最終更新日: 2026年2月
本記事では、施設基準の届出に必要な書類一覧、令和8年度改定に対応した届出スケジュール、定例報告(毎年7月1日報告)の準備手順、適時調査への対応、自主点検チェックリスト、ベースアップ評価料の拡充内容、物価対応料の新設、年間管理カレンダーまでを体系的に解説する。
令和8年度診療報酬改定シリーズ
– 改定の全体像と施設基準の基礎
– 急性期病院一般入院料の新設と再編
– 医療DX・電子的診療情報連携体制
– 届出手続き・定例報告・自主点検(本記事)
届出に必要な書類一覧
施設基準の届出には、以下の書類が必要である。
施設基準届出の必要書類一覧
| 書類 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 届出書(様式1) | 施設基準に係る届出書の本紙 | 共通様式 |
| 届出書添付書類(各様式) | 各施設基準に対応した個別の添付書類 | 施設基準ごとに指定された様式 |
| 勤務実績表 | 看護職員等の勤務実績(直近1か月分) | 入院基本料等の届出に必要 |
| 平面図 | 病棟・病室等の配置図 | 面積要件がある場合 |
| 保険医登録票の写し | 常勤医師等の保険医登録の確認 | 人員配置要件がある場合 |
| 研修修了証の写し | 所定の研修を修了した者の証明 | 研修要件がある場合 |
| 委員会等の設置規程 | 感染対策委員会等の設置を証する書類 | 委員会設置要件がある場合 |
| 実績報告書 | 過去の診療実績を示す書類 | 実績要件がある場合 |
| 賃金改善計画書 | ベースアップ評価料の届出に必要な賃金改善計画 | ベースアップ評価料の届出時 |
令和8年度改定に伴う届出スケジュール
令和8年度改定に対応するための推奨スケジュールは以下のとおりである。6月1日の施行日を逆算し、準備を進める必要がある。
| 時期 | 対応事項 | 留意点 |
|---|---|---|
| 2026年2月 | 中医協答申内容の確認、影響分析開始 | 既存届出への影響を早期に把握 |
| 2026年3月下旬 | 告示・通知の確認、届出様式の入手 | 最新様式を厚生労働省サイト等から入手 |
| 2026年4月 | 届出書類の作成開始、施設基準の棚卸し | 「新規」「要再届出」「変更」の区分を整理 |
| 2026年5月上旬 | 届出書類の完成・院内承認 | 遡及算定は原則不可のため期限管理が重要 |
| 2026年5月中旬 | 地方厚生局への届出提出 | 電子申請の場合はシステムの混雑に注意 |
| 2026年5月下旬 | 受理確認 | 不備の補正があれば速やかに対応 |
| 2026年6月1日 | 改定施行、新基準に基づく算定開始 | レセプトシステムの更新確認 |
重要: 改定で名称変更・要件変更があるものについて、経過措置がある項目でも「届出直しが必要」なものが混在する。告示後の通知を精査し、「新規届出」「再届出」「変更届」の区分を正確に把握することが不可欠である。改定率+3.09%の内訳や4つの基本方針、施設基準の定義・法令根拠の全体像については「令和8年度診療報酬改定の全体像と施設基準の基礎」を参照されたい。
経過措置の整理
令和6年度改定の経過措置(現状)
以下は令和6年度改定に伴う主要な経過措置の状況である。大半は既に期限が到来しているため、現時点での届出・算定は改定後の基準を全て満たす必要がある。
| 対象項目 | 期限 | 現状 |
|---|---|---|
| 急性期一般入院料(重症度割合) | 令和6年9月30日 | 終了 |
| 地域包括ケア病棟入院料(実績要件) | 令和6年9月30日 | 終了 |
| 看護職員処遇改善評価料 | 令和6年12月31日 | 終了 |
| 医療DX推進体制整備加算(電子処方箋) | 令和7年3月31日 | 終了 |
| 療養病棟入院基本料(注11経過措置型) | 令和7年5月31日 | 終了 |
| 医療DX推進体制整備加算(電子カルテ情報共有) | 令和8年5月31日 | 有効 |
令和8年度改定の経過措置(新設予定)
| 対象項目 | 経過措置の内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 電子的診療情報連携体制整備加算(電子カルテ情報共有) | 電子カルテ情報共有サービスの活用体制要件を猶予 | 令和9年(2027年)5月31日まで |
令和8年度改定の経過措置の全容は、2026年3月下旬の告示・通知の公布後に確定する。告示後速やかに内容を精査し、該当項目がないか確認すること。
ベースアップ評価料の拡充
対象職員の拡大
