薬機法改正2026わかりやすく|5月1日施行済・指定8成分と有資格者の継続配置の対応チェック

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
薬機法改正2026わかりやすく|5月1日施行済・指定8成分と有資格者の継続配置の対応チェック
目次▼

最終更新日: 2026年10月4日

2026年5月1日施行の薬機法改正で、指定濫用防止医薬品の対象は従来6成分から8成分に拡大されました。ポイントは3つ:①年齢と数量の制限(薬機法第36条の11第3項)——18歳以上が小容量(1包装が告示の日数分以内)の商品を1個買う場合は通常どおり販売でき(年齢・他の薬の使用状況などの確認と書面による情報提供は必要)、大容量の商品や複数個の場合に限り、薬剤師または登録販売者が対面等(ビデオ通話を含む)で情報提供し、購入理由を確認したうえで販売可否を判断します。18歳未満は、小容量のみ、対面等の情報提供と氏名の確認が必要です。②陳列規制により、施行規則第218条の5が定める2つの方法(専用陳列区画内への陳列/情報提供設備から7m以内かつ有資格者の継続配置)のいずれかへの変更が義務。前者には「鍵をかけた陳列設備・直接手を触れられない陳列設備なら区画外でも可」というただし書きがある。③確認・情報提供の実施と、その手順を定めた「指定濫用防止医薬品販売等手順書」の作成(施行規則第159条の18の2〜18の7)。本記事は2025年5月21日公布・令和7年法律第37号をもとに実務対応を解説します。購入者向けの解説は市販薬の購入ルール|指定濫用防止医薬品とは?をご覧ください。

関連記事(薬局クラスター)
– 2026年調剤報酬改定をわかりやすくまとめ — 主要6変更・点数比較・薬局の対応
– 地域支援体制加算の全区分を徹底比較 — 後発品加算との統合再編で5区分に、点数・要件を一覧比較
– 管理薬剤師になる要件・年収相場2026 — 登録販売者の常駐要件など現場運用を監督する管理薬剤師の法定要件を解説
– 薬局規模別シミュレーション2026 — 月間300〜10,000枚の処方箋規模別・基本料区分別に収支を試算(全7ケース)
– 薬機法+報酬改定 並行対応ロードマップ — 3月〜7月の月別タイムライン
– 電子処方箋の薬局導入ガイド2026 — 加算8点の施設基準12項目・補助金27.7万円・導入期限は令和8年9月

薬局・ドラッグストア経営者向け関連トピック
– 障害者雇用率2.7%(2026年7月施行)の対応 — 常用労働者37.5人で雇用義務発生、薬局チェーンも対象
– 4〜6月残業と社会保険料の関係 — 店舗スタッフの標準報酬月額決定の落とし穴
– 小規模事業者持続化補助金2026年度版 — 中小薬局の店舗改装・販促・DX投資に活用

2026年5月1日、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部を改正する法律」(2025年5月21日公布)の主要規定が施行される。最大の柱は「指定濫用防止医薬品」制度の創設だ。コデイン・エフェドリン・デキストロメトルファン・ジフェンヒドラミンを含む8成分含有OTC薬に、薬局・ドラッグストアは法令上の義務として「年齢・数量の制限と確認・情報提供」「陳列規制」「販売等手順書の作成」に対応しなければならない。旧通知(令和5年2月8日付)に代わり、薬機法第36条の11と施行規則に根拠が置かれたこの改正、現場が取り組むべき実務対応を体系的に解説する。


改正の全体像|いつ何が変わるのか

2025年5月21日公布の改正薬機法は2段階で施行されます。2025年11月20日に本則が施行され、2026年5月1日に附則第1条第2号に掲げる規定が施行されました。薬局・ドラッグストアが対応すべき最重要規定である指定濫用防止医薬品制度(8成分・3義務)は、後者の2026年5月1日施行分です。要指導医薬品のオンライン販売(オンライン服薬指導による特定販売)も同じ2026年5月1日施行です。

施行スケジュール

2025年5月21日に公布された改正法は、段階的に施行される。

施行期日は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」で定められている。同政令の要綱(厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001580517.pdf )は次のとおり規定する。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和七年法律第三十七号)の施行期日は令和七年十一月二十日とし、同法附則第一条第二号に掲げる規定の施行期日は令和八年五月一日とすること。

施行日 根拠 主な内容
2025年11月20日 本則 医薬品の安定供給確保に関する規定等
2026年5月1日 附則第1条第2号 指定濫用防止医薬品制度(メイン規制)/要指導医薬品のオンライン販売

