診療報酬改定2026年6月|外来・入院・在宅の主要点数変更と病院経営への影響

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診療報酬改定2026年6月|外来・入院・在宅の主要点数変更と病院経営への影響

最終更新日: 2026年4月

本記事では、2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定における外来・入院・在宅の主要点数変更と、病院・クリニック経営への影響を解説する。施設基準の届出手続きや全体改定率の詳細は関連シリーズ記事を参照されたい。

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⚠️ 本記事は2026年3月公布の告示・中医協答申(2026年2月13日)に基づく。点数の詳細・最終確定は厚生労働省告示(令和8年厚生労働省告示第69号)および通知(保医発0305第6号)を必ず確認すること。

2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定では、本体改定率+3.09%のもと、在宅医療点数の強化、医療DX関連加算の新設・再編、入院料体系の再編が実施される。初診料は据え置き(291点)、再診料は+1点(76点)、外来管理加算は継続(52点)。対応の遅れたクリニックと積極投資した医療機関とで月数万〜数十万円単位の収益格差が生まれる。

実務ポイント

外来管理加算(52点)は廃止されず継続。ただし中医協で廃止議論があったことは事実であり、今後の動向に注目が必要。

在宅医療・訪問診療の点数が大幅強化。在宅医療充実体制加算(注7)が単一建物1人で800点と倍増。在宅参入施設は体制整備次第で大幅な収益増が見込まれる。

DX対応が収益に直結。「電子的診療情報連携体制整備加算」(初診4〜15点、再診2点・実装状況で段階的)はDX未対応施設は算定不可。実装水準次第で大きな収益差が生じる。


2026年改定の3本柱:在宅強化・DX推進・入院体系再編

令和8年度診療報酬改定は「2040年を見据えた医療提供体制の構築」を主眼に、以下の3つの方向性で改定が進められた。

概要 経営への直接影響
1. 在宅医療・訪問診療の強化 在宅医療充実体制加算の大幅拡充(旧・在宅緩和ケア充実加算を改組)、訪問診療薬剤師同時指導料の新設 在宅に取り組む診療所・病院は体制整備次第で大幅な点数増
2. 医療DX推進 電子的診療情報連携体制整備加算の新設、電子処方箋対応加算の拡充 DX未対応施設は算定機会を失う
3. 入院体系の再編 急性期病院一般入院料(A型・B型)の新設、地域包括ケア病棟の6区分細分化 実績要件の充足状況で施設ごとに大きく異なる

全体の改定率は本体+3.09%(2年度平均:令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%)。2026年4月1日に薬価改定(-0.86%)、6月1日に診療報酬本体改定という2段階スケジュールとなっている。

2026年診療報酬改定 主要KPI
本体改定率

+3.09%

令和8・9年度平均(2年度)
再診料

76

+1点引き上げ(改定前75点)
在宅医療充実体制加算

800

単一建物1人(前改定比+400点・2倍)
DX加算(外来)

4〜15点/初診

電子的診療情報連携体制整備加算(新設・段階的)


外来診療の主要点数変更

初診料・再診料・外来管理加算

⚠️ 以下の点数は2026年2月13日中医協答申・3月公布告示(令和8年厚生労働省告示第69号)に基づく確定値。詳細は厚生労働省の最新告示で確認すること。

項目 改定前(2024年6月〜) 改定後(2026年6月〜) 変更の概要
初診料 291点 291点(据え置き) 変更なし(2026年2月13日答申で据え置き確定)
再診料(診療所) 75点 76点(+1点) 物価・賃上げ対応として1点引き上げ
外来診療料(病院200床以上) 76点 77点(+1点) 同上
外来管理加算 52点 52点(据え置き) 廃止論議(支払側・財政審)があったが不採用。現行継続

【重要】外来管理加算について: 中医協では健保連側委員から廃止の強い要求があり、財政制度等審議会も廃止を提言していたが、2026年2月13日の中医協答申では廃止は見送られ、52点が現行継続となった。再診料(+1点)との合計は127点→128点に変化する。

