高等学校等就学支援金2026|所得制限撤廃・私立最大45.72万円と新設の国籍要件【完全ガイド】

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
高等学校等就学支援金2026|所得制限撤廃・私立最大45.72万円と新設の国籍要件【完全ガイド】
目次▼

2026年4月から、高等学校等就学支援金の所得制限がなくなりました。 令和8年法律第8号(2026年3月31日成立・4月1日施行)により、保護者の収入を問わず支援金が支給されます。公立高校(全日制)は年11万8,800円、私立高校(全日制)は年45万7,200円が上限です。

ただし、この改正にはあまり報じられていないもう一つの柱があります。支給の対象者が「日本国籍を有する者、特別永住者、永住者など7つの区分」に限定されたことです。所得制限がなくなった一方で、国籍・在留資格による線引きが新しく入りました。本記事は文部科学省の一次資料に基づき、新制度の全体像・学校種別の金額・申請手順を整理します。

結論:2026年度から所得制限なし、ただし対象者に国籍要件

2026年度 高等学校等就学支援金 核心サマリー
所得制限

撤廃

保護者の収入は問わない
公立高校(全日制)年額

118,800円

月額9,900円
私立高校(全日制)年額上限

457,200円

月額38,100円・授業料が下回れば実費まで
対象者

7区分

日本国籍・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者・家族滞在(一部)

【先に押さえたい3点】
1. 支援金は家庭の口座に振り込まれません。学校が代理で受け取り、授業料と相殺します。
2. 上限額は「上限」です。授業料が上限を下回る学校では、実際の授業料の額までしか支給されません。
3. 支給は原則として申し込みをした月から始まります。さかのぼって支給されるわけではないため、4月の案内を逃さないでください。

高校生以外にも小さいお子さんがいる世帯は、児童手当2026|年収別・子ども数別でいくらもらえるか全パターン早見表もあわせて確認すると、受給額の全体像を把握しやすくなります。

改正の3つの柱

2026年度改正の要点は次の3点です(出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」)。

  1. 所得制限の撤廃:改正後の法律では、支援金の支給にあたって保護者等の収入の状況を問いません。改正法の要点を文部科学省はこう説明しています——「所得制限を撤廃し、就学支援金の支給に当たって保護者等の収入の状況を問わないこととしたこと」
  2. 私立高校の支給上限額の引き上げ:私立高校(全日制・定時制)の上限が年39万6,000円から年45万7,200円に、私立高校(通信制)が年29万7,000円から年33万7,200円に引き上げられました。45万7,200円は「私立高校の平均授業料を勘案した水準」とされています
  3. 国籍・在留資格による支給対象者の限定(新設):支給対象者が「日本国籍を有する者、特別永住者又は永住者の在留資格をもって在留する者その他これに準ずる者として文部科学省令で定める者」に限定されました(改正後の第3条第1項)。留学・特定活動などの在留資格は新制度の対象外です

このほか、費用の負担割合も変わりました。都道府県が行う支給に要する費用は、これまで国が全額(10分の10)を負担していましたが、国が4分の3、都道府県が4分の1を負担する形になりました(改正後の第15条第1項)。国立高校等は引き続き国が10分の10を負担します。

また、附則第5条に検討規定が置かれ、政府はこの法律の施行後3年以内に制度の在り方を検討し、必要があれば見直すこととされています。2026年度の内容が恒久的に固定されたわけではありません。

【用語】「無償化」ではなく「就学支援金」 文部科学省自身が「いわゆる『高校無償化』と表現されることが多いですが、的確な表現としては、授業料を支援する『高等学校等就学支援金』です」と書いています。授業料以外の教科書代・修学旅行費などは対象外で、そちらは別制度の「高校生等奨学給付金」がカバーします。

1-1 根拠法令

  • 改正法名:高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律
  • 改正法番号:令和8年法律第8号
  • 成立日:2026年3月31日(参議院本会議で可決・成立)/施行日:2026年4月1日(附則第1条)
  • 施行通知:「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通知)」(2026年3月31日)
  • 関連改正:施行令の改正(支給限度額の改定)、施行規則の改正(永住者に準ずる者の範囲、外国人学校の指定制度の廃止)。いずれも2026年4月1日施行
  • 政策の出発点:自由民主党・公明党・日本維新の会による三党合意(2025年10月29日、2025年12月18日)