薬局・ドラッグストアが最も影響を受けるのは、2026年5月1日施行の指定濫用防止医薬品規制だ。

改正の3本柱

柱 内容 対象
1. 濫用防止対策の強化 指定濫用防止医薬品制度の創設 薬局・薬店・コンビニ等
2. 販売制度の整備 要指導医薬品のオンライン販売解禁 薬局
3. 承認制度の合理化 条件付き承認制度の拡充(ドラッグ・ラグ対策) 製薬企業・PMDA

💡 【実務ポイント】 薬局経営者が最優先で対応すべきは「1の濫用防止対策」だ。「3の条件付き承認」は主に製薬企業・PMDAが対応主体であり、薬局の日常業務への直接的影響は限定的。本記事では薬局実務に直結する「1」と「2」を中心に解説する。


改正の背景|なぜ今、OD対策が急務なのか

若年者オーバードーズの急増

2010年代後半から、日本では市販薬のオーバードーズ(OD)が深刻な社会問題として認識されるようになった。特に10〜20代の若年層において、風邪薬・咳止め・睡眠改善薬の大量服用による救急搬送件数が急増している。

厚生労働省の研究データによれば、ODによる救急搬送患者の多くが10代であり、「手軽に入手できる市販薬」が乱用対象となっている実態が浮き彫りになった。

既存規制の限界

改正前は、「濫用等のおそれのある医薬品」として6成分が、厚生労働大臣指定の通知(令和5年2月8日付 薬生発0208第1号)で示されていた。この旧通知は、令和8年2月13日付の医薬発0213第1号により、令和8年5月1日付けで廃止された。

  • 根拠が変わった:通知ベースの指定から、薬機法第36条の11に基づく厚生労働大臣の告示(令和8年厚生労働省告示第32号)による指定へ移った
  • 指定成分が増えた:デキストロメトルファン(咳止めの成分)、ジフェンヒドラミン(睡眠改善薬などの成分)が新たに加わり、8成分になった

2025年の薬機法改正で、「指定濫用防止医薬品」が法律上の概念として位置づけられた。改正前の売り方の細かいルールは、本記事では確認していない。

⚠️ 【注意】 「濫用等のおそれのある医薬品(6成分)」の時代の管理方法を継続していても、2026年5月以降は法令に適合しない可能性がある。対象成分の拡大(8成分)と、根拠法令の変更を正確に把握する必要がある。


指定濫用防止医薬品とは|定義と対象8成分

法令上の位置づけ

「指定濫用防止医薬品」は、2025年改正薬機法により新設された概念だ。厚生労働大臣が指定する一般用医薬品(OTC医薬品)のうち、乱用されるおそれがあるとして特別な販売規制が適用されるものを指す。

法令根拠: 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)

対象8成分と代表的な市販薬

従来の「濫用等のおそれのある医薬品」は6成分だったが、2026年1月に厚生労働省の薬事審議会医薬品等安全対策部会での審議を経て、2成分が追加され計8成分に拡大された。

成分名 主な薬効 代表的な製品カテゴリ
コデイン 鎮咳(咳止め) 総合感冒薬、鎮咳去痰薬
ジヒドロコデイン 鎮咳(咳止め) 総合感冒薬、鎮咳去痰薬
エフェドリン 気管支拡張 鼻炎用内服薬、気管支炎薬
プソイドエフェドリン 鼻粘膜収縮 鼻炎用内服薬
メチルエフェドリン 気管支拡張 総合感冒薬、気管支炎薬
ブロモバレリル尿素 鎮静 鎮静薬、頭痛薬
デキストロメトルファン ★新規 鎮咳(中枢性) 咳止め、総合感冒薬
ジフェンヒドラミン ★新規 鎮静・抗ヒスタミン 睡眠改善薬、鼻炎薬

★:2026年改正で新たに追加

💡 【実務ポイント】 新規に加わったデキストロメトルファンは「メジコン」(シオノギヘルスケア)系の咳止め、ジフェンヒドラミンは「ドリエル」(エスエス製薬)系の睡眠改善薬に含まれる。一方、「ブロン」(エスエス製薬)の錠剤・液剤はジヒドロコデインを含み、これは改正前の6成分にも入っていた成分だ。商品名ではなく、外箱の成分欄で8成分に当たるかを確認して在庫を洗い出すこと。

