非上場株式の相続税評価 見直し議論2027年度改正|国税庁専門委員会の論点と中小企業オーナーへの影響

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非上場株式の相続税評価 見直し議論2027年度改正|国税庁専門委員会の論点と中小企業オーナーへの影響
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最終更新日: 2026年4月

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国税庁は2026年4月、非上場株式の相続税評価ルールを見直すための専門委員会を設置した。2026年中に論点を整理し、2027年度(令和9年度)税制改正で具体的な調整を行う方針が報じられている(日本経済新聞2026年4月15日朝刊)。見直しの対象は、1964年(昭和39年)に制定されて以来、基本構造がほぼ変わっていない「財産評価基本通達」に基づく類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式の3方式である。会計検査院の令和5年度決算検査報告でも、純資産価額に対する申告評価額の中央値が大会社0.32倍・中会社0.50倍・小会社0.61倍と大きな乖離があり、意図的な評価額の引下げによる過度な節税が問題視されている。一方で、中小企業の事業承継への配慮は不可欠であり、バランスのとれた制度設計が求められる。本記事は2026年4月時点の公開情報に基づき、議論の現在地、現行ルールの構造、想定される論点、そしてオーナーが今から準備できる実務対応を体系的に整理する。


【まとめ表】2027年度改正に向けた見直し議論の要点

項目 内容
設置時期 2026年4月、国税庁が専門委員会を設置
議論スケジュール 2026年中に論点整理、2027年度(令和9年度)税制改正で調整
見直し対象 財産評価基本通達(昭和39年制定)に基づく非上場株式の評価ルール
3方式 類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式
問題意識 申告評価額の純資産価額比が大0.32倍・中0.50倍・小0.61倍(会計検査院指摘)
狙い 過度な節税スキームの抑止と評価の適正化
配慮論点 中小企業の円滑な事業承継を妨げない制度設計
現時点の確定事項 なし(議論段階、施行時期・具体内容は未定)

何が議論されているのか|専門委員会設置の経緯

2026年4月、国税庁が専門委員会を設置

日本経済新聞2026年4月15日朝刊の報道によれば、国税庁は非上場株式の相続税評価ルールの見直しを検討するため、2026年4月中に有識者による専門委員会を設置する方針である。2026年中に論点を整理したうえで、2027年度税制改正の過程で具体的な制度変更を調整するとされている。

抜本的な見直しが実現すれば、現行の評価ルールの基本構造を定めた財産評価基本通達(昭和39年国税庁通達)以来、約60年ぶりの大改正となる可能性がある。

なぜ今、見直しなのか

背景には、二つの要因がある。

第一に、会計検査院による指摘である。会計検査院は令和5年度決算検査報告において、取引相場のない株式の評価について、申告された評価額の純資産価額に対する比率の中央値が会社規模により大きく異なっており(大会社0.32倍・中会社0.50倍・小会社0.61倍)、大規模な評価会社ほど相対的に株価が低く評価される傾向にあると指摘した。さらに、配当還元方式で用いられる還元率10%は、通達制定当時(1964年)の金利水準を参考に設定されたものであり、社会経済情勢の変化を踏まえた見直しが必要と結論づけた。

第二に、過度な節税スキームの顕在化である。日本経済新聞は2026年3月以降の連載で、評価方式の選択や資産構成の組み替えによって、非上場株式の評価額が同一会社でも4倍程度の差が生じる事例があること、実際の株式価値に比べ10分の1程度まで評価額を下げる事例も存在することを報じている。

見直しは「一部増税」の方向

同報道によれば、見直しの狙いは「適正な課税」であり、過度な節税を抑止する方向での調整が想定されている。その結果、一部のオーナーや後継者については相続税負担が増加する可能性がある。一方で、日本経済の基盤である中小企業の円滑な世代交代を妨げないよう、事業承継税制との整合性を含め、バランスのとれた制度設計が不可欠とされている。

【重要】 2026年4月時点で公表されているのは「専門委員会の設置方針」と「2027年度税制改正での調整を目指す」という基本スケジュールのみです。具体的な計算式の変更内容・適用開始時期・経過措置はいずれも未定であり、本記事で紹介する論点は議論されている可能性のある方向性を整理したものです。確定情報ではありませんので、実際の対応は税制改正大綱(例年12月)公表後に、税理士等の専門家と相談して判断してください。


現行ルールの基本構造|財産評価基本通達と3方式

見直しの対象を理解するには、まず現行ルールの全体像を押さえておく必要がある。非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価は、財産評価基本通達178〜189-7に基づき行われる。

