生活保護の特例加算が月2,500円に|令和8年10月から1年間・世帯別の支給額と従前額保障をわかりやすく解説

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
生活保護の特例加算が月2,500円に|令和8年10月から1年間・世帯別の支給額と従前額保障をわかりやすく解説

最終更新日: 2026年10月4日

この記事の対象読者
生活保護を受けている方、そのご家族、そして身近な方を支える立場の方です。ケースワーカー(福祉事務所の担当職員)ではない方が、制度の変更点を落ち着いて確認できるように書いています。ご自身の正確な支給額は、必ず担当の福祉事務所で確認してください。この記事の表は国の資料に載っている「モデル世帯」の金額であり、お一人おひとりの金額そのものではありません。


結論:令和8年10月1日から、特例加算が1人あたり月1,500円から2,500円になります

生活保護の生活扶助(食費・光熱費・日用品など、日々の暮らしの費用にあてる扶助)には、「特例加算」という上乗せがあります。この上乗せが、令和8年10月1日から1年間、世帯の人数1人につき月額2,500円になります。現在は1,500円ですので、1,000円の引き上げです。

ただし、すべての世帯の受け取る額が1人あたり1,000円ずつ増えるわけではありません。「従前額保障」(以前の基準より下がらないようにする仕組み)が働いている世帯では、増える額が小さくなったり、変わらなかったりします。たとえば65歳の単身世帯(1級地-1)は、厚労省の資料で76,880円のまま変わりません。次の章から順に説明します。

入院している方や介護施設に入所している方の加算は、月額1,000円のままです。

引き上げは制度の側で反映されるのが基本で、今回確認した資料には、受給者が特別な申請書を出す必要があるとは書かれていません。

なお、生活保護と並んで話題になる「給付付き税額控除」や食料品の消費税の見直しについては、別の記事で整理しています。生活保護を受けている方にとって大切な点(支援金が収入として扱われること)は 給付付き税額控除とは?2026年9月15日の大綱で「就業者負担軽減支援金」に に載せています。


変更点を一覧で見る(変更前と変更後)

項目 変更前(令和7年10月〜令和8年9月) 変更後(令和8年10月〜令和9年9月)
特例加算(通常の世帯員1人あたり・月額) 1,500円 2,500円
入院患者・介護施設入所者の加算(1人あたり・月額) 1,000円 1,000円(維持)
従前額保障(下がる世帯の差額を保障) あり 継続
適用期間 令和7年10月から令和8年9月まで 令和8年10月1日から1年間

出典:厚生労働省「第55回社会保障審議会生活保護基準部会 資料4 令和8年度生活扶助基準の見直しについて」(令和8年2月27日)、厚生労働省告示「生活保護法による保護の基準」の改正文(令和八年六月一一日厚生労働省告示第二四五号)

「決定」なのか「案」なのか

結論から言うと、特例加算2,500円と、入院・施設入所者の1,000円は、告示(国が正式に定める基準)に書き込まれた決定事項です。

  • 令和8年2月27日の部会資料には、「令和8年度基準案」という表記があります。この時点では案の段階でした
  • その後、厚生労働省の「生活保護法による保護の基準」のページに、改正文(令和八年六月一一日厚生労働省告示第二四五号)が掲載されています。冒頭には「令和八年十月一日から適用する。」とあります
  • 告示の本文には、「世帯人員一人につき月額2,500円を加える」「世帯人員一人につき月額1,000円を加える」と書かれています(後者は入院患者・介護施設入所者に関する部分です)

一方、従前額保障を継続すること自体は、今回確認できた部会資料に書かれた内容です。告示の本文には従前額保障の文言を見つけられませんでした(運用を定める別の文書に書かれていると考えられますが、確認できていません)。ご自身にどう適用されるかは、福祉事務所に確認してください。


