免税店のリファンド方式2026年11月移行|10月31日の届出・消耗品・返金の実務

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
免税店のリファンド方式2026年11月移行|10月31日の届出・消耗品・返金の実務
目次▼

本記事は2026年10月15日時点で国税庁が公表している「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」特設ページ、リーフレット「輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します」、「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」(令和8年4月改訂)、同「(リファンド方式)」(令和8年7月)、「リファンド方式開始以降に免税店の許可を受けるための申請手続」と、e-Govの消費税法(2026年11月1日施行版)をもとに作成しています。店舗の形態(百貨店のテナント、免税手続カウンターへの委託、自動販売機型など)や使用中のPOS・免税システムによって対応は変わります。最終判断は所轄税務署または税理士にご確認ください。

結論|2026年11月1日から免税の「やり方」が変わる。10月31日までの確認が最優先

免税店(正式名称は輸出物品販売場。外国人旅行者に消費税を免除して売れる店として税務署長の許可を受けた店)の制度は、2026年11月1日から「リファンド方式」に移行します。リファンド方式とは、店が旅行者にいったん税込価格で販売し、旅行者が出国するとき税関が持ち出しを確認した後で、店が消費税相当額を返金する仕組みです(国税庁リーフレット)。

経理・店舗運営の担当者が押さえる点は次の5つです。

  • 販売は税込価格の課税売上げになり、免税売上げへの振替は税関の確認後(購入日から90日以内の出国時)になる → 何が変わるか
  • 2026年10月31日までに「購入記録情報の提供方法等の届出書」が未提出の免税店は、同日で許可の効力を失う → 10月31日までにやること
  • 現行制度とリファンド方式を併用できる移行期間はない。11月1日(午前0時)以降の販売はリファンド方式 → 11月1日以降の流れ
  • 消耗品の購入上限額(50万円)と特殊包装の要件は廃止される。ただし持ち出せる数量までの販売になる → 消耗品・包装の変更
  • POSの改修、課税売上げから免税売上げへの振替、返金の方法を決める必要がある → POS・システム対応・経理処理

今日(2026年10月15日)から10月31日までは16日です。10月31日は土曜日、11月1日は日曜日にあたります(カレンダー上の事実)。

なお、酒類を扱う店の同じ時期の実務は酒税の手持品課税(戻税)の届出期限と2,000リットル判定、インボイス制度の経過措置の縮小(2026年10月)はインボイス制度2026年10月改正の実務対応で整理しています。本記事は免税店制度の変更に絞ります。

この記事の対象読者

免税店の許可を受けている(または受けようとしている)小売店・ドラッグストア・薬局・百貨店・宿泊施設併設の売店などの運営者と、その経理担当者を主な対象としています。旅行者として買い物をする方向けの内容ではありません(旅行者向けの注意点は、店が説明する項目として後半に触れます)。

何が変わるか|現行の免税販売とリファンド方式の比較

国税庁の資料から、店の実務に関わる変更点を表にしました。左が2026年10月31日まで、右が11月1日以降です。

項目 現行制度(〜2026年10月31日) リファンド方式(2026年11月1日〜)
販売の方法 免税価格(税抜)で販売 税込価格(課税)で販売
免税が成立する時点 販売時に免税手続が完了 購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受け、店が購入記録情報と税関確認情報を保存したとき
返金 なし(税抜で売っているため) 店が、税関の確認後に消費税相当額を返金
消耗品(飲食料品・医薬品・化粧品など) 一般物品と区分。1人1日1店舗あたり5千円〜50万円。特殊包装が必要 区分を廃止。5千円〜で上限なし。特殊包装は不要
免税対象物品 通常生活の用に供する物品 金・白金の地金、金貨・白金貨、消費税が非課税の物品を除くすべて(用途を問わない)
免税店の区分 一般型・手続委託型・自動販売機型 一般型・自動販売機型(一般型と手続委託型を統合)
申請・届出書類 区分ごと・変更内容ごとに様式が分かれる 許可申請書や変更届出書に統合。見取図・会社案内などの添付は不要に
販売場の移転 移転後の販売場で改めて許可が必要 「輸出物品販売場等変更届出書」を移転日の前日までに提出
単価100万円(税抜)以上の商品 — 購入記録情報に「商品情報詳細」(シリアル番号など)の設定が必須
現行制度との併用 — 移行期間はない

