介護保険はいくら使える?要介護度別の支給限度額と自己負担シミュレーション【2026年版】

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介護保険はいくら使える?要介護度別の支給限度額と自己負担シミュレーション【2026年版】

要介護5なら月36万2,170円まで、要支援1でも月5万320円まで介護保険でサービスが使えます——これが「介護保険でいくら使えるか」の答えです。

親の介護を考えはじめたとき、最初に知りたいのは「介護保険で月いくら分のサービスが受けられるのか」ではないでしょうか。介護保険には要介護度ごとに利用できるサービス量の上限(区分支給限度基準額)があり、その範囲内なら自己負担1〜3割で訪問介護・デイサービス・福祉用具レンタルなどを組み合わせて使えます。本記事では2026年度現在の公式数値をもとに、要介護度別の支給限度額・自己負担額・超過時の扱い・還付制度までを具体的なシミュレーション付きで解説します。

まず結論:要介護度別「月いくら使えるか」一覧

介護保険で利用できる在宅サービスの月額上限(区分支給限度基準額)は、要介護度ごとに単位数で決まっています。1単位=約10円で換算するのが基本です(地域・サービス種別により10.00〜11.40円で変動)。以下の単位数は介護保険法施行規則第150条に基づき厚生労働省が告示する基準額で、2019年10月の消費税増税対応改定以降据え置かれており、2026年度も同額です(出典:厚生労働省「介護保険制度における介護報酬の算定構造」)。

要介護度別・月の区分支給限度額(2026年度)
要支援1

50,320

5,032単位/月
要支援2

105,310

10,531単位/月
要介護1

167,650

16,765単位/月
要介護2

197,050

19,705単位/月
要介護3

270,480

27,048単位/月
要介護4

309,380

30,938単位/月
要介護5

362,170

36,217単位/月

この上限額の範囲で利用すれば、実際の窓口負担は所得に応じて1割・2割・3割のいずれかになります。たとえば要介護3・1割負担の人が限度額いっぱい(27万480円)まで使っても、自己負担は月2万7,048円です。

区分支給限度額の仕組み(2026年度最新)

単位数と円換算のルール

介護報酬は全国一律の「単位数」で定められ、これを地域区分・サービス種別ごとに円換算して金額が決まります。

  • 1単位 = 10.00〜11.40円(地域区分で変動。東京23区など「1級地」は高く、その他地域は低い)
  • 地域区分は1〜7級地+その他の8区分に分類
  • サービス種別によって単価が異なる(訪問介護は人件費割合が高く単価高め、福祉用具貸与は一律10円)

本記事では分かりやすさのため1単位=10円で計算しています。実際の金額は地域とサービスの組み合わせで変わるため、ケアマネジャー作成の居宅サービス計画書(ケアプラン)で確認してください。

月単位で管理される

区分支給限度額は暦月(1日〜末日)単位で適用されます。月をまたいで繰り越すことはできず、月末までに使い切らなかった枠は消滅します。逆に、月の途中で認定区分が変わった場合は、変更後の区分に基づく限度額が当月から適用されます。

2025年・2026年の改定状況

2026年度時点での区分支給限度基準額は、2019年10月の消費税増税対応改定以降据え置かれています。介護報酬そのものは3年に1度改定されており、直近では2024年度改定(2024年4月/一部6月施行)が最新で、次回は2027年4月施行予定の2027年度改定です。つまり2026年度は改定年と改定年の中間にあたり、区分支給限度額・自己負担割合・高額介護サービス費の上限はいずれも2024年度改定時点から変更がありません。

なお2026年度は介護報酬の処遇改善加算統合後の本格運用2年目で、事業者向けの加算要件は厳格化していますが、利用者が直接支払う月額負担(1〜3割)や区分支給限度額そのものの引き上げ・引き下げは行われていません。2027年度改定の議論は社会保障審議会介護給付費分科会で進行中のため、次期改定で限度額が見直される可能性がある点は頭に入れておきましょう。

