就労継続支援B型2026|工賃・利用条件・申請方法を利用者目線で完全解説

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就労継続支援B型2026|工賃・利用条件・申請方法を利用者目線で完全解説
目次

最終更新日: 2026年5月

免責事項: 本記事は障害者総合支援法(平成17年法律第123号)および関連法令に基づき、就労継続支援B型の利用を検討している方・ご家族向けに情報を整理したものです。法令・通知の改正や自治体独自の運用により内容が変わる場合があります。実際の利用申請にあたっては、必ずお住まいの市町村の障害福祉担当窓口で最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づく判断・行動によって生じた損害について、筆者は一切の責任を負いません。

「仕事に就きたいけれど、一般企業はハードルが高い」「障害がありながら、少しでも自分のペースで働きたい」——そう考えたとき、最初に調べたくなるのが就労継続支援B型(以下、「就労B型」「B型」と略)ではないでしょうか。

でも調べてみると「工賃が低いのでは?」「手帳がないと使えないの?」「どうやって申請するの?」と疑問が次々に浮かびます。事業所側の指定基準や開設手続きについての情報はネット上にたくさんありますが、利用したい個人・ご家族の目線で書かれた情報は意外と少ないのです。

本記事では、利用者側が知りたいことに絞って解説します。工賃の実態・対象者・利用条件・申請方法・体験利用の活用法・事業所選びのポイントまで、初めてB型を調べる方でも全体像をつかめるよう整理しました。


就労継続支援B型とは何か——A型・就労移行支援との違い

就労継続支援B型は、障害者総合支援法第5条第14項に規定される「就労継続支援」のひとつで、通常の事業所への雇用が困難な障害者に対し、就労の機会や生産活動の機会を提供し、知識と能力の向上を図ることを目的とするサービスです。

A型と混同されがちですが、制度設計がまったく異なります。また就労移行支援も「働く」というキーワードでよく並べて語られますが、目指す方向性が違います。それぞれの特徴を表で整理します。

B型・A型・就労移行支援の3サービス比較

比較項目 就労継続支援B型 就労継続支援A型 就労移行支援
雇用契約 なし(福祉的就労) あり(最低賃金適用) なし
受け取る対価 工賃(賃金ではない) 賃金(給与) なし(訓練が主目的)
全国平均(令和5年度) 月17,031円・時給245円(※後述) 月約86,752円
年齢制限 なし(18歳以上。以前利用歴があれば15歳からも可) 原則65歳未満 原則18〜65歳未満
障害者手帳 不要(医師の意見書でも可) 不要(医師の意見書でも可) 不要
利用期間 定めなし(更新継続可) 定めなし 原則2年(最長3年)
労働時間の目安 1日2〜6時間程度(柔軟) 1日4〜8時間程度 1日4〜8時間程度
主な目的 自分のペースで働く場・社会参加の場 雇用契約を結んで働く場 一般企業への就職を目指す訓練
法的根拠 障害者総合支援法第5条第14項 同左 障害者総合支援法第5条第13項

ポイント解説:B型の最大の特徴は「雇用契約を結ばない」点です。雇用契約がないため最低賃金は適用されませんが、その分利用者の体調・ペース・能力に合わせてきわめて柔軟な働き方が実現できます。「月水金だけ」「午前中だけ」「作業量はその日の体調次第」といった働き方を、法律の範囲内で認めてもらえるのがB型の大きな利点です。

一方、A型は雇用契約があり最低賃金を受け取れますが、それだけ就労に近いスタイルが求められます。「今はB型で経験を積み、いずれA型や一般就労に進む」というステップアップの道もあります(詳細はのちほど解説します)。


誰が利用できるか——対象者・年齢・手帳要否・難病

B型の利用対象者は、障害者総合支援法に基づく以下のいずれかに該当する方です(障害者総合支援法第5条第14項、同法施行規則第6条の10)。

対象となる障害・疾病の種類

  • 身体障害者:身体障害者手帳をお持ちの方、または医師の意見書で身体機能の障害が確認できる方
  • 知的障害者:療育手帳をお持ちの方、または知的障害と判定された方
  • 精神障害者:精神保健福祉手帳をお持ちの方、または医師の診断書で精神疾患が確認できる方(発達障害・高次脳機能障害を含む)
  • 難病等の対象者:障害者総合支援法第4条第1項に基づき政令で定められた対象疾病(2025年4月1日改正により376疾病。令和7年厚労省告示)に罹患しており、症状が一定以上の方

