相続登記義務化2024年|3年以内の期限・過料・申請手順をわかりやすく解説

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相続登記義務化2024年|3年以内の期限・過料・申請手順をわかりやすく解説
目次

最終更新日: 2026年5月

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2024年4月1日に施行された改正不動産登記法により、相続によって不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならない。正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料の対象となる。施行から約2年が経過した2026年5月時点、施行前に発生した相続の経過措置期限である2027年3月31日まで残り約10ヶ月となり、駆け込み申請が全国の法務局で急増している。未対応の方は法務局・司法書士の混雑が本格化する前に早急に手続きを進める必要がある。本記事では、義務化の全体像から具体的な申請手順、相続人申告登記の活用方法、2026年5月時点の進捗・混雑状況まで体系的に解説する。


【まとめ表】相続登記義務化の要点

項目 内容
施行日 2024年4月1日
申請期限 相続の開始および不動産取得を知った日から3年以内
過料 正当な理由なく期限超過の場合、10万円以下
過去の相続 2027年3月31日までに申請が必要
簡易手続き 相続人申告登記(登録免許税不要)
登録免許税 固定資産税評価額の0.4%(免税措置あり)

相続登記義務化の概要|なぜ義務化されたのか

背景:所有者不明土地問題

国土交通省の調査によれば、所有者不明土地は国土の約24%に上ります。相続が発生しても登記が行われず、世代を重ねるごとに相続人が増加し、不動産の利活用や公共事業が困難になるケースが全国で多発していました。

この問題を解消するため、「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)により不動産登記法が改正され、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。

義務の内容

相続(遺言を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をしなければなりません(不動産登記法第76条の2)。

遺産分割協議が成立した場合は、その成立日から3年以内に、遺産分割の内容に基づく登記を申請する義務があります。


3年以内の期限と遡及適用|過去の相続はいつまで?

新規相続の場合

2024年4月1日以降に発生した相続については、相続の開始および不動産取得を知った日から3年以内が申請期限です。

過去の相続の場合(遡及適用)

施行日より前に発生した相続で、まだ相続登記をしていない場合も義務化の対象です。この場合の期限は以下のいずれか遅い日です。

条件 期限
施行日(2024年4月1日)から3年 2027年3月31日
不動産の取得を知った日から3年 個別に異なる

多くのケースでは2027年3月31日が実質的な期限となります。


10万円以下の過料|適用条件と手続きの流れ

過料が科される条件

正当な理由がないにもかかわらず、期限内に相続登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となります(不動産登記法第164条)。

過料までの流れ

過料は即座に科されるわけではなく、以下のプロセスを経ます。

ステップ 内容
1 法務局の登記官が義務違反を把握
2 相続人に対し、相当期間を定めて催告
3 催告期間内に申請がなければ、管轄地方裁判所に通知
4 裁判所が過料の要否と金額を決定

「正当な理由」として認められる5類型

法務省通達(令和5年9月12日付法務省民二第927号)では、以下の事情がある場合は「正当な理由」と認められるとしています。

# 正当な理由の類型
1 相続人が極めて多数で、戸籍収集・相続人把握に多くの時間を要する
2 遺言の有効性や遺産の範囲が争われており、帰属が確定しない
3 義務者自身に重病その他これに準ずる事情がある
4 DV被害等により避難中で、生命・心身に危害のおそれがある
5 経済的に困窮しており、申請費用の負担能力がない

これら5類型に該当しない場合でも、個別事情に応じて正当性が認められるケースがあります。正当な理由がある場合は、法務局に申告すれば過料通知は行われません。


相続人申告登記|遺産分割前でも義務を果たせる簡易手続き

制度の概要

遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人が多く書類収集に時間がかかる場合に活用できるのが相続人申告登記です。自らが相続人であることを法務局に申し出るだけで、相続登記の申請義務を履行したとみなされます。