自己負担割合(1割・2割・3割)の判定

介護サービス費の自己負担は、65歳以上の第1号被保険者の場合、前年の合計所得金額等で3段階に分かれます。40〜64歳の第2号被保険者は一律1割負担です。

第1号被保険者(65歳以上)の自己負担割合判定(2026年度)
1割負担

ほとんどの高齢者

合計所得金額160万円未満 等
2割負担

合計所得160万円〜

年金収入等280万円以上(単身)
3割負担

合計所得220万円〜

年金収入等340万円以上(単身)

判定の具体的な基準

負担割合 合計所得金額 年金収入+その他合計所得金額(単身) 年金収入+その他合計所得金額(2人以上世帯)
1割 160万円未満
2割 160万円以上220万円未満 280万円以上340万円未満 346万円以上463万円未満
3割 220万円以上 340万円以上 463万円以上

判定のポイント:

  • 「合計所得金額」は年金・給与・事業所得等を合計した額(基礎控除前)
  • 年金収入は公的年金等控除後の金額を使う
  • 2人以上世帯では本人以外の65歳以上の家族所得も判定に含める
  • 毎年7月頃に市区町村から「介護保険負担割合証」が送付され、8月〜翌年7月まで有効

要介護度別・1割〜3割負担の月額シミュレーション

限度額いっぱいまで使った場合の自己負担額を要介護度・負担割合別に一覧にしました。

限度額フル利用時の自己負担(月額)

要介護度 限度額 1割負担 2割負担 3割負担
要支援1 50,320円 5,032円 10,064円 15,096円
要支援2 105,310円 10,531円 21,062円 31,593円
要介護1 167,650円 16,765円 33,530円 50,295円
要介護2 197,050円 19,705円 39,410円 59,115円
要介護3 270,480円 27,048円 54,096円 81,144円
要介護4 309,380円 30,938円 61,876円 92,814円
要介護5 362,170円 36,217円 72,434円 108,651円

この表は「限度額を100%使った場合」の最大自己負担額です。実際には平均してフル利用する人は少なく、厚生労働省の給付実績では要介護度ごとに限度額の50〜70%程度の利用が中心です。ケアマネジャーと相談しながら必要なサービスを組み合わせ、限度額に収まるプランを作るのが通常の流れです。

限度額を超えた場合はどうなる?

区分支給限度額を超えて介護サービスを使った場合、超過分は全額自己負担(10割)になります。たとえば要介護2(限度額19万7,050円)で月25万円分のサービスを使った場合の自己負担は次のとおりです。

要介護2・1割負担で月25万円のサービスを使った場合:

  • 限度額内(197,050円): 1割負担 = 19,705円
  • 超過分(250,000円 − 197,050円 = 52,950円): 全額自己負担 = 52,950円
  • 合計自己負担: 72,655円

超過分については高額介護サービス費の対象にもならないため、上限越えを避けるのが原則です。

シミュレーション:世帯年収別・要介護度別3ケース

ケース1:父(要介護2・年金収入200万円)を自宅介護

  • 要介護度: 要介護2(限度額 19万7,050円)
  • 年金収入: 200万円 → 合計所得金額等の基準で1割負担
  • 実際のケアプラン: 訪問介護週3回+デイサービス週2回+福祉用具レンタル = 月15万円相当
  • 自己負担: 150,000円 × 10% = 月1万5,000円

年金から無理なく支払える範囲に収まります。介護休業・休暇との組み合わせで家族の負担も軽減可能です。

ケース2:母(要介護4・年金収入350万円+不動産所得)

  • 要介護度: 要介護4(限度額 30万9,380円)
  • 所得: 合計所得220万円以上相当 → 3割負担
  • ケアプラン: 訪問介護毎日+訪問看護週2回+デイサービス週3回+ショートステイ月5日 = 月28万円相当
  • 自己負担: 280,000円 × 30% = 月8万4,000円

