後期高齢者医療保険料2026年度はいくら?月平均7,989円・年収別の目安と限度額85万円への引き上げ

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後期高齢者医療保険料2026年度はいくら?月平均7,989円・年収別の目安と限度額85万円への引き上げ
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最終更新日: 2026-09-04(厚生労働省の令和8・9年度 保険料率 報道発表と高齢者医療確保法施行令の原文で全数値を照合し、料率・賦課限度額・軽減判定基準・年金収入別の目安を修正)

2026年度(令和8年度)の後期高齢者医療保険料は、医療分が全国平均で月額7,989円(年額95,875円)。これに新設の「子ども・子育て支援金」分 月額194円(年額2,333円)が加わり、合計で月額8,183円が全国平均です。 医療分は令和6・7年度の実績7,411円から578円(7.8%)の増加で、制度発足以来もっとも高い水準になりました(厚生労働省が各広域連合の議会決定を集計した見込額。実際の賦課額は居住地の広域連合が定める料率で決まります)。

賦課限度額(年間上限額)は、医療分が80万円から85万円へ引き上げられたうえ、子ども・子育て支援金分の上限2万1,000円が新設され、合計87万1,000円という2階建てに変わりました。均等割の軽減判定基準(世帯の所得がいくら以下なら均等割を安くするかの線引き)も、5割軽減が30.5万円から31万円、2割軽減が56万円から57万円へ、それぞれ引き上げられています。

本記事では、2026年度に後期高齢者医療保険料がいくらになるのかを年金収入別に整理し、保険料の決まり方・自己負担割合(1割/2割/3割)の判定基準・高額療養費との関係・軽減判定基準・国保からの切替タイミングまで、年度全体像を一本で押さえられるようまとめます。「自分のケースでいくら払うのか」の具体計算は、お住まいの都道府県広域連合の最新告示で必ず確認してください。


1. 2026年度の後期高齢者医療制度 ここが変わった

1-1. 保険料月額平均が過去最高の7,989円に

厚生労働省が2026年4月10日に公表した令和8・9年度の後期高齢者医療保険料(医療分・全国平均)は、月額7,989円(年額95,875円)です。令和6・7年度の実績7,411円から578円(7.8%)増え、後期高齢者医療制度が2008年に発足して以降、最も高い水準となりました。

保険料は「均等割」と「所得割」の2つでできています。均等割は加入者全員が同じ額を負担する定額部分、所得割は前年の所得に比例して増える部分です(詳しくは2-1で解説します)。

まず押さえておきたいのは、後期高齢者医療の保険料率は毎年ではなく2年に1度改定されるという点です。均等割額と所得割率は2年間据え置かれるため、「2024年度」「2025年度」を別々の料率として比べることはできません。

区分 令和4・5年度
(2022〜23年度)
令和6・7年度
(2024〜25年度)
令和8・9年度
(2026〜27年度)
均等割(年額) 47,777円 50,389円 56,083円
均等割(月額換算) 3,981円 4,199円 4,673円
所得割率(全国平均) 9.34% 10.21% 10.17%
一人当たり平均保険料(月額) 6,575円 7,411円
(実績)
7,989円(見込)
一人当たり平均保険料(年額) 78,902円 88,940円
(実績)
95,875円(見込)

見落とされやすいのが、所得割率はわずかに下がっている(10.21%→10.17%)ことです。それでも平均保険料が7.8%上がるのは、均等割額が年5,694円(50,389円→56,083円)引き上げられたためで、所得の低い人ほど負担増の影響を受けやすい構造になっています。

※令和6・7年度の欄の7,411円・88,940円は「後期高齢者医療制度被保険者実態調査報告」に基づく実績値です(令和7年度は速報値)。改定を発表した2024年4月時点の見込額は令和6年度が月7,082円、令和7年度が月7,192円でした。7.8%という伸び率は、この実績7,411円と令和8・9年度の見込7,989円を比べたものです。

出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日 報道発表・PDF)、同「令和6・7年度の保険料率について」(2024年4月1日・PDF)。実際の金額は都道府県ごとに異なるため、最終確定値は居住地の広域連合公式サイトで必ずご確認ください。

1-2. 賦課限度額が2階建てに(医療分85万円+子ども分2万1,000円)