【注意】376疾病のリストは随時更新されます。自分の疾病が含まれるかどうかは、厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」のページ、または市町村の障害福祉担当窓口で確認してください。

障害者手帳は必須ではない

「手帳がないと就労B型は使えない」というのは誤解です。手帳を持っていなくても、医師の診断書・意見書によって支給決定を受けることが可能です。精神障害・発達障害・難病の方で手帳を取得していないケースでも、主治医の意見書と市町村の審査を経てB型の受給者証を取得できた事例は多くあります。「手帳を取っていないから無理」とあきらめる前に、まず市町村窓口に相談することをおすすめします。

なお、B型の利用を始めるには「障害福祉サービス受給者証」が必要ですが、その申請方法の全手順(必要書類・負担上限額・審査の流れ)は別記事「障害福祉サービス受給者証2026|申請手順・必要書類・利用料完全ガイド」で詳しく解説しています。

年齢制限の考え方

B型に上限年齢の制限はありません。高齢者の方でも、就労の機会・社会参加の場として継続して利用できます。

下限については、原則として18歳以上ですが、15歳以上の方が就労継続支援B型の利用歴を持つ場合や、就労移行支援を終えてB型に移行する場合など例外的に15歳から利用が認められるケースもあります(詳しくは市町村窓口で確認)。


工賃の実態——月額・時給の全国平均と格差

「就労B型の工賃はいくらもらえるの?」は、利用を検討する方が最も気になるポイントのひとつです。

全国平均工賃(厚労省調査・令和5年度実績)

厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」(2024年度公表)によれば、就労継続支援B型の工賃は次のとおりです。

指標 金額
全国平均(月額) 17,031円
全国平均(時給換算) 245円

数値の根拠と注意事項:上記は厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」(令和6年公表)に基づくB型の全国平均値です。「令和5年度」は2023年4月〜2024年3月の実績であり、2024年度(令和6年度)以降の最新数値は厚労省公式ページで改めてご確認ください。

工賃には幅がある——高い事業所と低い事業所

全国平均17,031円という数字を見て「低い」と感じる方もいるでしょう。しかしこれはあくまで平均であり、事業所によって大きな幅があります。

農業・IT軽作業・カフェ運営・印刷・製造業受託など、収益性の高い作業を行う事業所では月5万円を超えるケースもあります。一方、利用者への支援に重きを置く福祉色の強い事業所では月5,000〜10,000円台にとどまる場合もあります。

工賃水準を重視するなら、事業所の「工賃実績」を必ず確認しましょう。事業所は障害福祉サービス等情報公表制度(WAM NET)で工賃の実績を公表する義務があります。見学時に「昨年度の平均工賃」を直接確認することが最も確実です。

工賃と一般就労の賃金との違い

工賃は雇用契約に基づく「賃金」ではないため、最低賃金の適用を受けません。また雇用保険・社会保険(一定の例外あり)も通常は適用されません。就労B型の利用は「福祉的就労」であり、「雇用」ではないという理解が重要です。

「少ない工賃でも、生活の基盤は別に確保しながら、無理なく社会参加できる場」として活用するのが、B型の本来の位置づけです。障害年金・生活保護・家族の扶養など、別の収入・生活保障と組み合わせながら利用するケースがほとんどです。


仕事内容の具体例——どんな作業をするのか

就労B型で行う作業の種類は事業所によってまったく異なります。自分が「続けられそう」「楽しそう」と思える仕事内容かどうかは、事業所選びの大切な軸になります。

主な仕事内容カテゴリ

① 軽作業・内職系
封入・仕分け・シール貼り・部品の組み立て・箱折りなど。身体的負荷が少なく、短時間・座位で行える作業が多い。比較的多くの事業所で採用されている。