⚠️ 【注意】 対象外になるのは次の2つだけだ(令和8年2月13日付 医薬発0213第1号)。①外用剤——告示は8成分すべてに「ただし、外用剤を除く」と付している。通知は外用剤に、口腔用錠剤(トローチ剤、バッカル錠等)、吸入剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、坐剤、膣錠、軟膏剤、貼付剤等を含むと示している。②「生薬を主たる有効成分とする製剤」。内服の液剤であることを理由に対象外になる、という定めは告示・通知にない。成分名だけでなく、外用剤か内服か、生薬主体の製剤かも確認して在庫を洗い出すこと。


販売制限の具体的内容|何が義務化されるのか

3つの新義務

改正法により、指定濫用防止医薬品の販売において、以下の3点が法的義務となる。

義務1:年齢・数量の制限と情報提供

根拠は薬機法第36条の11第3項。国が定める数量を超えて売ること、国が定める年齢(施行規則第159条の18の6第2項で18歳)に満たない者に売ることは原則禁止で、薬剤師または登録販売者が「対面等」で情報提供を行う場合に限り例外が認められる。数量は告示(令和8年厚生労働省告示第33号)が定め、1包装が、用法・用量でみて5日分(かぜ薬等の効能を持つ製剤など成分によっては7日分)を超えないものが上限だ。

購入者 小容量(1包装が告示の日数分以内)を1個 大容量、または複数個
18歳以上 通常どおり販売できる(情報提供と確認事項の確認は必要) 薬剤師または登録販売者が対面等で情報提供し、購入理由を確認したうえで、適切と判断できれば販売できる
18歳未満 薬剤師または登録販売者が対面等で情報提供し、氏名を確認したうえで販売できる 販売できない

出典は薬機法第36条の11第3項、施行規則第159条の18の5・18の6、医薬発1226第16号 第4の1(5)。同通知は「18歳以上の者に対しては、大容量製品又は複数個の指定濫用防止医薬品の販売に当たっては、対面等により情報提供を行うことが必要」と明記している。

年齢の確認方法(医薬発1226第16号 第4の1(4)①):対面で外見等から18歳以上であることが明らかな場合など、薬剤師等が確実に年齢を確認できるときは、自己申告でも差し支えない。外見等で明らかとは言えない場合は、可能な限り身分証の提示や登録済みの会員情報の活用などを行うことが適当とされる。18歳以上と確認できても、高校生等の場合は入念な確認を行うことが望ましい。

「対面等」とは: 対面のほか、映像と音声で相手の状態を相互に認識しながら通話できる方法(いわゆるビデオ通話)。電話や書面のみ、チャット等は含まれない。

複数個の数え方: 同一の指定成分を含有する異なる製品を1つずつ売る場合も複数個の販売に当たる。異なる指定成分を含有する製品を1つずつ売る場合は、告示の数量を超える販売には当たらないが、組み合わせ等を踏まえ、必要に応じて購入理由を確認したうえで判断することが適当とされる。

⚠️ 【注意】 「18歳未満への販売禁止」ではない。18歳未満でも、小容量の商品は、対面等の情報提供と氏名の確認を行えば販売できる。一方で「18歳以上なら1箱まで」という制限もない。18歳以上の小容量1個は通常どおり販売でき(確認事項の確認と情報提供は必要)、理由の確認が要るのは大容量・複数個の場合だ。どちらを誤っても、不必要な販売拒否か、必要な手順の省略につながる。

義務2:陳列規制

指定濫用防止医薬品の陳列方法について、以下のいずれかが義務化される。

陳列方法の選択肢:

根拠は薬機法施行規則第218条の5(指定濫用防止医薬品の陳列)である。同条は指定濫用防止医薬品(第二類医薬品または第三類医薬品に限る)について「次に掲げるいずれかの方法により陳列しなければならない」として、2つの号を定めている。

号 条文の要求 実務上の形
第1号 指定濫用防止医薬品陳列区画の内部の陳列設備に陳列する 専用の区画を設けて、その中に置く
第1号ただし書き 鍵をかけた陳列設備、その他購入者等が直接手を触れられない陳列設備に陳列する場合は、区画内でなくてよい 施錠ショーケース、カウンター後ろの棚など
第2号 情報を提供するための設備から7メートル以内の範囲に陳列し、当該設備に薬剤師または登録販売者を継続的に配置する 相談カウンターの近くに置き、有資格者を常時置く

「7メートル」は施行規則第218条の5第2号の条文上の数値である。「情報を提供するための設備」は薬局等構造設備規則第1条第1項第14号・第2条第13号に規定するものを指す。