特例加算とは何か:これまでの経緯

特例加算は、物価の上昇が続く中で、生活扶助の水準を一時的に上乗せするために設けられた措置です。厚労省の部会資料は、次のように経緯を整理しています。

  • 令和5〜6年度:一人当たり月額1,000円
  • 令和7年度の見直しで500円引き上げ:一人当たり月額1,500円(令和7〜8年度の2年間の臨時的・特例的な措置として決定)
  • 令和8年10月から1年間:1,000円引き上げ、一人当たり月額2,500円

部会資料には、財政への影響額は「+110億円程度(令和8年度は+60億円程度)」と記されています。

ここで押さえておきたいのは、特例加算が「期間を区切った措置」であることです。令和8年10月からの2,500円は「1年間」と明記されています。その先の令和9年度以降については、部会資料に「令和9年度の予算編成過程において検討を行う」とあります。つまり、令和9年10月以降にどうなるかは、現時点で決まっていません。

また、部会資料には、令和9年度以降の検討にあたり、5年に一度行う定期検証を1年前倒しで実施すると書かれています。年齢・世帯人員・級地別の分析をして、結果を適切に反映する、という内容です。


世帯別の支給額:国の資料に載っている表

厚労省の部会資料には、世帯のタイプごとの生活扶助基準額の表があります。次の表は、その全行を転記したものです。表の「令和7年度基準」は令和7年10月〜令和8年9月に適用される額、「令和8年度基準」は令和8年10月〜令和9年9月に適用される額です(資料の表では「令和8年度基準案」と表記されています)。

資料の注記によると、この金額は第1類・第2類の費用と、臨時的・特例的な措置に係る額です。住宅扶助(家賃にあたる扶助)、教育扶助、医療扶助、地域ごとの冬季加算などは含まれていません。また、級地(住んでいる地域ごとの区分)は、1級地-1から3級地-2までの段階があり、表にはそのうち3つを載せています。ご自身がどの級地かは、福祉事務所に聞くとわかります。

右端の「差額」は、国の表の2つの額の差を引き算したものです(当サイトで計算した参考値です)。

世帯のタイプ 級地 令和7年度基準 令和8年度基準 差額
夫婦子1人(30代夫婦、子3〜5歳) 1級地-1 153,400円 156,060円 +2,660円
同上 2級地-1 145,790円 148,790円 +3,000円
同上 3級地-2 135,410円 138,410円 +3,000円
夫婦子2人(40代夫婦、子は中学生と小学生) 1級地-1 181,760円 184,760円 +3,000円
同上 2級地-1 171,260円 175,260円 +4,000円
同上 3級地-2 158,760円 162,760円 +4,000円
高齢夫婦(65歳夫婦) 1級地-1 121,900円 123,900円 +2,000円
同上 2級地-1 116,230円 118,230円 +2,000円
同上 3級地-2 108,160円 110,160円 +2,000円
高齢単身(65歳) 1級地-1 76,880円 76,880円 0円
同上 2級地-1 72,490円 73,490円 +1,000円
同上 3級地-2 67,850円 68,850円 +1,000円
高齢夫婦(75歳夫婦) 1級地-1 112,390円 112,470円 +80円
同上 2級地-1 105,620円 107,620円 +2,000円
同上 3級地-2 98,680円 100,680円 +2,000円
高齢単身(75歳) 1級地-1 71,900円 71,900円 0円
同上 2級地-1 66,390円 67,390円 +1,000円
同上 3級地-2 62,400円 63,400円 +1,000円
母子世帯・子1人(30代の親、子は小学生) 1級地-1 122,700円 124,310円 +1,610円
同上 2級地-1 116,610円 118,610円 +2,000円
同上 3級地-2 108,500円 110,500円 +2,000円
母子世帯・子2人(40代の親、子は中学生と小学生) 1級地-1 156,260円 159,230円 +2,970円
同上 2級地-1 148,730円 151,730円 +3,000円
同上 3級地-2 138,040円 141,040円 +3,000円
若年単身(50代) 1級地-1 77,240円 77,240円 0円
同上 2級地-1 72,930円 73,930円 +1,000円
同上 3級地-2 68,240円 69,240円 +1,000円