2026年度のもう一つの大きな変更は、年間賦課限度額(保険料の上限。これ以上は所得が増えても保険料が上がらない天井)の引き上げと、上限が2つに分かれたことです。

区分 2024〜2025年度 2026年度 増減
医療分(基礎賦課額) 80万円 85万円 +5万円
子ども・子育て支援金分 — 2万1,000円 新設
合計 80万円 87万1,000円 +7万1,000円

根拠は高齢者の医療の確保に関する法律施行令第18条第1項で、第七号が医療分の「八十五万円」、第十三号が子ども・子育て支援納付金賦課額の「二万千円」をそれぞれ定めています(2026年8月1日施行版・e-Gov 419CO0000000318)。医療分と子ども分はそれぞれ別々に上限判定されるため、医療分が85万円で頭打ちになった人でも、子ども分は2万1,000円まで別に発生します。

限度額に到達する水準は、厚生労働省の資料で具体的に示されています。年金収入のみの場合は収入1,021万円(年金所得826万円)、年金と給与収入が同程度の場合は収入1,150万円です。該当する人は限られており、賦課限度額を超える被保険者の割合は令和6年度の実績で1.38%、令和8年度は85万円への引き上げにより1.21%になると推計されています。

※2024年度(令和6年度)は激変緩和措置として、新規加入者を除き73万円に据え置かれていました。80万円が満額で適用されたのは2025年度(令和7年度)からです。

出典: 厚生労働省「令和8年度の後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について」(第207回社会保障審議会医療保険部会 資料3・2025年12月12日・PDF)

1-3. 子ども・子育て支援金の新設(月額194円)

2026年4月から、子ども・子育て支援金制度(こどもや子育て世帯を全世代・全企業で支えるため、医療保険料に上乗せして集める仕組み)が始まりました。後期高齢者医療制度の加入者も対象で、被保険者一人当たり平均で月額194円(年額2,333円)が上乗せされます。

項目 令和8年度(全国平均)
均等割額(年額) 1,351円
均等割額(月額) 112円
所得割率 0.25%
平均保険料額(年額) 2,333円
平均保険料額(月額) 194円

注意すべきは、この194円が医療分の7.8%上昇には含まれていないことです。7.8%は医療分(7,411円→7,989円)だけの伸び率で、子ども分194円はその外側に別枠で乗ります。したがって2026年度に実際に負担する全国平均は、7,989円+194円=月額8,183円です。

金額は広域連合ごとに異なり、厚生労働省の集計では最も低い青森県で月115円、最も高い東京都で月265円と、約2.3倍の開きがあります(次いで低いのが秋田県144円・宮崎県145円、高いほうは神奈川県243円・愛知県215円)。

支援金の総額は2026年度から2028年度にかけて段階的に拡大するため、負担額も年々上がる見込みです。ただし令和9年度(2027年度)の子ども分の保険料率は、令和8年度末までに各広域連合の議会であらためて決定されるとされており、この記事の執筆時点では確定していません。こども家庭庁の試算では、後期高齢者医療制度の加入者一人当たり月額は令和8年度200円・令和9年度250円・令和10年度350円(50円丸め)とされていますが、こちらは制度設計時の試算値です。実際に各広域連合の議会が決めた令和8年度の全国平均が194円で、試算200円と実額194円のどちらも正しく、性格が違う数字という関係になります。

出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日・PDF)、こども家庭庁「子ども・子育て支援金に関する試算」(2025年12月26日公表・PDF)、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)

支援金が会社員・国民健康保険・後期高齢者でどう違うかは、関連記事「子ども・子育て支援金2026|月500円は誰の額か・年収別の負担と使い道」で制度全体を整理しています。

1-4. なぜ7.8%も上がったのか(厚生労働省が挙げる4つの要因)

厚生労働省は報道発表資料のなかで、今回の引き上げ要因を次のように整理しています。

要因 内容 保険料への向き
一人当たり医療給付費の伸び 年間約89.8万円 → 約94.2万円(+4.89%) 引き上げ
後期高齢者負担率の変更 給付費のうち高齢者の保険料でまかなう割合が12.67% → 13.27% 引き上げ
出産育児支援金の激変緩和終了 令和6・7年度は負担額を1/2に抑えていたが令和8年度で終了。支援金率7.44%・各年度260億円 引き上げ
剰余金の活用/財政安定化基金 剰余金2,481億円と基金からの交付396億円を投入 引き下げ