株主区分と評価方式の選択

評価方式は、まず取得者の株主区分によって二分される。

株主区分 適用される評価方式
同族株主等(原則的評価方式の対象) 会社規模区分に応じた原則的評価方式
同族株主以外等(特例的評価方式の対象) 配当還元方式

同族株主等とは、議決権割合の合計が30%以上となる株主グループに属する者などをいう。経営権を持つオーナー家族が該当するのが典型である。

原則的評価方式:会社規模と3方式の組み合わせ

同族株主等の取得した株式は、総資産価額・従業員数・取引金額によって会社規模を判定し、それぞれに対応する方式で評価する。

会社規模 原則 実務上の選択
大会社 類似業種比準方式 純資産価額方式のほうが低ければ、そちらも選択可
中会社(大・中・小) 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用(Lの割合で加重平均) 純資産価額方式のみも選択可
小会社 純資産価額方式 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用(L=0.5)も選択可

類似業種比準方式の構造

類似業種比準方式は、評価会社と業種が類似する上場会社の平均株価をベースに、配当金額・利益金額・純資産価額(簿価)の3要素を比準して株価を算定する方法である(財産評価基本通達第180項)。

計算上の重要なポイントとして、会社規模に応じた斟酌率(しんしゃくりつ)を乗じる仕組みになっている。

会社規模 斟酌率
大会社 0.7
中会社 0.6
小会社 0.5

この斟酌率は、評価会社が非上場であることによる流動性の低さや規模の違いを反映した調整係数であり、結果として上場会社の株価よりも低い評価額になる設計である。

純資産価額方式の構造

純資産価額方式は、評価会社のすべての資産・負債を相続税評価額に洗い替え、資産総額から負債と評価差額に対する法人税等相当額を控除した残額を発行済株式数で除して1株当たりの評価額を算定する方法である。

評価差額に対する法人税等相当額は、令和8年(2026年)4月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得する株式等については38%、同日前に取得した株式等については37%が適用される(令和8年度税制改正)。

配当還元方式の構造

配当還元方式は、同族株主以外の少数株主が取得した株式について適用される特例的な評価方式である。

基本式は次のとおりで、年配当金額を一定の還元率(10%)で還元して評価する。

1株当たりの配当還元価額 = (年配当金額 ÷ 10%) × (1株当たりの資本金等の額 ÷ 50円)

会計検査院が指摘したとおり、この10%は通達制定当時(1964年)の金利水準を前提としている。現在の低金利環境や資本コスト理論の発展を踏まえると、還元率の妥当性自体が論点となりうる。

特定評価会社の例外

一定の要件に該当する会社(株式等保有特定会社・土地保有特定会社・開業後3年未満の会社・比準要素が不足する会社など)は、原則として純資産価額方式での評価となる(財産評価基本通達189)。これは、特殊な資産構成の会社に類似業種比準方式を適用すると適正な評価にならないことを考慮した例外ルールである。


見直しの論点|どこが狙われているか

専門委員会の具体的な検討内容は2026年4月時点では非公表であるが、会計検査院の指摘事項、税務大学校の研究論文、過去の議論の蓄積から、議論の俎上に載る可能性の高い論点を整理する。

【前提】 以下はあくまで想定される論点であり、2027年度改正で必ず変更されるものではありません。「こういう観点で議論されうる」という情報提供として参照してください。

論点1:類似業種比準方式の斟酌率(0.7/0.6/0.5)

会計検査院の調査では、大会社ほど純資産価額に対する申告評価額の比率が低い(中央値0.32倍)。類似業種比準方式の大会社適用と0.7という斟酌率が、結果的に大規模な評価会社の株価を相対的に低く算定している一因とみられる。

一方で、斟酌率を引き上げれば類似業種比準方式の評価額が上昇し、承継対象株式の評価額が増加して相続税負担も増す。中小企業の事業承継への影響を考慮した慎重な調整が必要となる。

論点2:比準3要素の操作可能性

類似業種比準方式の3要素(配当金額・利益金額・純資産価額)は、計算対象年度の配当を抑制したり、一時的な損失を計上したりすることで意図的に低下させることが可能である。税務大学校の研究論文でも、「比準要素の値を意図的に下げるスキームが実行容易である」点が課題として指摘されている。