令和8年度改定では、ベースアップ評価料の対象職員が大幅に拡大される。従来は「医師・歯科医師を除く医療従事者」が主な対象であったが、新たに事務職員、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師、薬局の勤務薬剤師(40歳未満)・事務職員等が対象に加わる。
賃上げ目標率
| 対象区分 | 令和8・9年度の賃上げ目標 |
|---|---|
| 事務職員・看護補助者 | +5.7% |
| 看護職員、病院薬剤師、リハビリ職等の医療関係職種 | +3.2% |
| 40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師 | +3.2% |
外来・在宅ベースアップ評価料の変更
外来・在宅ベースアップ評価料(I)
| 項目 | 現行(~令和8年5月) | 令和8年6月~令和9年5月 | 令和9年6月~ |
|---|---|---|---|
| 初診時 | 6点 | 17点 | 34点 |
| 再診時 | 2点 | 引き上げ | さらに引き上げ |
| 対象職員 | 医師・歯科医師を除く医療従事者 | 事務職員・若手医師等を含む全職員に拡大 | 同左 |
注: 継続的に賃上げを実施している医療機関では、さらに高い点数(初診時23点→40点)が適用される。
外来・在宅ベースアップ評価料(II)
| 項目 | 現行 | 令和8年6月~令和9年5月 | 令和9年6月~ |
|---|---|---|---|
| 段階数 | ― | 12段階(初診時8~96点) | 24段階(初診時8~192点) |
| 対象職員 | 全ての医療従事者 | 同左 | 同左 |
入院ベースアップ評価料
| 項目 | 現行 | 令和8年6月~令和9年5月 | 令和9年6月~ |
|---|---|---|---|
| 段階数 | 165段階(1~165点) | 250段階(1~250点) | 500段階(1~500点) |
届出手続きの簡素化
令和8年度改定では、ベースアップ評価料の届出手続きが簡素化される。従来は煩雑な届出様式が課題とされていたが、対象職員の拡大に伴い、より簡便な届出様式への見直しが予定されている。
注意: ベースアップ評価料で得た収入は、基本給または毎月決まって支払われる手当の引上げに充てなければならない。一時金(賞与)への充当は認められていない点は現行制度と同様である。
物価対応料の新設
令和8年度改定では、2026年度・2027年度の物価上昇に段階的に対応するため、基本診療料に併せて算定可能な物価対応料が新設される。届出は不要であり、基本診療料を算定する全ての保険医療機関が自動的に算定可能である。
物価対応料の点数
| 区分 | 令和8年6月~令和9年5月 | 令和9年6月~ |
|---|---|---|
| 外来・在宅(初診時) | 2点 | 4点 |
| 外来・在宅(再診時等) | 2点 | 4点 |
| 外来・在宅(訪問診療時) | 3点 | 6点 |
| 入院(急性期A) | 66点 | 132点 |
| 入院(急性期一般1) | 58点 | 116点 |
ポイント: 物価対応料は届出不要であり、施設基準の新たな届出は不要である。ただし、レセプトへの記載方法については告示後の通知で示される予定のため、医事会計システムの対応準備が必要となる。
定例報告(毎年7月1日報告)
定例報告の趣旨と法的根拠
施設基準の届出を行った保険医療機関は、毎年7月1日現在の状況について定例報告を行う義務がある。これは、届出時だけでなく継続的に施設基準に適合していることを確認するための制度である。
法的根拠: 保医発0305第2号(令和6年3月5日)第1の4において、「届出を行った保険医療機関等は、毎年7月1日現在で届出書の記載事項について報告を行うものとする」と規定されている。
定例報告の提出スケジュール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準日 | 毎年7月1日現在 |
| 提出期限 | 毎年7月末日(地方厚生局により若干異なる場合がある) |
| 提出先 | 管轄の地方厚生(支)局 |
| 提出方法 | 郵送または電子届出(対応地域拡大中) |
| 対象 | 施設基準の届出を行っている全ての保険医療機関 |
定例報告の主な報告事項
定例報告で報告すべき主な事項は以下のとおりである。
| 報告事項 | 具体的内容 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 入院患者数 | 7月1日時点の入院患者数(病棟別) | 看護配置基準との整合性 |
| 看護職員数 | 常勤換算による看護職員数(病棟別) | 配置基準を満たしているか |
