市販薬の購入ルール|指定濫用防止医薬品とは?ブロン・メジコン・ドリエルで何が変わったか

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
市販薬の購入ルール|指定濫用防止医薬品とは?ブロン・メジコン・ドリエルで何が変わったか
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最終更新日: 2026年10月4日

結論から言うと、2026年5月1日から、咳止め・かぜ薬・鼻炎薬・鎮静薬・睡眠改善薬などの一部は「指定濫用防止医薬品」(乱用されるおそれがあるとして国が指定した市販薬)になり、買うときに年齢や他店での購入状況などを聞かれるようになりました。商品が禁止されたわけではなく、18歳以上が小容量の商品を1個買う場合は、従来どおり買えます。変わったのは「18歳未満は小容量を1個まで」「大容量や複数個は、理由の確認と薬剤師等による説明が必要」「ネット通販でも年齢確認が必要」という点です。

「ブロン 販売中止」「ドリエル 購入制限」「メジコン 販売規制」と検索して、この記事にたどり着いた方も多いと思います。この記事では、法律の条文、厚生労働省の告示(国が決めるルールの公示)と通知、メーカーの公式ページだけを根拠に、買う側の目線で整理します。薬局やドラッグストアを経営する側の対応は、別記事の薬機法改正2026わかりやすく|指定8成分と登録販売者の対応チェックで詳しく解説しています。

この記事の位置づけ 2026年10月4日時点で確認できた法令・告示・通知・メーカー公式ページに基づく一般的な情報提供です。個別の商品が購入できるかどうかは、店舗の薬剤師・登録販売者(薬を売る国家資格者)が、その場で判断します。


結論|買う前に知っておきたい5つのこと

  1. 対象は8つの成分を含む内服の市販薬。 商品名ではなく「成分」で決まります。外用薬(湿布、塗り薬、点眼薬、のど用のトローチなど)は対象外です。
  2. 年齢の線引きは「18歳」。 20歳ではありません。18歳未満は、小容量の商品を1個だけ、薬剤師等から説明を受けた上で買えます。
  3. 18歳以上でも、大容量の商品や複数個を買うときは、買う理由を聞かれ、説明を受けます。 理由に納得がいかなければ売ってもらえないことがあります。
  4. ネット通販でも買えますが、年齢確認と、必要に応じたビデオ通話での説明があります。 電話やチャットだけでは足りません。
  5. 「販売中止」ではありません。 ブロン・メジコン・ドリエルについて、製造販売元の販売中止の告知は、私たちが確認した範囲では見つかりませんでした(詳しくは後の章)。ただし、ネット通販の一部の店が、対応が難しいとして自店での取り扱いをやめた例は確認できました。

何が変わったのか|法律の名前と施行日

この制度は、2025年5月21日に公布された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第37号)でつくられました。薬機法(薬局や医薬品の売り方などを定める法律。正式名称は上記の長い名前)の第36条の11が、指定濫用防止医薬品の売り方を定めています。

条文は、薬局や店が指定濫用防止医薬品を売るときに、次のことを求めています(e-Gov法令検索・2026年5月1日時点の条文)。

  • 薬剤師または登録販売者に、書面を使って必要な情報を提供させること(第1項)
  • 売る前に、ほかの薬や医薬品の使用状況などを確認させること(第2項)
  • 国が決めた数量を超える量や、国が決めた年齢に満たない人には、原則として売ってはならないこと(第3項)。ただし、薬剤師等が「対面等」(会って、またはビデオ通話などで)説明をした場合は例外がある
  • 情報提供ができない場合など、適正な使用が確保できないと認められる場合は、売ってはならないこと(第4項)

また、第57条の2第4項で、店は指定濫用防止医薬品を、省令で定める方法で陳列することが義務づけられています。

施行日は2026年5月1日です。国の通知(令和8年2月13日付 医薬発0213第1号)が、指定の告示を「令和8年5月1日から適用」と明記しています。

改正前と改正後の比較

項目 改正前 改正後(2026年5月1日〜)
呼び名 濫用等のおそれのある医薬品 指定濫用防止医薬品
対象成分 6成分 8成分(デキストロメトルファンとジフェンヒドラミンが加わった)
指定の根拠 薬機法施行規則(省令)に基づく大臣指定の通知 薬機法第36条の11に基づく厚生労働大臣の告示(令和8年厚生労働省告示第32号)
売り方のルール 本記事では確認していない(旧通知は廃止された) 年齢・数量による制限、情報提供、確認、陳列を薬機法と省令で定める
商品の表示 - 外箱などに「要確認」の表示(省令第209条の4)