後期高齢者負担率は「後期高齢者1人当たりの保険料」と「現役世代1人当たりの後期高齢者支援金」の伸び率がそろうように、2年ごとに政令で設定されます。現役世代の負担が増えれば高齢者側の割合も上がる連動の仕組みで、令和6年4月にこの設定方法へ見直されました。

「出産育児支援金」と「子ども・子育て支援金」は別物なので混同しないでください。前者は令和6年4月に始まった、後期高齢者医療制度が出産育児一時金の費用の一部を支える仕組みで、医療分に含まれます。後者は2026年4月に始まった新しい上乗せで、医療分の外に別枠で計上されます(1-3参照)。

なお、2024年度(令和6年度)の改定時に設けられた所得割の激変緩和措置は、令和6年度限りの措置でした。厚生労働省の説明は「一定以下の収入の方(例:年金収入153万円〜211万円相当の方)は、収入に応じてご負担いただく定率部分(所得割)について、令和6年度は制度見直しに伴う増加はありません」というもので、2025年度(令和7年度)にはすでに適用されていません。2026年度の負担増の要因ではない点に注意してください。

出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(参考)主な保険料変動要因(PDF 4ページ)、同「令和6年度からの後期高齢者医療の保険料について」(ページ)


2. 後期高齢者医療保険料は何で決まるのか

2-1. 保険料の3要素

後期高齢者医療保険料は、以下の3要素を組み合わせて個人単位で計算されます。国民健康保険のような「世帯単位」ではない点が大きな違いです。

要素 計算の基準 全国平均(2026年度)
均等割 加入者1人あたり定額 月額約4,673円・年額約56,083円
所得割 (前年の総所得金額等 − 基礎控除43万円)× 料率 全国平均約10.17%
賦課限度額 上記2つの合計の年間上限 医療分85万円+子ども分2万1,000円(2026年度)

国民健康保険にあった「平等割」「資産割」「介護分」は後期高齢者医療制度では課されません。75歳到達日(または一定の障害認定日)以降は介護保険料は別途、年金からの天引きで徴収されます。

2-2. 都道府県広域連合方式

後期高齢者医療制度は、都道府県単位で設置された「後期高齢者医療広域連合」が運営主体です。保険料率(均等割額・所得割率)は広域連合ごとに条例で定められ、各都道府県内では市区町村を問わず一律の料率が適用されます。

国民健康保険が市区町村ごとに料率が異なるのに対し、後期高齢者医療は都道府県内一律という点が大きな特徴です。ただし、保険料の徴収事務は市区町村が担当します。

実際の差は小さくありません。厚生労働省が集計した令和8・9年度の医療分は、一人当たり平均保険料(月額)で最高の東京都10,352円と最低の青森県4,990円で2倍以上の開きがあります。

広域連合 均等割(年額) 所得割率 一人当たり平均
保険料(月額)
東京都 53,300円 9.88% 10,352円
神奈川県 52,531円 10.30% 9,842円
愛知県 56,130円 10.48% 9,045円
大阪府 64,931円 11.51% 9,010円
全国平均 56,083円 10.17% 7,989円
福島県 49,000円 9.24% 5,744円
岩手県 48,800円 8.50% 5,496円
青森県 50,500円 9.00% 4,990円

均等割額や所得割率が高い県が、そのまま平均保険料の高い県になるとは限りません。 大阪府は均等割64,931円・所得割率11.51%といずれも東京都より高いのに、平均保険料は東京都のほうが上です。平均保険料額は加入者の所得水準に左右されるためで、料率だけを見て「自分の県は高い/安い」と判断できない点に注意してください。

出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日・PDF 2ページ 都道府県別一覧)。料率は2年に1回改定(2024年度・2026年度・2028年度…)が原則のため、上記値は2026〜2027年度の2年間適用される見込みです。子ども・子育て支援金分の料率は令和8年度のみの決定で、令和9年度分は改めて決定されます。

