はじめに:「医療・介護等支援パッケージ」とは何か
2025年末、物価上昇が続く中で「介護・障害福祉分野の職員の賃金は改善してきたものの、他産業とはまだ差がある」「人材流出を防ぐための緊急的対応が必要」という課題を受け、政府は令和7年度補正予算に「医療・介護等支援パッケージ」を盛り込みました。これは単一の給付制度ではなく、医療分野・介護分野・障害福祉分野それぞれに向けた複数の支援策をまとめた呼び名です。
本記事では、実務担当者からの問い合わせが特に多い「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」を中心に、対象者・支給の仕組み・申請の流れを解説します。あわせて、同じ仕組みで動く障害福祉分野の賃上げ支援、医療機関・薬局向けの支援(医療分野)についても解説します。制度の本則にあたる令和8年度介護報酬改定(6月の期中改定)での処遇改善加算拡充については処遇改善加算2026年6月改定|新区分Iロ・IIロの要件と6区分の加算率一覧で詳しく解説しています。本記事の支援事業は、その改定を待たずに行われた「緊急措置」という位置づけです。
第1章:制度の背景と全体像
1-1. 閣議決定から実施要綱まで
「医療・介護等支援パッケージ」は、令和7年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」の中で打ち出されました。このうち介護分野について、閣議決定は次のように整理しています。
介護分野の職員の処遇改善については、累次の取組を講じてきた結果、介護職員の賃金は改善してきたものの、他産業とはまだ差があり、人材不足が厳しい状況にあるため、他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行うこととし、報酬改定の時期を待たず、人材流出を防ぐための緊急的対応として、賃上げ・職場環境改善の支援を行う
これを受け、厚生労働省老健局長は令和7年12月25日付で「令和7年度介護保険事業費補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援)実施要綱」(老発1225第3号)を各都道府県知事に通知し、令和7年12月16日から適用を開始しました。
同じ閣議決定は、障害福祉分野についても次のように触れています。
同様に人材不足が厳しい状況にある障害福祉分野についても、介護分野における対応も踏まえつつ、その経営状況等を踏まえた賃上げ措置等の支援を行う
これを受け、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長は令和7年12月26日付で「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業実施要綱」(障発1226第7号)を各都道府県知事に通知し、介護分野と同じ令和7年12月16日から適用を開始しています。医療分野についても、同じ補正予算の中で病院・診療所・薬局向けの物価上昇・賃上げ支援が措置されています。
1-2. 3本立ての構成(医療分野・介護分野・障害福祉分野)
「医療・介護等支援パッケージ」は、対象と支給の仕組みが異なる3つの柱で構成されています。介護分野と障害福祉分野は、通知の名称こそ異なりますが、支給の仕組み自体はほぼ同じです。
| 比較項目 | 医療分野 | 介護分野(職員の賃上げ・職場環境改善支援事業) | 障害福祉分野(職員の賃上げ支援事業) |
|---|---|---|---|
| 支給の単位 | 病院・診療所・薬局等の事業所(1床あたり・1施設あたり) | 介護サービス事業所等(事業所の総報酬×交付率) | 障害福祉サービス事業所等(事業所の総報酬×交付率) |
| 対象 | 病院、有床・無床診療所、歯科診療所、保険薬局、訪問看護ステーション | 訪問介護・通所介護・特定施設入居者生活介護等の介護サービス事業所等 | 居宅介護・生活介護・就労継続支援・共同生活援助(グループホーム)等の障害福祉サービス事業所等 |
| 根拠通知 | 都道府県経由で医療機関等へ別途通知(本記事では個別の通知番号までは確認していません) | 老発1225第3号(令和7年12月25日) | 障発1226第7号(令和7年12月26日) |
| 補助率 | 10/10(病院は国からの直接執行を予定) | 10/10(国→都道府県→事業所) | 10/10(国→都道府県→事業所) |
| 対象期間 | 予算成立後、速やかに実施 | 令和7年12月〜令和8年5月(半年分) | 令和7年12月〜令和8年5月(半年分) |
| 令和7年度補正予算案 | 5,341億円(賃上げ1,536億円・物価上昇3,805億円) | 1,920億円 | 453億円(賃上げ支援は439億円。障害児支援分183億円=こども家庭庁計上を含めると637億円) |
