処遇改善加算2026年6月改定|新区分Iロ・IIロの要件と6区分の加算率一覧

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処遇改善加算2026年6月改定|新区分Iロ・IIロの要件と6区分の加算率一覧
目次

最終更新日: 2026年8月31日

2025年11月の閣議決定「強い経済を実現する総合経済対策」を受けた介護報酬臨時改定が、2026年6月1日に施行された。改定率は+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)。従来4区分であった介護職員等処遇改善加算は、生産性向上・協働化に取り組む事業所を上乗せ評価するIロ・IIロの2区分を新設し、計6区分体制に拡充された。さらに、訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等への対象拡大や、介護従事者全体への月額1.0万円の賃上げが盛り込まれた。改定に伴う届出の特例期限(2026年4月15日・6月15日)はいずれも経過しているため、これから算定を始める事業所は通常の期限(算定を開始する月の前々月の末日)に戻る。本記事では、新区分の要件体系・全サービスの加算率一覧・現時点での届出期限・移行パターンを整理する。


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2026年臨時改定の経緯と全体像

改定に至る政策プロセス

2026年6月施行の介護報酬臨時改定は、介護人材の確保・処遇改善を目的とした緊急的な措置として実施されるものである。同時期には障害福祉サービスの処遇改善加算も改定されており、福祉業界全体での賃上げが構造化される動きとなっている。閣議決定から施行までの政策プロセスは以下のとおりである。

時期 事項 概要
2025年11月21日 閣議決定 「強い経済を実現する総合経済対策」において、介護職員の処遇改善を含む介護報酬の臨時改定を決定
2025年12月23日 審議報告とりまとめ 社会保障審議会介護給付費分科会にて審議報告を取りまとめ
2026年1月16日 諮問書・報酬改正案提示 第253回介護給付費分科会において諮問書及び具体的な報酬改正案を提示
2026年2月10日 介護保険最新情報Vol.1469 計画書提出期限の特例変更に関する通知を発出
2026年3月13日 告示・通知公布(済) 改正告示(令和8年厚生労働省告示第87号)及び老発0313第6号(介護職員等処遇改善加算の基本的考え方・事務処理手順・様式例)が公布された
2026年6月1日 施行日 新加算体系による介護報酬の算定開始

根拠: 「令和7年度補正予算に関する閣議決定」(2025年11月21日)、社会保障審議会介護給付費分科会「令和8年度介護報酬臨時改定に係る審議報告」(2025年12月23日)、改正告示(令和8年厚生労働省告示第87号)、老発0313第6号(令和8年3月13日)

改定率の内訳

今回の臨時改定における改定率の構成は以下のとおりである。

項目 改定率
改定率(全体) +2.03%
うち処遇改善分 +1.95%
うち食費基準費用額引上げ分 +0.09%

注: 内訳を単純に足すと+2.04%となり全体の+2.03%と0.01pt合わないが、これは厚生労働省の公表値どおりである。「令和8年度介護報酬改定の概要」は「改定率は+2.03%(処遇改善分+1.95%、基準費用額(食費)の引上げ分+0.09%)」と記載しており、内訳側の端数処理による差と考えられる。

処遇改善分の+1.95%は、2024年度改定における+0.98%を大幅に上回る水準であり、介護従事者の賃金引上げに対する政策的な重点配分が示されている。なお、食費基準費用額の見直しについては2026年8月1日に施行された(基準費用額は日額1,445円→1,545円。令和8年厚生労働省告示第88号、介護保険最新情報Vol.1506)。

賃上げ目標と期待される効果

本改定における賃上げ目標は、介護従事者全体の底上げに加え、生産性向上に取り組む事業所の介護職員に対する上乗せを組み合わせた構造となっている。

項目 月額 賃上げ率
介護従事者全体の賃上げ 月額1.0万円 3.3%
生産性向上上乗せ分(介護職員) 月額0.7万円 2.4%
定期昇給分 月額0.2万円
合計最大(介護職員) 月額1.9万円 6.3%

注目点: 生産性向上・協働化の取組を行う事業所の介護職員は、基礎的な賃上げ(月額1.0万円)に加えて上乗せ分(月額0.7万円)を受けられる。厚生労働省はこれに定期昇給分(月額0.2万円)を加えた合計として、最大で月額1.9万円(年間約22.8万円)の賃上げが実現するとしている(1.0万円+0.7万円+0.2万円=1.9万円)。上乗せ分は、新設のIロ・IIロ区分の取得を通じて実現される仕組みである。

なお、表中の%(3.3%・2.4%・6.3%)は「大臣折衝事項」に記載された表記をそのまま掲げたものであり、母数となる賃金額は公表されていない。職員説明用の資料に転用する際は、金額(月額1.0万円等)を主として示すほうが誤解が少ない。


新しい6区分体系の全容

従来4区分から6区分への拡充

2024年度改定で一本化されたI~IV の4区分体制に、生産性向上・協働化の取組を上乗せ評価するIロ(最上位)およびIIロの2区分を新設し、計6区分に拡充された。従来のI~IVはそれぞれIイ・IIイ・III・IVとして継続する。

新区分 位置づけ 従来区分との関係
Iロ(新設・最上位) 従来Iの全要件 + 生産性向上・協働化の取組 従来Iの上位区分として新設
Iイ 従来のIに相当 名称変更(要件は同一)
IIロ(新設) 従来IIの全要件 + 生産性向上・協働化の取組 従来IIの上位区分として新設
IIイ 従来のIIに相当 名称変更(要件は同一)
III 従来のIIIに相当 変更なし
IV 従来のIVに相当 変更なし

