令和8年度 定期接種の変更点|RSウイルス新規化・肺炎球菌ワクチン切替の実務対応【2026年9月・実施要領6/1改正+予防接種法改正を反映】

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令和8年度 定期接種の変更点|RSウイルス新規化・肺炎球菌ワクチン切替の実務対応【2026年9月・実施要領6/1改正+予防接種法改正を反映】
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最終更新日: 2026年10月5日(2026年4月1日施行・令和8年度改正を反映。実施要領6/1改正・予防接種法改正(令和8年法律第76号)を追記)

【結論】 2026年4月1日から定期接種に2つの重要変更が施行された。①RSウイルス感染症の新規A類追加(対象:妊娠28週0日〜36週6日〔政令上は「妊娠28週から37週に至るまで」〕の妊婦。省令が定める要件に該当する現行の製品はアブリスボ®。母子免疫により出生児のRS感染を予防)、②高齢者肺炎球菌ワクチンの切替(PPSV23〔ニューモバックス〕→PCV20〔沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン〕)。いずれも接種回数・接種部位・既接種者の扱い・予診票の様式まで省令・実施要領に規定があり、本記事はその逐語を実務者向けにまとめている。医療機関・薬局・自治体はそれぞれ体制整備・情報提供・公費負担手続きの見直しが必要である。本記事は厚生労働省公表の政令・省令・実施要領改正、および製品情報(PMDA・製造販売元)を根拠に執筆している。自治体ごとに運用が異なる事項(自治体独自の助成額・償還払いの有無等)のみ「自治体窓口で確認」と誘導している。接種の適否は必ず医師・自治体窓口にご確認ください。


早見表(接種を受ける方へ・詳細は各セクション)

対象になる人 回数・接種部位 費用の目安
妊婦(RSウイルス) 妊娠28週0日〜36週6日 妊娠ごとに1回・0.5mL・上腕の筋肉内注射 多くの自治体で自己負担なし(§2-3)
高齢者(肺炎球菌) 65歳の方/60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器またはHIVによる一定の障害がある方 1回・0.5mL・上腕の筋肉内注射 自治体ごとに異なる(§3-3)

過去に肺炎球菌ワクチンを打ったことがある方へ: PPSV23(ニューモバックス)・PCV13・PCV15・PCV20のいずれかを1回以上接種していると、肺炎球菌の定期接種は原則として受けられません(§3-3)。該当するかどうかの判断は、かかりつけ医または市区町村の窓口にご確認ください。

RSウイルスは「妊娠ごとに1回」です。前回の妊娠で接種していても、今回の妊娠で改めて対象になります(§2-3)。

肺炎球菌ワクチンの対象となる高齢者の方は、あわせて後期高齢者医療保険料2026年度はいくら?で医療保険料の仕組みも確認しておくと安心です。


この記事でわかること

  • 2026年4月1日から定期接種が何がどう変わったか(2大変更点の全体像)
  • RSウイルス定期接種化の対象者・接種回数・接種部位・予診票様式までの実務詳細
  • 高齢者肺炎球菌ワクチン切替(PPSV23→PCV20)の背景と、既接種者が定期接種を受けられるかの判定基準
  • 実施要領の令和8年6月1日改正(予診票のデジタル化・接種記録のシステム登録)と9月1日改正(同意取得の緩和)の中身
  • 医療機関・薬局・自治体が今すぐ確認すべき実務ポイント
  • 予防接種法本体の改正(令和8年法律第76号)が今回の変更とどう関係するか
  • FAQ:よくある疑問5問

§1 令和8年度定期接種変更の全体像

1-1 変更の背景と根拠法令

定期接種は予防接種法(昭和23年法律第68号)を根拠とし、対象疾病・対象者は政令(予防接種法施行令・昭和23年政令第197号)で定められている。省令は2本あり、役割が異なるので取り違えないこと。

法令 正式な番号 定めている内容
予防接種法施行令(政令) 昭和23年政令第197号 対象疾病(A類・B類)と対象者(年齢・妊娠週数等)
予防接種法施行規則(省令) 昭和23年厚生省令第36号 接種を行うことが適当でない者、記録の保存など手続きの事項
予防接種実施規則(省令) 昭和33年厚生省令第27号 使用するワクチン・接種回数・接種量・注射の方法(本記事が引用する第22条・第24条はこちら)
定期接種実施要領 平成25年3月30日付け健発0330第2号 厚生労働省健康局長通知の別添 実施手続きの細目(予診票の様式・接種部位・既接種者の扱い等)

定期接種実施要領は「告示」ではなく「通知」である。地方自治法第245条の4第1項に規定する技術的な助言として発出されており、官報に告示される形式の法令ではない。原典を探すときは厚生労働省のウェブサイトから通知として探すこと。

実施要領の項番の読み方: 実施要領は「第1 総論」と「第2 各論」に分かれ、それぞれが 1 から番号を振り直している。たとえば「10」は総論では「予診並びに予防接種不適当者及び予防接種要注意者」、各論では「RSウイルス感染症の定期接種」であり、同じ番号が別の内容を指す。本記事は引用のたびに「第1 総論」「第2 各論」を添えて区別している。