出典:厚生労働省 第55回社会保障審議会生活保護基準部会 資料4(令和8年2月27日)3ページ「世帯類型ごとの生活扶助基準額」


表の読み方:なぜ「人数×1,000円」にならない世帯があるのか

表を見ると、たとえば2級地-1や3級地-2の世帯では、差額が「人数×1,000円」にきれいに一致します。高齢単身は1人なので+1,000円、高齢夫婦は2人なので+2,000円、夫婦子2人は4人なので+4,000円です。これが特例加算の引き上げ分(1人あたり1,000円)そのものです。

一方、1級地-1では差額が小さい世帯があります。ここに「従前額保障」が関係しています。

従前額保障とは

従前額保障は、特例加算を足してもなお、以前の基準額から下がってしまう世帯について、以前の基準額を保障する仕組みです。部会資料は、特例加算の措置をしても従前の基準額から減額となる世帯については、従前の基準額を保障する、と説明しています。

表の数字で確かめられる範囲を示します。これは当サイトによる概算の確認です。

  • 表の「令和4年検証結果反映後」の欄(資料に別の列として載っている額。5年に一度行う生活扶助基準の検証(令和4年)の結果を反映した額)に、特例加算を世帯人数分足した額が、令和8年度の欄の額になっている世帯があります。たとえば夫婦子1人世帯(3人)・1級地-1は、資料の「令和4年検証結果反映後」148,560円に、2,500円×3人=7,500円を足すと156,060円で、令和8年度の欄の額と一致します
  • 高齢夫婦(75歳)・1級地-1も、107,470円に2,500円×2人=5,000円を足すと112,470円で、令和8年度の額と一致します。令和7年度の額は112,390円でしたので、差が+80円になります
  • 高齢単身(65歳)・1級地-1は、74,250円に2,500円を足すと76,750円で、令和7年度の額76,880円を下回ります。この場合は従前の額が保障され、76,880円のまま変わりません

つまり、令和7年度の額は、従前額保障によってすでに「検証結果反映後+特例加算」より高い額に保たれていた世帯があり、令和8年度に特例加算が増えても、まだその高い額を超えない世帯では額が動かない、という仕組みです。この説明は表の数字からの当サイトの読み取りであり、各世帯の実際の計算は福祉事務所が行います。

表の1級地-1には、ほかにも差額が「人数×1,000円」より小さい世帯(夫婦子2人、母子世帯、若年単身)があります。これらの行は当サイトでは個別に検算していません。ご自身の世帯に近い行の差額が小さくても、表の誤りとは限りませんので、担当の福祉事務所に確認してください。

増えない、あるいは少ししか増えないからといって、不利益を受けているわけではありません。「下がらないように守られている」状態です。


入院している方・介護施設に入所している方は1,000円のまま

入院患者や介護施設入所者については、食費や光熱費などが現物で給付されている状況を踏まえて、令和5年度から月額1,000円の加算が続けられています。部会資料は、令和8年度も「一人当たり月額1,000円を維持」としています。

告示の条文でも、次の2つの費用について、特例加算として月額1,000円を加えると書かれています。

  • 入院患者日用品費(入院中の日用品にあてる費用)
  • 介護施設入所者基本生活費(介護施設で暮らす方の基本的な生活費)

そのため、入院中・施設入所中の方は、令和8年10月以降も加算は月額1,000円で、2,500円にはなりません。

ご家族が施設に入っている世帯では、世帯の中に「通常の加算(2,500円)の方」と「1,000円の方」が混在することがあります。人数の数え方や合計額は個別の事情で変わりますので、福祉事務所に確認してください。介護施設の費用そのものについては 介護保険はいくら使える?要介護度別の支給限度額と自己負担シミュレーション も参考になります。


受給世帯が確認しておきたいこと

特例加算の引き上げは、制度の側で自動的に反映されるのが基本です。特別な申請書を出す必要があるとは、今回確認した資料には書かれていません。ただし、いくら変わるかは世帯ごとに違います。次の点を、無理のない範囲で確認してみてください。

