最終更新日: 2026-05-07
2026年度(令和8年度)の老齢基礎年金は満額で月7万608円(前年度比+1,300円/+1.9%)、夫婦2人分の基礎年金+夫の厚生年金で構成される厚労省モデル年金は月23万7,279円(前年度比+4,495円/+2.0%)に改定されました。 基礎年金は1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%のプラス改定で4年連続の増額ですが、2025年の物価変動率3.2%には届かず、実質購買力は目減りしています。本記事は、国民年金・厚生年金・iDeCo等の3階建て構造、2026年度の保険料と受給額、計算フロー、繰上げ・繰下げ、2026年4月施行の在職老齢年金基準額62万円改正、公的年金等控除まで、年金制度の全体像を一次ソース(厚生労働省・日本年金機構・国税庁)整合で一本にまとめたピラー記事です。詳細トピック(iDeCo・後期高齢者医療・社保適用拡大・在職老齢年金)は専門の関連記事へ送り、本記事は「まず全体を俯瞰したい人」が最初に読む地図として設計しています。
- 2026年度の年金額:老齢基礎年金(満額)月70,608円、モデル年金(夫婦2人)月237,279円
- 保険料:国民年金17,920円/月(前年度+410円)、厚生年金保険料率18.3%(労使折半で固定)
- 3階建て構造:1階=国民年金、2階=厚生年金、3階=iDeCo・企業年金・私的年金
- 2026年4月施行の主要改正:在職老齢年金の支給停止基準額が50万円→62万円(令和6年度価格、施行時実額は賃金スライドで65万円見込み)に引き上げ
- 受給額の決まり方:基礎年金=満額×納付月数/480、厚生年金=平均標準報酬額×乗率×加入月数
本記事は2026年5月7日時点で確認できる公的情報(厚生労働省2026年1月23日公表「令和8年度の年金額改定について」、日本年金機構公式、国税庁タックスアンサー)に基づきます。最終的な受給見込額・税額は、お手元の「ねんきん定期便」「ねんきんネット」やお住まいの自治体・年金事務所で必ずご確認ください。詳細は免責事項も併せてご参照ください。
1. 結論:2026年度の年金は「いくら」もらえるか
最初に、2026年(令和8年)4月分以降の年金額を一覧で示します。実際の振込は「後払い」のため、新しい金額が反映された初回振込は2026年6月15日(4月・5月分)です。
2026年度(令和8年度)の主要年金額
| 区分 | 月額 | 年額 | 前年度比 |
|---|---|---|---|
| 老齢基礎年金(満額・昭和31年4月2日以降生まれ) | 70,608円 | 847,296円 | +1,300円/+1.9% |
| 老齢基礎年金(満額・昭和31年4月1日以前生まれ) | 70,408円 | 844,896円 | +1.9% |
| 厚生年金 平均的なケース(夫婦2人モデル年金) | 237,279円 | 2,847,348円 | +4,495円/+2.0% |
| 厚生年金(夫1人分・40年加入・平均標準報酬45.5万円) | 約166,671円 | 約2,000,052円 | +2.0% |
| 障害厚生年金3級 最低保証額 | 52,956円 | 635,472円 | +1.9% |
(出典:厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」2026年1月23日公表[^1]、日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」^2)
「夫婦2人モデル年金(23万7,279円)」は、男性の平均的な収入(平均標準報酬額45.5万円・賞与含む月額換算)で40年間就業した夫の老齢厚生年金+夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を合計した、厚労省が公表する標準ケースです。実際の受給額は加入歴・標準報酬・納付月数によって大きく異なります。
改定率の根拠:マクロ経済スライドの軽減特例
2026年度改定率の前提となった指標は、実質賃金変動率▲1.1%、物価変動率3.2%、可処分所得割合変化率0.0%から算出された名目手取り賃金変動率2.1%です。物価変動率(3.2%)が名目手取り賃金変動率(2.1%)を上回る場合、現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から名目手取り賃金変動率が用いられます。
