雇用契約書の必須項目と書き方|2026年最新・労働条件通知書との違い・テンプレート解説

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
雇用契約書の必須項目と書き方|2026年最新・労働条件通知書との違い・テンプレート解説

採用が決まったとき、「とりあえず口頭で合意できているからいいか」と雇用契約書を省略していないだろうか。労働基準法は、使用者に対して労働条件の書面明示を義務づけている。交付しない場合は30万円以下の罰則(労基法第120条)の対象になる。

本記事では、雇用契約書に記載すべき必須事項・任意事項を整理し、2024年4月改正で追加された最新の明示義務にも対応した実務的な書き方を解説する。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

まず混同しやすい2つの書類を整理しよう。

項目 雇用契約書 労働条件通知書
法的根拠 民法・労働契約法 労働基準法第15条
交付義務 なし(慣行として作成) あり(使用者側の義務)
署名欄 双方が署名捺印 使用者のみ(労働者の署名不要)
性格 双方の「合意」を証する契約書 使用者から労働者への「通知」

実務上は、雇用契約書と労働条件通知書を一体化した書類を作成し、双方が署名捺印するケースが多い。この形式が最も実用的で、後日のトラブル防止にも有効だ。

法定必須事項(絶対的明示事項)

以下の事項は書面(電子メール等も可)で必ず明示しなければならない。

全ての労働者に共通

  1. 労働契約の期間(期間の定めがある場合)
  2. 就業の場所および従事すべき業務
  3. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
  4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め日・支払日
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

2024年4月から追加された明示義務(重要)

2024年4月施行の労働基準法施行規則改正により、以下の事項も書面明示が義務化された:

  • 就業場所および業務の変更の範囲(例:「雇用期間中に変更される可能性のある就業場所・業務の範囲」)
  • 有期労働契約の更新上限の有無・内容(上限がある場合はその回数・期間)
  • 無期転換申込権が発生する場合、無期転換後の労働条件
  • 有期契約労働者の更新基準(更新するかしないかの判断基準)

この改正は特に有期雇用・パートの雇用契約書に影響が大きい。

法定相対的明示事項(就業規則がある場合)

就業規則に定めがあれば書面明示が必要な事項:

  • 退職手当
  • 臨時の賃金(賞与)・最低賃金
  • 食費・作業用品などの負担
  • 安全衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償・業務外傷病扶助
  • 表彰・制裁

雇用形態別の記載ポイント

正社員の場合

【雇用形態】正規雇用労働者(無期雇用)
【試用期間】○ヶ月(期間中の労働条件:賃金□□円/月、その他の条件は同一)
【就業場所】〇〇事務所(変更の範囲:会社が指定する事務所・事業場)
【業務内容】〇〇業務(変更の範囲:会社が指定する全ての業務)

注意点:
– 試用期間中の条件が本採用と異なる場合は、試用期間中の条件も明示する
– 「変更の範囲」は2024年4月以降、必須記載事項になった

パート・有期雇用の場合

【契約期間】〇年〇月〇日〜〇年〇月〇日
【契約更新の有無】あり(ただし、業績・勤務態度等を考慮して判断)
【契約更新の上限】通算□年・□回まで(上限がある場合)
【無期転換申込権】通算5年超で権利発生。権利行使後の労働条件:□□

重要:
– 更新上限を途中で設定・変更する場合は、その理由を事前に明示しなければならない
– 更新上限を設けない場合でも「更新上限なし」と明示するのが望ましい

よくある記載ミスと対処法

NG例1:「給与は毎月25日払い」だけ

→ 締め日(例:毎月末日)も明示が必要。「毎月末日締め翌月25日払い」と記載する。

NG例2:「必要に応じて残業あり」

→ 所定時間外労働の「有無」を明示する必要がある。「有(月□時間を超えない範囲)」と記載する。36協定の内容と整合させること。

NG例3:就業場所を「本社」とだけ記載

→ 2024年4月以降は「変更の範囲」の明示が必要。「初期配属:〇〇本社 変更の範囲:国内の全事業所」のように記載する。

NG例4:退職事由の記載なし

→ 解雇の事由を含む退職に関する事項は絶対的明示事項。「解雇事由は就業規則第□条による」と参照先を明示するか、具体的な事由を列挙する。

電子交付について

2019年の通達改正により、電子メールやクラウド上の書類での交付も可能になった。ただし条件がある:

  • 労働者が電子交付に同意していること
  • 労働者が出力・保存できる形式であること(PDFなど)
  • 書類の特定・受信が確認できること

実務的には、クラウドサインやDocuSignなどの電子署名サービスを活用するケースが増えている。

テンプレートの最低限の構成

雇用契約書(兼 労働条件通知書)

使用者:〇〇株式会社
代表者:〇〇〇〇

以下の労働条件で雇用契約を締結します。

1.契約期間
2.就業場所・業務内容(変更の範囲含む)
3.始業・終業時刻・休憩・休日
4.時間外労働の有無
5.賃金(基本給、各種手当、控除、締日、支払日)
6.昇給・賞与
7.退職・解雇に関する事項
8.社会保険の加入状況
(有期の場合のみ)
9.契約更新の有無・判断基準
10.更新上限(ある場合)
11.無期転換に関する事項

上記の通り合意しました。
 〇〇年〇月〇日
 
使用者署名捺印:
労働者署名捺印:

まとめ

2024年4月以降、雇用契約書(労働条件通知書)に記載すべき事項が増えた。とくに「就業場所・業務の変更の範囲」と、有期雇用の「更新上限・無期転換に関する事項」は新たに必須となった項目だ。

既存のテンプレートをそのまま使い続けている企業は、早急に見直しが必要だ。記載漏れが発覚した場合、個別紛争に発展するリスクがある。


本記事は2026年4月時点の法令に基づいています。労働基準法等の改正により、記載内容が変わる場合があります。個別の雇用契約書の作成・確認については、社会保険労務士または弁護士へのご相談をお勧めします。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。