(出典:国税庁リーフレット1〜4ページ、同Q&A(概要編)問1・問4・問5・問6・問8・問13)

比較表の金額条件のうち、購入下限額の5千円は税抜価額で判定し、同一の免税購入対象者(外国人旅行者など)に、同一の店舗で、同じ日に売った免税対象物品の合計で見ます。この判定の考え方はリファンド方式でも変わりません(消費税法第8条第1項、Q&A問4の注)。

日付の数え方|「購入日から90日以内」

「購入日から90日以内」とは、購入日の翌日から数えて90日目までです。国税庁の例では、11月1日に購入した物品の税関確認の期限は翌年1月30日です(リーフレット1ページ注1、Q&A問19)。

税関の確認は、購入記録情報(一の販売・領収の単位、基本的にはレシート1枚の単位)ごとに行われます。同じレシートの商品のうち1つでも出国時に持っていないと、そのレシートに含まれるすべての商品について確認を受けられず、免税になりません(Q&A問20、リーフレット1ページ注2)。国税庁の例は、91,000円のレシート(品名A 3,000円、品名B 75,000円、品名C 13,000円)で、Cだけ持っていなかった場合にA・B・Cすべてが対象外になるというものです。

10月31日までにやること

1. 自店の許可の状態を確認する

2026年10月31日時点で一般型または手続委託型の免税店の許可を受けている店は、11月1日に新制度の一般型免税店の許可を受けたものとみなされます。この経過措置のために申請書や届出書を改めて出す必要はありません(Q&A問10)。

ただし例外があります。

状況 11月1日以降の扱い
10月31日時点で免税店の許可があり、「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を提出済み 新制度の一般型免税店とみなされる(再申請は不要)
同届出書を10月31日までに提出していない(免税販売手続の電子化に未対応) 10月31日をもって許可の効力を失う。リファンド方式の開始後、改めて「輸出物品販売場許可申請書」の提出が必要

(出典:国税庁リーフレット3ページ、Q&A問10、「リファンド方式開始以降に免税店の許可を受けるための申請手続」)

この届出書は、現行制度で免税販売を行うために必要とされている書類です(Q&A問10の注2)。通常どおり免税販売を続けてきた店は提出済みのはずですが、提出したかどうかを控えで確認するのが最初の一歩です。なお、この届出書はリファンド方式では許可申請書に統合されます。11月1日以降に許可申請書を出す店は、この届出書を別に出す必要はありません(Q&A問10の注2、問6)。提出先は、免税店を経営する事業者の納税地を所轄する税務署です。e-Taxソフトで作成・提出するほか、書面を持参または送付して提出することもできます(国税庁「D1-34 輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出手続」)。提出の有無に不安がある場合は、所轄税務署に確認してください。

2. 免税店を閉じる・やめる店は廃止届出書

店を閉める、または免税の適用を受けるための販売をやめる場合は、届出書の提出の有無にかかわらず「輸出物品販売場廃止届出書」を納税地の所轄税務署長に提出します(Q&A問10の注1、リファンド方式(詳細編)問12)。

3. 11月1日から新しく免税店を始める店

リファンド方式に対応した新様式の「輸出物品販売場許可申請書」は、2026年10月1日から提出を受け付けています。ポイントは次のとおりです(国税庁「リファンド方式開始以降に免税店の許可を受けるための申請手続」)。