2026年度の定期接種変更は、この政令・省令・実施要領の改正によって実施されたものであり、法律本体(予防接種法そのもの)の改正ではない点を理解しておく必要がある。法律本体も2026年に別途改正されているが(後述§6)、これは今回のRS・肺炎球菌の変更とは改正の階層が異なる。

施行時期の区別(矛盾に見えないよう整理する):

改正の対象 改正・適用のタイミング
政令(予防接種法施行令)・省令(予防接種法施行規則/予防接種実施規則) 2026年4月1日施行(RS定期接種化・肺炎球菌PCV20切替の効力発生日)
定期接種実施要領(手続きの細目) 令和8年3月31日改正(2026年4月1日適用開始)/令和8年6月1日改正/令和8年9月1日改正(最新)

つまり、制度変更そのものの効力は2026年4月1日に発生し、その運用手続きを定める実施要領は3月31日改正版が4月施行に間に合う形で先行し、その後6月1日改正版・9月1日改正版で追加整備された、という関係である(§4参照)。

出典: 厚生労働省「定期接種実施要領」各改正版(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html)

1-2 2大変更点のまとめ

変更区分 内容 施行日
新規追加(A類) RSウイルス感染症の定期接種化(妊婦対象・母子免疫) 2026年4月1日
ワクチン切替(B類) 高齢者肺炎球菌:PPSV23→PCV20(沈降20価結合型) 2026年4月1日

A類疾病は「発病または重症化を防止し、蔓延を防ぐため集団予防を目的とする」疾病群であり、国・自治体が積極的に接種を勧奨する義務を負う。B類疾病は「個人の発病または重症化を防止し、併せて蔓延防止を目的とする」類型で、接種は任意に近い運用となる。


§2 RSウイルス感染症の定期接種化(新規・A類疾病)

2-1 なぜ今、RSウイルスが定期接種に?

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は主に乳幼児の呼吸器感染症の原因となるウイルスで、生後6か月未満の乳児が感染した場合に重篤な呼吸器疾患(細気管支炎・肺炎)に至るリスクが高い。特に早産児や心疾患を持つ乳児では入院加療を要するケースが多く、わが国では年間数万人規模の入院患者が報告されている。

従来、RS感染症の予防は抗体製剤(パリビズマブ)による受動免疫が中心であったが、近年「母体への能動免疫(ワクチン接種)により出生児を守る」という新しいアプローチのワクチンが承認を受けた。妊婦がワクチン接種を受けることで産生した抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生後早期の乳児を重症化から守る仕組みである。

厚生労働省はこのメカニズムの有効性と安全性を評価し、2026年度からA類疾病として定期接種に組み込むこととした。なお、従来型の抗体製剤による受動免疫の位置づけは、後述する予防接種法本体の改正(§6)とも関わる。

2-2 定期接種化の対象者・ワクチン区分

項目 内容
対象者 妊娠28週0日〜36週6日(政令上の表現は「妊娠28週から37週に至るまで」)の妊婦
目的 母子免疫による出生児のRSウイルス感染症予防
疾病区分 A類疾病(新規追加)
省令上の規定 組換えRSウイルスワクチン(出生した児に免疫の効果を得させることを目的とするものであって、妊婦に接種するものに限る。)
該当する現行の製品 アブリスボ®(Abrysvo/ファイザー社・組換えRSウイルスワクチン・筋注用)
対象者の根拠 政令(予防接種法施行令)第3条第1項
接種方法の根拠 予防接種実施規則(昭和33年厚生省令第27号)第22条 ※「予防接種法施行規則」(昭和23年厚生省令第36号)とは別の省令

省令は製品名を指定していない: 予防接種実施規則が定めているのは「組換えRSウイルスワクチン(出生した児に免疫の効果を得させることを目的とするものであって、妊婦に接種するものに限る。)」という要件であり、製品名そのものではない。現時点でこの要件に該当する製品はアブリスボ®(ファイザー社)のみであるため、実務上は「使用ワクチン=アブリスボ®」と読み替えて差し支えないが、今後この要件を満たす別製品が承認されれば対象に加わりうる点は理解しておきたい。国内で初めて定期接種に位置づけられた母子免疫ワクチンである。

【取り違え防止】 高齢者を対象とするRSウイルスワクチン「アレックスビー®(GSK社)」とは用途が異なり、母子免疫(妊婦接種)には用いない。両者は対象者・用法が別のワクチンであり、PMDA等も取り違えに注意を促している。産科・薬局現場では、妊婦の母子免疫定期接種=アブリスボ®であることを明確に確認すること。接種の適否は必ず医師の判断による。

妊娠週数の読み方: 「妊娠28週から37週に至るまで」とは、妊娠28週0日から妊娠36週6日(37週0日の前日)までを指す。37週に達した以降は対象外となる点に注意し、産科での妊婦健診スケジュールと照合しながら接種時期を判断する。

2-3 接種の実務ディテール(回数・部位・週数確認・出産間近の対応)

