年収の壁2026年最新:103万円は「123万円」に変更。パート・扶養どの壁を見るべきか

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
年収の壁2026年最新:103万円は「123万円」に変更。パート・扶養どの壁を見るべきか

「103万円以下なら安全」という常識が2025年に変わりました。新しい境界線は「123万円」ですが、社会保険の壁は別の基準で動いています。

2025年から2026年にかけて、「年収の壁」をめぐる制度が相次いで改正されました。長年「103万円以下に収入を抑えれば扶養内でいられる」と信じられてきたルールは、2025年の税制改正で実質的に変わりました。同時に、社会保険の適用基準も2026年に拡大されています。

パートや副業で働く方、配偶者を扶養に入れている方にとって、「どの壁を気にすればいいか」が複雑になっています。この記事では、主要な年収の壁を一覧で整理し、2026年時点の最新の状況を解説します。

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年収の壁マップ:主要5つの壁を一覧で整理

【2026年8月7日 訂正】 本記事は当初、「2026年10月から社会保険の適用が全企業規模に拡大される」「106万円の壁がなくなる」旨を記載していました。e-Gov法令検索で厚生年金保険法の条文を時点別に照合したところ、月額8.8万円要件(第12条第1項第5号ロ)は2026年10月1日時点で条文上そのまま存在し、その撤廃日は政令未制定のため未定であること、企業規模要件の縮小は2027年10月からであることが確認されたため、該当箇所を訂正しました。

まず、年収の壁の全体像を把握しましょう。「税金の壁」と「社会保険の壁」は別の制度です。混同しないように確認してください。

壁の名前 金額 種別 主な影響 2026年の変化
103万円の壁(旧) 〜103万円 税金 所得税が非課税、扶養控除の対象 実質123万円に引き上げ(2025年税制改正)
123万円の壁(新) 〜123万円 税金 所得税が非課税、扶養控除の対象 2025年改正で新たな基準に
106万円の壁 〜106万円 社会保険 勤務先の社会保険に加入義務が生じる 月額8.8万円要件の撤廃は政令未定/企業規模要件は2027年10月に36人以上へ
130万円の壁 〜130万円 社会保険 配偶者の扶養(第3号被保険者)の上限 変更なし
150万円の壁 〜150万円 税金 配偶者特別控除が満額(38万円) 変更なし
201万円の壁 〜201万円 税金 配偶者特別控除がゼロになる 変更なし
2026年「年収の壁」変更点サマリー
税金の壁(新)

123万円

旧103万円から引き上げ。月収換算で約10.25万円まで非課税
社保の壁(要注意)

106万円

2027年10月〜36人以上へ拡大。全企業規模は2035年10月
扶養の限度

130万円

配偶者の社会保険扶養でいられる上限。変更なし
配偶者特別控除満額

150万円

38万円の控除を受けられる年収上限。変更なし

この表のポイントは、「税金の壁」と「社会保険の壁」は連動していないという点です。たとえば、年収123万円以下なら所得税はかかりませんが、社会保険の加入義務は106万円や130万円が基準になります。両方を別々に確認する必要があります。


103万円の壁:2025年税制改正で何が変わったか

103万円の根拠

これまでの103万円という数字は、次の計算から来ています。

  • 給与所得控除(最低額):55万円
  • 基礎控除:48万円
  • 合計:103万円

給与収入が103万円以下なら、給与所得控除と基礎控除を差し引いた課税所得がゼロになり、所得税は非課税でした。

2025年税制改正:基礎控除が引き上げられた

令和7年度税制改正(2024年12月国会成立)により、2025年1月から適用されている改正では、基礎控除が48万円から58万円に引き上げられました。同時に給与所得控除の最低額も55万円から65万円に引き上げられています。

新たな非課税ラインの計算:

  • 給与所得控除(改正後):65万円
  • 基礎控除(改正後):58万円
  • 合計:65万円 + 58万円 = 123万円

この改正により、実質的な所得税非課税ラインは123万円となりました。

改正前後の比較

令和7年度改正前(2025年以前)は給与所得控除55万円 + 基礎控除48万円 = 103万円が非課税ラインでしたが、令和7年度改正(2024年12月国会成立、2025年1月施行)により、新たな非課税ラインは123万円に引き上げられました。