評価時点前の一定期間の要素操作に対して、何らかの牽制ルール(期間平均の長期化・異常値の除外など)が議論される可能性がある。

論点3:配当還元方式の還元率10%

1964年の金利水準を参考に設定された還元率10%は、現在の低金利・低インフレ環境下では明らかに高すぎる水準であり、結果として配当還元価額が低く算定されている。

税務大学校の研究論文では、固定10%から株主資本コストに連動した還元率への変更や、無配・低配当会社の下限値を資本金等の額に置き換える案などが提起されている。ただし、同族株主以外の少数株主にとっての取得価額への影響が大きく、実務への配慮が必要である。

論点4:株式等保有特定会社と「株特外し」

総資産に占める株式等の割合が50%以上となる会社は株式等保有特定会社として、原則として純資産価額方式で評価される。これを避けるため、借入金で不動産を取得し株式割合を50%未満に引き下げる「株特外し」と呼ばれる手法が実務上行われてきた。

財産評価基本通達189にはすでに牽制規定があり、「課税時期前に合理的な理由なく資産構成に変動があり、株式等保有特定会社の判定を免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして判定する」とされている。しかし適用ハードルは高く、より明確なルール化が議論される可能性がある。

論点5:会社規模区分自体の見直し

税務大学校の研究論文では、より抜本的な案として、会社規模区分そのものを廃止し、「残余利益法と純資産価額方式の1/2併用」を全会社に適用する方式が提案されている。これは大会社・中会社・小会社の区分による評価の不均衡を解消する狙いだが、実装には影響範囲の大きさから慎重な議論が必要である。

論点6:令和8年度税制改正との連続性

令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、貸付用不動産および不動産小口化商品の評価方法の見直しが盛り込まれた(2027年1月1日以後の相続・贈与から適用)。これは非上場株式そのものの評価方式は変えないが、純資産価額方式が相続税評価額ベースで計算されるため、貸付用不動産を保有する会社の純資産価額が上昇する形で間接的に影響する。

2027年度改正では、この間接影響の整理も含めた総合的な見直しが議論される見込みである。


誰が影響を受けるか|想定される対象者

現時点の議論の方向性からすると、以下のような立場の人が影響を受ける可能性がある。

中小企業のオーナー経営者

自社株を保有する中小企業オーナーは、相続・贈与時の自社株評価額が変動する可能性がある。特に、類似業種比準方式の斟酌率が引き上げられた場合や、特定評価会社の判定が厳格化された場合、評価額の上昇と相続税負担の増加につながりうる。

事業承継を控える後継者

後継者にとっては、株式の取得時点での評価額が直接的に納税額を左右する。評価ルールの変更タイミングと事業承継税制の適用期限(後述)の兼ね合いが、承継実行の判断に影響する。

資産管理会社(ホールディングス)を活用している層

株式等保有特定会社の判定や「株特外し」関連の議論は、資産管理会社(プライベート・ホールディング・カンパニー)を使った相続対策に直接影響する。不動産購入による株特外しが牽制強化される場合、既存のスキーム見直しが必要になる可能性がある。

医療法人の持分保有者

持分のある医療法人の出資持分の評価も、非上場株式の評価ルールに準じて行われる実務が存在する。関連する制度変更は、持分あり医療法人の事業承継にも波及しうる。医療法人特有の制度については、医療法人の2026年制度改正を完全整理も参照されたい。

M&Aにおける売り手・買い手

非上場株式の相続税評価は、M&A取引価格そのものを直接規制するものではないが、贈与税・相続税の負担感を通じて売り手側の譲渡判断に影響を与える。評価ルールが厳格化されれば、承継選択肢のひとつとしてのM&Aの相対的魅力が変わる可能性がある。

少数株主として株式を取得する従業員・親族

配当還元方式の還元率や下限値が見直された場合、従業員持株会やキーマン株主として少数株式を取得する人の取得価額にも影響する。


事業承継税制との関係|適用期限は変わらない

非上場株式の相続税・贈与税評価を考えるうえで、事業承継税制(法人版・特例措置)は切り離せない。2027年度の評価見直し議論と並行して、制度の整理が進んでいる。

特例措置の概要

法人版事業承継税制の特例措置は、一定の要件を満たす後継者が先代経営者から非上場株式を贈与または相続により取得した場合、贈与税・相続税の納税を100%猶予し、さらに一定要件で免除する制度である(租税特別措置法第70条の7の5・第70条の7の6他)。

最新の期限情報(令和8年度税制改正反映)