  1. 変更後の決定額の通知を確認する:保護の変更があるときは、福祉事務所から決定通知が届きます。令和8年10月以降の額が、ご自身の想定と合っているか見てください
  2. 世帯人数と入院・入所の状況を伝える:入院や施設入所の有無で、加算が2,500円か1,000円かが変わります。状況が変わったら、その都度福祉事務所へ伝えます
  3. わからないときは担当職員に聞く:計算に使う級地や、世帯員の年齢区分によって額が変わります。表の金額と自分の金額が違っても、それだけで誤りとは限りません
  4. 期間が1年であることを覚えておく:令和9年10月以降のことは、今は決まっていません。家計の見通しを立てるときは、2,500円が永続するとは考えず、新しい情報が出たら福祉事務所や公的な発表で確かめてください
  5. 納得できないときは審査請求ができる:担当職員に説明を求めても決定に納得できないときは、審査請求(行政に決定の見直しを求める手続き)ができます。期限は原則として、決定があったことを知った日の翌日から3か月です(行政不服審査法第18条)。請求先と期限は決定通知書に書かれています

他の給付との関係

生活保護を受けている方は、他の給付金や支援金の扱いにも注意が必要です。たとえば、大綱に盛り込まれた就業者負担軽減支援金は、生活保護制度では収入として認定される対象とされています。詳しくは 食料品消費税1%はいつから?2027年4月・2年間の減税と就業者負担軽減支援金 で整理しています。

また、働いて工賃を得ている方は、収入の扱いが生活保護の額に関わることがあります。就労継続支援B型の工賃については 就労継続支援B型2026|工賃・利用条件・申請方法を利用者目線で完全解説 をご覧ください。


よくある質問

A

いいえ。引き上げは特例加算の部分で、世帯の人数1人につき1,000円(1,500円から2,500円)です。ただし従前額保障が働いている世帯では、増える額が小さい、または変わらない場合があります。厚労省の表でも、65歳の単身世帯(1級地-1)は76,880円のまま、75歳の夫婦世帯(1級地-1)は+80円です。

A

特例加算2,500円は、令和八年六月一一日厚生労働省告示第二四五号の改正文に書かれており、令和8年10月1日から適用されます。2月の部会資料の「案」の段階を経て、告示として定められたものです。なお、従前額保障の継続については、当サイトでは部会資料の記載を確認しています。

A

現時点では決まっていません。部会資料は、令和9年度以降の生活扶助基準を、令和9年度の予算編成過程で検討するとしています。今回の2,500円は「令和8年10月から1年間」の措置です。

A

なりません。入院患者日用品費と介護施設入所者基本生活費には、特例加算として月額1,000円が加えられ、これは維持されます。

A

お住まいの地域の福祉事務所です。級地、世帯人数、年齢、入院・入所の有無、ほかの扶助との組み合わせで金額が変わります。この記事の表は国の資料のモデル世帯の額であり、ご自身の額と一致するとは限りません。


まとめ

  • 令和8年10月1日から1年間、生活扶助の特例加算は世帯人員1人あたり月額2,500円になります(現行は1,500円)
  • 告示(令和八年六月一一日厚生労働省告示第二四五号)に書かれた決定事項です
  • 従前額保障が働く世帯は、増える額が小さい、または変わりません(国の表では65歳単身・1級地-1が76,880円のまま)
  • 入院患者・介護施設入所者の加算は月額1,000円のまま維持されます
  • 令和9年度以降は未定で、令和9年度の予算編成の中で検討される予定です
  • 正確な支給額は、福祉事務所で確認してください

制度の変更は、暮らしの見通しに直結する大切な情報です。わからないことは、遠慮なく担当の福祉事務所に尋ねてください。


出典

  • 厚生労働省「第55回社会保障審議会生活保護基準部会 資料4 令和8年度生活扶助基準の見直しについて」(令和8年2月27日)https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/001662704.pdf
  • 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」(改正文 令和八年六月一一日厚生労働省告示第二四五号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82051000&dataType=0
  • 厚生労働省「令和8年10月生活扶助基準見直しの関連情報」ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76324.html

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の支給額・手続きは、お住まいの地域を担当する福祉事務所にご確認ください。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。