いずれも、従事者個人の口座へ直接振り込まれる制度ではありません。 国から都道府県を経由して事業所に補助金が渡り、事業所がその範囲内で賃金改善・職場環境改善を行う仕組みです。以下、実務での問い合わせが多い介護分野から詳しく見ていきます。
第2章:介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業
2-1. 対象となる従事者の範囲
厚生労働省のQ&A(介護保険最新情報Vol.1462・令和8年1月21日)は、「介護従事者」の対象範囲を次のように示しています。
対象は介護現場で働く幅広い職種を指す。介護職、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員(看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師等)、精神保健福祉士、介護支援専門員、計画作成担当者、社会福祉士、生活相談員・支援相談員、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士、調理員、その他の事務職等が想定される。
ポイントは、資格の種類ではなく「介護サービス事業所等に勤務していること」が基準になっている点です。医師や薬剤師であっても、介護保険法上の指定を受けた介護サービス事業所等(訪問介護、通所介護、特別養護老人ホーム等)に勤務していなければ対象外です。逆に、調理員や事務職であっても、対象の介護サービス事業所等に勤務していれば対象になり得ます。
常勤・非常勤・パートタイムといった雇用形態は問われません。なお、地域包括支援センターは、設置者が介護予防支援事業者として指定を受けている場合に対象となります。
2-2. 支給額の仕組み:月1万円+上乗せ0.5万円+職場環境改善0.4万円相当
支給要件・金額は次の3段階で設計されています。
1.0万円
+0.5万円
0.4万円相当
- ①介護従事者に対する幅広い賃上げ支援:月1.0万円(処遇改善加算の対象サービスでは加算を算定している事業所、対象外サービス(訪問看護・訪問リハ・ケアマネジメント等)では処遇改善加算に準ずる要件を満たす事業所が対象)
- ②協働化等に取り組む事業者の介護職員への上乗せ:月0.5万円。選べる取組はサービス類型によって異なります(老発1225第3号 別紙1)。
- 訪問介護・通所介護等(別紙1表1に掲げるサービス):ケアプランデータ連携システムへの加入、または社会福祉連携推進法人への所属のいずれか
- 特定施設入居者生活介護・小規模多機能型居宅介護・施設系サービス等(別紙1表2に掲げるサービス):生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱの算定、ケアプランデータ連携システムへの加入(小規模多機能型居宅介護等の一部サービスに限る)、または社会福祉連携推進法人への所属のいずれか
- 「生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱの算定」は表2に掲げるサービスの選択肢であり、訪問介護等の表1サービスでは選べません。 自事業所がどちらの表に該当するかは別紙1または都道府県の案内で確認してください
- ③介護職員の職場環境改善の支援:人件費に充てた場合、介護職員に対する月0.4万円の賃上げに相当
- 対象期間:令和7年12月〜令和8年5月の賃上げ相当額を支給(半年分)
ただし、これは「1人あたり月いくら」という形で個人に直接渡る金額ではありません。実際の補助額は、事業所ごとに次の式で算定されます。
被保険者ごとの補助額 = 基準月(原則・令和7年12月)の介護総報酬 × 交付率
交付率はサービス類型(訪問介護・通所介護・特定施設入居者生活介護等)と、満たした要件(①のみ/①+③/①+②+③)によって個別に設定されており、老発1225第3号の別紙1〜3に一覧表が示されています。自分の事業所がどの交付率に当たるかは、所在する都道府県が示す資料で確認してください。
2-3. 事業所の要件と対象外になるケース
補助金の交付を受けるには、事業所が次のような要件を満たす必要があります(サービス類型により詳細は異なります)。
- ①処遇改善加算の算定:基準月に算定していない場合でも、申請時に算定している、または算定を誓約すれば対象として扱われます
- ②生産性向上・協働化の取組:前述のとおりサービス類型によって選べる取組が異なります。訪問介護・通所介護等(別紙1表1のサービス)はケアプランデータ連携システムへの加入または社会福祉連携推進法人への所属のいずれか、特定施設入居者生活介護・小規模多機能型居宅介護・施設系サービス等(別紙1表2のサービス)は生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱの算定・ケアプランデータ連携システムへの加入(一部サービス限定)・社会福祉連携推進法人への所属のいずれかです
