診療報酬改定2026年6月|外来・入院・在宅の主要点数変更と病院経営への影響

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診療報酬改定2026年6月|外来・入院・在宅の主要点数変更と病院経営への影響

最終更新日: 2026年8月14日

本記事では、2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定における外来・入院・在宅の主要点数変更と、病院・クリニック経営への影響を解説する。施設基準の届出手続きや全体改定率の詳細は関連シリーズ記事を参照されたい。

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⚠️ 本記事の点数は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」および医科診療報酬点数表の新旧対照表(令和8年厚生労働省告示第69号)に基づく確定値である。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号。訂正版あり)および施設基準の告示第70号・第71号もあわせて確認すること。

2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定では、本体改定率+3.09%のもと、在宅医療点数の強化、医療DX関連加算の新設・再編、入院料体系の再編が実施された。初診料は据え置き(291点)、再診料は+1点(76点)、外来管理加算は継続(52点)。対応の遅れたクリニックと積極投資した医療機関とで月数万〜数十万円単位の収益格差が生まれている。

実務ポイント

外来管理加算(52点)は廃止されず継続。ただし中医協で廃止議論があったことは事実であり、今後の動向に注目が必要。

在宅医療・訪問診療の点数が大幅強化。在宅医療充実体制加算(注7)が単一建物1人で800点と倍増。在宅参入施設は体制整備次第で大幅な収益増が見込まれる。

DX対応が収益に直結。「電子的診療情報連携体制整備加算」(初診4〜15点、再診2点・実装状況で段階的)はDX未対応施設は算定不可。実装水準次第で大きな収益差が生じる。


2026年改定の3本柱:在宅強化・DX推進・入院体系再編

令和8年度診療報酬改定は「2040年を見据えた医療提供体制の構築」を主眼に、以下の3つの方向性で改定が進められた。

概要 経営への直接影響
1. 在宅医療・訪問診療の強化 在宅医療充実体制加算の大幅拡充(旧・在宅緩和ケア充実加算を改組)、訪問診療薬剤師同時指導料の新設 在宅に取り組む診療所・病院は体制整備次第で大幅な点数増
2. 医療DX推進 電子的診療情報連携体制整備加算の新設(医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算を改組)、遠隔電子処方箋活用加算の新設 DX未対応施設は算定機会を失う
3. 入院体系の再編 急性期病院一般入院料(A・B)の新設、地域包括医療病棟入院料の6区分細分化 実績要件の充足状況で施設ごとに大きく異なる

全体の改定率は本体+3.09%(2年度平均:令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%)。2026年4月1日に薬価改定(-0.86%)、6月1日に診療報酬本体改定という2段階スケジュールとなっている。

2026年診療報酬改定 主要KPI
本体改定率

+3.09%

令和8・9年度平均(2年度)
再診料

76

+1点引き上げ(改定前75点)
在宅医療充実体制加算

800

単一建物1人(前改定比+400点・2倍)
DX加算(外来)

4〜15点/初診

電子的診療情報連携体制整備加算(新設・段階的)


外来診療の主要点数変更

初診料・再診料・外来管理加算

⚠️ 以下の点数は医科診療報酬点数表の新旧対照表(令和8年厚生労働省告示第69号)で確認した確定値である。

項目 改定前(2024年6月〜) 改定後(2026年6月〜) 変更の概要
初診料 291点 291点(据え置き) 変更なし(2026年2月13日答申で据え置き確定)
再診料(診療所) 75点 76点(+1点) 物価・賃上げ対応として1点引き上げ
外来診療料(病院200床以上) 76点 77点(+1点) 同上
外来管理加算 52点 52点(据え置き) 廃止論議(支払側・財政審)があったが不採用。現行継続

【重要】外来管理加算について: 中医協では健保連側委員から廃止の強い要求があり、財政制度等審議会も廃止を提言していたが、2026年2月13日の中医協答申では廃止は見送られ、52点が現行継続となった。再診料(+1点)との合計は127点→128点に変化する。

⚠️ 中医協で廃止論議があった外来管理加算 — 今回は存続

外来管理加算(52点・概算520円)は支払側から廃止を強く求められていたが、2026年2月13日の中医協答申では廃止は採用されなかった。6月1日以降も現行通り52点で算定継続できる。ただし今後の改定での見直しリスクは残るため、自院の算定実態の把握と代替収益モデルの検討を継続することが経営上の課題となる。