旧制度 vs 新制度 Before/After

項目 旧制度(〜2026年3月) 新制度(2026年4月〜)
所得制限 年収約910万円以上は支給対象外 撤廃(保護者等の収入を問わない)
国籍・在留資格 在留資格による限定なし 7区分に限定(新設)。留学等は対象外
公立高校(全日制) 年11万8,800円(910万円未満のみ) 年11万8,800円(収入を問わず)
私立高校(全日制) 年39万6,000円(590万円未満)/年11万8,800円(590〜910万円) 年45万7,200円(収入を問わず)
私立高校(通信制) 年29万7,000円(590万円未満)/年11万8,800円(590〜910万円) 年33万7,200円(収入を問わず)
国公立高専(1〜3年) 年23万4,600円(590万円未満)/年11万8,800円(590〜910万円) 年23万4,600円(収入を問わず)
費用の負担割合 国10/10 国3/4・都道府県1/4(国立は国10/10)
申請方法 e-Shien(オンライン) 日本国籍はe-Shien、日本国籍以外は書類申請

【注意:「旧制度では0円」は正確ではありません】 2025年度(令和7年度)には、高校生等臨時支援金という単年度限りの予算事業があり、就学支援金で所得制限を受けていた年収約910万円以上世帯にも年額上限11万8,800円が支給されていました。文部科学省のリーフレットの逐語は「高等学校等就学支援金制度で所得制限を受けている年収約910万円以上世帯の高校生等を対象に、年額上限11万8,800円を授業料相当の教育費として支援する令和7年度限りの予算事業」です。つまり公立高校相当額については、高所得世帯への支援は2025年4月にすでに始まっていました。2026年4月の改正は、それを法律上の制度として恒久化し、あわせて私立の上限額を引き上げたものです。

学校種別の支給上限額(2026年度)

主な学校種の年額上限(2026年度・収入を問わず)
公立高校(全日制)

118,800円/年

月額9,900円
私立高校(全日制)

457,200円/年

月額38,100円(旧制度比+6.12万円)
私立高校(通信制)

337,200円/年

月額28,100円(旧制度比+4.02万円)
国公立高専(1〜3年)

234,600円/年

月額19,550円・所得制限なし

年額の一覧です。括弧内は「その設置形態が実際には存在しない」ことを示します。

学校種 国立 公立 私立
高等学校(全日制) 115,200円 118,800円 457,200円
高等学校(定時制) (115,200円) 32,400円 457,200円
高等学校(通信制) (115,200円) 6,240円 337,200円
中等教育学校 後期課程 115,200円 118,800円 457,200円
特別支援学校 高等部 4,800円 4,800円 457,200円
高等専門学校(1〜3年) 234,600円 234,600円 457,200円
専修学校 高等課程・一般課程(昼間学科) (166,800円) 457,200円 457,200円
専修学校 高等課程・一般課程(通信制学科) (166,800円) (337,200円) 337,200円
各種学校(国家資格者養成課程) (115,200円) 457,200円 457,200円

数値出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度における支給限度額(年額)」

【公立通信制は0円ではありません】 公立高校の通信制課程の支給限度額は年6,240円(月額520円)です。金額が小さいのは、公立通信制の授業料自体が低く設定されているためで、制度の対象外なのではありません。単位ごとに授業料が決まっている課程では1単位あたり336円が支給されます。

3-1 単位制の課程に通う場合

授業料が単位ごとに設定されている課程では、月額ではなく単位あたりの額で支給されます。

学校種 公立 私立
高等学校(全日制) 4,812円/単位 18,528円/単位
高等学校(定時制) 1,740円/単位 18,528円/単位
高等学校(通信制) 336円/単位 13,668円/単位

単位数には上限があり、通算74単位・年間30単位までです。 卒業に必要な単位を大きく超えて履修しても、その分が支給されるわけではありません。

支給期間:全日制36月、定時制・通信制48月

支援金は在学中ずっと出るわけではなく、月数の上限があります。文部科学省のQ&Aの逐語は「高等学校の標準的な修業年限とされている36月まで原則支給されます。定時制・通信制の課程については原則48月まで支給されます」です。