国民健康保険料との違いや、75歳到達による切替実務は、関連記事「国民健康保険料2026年度はいくら?上限110万円・年収別の目安と2025年度との違い」も併せてご覧ください。


3. 年金収入別 2026年度保険料の目安

以下は全国平均水準(2026年度・医療分 均等割年56,083円/所得割率10.17%、子ども分 均等割年1,351円/所得割率0.25%)を前提に、本記事が計算した概算値です。実際の保険料は都道府県広域連合ごとに2倍以上の幅があるため、あくまで自分の位置を掴むための目安として参照してください。

3-1. 単身・年金収入のみのケース

年金収入(年額) 年金所得 均等割の軽減 医療分(年) 子ども分(年) 合計(年) 月額換算
80万円 0円 7割軽減 16,825円 405円 約17,230円 約1,436円
100万円 0円 7割軽減 16,825円 405円 約17,230円 約1,436円
153万円 43万円 7割軽減 16,825円 405円 約17,230円 約1,436円
200万円 90万円 2割軽減 92,665円 2,256円 約94,921円 約7,910円
250万円 140万円 なし 154,732円 3,776円 約158,508円 約13,209円
300万円 190万円 なし 205,582円 5,026円 約210,608円 約17,551円
400万円 272.5万円 なし 289,485円 7,089円 約296,574円 約24,714円
500万円 356.5万円 なし 374,913円 9,189円 約384,102円 約32,008円
1,021万円以上 826万円 なし 850,000円
(限度額)
20,913円 約870,913円 約72,576円

計算の前提を3つ明記します。この3つを取り違えると数万円ずれます。

  1. 公的年金等控除(年金収入から差し引ける額)は収入帯で変わります。 65歳以上・年金収入のみの場合、収入330万円未満は110万円、330万〜410万円未満は「収入×25%+27.5万円」、410万〜770万円未満は「収入×15%+68.5万円」、770万〜1,000万円未満は「収入×5%+145.5万円」、1,000万円以上は195.5万円です。年金収入400万円なら控除は127.5万円で、110万円ではありません(表の1,021万円の行は、この一番下の195.5万円で計算しています)。
  2. 所得割の基礎控除は43万円です(所得税の48万円とは別の数字)。
  3. 均等割を軽減するかどうかの判定所得は、所得割の計算に使う所得とは別です。65歳以上で公的年金等の所得がある人は、判定にあたって年金所得からさらに15万円を差し引きます(高齢者の医療の確保に関する法律施行令 附則の読替規定)。年金収入153万円の人が均等割7割軽減に入るのは、この15万円控除があるためです。

※広域連合によって100円未満の端数処理などが異なるため、実額は数百円単位でずれます。上表は法令上の計算式に全国平均料率を当てはめた値です。

3-2. 夫婦世帯(夫75歳以上・妻74歳以下)の場合

注意すべきは、後期高齢者医療制度は個人加入である点です。妻が74歳以下の場合は、妻は国民健康保険または被用者保険(健康保険組合・協会けんぽ)の被扶養者などに引き続き加入し、夫のみが後期高齢者医療制度に移ります。

夫が後期高齢者医療制度に切り替わると、それまで健康保険の被扶養者だった妻は別途、国民健康保険または任意継続などへの加入手続きが必要になります(手続き期限は資格喪失から14日以内)。

妻が国保に切り替わった場合の保険料の決まり方は、関連記事「国民健康保険料の計算方法2026|所得割・均等割・平等割の式と年収別シミュレーション」で詳しく解説しています。

3-3. 75歳到達月の保険料

75歳の誕生日当日から後期高齢者医療制度の被保険者となり、誕生月分から月割で保険料が徴収されます。誕生日前日まで加入していた健康保険(国保・協会けんぽ等)は誕生日当日に資格喪失するため、保険証を返却し、後期高齢者医療被保険者証(広域連合から事前郵送)を使う流れになります。


4. 自己負担割合(1割/2割/3割)の判定

4-1. 自己負担割合の3区分

後期高齢者医療制度の窓口での自己負担割合は、所得に応じて以下の3段階です。

自己負担割合 対象者
1割 一般所得者(住民税課税所得145万円未満かつ年収目安383万円未満等)
2割 一定以上所得者(住民税課税所得28万円以上 かつ 年金収入+その他所得が単身200万円以上、複数世帯320万円以上)
3割 現役並み所得者(住民税課税所得145万円以上 かつ 年収目安:単身世帯383万円以上/同一世帯に被保険者が複数いる場合は合計520万円以上)