「改正前に6成分だった」ことは厚生労働省の解説ページに、「旧通知(令和5年2月8日付)を令和8年5月1日付で廃止する」ことは上記の通知に書かれています。改正前の売り方の細かいルールは、この記事では確認していません。


対象になる8つの成分

告示(令和8年厚生労働省告示第32号)の適用を知らせる通知は、指定濫用防止医薬品を「次の成分、その水和物(水を含んだ形)、それらの塩類(成分が塩の形になったもの)を有効成分として含有する製剤」と定めています。

成分名 主に使われる市販薬の種類(目安)
エフェドリン 咳・ぜんそく用など
コデイン 咳止め
ジヒドロコデイン 咳止め、かぜ薬
ジフェンヒドラミン 睡眠改善薬、かぜ薬、鼻炎薬、アレルギー薬
デキストロメトルファン 咳止め、かぜ薬
プソイドエフェドリン かぜ薬、鼻炎用内服薬
ブロモバレリル尿素 解熱鎮痛薬、鎮静薬
メチルエフェドリン 咳止め、かぜ薬、鼻炎用内服薬

※右の欄は成分の主な使われ方を示す目安です。告示そのものには薬の種類は書かれていません。

押さえておきたい例外が3つあります(同じ通知)。

  • 外用剤は対象外。 口の中で使うトローチ、吸入剤、点眼薬、点鼻薬、坐薬、塗り薬、貼り薬などは含まれません。
  • 生薬が主成分の製剤は対象外。 指定濫用防止医薬品は、指定された成分を有効成分とする製剤で、「生薬を主たる有効成分とする製剤は含まない」とされています。
  • ジヒドロコデインセキサノール、リン酸ヒドロコデインセキサノールを使った製剤は対象。 通知が「ジヒドロコデインを含む混合物であるため、指定濫用防止医薬品となる」と明記しています。

自分の持っている薬が対象かどうかは、箱の「成分・分量」の欄で、上の8つの名前(や、その塩の名前。たとえば「ジヒドロコデインリン酸塩」)があるかを見ます。外箱には「要確認」の表示があります(後述)。


買うときのルール|年齢・数量・確認の中身

18歳が境目

省令(薬機法施行規則)第159条の18の6第2項は、年齢を18歳と定めています。「20歳未満」ではありません。

買う人 小容量の商品(1個) 大容量の商品、または複数個
18歳未満 買える(薬剤師等が対面等で説明。氏名の確認あり) 買えない
18歳以上 買える 薬剤師等が対面等で説明し、理由を確認した上で、買える場合がある

この表は、薬機法第36条の11第3項、省令第159条の18の5・18の6、国の通知(令和7年12月26日付 医薬発1226第16号)から作りました。

表の「買える」は、何も聞かれずに買えるという意味ではありません。18歳以上が小容量の商品を1個買う場合でも、次の「買うときに聞かれること」にある年齢やほかの薬の使用状況などの確認と、書面(掲示物などでもよい)による説明は行われます。

「小容量」と「大容量」の線引き

何が小容量かは、告示(令和8年厚生労働省告示第33号。その適用を知らせる令和8年2月13日付 医薬発0213第2号)が決めています。1つの包装が、用法・用量どおりに飲んだときの日数で何日分までかで決まります。

成分 小容量の上限(1包装)
エフェドリン 5日分
コデイン 5日分
ジヒドロコデイン 5日分(かぜ薬としての効能・効果がある製剤は7日分)
ジフェンヒドラミン 5日分(かぜ薬としての効能・効果がある製剤は7日分)
デキストロメトルファン 5日分(かぜ薬としての効能・効果がある製剤は7日分)
プソイドエフェドリン 5日分(かぜ薬または鼻炎用内服薬としての効能・効果がある製剤は7日分)
ブロモバレリル尿素 5日分(解熱鎮痛薬としての効能・効果がある製剤は7日分)
メチルエフェドリン 5日分(かぜ薬または鼻炎用内服薬としての効能・効果がある製剤は7日分)

日数の数え方にもルールがあります。年齢で用法・用量が違う薬は、1日あたりの量が最も多い年齢の飲み方で日数を数えます。必要なときに飲む薬(頓用)は、1日の最大使用量で数えます。