学校種 支給期間
高等学校(全日制) 36月
高等学校(定時制) 48月(昼間・夜間の区別なし)
高等学校(通信制) 48月
中等教育学校 後期課程 36月
特別支援学校 高等部 36月
高等専門学校(1〜3年) 36月
専修学校 高等課程・一般課程(昼間学科) 36月
専修学校 高等課程・一般課程(夜間等学科・通信制学科) 48月

※ 専修学校の夜間等学科・通信制学科は、公立の設置例がありません(文部科学省の原表でも括弧書き=実際には存在しない組み合わせとして扱われています)。表の月数は私立についての値です。

【休学するとき】 休学中に授業料の徴収がない場合、学校に「支給停止の申出」を出せば、その期間は支給期間のカウントも止まります。申出をしなかった場合、その期間は支給額0円として計算されたうえで、復学後の残り期間から休学した期間が差し引かれます。 つまり申出をしないと、使っていない月数を失います。

4-1 支給対象にならない人

次に当てはまる場合は、就学支援金の対象外です。

  • 高校等をすでに卒業した人
  • 3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している人
  • 専攻科・別科の生徒、科目履修生、聴講生(専攻科には別の支援制度があります)
  • 平成26年3月以前から引き続き高等学校等に在学している人(さらに古い「公立高等学校授業料無償制」の適用)

対象者の国籍・在留資格要件(2026年度から新設)

新制度で支援金を受けられるのは、日本国内に住所を有する人のうち、次のいずれかに当てはまる人です。

  1. 日本国籍を有する者
  2. 特別永住者
  3. 永住者
  4. 日本人の配偶者等
  5. 永住者の配偶者等
  6. 定住者のうち、将来永住する意思があると認められた者
  7. 家族滞在のうち、日本の小学校および中学校を卒業した者であって、高校等卒業後、日本で就労して定着する意思があると認められた者

留学・特定活動・文化活動・外交・公用などの在留資格は、新制度の支給対象外です。あわせて、各種学校のうち外国人学校を文部科学大臣が指定する制度も廃止されました。

【7番目の「就労して定着する意思」は、進学してからでも構いません】 文部科学省は都道府県あての留意事項で、この要件について「高等学校等の卒業又は修了後直ちに就労する意思があることのみに限らず、高等学校等の卒業又は修了後に大学等に進学し、その卒業又は修了後に就労する意思があることについても認められる」と示しています。高校卒業後すぐに働く予定でなくても、この一点だけで対象外になるわけではありません。要件に当てはまるかどうかの確認は、在学校を通じて都道府県が行います。判断に迷う場合は学校に相談してください。

5-1 新制度の対象外になった人への支援

対象外になっても、支援がなくなるわけではありません。文部科学省の説明は次のとおりです。ここでいう「経過措置」とは、制度が変わったことで急に支援を失う人が出ないよう、改正法の附則で当面のあいだ従来どおりの扱いを続ける定めのことです(今回は附則第2条から第4条)。

  • 在校生(2026年3月31日以前から在籍。留学生を含む):改正法の経過措置により、所得に応じて旧制度と同等の水準の支援が継続します
  • 新入生(2026年4月1日以降に入学。在留資格「留学」を除く):世帯年収等の要件を満たせば、「高校生等・新修学支援」(予算補助・2026年度13億円)の対象になります

いずれも旧制度と同じ水準、つまり年収約590万円未満なら私立で年39万6,000円、年収約910万円未満なら年11万8,800円という区分です。この場合は保護者の収入の確認が必要で、申請も書類で行います。

【参考】旧制度の所得判定の計算式

重要: 新制度の対象者(上記7区分)には、所得の判定そのものがありません。以下は、新制度の対象外となり旧制度と同等の支援を受ける場合に使われる計算式です。

判定は、親権者全員(両親がいれば2人分の合算)について次の式で行います。

算定基準額 = 市町村民税の課税標準額 × 6% − 市町村民税の調整控除の額

※政令指定都市の場合は、調整控除の額に4分の3を乗じて計算します。

「調整控除」は、所得税と住民税とで人的控除(扶養控除・配偶者控除など)の額に差があるぶんを住民税側で調整するための控除です。自分で計算する必要はなく、マイナポータルの「わたしの情報」から「課税所得額(課税標準額)」と「市町村民税_調整控除額」の2つを確認できます(マイナンバーカードが必要)。市区町村が発行する課税証明書にも記載されています。