ポイント: Iロ・IIロの「ロ」は、生産性向上・協働化要件の充足を示す上乗せ区分である。旧IとIイ、旧IIとIIイは要件が同一であり(老発0313第6号 別紙1 表2-1と表2-2を比較すると、Iイは旧Iに令和8年度特例要件の欄が加わっただけで、それ以外の○の付き方が一致する)、上位のロ区分を目指さない限り新たに充足すべき要件はない。一方、Iロ・IIロへ上がるには特例要件を充足したうえで変更届出書(別紙様式4)の提出が必要であり、要件を満たすだけでは移行しない。

なお、処遇改善計画書の提出自体は毎年度必要である(同通知 4⑵は「当該事業年度において初めて処遇改善加算を算定する月の前々月の末日まで」と定める)。令和8年度は、4月・5月分を算定する事業者が6月以降分とあわせて4月15日までに提出する扱いだった。

Iロ・IIロの生産性向上・協働化要件(特例要件ア~ウ)

新区分Iロ・IIロの取得にあたっては、従来のI又はIIの要件に加え、以下の特例要件(ア~ウ)のいずれかを充足する必要がある。

特例要件 内容 対象サービス 誓約での代替
ケアプランデータ連携システムの利用 + 実績報告 訪問系・通所系(別紙1表1-2)および多機能系・短期入所系(表1-3)
生産性向上推進体制加算(I又はII)の取得 + 実績報告 多機能系・短期入所系(表1-3)および施設系・居住系(表1-4)
社会福祉連携推進法人への所属 全サービス共通 不可

出典: 老発0313第6号(令和8年3月13日)3⑴⑧。アは「別紙1表1-2及び表1-3に掲げる介護サービス事業所等に限る」、イは「別紙1表1-3及び表1-4に掲げる介護サービス事業所等に限る」と定められている。ウには対象サービスの限定がない。

自事業所がどの要件を選べるかは、別紙1のどの表に載っているかで決まる。主要サービスの対応は次のとおりである。

サービス 該当する表 選べる特例要件
訪問介護/夜間対応型訪問介護/定期巡回・随時対応型訪問介護看護/訪問入浴介護/通所介護/地域密着型通所介護/通所リハビリテーション/認知症対応型通所介護 表1-2 ア・ウ
小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護/短期入所生活介護/短期入所療養介護(老健・病院等・医療院) 表1-3 ア・イ・ウ
特定施設入居者生活介護/地域密着型特定施設入居者生活介護/認知症対応型共同生活介護(グループホーム)/介護老人福祉施設/地域密着型介護老人福祉施設/介護老人保健施設/介護医療院 表1-4 イ・ウ
訪問看護/訪問リハビリテーション/居宅介護支援/介護予防支援 表1-5 別建て(後述の「新規加算対象サービスの加算率」を参照)

注: 表1-3のサービス(小多機・看多機・短期入所系)だけがアとイのどちらを選んでもよい。介護予防サービスも本体サービスと同じ表に掲げられている。

各特例要件の詳細は以下のとおりである。

特例要件ア:ケアプランデータ連携システムの活用

ケアプランデータ連携システム(国民健康保険中央会が運営)に加入し、居宅介護支援事業所等との間でケアプランデータの電子的な連携を実施していることが要件となる。加入するだけでは足りず「利用していること」が必要であり、実績報告書に利用実績を記載する(令和8年度Q&A 第1版 問8-2)。

厚生労働省が同等の機能とセキュリティを有すると認めたシステムでも要件を満たす。令和8年3月13日現在の認定システムは、カナミッククラウドサービス(カナミックネットワーク)、ケアプランデータ連携サービス(富士通四国インフォテック)、「でん伝虫」データ連携サービス(コンダクト)、まめネット ケアプラン交換サービス(しまね医療情報ネットワーク協会)の4件である(同Q&A 問8-1。最新の認定状況は厚生労働省ページで確認されたい)。

特例要件イ:生産性向上推進体制加算の取得

生産性向上推進体制加算I又はIIを取得していることが要件となる。同加算は、介護ロボット・ICTの活用やタスクシェアリング等による業務効率化の取組を評価するものであり、取得に加えて実績報告書での報告が必要である。

特例要件ウ:社会福祉連携推進法人への所属

全サービスに共通する要件として、社会福祉連携推進法人(社会福祉法第128条第1号イ)に所属していることが要件となる。人材確保・育成や物資の共同調達等、法人間の協働による効率化を評価するものである。同制度は2020年(令和2年)の社会福祉法改正(令和2年法律第52号「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」)で創設され、2022年4月1日に施行された。

【注意】ウだけは誓約が使えない。 令和8年度の経過措置(後述)で誓約による算定が認められるのはア・イの2つだけである。老発0313第6号は、ア・イについては「ただし……誓約した場合は、処遇改善加算の申請時点から本要件を満たしているものとして取り扱う」と定めているが、ウには同様の規定がない。ウのルートを選ぶ場合は、申請時点で実際に社会福祉連携推進法人に所属している必要がある。誓約できると誤認したままIロ・IIロを算定すると、要件未充足として加算の返還対象となる。

令和8年度の経過措置(計画書での誓約)

令和8年度(2026年度)中に限り、特例要件ア・イの充足が申請時点で間に合わない場合でも、年度内に要件を充足する旨を誓約することでIロ・IIロの算定が認められる。システム導入や加算取得の準備に一定の期間を要することを考慮した配慮措置である。

項目 内容
対象となる要件 特例要件はア・イのみ(ウは対象外)。加えて、特例要件を満たす事業所に限りキャリアパス要件I〜IVと職場環境等要件も誓約可(下記参照)
誓約の方法 「誓約書」という独立した様式はない。処遇改善計画書(別紙様式2)の該当欄にチェックを入れる形で誓約する
要件充足の期限 令和9年(2027年)3月末まで
報告 令和8年度の実績報告書(別紙様式3)で要件充足を報告する。提出期日は通常の場合令和9年7月31日
注意点 誓約に反して年度末までに要件を充足できなかった場合、加算の返還が生じうる