ここからマクロ経済スライドによる調整(基礎年金▲0.2%、厚生年金▲0.1%)が引かれ、最終的に基礎年金+1.9%・厚生年金+2.0%となりました。厚生年金(報酬比例部分)は2025年改正(令和7年法律第74号)により、当面の間、調整率を通常の1/3程度に軽減する特例が適用される方向で運用されています(具体的な軽減率・適用終期は厚生労働省・財政検証関連資料の最新公表値を必ず確認してください)。これは現役・将来世代の給付水準確保と、厚生年金受給者への過度な不利益回避を両立させる政策的措置です。
年金は実質目減りしている点に注意:プラス改定とはいえ、2025年の物価上昇率3.2%に対し基礎年金1.9%/厚生年金2.0%の改定では、年金の実質購買力は▲1.2〜▲1.3ポイント目減りしている計算になります。「増えた」だけで安心せず、生活費の実質変化を踏まえた家計設計が必要です。
2. 年金制度の3階建て構造をひと目で把握する
日本の年金制度は「3階建て」と表現されます。本記事ではこの構造を全体マップとして示し、詳細は関連記事へ送ります。
2-1. 全体マップ(誰が何階に入るのか)
| 階層 | 名称 | 性格 | 加入対象 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 国民年金(基礎年金) | 公的年金・全国民共通 | 20歳以上60歳未満の全国民(第1〜第3号被保険者) |
| 2階 | 厚生年金 | 公的年金・被用者年金 | 会社員・公務員(第2号被保険者) |
| 3階 | iDeCo/企業型DC/DB/国民年金基金/私的年金 | 任意加入の上乗せ | 個人選択(職業別の上限あり) |
1階の国民年金が「全員の土台」、2階の厚生年金が「会社員・公務員の上乗せ」、3階が「自分で積み増す任意の3階」です。自営業者・フリーランスは2階がないため、国民年金基金やiDeCo、そして退職金代わりとなる 小規模企業共済(掛金は全額所得控除、受取時は退職所得控除)を組み合わせて自助の3階を厚くするのが定石になります。
2-2. 第1号・第2号・第3号被保険者とは
国民年金法第7条により、加入者は3つに分類されます。
| 区分 | 対象 | 保険料の支払い |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業者・フリーランス・学生・無職など(20歳以上60歳未満) | 自分で国民年金保険料を納付(月17,920円・2026年度) |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員(厚生年金加入者) | 給与天引きで厚生年金保険料を納付(基礎年金分も含む) |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養される配偶者(年収130万円未満等) | 自分で保険料を納める必要なし(第2号の制度全体で負担) |
2026年10月の社保適用拡大に注意:短時間労働者の社会保険適用要件のうち「月額賃金8.8万円以上(年収約106万円)」要件が撤廃され、週20時間以上勤務すれば原則として第2号被保険者になります。第3号からの切替で手取り変動が生じる方は、社会保険適用拡大2026年改正をわかりやすく解説で詳細を確認してください。
2-3. 3階部分の選択肢
3階部分は職業によって使える制度が異なります。
| 職業 | 主な3階の選択肢 | 拠出限度額の目安(月) |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランス | 国民年金基金・iDeCo・付加年金・小規模企業共済 | iDeCo 6.8万円(国民年金基金との合算) |
| 会社員(企業年金なし) | iDeCo・つみたてNISA | iDeCo 2.3万円 |
| 会社員(企業型DC加入) | iDeCo・企業型DC | 企業型DCとの合算で月5.5万円 |
| 会社員(DB加入) | iDeCo・DB・つみたてNISA | 2024年12月施行で月2万円(DB等他制度との合算で月5.5万円上限)※最新限度額はiDeCo公式サイトで必ず確認 |
| 公務員 | iDeCo・年金払い退職給付 | 2024年12月施行で月2万円(年金払い退職給付との合算で月5.5万円上限)※最新限度額はiDeCo公式で必ず確認 |
| 第3号被保険者 | iDeCo・つみたてNISA | iDeCo 2.3万円 |
iDeCoの詳細・税制優遇・始め方はiDeCo完全ガイド2026で詳述しているため、本記事ではハブとしての位置付けのみ示します。
3. 国民年金・厚生年金の保険料と受給の仕組み
3-1. 国民年金(基礎年金)の保険料と受給額
保険料:2026年度は月額17,920円(年額215,040円)。前年度(2025年度)の17,510円から月410円・年4,920円の引き上げです(約2.3%増)。2027年度はさらに月18,290円に引き上げ予定^3。