「複数個」の考え方

同じ通知は、「同一指定成分を含有する異なる製品を一つずつ販売する場合にあっても、複数個の販売に該当する」としています。つまり、同じ成分を含む別々の商品を1個ずつ買っても「複数個」です。

一方、違う成分を含む商品を1個ずつ買う場合は、告示が定める数量を超えた販売にはあたらないとされています。ただし通知は、乱用を防ぐ観点から、組み合わせによっては購入理由などを確認した上で判断するのが適当としています。たとえば、咳止めと睡眠改善薬を別々の成分で1個ずつ買う場合でも、店の判断で確認されることはあり得ます。

買うときに聞かれること

省令第159条の18の5が、店が確認する事項を定めています。主なものは次のとおりです。

  • 年齢(18歳未満の場合は氏名も)
  • ほかの薬や医薬品を使っているか
  • その商品と、ほかの指定濫用防止医薬品を、これまでにどう買ったか(ほかの店での購入を含む)
  • 大容量や複数個を買う場合は、その理由
  • 適正な使用のための購入であることを確認するために必要なこと

あわせて、店は「濫用をした場合に健康被害が起きるおそれがある」ことを、書面(掲示物やフリップ、商品の包装の表示でもよい)を使って説明し、説明を理解したか、質問はないかを確認する決まりです(省令第159条の18の2、通知)。

年齢の確認については、通知が次のように述べています。

  • 対面で、外見などから18歳以上であることが明らかな場合は、本人の申告でも差し支えない
  • 外見などで明らかとは言えない場合は、できるだけ身分証の提示や、登録済みの会員情報の活用などを行うのが適当
  • 18歳以上と確認できても、高校生などの場合は、入念な確認を行うなど、制度の趣旨を踏まえた対応が望ましい

つまり、「顔つきで大丈夫そうだから聞かれなかった」ことも、「身分証を求められた」ことも、どちらも通知の想定の範囲内です。

「理由」は何を言えばいいのか

大容量や複数個を買う理由として、厚生労働省の質疑応答集(令和8年1月30日付)は、次のような例を挙げています。

  • 家庭の常備薬として買う
  • 自分や、同じ症状の家族が使うために買う
  • 長期の海外赴任や海外旅行に持っていくために買う

また、かぜ薬とアレルギー薬のように、薬効の違う薬を、別々の症状のために買う場合は、薬剤師等が問題ないと判断できることもあるとされています。ただし、理由を言えば必ず買えるわけではなく、示された理由に照らして数量が適切かを、薬剤師等が確認して判断します。


店頭で見える変化|陳列と表示

棚の置き方

省令第218条の5により、第二類・第三類医薬品の指定濫用防止医薬品は、店が次のどちらかの方法で陳列します。

  1. 専用の区画の中の棚に置く。ただし、鍵のかかった棚など、お客さんが直接手に触れられない棚に置く場合は、区画の中でなくてもよい
  2. 薬の情報を提供する設備から7メートル以内に置き、そこに薬剤師または登録販売者を継続的に配置する

店によって、レジ裏に置いてあったり、棚には空箱や商品カードだけが置いてあったりするのは、このためです。質疑応答集は、空箱や商品カードを陳列することは可能で、実物を直接手の届かない場所に置いていれば第1号に適合するとしています。

外箱の「要確認」

省令第209条の4は、指定濫用防止医薬品の外箱などに「要確認」と表示することを定めています。大容量の商品(国が定めた数量を超える内容量のもの)は、「要」の文字を囲んで表示します。

ただし、経過措置(切り替えのための猶予)があります。改正法(令和7年法律第37号)の附則第8条により、施行日(2026年5月1日)時点で従来の表示に適合していた医薬品が、施行日から1年以内に製造販売された場合は、施行日から3年間は従来の表示のままでも適合とみなされます。店頭に「要確認」の表示がない対象商品が並んでいても、すぐに違法とは言えません。


ネット通販ではどうなる?