⚠️ 【注意】いわゆる「空箱陳列」は、条文が定める選択肢そのものではない。 棚に空箱を置き現品をカウンターで保管する運用は、第1号ただし書きの「購入者が直接手を触れられない陳列設備」に該当させるための一つの手段として説明されることがあるが、条文に「空箱陳列」という方式が独立して列挙されているわけではない。自店の運用が第218条の5のどの号を満たすのかを整理したうえで、所管の都道府県薬務主管課に確認することを勧める。厚生労働省の質疑応答集(令和8年1月30日付 事務連絡)問4は、空箱や商品カードを用いた陳列は可能であり、適合の判断は空箱の位置ではなく医薬品の実物を陳列する場所について行うとしている。空箱等を手の届く位置に置き、実物を購入者の直接手の届かない場所に陳列する場合は第1号に適合し、第2号の専門家の継続的な配置は法令上求められない、というのが同Q&Aの答えだ。

第2号の「継続的に配置」: 医薬発1226第16号 第4の2(2)は、薬剤師等は原則として情報提供設備のある場所で業務を行うこと、購入者の求めに応じた情報提供などで一時的に離れる場合は、あらかじめ販売等手順書にその旨と戻る手順を定めることを求めている。また同(3)は、7メートル以内の陳列でも、柱・壁・高い棚などの死角になる裏側への陳列は避けるよう求めている。

義務3:確認・情報提供と販売等手順書の作成

購入者への確認事項(施行規則第159条の18の5):
– 購入者の年齢、および他の薬剤または医薬品の使用の状況(第二類・第三類医薬品の場合は同条第4項)
– 購入者が18歳未満の場合:氏名
– その商品および他の指定濫用防止医薬品の購入または譲受けの状況(他の店舗での購入を含む)
– 国が定める数量を超えて購入しようとする場合(大容量・複数個):その理由
– 適正な使用を目的とする購入であることを確認するために必要な事項、その他情報提供のために確認が必要な事項

情報提供の義務(施行規則第159条の18の2・18の3):
– 指定濫用防止医薬品を濫用した場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがあることなど、適正使用のために必要な情報を、購入者等の状況に応じて個別に提供する(書面を用いる。フリップや掲示物、製品の包装の表示でもよい)
– 情報提供を受けた者が内容を理解したことと、質問の有無を確認する

販売等手順書の作成(施行規則第159条の18の7):
– 薬局開設者・店舗販売業者は、①販売または授与の方法、②情報提供と確認、③陳列、④大容量・複数個や、数量以下でも頻繁に購入しようとする場合の対応、⑤その他適正な販売に必要な事項の手順を記載した「指定濫用防止医薬品販売等手順書」を作成しなければならない
– 薬剤師または登録販売者に、この手順書に基づいて販売業務を行わせなければならない

💡 【実務ポイント】 販売記録や確認結果の「作成・保存」を直接義務づける条文は、施行規則第159条の18の2〜18の7には見当たらない(令和8年5月1日時点の条文を確認)。義務として明記されているのは、確認・情報提供の実施と、手順書の作成だ。通知(医薬発1226第16号 第4の3(4)②)は、頻回購入への対応の例として、販売記録の作成、申し送り事項の作成、お薬手帳や会員情報の活用などを挙げ、具体的な手順を手順書に定めるよう求めている。記録の様式や保存期間を設けるかどうかは、各店が手順書で決めることになる。


薬局・ドラッグストアの実務対応|何をどの順序でやるか

ステップ1:在庫の棚卸し(2026年3月〜4月)

まず自店舗に指定濫用防止医薬品の在庫がいくつあるかを把握する。

作業手順:
1. 8成分(コデイン・ジヒドロコデイン・エフェドリン・プソイドエフェドリン・メチルエフェドリン・ブロモバレリル尿素・デキストロメトルファン・ジフェンヒドラミン)の一覧表を作成
2. 全在庫品の添付文書・外箱を確認し、上記成分が含まれるか照合
3. 対象品のリストを作成し、棚位置をマッピング
4. 剤形が外用剤(トローチ剤・点眼剤・貼付剤等)か、生薬を主たる有効成分とする製剤かを確認し、規制対象を絞り込む

💡 【実務ポイント】 デキストロメトルファン・ジフェンヒドラミンは、従来「自由棚」で管理されていることが多い。これらは今回の改正で新規追加の成分であるため、特に意識的な棚卸しが必要だ。POS・在庫管理システムを活用して、JANコード単位で対象品を特定するのが効率的。