⚠️ 中医協で廃止論議があった外来管理加算 — 今回は存続

外来管理加算(52点・概算520円)は支払側から廃止を強く求められていたが、2026年2月13日の中医協答申では廃止は採用されなかった。6月1日以降も現行通り52点で算定継続できる。ただし今後の改定での見直しリスクは残るため、自院の算定実態の把握と代替収益モデルの検討を継続することが経営上の課題となる。

物価対応料(2026年新設)

2026年改定の特徴的な新設評価として「物価対応料」がある。

区分 点数(告示確定) 算定要件
外来・在宅物価対応料 2点/回 届出不要。初再診料・訪問診療料に自動併算定
入院物価対応料 入院基本料に別途設定 届出不要。入院基本料に自動併算定(詳細は告示参照)

入院基本料の変更ポイント

急性期病院一般入院料の新設と再編

2026年改定の最大の制度変更が「急性期病院一般入院料(A型・B型)」の新設である。

病棟種別 現行(2024年6月〜) 改定後(2026年6月〜) 主要要件の変化
急性期一般入院料1 1,688点 急性期病院一般入院料A(告示確認中) 救急搬送件数・手術件数等の実績要件が加重
急性期一般入院料2〜6 1,644〜1,382点 急性期病院一般入院料B(告示確認中) 重症度・医療・看護必要度の評価見直し
地域包括医療病棟入院料 3区分 6区分に細分化 アウトカム指標(在宅復帰率等)で細分化
回復期リハビリ病棟入院料 実績指数基準値あり 基準値引き上げ アウトカム重視・算定機会が絞られる

: 急性期病院一般入院料A・Bの具体的な点数と実績要件(救急搬送件数・手術件数等の閾値)は2026年3月告示で確定済み。詳細は診療報酬改定2026年全体像と施設基準の基礎および急性期病院一般入院料の新設と再編を参照のこと。

地域包括ケア病棟への影響

地域包括ケア病棟入院料は、入棟元・在宅復帰率・重症患者割合によって6区分に細分化され、病棟運営の「質」が点数に直結する構造となった。

区分 在宅復帰率要件(見込) 重症患者割合(見込) 点数(見込)
区分1(最上位) 80%以上 20%以上 2,200点台
区分2 70%以上 15%以上 2,000点台
区分3〜6 段階的に緩和 段階的に緩和 1,600〜1,900点台

地域包括ケア病棟の6区分細分化の具体的な点数・要件の詳細は急性期病院一般入院料の新設と再編を参照のこと。

【実務ポイント】 地域包括ケア病棟の新区分分類は、自院の実績データを3月時点で集計し「どの区分に該当するか」をシミュレーションすることが急務。上位区分を目指すには入退院支援(ソーシャルワーカーの増員等)への投資が必要になるケースもある。


在宅医療・訪問診療の点数強化

在宅医療は今改定で最も点数が手厚くなった分野のひとつである。

在宅時医学総合管理料(C002)の主な変更

2026年改定では、在宅時医学総合管理料について連携型機能強化型在支診を「自院の医師による往診体制(月4回以上)があるイ」と「そうでないロ」に区分し、点数に差がつく体系に変更された。

単一建物診療患者数 イ(自院往診体制あり) ロ(往診体制なし)
1人 4,985点 4,585点
2〜9人 4,125点 3,765点
10〜19人 2,625点 2,385点
20〜49人 2,205点 2,010点
50人以上 1,935点 1,765点

(中医協答申時点。詳細は厚生労働省告示第69号の医科点数表を確認すること。)

在宅医療充実体制加算(旧・在宅緩和ケア充実加算)の大幅拡充

従来の「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」を「在宅医療充実体制加算」に改組し、点数を約2倍に引き上げた。

単一建物診療患者数 在宅医療充実体制加算(注7イ) 改定前との差
1人 800点 +400点
2〜9人 400点 +200点
10〜19人 200点 +100点
20〜49人 170点 +85点
50人以上 150点 +75点

算定要件:過去1年間の緊急往診30件以上かつ看取り30件以上(詳細要件は通知・疑義解釈参照)。

訪問診療薬剤師同時指導料(新設)