② 農福連携(農業系)
野菜・果物の栽培・収穫・加工・出荷作業。屋外活動が多く、自然の中で働ける。身体を動かしたい方・作業の変化を好む方に向いている。近年急増している分野。

③ クリーニング・清掃
施設内の清掃、衣類のクリーニング受託。手順が決まっているため作業の見通しが立てやすく、感覚過敏がない方に向く。

④ 食品加工・菓子製造・カフェ運営
弁当・パン・お菓子の製造販売、カフェの接客・調理補助。社会との接点が多く、利用者の意欲が高まりやすい。工賃が比較的高い事業所が多い傾向。

⑤ 印刷・データ入力・IT軽作業
チラシ・名刺の印刷、パソコンを使ったデータ入力・デジタルコンテンツ制作補助。IT系スキルを伸ばしたい方に向く。スキルアップでA型や一般就労につながりやすい。

⑥ 手工芸・アート・陶芸
布製品の製作、陶器・木工芸品の製作、絵画・イラスト制作など。創作活動を通じた自己表現が主目的の事業所もある。

⑦ 施設内の雑務・物品管理
施設の備品整理、書類ファイリング、軽い配送補助。特定のスキルが不要で、作業量の調整が柔軟。

自分の体力・得意なこと・好きなことを軸に、「この仕事なら続けられそう」という事業所を探すことが長続きの秘訣です。事業所見学時には、実際にどんな作業をしているか必ず確認しましょう。


利用までの流れ——受給者証申請から通所開始まで

就労B型を利用するには、まず障害福祉サービス受給者証を取得する必要があります。受給者証は「このサービスをこの量だけ使ってよい」と市町村が認める許可証です。

受給者証の申請全手順(必要書類・認定調査・サービス等利用計画・負担上限額の判定まで)は「障害福祉サービス受給者証2026|申請手順・必要書類・利用料完全ガイド」で詳しく解説しています。ここでは、就労B型利用に絞った流れの概要を整理します。

就労B型利用開始までの全体ステップ

【STEP 1】市町村の障害福祉担当窓口に相談
   「就労継続支援B型を利用したい」と伝え、申請書類を受け取る
    ↓
【STEP 2】障害福祉サービス受給者証の申請
   医師の意見書・本人確認書類等を揃えて窓口に提出
   ※就労B型は訓練等給付のため、障害支援区分の認定が原則不要
   → 申請から受給者証交付まで標準2〜4週間(区分認定が不要な分、介護給付より早い)
    ↓
【STEP 3】サービス等利用計画の作成
   相談支援専門員(計画相談支援)、またはセルフプランで作成
    ↓
【STEP 4】事業所を探して見学・体験
   WAM NETや市町村の事業所一覧で候補を検索→複数事業所を見学
   ※体験利用(最大5日間)を活用して相性を確かめる(詳細は後述)
    ↓
【STEP 5】事業所と契約
   重要事項説明書の内容を確認してから署名・押印
    ↓
【STEP 6】通所開始
   個別支援計画に基づいてサービス利用スタート

重要な特例:暫定支給決定
B型や就労移行支援では、本格的な支給決定の前に「暫定支給決定(アセスメント期間)」が設けられることがあります。最大2か月間、実際に通所しながら「本当に自分に合うか」「続けられる体力・環境か」を確認できる制度です。「まずは体験してから決めたい」という方は、窓口で暫定支給決定の利用を相談してください。


利用料・月額負担上限——実際にいくらかかるか

就労B型を利用する際の費用は、サービス費用の原則1割が自己負担ですが、所得に応じた月額負担上限が設けられています(障害者総合支援法第29条・同施行令第17条)。

月額負担上限額の4区分(2026年現在)

区分 対象 月額負担上限額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外の課税世帯 37,200円

(障害者総合支援法施行令第17条および関連告示に基づく。18歳以上の障害者の場合、世帯の範囲は「本人と配偶者のみ」)

利用者の多くは生活保護・市町村民税非課税世帯(低所得)に該当するため、実質の自己負担がゼロというケースが少なくありません。負担上限額の詳しい世帯範囲の計算方法(親と同居していても親の収入は含まれない仕組みなど)は、「障害福祉サービス受給者証2026」で解説しています。