物価対応料(2026年新設)

2026年改定の特徴的な新設評価として「物価対応料」がある。令和8年度・令和9年度の物価上昇に段階的に対応するため、基本診療料・調剤基本料等に併せて算定できる加算として新設された。令和9年(2027年)分は令和8年分の2倍の点数があらかじめ告示で設定されている。

区分 令和8年 令和9年 算定要件
外来・在宅物価対応料 イ 初診時 2点 4点 入院中の患者以外に初診を行った場合
外来・在宅物価対応料 ロ 再診時等 2点 4点 再診または短期滞在手術等基本料1を算定すべき手術・検査を行った場合
外来・在宅物価対応料 ハ 訪問診療時 3点 6点 通院が困難な在宅療養患者に訪問診療を行った場合
入院物価対応料(1日につき)※抜粋 急性期病院A一般入院料 66点/急性期一般入院料1 58点/地域包括医療病棟入院料1 49点/地域包括ケア病棟入院料1(40日以内)27点/回復期リハ病棟入院料1 19点/療養病棟入院料1の入院料1 18点 各2倍 入院基本料・特定入院料等の算定区分に従って算定

入院基本料の変更ポイント

急性期病院一般入院料の新設と再編

2026年改定の最大の制度変更が「急性期病院一般入院基本料(急性期病院A・急性期病院B)」の新設である。

重要なのは、急性期一般入院料1〜6は廃止されず存続するという点である。急性期病院一般入院料A・Bは「病院全体の急性期機能」に着目した新しい入院基本料として併設・新設されたものであり、既存の急性期一般入院料からの自動移行ではない。要件を満たす病院がどちらを届け出るかを選択する構造になる。

入院料 点数(2026年6月〜) 位置づけ 主要要件
急性期病院A一般入院料 1,930点 新設 看護職員7対1+病院全体で救急搬送2,000件かつ全身麻酔手術1,200件
急性期病院B一般入院料 1,643点 新設 看護職員10対1+救急搬送1,500件等(4要件のいずれか)
急性期一般入院料1 1,874点(改定前1,688点) 存続 病棟の急性期患者割合に基づく従来の評価。入院料4には看護・多職種協働加算

賃上げ・物価対応分の反映により、主要な入院料は軒並み引き上げられている。

病棟種別 改定前 改定後(2026年6月〜) 主要要件の変化
急性期一般入院料1 1,688点 1,874点 存続。急性期病院A・Bとは別枠
地域包括医療病棟入院料 1区分(3,050点) 6区分に細分化(3,066〜3,367点) 急性期病棟の併設有無×入院形態・手術の実施状況で細分化
地域包括ケア病棟入院料1(40日以内) 2,838点 2,955点 区分構成は維持。在宅患者支援病床初期加算を見直し
回復期リハビリ病棟入院料1 2,229点 2,346点 実績指数の基準値引き上げ。アウトカム重視
療養病棟入院料1の入院料1 1,964点 2,035点

: 点数は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」および医科診療報酬点数表の新旧対照表(令和8年厚生労働省告示第69号)に基づく。施設基準の詳細は診療報酬改定2026年全体像と施設基準の基礎および急性期病院一般入院料の新設と再編を参照のこと。

地域包括医療病棟入院料の6区分化

6区分に細分化されたのは地域包括医療病棟入院料である(地域包括ケア病棟入院料ではない点に注意)。区分の軸は在宅復帰率などのアウトカム指標ではなく、①同一病院内にA100一般病棟入院基本料の算定病棟があるか、②患者の入院形態と手術の実施状況の2軸である。

患者区分(患者ごとに算定) 【1】A100算定病棟なし 【2】A100算定病棟あり 該当する患者
3,367点 3,316点 緊急入院で、主傷病に対して手術を行わないもの
3,267点 3,216点 イにもハにも該当しないもの
3,117点 3,066点 予定入院で、主傷病に対して手術を行うもの