医師と薬剤師の同時訪問に係る評価が新設された。

項目 点数 算定単位 概要
訪問診療薬剤師同時指導料(医科) 300点 6か月に1回 医師と薬剤師が同時に在宅訪問した場合の評価(医科側算定)

: 「医師同時訪問加算150点」という名称の加算は2026年度改定では確認されていない。在宅医療の強化策として新設されたのは上記の訪問診療薬剤師同時指導料(医科300点)である。詳細は厚生労働省告示・通知を確認すること。

在宅医療 主要点数変更サマリ
在宅医療充実体制加算

800

単一建物1人(前改定比+400点・2倍)
訪問診療薬剤師同時指導料

300

医師と薬剤師の同時訪問(6か月1回・新設)
在宅時医学総合管理料(イ・1人)

4,985

自院往診体制あり(連携型機能強化型)
物価対応料(外来・在宅)

2点/回

届出不要・自動算定(新設)


医療DX関連加算(電子処方箋・マイナ保険証対応)

2026年改定では「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設され、従来の「医療DX推進体制整備加算」「医療情報取得加算」を統合再編した。

加算名 点数(見込) 算定単位 主要要件
電子的診療情報連携体制整備加算(外来) 加算1:15点・加算2:9点・加算3:4点(初診時)、再診時2点 初診1回・再診毎回 加算1=電子処方箋+電子カルテ共有、加算2=いずれか一つ、加算3=マイナ保険証対応のみ
電子的診療情報連携体制整備加算(入院) 50点 1回/入院 同上(入院版)
マイナ保険証利用促進加算 5点 初診時 マイナンバーカード保険証利用の勧奨
電子処方箋対応加算(処方時) 7点(見込) 処方1回 電子処方箋発行対応(電子処方箋ガイド参照)

: 電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準(要件)は複合的であり、①電子処方箋の発行・受け付け体制、②マイナ保険証によるオンライン資格確認の活用、③電子カルテ情報共有サービスへの参加が求められる。詳細は医療DX推進加算2026の実務ロードマップを参照のこと。


2026年改定 施行スケジュールと対応タイムライン

2026年診療報酬改定 対応タイムライン
1
2026年3月
告示・通知公布
点数・算定要件の最終確定(告示第69号・保医発0305第6号)。自院への影響シミュレーション開始。在宅区分変更(イ/ロ)の影響額を算出する。
2
2026年4月
システム改修・体制整備
レセコンベンダーへ改修依頼(物価対応料・新設加算対応)。電子処方箋・DX加算の要件充足状況の棚卸し。在宅参入を検討する診療所は体制整備開始。
3
2026年5月末
施設基準届出(期限)
電子的診療情報連携体制整備加算、地域包括ケア病棟新区分、在宅医療関連加算の新規・変更届出を5月末日までに受理させる。急性期病院一般入院料A/Bの届出も同期限。
4
2026年6月1日
改定施行
新設加算算定開始。初診料291点(据え置き)・再診料76点(+1点)・外来管理加算52点(継続)で請求開始。DX対応済み施設は電子的診療情報連携体制整備加算(初診4〜15点・再診2点、実装水準で段階的)の算定スタート。

クリニック・病院別の収益シミュレーション

月100件外来のクリニックの場合

以下は月100件外来(再診80件・新患20件)のクリニックを想定した試算例である。外来管理加算は廃止されないため、廃止前提のシミュレーションは不要。

項目 月間算定(見込) 変化額(概算)
再診料引き上げ(+1点×80件) +80点 +800円
物価対応料(外来)(2点×100件) +200点 +2,000円
電子的診療情報連携体制整備加算(DX対応済みの場合) +1,200点 +12,000円
外来管理加算(変更なし) ±0点 ±0円
合計(DX対応済み) +14,800円前後
合計(DX未対応) +2,800円前後