利用料以外にかかる費用

利用料(1割負担分)のほかに、次のような実費が別途発生する場合があります。

費目 概要 目安
食費 昼食など(事業所によって異なる) 200〜500円/回
交通費 自宅〜事業所間の移動費 実費(送迎を行う事業所あり)
日用品費 作業着、手袋等の材料費 実費(事業所負担の場合あり)

多くの就労B型事業所では送迎サービス(加算あり)を行っており、自力での通所が難しい方でも利用できます。送迎の有無は事業所選びの重要なチェックポイントです。


体験利用の活用法——通いながら事業所を見極める

「いきなり契約するのは不安」「実際の雰囲気を見てから決めたい」という方のために、就労B型には体験利用(見学・体験)の仕組みがあります。

体験利用の仕組み

事業所見学とは別に、実際に作業や活動に参加する体験(体験利用)を受け入れている事業所がほとんどです。複数の事業所を比較する際、体験利用を通じて「作業の難易度・雰囲気・スタッフの対応・他の利用者との関係性」を具体的に体感できます。

体験の日数・条件は事業所ごとに異なりますが、受給者証の取得前から見学・短期体験を受け入れている事業所も多くあります。また暫定支給決定(アセスメント期間、最大2か月)を活用すれば、受給者証の取得後に継続して体験しながら判断できます。

体験利用でチェックすべき5ポイント

体験時に特に確認しておきたいポイントを以下にまとめます。

  1. 作業の内容と難易度:自分が無理なく続けられる作業か。「難しすぎる」「簡単すぎる」どちらも長続きしない原因になる
  2. スタッフの関わり方:サービス管理責任者・支援員が利用者一人ひとりの状態をきめ細かく把握しているか。困ったときに声をかけやすい雰囲気か
  3. 他の利用者との雰囲気:一緒に通う利用者層(障害の種類・年代)が自分と合いそうか
  4. 通所日数・時間の柔軟性:体調に合わせた調整が可能か。休みやすい雰囲気か
  5. 工賃の実績:体験中に「昨年度の平均工賃は月いくらか」を直接スタッフに聞く

通所頻度・時間の柔軟性——週1日から始めることができる

就労B型の大きな魅力のひとつは、通所の頻度や時間を自分のペースに合わせられることです。

通所の目安

項目 内容
通所日数 週1日〜週5日の範囲で個人に合わせて設定
1日の通所時間 2〜6時間程度が多い(半日(午前のみ)もOK)
支給量(受給者証に記載) 月当たりの通所日数の上限が記載される。必ずしも上限まで通う必要はない

最初は週2〜3日・半日程度から始めて、体調や生活リズムが整ってきたら日数・時間を増やしていくスタイルが一般的です。重要なのは「無理なく続けられること」であり、週5日フルタイムで通わなければいけないルールはありません。

なお、1日の利用時間が4時間未満の利用者が事業所全体の5割を超える場合、事業所側の報酬に短時間利用減算が適用されます。これは事業所の経営面での問題であり、個々の利用者の通所時間を制限するものではありませんが、事業所によっては「4時間以上の通所を前提とする」運営方針をとっているところもあります。見学・体験時に確認しておくと安心です。


B型からA型・一般就労へのステップアップ

就労B型は「終の場所」と思われがちですが、力をつけながら雇用に向かうステップアップの起点にもなります。

ステップアップの路線図

就労継続支援B型
    ↓(スキル・体力・生活リズムが整ってきたら)
就労継続支援A型
    ↓(一般企業での就労を目指したい場合)
就労移行支援(最大2〜3年)
    ↓
一般企業への就職

B型からA型への移行、またはB型から直接就労移行支援に切り替えることで、一般就労を目指せます。現在、企業側では2026年7月に法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げ障害者雇用率2.7%引上げ2026年7月ガイド参照)られ、障害者を積極的に雇用しようとする企業が増えています。雇用側の受け皿が広がっている今は、一般就労を視野に入れた準備を進める好機でもあります。