告示上の正式な呼称は「地域包括医療病棟入院料1/2」の下に「イ 入院料1/ロ 入院料2/ハ 入院料3」が置かれる二層構造である。上位の1/2は医療機関ごとの届出、下位のイ/ロ/ハは患者ごとの算定であり、両者は別の軸であることに注意されたい。施設基準も見直され、平均在院日数は21日から「20日を原則とし、85歳以上の患者割合が2割増すごとに+1日」へ、ADLが低下した患者の割合は5%未満から7%未満(85歳以上が2割未満の場合は5%)へ変更された。在宅復帰率80%以上、救急搬送後の患者割合15%以上も要件に加わっている。

一方の地域包括ケア病棟入院料は区分構成そのものは維持され、点数は賃上げ・物価対応分として引き上げられた(入院料1・40日以内で2,838点→2,955点)。算定要件面での主な見直しは在宅患者支援病床初期加算である。介護老人保健施設から入院した患者の場合、対象が「救急搬送された患者」から「緊急入院した患者」へ拡大されたうえで580点→590点に、それ以外の患者は480点→410点に変更されている。


在宅医療・訪問診療の点数強化

在宅医療は今改定で最も点数が手厚くなった分野のひとつである。

在宅時医学総合管理料(C002)の主な変更

在宅時医学総合管理料の点数表そのものは、今回の改定で変更されていない。 医科点数表の新旧対照表を確認すると、C002の各区分の点数は改正前後で同一である。区分の構成も従来どおり「1 機能強化型在支診・病/2 在支診・病(1以外)/3 1・2以外」×「イ 病床を有する場合/ロ 病床を有しない場合」であり、イ/ロは病床の有無を意味する。

参考として、機能強化型在支診・病(病床あり)で厚生労働大臣が定める状態の患者に月2回以上訪問診療を行う場合の点数は以下のとおり。

単一建物診療患者数 点数(改定前後で同一)
1人 5,385点
2〜9人 4,485点
10〜19人 2,865点
20〜49人 2,400点
50人以上 2,110点

C002まわりで実際に見直されたのは、月2回訪問診療区分の要件残薬対策に係る取扱いへき地診療所における算定要件、および次項の在宅医療充実体制加算である。点数表の詳細は厚生労働省告示第69号の医科診療報酬点数表を確認すること。

在宅医療充実体制加算(旧・在宅緩和ケア充実加算)の大幅拡充

従来の「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」を「在宅医療充実体制加算」に改組し、点数を一律2倍に引き上げた。対象は在宅時医学総合管理料に付く加算だけではなく、往診加算・ターミナルケア加算・在宅がん医療総合診療料などこの加算が付くすべての区分である。

① 在宅時医学総合管理料に付く場合

単一建物診療患者数 改定後 改定前
1人 800点 400点 +400点
2〜9人 400点 200点 +200点
10〜19人 200点 100点 +100点
20〜49人 170点 85点 +85点
50人以上 150点 75点 +75点

② 施設入居時等医学総合管理料に付く場合

単一建物診療患者数 改定後 改定前
1人 600点 300点 +300点
2〜9人 300点 150点 +150点
10〜19人 150点 75点 +75点
20〜49人 126点 63点 +63点
50人以上 112点 56点 +56点

③ その他の区分に付く場合

対象 改定後 改定前
緊急往診加算・夜間休日往診加算・深夜往診加算 200点 100点
ターミナルケア加算 2,000点 1,000点
在宅がん医療総合診療料 300点 150点

看取りを担う診療所にとっては、ターミナルケア加算の+1,000点が最も金額インパクトの大きい変更となる。

算定要件:在宅医療を担当する常勤換算医師数3名以上かつ常勤医師数2名以上、機能強化型の在支診・病であって自院単独で24時間連絡体制および往診体制を確保していること、過去1年間で緊急往診の実績30件以上かつ看取りの実績と小児在宅患者数の合計が30件以上であること(詳細要件は通知・疑義解釈参照)。

訪問診療薬剤師同時指導料(新設)

医師と薬剤師の同時訪問に係る評価が新設された。

項目 点数 算定単位 概要
訪問診療薬剤師同時指導料(医科) 300点 6か月に1回 医師と薬剤師が同時に在宅訪問した場合の評価(医科側算定)