: 上記は概算試算であり、実際の算定点数は診療内容・患者属性・施設基準の充足状況により大きく異なる。初診料の据え置きは新患増の多いクリニックにとって影響がやや異なる点に留意。ベースアップ評価料(Ⅰ)の大幅引き上げ分は別途シミュレーションが必要(初診時17点、継続的賃上げ取組の場合は初診時23点に拡充)。

月100件外来クリニック(再診80件・新患20件)の試算例
+14,800円
DX対応済み(電子的診療情報連携体制整備加算算定の場合)
+2,800円
DX未対応(再診料引き上げ・物価対応料のみ)

※再診料引き上げ・物価対応料・電子的診療情報連携体制整備加算を含む概算。外来管理加算は廃止されないため影響ゼロ。実際の影響は施設基準充足状況・算定実績により異なる。ベースアップ評価料の引き上げ分は含まない。

病院(急性期100床)の場合

項目 月間変化額(概算)
入院基本料引き上げ(新区分への移行:区分によりプラス・マイナス) ±20〜50万円
物価対応料(入院)(詳細は告示確認) 告示確認中
DX加算(電子的診療情報連携体制整備加算:50点×月150件入院) +7.5万円
合計(概算幅) 告示確認の上シミュレーション要

医療・介護連携への影響

2026年改定は診療報酬と介護報酬が同時施行されるため、医療と介護の連携評価が一体的に強化される。介護報酬改定2026年6月の詳細では介護事業者側の変更点を解説している。また、薬局についても調剤報酬が改定され、調剤報酬改定2026の実務ポイントで算定要件の変化を確認できる。医療DXの全体像と電子カルテ標準化のロードマップは医療DX推進加算2026の実務対応で詳述している。


よくある質問(FAQ)

Q: 外来管理加算は2026年6月以降も算定できますか?

A: はい、算定できます。外来管理加算(52点)は2026年度改定では廃止されず、据え置きとなりました。中医協では支払側から廃止の強い要求がありましたが、2026年2月13日の答申で不採用となり、現行52点が継続されます。6月1日以降も従来通り算定してください。

Q: 初診料は2026年6月から引き上げられますか?

A: 初診料(291点)は2026年度改定では据え置きとなりました。一方、再診料は75点から76点(+1点)に引き上げられます。また物価対応料(2点/回)が新設されるため、再診時は合計2点分の増収効果があります。

Q: 在宅医療に初めて参入する場合、2026年6月の改定に間に合いますか?

A: 在宅時医学総合管理料等の施設基準届出は、5月末日までに受理されれば6月1日から算定できます。体制整備(訪問バッグ・往診用車両・緊急連絡体制の整備)は1〜2か月あれば最低限は整えられます。ただし在宅患者の確保(ケアマネ・地域包括支援センターとの連携構築)には時間がかかるため、施行後6〜12か月を目安に収益化を見込むのが現実的です。

Q: マイナ保険証対応が遅れている場合、6月から何か不利益がありますか?

A: オンライン資格確認の義務化は既に完了していますが、2026年改定ではマイナ保険証の「活用」(保険者情報の取得・活用)が電子的診療情報連携体制整備加算の要件となります。未対応の場合、この加算(12点/月)が算定できなくなります。また、保険証廃止に伴う業務フロー変更も並行して進めることが必要です。

Q: 地域包括ケア病棟の新6区分は、現在の届出を出し直す必要がありますか?

A: はい、再届出が必要です。現行の地域包括ケア病棟入院料の届出を廃止し、新区分(1〜6)のいずれかで新規届出を行う必要があります。5月末日を目安に届出が受理されるよう、在宅復帰率・重症患者割合等の実績データを3〜4月中に集計しておくことを推奨します。


参考資料

資料名 参照先
令和8年度診療報酬改定について 厚生労働省
令和8年度診療報酬改定 中医協答申(2026年2月13日) 厚生労働省・中医協
令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表) 厚生労働省
令和8年度診療報酬改定説明資料等 厚生労働省

免責事項: 本記事は2026年3月公布の告示・中医協答申(2026年2月13日)に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものである。点数・算定要件の詳細は厚生労働省の最新告示・通知を必ず確認すること。本記事の内容に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負わない。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。