ステップアップを考えるサイン

「B型から次のステップを考えていい時期かも」と思うタイミングの目安は次のとおりです。

  • 定められた通所日数を安定して守れるようになった
  • 作業の指示を理解し、一定量をこなせるようになった
  • 自分から「もっと働きたい」「収入を増やしたい」という意欲が出てきた
  • 体調の波が落ち着き、予定通りに動ける日が増えた

ステップアップを考え始めたら、事業所のサービス管理責任者・支援員に「次のステップに進む方法を相談したい」と伝えることが第一歩です。個別支援計画に「就労移行に向けた準備」という目標を盛り込んでもらうことで、具体的な支援につながります。


事業所選びの5つのチェックポイント

「どの事業所にするか」の選択は、その後の通所生活の質に直結します。以下の5点を複数の事業所で比較・確認することをおすすめします。

チェックポイント1:工賃の実績と仕事内容

直近年度の平均工賃月額をスタッフに直接確認しましょう。WAM NETでも公表されていますが、最新の実績は事業所から直接聞く方が確実です。工賃水準だけでなく、「どんな仕事を通じて工賃を得ているか」(農業・軽作業・カフェ・IT等)も、モチベーションに直結します。

チェックポイント2:通所の柔軟性と送迎サービス

体調が悪い日の欠席は受け入れてもらえるか、休みやすい雰囲気か。また送迎サービスの有無と送迎エリアは、毎日の通所を左右する実用的な問題です。自家用車での通所が難しい方は、必ず事前確認を。

チェックポイント3:スタッフの人員配置と資格

サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員が十分に配置されているかは、支援の質に直結します。「職員1人あたり何人の利用者を担当しているか」「サービス管理責任者は常駐しているか」を見学時に確認しましょう。事業所側の指定基準・人員配置の詳細については「障害福祉サービス事業所の指定基準・開設手順ガイド」も事業所選びの参考になります。2026年6月改定(+1.84%)で見直された介護職員等処遇改善加算を取得している事業所は、スタッフ確保に積極的な傾向があり、職員配置の安定性の目安になります(最新の改定率・要件は厚労省告示で要確認)。

チェックポイント4:個別支援計画の作り方

B型では、サービス管理責任者が利用者ごとに「個別支援計画」を作成し(最低6か月に1回のモニタリング実施が義務)、目標・訓練内容・支援方針を文書で管理します。「本人の希望をどう計画に反映するか」「目標の達成度をどう評価するか」を見学時にスタッフに尋ね、利用者本位の運営か確認しましょう。

チェックポイント5:情報公表・第三者評価の状況

事業所は障害福祉サービス等情報公表制度に基づき、WAM NETで運営状況を公表しています。公表内容(定員・現員・職員数・工賃・第三者評価受審の有無等)は、事業所選びの客観的な判断材料になります。


家族の関わり方——送迎・金銭管理・連絡調整

B型の利用は「ご本人だけの問題」ではなく、家族のサポートが通所継続に大きな影響を持ちます。

送迎のサポート

事業所の送迎エリア外に住んでいる場合や、公共交通機関だけでは通所が難しい場合は、家族による送迎が現実的な選択肢になります。通所の継続のためにも、「誰が送迎を担当するか」「緊急時の対応は誰がするか」を家族内で事前に決めておくことが大切です。

事業所によっては福祉有償運送(市町村が認可する非営利の移送サービス)と連携しているところもあります。見学時に「家族が送迎できない場合の選択肢」を確認しましょう。

工賃の管理

工賃は毎月末〜翌月初めに支払われるのが一般的です。金額は小さくても、「自分で稼いだお金」という意識は自己肯定感につながります。

金銭管理が難しい場合は、日常生活自立支援事業(社会福祉協議会が実施)や成年後見制度の活用を検討することができます。家族が金銭管理を担う場合も、「本人が工賃の受け取りを把握できる仕組み」を意識することが大切です。

事業所との連絡調整

家族は事業所との連絡窓口として重要な役割を担います。「体調が悪い日の連絡」「通所日数の変更相談」「個別支援計画のモニタリング面談への参加」など、家族の関わりが支援の質を高める機会になります。ただし、ご本人が自分の意思・感想を事業所に伝えられる環境を確保することも大切です。