  • 提出先は、事業者の納税地を所轄する税務署長。e-Taxでの提出が案内されている
  • 添付書類は、免税販売手続を誰が行うか(自社か、承認免税手続事業者=免税手続カウンターを運営し、店に代わって免税手続を行う事業者への委託か)と、購入記録情報の提供等を誰が行うか(自社か、承認送受信事業者=国税庁への送受信を代行する事業者への委託か)に応じた書類
  • 許可を受ける事業者は消費税の課税事業者であること、国税の滞納(徴収が著しく困難なもの)がないこと、許可取消しから3年を経過していること(購入記録情報の不備等による取消し=消費税法第8条第8項第3号は除く)などが要件。新たに「免税販売手続や購入記録情報の提供等を適正に実施するための必要な体制が整備されていること」が追加された
  • 審査には一定の期間がかかる。11月1日から始めたい(10月31日までに許可や識別符号の通知を受けたい)場合は、事前に所轄税務署に相談のうえ、10月1日以降速やかに書類を提出するよう国税庁が案内している
  • 代替策として、現行制度の様式で10月31日までに許可を受けておけば、11月1日に新制度の一般型免税店の許可を受けたものとみなされる(ただし現行制度の様式・添付書類は新様式と異なる)

4. 委託関係を変えるなら変更届出書

許可を受けている免税店が、免税販売手続の委託の有無、委託先の承認免税手続事業者、購入記録情報の提供等の方法(自社か承認送受信事業者か)を変える場合は、「輸出物品販売場等変更届出書」を提出します(Q&A問10)。店名・所在地の変更も対象で、移転の場合は移転日の前日までに提出します(概要編問6-3)。

5. 10月末までに決めておく運用

届出以外に、11月1日の朝までに決めておく項目は次のとおりです。

  • 返金の方法(銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、出国港内での現金返金など)と、自社で行うか委託するか → 返金
  • 購入記録情報の送信と税関確認結果の取得の方法(自社システムか、承認送受信事業者か)→ POS・システム対応
  • 購入者への説明(後述の3点)をリーフレットで行う体制。国税庁のリーフレットは11月1日以降に販売を行う取引から使用するもので、多言語併記版などが公表されている
  • 返品・取消し、通信障害時、旅行者が現地で飲食した場合などの社内マニュアル

11月1日以降の販売と返金の流れ

一般型免税店が自ら手続を行う場合の流れは、国税庁のQ&A(概要編)問2のとおり次の8段階です。

段階 店の作業 補足
① 旅券等の提示 免税購入対象者本人から旅券等の提示を受け、記載情報の提供を受ける 旅券の情報を持つVisit Japan Webの二次元コードでも可。日本国籍の人は旅券に加え、在留証明・戸籍の附票の写し・マイナンバーカードのいずれかも確認
② 免税購入対象者の確認 購入者が免税購入対象者であることを確認 対象者の範囲に改正はない
③ 説明 次の3点を説明(リーフレット等の交付・掲示) 下記参照
④ 引渡し 免税対象物品を税込価格で本人に引き渡す 5千円の判定は税抜価額
⑤ 購入記録情報の提供 遅滞なく国税庁(免税販売管理システム)へ送信 誤りや入力漏れがあると税関確認ができない
⑥ 税関確認情報の取得 国税庁から取得 購入日から90日以内の出国時の確認
⑦ 保存 購入記録情報と税関確認情報を保存 保存がないと免税は適用されない
⑧ 返金 税関確認情報に基づき消費税相当額を返金 返金の方法は法令に定めがない

③で必ず説明する3点

免税販売手続の際、購入者に次の3点をリーフレット等の交付・掲示などで説明する必要があります(国税庁特設ページ「販売時の留意点」、Q&A問2)。

  1. 免税対象物品の購入日から90日以内の出国時に、税関で旅券を提示等して確認を受ける必要があること
  2. 免税購入対象者は税関の求めに応じて免税対象物品を提示できるようにしなければならないこと
  3. 税関の確認を受けた免税対象物品を遅滞なく輸出しなければならず、輸出しなかった場合は免除された消費税額に相当する消費税を徴収され、罰則の適用対象となること

