本記事は2026年10月19日時点で公表されている法律(雇用保険法等の一部を改正する法律・令和6年法律第26号)と、厚生労働省が労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(第205回・令和7年8月20日)に提出した資料をもとに作成しています。施行日と、法律に書かれた改正内容は確定しています。一方、省令(厚生労働省の命令)や運用の細目は、資料の段階では「案」とされているものがあります。本文では、確定している事項と、案・未公表の事項を分けて書いています。個別の判断は、ハローワーク・都道府県労働局にご確認ください。
結論|雇用保険は2028年10月1日から「週10時間以上」で加入対象になります
雇用保険に入る条件の一つである「1週間の所定労働時間(会社と本人が契約で決めた、1週間に働く予定の時間)」が、現在の20時間以上から10時間以上に引き下げられます。
- 施行日は令和10年(2028年)10月1日です。改正法である「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第26号)の附則(法律の本文を補い、施行日や経過措置を定める部分)第1条第4号が、この日を定めています
- 対象が広がるのは、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満のパート・アルバイトなどです。雇用保険を適用する事業所で働く人です
- 同時に、失業したときの給付を計算するときの基準も、時間の基準が半分になります。たとえば、被保険者期間として1か月に数えるための働いた日数は「11日以上」から「6日以上」に変わります
- 健康保険・厚生年金保険(社会保険)の適用拡大は別の制度です。社会保険の基準は週20時間のままです。混同しないようにしてください
- 施行まで約2年です。パートを雇う事業主は、対象者の洗い出し、労働条件通知書の見直し、手続きの準備を進める時期にあります
社会保険の側の動き(2026年10月1日に賃金要件が撤廃されました)は、社会保険適用拡大2026年|106万円の壁の撤廃と週20時間ルールで整理しています。本記事は、その次に控える雇用保険の改正を扱います。
何が変わるのか|改正前と改正後の比較
厚生労働省が令和7年8月20日の雇用保険部会に出した資料(資料1 p.5「雇用保険の適用拡大(法律事項)」)は、適用拡大に伴う法律上の改正項目を9つ挙げています。改正前(現行)と改正後(令和10年10月1日以降)を表にします。
| 項目 | 現行 | 令和10年10月1日以降 |
|---|---|---|
| 被保険者要件のうち、週所定労働時間 | 20時間以上 | 10時間以上 |
| 特例高年齢被保険者(65歳以上で複数の職場で働く人が、本人の申出で加入できる特例。マルチジョブホルダー制度)の要件のうち、一の事業所の週所定労働時間 | 20時間未満 | 10時間未満 |
| 同じく、二の事業所の週所定労働時間の合計 | 20時間以上 | 10時間以上 |
| 短期雇用特例被保険者(季節的に雇用される人などが入る区分)の除外要件のうち、週所定労働時間 | 20時間以上であって厚生労働大臣が定める時間数未満 | 10時間以上であって厚生労働大臣が定める時間数未満 |
| 被保険者期間を1か月と数える基準(賃金の支払の基礎となった日数) | 11日以上 | 6日以上 |
| 同(賃金の支払の基礎となった時間数) | 80時間以上 | 40時間以上 |
| 賃金日額の法定の下限額(法律に書かれた額。実際の下限額は毎年自動で改定されます) | 2,460円 | 1,230円 |
| 基本手当の減額(内職減額) | 失業認定の期間中、労働時間が1日4時間未満の日は、収入額に応じて減額して支給 | 廃止 |
| 求職者支援制度の対象から除かれる人 | 雇用保険の被保険者・受給資格者 | 当分の間、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の被保険者・受給資格者は除かれない |
出典は同資料の表(p.5)です。条文の側では、雇用保険法第6条第1号が「一週間の所定労働時間が十時間未満である者」を適用除外としています。令和10年10月1日時点の条文をe-Govで確認すると、この第1号が「十時間未満」になっています。
なお、資料p.4は、基準を「現行の1/2に改正」する考え方を示しています。適用の基準が週20時間から10時間に半分になるので、給付を決める基準も半分にそろえるという整理です。
いつから?|施行日は2028年10月1日で確定しています
施行日は、条文で確認できます。雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の附則第1条は、原則として令和7年4月1日施行とし、ただし書で施行日が異なる規定を並べています。このうち第4号に、次の規定が令和10年10月1日施行と書かれています。