よくある誤解——「就労B型は障害が重い人だけが使う」等の払拭

誤解1「障害が重くないと使えない」

事実:軽度〜中等度の障害の方でも利用できます。B型の要件は「通常の事業所に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が困難な者」ですが、これは「障害の重さ」だけで決まるのではありません。一般企業での就労が体調・精神面から困難であれば、軽度の障害でも支給決定を受けられます。「自分には重すぎる制度だ」と思い込まず、まず窓口に相談しましょう。

誤解2「障害が重いと利用できない」

事実:重度の障害の方でも、本人の意欲・状態に応じて利用できます。B型に障害支援区分の要件はなく(訓練等給付のため区分認定不要)、区分が高くても利用できます。重度心身障害の方は生活介護が適切な場合もありますが、就労意欲・作業能力があればB型でも十分対応可能です。

誤解3「一度B型に入ったら抜けられない」

事実:利用終了・転換は自由です。B型の利用終了の条件に制限はなく、「一般就労が決まった」「A型に移行する」「体調が改善して就労移行支援に切り替える」「一時的に休止する」などの理由で柔軟に対応できます。「ずっとここに縛られる」という心配は不要です。

誤解4「工賃が目当てで利用するのはおかしい」

事実:工賃を目的として利用することは何もおかしくありません。生活の足しになる工賃を得ながら、社会参加・生活リズムの維持・仲間との交流を実現することは、B型の制度趣旨に沿っています。「お金のために行く」という動機を恥じる必要はなく、工賃の高い事業所を積極的に選ぶことも合理的な判断です。

誤解5「作業についていけなければ使えない」

事実:作業のペース・量は個人に合わせて調整します。B型の個別支援計画は、利用者ひとりひとりの能力・体調・目標に合わせて設定されます。「最初から一定量こなせなければいけない」ということはなく、ゆっくりとしたペースから始めることが前提です。「自分には無理かも」と思っても、まず体験利用で試してみることをおすすめします。


FAQ(よくある質問)

A

必須ではありません(障害者総合支援法第4条第1項)。身体・療育・精神保健福祉手帳のいずれも持っていなくても、医師の診断書・意見書によって市町村の支給決定を受けることが可能です。発達障害・難病(376疾病対象)・高次脳機能障害等で手帳を取得していない方でも申請できます。まずはお住まいの市町村の障害福祉担当窓口に「手帳がないが受給者証を申請したい」と相談してください。

A

受け取れます。就労継続支援B型の利用(工賃の受け取り)と障害年金の受給は、原則として両立可能です。ただし、障害基礎年金・障害厚生年金の等級要件(就労状況が審査の判断材料になる場合がある)については、年金事務所または社会保険労務士に個別に確認してください。生活保護受給者の場合は収入認定の取り扱いがあるため、担当ケースワーカーに確認が必要です。

A

休んでもサービスの利用資格(受給者証)が失われるわけではありません。事業所への連絡(多くの場合は当日の朝一番)が必要ですが、休むこと自体は認められています。長期の欠席(1か月以上)が続く場合は事業所と相談のうえ、利用日数の一時的な変更やサービスの休止手続きを取ることが可能です。「休みにくい雰囲気の事業所」は長続きしない原因になるため、見学時に「休みやすい文化か」を確認することをおすすめします。

A

継続して利用できます。就労継続支援B型には上限年齢がなく(障害者総合支援法施行規則第6条の10)、65歳に達しても同じ事業所でB型を利用し続けることが可能です。ただし65歳以降は介護保険優先原則が適用され、介護保険で代替できるサービスは介護保険が優先されます。B型(就労継続支援)は介護保険に同等のサービスがないため、65歳以降も障害福祉サービスとして継続利用できます。65歳到達前に市町村窓口で移行手続きの確認を行っておくとスムーズです。

A

事業所の指定取消し・廃業が決まった場合、事業者は一定期間前(原則として1か月以上)に利用者と市町村に通知する義務があります(指定基準省令)。通知を受けたら、市町村の障害福祉担当窓口と相談支援専門員に連絡し、別の事業所の紹介・見学・受給者証のサービス種別変更手続きを進めます。支給決定の変更(事業所の変更)は通常1〜2週間で対応できるため、早めに動くことが空白期間をなくすポイントです。