誓約はキャリアパス要件・職場環境等要件にも使える(重要)。 令和8年度の誓約制度は特例要件ア・イだけのものではない。令和8年度特例要件を満たす(誓約を含む)事業所に限り、キャリアパス要件I〜IVおよび職場環境等要件についても、令和9年3月末までに整備する旨を処遇改善計画書で誓約すれば、申請時点から要件を満たしているものとして取り扱われる(老発0313第6号 3⑴②〜⑦。各要件の末尾に「令和8年度においては、処遇改善加算の申請時点において、⑧の令和8年度特例要件を満たす介護サービス事業所等に限り……誓約した場合は……満たしているものとして取り扱う」との規定が置かれている)。

これが、後述するIII・IVからIIロへの「一気跳躍」を可能にしている仕組みである。逆に言えば、特例要件を満たさない(誓約もしない)事業所は、キャリアパス要件の誓約も使えない(同通知 3⑴②〜⑦の「⑧の令和8年度特例要件を満たす介護サービス事業所等に限り」という限定。令和8年度Q&A 問8-3も同旨)。いずれの誓約も、令和9年3月末までに実際に整備し、実績報告書で報告しなければ返還対象となる。

審査で何を求められるか。 令和8年度Q&A(第1版)問8-4は、特例要件の審査に当たって「一律に資料を提出することは求めない」としている。ただし根拠資料を2年間保存し、指定権者の求めがあれば速やかに提出する必要がある。想定される根拠資料は、アがケアプランデータ連携システムの使用画面のスクリーンショット(データの送信・受信の記録がわかるもの)、イが生産性向上推進体制加算の体制届出、ウが社会福祉連携推進認定申請書である。「業務量が何時間削減されたか」といった効果測定データは、特例要件そのものの提出物としては求められていない。


加算率一覧(全サービス・6区分対応)

主要サービスの加算率比較表

以下は、2026年6月サービス提供分からの主要サービスにおける加算率一覧である。Iロ・IIロは、それぞれIイ・IIイに対して生産性向上の上乗せ分が加算された率となっている。

出典: 第253回社会保障審議会介護給付費分科会(2026年1月16日)諮問書別添

サービス Iイ Iロ IIイ IIロ III IV
訪問介護 27.0% 28.7% 24.9% 26.6% 20.7% 17.0%
通所介護 11.1% 12.0% 10.9% 11.8% 9.9% 8.3%
介護老人福祉施設(特養) 16.3% 17.6% 15.9% 17.2% 13.6% 11.3%
介護老人保健施設(老健) 9.0% 9.7% 8.6% 9.3% 6.9% 5.9%
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 21.0% 22.8% 20.2% 22.0% 17.9% 14.9%
認知症対応型通所介護 21.6% 23.6% 20.9% 22.9% 18.5% 15.7%
小規模多機能型居宅介護 17.1% 18.6% 16.8% 18.3% 15.6% 12.8%
看護小規模多機能型居宅介護 16.8% 17.7% 16.5% 17.4% 15.3% 12.5%
特定施設入居者生活介護 14.8% 15.9% 14.2% 15.3% 13.0% 10.8%
訪問入浴介護 12.2% 13.3% 11.6% 12.7% 10.1% 8.5%
通所リハビリテーション 10.3% 11.1% 10.0% 10.8% 8.3% 7.0%
介護医療院 6.2% 6.6% 5.8% 6.2% 4.7% 4.0%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 26.7% 27.8% 24.6% 25.7% 20.4% 16.7%
夜間対応型訪問介護 26.7% 27.8% 24.6% 25.7% 20.4% 16.7%
地域密着型通所介護 11.7% 12.7% 11.5% 12.5% 10.5% 8.9%

注: 介護予防サービスについても上表に準じた加算率が設定されている。詳細は令和8年厚生労働省告示第87号の別紙、および老発0313第6号 別紙1 表1-2〜表1-5で確認されたい。

加算率を乗じる対象: サービス別の基本サービス費に各種加算減算(処遇改善加算を除く)を加えた1か月当たりの総単位数に、加算率を乗じる。処遇改善加算は区分支給限度基準額の算定対象から除外される(老発0313第6号 2⑴。原文「なお、処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外される。」)。したがってケアプラン上の限度額管理には影響しないが、介護報酬の一部であるため利用者の自己負担(1〜3割)には反映される。

IIロがIイを上回るサービスがある: 通所介護(Iイ11.1%<IIロ11.8%)、特養(16.3%<17.2%)、老健(9.0%<9.3%)、グループホーム(21.0%<22.0%)など多くのサービスで、IIロの加算率がIイを上回る。一方、訪問介護(27.0%>26.6%)、定期巡回・夜間対応型(26.7%>25.7%)の3サービスでは逆になる。介護医療院はIイ・IIロともに6.2%で同値である。前者に該当する事業所は、IイとIIイを分けるキャリアパス要件V(介護福祉士等の配置要件。次項の表を参照)を満たしてIイを目指すより、特例要件を充足してIIロを取る方が加算率が高くなる。自事業所がどちらの型かを表で確認されたい。

区分ごとの算定要件(令和8年6月以降)

各区分の要件は次のとおりである(老発0313第6号 別紙1 表2-2。既存の対象サービス=表1-2〜1-4に適用)。

要件 Iイ Iロ IIイ IIロ III IV
月額賃金改善要件(加算IV相当額の1/2以上を月額賃金で配分)
キャリアパス要件I(任用要件・賃金体系の整備等)
キャリアパス要件II(研修の実施等)
キャリアパス要件III(昇給の仕組みの整備等)
キャリアパス要件IV(改善後の賃金要件・年額440万円が1人以上)
キャリアパス要件V(介護福祉士等の配置要件)
職場環境等要件:5区分(入職促進/資質向上・キャリアアップ/両立支援・多様な働き方/腰痛を含む心身の健康管理/やりがい・働きがい)ごとの取組数 2以上 2以上 2以上 2以上 1以上 1以上
職場環境等要件:「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の取組数 3以上※ 3以上※ 3以上※ 3以上※ 2以上 2以上
職場環境等要件:見える化(情報公表制度またはホームページで取組項目と内容を公表)
令和8年度特例要件(生産性向上や協働化に係る取組)