記事執筆時点で公表されている予防接種実施規則・定期接種実施要領には、接種回数から予診票の様式番号まで実務に必要な情報が逐語で規定されている。以下に整理する。

論点 一次ソースの規定
接種回数・接種量 予防接種実施規則第22条「RSウイルス感染症の定期の予防接種は、組換えRSウイルスワクチン(…妊婦に接種するものに限る。)を妊娠ごとに一回筋肉内に注射するものとし、接種量は、〇・五ミリリットルとする」
接種部位 定期接種実施要領 第1 総論12(1)サ「原則として上腕の三角筋部に筋肉内注射により行うこと」
週数の確認方法 同 第2 各論10(4)ア「妊婦に対して、接種前に、妊娠している児の母子健康手帳の提示を求め、接種時点で妊娠28週0日から妊娠36週6日と確認できた場合に接種すること」
予診で確認すべき新項目 同 第1 総論7(1)ウ(ケ)「RSウイルス感染症の予防接種にあっては、妊娠高血圧症候群の罹患歴がある又は発症リスクが高いと考えられる者」(=接種の判断を行うに際して注意を要する者に追加)
予診票の様式 同 第1 総論9(1)コ「RSウイルス感染症の定期接種:様式第十二」

「妊娠ごとに一回」の意味: 接種は妊娠1回につき1回であり、第2子・第3子の妊娠では、前回接種の有無にかかわらず改めて接種対象になる。妊婦本人が「前回の妊娠で接種済みだから今回は不要」と誤解しないよう、問診時の確認事項に加えておきたい。

【出産間近の妊婦への対応・記事で最も重要な実務情報のひとつ】
定期接種実施要領 第2 各論10(4)イは次のように定める。
「接種から14日以内に出生した児における有効性は確立していないことから、14日以内に妊娠終了を予定している場合には、接種時に説明を行い、同意が得られた場合に接種すること」
つまり、分娩予定日が接種から14日以内に迫っている妊婦に対しては、有効性が確立していない旨を説明したうえで、同意を得て接種の可否を判断する必要がある。産科の現場で接種時期を判断するうえで決定的な情報であり、妊婦健診のスケジュールと合わせて確認フローに組み込むこと。

自治体の手引きでは在胎週数に置き換えて示されていることがある。上記は国の実施要領の逐語だが、市区町村が医療機関向けに出す事務の手引きでは、これを「妊娠38週6日までに妊娠終了を予定している場合」「妊娠39週までに妊娠終了を予定している人で、予定日の14日前以降に接種する場合」といった在胎週数の形に読み替えて示している例がある。実際の運用は委託元の市区町村の手引きに従うこと。

接種を希望する妊婦の方へ: 接種の具体的な日程や自治体独自の助成の有無は産科主治医または市区町村窓口にご確認ください。なお、一部の自治体では、施行前に任意接種としてRSウイルスワクチンを受けた妊婦に対する償還払い(費用の払い戻し)を設けている場合があります。該当の可能性がある方は、お住まいの自治体窓口でご確認ください。

費用・実施場所: RSウイルスの母子免疫定期接種は多くの自治体で公費負担により自己負担なしで受けられる。ただし、「無料」が法律で保証されているわけではない点には注意が必要である。予防接種法第52条(実費の徴収)は「定期の予防接種…を行った者は、予防接種を受けた者又はその保護者から、政令の定めるところにより、実費を徴収することができる」と定めており、A類疾病であっても市町村が実費を徴収することは法律上可能である(同条ただし書により、経済的理由で負担できないと認められる場合は徴収しない)。実際の自己負担額はお住まいの市区町村の案内で確認すること。また産婦人科に限らず、市区町村の委託を受けた医療機関であれば産婦人科以外でも接種が可能である(実施医療機関はお住まいの自治体窓口で確認できる)。

2-4 A類疾病への組み込みが持つ意味

A類疾病として定期接種化されると、以下の法的義務が生じる。

  • 市区町村の接種体制整備義務: 市区町村は被接種者(対象妊婦)に対し接種の機会を提供する責任を負う
  • 積極的接種勧奨: 国・自治体が対象者に接種を勧奨する
  • 健康被害救済制度の適用: 接種後に健康被害が生じた場合、予防接種法に基づく救済給付の対象となる(B類や任意接種より手厚い補償)
  • 副反応報告義務: 接種医療機関は副反応の発生を報告する義務を負う

これらはすべて「接種を受ける妊婦の保護」「出生後の乳児の保護」に直結する制度的保障である。


§3 高齢者肺炎球菌ワクチンの切替(B類定期接種)

3-1 改正の概要:PPSV23からPCV20へ

2026年4月より、高齢者を対象とするB類定期接種の肺炎球菌ワクチンが変更された。

項目 改正前(〜2026年3月) 改正後(2026年4月〜)
ワクチン種別 PPSV23(23価莢膜ポリサッカライドワクチン) PCV20(沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン)
代表的製品名 ニューモバックスNP プレベナー20
カバー血清型数 23種類 20種類
ワクチン分類 莢膜ポリサッカライドワクチン(非結合型) 結合型ワクチン(コンジュゲートワクチン)
添付文書上の投与経路 筋肉内又は皮下(実務上は皮下接種が広く行われてきた) 筋肉内注射
接種回数・接種量 (切替前の運用) 1回・0.5mL(予防接種実施規則第24条)