3割負担で自己負担が膨らむため、後述の高額介護サービス費制度で一定以上の還付が受けられるか確認が必須です。

ケース3:義父(要介護5・住民税非課税世帯)特別養護老人ホーム入所

  • 要介護度: 要介護5(特養の介護保険部分は基本報酬で算定)
  • 所得: 住民税非課税世帯 → 1割負担特定入所者介護サービス費の対象
  • 概算費用(多床室・負担限度額認定「第2段階」適用時): 介護保険1割負担約2.5万円+食費・居住費(負担限度額認定により減額)約2.5万円 = 月5万円程度

この金額は多床室かつ住民税非課税世帯で負担限度額認定を取得していることを前提とした概算です。ユニット型個室・所得区分・施設の加算状況により大きく変動します。特養は所得に応じた食費・居住費の減額制度(負担限度額認定)があり、住民税非課税世帯なら月額負担を大幅に抑えられます。詳しくは入所施設のソーシャルワーカーに実額を確認してください。

高額介護サービス費制度(自己負担の月額上限と還付)

介護保険の自己負担にも、医療保険の高額療養費制度と同じような月額上限があります。それが高額介護サービス費(介護保険法第51条)です。所得区分ごとの上限を超えた分は、申請により後から還付されます。以下の上限額は2021年8月改定で現役並み所得層の区分が細分化された水準で、2024年度改定でも据え置かれ2026年度も同額が適用されています。

高額介護サービス費の月額上限(2026年度)
年収約1,160万円以上

140,100

世帯合算後の月上限
年収約770〜1,160万円

93,000

世帯合算後の月上限
年収約383〜770万円

44,400

世帯合算後の月上限
一般(上記未満・課税)

44,400

世帯合算後の月上限
住民税非課税世帯

24,600

世帯合算後の月上限
年金収入80万円以下等

15,000

個人での上限

所得区分別の月額上限(詳細)

所得区分 年収目安 月の自己負担上限(世帯)
現役並み所得相当III 年収約1,160万円以上 140,100円
現役並み所得相当II 年収約770〜1,160万円 93,000円
現役並み所得相当I 年収約383〜770万円 44,400円
一般(住民税課税世帯) 上記未満 44,400円
住民税非課税世帯 24,600円
前年合計所得・年金収入80万円以下等 個人15,000円
生活保護受給者等 個人15,000円

申請方法と時効

  • 申請先: 住民票のある市区町村の介護保険窓口
  • 初回のみ申請書提出が必要(2回目以降は自動的に指定口座に振り込み)
  • 時効: サービス利用月の翌月1日から2年

高額医療・高額介護合算療養費制度(年間の合算上限)

医療費と介護費の両方が高額になる世帯向けには、さらに年間(8月〜翌7月)の合算上限制度があります。

  • 対象: 同一世帯で医療保険と介護保険の両方に自己負担があった場合
  • 上限額(2026年度・8月〜翌7月の年間合算): 所得区分により年56万円〜212万円(70歳未満の一般世帯は67万円)。医療保険の高額療養費の所得区分に連動しており、医療側の基準改定があれば連動改定される仕組みです
  • 申請先: 加入している医療保険(協会けんぽ・健保組合・国保)に申請

医療費と介護費が同じ年に集中する年(例:入院後にリハビリ→介護サービス移行)は、この制度の対象になる可能性が高いため必ず確認してください。

詳細は 高額療養費制度2026|自己負担の上限額を所得別に計算する方法 も参照してください。

介護保険を使い始めるまでの手順

要介護認定を受けて介護保険サービスを利用開始するまでの流れは次のとおりです。

介護保険サービス利用開始までのフロー
1
初動
市区町村の介護保険窓口に要介護認定を申請
本人・家族のほか、地域包括支援センターが代行可。
2
申請後〜1ヶ月
訪問調査+主治医意見書
認定調査員が自宅訪問し74項目の聞き取り調査を実施。
3
1〜2ヶ月目
介護認定審査会で要介護度判定
一次判定(コンピュータ)+二次判定(審査会)で決定。
4
認定後
ケアマネジャー選定+ケアプラン作成
居宅介護支援事業所と契約。費用は全額介護保険負担(自己負担なし)。
5
プラン完成後
サービス提供事業者と契約・利用開始
訪問介護・通所介護・福祉用具貸与など順次開始。