※ 生産性向上の3以上の取組には、⑰又は⑱(現場の課題の見える化等)のいずれかが必須。ただし1法人あたり1事業所のみを運営する小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば生産性向上の要件を満たすものとされる(老発0313第6号 3⑴⑦)。

見える化要件は、介護サービスの情報公表制度で処遇改善加算の算定状況を報告し、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目とその具体的な内容を「事業所の特色」欄に記載することをいう。情報公表制度の報告対象でない場合は自社ホームページ等で公表する。

IイとIIイの違いはキャリアパス要件Vだけである。キャリアパス要件Vは介護福祉士等の配置要件で、サービス別に指定された加算(訪問介護なら特定事業所加算I又はII、通所介護ならサービス提供体制強化加算I又はII等)を算定していることで担保される(同通知 別紙1 表3)。そしてIイとIロ、IIイとIIロの違いは令和8年度特例要件の有無だけである。

Iイ→Iロの上乗せ幅分析

Iイに対するIロの上乗せ幅をサービス別に確認すると、以下のとおりとなる。

サービス Iイ Iロ 上乗せ幅
訪問介護 27.0% 28.7% +1.7pt
通所介護 11.1% 12.0% +0.9pt
特養 16.3% 17.6% +1.3pt
老健 9.0% 9.7% +0.7pt
グループホーム 21.0% 22.8% +1.8pt
認知症対応型通所 21.6% 23.6% +2.0pt
小規模多機能 17.1% 18.6% +1.5pt

実務上の示唆: 上乗せ幅は認知症対応型通所介護の+2.0ポイントが最大であり、訪問介護(+1.7pt)やグループホーム(+1.8pt)など人件費比率の高いサービスほど上乗せ幅が大きい傾向にある。年間介護報酬総額が5,000万円の通所介護事業所の場合、Iイ→Iロへの移行により年間約45万円の加算増が見込まれる計算である。

新規加算対象サービスの加算率

本改定では、従来は処遇改善加算の対象外であった以下のサービスが新たに加算対象に追加された。

サービス 加算率 備考
訪問看護 1.8% 従来の処遇改善加算対象外から新規追加
訪問リハビリテーション 1.5% 同上
居宅介護支援・介護予防支援 2.1% 同上(ケアマネジメントが対象に)

この3類型(老発0313第6号 別紙1 表1-5)には6区分の別がなく、加算率は一本である。 算定要件も既存サービスとは別建てで、次の①②のいずれかを満たせばよい。

ルート 要件
① 令和8年度特例要件 次のいずれか。ケアプランデータ連携システムを利用していること(誓約可)/所属法人が社会福祉連携推進法人に所属していること(誓約不可)
② 処遇改善加算IVの取得に準ずる要件 キャリアパス要件I(任用要件・賃金体系の整備等)、キャリアパス要件II(研修の実施等)、職場環境等要件(区分ごとに1以上の取組。生産性向上は2以上)をすべて満たすこと。申請時点では令和8年度中の対応の誓約でも可

注: 表1-5のサービスの①は、既存サービスの特例要件で言えばアとウに相当し、イ(生産性向上推進体制加算の取得)は選択肢に含まれない。訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所が特例要件ルートを選ぶ場合、実質的にケアプランデータ連携システムか社会福祉連携推進法人の二択となる。

重要な変更点: 居宅介護支援(ケアマネジメント)への処遇改善加算の適用は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の処遇改善を求める声に応えた措置である。2024年度改定時に対象外とされていた居宅介護支援・介護予防支援・訪問看護・訪問リハビリテーションが、2026年6月から対象化された。ただし居宅療養管理指導は2026年6月以降も対象外のままである(ほかに福祉用具貸与・特定福祉用具販売も対象外。老発0313第6号 別紙1 表1-7「加算算定非対象サービス(令和8年6月以降)」)。なお、2026年6月改定では診療報酬・介護報酬と同時に調剤報酬も改定された。在宅患者への訪問服薬指導や薬局との連携に影響する変更点は調剤報酬改定2026年 わかりやすくまとめで詳しく解説している。


対象者の拡大:介護職員から介護従事者全般へ

本改定では、賃金改善の対象が「介護職員」から「介護従事者全般」に拡大された。看護職員・リハビリ専門職・介護支援専門員(ケアマネジャー)も明示的に対象化される。

項目 従来(2024年度改定) 2026年6月改定後
主たる対象 介護職員(他職種への配分も可能だが介護職員が基本) 介護従事者全般
含まれる職種 介護職員を基本とし、事業所判断で看護師・事務職員等にも配分可 看護職員、リハビリ専門職、ケアマネジャー等を明示的に対象化

配分ルールの詳細(基本給等への2/3充当義務、配分計画の立て方、記入例等)については「処遇改善加算の計画書作成・届出ガイド」で解説している。


現行区分からの移行パターン

移行パターン一覧

現在の取得区分に応じた移行パターンは以下のとおりである。

現在の区分 自動移行先 上位移行先 追加で必要な対応
I Iイ(自動) Iロ 特例要件ア~ウのいずれかを充足
II IIイ(自動) IIロ 特例要件ア~ウのいずれかを充足
III III(継続) IIロ(一気跳躍可) 従来IIの要件充足 + 特例要件。令和8年度中はア・イの誓約でも可
IV IV(継続) IIロ(一気跳躍可) 従来IIの要件充足 + 特例要件。令和8年度中はア・イの誓約でも可
未算定 新規取得 III・IVを新規に取るだけなら誓約は不要(要件を満たせばよい)。Iロ・IIロを狙う場合は計画書での誓約により特例要件ア・イの充足を猶予できる