投与経路の変更に注意: ニューモバックスNPシリンジの添付文書(PMDA)は「6.用法及び用量 1回0.5mLを筋肉内又は皮下に注射する。」と規定しており、PPSV23の接種経路は皮下に限定されているわけではない。ただし実務上は皮下接種が広く行われてきた。一方、PCV20(プレベナー20)は定期接種実施要領上「原則として上腕の三角筋部に筋肉内注射」と定められており、切替に伴って接種手技・接種部位の運用が実質的に変わるという趣旨自体は変わらない。実施医療機関はスタッフへの周知が必要となる。

3-2 なぜPCV20への切替が行われるのか

従来使用されていたPPSV23(23価莢膜ポリサッカライドワクチン)と新たに採用されるPCV20(沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン)の最大の違いはワクチンの構造(結合型か非結合型か)にある。

結合型ワクチン(コンジュゲートワクチン)の特徴:
– 莢膜多糖体をキャリアタンパク質に結合させることで、T細胞依存性の免疫応答を誘導する
– 高齢者・免疫応答が低下した個人でも比較的良好な抗体産生が期待できる
– 免疫記憶(ブースター効果)が形成されやすい

PCV20は、カバーする血清型数こそPPSV23の23種類より少ない20種類であるが、これらの対象血清型に対してPPSV23より高い有効性が期待される。厚生労働省は有効性・安全性・費用対効果等の総合的評価のうえでPCV20への切替を決定した。

肺炎球菌感染症は高齢者の侵襲性感染症(肺炎、菌血症、髄膜炎)の主要な原因であり、定期接種化以降の高齢者への予防効果を更に高めるための政策的判断といえる。

3-3 定期接種の対象者・実施方法・既接種者の扱い

対象者:
– 65歳の者
– 60歳以上65歳未満で、心臓、腎臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する者及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)により免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者

対象疾病の範囲にはHIVによる免疫機能障害も含まれる。記事の他の解説では「心臓・腎臓・呼吸器の機能障害等」とまとめて表記している箇所があるが、政令・実施要領はHIVを明示的に列挙している。該当する方が自分を対象外と誤読しないよう、正式な対象範囲としてここに明記する。

接種回数・接種量: 予防接種実施規則第24条「肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)の定期の予防接種は、沈降二十価肺炎球菌結合型ワクチンを一回筋肉内に注射するものとし、接種量は、〇・五ミリリットルとする」。1回・0.5mL・筋肉内注射である。

接種部位: 定期接種実施要領 第1 総論12(1)シ「原則として上腕の三角筋部に筋肉内注射により行うこと。なお、明らかに筋肉量が少ない場合などは、年齢に関係なく大腿前外側部(外側広筋)に接種することも可能であるが、臀部には接種しないこと」。

予診票の様式: 同 第1 総論9(1)オ「高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種:様式第六」。

既接種者の扱い(読者の最大の関心事): 定期接種実施要領 第2 各論11(2)は次のように定める。

「これまでに、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン又は肺炎球菌結合型ワクチンを1回以上接種した者であって、高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種を行う必要がないと認められる者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできないこと。」

同 第2 各論11(1)ただし書「イに該当する者として既に当該予防接種を受けた者は、アの対象者から除くこと」、同 第2 各論11(3)「予診票により、当該予防接種の接種歴について確認を行うこと」も併せて規定されている。

  • PPSV23だけでなく、PCV13・PCV15・PCV20のいずれかを1回以上接種していれば対象外になりうる
  • 実施要領の文言は「1回以上接種した者」であり、定期接種として受けたか任意接種として受けたかを区別していない
  • 実際に対象外となるかどうかは「予防接種を行う必要がないと認められる者」に該当するかの医師の判断が絡むため、予診票による接種歴確認は必須の手続きである

公費負担による接種が行われる(自己負担額は自治体ごとに異なる)。具体的な対象年齢・実施方法・接種券の運用は自治体によって異なる場合があるため、対象年齢・実施の詳細はお住まいの自治体通知で確認すること。

接種を検討している高齢者の方・ご家族へ: 過去にPPSV23またはいずれかの肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13/PCV15/PCV20)を接種したことがある場合、原則として定期接種としては受けられません(上記 第2 各論11(2))。ただし個別の事情による判断は、かかりつけ医または市区町村の予防接種担当窓口にご相談ください。

小児の肺炎球菌ワクチンとの混同に注意: 小児(乳幼児)の肺炎球菌感染症の定期接種は、高齢者向けとは別建ての規定である。定期接種実施要領 第2 各論5は「原則として沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンを使用することとするが、当面の間、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンも使用できること」と定めている。本記事が扱う高齢者向けのPPSV23→PCV20切替(§3-1)とは対象年齢・制度上の位置づけが異なる。


§4 定期接種実施要領の改正ポイント(2026年)