- 第2条による雇用保険法第6条第1号(適用除外)、第14条第1項・第3項(被保険者期間)、第16条第1項、第17条第4項第1号(賃金日額の下限)、第18条第4項、第19条の改正規定
- 同法第31条第2項(死亡した受給資格者の未支給の基本手当を請求する人が、第19条第1項の収入の額などを届け出る規定)を削る改正規定。内職減額そのものを定めた第19条(基本手当の減額)は、上の項目のとおり令和10年10月1日の改正の対象で、同日時点の条文では「削除」になっています
- 同法第37条の5第1項第2号・第3号(65歳以上のマルチジョブホルダーの特例)などの改正規定
雇用保険部会の資料p.3の施行期日の一覧も、「令和10年10月1日 雇用保険の適用拡大(週所定労働時間「20時間以上」→「10時間以上」)」と記載しています。
改正法の施行日は段階に分かれており、同じ法律の中でも、教育訓練休暇給付金の創設は令和7年10月1日など、すでに施行された部分があります。今回の適用拡大は、そのうちで最後に施行される部分です。法律の成立は令和6年5月10日、公布は同月17日です。
前倒しや延期はあるのか
施行日は法律に書かれているため、変えるには法改正が必要です。現時点で、施行日を変える法案が出ているという情報は確認していません。ただし、省令や通達で決まる細目(後述)は、これから公表されます。
新たに対象になる人・ならない人
対象になる人
雇用保険の適用事業所で働き、1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満である人です。現在はこの人たちが加入の対象外になっています。
ここで大事なのは「所定」労働時間という点です。所定労働時間は、雇用契約書や労働条件通知書で決められた、働く予定の時間です。繁忙期に実際に長く働いたかどうかではなく、契約上の時間で判断するのが基本です。契約上は週8時間でも、実際には毎週12時間働いている場合は、契約の内容を見直す必要が出ることがあります。
もう一つ、雇用保険には、現在の制度でも次の要件があります。この要件は今回の改正で変わっていません。
- 同一の事業主の適用事業に、継続して31日以上雇用されることが見込まれること(法第6条第2号)
対象にならない人
- 週の所定労働時間が10時間未満の人(法第6条第1号)。ただし、後述の65歳以上のマルチジョブホルダーの特例を使って高年齢被保険者になる人は別です
- 31日以上の雇用が見込まれない人(法第6条第2号)
- 学校教育法の学校の学生・生徒で、省令で定める人(法第6条第4号)
学生・生徒の扱い
法第6条第4号は、学校教育法第1条などの学校の「学生又は生徒であつて、前三号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者」を適用除外としています。どのような学生が除外されるかの細目は、省令(雇用保険法施行規則)で決まります。この号は今回の改正の対象に入っておらず、適用拡大後も、学生の扱いは省令の定めに従います。
今回の厚労省資料(p.6〜7)にも、学生の除外要件を変える提案は載っていません。したがって、現時点で確認できる範囲では、学生アルバイトの扱いが適用拡大で変わるという記載はありません。ただし、現行の省令の細目(休学中の人、夜間・通信制の学生などの扱い)は、本記事では原文を確認していません。学生を雇う事業主は、ハローワークで最新の取扱いを確認してください。
65歳以上で、複数の職場で働く人(マルチジョブホルダー)
65歳以上で、2つ以上の事業所で働く人は、令和4年1月から続く特例で、本人がハローワークに申し出ると高年齢被保険者になれます。現行は「一の事業所では週20時間未満で、二つの事業所の合計が週20時間以上」という基準です。
適用拡大後の条文(法第37条の5第1項)は次のようになります。
- 二以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること
- 一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間が10時間未満であること
- 二の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間の合計が10時間以上であること(申出をする労働者の、一の事業主の事業所での所定労働時間が省令で定める時間数以上である場合に限る)
この「省令で定める時間数」について、厚労省資料p.6は、現行どおり「5時間以上」のままとしてはどうかという案を示しています。これは案であり、確定していません。また、雇用保険部会報告は、適用拡大の施行前にこの特例の適用を受け始めた人が不利にならないよう、所要の経過措置を設けるべきとしています。
保険料の負担はどうなる?