: 「医師同時訪問加算150点」という名称の加算は2026年度改定では確認されていない。在宅医療の強化策として新設されたのは上記の訪問診療薬剤師同時指導料(医科300点)である。詳細は厚生労働省告示・通知を確認すること。

在宅医療 主要点数変更サマリ
在宅医療充実体制加算

800

単一建物1人(前改定比+400点・2倍)
訪問診療薬剤師同時指導料

300

医師と薬剤師の同時訪問(6か月1回・新設)
ターミナルケア加算(在宅医療充実体制加算)

2,000

旧・在宅緩和ケア充実加算1,000点から2倍
物価対応料(外来・在宅)

2点/回

届出不要・自動算定(新設)


医療DX関連加算(電子処方箋・マイナ保険証対応)

2026年改定では「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設され、従来の「医療DX推進体制整備加算」「医療情報取得加算」を統合再編した。

加算名 点数 算定単位 主要要件
電子的診療情報連携体制整備加算(初診時/A000注) 加算1:15点・加算2:9点・加算3:4点 月1回 加算1=施設基準(1)〜(10)の全て、加算2=(1)〜(7)の全てかつ(8)〜(10)のいずれか、加算3=(1)〜(7)の全て
電子的診療情報連携体制整備加算(再診時/A001注19) 2点 月1回 同上(区分なし・一律2点)
電子的診療情報連携体制整備加算(入院/A207-5) 加算1:160点・加算2:80点 入院初日に限り1回 同上(入院版。加算3の設定はない)
電子的調剤情報連携体制整備加算(薬局) 8点 調剤基本料に月1回 薬局側の対応加算
遠隔電子処方箋活用加算 10点 告示・通知で確認 電子処方箋システムの利活用推進に係る新設加算(電子処方箋ガイド参照)
救急時医療情報取得加算 50点 告示・通知で確認 救急時医療情報閲覧機能の利活用に係る新設加算

注1: 初診時・再診時とも月1回が上限である。再診のたびに算定できるものではない点に注意。また初診時の加算を算定した場合、再診料注11の明細書発行体制等加算は別に算定できない。

注2: 施設基準の主なものは、①オンライン請求を行っていること、②診療報酬明細書を患者に無償で交付していること、③オンライン資格確認を行う体制、④取得した診療情報を診察室等で閲覧・活用できる体制、⑤マイナ保険証利用率が30%以上であること、⑥マイナポータルの医療情報等に基づく健康相談体制、⑦掲示・ウェブサイト掲載。加算1・2はこれに加えて電子処方箋の発行体制、認証済み電子カルテの保有、電子カルテ情報共有サービス等の活用体制が求められる。評価の軸が体制の「整備」から利用の「実績」へ移った点が最大の特徴である。

注3: 「マイナ保険証利用促進加算」「電子処方箋対応加算(処方時)」という名称の加算は、令和8年度改定では新設されていない。マイナ保険証の利用率30%以上は上記のとおり電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準の一要件であり、独立した加算ではない。電子処方箋システムの利活用推進に関して新設されたのは「遠隔電子処方箋活用加算」(10点)および「救急時医療情報取得加算」(50点)である(算定要件は告示・通知で確認すること)。詳細は医療DX推進加算2026の実務ロードマップを参照のこと。


2026年改定 施行スケジュールと対応タイムライン

改定は2026年6月1日に施行済みであり、以下の日程はすべて経過している。届出期限に間に合わなかった加算については、あらためて施設基準の届出を行うことで算定を開始できる(算定開始時期は地方厚生局への届出受理の取扱いに従う)。自院の対応状況の振り返りに用いられたい。

2026年診療報酬改定 対応タイムライン
1
2026年3月
告示・通知公布
点数・算定要件の最終確定(告示第69号・保医発0305第6号)。自院への影響シミュレーション開始。在宅区分変更(イ/ロ)の影響額を算出する。
2
2026年4月
システム改修・体制整備
レセコンベンダーへ改修依頼(物価対応料・新設加算対応)。電子処方箋・DX加算の要件充足状況の棚卸し。在宅参入を検討する診療所は体制整備開始。
3
2026年5月末
施設基準届出(期限)
電子的診療情報連携体制整備加算、地域包括医療病棟入院料1/2、在宅医療関連加算の新規・変更届出は5月末日までの受理が必要だった。急性期病院一般入院料A/Bの届出も同期限。
4
2026年6月1日
改定施行
新設加算算定開始。初診料291点(据え置き)・再診料76点(+1点)・外来管理加算52点(継続)で請求開始。DX対応済み施設は電子的診療情報連携体制整備加算(初診4〜15点・再診2点、実装水準で段階的)の算定スタート。