4-1 令和8年度に3回改正されている

定期接種実施要領は、令和8年度に入ってから3回改正されている。最新は令和8年9月1日改正版であり、原典を参照するときは版を間違えないこと。

改正 適用日 主な内容
令和8年3月31日改正 2026年4月1日 RSウイルス定期接種化・高齢者肺炎球菌のPCV20切替に伴う手続きの整備(対象者・接種方法・予診票様式第十二の新設等)
令和8年6月1日改正 2026年6月1日 予診票のデジタル化(マイナポータル入力)と接種記録の「予予・請求システム」登録。当面の間は従来の台帳・紙の予診票も可
令和8年9月1日改正(最新) 2026年9月1日 接種時の同意取得の方法を緩和。デジタル予診票を使う場合は口頭での同意でも可(システムへの記録が必要)。詳細は§4-3

実施要領は各自治体が定期接種を実施する際の指針となるため、医療機関・薬局・接種実施者はいずれの改正版も内容を確認しておく必要がある。なお、RSウイルス・高齢者肺炎球菌の対象者・接種回数・接種部位・予診票の様式番号は、6月1日改正版と9月1日改正版で変わっていない(本記事で引用している逐語はいずれも9月1日改正版でも同一)。

出典: 厚生労働省「定期接種実施要領(改正後全文・令和8年9月1日改正)」 — https://www.mhlw.go.jp/content/001744583.pdf

4-2 令和8年6月1日改正の中身 — 予診票のデジタル化と接種記録のシステム登録

第2次改正(令和8年6月1日)は、RSウイルス・肺炎球菌の制度変更そのものとは別軸の改正であり、内容は予診票と接種記録の管理方法に関するものである。実施要領 第1 総論1は次のように定める。

「市町村長…は、…定期接種に関する記録について、予診情報・予防接種記録管理/請求支払システム(以下「予予・請求システム」という。)に登録し、適正に管理・保存すること。なお、当面の間、…様式第一の予防接種台帳を参考に作成した台帳や各市町村の独自システムにより、当該記録を管理・保存することとして差し支えない。」

同要領はデジタル予診票を「住民がマイナポータルから入力する予診票をいう」と定義したうえで、第1 総論9(1)で次のように定める。

「デジタル予診票を導入した市町村においては、…住民のマイナポータル上にデジタル予診票を示すこととし、…なお、デジタル予診票を導入した市町村においても、必要に応じて、紙の予診票を引き続き使用できることに留意すること。」

「ただし、各市町村においてデジタル予診票を導入するまでの間は、令和8年6月1日一部改正前の様式一から様式十二まで(…)を参考にして紙の予診票を作成することとしても差し支えない。」

読者(医療機関・自治体の実務担当者)にとって重要な要点は次の3つである。

  1. 予診票がマイナポータルからの入力(デジタル予診票)に対応した
  2. 接種記録は予予・請求システムへ登録する。ただし当面の間は従来の台帳・独自システムでも差し支えない
  3. 紙の予診票は引き続き使える。デジタル予診票を導入していない市町村は6月1日改正前の様式のままでも差し支えない

4-3 令和8年9月1日改正の中身 — 同意取得が「文書」から「口頭でも可」へ

接種現場の手順が変わる改正なので、6月1日改正と分けて押さえておきたい。改正前後を並べる。

令和8年6月1日改正版 令和8年9月1日改正版(現行)
同意の取り方 「予防接種の実施に関して文書により同意を得た場合に限り接種を行う」 「予防接種の実施に関して同意を得た場合に限り接種を行う」(=「文書により」が削除)

そのうえで、9月1日改正版は次を新たに定めている(第1 総論9より・逐語)。

「なお、デジタル予診票を使用した接種の場合、定期接種の対象者又はその保護者は、当該説明を受けた後、口頭で同意の有無を示すこととし(書面により示すことも可能。)、この場合において、医師等は当該同意の有無を予予・請求システムに記録しなければならないこと。紙の予診票を使用した接種の場合、定期接種の対象者又はその保護者は当該予診票に同意の有無を記入することとし、この場合において、医師等が予予・請求システムに同意の有無を記録することは求めないこととすること。」

実務上の要点は2つ。

  1. デジタル予診票を使う場合は、同意を口頭で取ってよくなった。ただしその代わり、医師等が同意の有無を予予・請求システムへ記録する義務が生じる。「文書が要らなくなった」のではなく「記録の場所が紙からシステムへ移った」と理解するのが正しい
  2. 紙の予診票を使う場合は従来どおり。予診票に同意の有無を記入すればよく、システムへの記録は求められない

あわせて、児童福祉施設等における同意についても「接種の機会ごとに保護者の文書による同意を得ることが困難」→「接種の機会ごとに保護者の同意を得ることが困難」と、同じく「文書による」が削除されている。

実務上いちばん大事なのは「移行の猶予がある」ことである。 システム対応やマイナポータル連携が整っていない医療機関・自治体でも、当面は従来の運用を続けられる設計になっている。RSウイルス・肺炎球菌の制度変更(§2・§3)とは別軸の改正であることも押さえておきたい。