通常の相続登記との比較

項目 相続登記 相続人申告登記
登録免許税 固定資産税評価額の0.4% 不要(0円)
必要な戸籍 被相続人の出生〜死亡+相続人全員分 申出人と被相続人の関係がわかる分のみ
法定相続分の確定 必要 不要
他の相続人の協力 必要な場合あり 単独で申出可能
不動産の処分(売却等) 可能 不可(別途相続登記が必要)
申出方法 窓口・郵送・オンライン 窓口・郵送・オンライン

必要書類

相続人申告登記の申出に必要な書類は、通常の相続登記よりも大幅に少なくなっています。

  1. 申出書(法務省ホームページに様式あり。「かんたん登記・供託申請」でWebブラウザ上から作成・送信も可能)
  2. 申出人が被相続人の相続人であることがわかる戸籍謄本等(法定相続情報一覧図の写し、または戸籍電子証明書提供用識別符号で代替可能)
  3. 申出人の住所を証する書面(住民票の写し等。ただし、申出書にふりがな・生年月日を記載した場合は省略可能)
  4. 委任状(代理人が手続きする場合のみ)


相続登記の必要書類一覧と手続きの流れ

必要書類

通常の相続登記(遺産分割協議に基づく場合)に必要な書類は以下のとおりです。

# 書類 取得先 費用目安
1 登記申請書 自身で作成(法務局HPに様式あり) 0円
2 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等 本籍地の市区町村 1通450〜750円
3 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) 最終住所地の市区町村 1通200〜400円
4 相続人全員の現在の戸籍謄本 本籍地の市区町村 1通450円
5 遺産分割協議書 自身で作成 0円
6 相続人全員の印鑑証明書 住所地の市区町村 1通200〜400円
7 不動産を取得する人の住民票の写し 住所地の市区町村 1通200〜400円
8 固定資産評価証明書(または課税明細書) 不動産所在地の市区町村 1通200〜400円
9 収入印紙(登録免許税分) 法務局・郵便局 評価額の0.4%

手続きの流れ

相続登記の一般的な手続きの流れは、以下の6ステップです。

ステップ 内容 所要期間目安
1 相続人の確定(戸籍収集) 2週間〜2か月
2 相続財産の調査(不動産の特定) 1〜2週間
3 遺産分割協議の実施・協議書の作成 数週間〜数か月
4 必要書類の収集・登記申請書の作成 1〜2週間
5 法務局への申請 1日
6 登記完了(法務局での処理) 1〜2週間

申請方法

法務局への申請は、以下の3つの方法があります。

方法 特徴
窓口申請 不動産所在地を管轄する法務局に直接持参。書類の不備をその場で確認できる
郵送申請 管轄法務局宛に書留郵便で送付。返送用封筒(切手付き)を同封する
オンライン申請 「申請用総合ソフト」を使用。電子署名が必要だが、添付書類は別送(郵送)可能

相続登記を済ませた後の不動産売却手順については、相続した不動産の売却方法(売れる家ナビ)で税金・手続きを含めて解説されています。


費用の目安|登録免許税と免税措置

登録免許税の計算方法

相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額 × 0.4%(1000分の4)で計算します。

計算例: 固定資産税評価額2,000万円の土地の場合
– 2,000万円 × 0.4% = 8万円

免税措置(2027年3月31日まで)

以下の場合、登録免許税が免除されます。

免税措置 条件 期限
100万円以下の土地 固定資産税評価額が100万円以下の土地の相続登記 2027年3月31日まで
数次相続の中間登記 相続人が相続登記前に死亡した場合の中間登記 2027年3月31日まで

免税措置を受けるには、登記申請書に根拠条項(租税特別措置法第84条の2の3第1項または第2項)を記載する必要があります。

費用の全体像

費目 金額の目安
登録免許税 固定資産税評価額の0.4%
戸籍謄本等の取得費用 3,000〜10,000円程度(相続人数・転籍回数による)
司法書士報酬(依頼する場合) 6〜12万円程度(一般的な相場)
合計(自分で行う場合) 登録免許税+実費1万円前後