- ③職場環境改善の取組:業務の洗い出し・棚卸し、業務改善の体制構築、業務内容の明確化と役割分担のいずれかを計画または実施していること(②を満たす場合は③も満たしているものとして扱われます)
一方、以下の事業所・サービスは対象外です。
- 令和8年4月以降に新規開設された介護サービス事業所等
- 計画書の提出時点で廃止・休止となることが明らかな事業所等
- 居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売
第3章:障害福祉分野の職員の賃上げ支援事業
障害福祉分野にも、介護分野とほぼ同じ仕組みの賃上げ支援があります。厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長が令和7年12月26日付で通知した「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業実施要綱」(障発1226第7号)に基づく事業です。
3-1. 対象者
実施要綱は、賃金改善を行う対象者を次のように定義しています。
本事業を活用して賃金改善を行う対象者は、対象となる事業所に勤務する福祉・介護職員以外も含む障害福祉従事者とする。
介護分野のように職種を列挙する形ではなく、対象の障害福祉サービス事業所等に勤務する従事者であれば、福祉・介護職員に限らず広く対象になるという定め方です。
3-2. 支給額の仕組み
令和7年度補正予算の施策資料は、支給要件・金額を次のように示しています。
- 障害福祉従事者に対する幅広い賃上げ支援:月1.0万円
- 対象期間:令和7年12月〜令和8年5月の賃上げ相当額を支給(半年分)
実際の補助額は、介護分野と同じ考え方で算定されます。
利用者ごとの補助額=基準月の障害福祉サービス等総報酬×交付率
交付率はサービス類型・要件別に設定されており(別紙1表1・表2)、基準月は原則令和7年12月です。要件は、処遇改善加算を算定していること(対象外サービスである計画相談支援・地域移行支援・地域定着支援では、処遇改善加算取得事業者に準ずる要件)が基本となり、加算の区分に応じて職場環境等要件の取組数などの追加要件が設けられています。詳細な要件は都道府県の案内で確認してください。
3-3. 申請の流れ
申請の流れも介護分野と同じ3ステップです。障害福祉サービス事業所が計画書等を提出して申請し、都道府県が交付決定・補助金の交付(補助率10/10)を行い、事業実施後に実績報告書を提出します。補助金は全額、賃金改善に充てられるべきものとされています。
第4章:医療機関・薬局向けの支援(医療分野)
医療分野では、「ア 医療分野における賃上げ・物価上昇に対する支援」として、病院・診療所・歯科診療所・保険薬局・訪問看護ステーションを対象に、物価上昇対応と医療従事者の処遇改善をあわせた支援が行われます(令和7年度補正予算案5,341億円、うち賃上げ1,536億円・物価上昇3,805億円、補助率10/10)。看護職員については診療報酬を通じた処遇改善評価料の仕組みもあり、詳細は看護職員処遇改善評価料・ベースアップ評価料2026年度改定|自分の給料はいくら上がるかで解説しています。
支給額は、病院は「1床あたり」、診療所・薬局・訪問看護ステーションは「1施設あたり」の金額として設計されており、救急医療を担う病院や分娩件数の多い病院には加算が設けられています。具体的な金額表は厚生労働省の施策資料に示されていますが、病院・診療所・薬局の種別や規模によって金額が細かく分かれるため、本記事での金額の再掲は割愛し、自院・自局が該当する区分は所在する都道府県または厚生労働省の案内で直接確認することを推奨します。
申請の流れは介護分野と同じく「医療機関等が都道府県に交付申請(計画書提出)→都道府県が国に申請→国が交付決定→都道府県が医療機関等に支給→実績報告」という三段階です。ただし、病院については国からの直接執行が予定されている点が介護分野と異なります。スケジュールは「予算成立後、速やかに実施」とされており、本記事執筆時点(2026年10月)では、具体的な受付期間は都道府県または厚生労働省の案内で確認する必要があります。
なお、介護保険と医療保険の両方のサービスを提供する訪問看護ステーション(医療保険の訪問看護も行う事業所)については、医療分野の賃上げ支援補助金と介護分野の補助金の両方を申請することが可能とされています。
第5章:申請〜実績報告の流れ(介護分野)
介護分野の補助金は、次の3ステップで執行されます。
STEP 1:交付申請(計画書等の提出)
介護サービス事業所等が、都道府県が示す計画書に、賃金改善・職場環境改善の計画を記載して提出します。
STEP 2:交付決定・補助金の交付
都道府県が内容を審査し、交付決定のうえ補助金(補助率10/10)を事業所に交付します。
STEP 3:事業実施後の報告(実績報告書の提出)