ステップ2:陳列方法の決定と工事(2026年4月)

棚卸し結果と店舗レイアウトをもとに、陳列方法を決定する。

店舗タイプ 現実的な選択
薬剤師・登録販売者が常駐 第2号(情報提供設備から7m以内+有資格者の継続配置)、または第1号ただし書き(カウンター後ろ等の直接手を触れられない設備)
専門家が交代勤務 第1号ただし書き(施錠設備・直接手を触れられない設備)。有資格者が不在になる時間帯があると第2号の「継続的に配置」を満たせない
コンビニ・一般店舗 第1号ただし書き(施錠設備)。ただし対象商品を販売し続けるには登録販売者等の確保が前提

施錠棚の設置やカウンター改修は施工日数が必要なため、4月中の着工・完了を目指したい。

ステップ3:POSシステム・会計フローの変更(2026年4月)

指定濫用防止医薬品をレジでスキャンした際に、確認フローが自動で起動する仕組みを整備する。

レジ対応フローの例:

対象商品スキャン → POSに「年齢確認アラート」表示
→ 薬剤師/登録販売者が呼ばれる
→ 購入者に年齢・他店購入状況・他の薬の使用状況を確認し、濫用リスクの情報提供
→ 18歳未満と確認 → 氏名確認・小容量のみ(対面等で情報提供)
→ 大容量・複数個の場合は購入理由を確認し、適切性を判断
→ 手順書で定めた方法で申し送り等を行う → 会計完了

POSシステムのマスタ設定変更(対象JANコードへのフラグ付け)は、システムベンダーへの依頼が必要なため、早めに連絡を取ること。

⚠️ 【注意】 「対象医薬品をレジで弾く」のではなく、「確認フローが入る」設計にすること。誤ってPOSに「販売禁止」設定をすると、適正な購入者にも商品を渡せなくなる。テスト運用の期間を設けて、フロー通りに動くか確認することを推奨する。

ステップ4:従業員教育(2026年4月〜5月施行前)

薬剤師・登録販売者はもちろん、レジ担当の非薬剤師スタッフも「対象商品が来たら専門家を呼ぶ」対応を学ぶ必要がある。

教育内容のポイント:
– 指定濫用防止医薬品の8成分と代表的な商品名の暗記
– 年齢確認の方法(外見等から18歳以上と明らかなら自己申告可、明らかでなければ身分証の提示等)
– 18歳未満への対応手順(小容量のみ・対面等での情報提供・氏名確認)
– 大容量・複数個の購入理由の確認と、適切性の判断
– 断られた際の対応(「申し訳ありませんが、法律の規定により…」等の標準文言)
– 手順書で定めた申し送り・販売記録の方法

推奨研修スケジュール:
– 4月前半:管理者・薬剤師向け説明会
– 4月後半:全スタッフ向けロールプレイ研修
– 4月末〜5月初旬:施行前の模擬運用

💡 【実務ポイント】 4月後半〜5月の研修ピークと、6月1日施行の調剤報酬改定の準備が時期的に重複する。同じ管理薬剤師が両方の対応を兼務するとリソースが逼迫しがちだ。月別タスクの切り分けと人員配置の指針は薬機法+調剤報酬改定 並行対応ロードマップ2026に整理してある。研修担当・届出担当・在庫担当を明確に分け、5月施行と6月施行を並行で乗り切る運用設計を先に固めること。


条件付き承認制度の拡充|製薬企業と患者への影響

改正前後の比較

条件付き承認制度とは、希少疾患や難治性疾患等で通常の臨床試験の実施が困難な場合に、一定の有効性・安全性が確認された段階で承認を与える制度だ。

項目 改正前 改正後(2026年〜)
承認条件 比較的厳格な臨床データが必要 探索的臨床試験段階での承認が可能
対象疾患 希少疾患等(限定的) 重篤かつ代替治療法のない疾患全般
取消し規定 規定なし 承認取消し規定を整備
ドラッグ・ラグ対策 限定的 海外承認薬の迅速承認を促進

薬局への間接的な影響

条件付き承認の拡充は主に製薬企業・PMDAが対応主体だが、薬局には以下の間接的影響がある。

  • 従来は海外のみで使用可能だった希少疾病薬が国内で流通するようになる
  • これまで患者が海外から個人輸入していた医薬品が国内処方に切り替わる
  • 承認後調査(市販後調査)の強化により、副作用報告・調剤記録の保管重要性が増す