保険料の決まり方:国民年金法第87条第3項に基づき、保険料改定率を毎年度反映する仕組み。法定の「保険料水準固定方式」では平成16年改正で2017年度以降の保険料を月16,900円(平成16年度価格)に固定しましたが、賃金変動率に応じて毎年改定されるため、実額は年々変動します。
受給額の計算式(老齢基礎年金):
老齢基礎年金(年額) = 満額(2026年度847,296円) × 保険料納付月数 ÷ 480月
満額受給には40年(480月)の納付が必要です。10年(120月)以上の受給資格期間があれば受給できますが、納付月数が480月未満の分は比例で減額されます。
計算例:30年(360月)納付+10年免除なしの場合
– 847,296円 × 360 ÷ 480 = 635,472円(年額・月額換算約52,956円)
免除・猶予期間の取り扱い:失業・低所得などで法定免除・申請免除を受けた期間は、納付済月数とは別ルールで老齢基礎年金額に反映されます。全額免除期間は「2分の1納付」(2009年4月以降の期間)として扱われる等、複雑なため、ご自身の月数は「ねんきんネット」または年金事務所で確認してください。
3-2. 厚生年金の保険料と受給額
保険料率:18.3%(労使折半で各9.15%)。2017年9月に18.3%で固定され、2026年度も据え置きです^4。
保険料の決まり方:
毎月の厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 18.3%(労使折半)
賞与の保険料 = 標準賞与額 × 18.3%(労使折半、上限あり)
標準報酬月額は2026年度時点で上限65万円。2027年9月に上限68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へ段階的に引き上げ予定(令和7年法律第74号「年金制度改正法」、2025年6月13日成立)。高所得層の保険料負担増と、その分の将来の年金額増加が同時に発生します。
受給額の計算式(老齢厚生年金・報酬比例部分):
老齢厚生年金(報酬比例部分) =
平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月以前の加入月数 +
平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の加入月数
平成15年4月から賞与も保険料・年金額計算の対象(総報酬制)になったため、計算が2区分されています。これに「経過的加算」「定額部分」(一部世代のみ)が加わります。
計算例:平均標準報酬額40万円・40年(480月)勤務(すべて平成15年4月以降)の場合
– 400,000円 × 5.481/1000 × 480 = 1,052,352円(年額)
– 月額換算:約87,696円
– これに老齢基礎年金(満額)月70,608円を加えると、合計月約158,304円
厚労省モデル年金(夫婦2人で月237,279円)は、夫の平均標準報酬額45.5万円・40年加入を前提にした標準ケースです[^1]。
4. 受給額の計算フロー(4ステップ)と年代別シミュレーション
「自分はいくらもらえるか」を概算するための4ステップを示します。
Step 1. 受給資格期間が10年以上あるか確認
受給資格期間(保険料納付期間+免除期間+合算対象期間)が10年(120月)以上あるかを「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で確認します。10年に満たない場合、原則として老齢年金は受給できません(任意加入で上積み可)。
Step 2. 老齢基礎年金を計算する
老齢基礎年金(年額) = 847,296円 × 納付月数 ÷ 480月
免除期間がある人は、全額免除=2分の1納付として加算する等、別ルールで計算します。
Step 3. 老齢厚生年金(報酬比例部分)を計算する
老齢厚生年金 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 厚生年金加入月数(平成15年4月以降)
平成15年3月以前の加入期間がある人は、その分は別計算(乗率7.125/1000)になります。
Step 4. 加給年金・経過的加算・3階部分を加える
- 加給年金:65歳未満の配偶者・18歳未満の子を扶養している場合、年額約23万9,300円〜(2026年度)が加算される可能性あり
- 経過的加算:60〜65歳の特別支給、20歳未満・60歳以後の厚生年金加入分の調整