注: 「令和8年度中はア・イの誓約でも可」とあるのは特例要件のうちア(ケアプランデータ連携システム)とイ(生産性向上推進体制加算)に限られる。ウ(社会福祉連携推進法人への所属)に誓約の規定はない。また、IIイ・IIロにはキャリアパス要件IVのほか職場環境等要件の格上げ(区分ごとに2以上の取組+見える化)も必要である(老発0313第6号 別紙1 表2-2)。

移行パターン別の実務対応

パターン1:現在I → Iイ(自動移行)→ Iロ(上位移行)

現在Iを取得している事業所は、特段の届出なくIイに自動移行する。さらにIロへの上位移行を希望する場合は、特例要件ア~ウのいずれかを充足したうえで変更届を提出する。

ステップ 対応内容 期限目安
1. Iイへの移行 旧IとIイは要件が同一。Iイに留まるなら新たに充足すべき要件はない 2026年6月1日(済)
2. 特例要件の確認 ア(データ連携)、イ(生産性向上加算)、ウ(連携法人)のいずれかを確認 変更届の提出前まで
3. 変更届の提出 Iロへの変更届(別紙様式4)と別紙様式2-1〜2-3を指定権者に提出 居宅系サービスは変更後の算定を開始する月の前月15日、施設系サービスは当月1日まで(老発0313第6号 5⑴)

注: 既に加算を算定している事業所が区分を変更する場合の期限は、新たに算定を始める場合の計画書の期限(前々月の末日)とは別建てである。区分変更は変更届出書の期限(居宅系=前月15日、施設系=当月1日)に従う。たとえば居宅系サービスで11月分からIロを算定したい場合、期限は10月15日である。

パターン2:現在III/IV → IIロへの一気跳躍

現在IIIまたはIVを取得している事業所が、従来IIの要件と特例要件の双方を充足すれば、中間区分を経ずにIIロへの移行が可能である。特に、令和8年度中は特例要件ア・イについて誓約での対応も認められるため、要件整備と並行して上位区分を算定できる。

現在の区分 追加で必要な要件 誓約での対応
III → IIロ キャリアパス要件IVの充足 + 職場環境等要件の格上げ + 特例要件 ア・イは可能(令和8年度中)。ウは不可
IV → IIロ キャリアパス要件III・IVの充足 + 職場環境等要件の格上げ + 特例要件 ア・イは可能(令和8年度中)。ウは不可

パターン3:未算定 → 新規取得

これまで処遇改善加算を算定していなかった事業所も、年度途中から新規に加算を取得できる。III・IVを取るだけであれば誓約は不要で、キャリアパス要件・職場環境等要件を実際に満たせばよい。Iロ・IIロを狙う場合に限り、処遇改善計画書での誓約により特例要件ア・イの充足を令和9年3月末まで猶予できる。まずIV又はIIIから段階的に取得し、要件整備を進めながら上位区分を目指す方法が現実的である。


届出スケジュールと実務対応

いま届け出る場合の期限(2026年8月31日時点)

改定に伴う2つの特例期限(2026年4月15日・6月15日)はいずれも経過している。 これから処遇改善加算を算定し始める事業所、および算定区分を変更する事業所は、通常の期限に従う。

手続 期限
処遇改善計画書(別紙様式2) 当該事業年度において初めて処遇改善加算を算定する月の前々月の末日まで(老発0313第6号 4⑵)
体制届 算定を開始する月について、居宅系サービスは前月15日、施設系サービスは当月1日(同通知 4⑴)
区分変更(Iイ→Iロ等) 変更届出書(別紙様式4)と別紙様式2-1〜2-3を提出。期限は居宅系サービスが変更後の算定を開始する月の前月15日、施設系サービスが当月1日(老発0313第6号 5⑴)。新規算定時の計画書の期限(前々月の末日)とは別建て
令和8年度の実績報告書(別紙様式3) 通常の場合令和9年(2027年)7月31日まで(同通知 4⑶。令和9年3月分の加算の支払が令和9年5月であることによる)

「居宅系サービス」と「施設系サービス」の分かれ目に注意。 体制届・変更届出書の期限を決めるこの区分は、老発0313第6号 4⑴が次のように定義している。施設系サービスには「短期入所生活介護、短期入所療養介護、(地域密着型)特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設」が含まれる。つまりグループホーム・特定施設・ショートステイは、居宅サービスに分類される種別であっても、この期限の判定では「施設系」として扱われ、期日は算定開始月の1日となる。居宅系サービスには居宅介護支援・介護予防支援が含まれる。

今年度まだ加算を算定していない事業所が新たに算定を始める場合、計画書の提出期限は次のようになる。

算定を始めたい月 処遇改善計画書の提出期限
2026年11月分から 2026年9月30日まで
2026年12月分から 2026年10月31日まで
2027年1月分から 2026年11月30日まで
2027年2月分から 2026年12月31日まで

既に算定していて区分だけ上げる事業所(Iイ→Iロ等)は、変更届出書の期限に従う。新規算定より締切が遅い点に注意されたい。

変更後の区分で算定を始めたい月 変更届出書の提出期限(居宅系) 同(施設系)
2026年11月分から 2026年10月15日まで 2026年11月1日まで
2026年12月分から 2026年11月15日まで 2026年12月1日まで
2027年1月分から 2026年12月15日まで 2027年1月1日まで