要指導医薬品のオンライン販売解禁

改正の内容

2026年5月1日から、要指導医薬品のオンライン販売が一定条件下で解禁された(施行通知: 令和7年12月26日付 医薬発1226第2号)。指定濫用防止医薬品制度と同じ日の施行である。

解禁の条件:
– 薬剤師がオンラインで服薬指導を実施すること
– 映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法で、双方向の情報提供が行われること
– ただし「適正使用のために必要な確認を対面で行うことが適切である品目」は対象から除外される

除外される品目の代表例が緊急避妊薬である。 レボノルゲストレル製剤は「特定要指導医薬品」に指定されており、条文の括弧書きでオンライン販売の対象から明示的に除かれている。薬剤師の面前で購入者が直ちに服用することが求められるため、対面でしか販売できない。詳しくは緊急避妊薬の薬局販売2026|取扱い薬局の3要件・面前服用・研修まで実務で解説で解説している。

今後の展開:
– 主要な要指導医薬品のオンライン販売が本格化
– 競合薬局のEC対応が進み、地域独占モデルが崩れる可能性


違反時のリスク|何がどうなるか

行政処分の種類

薬機法が定める都道府県知事の処分には、次のものがある。条文上、「業務改善命令→業務停止→許可取消」と順に進む定めはなく、それぞれ別の条文に別の要件が置かれている。

処分 条文 条文上の要件
業務改善命令 薬機法第72条の4第1項 薬局開設者・医薬品の販売業者に、薬機法またはこれに基づく命令の規定に違反する行為があった場合で、保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要があると認めるとき。「その業務の運営の改善に必要な措置をとるべきこと」を命じる
許可の取消し、または期間を定めた業務の全部・一部の停止 薬機法第75条第1項 薬機法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの、またはこれに基づく処分に違反する行為があったとき等。「許可を取り消し、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる」
刑事罰 条文ごとに異なる 量刑は下表のとおり

罰則の規模

薬機法の罰則は、違反した条文ごとに量刑が分かれている。よく混同されるので、e-Gov法令検索で条文を確認した実際の量刑を挙げておく。なお2025年6月1日施行の刑法改正により、「懲役」は「拘禁刑」に改められている。

条文 量刑 主な対象
第83条の9 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科 指定薬物を業として製造・輸入・販売・授与・所持したとき
第84条 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科 無許可の製造販売業・薬局開設(第4条第1項)等
第86条 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科 薬局・店舗の管理者を置かない(第7条第1項・第28条第1項等)等
第87条 50万円以下の罰金 立入検査の拒否・妨害、報告義務違反等

「5年以下・500万円以下」は指定薬物(いわゆる危険ドラッグ)に関する第83条の9の量刑であり、指定濫用防止医薬品の販売方法違反に対する罰則ではない。 混同して社内研修の資料に載せないよう注意されたい。

課徴金についても同様である。 薬機法第75条の5の2が定める課徴金は「第66条第1項の規定に違反する行為」=虚偽・誇大広告を対象とするもので、課徴金対象期間に取引した対価合計額の4.5%が課される。指定濫用防止医薬品の販売方法に関する義務違反に対して課される制度ではない。

指定濫用防止医薬品の販売方法に関する義務(薬機法第36条の11、第57条の2第4項)の違反に、上記のどの処分・罰則条文が適用されるかは、違反の態様によって異なる。第75条第1項の「政令で定めるもの」に第36条の11が含まれるかは、本記事では確認していない。判断に迷う場合は、所管の都道府県薬務主管課または地方厚生局に確認されたい。

⚠️ 【注意】 第36条の11の義務を負うのは、薬局開設者、店舗販売業者、配置販売業者である。これらの者が、薬剤師または登録販売者に、手順書に基づいて情報提供・確認を行わせる(施行規則第159条の18の7第2項)。手順書の作成と、従業員が手順書どおりに運用できる体制づくりは、開設者・販売業者側の責任になる。


調剤報酬・経営への影響

調剤報酬体系との連動として、2026年6月施行の調剤報酬改定(調剤報酬改定2026年ガイド参照)と合わせて考える必要がある。

  • 薬局と指定濫用防止医薬品:調剤薬局でも、OTC薬を販売している場合は規制対象。院内処方箋の調剤だけでなく、OTC販売部門の管理体制を整備すること。
  • 地域支援体制加算との関連:薬局の「地域への貢献度」が加算に反映される中、ODリスクがある市販薬の適正販売は「かかりつけ薬局」としての信頼につながる(地域支援体制加算の全区分比較ガイド参照)。
  • 健康保険法改正との連動:市販品類似薬(OTC類似薬)の保険給付の見直しは、処方薬需要の変化を通じて薬局の処方箋収入にも影響する。2026年の健康保険法改正の全体像で制度変更の概要を確認しておきたい。
  • 人件費への影響:年齢確認・情報提供・確認事項の聞き取りの発生により、繁忙時間帯の業務負荷が増加しうる。レジ待機時間の延長も見込み、人員配置を見直すこと。