2割負担の判定基準は、2022年10月から導入された区分です。年収だけでなく、世帯内に75歳以上の被保険者が複数いるかどうか(単身か複数世帯か)でも基準が異なる点に注意してください。

4-2. 「2割負担への引き上げ時の配慮措置」の最新状況

2022年10月の2割負担導入時に設けられた「外来医療費の負担増を月3,000円に抑える配慮措置」は、2025年9月末で終了しました。2026年度以降は、2割負担該当者は通常の高額療養費制度の自己負担限度額が適用されます。

1割・2割・3割を分ける判定基準そのもの(課税所得145万円・28万円、単身200万円・複数世帯320万円)は、2026年9月時点で変更されていません。 一方で、「年齢によらない応能負担」の観点から3割負担の対象拡大などを2026年度中に制度設計するという政府方針が示されており、今後の改正は厚生労働省の公式発表でご確認ください。

ただし、負担割合とは別に、2026年8月診療分から高額療養費の自己負担限度額が引き上げられています(次項参照)。医療保険制度改正法が2026年5月29日に成立したことによるもので、限度額の実質的な見直しは約10年ぶりです。

4-3. 高額療養費制度との関係

自己負担割合が1〜3割と決まっていても、医療費が高額になった月は「高額療養費制度」によって自己負担に上限が設けられます。この上限額が2026年8月診療分から引き上げられ、あわせて「年単位の上限額(年間上限)」が新設されました。 以下は改定後(令和8年8月〜令和9年7月)の額です。

所得区分(課税所得) 外来(個人ごと・月額) 外来+入院(世帯ごと・月額) 多数回該当 年間上限
現役並みⅢ(690万円以上/年収約1,160万円〜) — 270,300円+(医療費−901,000円)×1% 140,100円 1,680,000円
現役並みⅡ(380万円以上/年収約770〜1,160万円) — 179,100円+(医療費−597,000円)×1% 93,000円 1,110,000円
現役並みⅠ(145万円以上/年収約370〜770万円) — 85,800円+(医療費−286,000円)×1% 44,400円 530,000円
一般(145万円未満) 22,000円
(年間上限216,000円)
61,500円 44,400円 530,000円
低所得Ⅱ(住民税非課税世帯) 11,000円
(年間上限96,000円)
25,700円 24,600円 290,000円
低所得Ⅰ(住民税非課税で所得が一定以下) 8,000円 15,700円 — 180,000円

改定前(2026年7月診療分まで)と比べると、たとえば一般区分の外来上限は月18,000円→22,000円、外来+入院の世帯上限は月57,600円→61,500円に上がっています。低所得Ⅰの世帯上限は15,000円→15,700円です。

新設された「年間上限」は、毎月の上限には届かない額の受診が長く続く人のための仕組みです。厚生労働省の説明は「月ごとの自己負担額が積み上がっても、年間の上限額に達した後は、それ以上の医療費の支払いは不要となります」というもので、1年の区切りは8月から翌年7月までです。年収換算で約200万円までの層については、年間上限41万円を適用したうえで令和9年8月以降に償還払い(いったん支払った分があとから戻る形)とされています。

「多数回該当」(直近12か月に高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目から上限がさらに下がる仕組み)の金額は、長期療養者の負担を増やさないため据え置かれました。

なお、令和9年8月からは所得区分そのものが細かく分かれ、上位の層だけがさらに引き上げられる予定です。現在の「現役並みⅢ(課税所得690万円以上)」は3つに分割され、年収換算で約1,160万〜約1,410万円の層は270,300円+1%のまま据え置き、約1,410万〜約1,650万円の層が303,000円+1%、約1,650万円以上の層が342,000円+1%となります。現役並みⅢの全員が一律に上がるわけではありません。

表の「低所得Ⅱ」は世帯全員が住民税非課税の方、「低所得Ⅰ」はそのうち世帯全員の所得が一定基準以下(公的年金は収入80万円として計算し、必要経費・控除を差し引くと0円になる)の方です。判定は広域連合が行います。