経過した特例期限の内容(記録): 介護保険最新情報Vol.1469(2026年2月10日発出)および老発0313第6号は、改定に伴う特例として次の2つを定めていた。①2026年4月・5月分の加算を算定する事業者は、6月以降の算定に係る計画とあわせて2026年4月15日までに提出。②加算新設事業所のみが所属する事業者など、4月・5月分を算定しない事業者が6月以降に算定する場合は2026年6月15日まで。6月15日は「4月・5月分を算定しない事業者」に限った期限であり、既に加算を算定している事業者が6月から新区分に移るための期限ではなかった点に注意されたい。

【注意】 提出期限に間に合わないと、算定開始が1か月単位で後ろにずれる。処遇改善加算は総単位数に加算率を乗じる仕組みのため、訪問介護でIロを算定する事業所なら1か月の遅れがそのまま月間報酬の28.7%分の取りこぼしになる。書類不備による差戻しを見込み、期限の2週間前を自主締切として設定するとよい。

なお、都道府県知事等は「確認の事務に要する時間が十分確保できる場合等において」計画書の提出期日を延長して差し支えないとされている(老発0313第6号 4⑵)。延長の可否は指定権者の判断であるため、期限に間に合わないおそれがある場合は早めに相談されたい。

届出の準備チェックリスト

No. 確認事項 対応状況
1 現在の加算区分と新区分の対応(I→Iイ、II→IIイ。要件は同一)を確認したか
2 Iロ・IIロへの上位移行を検討する場合、特例要件ア~ウのいずれを充足するか決定したか
3 自事業所が特例要件ア・イのどちらを選べるか(別紙1表1-2〜1-4のどれに属するか)を確認したか
4 ケアプランデータ連携システムを「加入」だけでなく「利用」する体制を整えたか(特例要件アの場合)
5 生産性向上推進体制加算の取得状況を確認したか(特例要件イの場合)
6 社会福祉連携推進法人への加入状況を確認したか(特例要件ウの場合。誓約は使えない
7 令和8年度の様式(別紙様式2)を厚生労働省ページから入手したか
8 賃金改善額の試算(新加算率に基づく)を実施したか
9 基本給等への充当割合(2/3以上)を満たす配分計画を策定したか
10 対象職員の範囲(介護従事者全般への拡大を踏まえた配分方針)を決定したか
11 誓約による取得を予定する場合、令和9年3月末までの要件充足スケジュールを策定したか
12 特例要件の根拠資料(スクリーンショット・体制届出・社会福祉連携推進認定申請書)の保管体制を整えたか(保存期間2年)

届出にあたっての留意事項

留意事項 詳細
届出先 事業所の指定権者(都道府県知事、政令指定都市の長、中核市の長。地域密着型サービス等は市町村長)
届出方法 郵送・窓口持参・電子申請(自治体により異なる)
算定の開始時期 処遇改善計画書を算定を開始する月の前々月の末日までに提出する。例えば9月30日までに提出すれば11月分から算定できる
複数事業所の一括届出 同一法人が運営する複数事業所について、事業者(法人)単位で一括して計画書・実績報告書を作成して差し支えない。ただし提出先は各事業所の指定権者ごと
変更届 年度途中の区分変更は変更届(別紙様式4)の提出により対応可能
書類の保存 計画書・実績報告書と根拠資料を2年間保存する

2024年度改定との比較:何が変わったのか

加算率の変動比較

2024年度改定(一本化時)と2026年6月改定後の加算率を比較すると、全サービスにおいて引上げが実施されている。以下は主要サービスの最上位区分の比較である。

サービス 2024年度改定(I) 2026年改定(Iイ) 2026年改定(Iロ) 2024→Iロの上昇幅
訪問介護 24.5% 27.0% 28.7% +4.2pt
通所介護 9.2% 11.1% 12.0% +2.8pt
特養 14.0% 16.3% 17.6% +3.6pt
老健 7.5% 9.0% 9.7% +2.2pt
グループホーム 18.6% 21.0% 22.8% +4.2pt
介護医療院 5.1% 6.2% 6.6% +1.5pt

出典: 2024年度改定(=令和8年4月・5月適用分)の加算率は老発0313第6号 別紙1 表1-1、2026年改定分は同 表1-2〜表1-4による。

【実務ポイント】 2024年度改定時のI(旧最上位)から2026年改定のIロ(新最上位)への上昇幅は、サービスごとに大きく異なる。訪問介護は+4.2pt、グループホームも+4.2ptと突出して大きく、年間報酬総額1億円の訪問介護事業所であれば年間約420万円の加算増が見込まれる。上昇幅が最も小さいのは介護医療院の+1.5pt(5.1%→6.6%)、次いで老健の+2.2pt(7.5%→9.7%)である。各事業所の「2024年度加算額」と「2026年度Iロ取得時の加算額」の差分を一覧表にして経営層に提示し、生産性向上投資(ICT機器導入費等)との損益分岐点を明確にしておくと、投資判断の意思決定が迅速に進む。

なお、特例要件アの手段であるケアプランデータ連携システムは、「フリーパスキャンペーン」により現在は無料で利用できる(通常は年額21,000円/事業所)。国民健康保険中央会は同キャンペーンを「介護保険資格確認等Webサービス」への統合まで延長すると公表しており、統合は令和9年(2027年)1月を予定している。アを選ぶ場合の初期費用は、実質的にシステム導入・運用の社内工数が主となる。

ただしこの料金・キャンペーン・統合時期の情報は告示や通知ではなく運営者(国民健康保険中央会)の告知に基づくもので、2026年8月31日時点の確認である。変更されうるため、投資判断の前に同システムの公式サイトで最新の条件を確認されたい。