  • 算定基準額が 15万4,500円未満 → 私立で年39万6,000円(通信制は年29万7,000円)
  • 算定基準額が 15万4,500円以上30万4,200円未満 → 年11万8,800円
  • 算定基準額が 30万4,200円以上 → 旧制度では支給対象外

「年収約910万円」「約590万円」はいずれも目安です。文部科学省の目安は「両親のうち一方が働き、高校生1人(16歳以上)・中学生1人がいる4人世帯」を前提としており、共働きか、子が何人いるか、大学生がいるかで大きく動きます。たとえば両親共働きで子2人(大学生・高校生)の場合、年11万8,800円の支給の目安は約1,090万円までです。

申請の流れ:e-Shienでの手続き

就学支援金 申請のタイムライン(日本国籍の場合)
1
4月(入学時・進級時)
受給資格認定申請
学校から配布されるe-ShienのログインID通知書を使ってログインし、氏名・在籍高校・国籍などを入力。新制度では収入の入力・課税証明書の提出は不要。
2
5〜6月
都道府県による審査・認定
住民基本台帳の情報で国籍が確認され、受給資格が判定される。認定されると通知が届く。
3
7月以降
在校生の受給資格確認
在校生は、国籍・在留資格等の要件を改めて確認する手続きが必要。2025年度以前に認定を受けている人も対象。
4
支給決定後
学校が代理受領・授業料と相殺
支援金は学校設置者(都道府県・学校法人)が受け取り、授業料に充てる。家庭は差額のみ納付。学校によっては先に全額徴収し、後で還付する方式をとる。

【e-Shienとは・誰が操作するか】 e-Shien(イーシエン)は、就学支援金の申請をオンラインで行うための文部科学省のシステムです。ログインIDとパスワードは学校から「ログインID通知書」として配られます。文部科学省の手続きスケジュールでは申請の主体を「生徒・保護者」としており、保護者が代わりに入力しても差し支えありません。入力後は学校を経由して都道府県へ渡ります。

6-1 必要書類

新制度では、所得を証明する書類は不要になりました。必要なのは本人確認の書類です。

  • e-ShienのログインID通知書(学校から配布)
  • 国籍の確認資料(オンライン申請では個人番号カードの写し、または住民票の写し(原本)など)
  • 日本国籍以外の場合は、在留カードの写し、特別永住者証明書の写しなど。家族滞在の場合は小学校・中学校の卒業証書の写しまたは卒業証明書も必要

6-2 日本国籍以外の生徒は書類申請

2026年度から、国籍が「日本国」の場合は原則オンライン申請、「日本国以外」の場合は書類による申請という運用になりました。都道府県側の審査も、日本国籍以外についてはe-Shienではなく手作業で行われます。提出の経路はオンラインの場合と同じで、学校に提出し、学校から都道府県へ回ります。様式や提出期限は都道府県ごとに異なるため、学校の案内を必ず確認してください。

なお文部科学省は都道府県に対し、書類提出を伴う申請について「封をした封筒で、受付を他の生徒の目に触れにくい事務室などで行う」よう配慮を求めています。在留資格を書類で示す必要があるためです。提出方法に不安がある場合は、学校にこの配慮を求めて構いません。

6-3 支給は「申し込んだ月」から

ここは誤解が多いところです。文部科学省のQ&Aの逐語は「原則、就学支援金の支給は申し込みが行われた月からの開始となりますので、提出期日に遅れないよう御留意願います」です。

年度途中に申請しても4月分までさかのぼる、という一般的な扱いはありません。提出が遅れそうな場合・遅れてしまった場合は、あきらめずに学校や都道府県に相談してください(Q&Aも相談を求めています)。

なお2026年度は、e-Shienが4月17日18時から4月24日15時まで緊急メンテナンスで停止しました。文部科学省はこれを受けて「申請時期が5月以降になった場合でも、4月分から受給できるよう、弾力的に取り扱うこととしております」と案内しています。これはこのシステム停止に対する個別の措置であって、遅れた申請が常にさかのぼるという意味ではありません。