窓口でいったん全額を払う必要はありません。 マイナ保険証を使ってオンラインで資格確認を受けるか、事前に「限度額適用認定証」(低所得Ⅰ・Ⅱの方は「限度額適用・標準負担額減額認定証」)の交付を受けて提示すれば、その場の支払いが上限額までに抑えられます(現物給付)。認定証は市区町村の後期高齢者医療担当窓口で申請します。マイナ保険証を使わず認定証も持たずに受診した場合に限り、いったん自己負担割合どおりに支払い、後日、各広域連合・市区町村から届く支給申請書で還付を受ける流れになります(支給は通常、診療月から3〜4か月後)。

なお、年間上限にどう到達したかは複数の医療機関・薬局にまたがるため、窓口でその場に反映されるとは限りません。運用の詳細は広域連合の案内でご確認ください。

出典: 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」(PDF)、同「医療保険制度改正法が成立しました」(ページ)


5. 軽減判定(均等割の7割・5割・2割軽減)

5-1. 均等割軽減の判定基準(2026年度)

世帯の所得が一定以下の場合、均等割が自動的に軽減されます。判定は世帯主と世帯内の被保険者全員の前年所得合計で行われ、申請は不要です。

軽減割合 2026年度(令和8年度)判定基準(世帯所得合計) 2025年度からの変更
7割軽減 基礎控除額(43万円)+10万円×(給与所得者等の数−1)以下 変更なし
5割軽減 上記+(31万円×被保険者数)以下 30.5万円 → 31万円
2割軽減 上記+(57万円×被保険者数)以下 56万円 → 57万円

※給与所得者等の数 = 一定の給与所得者または公的年金等所得者の合計人数。
※被保険者数 = 後期高齢者医療制度の被保険者数(世帯内)。

5割・2割の加算額はいずれも引き上げられており、同じ所得でも2025年度より軽減に入りやすくなっています。根拠は高齢者の医療の確保に関する法律施行令第18条第5項で、第1号・第3号が7割/5割の線引き(「三十一万円」)、第4号・第6号が2割の線引き(「五十七万円」)を定めています。

軽減判定の対象は「均等割」のみで、所得割は軽減対象外です。この軽減は子ども・子育て支援金分の均等割にも同じ割合で適用されます。

また、令和8・9年度については、7割軽減に加えてさらに0.2割軽減できる扱いが設けられています。厚生労働省の全国平均では、基礎年金受給者(年金収入84万円)の医療分保険料は月額1,309円とされており、これは均等割56,083円を7.2割軽減した水準です(56,083円×0.28÷12 ≒ 1,309円)。適用するかどうかは広域連合の判断によるため、居住地の通知書でご確認ください。

なお、2024年度(令和6年度)に設けられた所得割の激変緩和措置は令和6年度限りで、2025年度以降は適用されていません(1-4参照)。

5-2. 軽減基準を超えた翌年の影響

前年所得が基準額を超えると、翌年度の保険料は軽減なしで計算されます。株式譲渡益・不動産売却益などの一時的な所得増でも前年所得に算入されるため、翌年度の保険料が大きく増えるケースがあります。

退職金そのものは例外です。 退職所得は分離課税(他の所得と切り離して課税される扱い)のため、保険料の所得割の計算基礎には含まれません。ただし退職金を運用して生じた譲渡益・配当所得は含まれます(FAQ Q3参照)。

不動産売却益などの一時所得が見込まれる場合は、売却タイミングを後期高齢者医療制度加入後に検討することで、保険料への影響を平準化できる場合があります(個別の税務・保険料判断は税理士等の専門家にご相談ください)。


6. 国保・健保からの切替実務

6-1. 75歳到達による自動切替

75歳の誕生日当日から、それまで加入していた医療保険(国民健康保険・協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)の資格を自動的に喪失し、後期高齢者医療制度に移行します。

  • 被保険者証: 誕生月の前月までに、お住まいの広域連合から後期高齢者医療被保険者証が郵送
  • 元の保険証: 誕生日以降、市区町村窓口(国保の場合)または事業所(被用者保険の場合)に返却
  • 保険料: 誕生月分から月割で徴収開始