通信販売(特定販売:ネットや電話など、店に来ていない人に向けて売る方法)でも、指定濫用防止医薬品は買えます。ただし、年齢確認と情報提供の方法に条件があります。国の通知(令和7年12月26日付 医薬発1226第16号)の内容は次のとおりです。

  • 「対面等」には、対面のほか、映像と音声で相手の状態をお互いに確認しながら通話できる方法(いわゆるビデオ通話)が含まれる。電話だけ、書面のやりとりだけ、チャットだけは含まれない
  • 年齢確認は、身分証等で確認済みのアカウントの認証などで行える。本人が購入することを規約で求めている場合に限る
  • 質疑応答集では、年齢確認の例として、身分証のアップロード、マイナンバーカードを使った認証、通信事業者の契約情報による認証が挙がっている
  • クレジットカードを決済手段に限定して年齢を確認する方法も可能とされるが、18歳未満でも持てるプリペイドカードなどが使える状態では、年齢確認にならない場合がある
  • 18歳以上が小容量の商品を買う場合は、サイトでの入力内容(年齢、数量、購入目的など)を薬剤師等が確認して問題がなければ、ビデオ通話などの対面等による説明なしで販売できる設計も認められている。ただし、ボタンを押すだけで「問題なし」になる選択式の入力は避けるべきとされている

購入者の側から見ると、ネットで注文しても、年齢確認の書類提出や、ビデオ通話の予約を求められることがあるということです。

一部の通販サイトが取り扱いをやめた例

アスクルは、2026年4月17日付のお知らせ(アスクル公式サイト)で、「現状のアスクルWebサイトのシステムでは『指定濫用防止医薬品』を法令に則って適正に販売・管理することが困難であると判断した」として、同サイトでの指定濫用防止医薬品の販売中止を告知しました(最終注文受付日は2026年4月28日18時)。これは通販事業者が自社サイトで決めた取り扱い中止で、その医薬品が法律で売れなくなったという意味ではありません。同じ薬を、別の薬局やドラッグストア、メーカーの直販サイトなどで購入できる場合があります。

なお、緊急避妊薬など一部の薬は、オンライン販売の対象から外れています。要指導医薬品のオンライン販売との違いは、緊急避妊薬の薬局販売2026で解説しています。


「ブロン」「メジコン」「ドリエル」はどうなった?

商品名で検索する方が多いため、メーカーの公式ページで確認できた範囲を整理します。確認日は2026年10月4日です。

確認のしかた(先に読んでください)

  • 商品が指定濫用防止医薬品かどうかは、成分で決まります。メーカーの公式ページの成分欄を、告示の8成分と照らし合わせました。
  • 「販売中止」と書くのは、メーカーが公式に発表した場合に限ります。メーカーの公式ページが販売中の商品として掲載していれば、それを事実として書きます。

ブロン(エスエス製薬)

製造販売元はエスエス製薬(SSP)です。SSPの公式ページに載っている、エスエスブロン錠と新ブロン液エースの成分欄には、ジヒドロコデインリン酸塩30mgが記載されています。ジヒドロコデインは告示の指定成分で、その塩類も含まれるため、告示の定義に当てはまります。ジヒドロコデインは、改正前の6成分にも入っていました(厚生労働省の解説ページ)。

SSPの公式ページには、次のとおり購入のお願いが書かれています。

  • 販売量は、原則お一人様1個限り
  • 購入時に医師・薬剤師・登録販売者に症状を相談し、使用上の注意をよく読むこと
  • 大量使用の方、長期間連用されている方には販売しない

販売中止の告知は、SSPの公式ページに見当たりませんでした。 商品は現在も製品ページに掲載されています。「ブロン 販売中止」という検索は、通販サイトの取り扱い中止や、店頭での品薄・購入制限の話と混ざっている可能性があります。ただしこれは私たちの推測で、確認はできていません。

メジコン(シオノギヘルスケア)

「メジコンせき止め錠Pro」のシオノギヘルスケア公式ページの成分欄には、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物90mg(6錠中)が記載されています。告示の「デキストロメトルファン」は、その水和物と塩類を含むので、当てはまります。デキストロメトルファンは、2026年の指定で新しく加わった成分です。

同ページに、販売中止の記載はなく、通常の商品として掲載されています。同ページには、購入個数の制限についての記載も見当たりませんでした。個数は、前章の法令のルールで決まり、店によっても運用が違う場合があります。

ドリエル(エスエス製薬)

SSPの公式ページに載っているドリエルの成分は、ジフェンヒドラミン塩酸塩50mg(2錠中)です。ジフェンヒドラミンも、2026年の指定で新しく加わった成分です。

SSPの公式ページには、次のとおり書かれています。

  • 販売量はお一人様1個限り
  • 購入時に医師・薬剤師・登録販売者に症状を相談すること
  • 大量使用の方、長期間連用されている方には販売しない
  • 15才以上が対象。1日1回、就寝前に1回2錠

販売中止の告知は、同ページに見当たりませんでした。

「小容量・大容量」を計算してみると(参考)