適用拡大後の保険料率は、今の被保険者と同じ考え方です
雇用保険部会報告(令和6年1月。資料p.10)は、新たに被保険者になる人についても、現行の被保険者と同様に、失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業(事業主向けの雇用安定事業・能力開発事業。事業主だけが保険料を負担する部分)の対象とし、保険料率と国庫負担割合も現行の被保険者と同等の水準とすべきだとしています。
つまり、週10時間以上の人だけ別の料率を適用するという仕組みではありません。令和10年度の料率そのものは、毎年度、改めて決まります。現時点では確定していません。
参考:令和8年度の料率
厚生労働省の「令和8年度雇用保険料率のご案内」によると、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの一般の事業の料率は次のとおりです。
| 負担者 | 料率 |
|---|---|
| 労働者負担(失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ) | 5/1,000 |
| 事業主負担(失業等給付・育児休業給付の保険料率) | 5/1,000 |
| 事業主負担(雇用保険二事業の保険料率) | 3.5/1,000 |
| 事業主負担の合計 | 8.5/1,000 |
| 労使合計の雇用保険料率 | 13.5/1,000 |
農林水産・清酒製造の事業と建設の事業は料率が異なります。この数字は令和8年度のものです。令和10年10月からの料率ではありません。
保険料の目安
保険料は、賃金の総額に料率を掛けて計算します。令和8年度の一般の事業の料率で、月の賃金が6万円の人を例にすると、次のようになります(あくまで計算例です)。
- 労働者負担:6万円 × 5/1,000 = 300円
- 事業主負担:6万円 × 8.5/1,000 = 510円
週10時間程度のパートの賃金は、時給が1,200円なら月に5万円前後です。料率が同じなら、本人の負担は月に数百円の水準です。一方、本人が受けられる給付は、次に説明するとおり広がります。
給付はどう変わる?
厚生労働省の資料が示す基本方針は、新たに対象になる人も、現行の被保険者と同じ給付(基本手当、教育訓練給付、育児休業給付など)を同じ考え方で支給するというものです。そのうえで、時間の基準を半分にします。
基本手当(失業給付)の受給要件
受給資格の判定の基礎となる被保険者期間の長さ自体は変わりません。離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが原則です。特定受給資格者(倒産・解雇などによる離職)や特定理由離職者は、離職日以前の1年間に通算6か月以上です(部会報告。資料p.10)。
変わるのは「1か月」と数えるための基準です。離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、
| 現行 | 令和10年10月1日以降 | |
|---|---|---|
| 賃金の支払の基礎となった日数 | 11日以上 | 6日以上 |
| 賃金の支払の基礎となった時間数 | 80時間以上 | 40時間以上 |
これが改正後の法第14条第1項と第3項です。令和10年10月1日時点の条文には、「賃金の支払の基礎となつた日数が六日以上であるもの」とあり、第3項に「賃金の支払の基礎となつた時間数が四十時間以上であるもの」とあります。
たとえば、週2日・1日5時間(週10時間)で働くパートなら、1か月に8日前後働くことになります。この場合、日数の基準(6日以上)を満たし、1か月と数えられます。現行の基準(11日以上)では数えられませんでした。
失業認定の基準と内職減額の廃止
失業給付を受けるには、4週間に1度、ハローワークで失業の認定を受けます。現行は、その日の労働時間が4時間以上であれば原則として失業と認定されず、4時間未満の日は収入に応じて基本手当を減額して支給しています(内職減額。資料p.10)。
適用拡大後は、失業認定の基準が1日2時間(週10時間相当)になります。資料p.4の比較表でも、失業認定は「労働した場合であっても1日の労働時間が2時間未満にとどまる場合は失業日と認定」と記載されています。
内職減額は、この基準の変更にあわせて廃止されます。部会報告(資料p.10)は、現行の仕組みのまま基準だけ2時間にすると、減額の調整は「1日2時間未満の労働によって得た収入」に基づくことになるが、2時間未満の労働で得られる収入は一般的には少額であることも踏まえ、簡素化の観点から廃止すべきだとしています。
法の側では、内職減額(基本手当の減額)を定めた雇用保険法第19条が、令和10年10月1日時点の条文では「削除」になります。あわせて、第19条第1項の収入を届け出る規定を引いていた第31条第2項も削られます。資料p.5の表⑧も、この減額を「廃止」としています。
施行前に行われた失業の認定に係る期間中の収入については、改正法の附則第11条が、旧法の第19条などを「なお従前の例による」としています。つまり、施行日より前の期間の減額は、これまでのルールで扱われます。