6-2. 65〜74歳の障害認定による加入

一定の障害(身体障害者手帳1〜3級、精神障害者保健福祉手帳1〜2級など)に該当する65〜74歳の方は、申請により後期高齢者医療制度に加入できます。加入は任意で、いつでも撤回可能です(撤回後は元の医療保険に戻ります)。

6-3. 保険料の納付方法

納付方法 対象
特別徴収(年金天引き) 年金額が年18万円以上で、介護保険料と合算しても年金額の1/2以下の方が原則(18万円は高齢者の医療の確保に関する法律施行令第22条)
普通徴収(口座振替・納付書) 上記以外、または本人の申し出により切替可能

特別徴収から普通徴収(口座振替)への切替は、市区町村窓口での申請で可能です。口座振替に切り替えると、振替を行った世帯主の社会保険料控除として確定申告で活用できる場合があります(保険料を支払った人が控除を受けられる原則)。


7. よくある質問(FAQ)

Q1. 年金が少ない人の保険料は最低いくらですか?

A. 全国平均で見ると、医療分は月額1,309円(年額約15,700円)が最低水準です。 これは厚生労働省が公表している基礎年金受給者(年金収入84万円)の令和8・9年度の保険料額で、均等割の7割軽減にさらに0.2割の軽減を上乗せした水準です。7割軽減のみ(0.2割の上乗せなし)で計算すると、全国平均の均等割56,083円の3割で年額16,825円・月額約1,402円になります。

これに子ども・子育て支援金分(7割軽減後で年額405円程度)が加わります。均等割額は都道府県広域連合ごとに異なり、令和8・9年度は最低の岩手県48,800円から最高の鹿児島県69,800円まで幅があるため、軽減後の最低額もそれに応じて上下します(2-2の表は主な広域連合の抜粋で、均等割額の最高は表に載せていない鹿児島県です)。住民税非課税世帯で年金収入80万円以下の方は、医療費の自己負担についても低所得Ⅰの区分に該当します。

Q2. 年度途中で75歳になった場合、保険料はどう計算されますか?

A. 誕生月から月割で計算されます。 例えば9月に75歳になった場合、9月分から翌年3月分までの7か月分が初年度の保険料となります。誕生日前日まで加入していた国保・健保には、誕生日前日までの分の保険料を支払い、二重徴収にはなりません。誕生月の前月までに広域連合から納付通知書(または年金天引き開始の通知)が届きます。

Q3. 退職金を受け取った翌年は保険料が大きく上がりますか?

A. 退職金は通常「退職所得」として分離課税され、後期高齢者医療保険料の所得割計算には含まれません。 ただし、退職金を株式・投資信託で運用して譲渡益・配当所得が発生した場合や、確定申告で総合課税を選択した場合は、所得割の計算基礎に含まれることがあります。退職時の高額所得が翌年度の保険料に直撃するのは、主に「退職金以外の総合課税対象所得」です。具体的な影響は税理士または広域連合窓口でご確認ください。

Q4. 国民健康保険から後期高齢者医療制度への切替手続きは必要ですか?

A. 75歳の誕生日による切替は手続き不要で自動的に行われます。 お住まいの市区町村が住民基本台帳の情報を基に処理し、誕生月の前月までに後期高齢者医療被保険者証が広域連合から郵送されます。国民健康保険証は誕生日以降、市区町村の国保窓口に返却してください(郵送返却に対応している自治体もあります)。なお、国保の保険料は誕生月の前月分まで月割で精算されます。

Q5. 加入者が亡くなった月の保険料はどうなりますか?

A. 死亡日の属する月分まで月割で課税されます。 例えば6月15日に死亡した場合、6月分までの保険料が発生し、7月分以降はかかりません。既に納付済みの保険料に過納が生じている場合は、相続人に還付されます(市区町村から相続人代表者宛てに還付通知が送付)。葬祭費(5万円が一般的、広域連合により異なる)の申請も忘れずに行ってください(申請期限は死亡日から2年以内が原則)。

Q6. 配偶者や子を後期高齢者医療制度の扶養に入れることはできますか?