令和8年度税制改正大綱により、特例承継計画の提出期限が延長された。一方、贈与・相続実行の適用期限は延長されていない点に注意が必要である。

項目 期限
特例承継計画の提出期限 令和9年(2027年)9月30日まで(令和8年度税制改正で延長)
贈与・相続の実行期限 令和9年(2027年)12月31日まで(延長なし・据え置き

令和6年度税制改正大綱においても、「特例措置の適用期限は今後とも延長を行わない」旨が明記されている。つまり、事業承継税制の特例措置を活用するためには、2027年12月31日までに贈与または相続による株式承継を完了している必要がある

2027年度改正と事業承継税制の交錯点

評価ルールの見直しと事業承継税制の適用期限が、いずれも令和9年(2027年)中に焦点を迎える構図となっている。

  • 評価ルール変更の施行時期がいつになるか(2027年中か、2028年以降か)
  • 評価ルール変更と事業承継税制の適用要件がどう整合するか
  • 適用期限到来後の事業承継支援制度が何になるか

これらの点は2026年12月頃公表見込みの2027年度税制改正大綱で明らかになると想定される。


今できる備え|5つのアクション

見直し内容が未確定の段階で過度な対応をとるのは得策ではない。しかし、「何も決まっていないから動かない」ことも事業承継の準備期間を考えれば得策ではない。以下は、2026年4月時点で中小企業オーナーが検討に値するアクションである。

1. 現行ルールでの自社株評価額を把握する

まず、現時点の評価ルールで自社株が1株当たり・総額でいくらに評価されるかを把握する。直近3期分の決算書をベースに、類似業種比準方式・純資産価額方式それぞれで試算するのが基本である。

2. 事業承継税制の適用可能性を検討する

2027年12月31日までに贈与・相続で承継を実行すれば、事業承継税制の特例措置が適用できる可能性がある。特例承継計画の提出期限(2027年9月30日)が先に到来する点に注意が必要である。

承継を前提とする場合、2026年中には:

  1. 後継者の確定
  2. 承継のシナリオ設計(贈与型か相続型か)
  3. 特例承継計画の作成と都道府県知事への提出
  4. 承継実行タイミングの決定

を順次進めておく必要がある。

3. 資産構成の健全性を点検する

「株特外し」目的で取得した資産、事業との関連性が薄い貸付用不動産など、税務上のリスクが指摘されやすい資産構成がないかを点検する。2027年度改正でこの種のスキームへの牽制が強化された場合、既存の構成が否認されるリスクに備える必要がある。

なお、令和8年度税制改正で決まった貸付用不動産の評価適正化(2027年1月1日以後の相続・贈与から適用)は、取得から5年以内の貸付用不動産等の評価を「取得価額ベース×80%」に変更するものであり、非上場株式の純資産価額方式にも間接的に波及する。

4. 事業承継以外の選択肢も並行して検討する

評価ルールが厳格化されれば、親族内承継・親族外承継(M&Aを含む)の相対的な有利不利が変わる可能性がある。M&Aによる第三者承継は、後継者難の解決策として近年増加しており、非上場株式の評価ルール見直しの影響を受けない形での事業の存続策となりうる。

中小企業庁「事業承継ガイドライン」や商工会議所の事業承継相談窓口、事業承継・引継ぎ支援センターも活用できる。

5. 税理士・専門家との相談タイミングを確保する

税制改正大綱は例年12月下旬に公表される。2027年度改正の内容が判明するのは、2026年12月頃になる見込みである。

  • 2026年6〜9月:自社株評価の試算、承継シナリオの整理
  • 2026年10〜12月:税制改正大綱のウォッチ、税理士との方向性すり合わせ
  • 2027年1〜3月:税制改正法案の動向確認
  • 2027年4〜9月:特例承継計画の提出(事業承継税制を使う場合)
  • 2027年10〜12月:承継実行の最終調整

というスケジュール感で、複数のチェックポイントを設けて段階的に対応を進めるのが現実的である。


関連する不動産・相続手続きの論点

非上場株式の評価と並行して、相続の実務では不動産関連の手続きも重要である。


よくある質問(FAQ)

Q: 2027年度税制改正で非上場株式の評価ルールは必ず変わりますか?

A: 2026年4月時点では未確定です。国税庁が専門委員会を設置し、2026年中に論点整理、2027年度税制改正での調整を目指す方針が報じられていますが、具体的な変更内容・施行時期は議論中です。専門委員会の議論の方向性次第では、抜本改正ではなく部分的な調整にとどまる可能性もあります。税制改正大綱(例年12月公表)を待って判断してください。

Q: 評価方式が見直されると、相続税は増えますか?