制度変更のポイント比較

比較項目 2024年度改定 2026年6月改定
加算区分数 4区分(I~IV)+ 経過措置V 6区分(Iロ・Iイ・IIロ・IIイ・III・IV)
生産性向上の評価 職場環境等要件の一項目として評価 独立した上乗せ区分(ロ区分)として評価
対象サービス 訪問看護・居宅介護支援は対象外 訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援が新規対象
配分対象 介護職員が基本(他職種にも配分可) 介護従事者全般を明示的に対象化
改定率(処遇改善分) +0.98% +1.95%
経過措置 加算V(14パターン、2025年3月末終了) 計画書での誓約による特例要件充足(令和8年度中。ア・イのみ)

今すぐやること:2026年8月時点の対応チェックリスト

すでに加算を算定していて、Iロ・IIロを目指す事業所

  • 自事業所が選べる特例要件を確認(管理者):別紙1表1-2のサービス(訪問介護・通所介護等)はアのみ、表1-4のサービス(特養・特定施設・グループホーム等)はイのみ、表1-3のサービス(小多機・看多機・短期入所系)はアとイの両方が選べる。ウ(社会福祉連携推進法人)は全サービス共通だが誓約が使えない
  • 変更届出書(別紙様式4)と別紙様式2-1〜2-3を準備(事務担当):提出期限は居宅系サービスが変更後の算定を開始する月の前月15日、施設系サービスが当月1日。居宅系で2026年11月分からIロを算定するなら2026年10月15日まで
  • 加算増額を試算(経理):現在の区分の加算率と、Iロ・IIロの加算率の差を年間介護報酬総額に乗じる。表「Iイ→Iロの上乗せ幅」を参照

まだ加算を算定していない事業所(訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援を含む)

  • 年度途中からの算定が可能(管理者):特例期限は経過しているが、通常の期限(算定開始月の前々月の末日)に間に合えば年度途中から算定できる
  • 令和8年度の様式(別紙様式2)を入手(事務担当):厚生労働省の処遇改善加算ページから入手する
  • 賃金改善計画の素案を策定(経理・人事):加算見込額を試算し、対象職種・配分方針(基本給vs手当)を決定する。基本給等への充当割合2/3以上の要件を満たす設計とする

誓約でIロ・IIロを取得済みの事業所

  • 令和9年3月末までに特例要件を充足(管理者):月次で進捗を管理し、未充足のリスクがあれば早期にIイ・IIイへの変更届を検討する。誓約に反して未充足のまま年度を終えると加算の返還対象となる。下位区分への変更も上位移行と同じ変更届出書(別紙様式4)・同じ期限(居宅系は前月15日、施設系は当月1日)で行う
  • 令和9年7月31日までに実績報告書を提出(事務担当):別紙様式3で要件充足を報告する
  • 根拠資料を保管(事務担当):ケアプランデータ連携システムの送受信画面のスクリーンショット、生産性向上推進体制加算の体制届出等を2年間保存する

FAQ:改定対応でよくある質問

Q1. 現在加算Iを取得していますが、自動的にIロになるのですか?

A. いいえ。現在のIに対応するのはIイであり、両者は要件が同一である。Iロへ上がるには、特例要件ア~ウのいずれかを追加で充足したうえで変更届出書を提出する必要がある。特例要件のうちア・イについては、充足が申請時点で間に合わない場合でも令和8年度中は計画書での誓約により算定が可能である。ウ(社会福祉連携推進法人への所属)に誓約の規定はなく、申請時点で実際に所属している必要がある。

Q2. 特例要件ア~ウのうち、どれが取得しやすいですか?

A. まず、自事業所がどの要件を選べるかを確認する必要がある。訪問介護・通所介護等(別紙1表1-2)はアのみ、特養・特定施設・グループホーム等(表1-4)はイのみ、小規模多機能・看護小規模多機能・短期入所系(表1-3)はアとイの両方が選べる。ウは全サービス共通である。

そのうえで、アを選べる事業所ではケアプランデータ連携システムが比較的取り組みやすい。現在は「フリーパスキャンペーン」により無料で利用できる(通常は年額21,000円/事業所)。イを選べる事業所で既に介護ロボット・ICTを導入している場合は生産性向上推進体制加算の取得が現実的である。社会福祉法人で既に連携推進法人に参加している場合はウが最も容易だが、誓約が使えないため、加入手続きが完了していることが前提となる。

Q3. 訪問看護ステーションですが、処遇改善加算が新たに算定できるようになったのですか?

A. そのとおりである。本改定により、訪問看護は2026年6月から処遇改善加算の対象サービスに追加され、加算率1.8%が設定された。訪問リハビリテーション(1.5%)、居宅介護支援・介護予防支援(2.1%)も同様である。

これらのサービスには6区分の別がなく加算率は一本で、要件も既存サービスとは別建てである。①令和8年度特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用〈誓約可〉または社会福祉連携推進法人への所属〈誓約不可〉)②処遇改善加算IVの取得に準ずる要件(キャリアパス要件I・IIと職場環境等要件をすべて満たす。申請時点では令和8年度中の対応の誓約でも可)のいずれかを満たせばよい。生産性向上推進体制加算のルートは選べない。

なお、居宅療養管理指導は2026年6月以降も加算の対象外である(福祉用具貸与・特定福祉用具販売も同様)。

Q4. 現在IIIですが、一気にIIロまで上げることは可能ですか?

A. 可能である。現在IIIの事業所が従来IIの要件(キャリアパス要件IVの充足、職場環境等要件の格上げ等)と特例要件を満たせば、中間区分を経ずにIIロへ移行できる。令和8年度中は特例要件ア・イについて誓約での対応も認められるため、要件整備と並行しての算定が可能である(ウは誓約不可)。ただし、誓約に反して令和9年3月末までに要件を充足できなかった場合は加算の返還が生じうるため、計画的な対応が必要である。

Q5. 2026年4月15日・6月15日という届出期限を過ぎてしまいました。もう算定できませんか?