事業所は、実際に支払った賃金改善額・職場環境改善に充てた額を記載した実績報告書を都道府県に提出します。実績報告書には「賃金改善所要額 ≧ 賃金改善経費総額」であることを示す必要があり、賃金改善の証拠(支給明細・賃金台帳等)や職場環境改善の証拠(研修の実施計画書、求人広告の領収書等)の添付が求められます。
賃金改善・職場環境改善を行う期限についても、厚生労働省のQ&Aが整理しています。
令和8年3月末までに補助金の支給を受けた場合、令和7年12月から令和8年3月末までの間に賃金改善や職場環境改善を行う必要がある。令和8年4月以降に補助金の支給を受けた場合、令和7年12月から各自治体が定める実績報告書の提出の期限までの間に行う必要がある。
重要なのは、計画書・実績報告書の提出受付開始時期と提出期限が、全国一律ではなく各都道府県が個別に設定しているという点です。「〇月〇日までに申請」という全国共通の締切は存在しないため、自事業所が所在する都道府県の実施要綱・特設ページを必ず確認してください。
第6章:2026年10月時点でどの段階にあるか
介護分野の賃上げ支援は、対象期間が令和7年12月〜令和8年5月の半年分と定められており、2026年10月である本記事執筆時点では、賃上げの対象となる期間自体は既に終了しています。
現在の実務上の焦点は、各都道府県が個別に設定する実績報告書の提出です。提出期限は都道府県ごとに異なり、既に受付を終えた自治体もあれば、受付期間中の自治体もあります。自事業所が所在する都道府県が実績報告の受付をいつまで行っているかは、都道府県の介護保険担当課(室)が公開する案内で確認してください。厚生労働省のコールセンター(介護サービス事業所・施設向け:050-3733-0222)でも問い合わせが可能です。
なお、この緊急措置は令和8年度介護報酬改定(6月の期中改定)での処遇改善加算の見直しにつながる位置づけとされています。報酬改定による処遇改善加算の仕組みは、処遇改善加算2026年6月改定|新区分Iロ・IIロの要件と6区分の加算率一覧で解説していますので、合わせて確認してください。
第7章:実務上の注意点
7-1. 「個人への直接給付」ではない
最も誤解されやすいのがこの点です。本制度は、介護従事者・障害福祉従事者・医療従事者が自分で申請して個人の口座に振り込まれる仕組みではありません。事業所が都道府県に申請し、事業所が受け取った補助金の範囲内で、賃金改善や職場環境改善を行う仕組みです。従業員側から見れば、給与や手当の増額という形で結果が反映されます。
7-2. 処遇改善加算の算定が前提になっている
介護分野・障害福祉分野いずれも、補助額の中心部分は処遇改善加算(または対象外サービスでは処遇改善加算に準ずる要件)を算定していることが前提です。処遇改善加算そのものを取得していない事業所は、まずその算定要件を確認する必要があります。
7-3. 補助対象経費は「賃金改善経費」と「職場環境改善等経費」の2種類
介護分野の実績報告では、補助金の使途を賃金改善経費と職場環境改善等経費に区分して報告する必要があります。職場環境改善等経費は、介護助手等の募集経費(求人広告費、人材紹介会社の紹介手数料等)や研修費のほか、業務の洗い出し・業務改善体制の構築に関する専門家派遣費用・会議費等が対象となり得ますが、機器購入費用など対象外の経費も明確に区分されています。使途に迷う経費は、都道府県の窓口に事前確認することをお勧めします。
7-4. 法人単位の申請はできない
同一法人が複数の都道府県に事業所を持つ場合でも、申請は都道府県単位で行う必要があります。同一都道府県内の複数事業所について法人単位で申請することは可能ですが、都道府県が異なればそれぞれの都道府県の計画書で申請します。
第8章:従業員への反映と税務・社会保険の取り扱い
8-1. 従業員の給与への反映
介護分野・障害福祉分野・医療分野いずれの補助金も、事業所が受け取った補助金をもとに、賃金改善(基本給の増額、手当の新設・増額等)または職場環境改善の形で従業員に反映させる仕組みです。従業員の立場からは、通常の給与・賞与の増額として現れることになります。そのため、増額分も通常の給与所得と同様に源泉徴収・年末調整の対象です。年末調整の対象範囲や申告書の扱いは年末調整はいくらから必要?答えは金額ではなく「申告書」で解説しています。
8-2. 社会保険への影響
賃金改善によって基本給や諸手当が増額された場合、標準報酬月額の算定に影響する可能性があります。定時決定(算定基礎届)や随時改定(月額変更届)の対象になるかどうかは、増額の時期・方法によって異なるため、社会保険労務士に確認することをお勧めします。なお、短時間勤務者の社会保険加入そのものの範囲は2026年に広がっており、詳細は社会保険適用拡大2026年|106万円の壁の撤廃時期と週20時間ルールで解説しています。
FAQ:よくある質問
Q1. 介護職員は全員対象になりますか?