| 平均在院日数 | 直近3か月間の平均在院日数 | 基準値以内であるか |
| 重症度割合 | 重症度、医療・看護必要度の該当患者割合 | 基準値以上であるか |
| 医療安全体制 | 医療安全管理者の配置状況、研修実施状況 | 体制が維持されているか |
| 感染防止対策 | 感染対策チームの構成・活動状況 | 要件を満たしているか |
| 在宅復帰率 | 退院患者のうち在宅等に復帰した割合 | 基準値以上であるか |
重要: 定例報告の結果、施設基準に適合していないことが判明した場合は、速やかに変更届又は辞退届を提出しなければならない。報告を怠った場合や虚偽の報告を行った場合は、施設基準の取消し等の行政措置の対象となる。
定例報告に向けた準備スケジュール
定例報告を円滑に行うためには、以下のスケジュールで準備を進めることが推奨される。
| 時期 | 対応事項 | 担当 |
|---|---|---|
| 5月上旬 | 前年度の定例報告書類の確認、変更点の洗い出し | 医事課 |
| 5月中旬 | 各部署への報告データ収集依頼 | 医事課 |
| 6月上旬 | 看護配置数・重症度割合等の集計開始 | 看護部・医事課 |
| 6月中旬 | 報告書類の素案作成 | 医事課 |
| 6月下旬 | 全届出項目の適合性自主点検、報告書類の最終確認 | 医事課・各部門長 |
| 7月1日 | 基準日時点のデータ確定 | 医事課 |
| 7月上旬~中旬 | 報告書類の最終作成・院内承認 | 医事課・病院長 |
| 7月末日まで | 地方厚生局への提出 | 医事課 |
実務上のポイント: 令和8年度改定では6月1日施行と7月1日報告が近接するため、改定対応と定例報告の準備を同時並行で進める必要がある。年間を通じて届出状況の変更を記録する管理台帳を整備しておくことで、準備負担を大幅に軽減できる。
施設基準の適合性の自主点検
よくある不適合事例と対策
地方厚生局による適時調査(実地調査)では、施設基準の不適合が毎年一定数指摘されている。以下に、典型的な不適合事例とその対策を示す。
不適合事例の類型と対策表
| 類型 | 不適合の具体例 | 発生原因 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 人員配置の不足 | 看護職員の退職により配置基準を下回った | 退職・異動時の確認不足 | 月次での配置数モニタリング、採用計画の前倒し |
| 常勤要件の未充足 | 専従要件のある職員が他業務を兼務していた | 専従・専任の定義の誤解 | 専従要件の再確認、業務分掌の明確化 |
| 実績要件の未達 | 重症度、医療・看護必要度の該当割合が基準を下回った | 日々の評価・集計の遅れ | 毎日の必要度評価の実施、月次集計の徹底 |
| 研修要件の未充足 | 所定の研修を修了した者が不在となった | 異動・退職への備え不足 | 複数名の研修修了者を確保 |
| 設備要件の不備 | 必要な医療機器が故障中で使用不能 | 設備管理の不備 | 定期点検の実施、代替機器の確保 |
| 記録・帳簿の不備 | 委員会の議事録が作成されていなかった | 記録管理の形骸化 | 記録テンプレートの整備、記録担当者の指定 |
| 届出漏れ | 施設基準の変更が生じたにもかかわらず変更届が未提出 | 届出管理体制の不備 | 届出一覧の作成、変更時のチェックリスト運用 |
| 算定要件の誤り | 入院期間の計算誤りにより算定上限を超過 | 算定ルールの理解不足 | レセプトチェック体制の整備、定期的な院内研修 |
自主点検チェックリスト
保険医療機関が自ら行うべき定期的な点検項目を以下に示す。
月次点検項目
| 点検項目 | 確認内容 | 頻度 |
|---|---|---|
| 看護職員配置数 | 病棟別の常勤換算数が基準を満たしているか | 毎月 |
| 重症度、医療・看護必要度 | 該当患者割合が基準値以上であるか | 毎月 |
| 平均在院日数 | 直近3か月の平均値が基準値以内であるか | 毎月 |
| 在宅復帰率 | 直近6か月の実績が基準値以上であるか | 毎月 |
| 専従・専任職員の勤務状況 | 兼務が生じていないか | 毎月 |
| 委員会の開催状況 | 所定の頻度で開催されているか | 毎月 |
年次点検項目
| 点検項目 | 確認内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 全届出項目の網羅的確認 | 全ての届出施設基準の適合状況を確認 | 6月(7月報告前) |
| 研修修了者の在籍状況 | 研修要件のある項目について修了者が在籍しているか | 6月 |