年収帯別シミュレーション

新制度では所得制限がないため、対象者であれば世帯年収にかかわらず上限額が適用されます。比較のため、2025年度までの取り扱いを併記します。

モデル 世帯年収(給与) 公立高校(全日制) 私立高校(全日制)
① 片働き+子1人 400万円 118,800円 457,200円(2025年度は396,000円)
② 共働き+子1人 600万円 118,800円 457,200円(2025年度は396,000円または118,800円※)
③ 共働き+子2人 700万円 118,800円 457,200円(2025年度は118,800円※)
④ 片働き+子1人 950万円 118,800円 457,200円(2025年度は臨時支援金で118,800円)
⑤ 片働き+子1人 1,200万円 118,800円 457,200円(2025年度は臨時支援金で118,800円)

※ 2025年度の区分は年収そのものではなく算定基準額(課税標準額×6%−調整控除)で決まるため、同じ年収でも家族構成により区分が変わります。表の2025年度欄は「両親の一方が働き、高校生1人・中学生1人の4人世帯」を前提とした目安です。

【上限額=必ずもらえる額ではありません】 授業料が45万7,200円を下回る学校では、実際の授業料の額までしか支給されません。逆に、私立高校の授業料が上限を超える場合、超過分は家庭の負担です。この差額を埋めるため、都道府県が独自の上乗せ助成を行っている場合があります。名称・要件・金額は自治体ごとに異なるため、お住まいの都道府県(および学校所在地の都道府県)に確認してください。家計全体の設計ではふるさと納税の上限額シミュレーションとあわせて考えると、手取りへの影響を把握しやすくなります。

【支援金が増えたぶん授業料が上がるのでは、という不安について】 文部科学省は施行通知の留意事項で、授業料の設定は学校の権限としつつ「今回の制度改正に伴って合理性のない値上げを行うことは望ましくない」「授業料等を値上げする場合には、その合理性等について、保護者や生徒等に対して説明責任を尽くすよう努めること。特に、大幅な値上げを行った学校においては、より明確な説明を行うこと」と明記しています。値上げの説明に納得できない場合、この通知があることを踏まえて学校に説明を求めることができます。

【授業料の減免を受けている場合】 学校や都道府県の授業料減免を受けている場合、減免された残りの授業料に対して就学支援金が充てられます。二重取りにはなりません。一方、奨学金と就学支援金は別の制度なので、就学支援金が減額されることはなく、原則として両方を受け取れます(民間団体の奨学金は併給を認めない場合があるため要確認)。

就学支援金 vs 高校生等奨学給付金

混同されやすい2制度を整理します。両方受け取れます。

比較項目 就学支援金 奨学給付金
目的 授業料を支援 授業料以外(教科書費・教材費・学用品費・通学用品費・教科外活動費・入学学用品費・通信費など)
所得要件 2026年度から撤廃 あり。2026年度から年収490万円程度まで拡充
返還 不要 不要
申請先 学校経由(e-Shien) お住まいの都道府県または学校(就学支援金とは別に申し込みが必要)
国の補助割合 国3/4・都道府県1/4(国立は国10/10) 国1/2・都道府県1/2(2026年度に1/3から変更)
受給 学校が代理受領 家庭へ給付

8-1 奨学給付金の2026年度給付額(年額)

2026年度から対象が中所得世帯まで広がりました。年収270〜380万円の世帯は非課税世帯の3分の1、年収380〜490万円の世帯は4分の1の額が給付されます。

世帯区分 国公立(全日制等) 私立(全日制等) 国公立(通信制) 私立(通信制)
生活保護世帯 32,300円 52,600円 32,300円 52,600円
住民税非課税世帯(年収270万円未満) 143,700円 152,000円 50,500円 52,100円
所得割額の合算が100円以上105,500円未満(年収270〜380万円) 47,900円 50,670円 16,830円 17,370円
所得割額の合算が105,500円以上182,500円未満(年収380〜490万円) 35,930円 38,000円 12,630円 13,030円

※ 生活保護世帯の額は、生徒本人が生業扶助(高等学校等就学費)を措置されている場合の給付額です。生業扶助のうち「高等学校等就学費」は、生活保護を受けている世帯の子が高校に通うための費用として生活保護から支給されるものです。措置されているかどうかは、担当の福祉事務所(ケースワーカー)に確認できます。
※ 都道府県ごとに上乗せがある場合があります。具体の要件・給付額・手続きはお住まいの都道府県にご確認ください。