A. 介護サービス事業所等に勤務していることが前提です。介護保険法上の指定を受けた事業所(訪問介護、通所介護、特別養護老人ホーム等)に勤務し、事業所が補助金の交付要件(処遇改善加算の算定等)を満たしていることが必要です。雇用形態(常勤・非常勤・パート)は問われません。障害福祉サービス事業所で働く従事者については、別の制度(Q5参照)が対象になります。
Q2. 支援金は従業員個人の口座に振り込まれますか?
A. いいえ。補助金は都道府県から事業所に交付され、事業所が賃金改善・職場環境改善の形で従事者に反映させる仕組みです。従事者が自分で都道府県に申請する制度ではありません。
Q3. 申請の締め切りはいつですか?
A. 全国一律の締め切りはありません。計画書・実績報告書の提出受付開始時期・提出期限は、各都道府県が事業スケジュールを踏まえて個別に設定しています。所在する都道府県の介護保険担当課(室)の案内を確認してください。
Q4. 医療分野と介護分野の両方の補助金を受けられる事業所はありますか?
A. 医療保険と介護保険の両方のサービスを提供する訪問看護ステーションなど、両分野にまたがる事業所については、医療分野の賃上げ支援補助金と介護分野の補助金の双方を申請できるとされています。自事業所がどちらに該当するかは、都道府県の案内で確認してください。
Q5. 障害福祉サービス事業所で働く従事者も対象になりますか?
A. 対象になります。「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」(障発1226第7号)により、対象の障害福祉サービス事業所等に勤務する、福祉・介護職員に限らない障害福祉従事者が対象です。仕組みは介護分野とほぼ同じで、事業所が都道府県に申請し、処遇改善加算の算定等の要件を満たす事業所に補助額(月1万円相当を目安とする交付率×総報酬)が交付されます。
まとめ
「医療・介護等支援パッケージ」は、令和7年11月21日の閣議決定を受けて措置された、医療分野・介護分野・障害福祉分野それぞれの緊急的な支援策です。介護分野の「職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」は、事業所を通じて月1万円の賃上げ支援+上乗せ0.5万円+職場環境改善0.4万円相当を届ける仕組みで、障害福祉分野の「職員の賃上げ支援事業」も同じ仕組みで月1万円相当の賃上げ支援を行います。いずれも令和7年12月〜令和8年5月の半年分として事業所に届けられる仕組みであり、個人への直接給付ではありません。
実務担当者としては、以下の3点を優先して確認することをお勧めします。
- 自事業所が対象サービス・対象要件に当たるか — 処遇改善加算の算定状況、生産性向上・協働化の取組状況を確認する
- 所在する都道府県の計画書・実績報告書のスケジュール — 全国一律ではなく都道府県ごとに異なるため、個別に確認する
- 実績報告の証拠書類の準備 — 賃金改善の証拠(賃金台帳等)、職場環境改善の証拠(研修計画・領収書等)を整理しておく
制度の詳細は厚生労働省の実施要綱・Q&Aおよび所在する都道府県の案内で必ず確認してください。申請に関する個別の相談は、最寄りの社会保険労務士や都道府県の介護保険担当課(室)、厚生労働省コールセンター(050-3733-0222)に相談することも有効です。
本記事は2026年10月時点で公開されている厚生労働省の実施要綱・Q&A・令和7年度補正予算関連資料をもとに作成しています。制度の詳細・最新情報は必ず公式窓口にてご確認ください。