クリニック・病院別の収益シミュレーション

月100件外来のクリニックの場合

以下は月100件外来(再診80件・新患20件)のクリニックを想定した試算例である。外来管理加算は廃止されないため、廃止前提のシミュレーションは不要。

項目 月間算定(見込) 変化額(概算)
再診料引き上げ(+1点×80件) +80点 +800円
物価対応料(外来)(初診2点×20件+再診2点×80件) +200点 +2,000円
電子的診療情報連携体制整備加算1(初診時15点×新患20人・月1回) +300点 +3,000円
電子的診療情報連携体制整備加算(再診時2点×実人数40人・月1回) +80点 +800円
外来管理加算(変更なし) ±0点 ±0円
合計(DX対応済み) +660点 +6,600円前後
合計(DX未対応) +280点 +2,800円前後

注1: 電子的診療情報連携体制整備加算は初診時・再診時とも患者1人につき月1回が上限である。上記は再診80件を実人数40人(月平均2回来院)と仮定した試算で、再診が全て別患者(実人数80人)であれば再診分は+160点(+1,600円)、DX対応済みの合計は+740点(+7,400円)となる。再診の延べ件数に15点を乗じる計算は誤りなので注意すること。

注2: 上記は概算試算であり、実際の算定点数は診療内容・患者属性・施設基準の充足状況により大きく異なる。初診料の据え置きは新患増の多いクリニックにとって影響がやや異なる点に留意。ベースアップ評価料(Ⅰ)の大幅引き上げ分は別途シミュレーションが必要(初診時17点、継続的賃上げ取組の場合は初診時23点に拡充)。

月100件外来クリニック(再診80件・新患20件)の試算例
+6,600円
DX対応済み(電子的診療情報連携体制整備加算算定の場合)
+2,800円
DX未対応(再診料引き上げ・物価対応料のみ)

※再診料引き上げ・物価対応料・電子的診療情報連携体制整備加算を含む概算。DX加算は初診時・再診時とも患者1人につき月1回が上限(再診80件を実人数40人と仮定)。外来管理加算は廃止されないため影響ゼロ。実際の影響は施設基準充足状況・算定実績により異なる。ベースアップ評価料の引き上げ分は含まない。

病院(急性期100床)の場合

急性期100床・病床稼働率80%(月2,400延べ入院日)・月150件入院、急性期一般入院料1を算定していると仮定した試算例。

項目 月間変化額(概算)
入院基本料の引き上げ(急性期一般入院料1:1,688点→1,874点=+186点×2,400延べ日) +約446万円
物価対応料(入院)(急性期一般入院料1:58点×2,400延べ日) +約139万円
DX加算1(電子的診療情報連携体制整備加算1:160点×月150件・入院初日のみ) +24万円
DX加算2の場合(80点×月150件) +12万円
合計(DX加算1を算定する場合) +約609万円

: 最大の増収要因は加算ではなく入院基本料そのものの引き上げ(+186点/日)である。DX加算(+24万円)や物価対応料(+139万円)はこれに比べれば小さい。ただしこの引き上げは賃上げ・物価対応分であり、人件費・物件費の上昇に充てられることが前提となっている点に留意すること。また急性期病院A・Bを届け出る場合は点数体系そのものが変わるため、別途試算が必要である。

: 物価対応料(入院)は令和9年度に2倍(急性期一般入院料1は116点/日)となる。急性期病院A一般入院料を届け出た場合は令和8年度66点/日・令和9年度132点/日。DX加算は入院初日に限り1回であり、入院日数分は算定できない。

【実務ポイント】 病院においては急性期病院一般入院料A・Bを届け出るか、従来の急性期一般入院料1〜6を継続するかが最大の分岐点。急性期病院Aは救急搬送2,000件かつ全身麻酔手術1,200件、Bは救急搬送1,500件等の4要件のいずれかという病院全体での実績が求められる。今すぐ自院の過去12か月の実績データを集計し、該当区分を確認すること。