2026年5月時点の進捗状況|施行から2年で何が変わったか

施行から約2年が経過した2026年5月時点での、相続登記義務化に関する制度運用の最新動向を整理します。なお、件数等の数値は法務省・法務局からの直近公表値を参照しており、最新値は出典先で確認してください(公表値要確認)。

相続登記・相続人申告登記の申請動向

法務省の公表によれば、義務化の施行以降、相続登記の申請件数は施行前と比較して明確に増加傾向にあります。特に、遺産分割協議がまとまっていない相続人が暫定的な義務履行手段として用いる相続人申告登記の利用が急速に伸びており、施行初年度(2024年度)の利用件数は当初想定を上回るペースで推移したと報じられています(具体的な件数は法務省「相続登記の申請義務化について」の最新統計を要確認)。

区分 動向(2026年5月時点)
相続登記(通常) 施行前比で増加。経過措置期限を見据え、過去の相続案件の駆け込み申請が顕在化
相続人申告登記 利用が定着。単独申出・登録免許税不要のため、遺産分割未了案件で広く活用
所有不動産記録証明制度 2026年2月開始。被相続人の不動産漏れ防止策として相続実務で標準化が進む

地方法務局の対応状況

全国の法務局・支局では、義務化に伴う相談件数の増加に対応するため、相談予約枠の拡充や手続きハンドブックの配布、オンライン申請(申請用総合ソフト)の利用促進が進められています。一方、相談予約は数週間〜1ヶ月待ちの法務局も出ており、特に都市部では混雑が常態化しつつあります。

未登記不動産の駆け込み申請見込み

2027年3月末の経過措置終了を控え、過去数十年放置されてきた未登記不動産の申請が顕在化しています。特に、以下のような案件で駆け込みが集中する傾向です。

  • 祖父母世代の代から未登記のまま放置された数次相続案件
  • 相続人が10名以上に及ぶ大規模な共有不動産
  • 被相続人が複数の都道府県に不動産を所有していたケース(所有不動産記録証明制度の活用で発覚するパターン)

専門家への依頼が増えている時期感

司法書士業界では、2025年後半以降、相続登記の依頼件数が増加傾向にあり、地域によっては受任から登記完了まで3〜6ヶ月を要するケースも出ています。2026年内に司法書士へ依頼しないと、2027年3月末の経過措置期限に間に合わない可能性が高まる「依頼の実質締切」は2026年秋頃と考えるのが安全です。


経過措置終了(2027年3月末)まで10ヶ月|駆け込みリスクと早期着手の必要性

2026年5月時点で、施行前に発生した相続の経過措置期限である2027年3月31日まで残り約10ヶ月です。この10ヶ月は、書類収集・遺産分割協議・登記申請という一連の手続きを考えると、決して長い期間ではありません。

法務局・司法書士の混雑予測

過去の制度移行事例(マイナンバー制度開始時、自動車登録制度変更時等)を踏まえると、義務化の経過措置期限直前には以下のような混雑が予想されます。

時期 予想される状況
2026年5〜8月 比較的余裕あり。司法書士・法務局ともに通常対応可能
2026年9〜12月 駆け込み相談が増加。司法書士の受任が困難になり始める
2027年1〜3月 混雑ピーク。法務局窓口は予約困難、司法書士は受任停止の事務所も出る可能性

過料5万円超の現実的リスク(10万円以下)

「過料は実際には科されないのでは」と考える人もいますが、義務化の認知が進むにつれて法務局の対応も厳格化する見込みです。特に、以下のような場面で未登記が発覚し、過料通知につながる可能性があります。

  • 不動産売却時に登記簿が古いままで売却手続きが進まない
  • 相続税の税務調査で被相続人名義の不動産が判明
  • 別の相続人が単独で登記申請を行い、未申請の相続人が把握される
  • 自治体の固定資産税課税業務での確認