5月1日の薬機法施行と6月1日の調剤報酬改定は、対応領域が異なるが時期が近い。月別タスクと担当者の分け方は薬局の薬機法+調剤報酬改定 並行対応ロードマップで確認できる。


今すぐやること|アクションチェックリスト

2026年3〜4月中の必須対応

  • [ ] 自店舗の在庫から指定濫用防止医薬品8成分含有品をリストアップする
  • [ ] 対象商品のJANコードリストを作成し、POSシステムへの設定変更を発注する
  • [ ] 陳列方法を施行規則第218条の5のどの号で満たすか(第1号/第1号ただし書き/第2号)を決定する
  • [ ] 選択した陳列方法に応じた什器・棚の工事・改修を手配する
  • [ ] 確認事項(年齢・氏名・購入状況・理由等)を聞き取るための資材(フリップ・掲示物・電子フォーム等)を整備する
  • [ ] 「指定濫用防止医薬品販売等手順書」(施行規則第159条の18の7)を作成する(販売方法/情報提供と確認/陳列/大容量・複数個・頻回購入への対応)

2026年4月〜5月施行前の研修・テスト対応

  • [ ] 薬剤師・登録販売者全員に改正内容の説明会を実施する
  • [ ] レジ担当スタッフ向けに「対象商品のスキャン時の対応」ロールプレイ研修を実施する
  • [ ] 年齢確認の標準文言(スクリプト)を作成し全スタッフに配布する
  • [ ] 施行前の模擬運用(2〜3日程度)を実施し、フローの問題点を洗い出す
  • [ ] 日本薬剤師会・チェーンドラッグストア協会等の販売等手順書ガイドラインを確認する
  • [ ] 本社・フランチャイズ本部からの追加通達を確認し、店舗対応に反映する

2026年5月1日以降の運用定着

  • [ ] 毎月1回、手順書どおりに運用できているか(頻回購入への対応として手順書に定めた申し送り・販売記録を含む)点検する
  • [ ] 販売拒否・トラブルがあった事例は記録し、翌月の研修に活用する
  • [ ] 厚生労働省の通知・Q&A等を定期的に確認し、対応マニュアルを更新する

関連記事

指定濫用防止医薬品への対応とあわせて、薬局経営の他の重要ポイントも確認しておこう。


よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年5月1日までに対応が間に合わなかった場合はどうなりますか?

A. 2026年5月1日以降、薬機法第36条の11と施行規則の規定が適用されており、手順書の作成や情報提供・確認を行わないまま指定濫用防止医薬品を販売することは、法令に適合しません。行政処分には、業務改善命令(薬機法第72条の4)や、許可の取消し・業務停止(同第75条)があり、これらは別々の条文に別の要件があります。条文上、改善命令から順に進む定めはありません。未対応の場合は、速やかに手順書の作成と陳列方法の整備を行ってください。

Q2. 「18歳未満は一切販売禁止」ではないのですか?

A. 禁止ではありません。18歳未満の購入者にも、小容量の商品は、薬剤師または登録販売者が対面等(ビデオ通話を含む)で情報提供し、氏名を確認したうえで販売できます(薬機法第36条の11第3項、施行規則第159条の18の5・18の6)。他店での購入状況の確認は、年齢を問わず確認事項です。大容量の商品や複数個は、18歳未満には販売できません。「全部断れば安全」と誤解して一律販売拒否すると、正当な購入機会を奪うことになります。なお、18歳以上が小容量の商品を1個買う場合は、通常どおり販売できます(年齢・他の薬の使用状況などの確認と、書面による情報提供は必要です)。

Q3. コンビニに設置されているOTC薬コーナーも対象ですか?

A. 対象です。薬局・薬店(店舗販売業)のみならず、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでOTC薬を販売している場合も、指定濫用防止医薬品の規制が適用されます。薬剤師・登録販売者を継続的に配置できない店舗は、施行規則第218条の5第2号(情報提供設備から7m以内+有資格者の継続配置)を満たせないため、第1号ただし書きの「鍵をかけた陳列設備」等での対応が必要になります。なお、対象商品を販売し続けるためには登録販売者等の確保が前提となります。

Q4. インターネット通販(EC)で指定濫用防止医薬品を販売している場合はどうですか?