- 3階部分:iDeCo・企業年金・国民年金基金等の上乗せ
年代別シミュレーション(モデルケース)
以下は2026年度の数値を前提に、4ステップを組み合わせた概算です。実額はねんきんネット等で要確認。
| ケース | 加入歴 | 65歳からの月額(概算) |
|---|---|---|
| 自営業・40年国民年金のみ | 国民年金480月 | 70,608円 |
| 会社員・新卒〜60歳まで38年勤務(平均標準報酬30万円) | 国民年金480月+厚生年金456月 | 70,608円+約62,500円=約133,108円 |
| 会社員・新卒〜60歳まで38年勤務(平均標準報酬45.5万円) | 国民年金480月+厚生年金456月 | 70,608円+約94,800円=約165,408円 |
| 公務員・新卒〜60歳まで38年勤務(平均標準報酬40万円) | 国民年金480月+厚生年金456月(旧共済含む) | 70,608円+約83,300円=約153,908円 |
| 専業主婦20年+会社員18年(平均標準報酬25万円) | 国民年金480月+厚生年金216月 | 70,608円+約24,650円=約95,258円 |
重要な注記:上記は概算であり、加給年金・経過的加算・繰上げ繰下げ・在職老齢年金による支給停止は反映していません。正確な見込額は「ねんきんネット」での試算を推奨します。
5. 2026年度の年金額改定と主要な制度改正
5-1. 2026年4月施行の主要改正
| 項目 | 改正前 | 改正後(2026年4月以降) |
|---|---|---|
| 老齢基礎年金(満額) | 月69,308円 | 月70,608円(+1.9%) |
| 老齢厚生年金(モデル夫婦) | 月232,784円 | 月237,279円(+2.0%) |
| 国民年金保険料(月額) | 17,510円 | 17,920円(+410円) |
| 在職老齢年金 支給停止基準額 | 51万円(2025年度実額) | 65万円(賃金スライド反映後の施行時実額。法定の令和6年度価格は62万円) |
| 障害厚生年金3級 最低保証額(年額) | 623,800円 | 635,472円(+1.9%) |
5-2. 在職老齢年金の改正(2026年4月施行)
働きながら厚生年金を受給する人の支給停止基準額が50万円(令和6年度価格)→62万円(令和6年度価格)に引き上げられました。賃金スライドを反映した2026年4月施行時の実額は65万円となる見込みで、約20万人が新たに年金を全額受給可能になります(厚労省試算)^5。詳細・年収別シミュレーションは在職老齢年金の支給停止基準額引上げ2026年4月を参照してください。
5-3. 標準報酬月額上限の段階的引上げ(2027年9月〜)
| 施行時期 | 上限月額 |
|---|---|
| 現行(2026年9月まで) | 65万円 |
| 2027年9月〜 | 68万円 |
| 2028年9月〜 | 71万円 |
| 2029年9月〜 | 75万円 |
高所得層の厚生年金保険料が増える一方、将来の老齢厚生年金額も増加します(厚労省2026年資料^6)。
6. iDeCo・企業年金・つみたてNISAとの関係
3階部分は公的年金の補完として重要です。本記事ではハブとしての位置付けのみ示し、詳細は専門記事へ送ります。
3階部分の制度比較
| 制度 | 拠出時 | 運用時 | 受取時 | 詳細記事 |
|---|---|---|---|---|
| iDeCo | 全額所得控除 | 運用益非課税 | 退職所得控除/公的年金等控除 | iDeCo完全ガイド2026 |
| 企業型DC | 事業主拠出は給与課税なし、マッチング拠出は所得控除 | 運用益非課税 | 退職所得控除(DBと通算) | 企業型DC・DBと退職金の重複期間調整2026 |
| DB(確定給付企業年金) | 事業主拠出のみ(個人拠出は限定的) | 制度内で運用 | 退職所得控除/公的年金等控除 | 同上 |
| 国民年金基金 | 全額社会保険料控除 | 制度内で運用 | 公的年金等控除 | 別記事準備中 |
| つみたてNISA | 拠出は課税後資金 | 運用益非課税 | 受取時非課税(年金ではない) | 別記事準備中 |
iDeCoは2027年1月から月120円の連合会手数料に改定される点も確認しておく必要があります。詳細はiDeCo手数料2027年1月値上げ完全解説で解説しています。
出口戦略(受取順序の設計)
iDeCo・企業型DC・退職金の受取順序によって税額が数百万円単位で変わるケースがあります。令和7年度税制改正で確定した「DC一時金(先)→退職金(後)」10年ルール(2026年1月1日施行)と、変更されなかった「退職金(先)→DC一時金(後)」19年ルールの使い分けは、iDeCo一時金と退職金 受取順序シミュレーション2026、年代別の最適化は年代別 退職金×iDeCo戦略2026を参照してください。