医療・介護連携への影響

2026年改定は診療報酬と介護報酬が同時施行されるため、医療と介護の連携評価が一体的に強化される。介護報酬改定2026年6月の詳細では介護事業者側の変更点を解説している。また、薬局についても調剤報酬が改定され、調剤報酬改定2026の実務ポイントで算定要件の変化を確認できる。同時期には薬機法改正が2026年5月に施行されており、薬局・ドラッグストアの販売体制や登録販売者の常駐要件にも変更が加わっている。詳細は2026年薬機法改正で変わる登録販売者常駐ルールとOTC医薬品販売体制を参照のこと。柔整・はり・きゅう・マッサージの療養費についても同年7月1日施行で改定率+0.60%の引き上げが実施されており、令和8年7月療養費改定ガイド(柔整・はり・きゅう・マッサージの料金・逓減制・明細書)で詳細を確認できる。医療DXの全体像と電子カルテ標準化のロードマップは医療DX推進加算2026の実務対応で詳述している。


よくある質問(FAQ)

Q: 外来管理加算は2026年6月以降も算定できますか?

A: はい、算定できます。外来管理加算(52点)は2026年度改定では廃止されず、据え置きとなりました。中医協では支払側から廃止の強い要求がありましたが、2026年2月13日の答申で不採用となり、52点が維持されました。施行日である6月1日以降も従来どおり算定できます。

Q: 初診料は2026年6月から引き上げられましたか?

A: 初診料(291点)は2026年度改定では据え置きとなりました。一方、再診料は75点から76点(+1点)に引き上げられています。また物価対応料(2点/回)が新設されたため、再診時は合計2点分の増収効果があります。

Q: 在宅医療にこれから参入する場合、改定後の点数はいつから算定できますか?

A: 改定は2026年6月1日に施行済みのため、点数体系そのものは既に新しいものが適用されています。在宅時医学総合管理料等は施設基準の届出が必要で、算定を開始できる時期は地方厚生局への届出が受理された日に依ります(具体的な受理・算定開始の取扱いは管轄の地方厚生局に確認してください)。体制整備(訪問バッグ・往診用車両・緊急連絡体制の整備)は1〜2か月あれば最低限は整えられます。ただし在宅患者の確保(ケアマネ・地域包括支援センターとの連携構築)には時間がかかるため、届出後6〜12か月を目安に収益化を見込むのが現実的です。

Q: マイナ保険証対応が遅れている場合、現在どのような不利益がありますか?

A: オンライン資格確認の義務化は既に完了していますが、2026年改定ではマイナ保険証利用率30%以上が電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準の必須要件(施設基準(5))となりました。利用率が30%を下回ると加算1〜3のいずれも算定できなくなります。外来では初診時に最大15点(月1回)、再診時2点(月1回)、入院では入院初日に最大160点を取り落とすことになります。また、保険証廃止に伴う業務フロー変更も並行して進めることが必要です。

Q: 地域包括ケア病棟の届出は6区分で出し直す必要がありますか?

A: いいえ。6区分に細分化されたのは地域包括医療病棟入院料であり、地域包括ケア病棟入院料の区分構成は維持されています。混同されやすい点ですのでご注意ください。地域包括医療病棟を届け出ている場合は、同一病院内にA100一般病棟入院基本料の算定病棟があるかどうかで「入院料1」か「入院料2」のいずれかを医療機関単位で届け出ます。そのうえで、患者ごとに入院形態(緊急/予定)と主傷病に対する手術の有無に応じてイ〜ハを算定します。地域包括ケア病棟については、在宅患者支援病床初期加算の要件・点数が見直されているため、算定要件の確認は必要です。


参考資料

資料名 参照先
令和8年度診療報酬改定について 厚生労働省
令和8年度診療報酬改定 中医協答申(2026年2月13日) 厚生労働省・中医協
令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表) 厚生労働省
令和8年度診療報酬改定説明資料等 厚生労働省

免責事項: 本記事は2026年3月公布の告示・中医協答申(2026年2月13日)に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものである。点数・算定要件の詳細は厚生労働省の最新告示・通知を必ず確認すること。本記事の内容に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負わない。

JG

実務ガイド編集部

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