判定に使う「所得割額の合算額」は、保護者等全員の道府県民税所得割額と市町村民税所得割額を足した金額です。文部科学省のリーフレットは「ご自身の所得割額などはマイナポータルで「わたしの情報」から確認できます」と案内しています。課税証明書・非課税証明書にも記載されています。

【家計が急変したとき】 保護者の負傷・疾病による療養で勤務できない、自分の責めによらない理由での離職など、従前の収入を得られなくなった場合、奨学給付金の家計急変支援を受けられる可能性があります。7月1日までに申請すれば年額が給付され、7月2日以降の申請は年額を月割りにした額になります。事由が発生したら速やかに都道府県または学校に相談してください。

一方、就学支援金の家計急変支援(支給限度額は月額33,000円、公立高校等は月額9,900円)は、収入によって支給額が変わることを前提とした仕組みです。主な要件も「世帯年収が約590万円未満相当まで減少したこと」とされています。新制度の対象者はもともと収入にかかわらず上限額(私立全日制で月38,100円)を受け取っているため、この仕組みで増額されることはありません。新制度の対象外となり旧制度と同等の支援を受けている場合にのみ関係します。 なお文部科学省の総合案内ページでは、この制度が「高校生等への修学支援(旧制度)」の欄に「(旧制度)高等学校等就学支援金制度(家計急変支援)」として掲載されています(リンク先は国立国会図書館の保存版。文部科学省サイト上の元ページも引き続き閲覧できます)。

医療費の自己負担をカバーする高額療養費制度の自己負担上限、子育て世帯の現金給付である児童手当の所得制限撤廃と年間受給額とあわせて確認すると、高校3年間の家計設計が立てやすくなります。

誤解されやすい6つのポイント

誤解1:「多子世帯なら高校の支援金が上乗せされる」
高等学校等就学支援金に、子の人数による加算はありません。文部科学省の新制度の概要資料にも、制度Q&Aにも、多子世帯の加算は記載されていません。子3人以上の世帯を対象とした所得制限なしの支援は、大学・短大・高専4〜5年・専門学校を対象とした「高等教育の修学支援新制度」の話です。高校段階では、所得制限が撤廃された結果として、対象者であれば子の人数にかかわらず上限額が適用されます。高校の専攻科(高校卒業後に進む課程)には多子世帯向けの支援がありますが、これも本科の就学支援金とは別制度です。

誤解2:「高所得世帯への支援は2026年4月に始まった」
公立高校相当額(11万8,800円)については、2025年度の「高校生等臨時支援金」ですでに支給されていました。2026年4月の改正で新しくなったのは、それが法律上の制度になったことと、私立の上限額が引き上げられたことです。

誤解3:「申請が遅れても4月分からさかのぼる」
原則は申し込みをした月からの支給です。2026年度のe-Shien停止に伴う特例を、一般のルールと取り違えないでください。

誤解4:「私立なら必ず45万7,200円もらえる」
上限額です。授業料が下回れば実費まで。上回れば差額は自己負担です。

誤解5:「所得制限がなくなったので誰でも対象」
2026年度から国籍・在留資格の要件が新設されました。対象は7区分に限られます。対象外になった場合も旧制度と同等の支援がありますが、そちらには収入の要件があり、申請も書類で行います。

誤解6:「定時制は全日制と同じ36月」
定時制は昼間・夜間を問わず48月です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年4月時点で高校2年生・3年生でも所得制限撤廃の対象になりますか

A. はい、対象です。学年や入学年度に関係なく、2026年4月以降の授業料分から収入を問わず支給されます。ただし在校生も、国籍・在留資格等の要件を確認する手続きが必要です。2025年度以前に受給資格の認定を受けている人も、2026年度の支給を受けるにあたって改めて確認が行われます。学校からの案内を必ず確認してください。

Q2. 私立高校に通っていて年収600万円です。いくら受けられますか

A. 私立高校(全日制)なら年45万7,200円が上限です。2026年度は所得制限がないため、年収600万円でもこの上限が適用されます。2025年度までは算定基準額に応じて39万6,000円または11万8,800円に分かれていましたが、その区分は新制度ではなくなりました。ただし在学校の授業料が45万7,200円を下回る場合は、実際の授業料の額までの支給です。

