条第1項)。例えば、期間2週間の業務委託を更新して1か月以上継続して行うこととなれば、「1か月以上」の基準を満たし、7つの禁止行為の適用対象となる。同様に、3か月契約を更新して6か月以上継続して行うこととなれば、「6か月以上」に該当し、育児介護等への配慮義務(第13条第1項)・契約解除予告義務(第16条)の対象となる。契約管理上、フリーランスとの取引の通算期間を正確に把握することが重要である。

Q6. 令和7年度の執行状況はどうでしたか?どのような業種が多いですか?

公正取引委員会の公表(令和8年6月10日)によれば、令和7年度は勧告が10件、指導が1,542件(措置件数は計1,552件)であった。勧告は企業名とともに勧告一覧に掲載され、令和7年度分には光文社、小学館、島村楽器、京都放送などが含まれる。措置件数を業種別にみると、情報通信業(575件)、学術研究、専門・技術サービス業(326件)、運輸業、郵便業(135件)の順に多い。違反行為の類型別では、期日における報酬の支払義務違反と取引条件の明示義務違反がそれぞれ4割強を占める。

Q7. 違反が発覚した場合、どのような対応が最善ですか?

違反の疑いが生じた場合は、以下の手順で対応することが推奨される。(1)違反の事実関係を速やかに調査・確認する、(2)違反状態を直ちに是正する(明示事項の交付、未払報酬の支払い、差し引いた額の返還等)、(3)再発防止策を策定・実行する、(4)必要に応じて弁護士等の専門家に相談する。なお、公正取引委員会の運用状況によれば、令和7年度には業務委託事業者等から違反行為についての自発的申出が2件あり、特定業務委託事業者から特定受託事業者に対して総額1734万円の原状回復が行われた。


免責事項

本記事は、2026年10月時点の公開情報に基づいて作成したものであり、法令の改正、通達・ガイドラインの発出等により内容が変更される場合がある。具体的な取引へのフリーランス保護法の適用可否や対応方法については、弁護士等の専門家又は公正取引委員会・厚生労働省に確認されたい。本記事の内容に基づく判断・行動により生じた損害について、筆者および運営者は一切の責任を負わない。


参考文献・法令等

法令

  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)
  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第200号)
  • 公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(令和6年公正取引委員会規則第3号)
  • 厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(令和6年厚生労働省令第94号)

公正取引委員会

厚生労働省

その他

  • 内閣官房「フリーランス実態調査結果」(令和2年5月)
  • 中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法パンフレット」
JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

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