7. 受給開始年齢の選択(繰上げ・繰下げ)
老齢年金の標準受給開始年齢は65歳ですが、60〜75歳の範囲で個別に選べます(2022年4月以降、上限が70歳→75歳に拡大)。
7-1. 繰上げ受給(60〜64歳開始)
- 減額率:1ヶ月あたり0.4%(2022年4月以降に60歳到達した方)。最大60歳開始で60ヶ月×0.4%=24%減額
- 生涯減額:減額率は一生変わらない
- 損益分岐点:65歳開始と比較して、繰上げ受給は概ね20年6ヶ月(80歳6ヶ月)で逆転
7-2. 繰下げ受給(66〜75歳開始)
- 増額率:1ヶ月あたり0.7%。最大75歳開始で120ヶ月×0.7%=84%増額
- 70歳開始:42%増額、75歳開始:84%増額
- 損益分岐点:受給開始から約12年(70歳開始なら82歳、75歳開始なら87歳)
7-3. 繰下げと在職老齢年金の落とし穴
老齢厚生年金を繰り下げても、在職老齢年金により支給停止される部分は繰下げ増額の対象外です^7。高給で働きながら繰下げを選んでも、増額メリットが見込みより小さくなる点に注意してください。
| 選択 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 繰上げ(60〜64歳) | 早く受給開始 | 一生減額、障害基礎年金との併給制限 |
| 標準(65歳) | 標準受給 | — |
| 繰下げ(66〜75歳) | 一生増額(最大84%) | 受給開始まで無収入期間、税・社会保険料負担増の可能性 |
8. 年金受給時の税金(公的年金等控除)
老齢年金は雑所得として課税対象(障害年金・遺族年金は非課税)。年金収入から公的年金等控除を差し引いた額が課税対象(雑所得)になります。
8-1. 公的年金等控除額(年金以外の所得が1,000万円以下の場合)
65歳以上
| 公的年金等の収入金額 | 控除額 |
|---|---|
| 110万円以下 | 全額控除(雑所得0円) |
| 110万円超330万円未満 | 110万円 |
| 330万円以上410万円未満 | 収入×25%+27.5万円 |
| 410万円以上770万円未満 | 収入×15%+68.5万円 |
| 770万円以上1,000万円未満 | 収入×5%+145.5万円 |
| 1,000万円以上 | 195.5万円(一律) |
65歳未満:最低控除額は60万円(年金収入130万円以下)。以後の段階区分は別表^8。
8-2. 2026年(令和8年分)からの源泉徴収基準引き上げ
令和7年度税制改正により基礎控除が引き上げられた結果、源泉徴収の対象となる年金額が以下のように引き上げられました(令和8年分以降)^9。
| 年齢 | 改正前(源泉徴収開始額) | 改正後(令和8年分〜) |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 108万円超 | 155万円超 |
| 65歳以上 | 158万円超 | 205万円超 |
65歳以上で年金収入205万円以下なら所得税は実質非課税(公的年金等控除110万円+基礎控除95万円=205万円で所得税課税対象が0円になる)が原則になります。
8-3. 計算例
例:65歳以上、年金収入年300万円のケース
– 公的年金等控除:110万円
– 雑所得:300万円-110万円=190万円
– ここから基礎控除(最大95万円)等を差し引いて課税所得が決まる
例:65歳以上、年金収入年180万円のケース
– 公的年金等控除:110万円
– 雑所得:180万円-110万円=70万円
– 基礎控除95万円があるため、年金以外の所得がなければ所得税は実質0円
9. よくある質問(FAQ)
A. 月額70,608円(年額847,296円・昭和31年4月2日以降生まれ)です。前年度から1,300円の増額(+1.9%)。実際の振込は2026年6月15日(4月・5月分)から新しい金額が反映されます。
A. 月額17,920円(年額215,040円)です。前年度(2025年度)の17,510円から月410円・年4,920円の値上げ。2027年度はさらに月18,290円に引き上げ予定です。
A. 変わりません。厚生年金保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されており、2026年度も継続します。労使折半なので、本人負担は給与の9.15%。標準報酬月額の上限は65万円(2027年9月から段階的に75万円まで引き上げ予定)。