告示の基準は「1日の用法・用量で何日分か」です。公式ページの用法・用量から、私たちが計算した目安を示します。公式な判定ではありません。実際の判定は、店が告示のとおり行います。

商品 公式ページの用法・用量 容量 日数の計算 告示の上限との比較
ドリエル 1回2錠・1日1回(15才以上) 6錠 3日分 5日以内(小容量の目安)
ドリエル 同上 12錠 6日分 5日を超える(大容量の目安)
メジコンせき止め錠Pro 1回2錠・1日3回(15才以上) 20錠 約3.3日分 5日以内(小容量の目安)
メジコンせき止め錠Pro 同上 40錠 約6.7日分 5日を超える(大容量の目安)

ドリエルとメジコンは、かぜ薬としての効能・効果を持たない商品なので、上限は5日分として計算しています。


なぜ規制されるのか|オーバードーズ対策

国の通知(令和7年12月26日付 医薬発1226第16号)の冒頭は、改正の趣旨を次のように説明しています。

若年者を中心に風邪薬等の一般用医薬品の濫用が拡大しており、濫用防止に関する周知・啓発等の取組に加えて、薬事規制の側面からも、多量・頻回購入の防止を徹底する必要がある

オーバードーズ(OD)とは、薬を決められた量より多く飲むことです。咳止めや風邪薬の成分には、飲みすぎると中枢神経(脳や脊髄)が興奮したり抑えられたりしたり、幻覚が出たりするおそれのあるものがあります。薬機法第36条の11は、そうした「濫用をした場合に中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚を生ずるおそれがあり、その防止を図る必要がある医薬品」を指定濫用防止医薬品としています。

通知は同時に、「社会的不安が背景にあるとの指摘もあり、社会的孤立への対策等も含め」幅広い関係者の連携が重要だとも述べています。そして、薬剤師や登録販売者には、支援が必要な購入希望者を支援につなぐ「ゲートキーパー」(悩んでいる人に気づき、相談先につなぐ人)としての役割も期待されています。

店で理由を聞かれたり、断られたりするのは、「疑われている」というより、薬を売る専門家が、必要な人に適切な量を渡すための確認という位置づけです。


買うときの注意点・落とし穴

1. 「店によって対応が違う」ように見えることがある

陳列の方法(専用区画、鍵付き棚、7メートル以内に専門家を置く方式)や、確認の進め方は、店ごとの手順書に基づいて決まります。同じ商品でも、店によって「レジで声をかけられる」「カウンターに行く」など流れが違います。法律の義務は同じです。

2. 薬剤師等がいない時間帯は買えないことがある

第36条の11第1項は、薬剤師または登録販売者に情報提供をさせることを求めています。専門家がいない時間帯は、指定濫用防止医薬品を売れない店があります。

3. 家族の分をまとめて買うとき

質疑応答集は、家庭の常備薬や家族の使用を理由の例に挙げています。ただし、数量が適切かどうかは、その場で薬剤師等が判断します。日ごろ飲む人の分だけを買う、箱数を絞るなど、理由と数量がつり合っていると話が早く済みます。

4. 同じ成分の薬を別々に買っても「複数個」

「ブランドが違うから別々にカウントされる」とは限りません。同じ成分を含む商品は、1個ずつでも複数個にあたります。

5. 18歳になったばかりの人、高校生の人

通知は、18歳以上と確認できても、高校生などの場合は入念な確認を行うなど、趣旨を踏まえた対応が望ましいとしています。身分証があると手続きが早く進みます。

6. 薬に頼りたくなるほどつらいとき

通知は、薬剤師等がゲートキーパーとして相談先を紹介することを想定しており、厚生労働省作成のリーフレット「~中高生のみなさんへ 薬のオーバードーズって何だろう~」を活用するよう例示しています。薬を買うために質問に答える場面は、悩みを話せる機会にもなります。つらいときは、一人で抱え込まず、薬剤師、かかりつけの医師、お住まいの地域の相談窓口に相談してください。


よくある質問(FAQ)

A

製造販売元のエスエス製薬の公式ページには、販売中止の告知が見当たらず、現在も製品として掲載されています(2026年10月4日確認)。ブロンに含まれるジヒドロコデインは指定濫用防止医薬品の成分なので、購入時の確認や個数の制限はありますが、「売ってはいけない薬」になったわけではありません。通販サイトの一部が、システム対応が難しいとして取り扱いをやめた例(アスクル)はあります。お探しの店で売っていない場合は、店の判断である可能性があります。