| 設備・機器の点検 | 施設基準で求められる設備が使用可能な状態にあるか | 6月 |
| 届出一覧の更新 | 届出済み施設基準の一覧を最新化 | 随時 |
適時調査への対応
地方厚生局は、届出を受理した保険医療機関に対して適時調査(実地調査)を実施する。適時調査は原則として事前通知の上で行われるが、不正が疑われる場合は予告なく実施されることもある。
適時調査で確認される主な事項
| 確認事項 | 具体的内容 |
|---|---|
| 人員配置 | 勤務表と実際の配置状況の照合 |
| 設備・構造 | 病室面積、必要な医療機器の設置状況 |
| 帳簿・記録 | 委員会議事録、研修記録、各種マニュアル |
| 算定の適否 | レセプトと施設基準の整合性 |
| 掲示事項 | 院内掲示が法令に従い行われているか |
出典: 「保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について」(保発1203第2号、令和4年12月3日)
年間管理カレンダー
施設基準管理の年間カレンダー(推奨)
| 月 | 主な対応事項 |
|---|---|
| 1月~2月 | 次期改定の答申内容確認、影響分析開始 |
| 3月 | 改定告示・通知の精読、届出様式の入手 |
| 4月 | 改定対応の届出書類作成・施設基準の棚卸し |
| 5月 | 届出提出・受理確認、算定開始準備 |
| 6月 | 改定施行(6月1日)、新基準に基づく算定開始、7月報告準備 |
| 7月 | 定例報告(7月1日基準日)の提出 |
| 8月~9月 | 経過措置期限への対応確認、上半期実績の中間点検 |
| 10月~12月 | 次年度に向けた体制整備、次期改定の動向把握 |
今すぐやること:令和8年度診療報酬改定 施設基準対応チェックリスト
最優先:すぐに対応(2026年2月~3月)
- 中医協答申内容の精読と自院への影響分析(医事課・経営企画):急性期病院一般入院料の新設、電子的診療情報連携体制整備加算の再編、ベースアップ評価料の拡充について、自院の該当項目を全て洗い出す
- 過去12か月の実績データ抽出(医事課):DPCデータ・外来レセプトから救急搬送件数、手術件数、看護必要度該当割合、平均在院日数を月別に集計し、新基準との乖離を数値で把握する
- 既存届出の棚卸しリスト作成(医事課):現在届出済みの全施設基準について「新規届出」「再届出」「変更届」「届出不要」の4区分に分類した一覧表を作成する
重要:4月~5月中旬までに
- 届出書類の作成・院内承認(医事課・各部門長・病院長):3月下旬の告示・通知を確認後、最新様式で届出書類を作成。GW前に院内承認を完了させる
- 賃金改善計画書の策定(人事・総務・医事課):ベースアップ評価料の届出に必要な職種別賃金改善計画を、目標賃上げ率(事務職員+5.7%、医療関係職種+3.2%)に基づき作成する
- 電子的診療情報連携体制の整備状況確認(情報システム部門):電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの導入状況を確認し、加算区分(1・2・3)のいずれを届出可能か判断する
- 地方厚生局への届出提出(医事課):5月上旬を目標に電子申請または郵送で提出。不備があれば速やかに補正対応する
中期:6月以降・年度内
- レセプトシステムの更新確認(医事課・情報システム部門):6月1日施行に合わせ、医事会計システムのマスタ更新・物価対応料の算定設定を完了させる
- 定例報告の準備(医事課・看護部):6月1日施行と7月1日報告が近接するため、改定対応と並行して定例報告用データの収集を開始する
- 月次モニタリング体制の構築(医事課・看護部):看護配置数、重症度割合、平均在院日数等を毎月確認するルーティンを確立し、不適合の兆候を早期に察知する仕組みを整える
実務Q&A:届出・算定に関するよくある疑問
: 保険医療機関の指定を受けた後、施設基準に適合した時点で速やかに届出を行う。届出が受理された翌月1日(月の最初の開庁日に届出が受理された場合は当月1日)から算定が可能となる。保険医療機関の指定日と施設基準の届出受理日は異なり得るため、指定申請と並行して施設基準の届出準備を進めることが望ましい。なお、新規開設の場合、実績を要する施設基準については開設後一定期間の実績蓄積が必要となるため、直ちに届出できない項目もある。