加えて、税関の確認は出国する空港・港で手荷物を機内に預ける前に受ける必要があります(リーフレット「免税対象物品を購入する外国人旅行者の方へ」)。出発ロビーに設置された免税手続用の端末(キオスク端末)などで手続します。購入する免税対象物品は、出国時にその全てを自分で持って海外に持ち出せる数量に限られます(リーフレット1・2ページ)。

旅行者側で起きること(店が知っておく範囲)

出国時、旅行者は空海港の免税手続用の端末に旅券を読み込ませます。検査が不要と判定されれば(いわゆるグリーン判定)手続は終了し、検査が必要と判定されれば(レッド判定)税関の検査場所で持ち出しを確認されます(Q&A問18)。免税購入対象者が購入日から90日以内に確認を受けなかった場合は、購入記録情報ごとに「持出しが確認されなかった旨」の情報が提供されます(Q&A問19の注2)。

返品・取消し・事前返金

  • 返品を受けたとき: 当初の購入記録情報の取消データを遅滞なく送信します。一部返品の場合は、取消後に訂正後の購入記録情報を送り直す方式(洗替方式)に統一されます(Q&A問16)
  • 税関確認情報が提供された後に不良品で返金する場合: 購入記録情報と税関確認情報のステータスは確定しているため、当初の購入記録情報の取消しは不要です(同)
  • 税関確認の前に返金(事前返金): 可能ですが、旅行者が出国時に税関の確認を受けなかった場合は免税の適用を受けられず、返金後の販売金額による課税販売になります。国税庁は事業者の責任で行うよう案内しています(Q&A問29の参考3)
  • 通信障害で購入記録情報を販売時に送れないとき: 復旧後、速やかに事後送信である旨と要因を「備考」欄に設定して提供します。ただし、その時点で旅行者が出国済みの場合は税関の確認が受けられず、免税の適用を受けられません(Q&A問15)

11月1日の午前0時をまたぐ店

営業時間が深夜に及ぶ店では、11月1日午前0時以降の販売はリファンド方式が原則です。ただし、継続適用している売上計上基準に従って10月31日分の売上げとして計上する取引については、現行制度の免税販売手続で対応して差し支えありません。この場合の購入記録情報は、購入記録情報インターフェースのver1またはver2(現行制度対応)で提供します(Q&A問9)。

消耗品の上限・特殊包装の廃止で、売り方がどう変わるか

変わる点

現行制度では免税対象物品を「一般物品」と「消耗品」に分け、消耗品(飲食料品、医薬品、化粧品などの消耗品)には1人1日1店舗あたりの購入上限額50万円と、特殊包装の要件がありました。リファンド方式では区分が廃止されるため、次の3点がなくなります(Q&A問4、リーフレット2ページ)。

  • 消耗品の購入上限額(50万円)
  • 特殊包装
  • 「通常生活の用に供する物品かどうか」の判断

免税対象物品は、金・白金の地金、金貨・白金貨、消費税が非課税とされる物品以外のすべてになります(Q&A問4)。特殊包装を前提にしていた売場やレジの作業は、不要になります。

売り方で新しく気をつける点(ドラッグストア・薬局の視点)

1. 「持ち出せる数量」しか売れない。 上限額は消えますが、免税購入対象者が出国時に免税対象物品の全てを自分で持って持ち出せることが前提です。持っていない物品は税関の確認を受けられません(Q&A問4注1)。大量購入の接客で、「全部お持ち帰りになれますか」という声かけが実質的な確認になります。必要なら、後述の直送制度(消費税法第7条の輸出免税)を案内します。

2. 国内で消費した消耗品は免税にならない。 飲食料品、医薬品、化粧品などの消耗品の全部または一部を出国前に国内で消費した場合、購入時の物品がそのまま国外に持ち出されないため、税関の確認を受けられません。旅行者が出国前に食べたり使ったりしたと申し出た場合は、免税の適用にならない旨を説明したうえで、店は購入記録情報の取消データを送信します(Q&A問21・21-2)。消耗品以外の物品は、出国までに国内で使っていても、最終的に国外に持ち出されるなら確認を受けられます。