A. ざっくり把握するなら毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」、詳細試算をするなら日本年金機構のねんきんネット(https://www.nenkin.go.jp/n_net/ )が便利です。マイナンバーカードでログインすれば、加入履歴・将来の年金見込額・繰上げ繰下げシミュレーションまで利用可能です。
A. 第3号期間中は国民年金保険料を納める必要がなく、満額換算で計算されます。20歳〜60歳まで第3号として40年加入していれば、老齢基礎年金は満額(2026年度月70,608円)。第3号期間中は厚生年金には加入しないため、2階部分はありません。
A. 2026年4月1日施行です。令和6年度価格で50万円→62万円、賃金スライド反映後の2026年4月時点の実額は65万円となる見込み。月収(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金月額の合計が65万円以下なら年金は全額支給されます。詳細は在職老齢年金の支給停止基準額引上げ2026年4月を参照してください。
A. 老齢年金本体については1ヶ月0.7%×120ヶ月=84%増額が公式ルールです。ただし、在職老齢年金で支給停止された部分は繰下げ増額の対象外、加給年金は繰下げできない(繰下げ期間中は不支給)等の注意点があります。詳細は日本年金機構の繰下げ受給ページで確認してください。
10. まとめ:年金2026を「自分の数字」に落とし込む3ステップ
最後に、本記事を読んだあとに取るべき具体的アクションを示します。
- 「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で自分の見込額を確認:本記事の計算式やモデルケースは目安。実額は加入歴で異なるため、必ず公式ツールで自分の数字を把握する
- 3階部分(iDeCo・企業年金・つみたてNISA)の活用余地を点検:iDeCo完全ガイド2026で自分の職業別拠出限度額と税制優遇インパクトを確認
- 受給開始年齢の方針を決める:60〜75歳の範囲で繰上げ/標準/繰下げの選択肢を、健康状態・他の収入・配偶者の年金と合わせて検討。特に在職老齢年金で支給停止対象となる高給就業中の方は、繰下げ判断時に支給停止部分が増額対象外である点を必ず確認
本記事は年金制度の全体像を俯瞰するピラー(柱)記事です。各論の詳細は本文中のリンク先記事で深掘りしています。 制度改正は毎年度行われるため、当サイトでは関連記事を随時更新します。「自分のケースで具体的にいくら、いつから、どう手続きするか」は、必ず最新の公式情報・年金事務所・社会保険労務士・税理士に相談のうえ判断してください。
関連記事(年金クラスター)
- iDeCo完全ガイド2026|拠出限度額・税制優遇・始め方を最新情報で徹底解説 — 3階部分の中心となるiDeCoの最新仕様
- iDeCo手数料2027年1月値上げ完全解説 — 月120円改定の影響試算
- iDeCo一時金と退職金 受取順序シミュレーション2026 — 出口戦略の3パターン比較
- 年代別 退職金×iDeCo戦略2026 — 30〜60代の節税アクション
- 企業型DC・DBと退職金の重複期間調整2026 — 所令70条と転職時のポータビリティ
- 在職老齢年金の支給停止基準額引上げ2026年4月 — 62万円改正の年収別シミュレーション
- 社会保険適用拡大2026年改正をわかりやすく解説 — 106万円の壁撤廃と週20時間ルール
- 後期高齢者医療保険料2026年度はいくら? — 75歳以降の医療保険料との関係
- 新社会人が4月中に絶対やること15選 — 厚生年金加入直後にやる手続き
出典・一次ソース
[^1]: 厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」(2026年1月23日公表)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00020.html /別添PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001639615.pdf
免責:本記事は2026年5月7日時点の公的情報に基づきます。年金制度は法改正・通知・告示等で頻繁に変わります。具体的な受給見込額・税額・手続きは、必ず最新の「ねんきんネット」「年金事務所」「お住まいの自治体」「社会保険労務士・税理士」等にご確認ください。本記事は「合法/違法」「絶対にこうなる」といった断定的表現を避け、一次ソースの記述に沿って整理しています。詳細は免責事項もご参照ください。