A: 日本経済新聞2026年4月15日朝刊の報道では、「一部は増税となる可能性がある」とされています。ただし、中小企業の円滑な事業承継を妨げないよう、配慮措置を含めた制度設計が議論されています。すべてのオーナー・後継者に一律に増税となるわけではなく、意図的な評価額引下げスキームを利用してきた層が主な対象となる見込みです。

Q: 事業承継税制の適用期限は2027年12月31日ですか?

A: はい、法人版事業承継税制の特例措置による贈与・相続の適用期限は、令和9年(2027年)12月31日です。令和6年度税制改正大綱でも「今後とも延長を行わない」とされており、現時点で延長の見込みはありません。ただし、特例承継計画の提出期限は令和8年度税制改正により令和9年(2027年)9月30日までに延長されています。

Q: 「株特外し」は今後できなくなりますか?

A: 財産評価基本通達189にすでに牽制規定があり、「課税時期前に合理的な理由なく資産構成に変動があり、株式等保有特定会社の判定を免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして判定する」とされています。2027年度改正では、このルールがより明確化・厳格化される可能性があります。合理的な事業目的のない資産組み替えは、現行ルールでもすでに否認リスクがあることを前提に、慎重に判断してください。

Q: 配当還元方式の10%という還元率は変わりますか?

A: 会計検査院および税務大学校の研究論文では、1964年の金利水準を参考にした固定10%の見直しが必要と指摘されています。2027年度改正の議論対象となる可能性はありますが、還元率変更は少数株主の取得価額に直接影響するため、実務への影響を踏まえた慎重な調整が必要です。確定情報ではありません。

Q: 自社株の評価を今すぐ下げる対策をすべきですか?

A: 制度見直しの方向性が未確定な現時点では、短期的な評価額圧縮だけを目的とした対策は推奨できません。むしろ、現行ルールでの評価額を正確に把握し、事業承継税制の適用可能性を検討し、承継シナリオを複数用意しておくことが重要です。税理士への早期相談により、2027年12月31日という事業承継税制の期限を踏まえた実行スケジュールを設計してください。


今後のウォッチポイント

2027年度税制改正に向けた今後の主なマイルストーンは次のとおりである。

時期 想定されるイベント
2026年4月〜 国税庁専門委員会の設置・議論開始
2026年夏〜秋 各種業界団体・税理士会からの意見表明、論点整理の進展
2026年11月頃 政府税制調査会・与党税制調査会での議論本格化
2026年12月 2027年度税制改正大綱の公表(方向性が固まる見込み)
2027年1〜3月 関連法案の国会審議・成立
2027年中〜2028年 通達改正・施行(適用開始時期は未定)

中小企業オーナー・税理士・M&A関係者は、次のような情報源を継続的にウォッチすることが有益である。

  • 国税庁ウェブサイト: 専門委員会の議事・通達改正情報
  • 財務省「税制改正の大綱」: 例年12月下旬公表
  • 中小企業庁「事業承継ガイドライン」: 事業承継制度の全体像
  • 日本税理士会連合会: 税制改正に関する建議・意見書

今すぐやることチェックリスト

  • [ ] 自社株の現行評価額を試算する(類似業種比準方式・純資産価額方式それぞれ)
  • [ ] 事業承継税制の適用可能性を確認する(特例承継計画の提出期限:2027年9月30日)
  • [ ] 後継者を確定し、承継シナリオ(贈与型・相続型・M&A)を検討する
  • [ ] 資産構成を点検する(株特外しリスクのある構成がないか、貸付用不動産の保有状況など)
  • [ ] 2026年12月公表の2027年度税制改正大綱をウォッチする
  • [ ] 税理士との相談タイミングを確保する(最低でも四半期ごとのレビューを推奨)
  • [ ] 事業承継・引継ぎ支援センター等の公的窓口の活用を検討する(特に後継者不在の場合)


免責事項

本記事は2026年4月時点で公表されている国税庁・財務省・中小企業庁・会計検査院の資料、税務大学校の研究論文、日本経済新聞等の報道に基づく解説記事です。2027年度税制改正の具体的内容は本稿執筆時点で未確定であり、今後の議論により方向性が変わる可能性があります。また、個別の税務判断は、会社の規模・資産構成・後継者の有無等により大きく異なります。最終的な税務判断は必ず税理士にご相談ください


出典・参考資料:

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。