3. 梱包材は購入時のままにしてもらう。 箱や袋などの梱包材と中身を分けたり、型番などが表示された梱包材を捨てたりすると、店で買った免税対象物品か税関で特定できず、確認を受けられない可能性があります。購入時に「出国まで箱や袋はそのままに」と伝える根拠は、このQ&A問21-2の注です。

4. 品名・商品分類を丁寧に設定する。 購入記録情報の「品名」などから税関が物品を特定できない場合、旅行者が確認を受けられない可能性があります。リファンド方式では、任意項目として「商品分類」が追加されます。分類は16種類で、ドラッグストア・薬局に関係するものは「医薬品」「化粧品・香水」「健康グッズ・トイレタリー」「菓子類」「その他食料品・飲料・たばこ」などです(Q&A問12)。任意項目ですが、設定すると空港で円滑に確認を受けやすくなります。

5. レシートの切り方に気をつける。 税関の確認はレシート(購入記録情報)単位で、1点でも不所持だと全体が対象外です(前述)。大量購入の旅行者に、持ち帰らない予定のものを同じレシートに混ぜない、という運用は考えられます。これは国税庁が示した運用ではなく、問20の仕組みから導いた当サイトの整理です。

6. 医薬品の販売ルールは別の制度。 免税は消費税の制度です。医薬品の年齢・数量の確認や陳列などの販売ルールは薬機法の側で決まっていて、免税の手続とは別に考える必要があります(薬機法の最近の改正は薬機法改正2026の対応チェックで整理しています)。

100万円以上の高額品

単価(税抜)100万円以上の商品を売った場合は、購入記録情報に「免税対象物品を特定するに足りる事項」(商品情報詳細)の設定が必須です。具体的な名称、ブランド名、型番号、形状や色彩の特徴、鑑定書・保証書付きである旨を組み合わせ、シリアル番号の付いた腕時計などはシリアル番号も加えます。同じ商品(シリアル番号違い)を複数売った場合は、1点ずつ物品情報を設定します(Q&A問13・13-2)。百貨店や大型店でテナントと免税手続カウンターが離れている場合は、売場から手続の担当へ、この情報を渡す仕組みも必要です(問13)。

直送と輸出免税

旅行者が店で運送契約を結び、その場で運送事業者に商品を引き渡す方式(直送制度)は、リファンド方式の移行後は消費税法第7条(輸出免税制度)の適用を受けます。この場合、免税店としての一連の手続(5千円の判定を含む)や購入記録情報の提供は不要で、顧客は居住者でもかまいません。一方、運送契約書などの保存が必要です(保存期間は譲渡日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間)。代金を現金等で受け取る場合は、仕向国における輸入許可書に相当する書類の保存も必要です(Q&A問22)。

別送(購入後に旅行者がEMSなどで国外に送る方法)の取扱いは、2025年3月31日をもって廃止されています。11月1日以降に購入して別送した物品は、税関確認情報が提供されないため返金を受けられません(Q&A問23)。

POS・システム対応

国税庁はQ&A(概要編)問31で、リファンド方式への移行に当たり次の2つのインターフェースへの対応が必要としています。

  1. 税関確認結果照会インターフェース(新規): 店または承認送受信事業者が国税庁の免税販売管理システムに照会して、税関確認結果を取得する
  2. 購入記録情報インターフェース(ver3): リファンド方式に対応した送信

購入記録情報の主な変更は次のとおりです(問31)。

  • 旅券番号の提供が必須になる(上陸許可書の許可書番号は不可)
  • 日本国籍の免税購入対象者の提供項目の変更(「証明書類の種類」と「国外転出予定日又は国外定住日」の2項目。証明書類の写しの保存は不要)
  • 米軍構成員の在留資格コードが「99(その他)」から「96(米軍構成員)」に
  • 消耗品・一般物品の区分の廃止
  • 単価100万円(税抜)以上の物品の商品情報詳細の提供義務化(商品情報詳細は全角・半角80文字、シリアル番号は半角英数字20文字以内)
  • 返品・取消し・訂正は洗替方式に統一
  • 直送制度の対象物品や出国予定に関する情報を提供対象から削除