「103万円が123万円になった」実務上の影響

項目 改正前(〜2024年) 改正後(2025年〜)
所得税が非課税となる給与収入の上限 103万円 123万円
扶養控除(16〜18歳の子)の所得要件 合計所得48万円以下(給与103万円以下) 合計所得58万円以下(給与123万円以下
配偶者控除(配偶者の所得要件) 合計所得48万円以下 合計所得58万円以下(給与123万円以下

パートで働く配偶者や学生アルバイトは、年収を103万円から123万円まで増やせるようになりました。月収換算では旧103万円÷12≒8.6万円から新123万円÷12≒10.25万円へと、月あたり約1.7万円分の働き方の余裕が生まれました。

詳しくは税制改正2026年ガイドで基礎控除・給与所得控除の変更点を確認してください。


106万円の壁:社会保険適用拡大2026

106万円の壁とは

106万円の壁は、税金ではなく社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務に関する壁です。

以下の条件をすべて満たすパート・アルバイト労働者は、勤務先の社会保険に加入しなければなりません。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円)
  3. 2ヶ月を超える雇用見込みがある
  4. 学生ではない

月額8.8万円×12ヶ月=105.6万円≒106万円というわけです。

2024年改正→2026年適用拡大

現在(2024年10月〜)、106万円の壁は従業員数51人以上の企業に適用されています。年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、企業規模要件は2027年10月に36人以上へ縮小され、2035年10月に撤廃されます。

なお「月額8.8万円(年収約106万円)」という賃金要件そのものの撤廃も同法で決まっていますが、その施行日は「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」とされ、本記事更新時点(2026年8月)で政令は制定されていません。法律上の期限は2028年6月19日です。「2026年10月に106万円の壁がなくなる」という情報が流通していますが、e-Gov法令検索で厚生年金保険法の条文を確認する限り、2026年10月1日時点で月額8.8万円要件(第12条第1項第5号ロ)は存在したままです。

時期 適用対象
〜2022年9月 従業員501人以上の企業
2022年10月〜2024年9月 従業員101人以上の企業
2024年10月〜2026年9月 従業員51人以上の企業
2027年10月〜 従業員36人以上の企業
2029年10月〜 従業員21人以上の企業
2032年10月〜 従業員11人以上の企業
2035年10月〜 すべての企業(規模不問)

これまで「うちは小さな会社だから106万円の壁は関係ない」と思っていた方も、2027年10月以降は段階的に対象になる可能性があります。

詳細は社会保険適用拡大2026年:対象・手続き・注意点をご覧ください。


130万円の壁:配偶者の社会保険の扶養限度

130万円の壁は、配偶者の社会保険上の「扶養」に入れるかどうかの基準です。

健康保険の被扶養者(第3号被保険者)でいられる条件は、年間収入が130万円未満であることです。130万円を超えると、配偶者の扶養から外れて、自分で国民健康保険・国民年金に加入するか、勤務先の社会保険に加入する必要があります。

この壁は2026年も変わっていません。

ただし、106万円の壁(勤務先の社会保険加入義務)が適用される場合は、130万円未満であっても社会保険に加入しなければならないケースがあります。

年収 社会保険の扱い
106万円未満 配偶者の扶養に入れる(第3号被保険者)可能性あり
106万円以上130万円未満 勤務先が適用事業所なら、勤務先の社会保険に加入
130万円以上 配偶者の扶養から外れる

150万円・201万円の壁:配偶者特別控除の段階減少

配偶者特別控除は、配偶者の年収が103万円(新:123万円)を超えても、一定の範囲内であれば控除を受けられる制度です。

配偶者の年収 配偶者特別控除額(納税者の所得900万円以下の場合)
〜150万円 38万円(満額)
150万円超〜155万円 36万円
155万円超〜160万円 31万円
160万円超〜167万円 26万円
167万円超〜175万円 21万円
175万円超〜183万円 16万円
183万円超〜190万円 11万円
190万円超〜197万円 6万円
197万円超〜201万円 3万円
201万円超 0円

150万円以下なら配偶者特別控除が満額(38万円)取れます。150万円を超えると段階的に減少し、201万円を超えるとゼロになります。

この壁も2026年は変わっていません。 配偶者特別控除の所得要件の計算に用いる合計所得金額の上限は2025年改正で「48万円以下→58万円以下」に変わりましたが、特別控除の段階減少の仕組み自体は維持されています。