A

法律上の制限はなく、就労B型の利用とアルバイト・内職等の副収入を組み合わせることは可能です。ただし、(1) 生活保護受給者の場合は収入申告が必要(担当ケースワーカーに確認)、(2) 障害年金受給者は就労状況が更新審査の参考になる場合がある(年金事務所に確認)、(3) 事業所の通所日程と副業のスケジュールを無理なく調整することが必要、の3点に注意が必要です。副業に関しては個別の事情によって対応が異なるため、事業所のサービス管理責任者や市町村窓口に相談することをおすすめします。


今すぐやること——利用検討から申請開始まで

就労B型の利用を考えている方・ご家族のための、具体的な行動チェックリストです。

  • [ ] お住まいの市町村「障害福祉担当課」の連絡先を確認する(市区町村の公式サイトで「障害福祉サービス 受給者証」と検索)
  • [ ] 窓口に事前相談の予約を入れる。「就労継続支援B型に興味がある」と伝える
  • [ ] 主治医に受給者証申請用の意見書作成を依頼する(自治体指定様式を先に入手して渡す)
  • [ ] 受給者証の申請書類(本人確認・マイナンバー・所得証明等)を準備。詳細は「受給者証申請ガイド」参照
  • [ ] WAM NETや市町村の事業所一覧で近隣の就労B型事業所を調べ、2〜3か所候補をリストアップ
  • [ ] 候補事業所に見学の連絡を入れる(まず電話で「見学したい」と伝えるだけでOK)
  • [ ] 見学時に工賃実績・仕事内容・送迎の有無・通所の柔軟性を確認する
  • [ ] 気になる事業所で体験利用を申し込む
  • [ ] 受給者証が交付されたら事業所と契約し、通所開始

免責事項

本記事は、障害者総合支援法(平成17年法律第123号)、障害者総合支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)および2026年5月時点の厚生労働省通知・告示に基づき、就労継続支援B型の利用を検討している方・ご家族向けに情報を整理したものです。

情報の時点について:2026年5月時点の情報です。法令・告示・報酬改定内容・工賃実績は随時更新されます。最新情報は必ず厚生労働省および市町村公式サイトでご確認ください。

自治体差について:支給決定は市町村が主体であり、申請書類・認定調査の運用・暫定支給決定の扱いなどに地域差があります。本記事の記載は全国共通の標準的な内容ですが、実際の運用はお住まいの市町村でご確認ください。

個別判断の限界:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事例への法的助言ではありません。具体的な申請判断・事業所選択は、市町村障害福祉担当課、相談支援専門員、社会福祉士等の専門家にご相談ください。

本記事の情報に基づく判断によって生じた損害について、筆者および運営者は一切の責任を負いません。


参考法令・一次資料

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号):第4条(障害支援区分・難病等)、第5条第14項(就労継続支援の定義)、第29条(自立支援給付・応能負担)、第76条の3(情報公表制度)
  • 障害者総合支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号):第6条の10(就労継続支援B型の対象者要件)
  • 厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について」(2024年度公表)— 就労継続支援B型の全国平均工賃月17,031円・時給245円の根拠
  • 厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」最新リスト(376疾病:令和7年厚労省告示・2025年4月1日改正)
  • 厚生労働省「障害福祉サービスについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/index.html
  • 独立行政法人福祉医療機構 WAM NET「障害福祉サービス等情報検索」https://www.wam.go.jp/sfkohyoout/
  • 令和6年厚生労働省告示第87号(障害福祉サービス費等の報酬算定構造)— B型基本報酬・工賃連動体系の法的根拠
  • 各市町村「障害福祉担当課」窓口および公式サイト

※最新の告示・通知は各機関の公式サイトでご確認ください。本記事中の数値(特に工賃平均額・報酬単価・疾病数)は記載の出典年度のものです。


本記事は障害福祉サービスの実務知見に基づき作成しています。法令の解釈・運用は自治体によって異なる場合があるため、具体的な申請にあたっては必ずお住まいの市町村の窓口でご確認ください。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。