Q3. 保護者の課税証明書は提出しなくてよいのですか

A. 新制度の対象者(日本国籍、特別永住者、永住者など7区分)は、収入による判定がないため所得を証明する書類は不要です。必要なのは国籍・在留資格を確認する書類です。ただし新制度の対象外となり旧制度と同等の支援を受ける場合は、従来どおり保護者等の収入の確認が必要で、申請も書類で行います。

Q4. 全日制を20か月で退学し通信制に転入しました。支給期間はどうなりますか

A. 通信制の支給期間48月から、全日制の在学月数を4/3倍した月数を差し引きます。文部科学省のQ&Aは「48月−20月×4/3(端数切捨て)という計算式になり、通信制では22月分が支給される」としています。20×4/3=26.66…を切り捨てて26月、48−26=22月です。端数を切り捨てるため、割り切れない場合は生徒に有利な側に働きます。

Q5. 高校を中退してから再入学した場合、もう一度受けられますか

A. 支給期間(全日制36月、定時制・通信制48月)が残っていれば、その残り月数の範囲で受けられます。前回の在籍期間は消化した期間として数えられます。残り月数を超えてしまう場合は、別に「高校等で学び直す者に対する修学支援」があり、都道府県が卒業までの最長12月(定時制・通信制は最長24月)、就学支援金相当の支援を継続します。入学先の学校または都道府県に相談してください。

Q6. 年度途中で家計が急変しました。就学支援金は増額されますか

A. 新制度の対象者は、もともと収入にかかわらず上限額を受け取っているため、就学支援金がこれ以上増えることはありません。増額の可能性があるのは、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金の家計急変支援です。7月1日までの申請なら年額、7月2日以降なら月割りの額が給付されます。速やかにお住まいの都道府県または学校に相談してください。

Q7. 外国籍ですが、支援は受けられますか

A. 在留資格によります。特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のうち将来永住する意思があると認められた者、家族滞在のうち日本の小中学校を卒業し高校卒業後に日本で就労・定着する意思があると認められた者は、新制度の対象です。留学・特定活動などは対象外ですが、2026年3月31日以前からの在校生には経過措置があり、2026年4月以降の新入生(留学を除く)にも「高校生等・新修学支援」があります。いずれも収入の要件があります。

Q8. 休学するときに注意することはありますか

A. 休学中に授業料が徴収されない場合は、学校に「支給停止の申出」を提出してください。申出をすれば、その期間は支給期間のカウントが止まり、復学後に残り月数をそのまま使えます。申出をしないと、休学期間も支給額0円として計算されたうえで、復学後の残り期間から休学した期間が差し引かれます。手続きひとつで使える月数が変わるため、休学を決めたら学校に確認してください。

まとめ・アクションチェックリスト

2026年度の就学支援金は「所得制限の撤廃」「私立高校(全日制)の上限を45万7,200円に引き上げ」「国籍・在留資格による対象者の限定(新設)」の3点が柱です。手続きの面では、日本国籍ならe-Shienでのオンライン申請で完結し、所得を証明する書類は要りません。一方で支給は申し込んだ月から始まるため、4月の案内を逃さないことが最も重要です。

アクションチェックリスト
□ 学校からe-ShienのログインID通知書を受け取った
□ 4月の案内にある期限までに受給資格認定申請を済ませた(支給は申し込んだ月から)
□ 在校生も、国籍・在留資格等の確認手続きを済ませた
□ 在学校の授業料と支給上限額を比べ、自己負担の差額を確認した
□ お住まいの都道府県の上乗せ助成の有無を確認した
□ 年収490万円程度までの世帯は、奨学給付金を都道府県に別途申し込んだ
□ 休学する場合は「支給停止の申出」を学校に提出した
□ 日本国籍以外の場合は、書類申請の方法と必要書類を学校に確認した