A. 算定できる。2つの期限は改定に伴う特例であり、経過した現在は通常の期限に戻っている。処遇改善計画書を「当該事業年度において初めて処遇改善加算を算定する月の前々月の末日」までに提出すれば、年度途中からでも算定を開始できる(老発0313第6号 4⑵)。たとえば2026年11月分から算定したい場合は、2026年9月30日までに提出する。

なお、2つの特例期限の内容は次のとおりだった。4月15日は「2026年4月・5月分の加算を算定する事業者」が6月以降分とあわせて提出する期限、6月15日は「4月・5月分を算定しない事業者(加算新設事業所のみが所属する事業者など)」が6月以降分を提出する期限である。6月15日は既に加算を算定している事業者向けの期限ではなかった。

Q6. 令和8年度の計画書様式はどこで入手でき、何を準備すればよいですか?

A. 令和8年度の様式(別紙様式2)は、老発0313第6号(令和8年3月13日)とともに厚生労働省の令和8年度介護報酬改定ページで公表されている。あわせて以下の準備を進めておくことが望ましい。(1) 現在の加算区分と新区分への移行先の確認、(2) 自事業所が選べる特例要件(ア・イ・ウ)の特定と充足方針の決定、(3) 年間介護報酬総額の見込額と新加算率に基づく加算見込額の試算、(4) 賃金改善計画の素案策定(対象職種・配分方針の決定)、(5) キャリアパス要件・職場環境等要件の充足状況の再確認、(6) 特例要件の根拠資料(保存期間2年)の保管体制の整備。

Q7. 食費基準費用額の見直しとは何ですか?

A. 改定率+2.03%のうち+0.09%に相当する部分であり、施設入所者の食費に係る基準費用額の引上げである。2026年8月1日に施行された(処遇改善加算の施行は6月1日で、時期が異なる)。基準費用額(食費)は日額1,445円から1,545円へ100円引き上げられた。あわせて低所得者の負担限度額も見直され、利用者負担第3段階①は650円→680円、第3段階②は1,360円→1,420円となった(第1段階300円・第2段階390円は据置き)。根拠は令和8年厚生労働省告示第88号、介護保険最新情報Vol.1506(2026年5月29日)である。

Q8. この加算は利用者の自己負担に影響しますか?

A. 影響する。処遇改善加算は介護報酬の一部であるため、算定すれば利用者の自己負担(1〜3割)も加算分だけ増える。一方、処遇改善加算は区分支給限度基準額の算定対象から除外されるため(老発0313第6号 2⑴。原文「なお、処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外される。」)、ケアプラン上の限度額管理には影響しない。限度額いっぱいまでサービスを組んでいる利用者でも、加算によって限度額超過が生じることはない。


免責事項

本記事は、2026年8月31日時点の情報に基づく。2026年3月に公布された改正告示(令和8年厚生労働省告示第87号)及び通知(老発0313第6号、令和8年3月13日)、令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)、社会保障審議会介護給付費分科会の審議報告・諮問書等の公表資料に基づき作成した一般的な解説記事である。制度の細部は今後のQ&A追補等で補足される場合があるため、加算の届出・算定にあたっては、必ず最新の法令・通知及び所管の指定権者(都道府県・市町村等)の案内を確認されたい。本記事の内容に基づく届出・運用により生じた損害について、筆者及び運営者は一切の責任を負わない。個別の事案については、社会保険労務士や行政書士等の専門家に相談されることを推奨する。


参考資料・一次情報

本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

  1. 「強い経済を実現する総合経済対策」(2025年11月21日閣議決定)
  2. 社会保障審議会介護給付費分科会「令和8年度介護報酬臨時改定に係る審議報告」(2025年12月23日) — 厚生労働省
  3. 第253回社会保障審議会介護給付費分科会 諮問書・報酬改正案(2026年1月16日)
  4. 介護保険最新情報Vol.1469「処遇改善計画書提出期限の特例変更について」(2026年2月10日) — 厚生労働省
  5. 介護保険最新情報Vol.1474(2026年3月4日) — 厚生労働省(令和8年度介護報酬改定に関する通知)
  6. 介護職員の処遇改善:TOP・制度概要 — 厚生労働省
  7. 介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式 — 厚生労働省(計画書・実績報告書の様式と記入例)
  8. 社会保障審議会(介護給付費分科会) — 厚生労働省(審議報告・諮問書等の資料を掲載)
  9. 老発0405第6号「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年4月5日、2024年度改定時の基本通知)
  10. 厚生労働省告示第86号「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年、2024年度改定時の告示)
  11. 令和6年度介護報酬改定について — 厚生労働省
  12. 令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案(別紙1) — 厚生労働省(令和8年6月施行の報酬改定内容)
  13. 令和8年度介護報酬改定について — 厚生労働省(本改定の資料を一括して掲載)
  14. 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第87号) — 厚生労働省(本改定の根拠告示)
  15. 介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年3月13日 老発0313第6号) — 厚生労働省(加算率一覧・算定要件・提出期限の根拠通知。別紙1表1-1〜1-7、別紙1表2-1〜2-3を含む)
  16. 令和8年度介護報酬改定の概要 — 厚生労働省(改定率の内訳・賃上げ額・加算率一覧・食費基準費用額)
  17. 令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版) — 厚生労働省(令和8年度特例要件の審査・根拠資料の取扱い等)
  18. 介護保険最新情報Vol.1506「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について」(2026年5月29日) — 厚生労働省(食費基準費用額・負担限度額の見直し。令和8年厚生労働省告示第88号)
  19. ケアプランデータ連携システム ヘルプデスクサポートサイト — 国民健康保険中央会(利用料・フリーパスキャンペーン・介護WEBサービスへの統合予定)
JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。