価格・金額の入れ方で迷いやすい点は次のとおりです(Q&A問32、詳細編問102〜104)。

論点 国税庁の取扱い
「販売価額」欄 税込で売っても、税抜価額で設定する
値引き(ポイント値引き含む) 値引き後の税抜価額で設定。個別の商品に対応しない値引きは合理的にあん分する
商品券・ポイントでの支払い 支払手段としての利用状況は購入記録情報に反映する必要はない
1円未満の端数 適宜の方法で処理してよい。ただし「合計額」は各販売価額の合計との差を100円以内にする
酒類(輸出酒類販売場で販売) 酒税額を含み、消費税相当額を含まない税抜価額

税関確認結果の取得(Pull型)

税関確認結果は、店側からのリクエストに応じて国税庁がデータを返す方式です(問33)。

方式 条件 件数
日時指定 「送信者識別符号(または販売場識別符号)」と「税関確認情報登録日時(自・至)」。期間は最大31日以内 1回のリクエストで最大1,000件。超えるとエラー
取引指定 「送信者識別符号」「販売場識別符号」「送信番号」 1件

結果には「税関確認済」(免税の適用を受けるため保存が必要なもの)と「免税不可」(購入日から90日以内に確認を受けられなかった、または持ち出さないことが確認されたもの)の2種類があります(問37)。結果が0件のときは、旅行者がまだ税関の確認を受けていない、または送信した旅券番号に誤りがある、などが考えられます(問36-2)。

なお、税関確認結果は登録から460日間取得できます。免税店の廃止届出書を提出した後でも、この期間は取得を続けられます(問33の注1)。

自前で対応するか、委託するか

購入記録情報の提供と税関確認情報の受領は、承認送受信事業者に委託できます。免税販売手続(購入記録情報の提供と税関確認情報の受領を除く)は、承認免税手続事業者が運営する免税手続カウンターに委託できます。その場合の免税手続は、店で物品を売った同じ日に行う必要があります(Q&A問24)。国税庁はAPI仕様書(令和8年11月以後譲渡日分)とテスト環境を公表しており、API仕様書の一部の誤りについて訂正の案内(令和8年9月30日)も出ています。ベンダーを使う場合は、使用中のソフトの対応状況と、返金を代行するかどうかを必ず確認してください。

経理処理|課税売上げから免税売上げへの振替、返金、保存

振替処理

販売時は課税売上げで処理し、税関確認情報を保存した後に免税売上げへ振り替えます。振替の方法は次のどちらでもかまいません(Q&A問26)。

  • 税関確認情報を取得するつど、対応する課税売上げを振り替える
  • 月次など一定のタイミングで一括して振り替える

国税庁の仕訳例(税込11,000円・税抜10,000円の販売)を引用します。

場面 借方 貸方
販売時 現預金 11,000 売上(課)10,000、仮受消費税 1,000
税関確認情報の取得後 売上(課)10,000、仮受消費税 1,000 売上(免)10,000、未払金 1,000
返金時 未払金 1,000 現預金 1,000

販売した課税期間と税関確認情報を保存した課税期間が異なる場合は、販売期(X1期)の申告を修正せず、保存した期(X2期)で次のいずれかの方法で調整できます。ただし継続して行う必要があります(問27)。