: 診療報酬改定に伴い施設基準が変更された場合、既に届出済みの保険医療機関は、改定後の基準に基づいて改めて届出を行う必要がある。令和8年度改定では施行日が2026年6月1日であるため、4月~5月中に届出書類の準備・提出を完了させる必要がある。改定時の届出は、施行日前に届出が受理された場合、施行日から新基準に基づく算定が可能となる特例が適用される。届出期限までに届出を行わなかった場合、算定できなくなるリスクがあるため、改定情報は早期に把握し、準備を進めることが重要である。なお、電子申請の対象が324項目に拡大されているため、活用により事務負担を軽減できる。
: 施設基準に適合しなくなった場合は、速やかに変更届又は辞退届を提出しなければならない(保医発0305第2号第1の3)。「速やかに」とは、不適合を認識した後、遅滞なくという趣旨であり、具体的な日数の定めはないが、通常は認識後1か月以内が目安とされる。不適合の状態で算定を継続した場合、不正請求として返還請求の対象となる。なお、一時的な人員不足(退職等)については、1か月以内に補充の見込みがある場合は猶予が認められることがあるが、地方厚生局への事前相談が必須である。
: 施設基準における「専従」と「専任」の定義は以下のとおりである。専従とは、当該業務に専ら従事していることを意味し、原則として他の業務との兼務は認められない。ただし、当該業務に支障がない場合に限り、月に数回程度の他業務への従事が認められる場合がある。専任とは、当該業務に主として従事していることを意味し、他の業務との兼務が認められるが、当該業務を適切に実施できる体制が確保されていることが条件である。届出時には、専従・専任の区別を正確に理解した上で人員配置を行うこと。
: 施設基準の電子届出については、2026年1月26日から対象項目が113項目から324項目へ大幅に拡大された。過去に受理済みの届出情報のコピー機能も追加されており、届出の事務負担が軽減されている。ただし、全ての届出項目が電子対応しているわけではないため、対応状況は管轄の地方厚生局のウェブサイトで確認すること。電子届出を利用する場合でも、届出様式の記載内容や添付書類の要件は紙媒体の場合と同一である。
: 適時調査で施設基準の不適合が指摘された場合、以下の措置が講じられ得る。(1) 施設基準の届出の辞退指導: 不適合期間中の算定を中止し、辞退届を提出するよう指導される。(2) 自主返還の求め: 不適合期間に遡って算定した診療報酬の自主返還を求められる。返還額は、不適合が生じた時点から指摘日までの全期間分となる場合があり、高額に上ることがある。(3) 監査への移行: 不正又は著しい不当が認められる場合は、健康保険法第78条に基づく監査に移行する可能性がある。監査の結果、保険医療機関の指定取消し(同法第80条)に至る場合もある。
: 施設基準の届出様式は、以下の方法で入手可能である。(1) 厚生労働省ウェブサイト: 診療報酬改定関連ページに全様式が掲載されている(令和8年度改定の新様式は2026年3月下旬の告示後に公開予定)。(2) 各地方厚生局ウェブサイト: 管轄の地方厚生局のウェブサイトに様式のダウンロードページが設けられている。(3) 日本医師会・各医療団体: 記載例や解説付きの様式集を提供している場合がある。様式は改定の都度更新されるため、必ず最新版を使用すること。旧様式での届出は受理されない場合がある。
参考法令・出典一覧
| 法令・資料名 | URL |
|---|---|
| 健康保険法 | e-Gov法令検索 |
| 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第2号) | 厚生労働省 |
| 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第6号) | 厚生労働省 |
| 令和8年度診療報酬改定について | 厚生労働省 |
| 令和8年度診療報酬改定 中医協答申(2026年2月13日) | 東京保険医協会 |
| 保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(保発1203第2号) | 厚生労働省 |
免責事項: 本記事は2026年2月時点の法令・告示・通知および中医協答申内容に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものである。令和8年度改定の具体的な施設基準・算定要件は、2026年3月下旬の告示・通知の公布をもって正式に確定する。本記事に記載の改定内容は2026年2月13日の中医協答申に基づくものであり、告示段階で変更される可能性がある。実際の届出・算定にあたっては、必ず厚生労働省の最新の告示・通知及び管轄の地方厚生局にご確認いただきたい。本記事の内容に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負わない。