出典・参考資料

  • 文部科学省「高校生等への修学支援」(新制度の総合案内)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(支給限度額・支給期間・国籍要件)
    https://www.mext.go.jp/content/20260616-mxt_shuukyo03-100002595_7.pdf
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度【日本国籍の方用】リーフレット」
    https://www.mext.go.jp/content/20260616-mxt_shuukyo03-100002595_2.pdf
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」(支給期間・転学時の計算・支給開始月)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342600.htm
  • 文部科学省「令和8年度予算 高等学校等就学支援金等」(負担割合・制度の背景)
    https://www.mext.go.jp/content/20260408-mxt_shuukyo03-100002595_2.pdf
  • 文部科学省「令和8年度予算 高校生等奨学給付金」(給付額・補助割合の変更)
    https://www.mext.go.jp/content/20260408-mxt_shuukyo03-100002595_4.pdf
  • 文部科学省「高校生等奨学給付金リーフレット(令和8年度)」(所得区分・家計急変支援)
    https://www.mext.go.jp/content/20260616-mxt_shuukyo03-100002595_18.pdf
  • 文部科学省「令和8年度 高等学校等就学支援金 都道府県等担当者向け説明資料」(改正法の要点・経過措置)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/202604013-mxt_shuukyo03-1342601_2.pdf
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット(令和7年度版)」(2025年度の臨時支援金)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20250411-mxt_shuukyo03-100002595-02.pdf
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度(平成26年度・令和2年度改正の旧制度)」(旧制度の所得判定)
    https://warp.ndl.go.jp/web/20260501103019/https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm

免責事項

本記事は2026年9月12日時点の文部科学省公表資料に基づく一般的な解説です。支給限度額・申請期限・必要書類・上乗せ助成の有無は、お住まいの都道府県および在学校によって取り扱いが異なります。実際の申請にあたっては、学校または都道府県の案内に従ってください。


FAQ Schema用

faq:
– q: “2026年4月時点で高校2年生・3年生でも所得制限撤廃の対象になりますか”
a: “対象です。学年や入学年度に関係なく、2026年4月以降の授業料分から収入を問わず支給されます。ただし在校生も国籍・在留資格等の要件を確認する手続きが必要で、2025年度以前に認定を受けている人も2026年度の支給にあたり改めて確認が行われます。”
– q: “私立高校で年収600万円の場合、就学支援金はいくら受けられますか”
a: “私立高校(全日制)は年45万7,200円が上限です。2026年度は所得制限がないため年収600万円でもこの上限が適用されます。2025年度までの39万6,000円・11万8,800円という区分はなくなりました。授業料が上限を下回る場合は実際の授業料の額までの支給です。”
– q: “保護者の課税証明書は提出しなくてよいのですか”
a: “新制度の対象者(日本国籍、特別永住者、永住者など7区分)は収入による判定がないため、所得を証明する書類は不要です。必要なのは国籍・在留資格を確認する書類です。新制度の対象外となる場合は従来どおり収入の確認が必要で、申請も書類で行います。”
– q: “全日制を20か月で退学し通信制に転入した場合、支給期間はどうなりますか”
a: “通信制の48月から、全日制の在学月数を4/3倍した月数を差し引きます。文部科学省のQ&Aは「48月−20月×4/3(端数切捨て)」で通信制では22月分が支給されるとしています。20×4/3=26.66…を切り捨てて26月、48−26=22月です。”
– q: “高校中退から再入学した場合、再受給できますか”
a: “支給期間(全日制36月、定時制・通信制48月)が残っていれば、その残り月数の範囲で受けられます。超えてしまう場合は「高校等で学び直す者に対する修学支援」があり、都道府県が卒業までの最長12月(定時制・通信制は最長24月)、就学支援金相当の支援を継続します。”
– q: “年度途中で家計が急変した場合、就学支援金は増額されますか”
a: “新制度の対象者はもともと収入にかかわらず上限額を受け取っているため、就学支援金が増額されることはありません。増額の可能性があるのは高校生等奨学給付金の家計急変支援で、7月1日までの申請なら年額、7月2日以降なら月割りの額が給付されます。”
– q: “多子世帯だと高校の就学支援金は上乗せされますか”
a: “高等学校等就学支援金に子の人数による加算はありません。文部科学省の新制度の概要資料にも制度Q&Aにも多子世帯の加算は記載されていません。子3人以上の世帯を対象とした所得制限なしの支援は、大学等を対象とした高等教育の修学支援新制度の話です。”
– q: “申請が遅れた場合、4月分までさかのぼって支給されますか”
a: “原則として支給は申し込みが行われた月からの開始です。年度途中に申請しても4月分までさかのぼるという一般的な扱いはありません。提出が遅れそうな場合や遅れてしまった場合は、学校または都道府県に相談してください。”

JG

実務ガイド編集部

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本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。