  1. 税関確認情報の保存時に売上げに係る対価の返還等があったものとして処理する
  2. 保存時の課税売上げの合計額から、販売時に課税売上げとした金額を控除する

①の場合も、適格返還請求書(返還インボイス)の交付は必要ありません。

返金の方法と、返金できなかったとき

返金の方法は消費税法令に定めがありません。国税庁は、銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、税関確認を受けた出国港内での現金返金などを例示しています(特設ページ、問29)。自社で行うほか、承認送受信事業者などへ委託する方法もあります。全国免税店協会のサイトに、返金に対応予定の承認送受信事業者の一覧が掲載されていますが、国が認可や保証を示すものではありません。

旅行者側の事情(口座番号の記載誤りなど)でやむを得ず返金できず、当事者間の契約で返金不要となった消費税相当額は、雑益(不課税)で処理します。この場合も、税関確認情報を保存していれば免税の適用は受けられます(問30)。

返金を委託を受けて行う事業者(または自社で返金を行う免税店)には、消費税法以外の法令の手当てが要る場合があります。国税庁が例示するのは、資金決済に関する法律に基づく資金移動業の登録(金融庁)、犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づく本人確認(特定事業者として特定取引を行う場合)、外国為替及び外国貿易法に基づく経済制裁対象者などへの返金でないかの事前確認(財務省)です(問29-2)。返金手続の委託先は、承認免税手続事業者や承認送受信事業者である必要はありません。

保存義務

国税庁に提供した購入記録情報と国税庁から提供を受けた税関確認情報(「税関確認済」)は、免税対象物品を譲渡した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地またはその取引に係る事務所等で保存します(消費税法第8条第4項、Q&A問17)。電磁的記録で保存する場合は電子帳簿保存法規則第4条第1項に従った措置が必要で、印刷した書面は整然と明瞭な状態で出力したものに限ります。保存がない場合は、免税購入対象者への販売でも免税を受けられません。ただし、災害その他やむを得ない事情で保存できなかったことを事業者が証明した場合は除かれます。

インボイスの交付

免税購入対象者(外国人旅行者など)への販売は、一般的にはインボイス(適格請求書)の交付義務は生じないと考えられる、というのが国税庁の見解です。交付しても差し支えなく、後で免税になったとしても、すでに渡したインボイスについて何らかの処理を求められることはありません。スタンプ等で「税関確認後は免税となる」旨を表示することもできます。また、税関確認情報を取得できず課税売上げとなった取引でインボイスの写しを保存している場合には、売上税額の積上げ計算ができます(Q&A問28)。インボイス制度全般はインボイス制度2026年10月改正の実務対応をご覧ください。

よくある誤解

誤解 実際
11月は移行期間で、従来の免税販売と併用できる 併用できる移行期間はない。11月1日以降の販売はリファンド方式に対応する必要がある(リーフレット4ページ、Q&A問8)
許可は自動で引き継がれるので、何もしなくてよい 10月31日までに「購入記録情報の提供方法等の届出書」が未提出の店は同日で許可が失効する(Q&A問10)
税務署が旅行者に返金してくれる 返金するのは免税店(または委託先)。方法は店が決める(特設ページ「返金手続について」)
税込で売っても、税抜価額で売ったことにすれば従来どおり リファンド方式では税込価格(課税)で販売する。購入記録情報の「販売価額」だけが税抜
上限額がなくなったので、いくらでも売ってよい 全てを出国時に自分で持ち出せる数量に限られる(Q&A問4注1)
税関の確認はレシートの商品ごとにバラバラに受けられる 確認はレシート(購入記録情報)単位。1つでも不所持なら全体が対象外(問20)
免税店のインターネット販売も対象になる ウェブサイト上の販売場は輸出物品販売場の「販売場」に該当しない(問5注1。現行制度でも同じ)
輸出しなかった旅行者の罰則は店にかかる 消費税法第65条第1号の対象は、正当な理由なく第8条第5項に違反して免税対象物品を輸出しなかった者(旅行者側)。店側に関係するのは、購入記録情報の不備などで許可を取り消される場合(第8条第8項第3号)