申請から利用開始までの期間は約1〜2ヶ月が目安です。緊急性が高い場合は暫定ケアプランで先行利用もできますが、認定結果が想定より軽度だった場合の費用精算に注意が必要です。

FAQ

A

A. 日常生活で介助が必要な場面が増えてきたと感じたら、すぐに市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターへ相談するのが基本です。申請から認定結果が出るまで約30日、ケアプラン作成・サービス契約まで含めると利用開始には1〜2ヶ月かかります。「まだ元気だから」と先送りせず、早めに相談して要支援段階から介護予防サービスを活用するほうが、結果的に在宅生活が長く続きます。

A

A. 対象サービスが異なれば併用可能です。ただし同じサービスを同じ月に医療保険と介護保険の両方で請求することはできません。たとえば訪問看護は要介護認定者なら原則「介護保険優先」で、厚労省が定める特別指示書の交付時などに限って医療保険が適用されます。また年間の医療費と介護費が両方とも高額になった場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度で世帯単位の合算上限を超えた分が還付されます。

A

A. その通りです。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)・介護老人保健施設・介護医療院などの施設サービスは、区分支給限度額の枠外で、施設ごとに定められた包括報酬で提供されます。自己負担は所得に応じて1〜3割の介護保険部分+食費+居住費で、住民税非課税世帯等は「負担限度額認定」により食費・居住費が大幅に減額されます。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で介護保険サービスを組み合わせる場合は、在宅扱いなので区分支給限度額が適用されます

A

A. いいえ、別枠です。福祉用具購入費は年間10万円まで(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトの吊り具等が対象)、住宅改修費は生涯20万円まで(手すり設置、段差解消、床材変更、扉の取替、便器の取替等)の上限が設定されています。いずれも自己負担1〜3割で、残りが介護保険から償還払いまたは受領委任払いで支給されます。これらの枠は区分支給限度額とは完全に独立しており、在宅サービスを限度額いっぱい使っていても別途利用できます。

A

A. 認定結果に納得できない場合は、区分変更申請(通知から60日以内なら不服申立て、いつでも区分変更申請は可能)で再審査を請求できます。心身状態が変化したときも区分変更申請が有効です。区分変更の審査期間は通常1ヶ月程度で、申請日にさかのぼって新しい区分が適用されます。ただし頻繁な申請はケアマネや主治医との関係にも影響するため、状態変化を具体的に記録したうえで相談するのが良いでしょう。

まとめ

介護保険で使えるサービス量の上限は、要介護度ごとに要支援1の5万320円から要介護5の36万2,170円まで幅広く設定されています。自己負担は所得に応じて1〜3割で、住民税非課税世帯なら高額介護サービス費制度で月2万4,600円の上限まで還付されるため、実際の家計負担は想像より抑えられるケースが多いのが実情です。

介護は始まる前は「いくらかかるか分からない」という漠然とした不安が大きいですが、数字で捉えれば準備すべき金額が具体的に見えてきます。まずは親の所得から負担割合を確認し、想定されるサービス(訪問介護・デイサービス中心か、施設中心か)をケアマネジャーと相談してプランを立てるのが現実的なスタートです。迷ったら最寄りの地域包括支援センター(全国約5,400ヶ所、高齢者人口3,000〜6,000人に1ヶ所設置)に無料で相談できます。


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JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。