A. 後期高齢者医療制度には「扶養」という概念はなく、すべての加入者が個人単位で被保険者となります。 これは協会けんぽや健康保険組合と大きく異なる点です。75歳到達まで配偶者の被扶養者として保険料負担なしだった方も、75歳になると本人名義で保険料を支払う必要があります(均等割軽減はあり)。74歳以下の配偶者・子は、別途、国民健康保険または被用者保険に加入する必要があります。

Q7. 2026年度の保険料はいつ通知書が届きますか?

A. 特別徴収(年金天引き)の方は4月・6月の年金支給時に金額が通知され、普通徴収(納付書・口座振替)の方は7〜8月頃に納付通知書が届くのが一般的です。 ただし、市区町村の事務処理スケジュールにより6月〜9月の幅があります。前年所得が確定するのが5〜6月のため、4月段階の通知は仮算定値で、本算定通知は7月以降になります。納付通知書の確定金額が予想より高い場合は、まず広域連合または市区町村窓口で計算根拠を確認してください。


8. まとめ:2026年度の後期高齢者医療を押さえる3つのポイント

  1. 医療分の月額平均7,989円が過去最高、これに子ども分194円が別枠で乗って合計8,183円。医療分の+7.8%は、医療給付費の+4.89%・後期高齢者負担率の12.67%→13.27%・出産育児支援金の激変緩和終了が主因で、子ども・子育て支援金はこの7.8%には含まれない
  2. 賦課限度額は医療分85万円+子ども分2万1,000円の2階建て。到達するのは年金収入1,021万円以上で、超過する被保険者は1.21%(令和8年度推計)
  3. 均等割の軽減は入りやすくなった。5割軽減の加算額が30.5万円→31万円、2割軽減が56万円→57万円へ引き上げ
  4. 2026年8月診療分から高額療養費の上限も引き上げ。一般区分の外来上限は月18,000円→22,000円、世帯上限は57,600円→61,500円。あわせて年単位の上限額(年間上限)が新設された
  5. 個人単位課税・都道府県内一律料率。国民健康保険(世帯単位・市区町村別)との違いを理解して、家族の保険切替も計画的に

後期高齢者医療制度は、75歳到達で自動的に切り替わる制度ですが、保険料額や軽減判定・自己負担割合・配偶者の保険切替など、本人と家族の家計に直結する論点が多くあります。具体額の確認は次の2ステップが有効です。

  • ステップ1(全体像): 本記事で2026年度の制度変更と年金収入別目安を把握
  • ステップ2(個別計算): お住まいの都道府県広域連合公式サイトで条例・告示を確認、または市区町村の後期高齢者医療担当窓口で試算依頼

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出典・参考資料

  • 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月10日 報道発表): https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72371.html / 資料PDF: https://www.mhlw.go.jp/content/12403500/001689077.pdf
  • 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」(2024年4月1日 報道発表): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001255180.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度の後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について」(第207回社会保障審議会医療保険部会 資料3・2025年12月12日): https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001610193.pdf
  • 厚生労働省「令和6年度からの後期高齢者医療の保険料について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00009.html
  • 厚生労働省「高齢者医療制度」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index.html
  • 高齢者の医療の確保に関する法律: https://laws.e-gov.go.jp/law/357AC0000000080
  • 高齢者の医療の確保に関する法律施行令(賦課限度額は第18条第1項第7号・第13号、軽減判定は同条第5項): https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000318
  • こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」: https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido
  • 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料」: https://www.tokyo-ikiiki.net/seido/1001968/index.html
  • 大阪府後期高齢者医療広域連合「保険料」: https://www.kouikirengo-osaka.jp/longlife/insurance/
  • 愛知県後期高齢者医療広域連合「保険料」: https://www.aichi-kouiki.jp/iryou/hoken/index.html
  • 厚生労働省「令和3年度制度改正について(後期高齢者の窓口負担割合の変更等)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.html

免責事項: 本記事は2026年9月時点の公表資料・各都道府県後期高齢者医療広域連合の告示・厚生労働省報道発表に基づきます。保険料の具体的な金額・料率・限度額・軽減判定基準は各広域連合の条例で確定し、年度・改定により変動します。自身の保険料額は必ず居住地の都道府県後期高齢者医療広域連合または市区町村の後期高齢者医療担当窓口でご確認ください。本記事の数値・解説は将来の制度改正により変更される可能性があり、医療・税務上の個別判断は専門家にご相談ください。

JG

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