FAQ

A

10月31日時点で許可があり、「購入記録情報の提供方法等の届出書」も提出済みなら、新制度の一般型免税店とみなされ、申請書や届出書の再提出は不要です。ただし、免税販売手続の委託の有無や購入記録情報の提供方法などを変える場合は「輸出物品販売場等変更届出書」を出します。システムの改修(ver3、税関確認結果照会)は店側で必要です。

A

新様式の許可申請書は10月1日から受け付けています。ただし審査に一定の期間がかかるため、11月1日に始めるなら、事前に所轄税務署に相談のうえ、できるだけ早く提出するよう国税庁が案内しています。間に合わない場合は、現行制度の様式で10月31日までに許可を受けておく方法が示されています。いずれも所轄税務署への確認が前提です。

A

その食品は税関の確認を受けられず、店は税関確認情報を取得できないため、免税の適用にはなりません。店は旅行者に免税の適用とならない旨を説明し、購入記録情報の取消データを送信します(Q&A問21)。旅行者は免税手続用の端末を使わず、税関職員の窓口に申し出る必要があります(問18の注4)。

A

購入日の翌日から数えて90日目まで、つまり翌年(2027年)1月30日までです(国税庁の例)。

A

原則は、税関確認情報を取得した後の返金です。税関確認の前に返金する「事前返金」もできますが、旅行者が確認を受けなかった場合は免税の適用を受けられず、課税販売になります。リスクを理解したうえで事業者の責任で行います(Q&A問29の参考3)。

A

当初の購入記録情報の取消データを送信し、訂正後の購入記録情報を送り直します(洗替方式。問16)。すでに税関確認情報が提供された後の不良品返金は、当初の購入記録情報を取り消す必要はありません。

A

なれません。輸出物品販売場の許可を受けられるのは消費税の課税事業者です(消費税法第8条第7項、国税庁Q&A(詳細編)問13)。

A

場合によって必要です。国税庁は、免税店が自ら返金する場合には資金移動業の登録が必要となる場合があるほか、本人確認や制裁対象者の確認などの対応が必要になると案内しています(概要編問29-2の注)。詳細は各法律を所管する省庁(金融庁、警察庁、財務省)への確認が必要です。

まとめ

  • 2026年11月1日から、免税店は税込で販売し、購入日から90日以内の出国時の税関確認の後に消費税相当額を返金するリファンド方式になります
  • 10月31日までに「購入記録情報の提供方法等の届出書」を出していない店は、同日で許可の効力を失います。まず控えを確認してください
  • 現行制度との併用はありません。システム改修、返金方法、購入者への3点の説明の準備を、10月中に終えておく必要があります
  • 消耗品の50万円上限と特殊包装は廃止されますが、持ち出せる数量までの販売であり、国内で消費した消耗品や、梱包材を捨てたものは免税にならない場合があります
  • 経理は、課税売上げで計上し、税関確認情報の保存後に免税売上げへ振り替えます。購入記録情報と税関確認情報は7年間保存します

制度の最新の運用は、国税庁の特設ページ「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」でご確認ください。

根拠・参考

  • 国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」(特設ページ)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/format/002.htm
  • 国税庁リーフレット「輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します」(令和7年4月)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/0025003-110_01.pdf
  • 国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」(令和8年4月改訂)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/0025012-025_02.pdf
  • 国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式)」(詳細編・令和8年7月)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/0026006-152_01.pdf
  • 国税庁「リファンド方式開始以降に免税店の許可を受けるための申請手続」(令和8年7月)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/0026006-152_03.pdf
  • 国税庁「D1-34 輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出手続」
    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/3108_41.htm
  • 国税庁「免税対象物品を購入する外国人旅行者の方へ(2026年11月以降分)」(日本語訳)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/caution_jp.pdf
  • 消費税法(昭和63年法律第108号)第8条・第65条(e-Gov、2026年11月1日施行版)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する税務・法律上の助言ではありません。制度の運用は国税庁・税関・観光庁の公表により更新されるため、実際の対応は所轄税務署、税理士、または使用中の免税システムの提供事業者にご確認ください。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。