早めに動くべき5つの理由

  1. 戸籍収集に想定外の時間がかかる:転籍が多い被相続人の場合、出生から死亡までの戸籍を揃えるだけで2〜3ヶ月かかることがある
  2. 遺産分割協議は時間がかかる:相続人間で意見が分かれると、まとまるまで半年〜1年要するケースも珍しくない
  3. 司法書士の繁忙期を避けられる:2026年後半から受任難・費用上振れが予想される
  4. 法務局の混雑を避けられる:相談予約・申請補正対応がスムーズな時期に手続きを進められる
  5. 正当な理由の申告も準備に時間が必要:5類型の「正当な理由」を申告する場合も、事情を裏付ける書類準備に時間を要する

2026年に始まった関連制度

相続登記義務化と合わせて、以下の新制度も活用できます。

制度 施行日 内容
所有不動産記録証明制度 2026年2月2日 被相続人名義の不動産を全国一括で確認可能(手数料1通1,600円)
住所・氏名変更登記の義務化 2026年4月1日 住所・氏名変更から2年以内に変更登記が必要(5万円以下の過料)
スマート変更登記 2026年4月1日 事前申出により、法務局が職権で住所変更登記を実施

相続不動産の売却ガイド

相続登記の完了後、売却を検討する方へ。


よくある質問(FAQ)

Q: 相続登記の義務化はいつから始まりましたか?

A: 2024年(令和6年)4月1日から施行されています。改正不動産登記法に基づき、相続により不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。

Q: 過去に相続した不動産も対象ですか?期限はいつですか?

A: はい、施行前に発生した相続も対象です。2024年4月1日から3年後の2027年3月31日が実質的な期限となります。何十年前の相続であっても、登記が未了であれば義務化の対象です。

Q: 遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればよいですか?

A: 相続人申告登記を活用してください。自らが相続人であることを法務局に申し出るだけで、申請義務を履行したとみなされます。登録免許税も不要で、必要書類も少なく、単独で手続きできます。ただし、遺産分割成立後は改めて3年以内に正式な相続登記が必要です。

Q: 相続登記をしないとどうなりますか?

A: 正当な理由なく期限を過ぎると、法務局から催告を受け、それでも対応しなければ10万円以下の過料の対象となります。過料に加え、不動産の売却・担保設定ができない、固定資産税の通知が届かない、さらに相続が重なり手続きがより複雑化するといったデメリットがあります。

Q: 相続登記は自分でできますか?費用はどのくらいですか?

A: 自分で申請することは可能です。法務局の窓口で相談もできます。費用は、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)+戸籍等の取得実費(数千〜1万円程度)です。司法書士に依頼する場合は、別途6〜12万円程度の報酬がかかるのが一般的です。

Q: 所有不動産記録証明制度とは何ですか?

A: 2026年2月2日に開始された新制度で、法務局に申請することで、特定の人が所有する全国の不動産を一覧化した証明書を取得できます。手数料は窓口で1通1,600円です。被相続人がどこに不動産を持っているかわからない場合に非常に有効で、相続登記の漏れ防止に役立ちます。

Q: 相続人申告登記をした後、遺産分割が成立したらどうすればよいですか?

A: 遺産分割の成立日から3年以内に、遺産分割の内容を反映した正式な相続登記を申請する必要があります。相続人申告登記はあくまで暫定的な措置であり、最終的には正式な登記が必要です。


今すぐやることチェックリスト

  • [ ] 相続登記が未了の不動産がないか確認する(所有不動産記録証明制度を活用)
  • [ ] 期限を確認する(過去の相続は2027年3月31日、新規相続は取得を知った日から3年以内)
  • [ ] 戸籍謄本等の収集を開始する(広域交付制度を利用して最寄りの窓口で取得)
  • [ ] 遺産分割協議が未了の場合は相続人申告登記を検討する(期限内の暫定措置として有効)
  • [ ] 固定資産評価証明書を取得し、登録免許税を試算する(100万円以下の土地は免税措置あり)
  • [ ] 法務局の窓口相談を予約する(予約制の法務局が多いため事前確認を推奨)
  • [ ] 遺産分割成立後は3年以内に正式な相続登記を完了する(相続人申告登記で安心しない)


出典・参考資料:

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。