4-4 医療機関が実施要領で確認すべき実務項目

実施要領には以下の実務項目が定められているため、定期接種を実施する医療機関・助産所等は必ず確認する。

  1. 接種実施体制の届出・契約: 市区町村との委託契約・協定締結の手続き
  2. 被接種者の確認: 対象者の確認方法(母子健康手帳・接種券の確認等)
  3. 記録・報告: 接種記録の作成・保存・市区町村への報告義務(§4-2の予予・請求システムまたは従来台帳)
  4. 副反応報告: 重篤な副反応・死亡例の報告先(都道府県・PMDA)と報告期限
  5. 健康被害救済: 接種後健康被害の相談窓口・手続き案内
  6. 費用請求: 公費負担分の請求先・請求様式・支払いスケジュール
  7. 予診票の様式確認: RSウイルスは様式第十二、高齢者肺炎球菌は様式第六。デジタル予診票導入前は改正前の様式でも差し支えない

これらは従来のA類・B類疾病の定期接種と同様の実務フローだが、RSウイルスは今回新規追加であるため、特に接種実績のない医療機関は体制整備が必要となる。


§5 医療機関・薬局・自治体ごとの対応ポイント

5-1 産科・産婦人科(RSウイルス接種の主要実施機関)

RSウイルス感染症の定期接種は妊婦を対象としており、産科・産婦人科が主要な接種実施機関となることが想定される。以下の対応が求められる。

体制整備面:
– 市区町村との委託契約締結(未実施の場合は速やかに手続き)
– スタッフへのワクチン管理・接種技術の研修
– 問診票・同意書の整備(妊娠週数確認・接種から14日以内の出生見込みへの説明を含む)

情報提供面:
– 妊婦健診の機会を活用した定期接種の説明・勧奨
– RSウイルス感染症が新生児・乳児に与えるリスクの丁寧な説明
– 接種のメリット・注意事項のわかりやすい資料提供

記録面:
– 母子健康手帳への接種記録記載
– 市区町村へのデータ報告体制の確認(予予・請求システムまたは従来台帳)

5-2 薬局(調剤・情報提供の役割)

薬局は定期接種の直接実施機関ではないため、今回の改正で薬局に新たな届出や施設要件は生じない。妊婦・高齢者と日常的に接する立場として、情報提供・相談対応の役割を担う。

情報提供・服薬指導の際の確認ポイント:
– 妊婦からRSウイルスワクチンについて質問を受けた場合は、定期接種の対象であること・かかりつけ産科医または市区町村窓口への相談を案内する
– 高齢者から肺炎球菌ワクチンについて質問を受けた場合は、ワクチンがPCV20に切り替わっていること・過去にPPSV23またはいずれかの結合型ワクチンを接種済みの場合は原則として定期接種を受けられないこと(§3-3)を案内し、医師への相談を促す
– ワクチン接種後の発熱・局所反応等に対する解熱鎮痛薬の相談には、接種部位の副反応の一般的説明に加え、重篤症状の場合は接種医療機関・救急への受診を促す

調剤報酬改定2026年における調剤業務や服薬指導の詳細については「調剤報酬改定2026年をわかりやすくまとめ」も参照されたい。

5-3 市区町村(定期接種の実施主体)

定期接種の実施主体は市区町村であり、以下の対応が必要である。

接種体制:
– 管内の産科医療機関・かかりつけ医との委託契約・協定の締結または更新
– RSウイルス(A類新規)・肺炎球菌PCV20(B類切替)両方を含む接種体制の整備
– 自治体独自の公費助成額・自己負担額の設定と周知
– 予予・請求システムへの登録体制、または当面の代替(従来台帳・独自システム)の運用整理

住民向け広報:
– 対象者(妊婦・高齢者)への接種通知・勧奨通知の発送
– 市区町村ウェブサイト・窓口での情報更新
– 問合せ対応の庁内マニュアル整備

費用請求:
– 医療機関からの公費分の請求受付・支払い体制の確認


§6 今回の変更と「予防接種法本体の改正」(令和8年法律第76号)の関係

6-1 法律改正と政令・省令改正は別物

今回解説している2026年4月1日施行の定期接種変更は、あくまで政令・省令・実施要領レベルの改正である。

これとは別に、2026年には予防接種法本体の改正(令和8年法律第76号、2026年7月31日公布)も成立・公布されている。改正の階層が異なるため今回のRS定期接種化・肺炎球菌切替と直接連動するものではないが、後述するとおりRSウイルス対策の今後を考えるうえで無関係ではない。

区分 2026年4月1日施行の変更 令和8年法律第76号
法令レベル 政令・省令・実施要領の改正 法律(予防接種法)本体の改正
主な内容 RS定期接種化・肺炎球菌切替 「予防接種」の定義拡大(長期作用型の抗体製剤を対象に追加)
施行状況 2026年4月1日施行済み 2026年7月31日公布。施行日は政令で別途定める(§6-3)

6-2 改正の中核 — 「予防接種」の定義がワクチン以外にも広がる

改正後の予防接種法第2条第1項は次のとおりである。

「この法律において「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されている特定医薬品(次に掲げる医薬品…をいう。以下同じ。)を、人体に注射し、又は接種することをいう。
一 ワクチン
二 単クローン抗体を有効成分として含有し、かつ、ワクチンと同程度にその効果が長期間にわたる医薬品」