A. 特定販売(インターネット等での販売)でも、同じ制度が適用されます(医薬発1226第16号 第6)。年齢確認は、身分証等で確認済みのアカウントの認証などで行えます(規約で本人による購入を求めている場合に限る)。18歳未満、または18歳以上で大容量・複数個を購入する場合は、ビデオ通話などの「対面等」での情報提供が必要です。電話のみ・書面のみ・チャットのみは対面等に含まれません。18歳以上が小容量を購入する場合は、サイトで入力された年齢・数量・購入目的と、濫用に関する書面の理解度を薬剤師等が確認して問題がなければ、ビデオ通話などによる説明なしで販売できる設計も認められています。ただし、適切な選択肢しか選べないプルダウン式の入力は避けるべきとされています。

Q5. 購入者に「市販薬の複数箱購入を断った」場合、クレームを受けた際の対応は?

A. 「薬機法の規定に基づく対応」であることを穏やかに説明するのが基本です。標準文言の例:「大変恐れ入りますが、2026年5月施行の薬機法改正により、大容量の商品や複数個をお求めの場合は、購入の理由をお伺いし、内容を確認したうえでのご案内となります。」通知(医薬発1226第16号 第4の3(4)③)は、適正な販売ができないと判断した場合に、法令の定めにより販売できない旨をあらかじめフリップ等で示すなど、カスタマーハラスメント防止の観点からの対応を求めています。クレーム事例を管理者に報告する運用は、手順書に定めておくことを推奨します。

Q6. 薬剤師がいない時間帯(夜間・早朝)の対応はどうなりますか?

A. 登録販売者が在店していれば、指定濫用防止医薬品の販売(年齢確認・情報提供・確認事項の聞き取りを含む)が可能です。薬剤師・登録販売者が誰も在店していない時間帯は、指定濫用防止医薬品の販売自体ができません。このような時間帯には対象商品を施錠棚に収納するか、「販売なし」の運用を徹底する必要があります。

Q7. 指定濫用防止医薬品を販売する店舗に登録販売者の「常駐義務」はありますか?

A. 「常駐義務」と名のつく条文は、指定濫用防止医薬品に関しては見当たりません。条文上の根拠は次の2つです。①薬機法第36条の11第1項は、販売時の情報提供を薬剤師または登録販売者に行わせることを求めており、同第4項は、情報提供ができない場合は販売してはならないと定めています。したがって、薬剤師・登録販売者が誰も在店しない時間帯は、対象商品を販売できません。②施行規則第218条の5第2号の陳列方法(情報提供設備から7メートル以内)を選ぶ場合は、その設備に薬剤師または登録販売者を「継続的に配置」する必要があります。第1号ただし書きの施錠設備等で陳列する場合は、この配置は求められません。在店していない時間帯は、対象商品を施錠棚に収納する・「販売停止中」表示を出すなどの運用が現実的です。なお、店舗管理者は薬剤師または登録販売者でなければならず(薬機法第28条第2項)、都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理等に従事してはなりません(同条第4項)。


参考・出典

  • 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容」(https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html)
  • 厚生労働省「令和7年の薬機法等の一部改正について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58083.html)
  • 薬事日報「指定濫用防止医薬品とは:一般用医薬品のオーバードーズ対策」(https://www.yakuji.co.jp/entry121153.html)
  • DGS Online「指定濫用防止医薬品にデキストロメトルファンとジフェンヒドラミン/調査会方針」(https://www.dgs-on-line.com/articles/3107)
  • e-Gov法令検索 薬機法(昭和35年法律第145号)第28条・第36条の11・第57条の2・第72条の4・第75条、同法施行規則第159条の18の2〜18の7・第218条の5(2026年5月1日時点)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145 / https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000100001
  • 厚生労働省医薬局長通知 医薬発0213第1号(令和8年2月13日)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001655325.pdf
  • 厚生労働省医薬局長通知 医薬発0213第2号(令和8年2月13日)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001655157.pdf
  • 厚生労働省医薬局長通知 医薬発1226第16号(令和7年12月26日)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001628299.pdf
  • 厚生労働省医薬局総務課 事務連絡(令和8年1月30日)「指定濫用防止医薬品の販売等に係る質疑応答集(Q&A)について」https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001649556.pdf
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)
JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。