A

エスエス製薬の公式ページが、お一人様1個限りと案内しています。法律の面では、18歳未満は小容量を1個まで、18歳以上は大容量や複数個だと理由の確認と説明が必要です。ドリエルの成分ジフェンヒドラミンは、2026年の指定で加わった成分です。

A

「メジコンせき止め錠Pro」の成分デキストロメトルファンは、告示の指定成分です。そのため、購入時に年齢などの確認や説明があります。ただし、販売そのものは禁止されておらず、公式ページにも販売中止の記載はありません。

A

法律が決めている年齢は18歳です。18歳未満の人は、小容量の商品を1個だけ、薬剤師等から対面等で説明を受けた上で買えます。氏名の確認があります。大容量の商品や、複数個は買えません。

A

法律が一律に求めているのではなく、薬剤師等が年齢を確実に確認できるかで変わります。外見などから18歳以上と明らかな場合は、本人の申告でもよいとされます。判断がつかない場合は、身分証の提示などを求めるのが適当とされています。ネット通販では、身分証のアップロードなどによる年齢確認が一般的です。

A

指定濫用防止医薬品は、薬局や店舗で売る市販薬(一般用医薬品、要指導医薬品など)の制度です。病院で処方される薬は別の制度で、この記事の購入ルールの対象ではありません。なお、市販薬と同じ成分の処方薬について、2027年3月ごろから保険の自己負担が変わる見通しの制度は、別の法律の話です。詳しくは健康保険法等改正2026をわかりやすく解説をご覧ください。

A

次のような場合があります。年齢が確認できない、大容量・複数個を買う理由が薬剤師等に適切と判断されなかった、専門家による説明ができない、使用状況から適正な使用が確保できないと判断された(薬機法第36条の11第4項)、などです。断られたときは、理由を尋ねて、症状に合った別の薬を相談するのが近道です。


まとめ

指定濫用防止医薬品の制度は、2026年5月1日に始まりました。対象は、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ジフェンヒドラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、ブロモバレリル尿素、メチルエフェドリンの8成分を含む内服の市販薬です。

  • 年齢の線引きは18歳。18歳未満は小容量を1個まで
  • 18歳以上でも、大容量や複数個は、理由の確認と薬剤師等による説明が必要
  • ネット通販でも、年齢確認と、必要に応じたビデオ通話での説明がある
  • ブロン、メジコン、ドリエルは、成分が指定成分に当てはまるが、メーカーの販売中止の告知は見つからなかった

ルールの根拠は、薬機法第36条の11、同第57条の2第4項、薬機法施行規則、告示(令和8年厚生労働省告示第32号・第33号)と、国の通知です。店頭で質問されたときは、「必要な量を適切に渡すための確認」と受け止めていただければ十分です。

参考・出典

  • e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)第36条の11・第50条・第57条の2、附則第8条(2026年5月1日時点)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145
  • e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」第7条の2、第159条の18の2〜18の7、第209条の4、第218条の5(2026年5月1日時点)https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000100001
  • 厚生労働省医薬局長通知 医薬発0213第1号(令和8年2月13日)「第三十六条の十一第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬品(告示)の適用について」https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001655325.pdf
  • 厚生労働省医薬局長通知 医薬発0213第2号(令和8年2月13日)「施行規則第百五十九条の十八の六第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める数量(告示)の適用について」https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001655157.pdf
  • 厚生労働省医薬局長通知 医薬発1226第16号(令和7年12月26日)「指定濫用防止医薬品の販売等について」https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001628299.pdf
  • 厚生労働省医薬局総務課 事務連絡(令和8年1月30日)「指定濫用防止医薬品の販売等に係る質疑応答集(Q&A)について」https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001649556.pdf
  • 厚生労働省「令和7年の薬機法等の一部改正について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58083.html
  • 厚生労働省 政府広報オンライン関連解説「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容」https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html
  • エスエス製薬「ドリエル」「エスエスブロン錠」「新ブロン液エース」製品ページ https://www.ssp.co.jp/product/detail/drw/ / https://www.ssp.co.jp/product/detail/brt/ / https://www.ssp.co.jp/product/detail/bra/
  • シオノギヘルスケア「メジコンせき止め錠Pro」https://www.shionogi-hc.co.jp/wellness/medicine/mdjp.html
  • アスクル「2026年5月1日薬機法改正に伴う一部一般医薬品の販売中止について」https://www.askul.co.jp/shopnews/news_260417_drug.html
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