現行は「ワクチンを、人体に注射し、又は接種すること」であり、対象はワクチンに限られていた。

→ 改正により、長期作用型の抗体製剤(モノクローナル抗体製剤)が、予防接種法の枠組みに入ることになる。

これは記事の主題であるRSウイルス対策と無関係ではない。§2-1で述べたとおり、RS感染症の予防は従来から抗体製剤による受動免疫が用いられてきた。ただし、第76号が対象にするのは「ワクチンと同程度にその効果が長期間にわたる」抗体製剤に限られる点に注意が必要である。従来のパリビズマブは流行期に月1回の反復投与を要するため、この要件には当たらない。一方、1回の投与で流行期を通じた効果が期待できる長期作用型の抗体製剤は、要件に該当しうる。令和8年法律第76号は、こうした製剤が将来的に定期接種の枠組みに組み込まれうる法的な土台を用意するものであり、RSウイルス対策の今後を考えるうえで位置づけておく価値がある。

ただし、「どの製剤がいつ定期接種になるか」はまだ決まっていない。法律は制度の「器」を広げただけであり、対象疾病・対象者・対象医薬品は今後、政令・省令で別途定められる。現時点で特定の抗体製剤が定期接種の対象になると断定することはできない。

6-3 施行日は政令で別途定める(断定しない)

令和8年法律第76号の附則は次のとおりである。

「この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」

公布日は2026年7月31日であるため、施行日の外側の期限は2027年1月30日となる。ただし、これは「遅くともこの日までに施行される」という上限を示すものであり、「2027年1月30日に施行される」と断定することはできない。実際の施行日は「施行期日を定める政令」によって決まり、それより早くなる可能性がある。施行日を確定させたい場合は、官報またはe-Gov法令検索で施行期日政令を確認すること。

6-4 【別の法律】支払基金の組織改称は2026年10月1日に施行済み

条文を引くときに紛らわしいので、令和8年法律第76号とは別の改正として分けて整理しておく。

「社会保険診療報酬支払基金」は2026年10月1日に「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」へ改称された。予防接種法でも第七章の章名が「社会保険診療報酬支払基金の業務」から「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構の業務」へ変わり、条文中の略称も「支払基金」から「基盤機構」になった。

項目 内容
根拠法 令和7年法律第87号「医療法等の一部を改正する法律」(2025年12月12日公布)
施行日 2026年10月1日(施行済み)
予防接種法への影響 第七章の章名、第31条〜第42条ほかの「支払基金」表記が「基盤機構」に置き換わった

令和8年法律第76号(予防接種法の一部を改正する法律)ではありません。同じ予防接種法の条文が短期間に2本の別々の法律で改正されているため、条文を引くときはいつ時点の版かを必ず確認すること。e-Gov法令検索では時点指定(asof)で切り替えられる。

なお、改称後の組織が対外的に用いる略称は「DX審査支払機構」であり、予防接種法の条文上の略称「基盤機構」とは別である。条文を引用するときは「基盤機構」、組織名として書くときは正式名称を使うのが安全。

高額療養費制度など医療費負担の変化も含め、2026年以降の医療制度改正の全体像については「高額療養費制度 2026年8月改正|年収別の自己負担上限」も参照されたい。


§7 実務チェックリスト

産科・産婦人科

  • [ ] 市区町村との委託契約を締結・更新したか
  • [ ] RSウイルスワクチンの仕入れ・保管体制を整えたか
  • [ ] 接種対象週数(妊娠28週〜36週6日)の確認フローを整備したか
  • [ ] 分娩予定日が接種から14日以内に迫る妊婦への説明・同意確認フローを整備したか
  • [ ] 問診票・同意書・接種記録の様式(様式第十二)を準備したか
  • [ ] 妊婦への説明資材(RSウイルスの解説・接種のメリット等)を用意したか
  • [ ] 副反応発生時の対応フロー・報告先を確認したか

内科・総合診療科(高齢者肺炎球菌接種を行う場合)

  • [ ] 使用するワクチンがPCV20に更新されているか(在庫・発注状況)
  • [ ] PPSV23・PCV13・PCV15いずれかを既接種の患者を予診票で確認し、対象外判定するフローを整備したか
  • [ ] 接種部位(原則上腕三角筋部、臀部には接種しない)をスタッフに周知したか
  • [ ] 市区町村の接種委託・費用請求様式がPCV20対応(様式第六)に更新されているか

薬局

  • [ ] 妊婦・高齢者からのワクチン問合せ対応マニュアルを整備したか
  • [ ] 接種後の副反応相談に対する初期対応フローを確認したか
  • [ ] 高齢者への「既接種の場合は原則対象外」の案内内容を整理したか

市区町村担当者

  • [ ] 管内医療機関への通知・委託契約更新を完了したか
  • [ ] 対象住民への接種通知の発送スケジュールを確定したか
  • [ ] 自治体ウェブサイト・窓口情報をPCV20切替・RS追加に更新したか
  • [ ] 予予・請求システムへの登録体制、または当面の代替運用(従来台帳)を確定したか
  • [ ] デジタル予診票の導入予定・紙の予診票の併用方針を整理したか

§8 FAQ

Q1. 妊婦がRSウイルスワクチンを接種すると、本人も何か効果があるのでしょうか?