「私はどの壁を気にすればいい?」パターン別判断フロー

状況に応じて気にすべき壁が変わります。

パターン1:夫(妻)の扶養に入ってパートで働いている

チェックすべき壁(優先順)

  1. 106万円の壁(社会保険):勤務先が2027年10月以降の企業規模要件の縮小で適用対象になるか確認
  2. 130万円の壁(社会保険):年収が130万円を超えると扶養から外れる
  3. 123万円の壁(税金):配偶者控除の対象かどうかに影響

→ 社会保険料の自己負担が発生するかどうかが最大のポイントです。106万円・130万円の壁を意識してください。

パターン2:学生アルバイト

チェックすべき壁

  1. 123万円の壁(税金):親の扶養控除に影響(改正で103万円→123万円に)
  2. 130万円の壁(社会保険):親の社会保険の扶養を外れるかどうか

→ 所得税の非課税ラインが広がったため、月10万円程度のアルバイトなら余裕が生まれました。ただし社会保険は別途確認が必要です。

パターン3:副業・ダブルワーク

チェックすべき壁

  1. 20万円の確定申告ライン(年収の壁とは別):副業収入が年20万円超なら確定申告が必要
  2. 年収が増えることで、本業+副業の合計が150万円・201万円の壁を超えないか確認

副業の確定申告や住民税申告の詳細は副業20万円以下でも住民税申告が必要な理由を参照してください。

パターン4:収入を増やしたい・フルタイムに近づけたい

→ 106万円・130万円の壁を「越えていい壁」と割り切り、社会保険料を差し引いた手取りを計算しましょう。一般的に、年収130万円〜160万円の範囲は「働き損ゾーン」になりやすいです。社会保険料が発生する一方、収入増が保険料増を上回らないためです。160万円以上を目指す場合、長期的には手取りは回復します。

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本記事について

本記事は令和7年度税制改正(2024年12月国会成立、2025年1月施行済み)の内容に基づいています。制度改正の詳細については、国税庁の公式情報をご確認ください。また、個別のご相談や税務判定については、税理士・税務署にお問い合わせいただくことをお勧めします。


よくある質問(FAQ)

Q: 106万円の壁は2026年からどう変わりますか?

A: 年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、社会保険(健康保険・厚生年金)の企業規模要件が段階的に縮小されます。現在は従業員51人以上の企業が対象ですが、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上へ縮小され、2035年10月に撤廃されます。週20時間以上・月収8.8万円以上(年収約106万円以上)・2ヶ月超の雇用見込みがある方は、勤務先がこの基準に達した時点から社会保険に加入することになります。

なお「2026年10月にすべての企業規模へ拡大される」「106万円の壁がなくなる」という情報が見られますが、いずれも正確ではありません。月額8.8万円の賃金要件の撤廃は法律で決まっているものの、施行日は政令未制定のため未定(法律上の期限は2028年6月19日)です。2026年10月1日に施行されるのは、事業主が申し出た場合に短時間被保険者の保険料負担を軽減できる経過措置(厚生年金保険法附則第22条)であり、加入対象の拡大ではありません。

Q: 103万円から123万円になって、具体的に何が変わりますか?

A: パートや学生アルバイトが所得税の非課税でいられる年収の上限が103万円から123万円に引き上げられました。また、配偶者控除や扶養控除の対象になるかどうかの合計所得の判定基準も「48万円以下」から「58万円以下」に変わっています(給与収入換算で123万円以下)。月収換算では約8.6万円から約10.25万円に余裕が広がりました。ただし、社会保険の扶養(130万円の壁)や106万円の壁とは別の話です。税金の壁が広がっても、社会保険の壁には別途注意が必要です。

Q: 扶養から外れると、実際どのくらい負担が増えますか?

A: 配偶者の扶養から外れて自分で社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料の本人負担が発生します。年収130万円前後の場合、社会保険料の本人負担は一般的に年間約18万〜20万円程度になることが多く、手取りが大きく減る可能性があります。これが「130万円の壁の手前で働き調整する」理由です。ただし、将来の年金受給額が増えること、傷病手当金や育児休業給付の対象になることなど、長期的なメリットも伴います。130万円を少し超える程度の収入なら「働き損」になりやすいため、160万円以上を目指すか、扶養内に抑えるかの二択で検討するのが現実的です。

JG

実務ガイド編集部

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