RSウイルス感染症の定期接種は、出生後の乳児を守る「母子免疫」が主目的です。妊婦本人のRS感染予防効果も期待できますが、接種の一義的な目的は「母体の抗体を胎盤経由で胎児に移行させ、生後早期の乳児を重症RSウイルス感染症から守ること」です。RSウイルスによる乳児の入院リスクを下げる観点から、定期接種化されています。具体的な予防効果の説明は産科主治医にご確認ください。

Q2. 既にPPSV23(ニューモバックス)を接種したことがある場合、PCV20も接種できますか?

2026年4月から高齢者B類定期接種の標準ワクチンはPCV20に切り替わりました。定期接種実施要領は、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)またはいずれかの肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13・PCV15・PCV20)を1回以上接種したことがある方のうち「予防接種を行う必要がないと認められる者」は、定期接種としては受けられないと定めています(実施要領 第2 各論11(2))。この規定は定期接種として受けたか任意接種として受けたかを区別していません。ただし「予防接種を行う必要がないと認められる者」に該当するかどうかの個別の判断は医師が行うため、かかりつけ医または市区町村の予防接種担当窓口にご確認ください。自己判断で接種の可否を決めないでください。

Q3. 定期接種なので費用はすべて無料ですか?

RSウイルスの母子免疫定期接種は多くの自治体で公費負担により自己負担なしで受けられます。ただし「無料」が法律で決まっているわけではありません。予防接種法第52条は、定期接種を行った市町村が接種を受けた方から実費を徴収できると定めています(経済的理由で負担できないと認められる場合を除く)。高齢者肺炎球菌などB類の定期接種は自己負担額が市区町村ごとに異なり、一部自治体で自己負担を設定しています。正確な費用は、お住まいの市区町村の窓口またはウェブサイトでご確認ください。

Q4. 任意接種でRSウイルスワクチンを既に受けていた場合、定期接種との重複接種はできますか?

任意接種で既に接種済みの場合の定期接種との関係については、実施要領・ガイドラインに基づく医師の判断が必要です。重複接種の可否・接種間隔等は産科主治医にご相談ください。なお、施行前に任意接種として受けた費用について、一部自治体では償還払いの制度を設けている場合があります。

Q5. 医療機関がRSウイルスの定期接種を実施するための手続きはどこに問い合わせればよいですか?

まず管轄の市区町村(予防接種担当課)に問い合わせてください。市区町村から委託を受けて定期接種を実施する形式が基本となります。また、厚生労働省の「定期接種実施要領」および都道府県の衛生主管部局からの通知も参照してください。


まとめ

2026年4月1日から施行された定期接種の主要変更は2点——RSウイルス感染症の新規A類定期接種化(妊婦対象・母子免疫)と、高齢者肺炎球菌ワクチンのPPSV23からPCV20への切替——である。いずれも接種回数・接種部位・既接種者の扱い・予診票の様式まで省令・実施要領に具体的な規定があり、本記事で整理した内容を実務の確認フローに組み込んでいただきたい。

RSウイルスの定期接種化は「母体免疫を通じて生後早期の乳児を守る」という新しいアプローチであり、A類疾病として組み込まれたことで積極的接種勧奨と手厚い健康被害救済制度が適用される。接種は妊娠ごとに1回・筋肉内注射で、分娩予定日が接種から14日以内に迫る場合は説明と同意のうえでの判断が必要になる。一方、肺炎球菌ワクチンの切替は、結合型ワクチン(PCV20)の方が従来の非結合型(PPSV23)より対象血清型に対して高い有効性が期待されるという科学的評価に基づき、PPSV23・PCV13・PCV15のいずれかを既に接種した方は原則として定期接種の対象外となる。

さらに、令和8年6月1日の実施要領改正では予診票のデジタル化(マイナポータル入力)と接種記録の「予予・請求システム」登録が始まったが、移行には猶予期間があり、従来の紙の予診票・台帳も当面は使い続けられる。また、2026年に公布された予防接種法本体の改正(令和8年法律第76号)は、長期作用型の抗体製剤を将来的に定期接種の枠組みに組み込みうる法的な土台を用意するものであり、RSウイルス対策の今後を考えるうえで押さえておきたい動きである。ただし対象製剤・施行日はいずれも今後の政令で確定するため、現時点で断定的な扱いはできない。

費用・接種スケジュールの細目・自治体独自の助成等、自治体ごとに運用が異なる部分は、かかりつけ医または市区町村窓口への確認を必ず行っていただきたい。

また、2026年以降の医療制度の変化として、後期高齢者の医療費負担はいくら?も合わせてご参照いただくと、医療費・保険制度の全体像の理解が深まるだろう。


免責事項: 本記事は公表済みの政令・省令・実施要領等の一次情報をもとに執筆した情報提供を目的とするものです。接種の適否・費用・スケジュールは個人の状況や自治体の運用によって異なります。接種の判断は必ず医師またはかかりつけ産科医・市区町村の担当窓口にご相談ください。本記事の内容は最終的な医療判断・法的判断の根拠にはなりません。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。