失業認定の細かい運用(申告の方法など)は、省令・通達で今後示されます。
賃金日額の下限額
基本手当の日額は、離職前の賃金日額(賃金を日割りにした額)をもとに計算します。賃金日額には下限額があり、法律に書かれた額(法定額)は、現行の2,460円が、改正後は1,230円になります(法第17条第4項第1号。令和10年10月1日時点の条文で「千二百三十円」)。
ただし、この法定額は、毎年の賃金の変動に応じて自動で改定されます(条文の「その変更された額」の部分です)。実際に適用されている下限額は、法定額とは異なります。たとえば、令和7年8月1日からの賃金日額の下限額は3,014円です(厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります」)。本記事の「2,460円→1,230円」は、法律に書かれた額を半分にするという意味で、現在の実際の下限額が半分になるという意味ではありません。
また、毎年の改定のときに下限と比べる「最低賃金日額」の計算も、「最低賃金(全国加重平均)×20時間÷7日」から「×10時間÷7日」に変わります(資料p.6)。
なお、短時間で働く人は賃金日額が低くなるため、基本手当の日額は、低い下限額の影響を受けやすくなります。ただし、本記事では具体的な基本手当の日額の計算例は載せません。給付率などの計算は、受給するときの法令の額で確認してください。
そのほかの給付
教育訓練給付金や、令和7年10月に創設された教育訓練休暇給付金、育児休業給付など、被保険者に対する他の給付も、被保険者になれば対象になります。受給のための被保険者期間や賃金の要件は給付ごとに異なるため、個別にご確認ください。
求職者支援制度との関係
求職者支援制度は、雇用保険を受けられない人が、無料の職業訓練と給付金を受けられる制度です。現行は、雇用保険の被保険者・受給資格者は対象外です。
適用拡大で週10時間以上20時間未満の人が被保険者になると、これまで求職者支援制度を使えた人が使えなくなるおそれがありました。そこで、厚労省資料(p.5の表⑨「法律事項」)は、当分の間、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の被保険者(受給資格者)は、求職者支援制度の対象から除かれないとしています。この点の具体的な条文は、本記事では特定できていません。省令などの細かい調整(基本手当が出る場合の職業訓練受講給付金の減額など)は、資料p.7の段階で「必要な措置を行う」とされています。
社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大との違い
「適用拡大」は雇用保険と社会保険の両方で進んでいるため、混同が起きやすい話題です。基準を並べます。
| 雇用保険 | 健康保険・厚生年金保険(社会保険) | |
|---|---|---|
| 週の所定労働時間の基準 | 現行20時間以上 → 令和10年10月1日から10時間以上 | 20時間以上(変更なし) |
| 賃金の要件 | なし | 月額8.8万円以上の要件は2026年10月1日に撤廃済み |
| 学生 | 省令で定める学生は除外 | 学生は原則除外 |
| 保険料の負担 | 労使で負担(料率は賃金額に対する率) | 労使折半 |
社会保険の側の詳細は、社会保険適用拡大2026年の記事で解説しています。週20時間以上の人は、すでに雇用保険の対象です。今回の改正で新たに雇用保険に入るのは、週10時間以上20時間未満の人で、この人たちは社会保険の対象にはなりません。
つまり、2028年10月以降は、次のような人が出ます。
- 週12時間のパート:雇用保険には入るが、健康保険・厚生年金は(勤務先の健保・年金の適用がない限り)本人の国民健康保険・国民年金のまま
- 週22時間のパート:雇用保険に入っており、社会保険も要件を満たせば加入対象
このように、「雇用保険に入る=社会保険にも入る」ではありません。
「年収の壁」との関係
雇用保険の保険料は賃金に一定の率を掛けて計算するもので、扶養の判定とは別の仕組みです。年収の壁については、年収の壁2026年最新で整理しています。
事業主の準備|2028年10月までにやること
厚労省の資料は、適用拡大でハローワークの業務が増えることを見込み、事業主向けの案内の整備を計画しています。ここでは、資料の内容と、事業主が今から備えておけることを分けて書きます。
資料で示されている動き
- 厚生労働省のホームページに「雇用保険ポータルサイト」(仮称)を新設し、制度の概要、手続き方法、電子申請(e-Gov、マイナポータル)へのリンクを一元的に集める計画です(資料p.8)。名称は仮称であり、現時点で開設されているわけではありません
- 「雇用保険コールセンター」(仮称)を設置し、電子申請の方法から手続き案内まで対応する計画です
- 雇用関係助成金(雇用保険の被保険者であることや週20時間以上を支給要件にしているもの)は、令和10年10月1日の適用拡大に間に合うよう、必要な措置を行うとされています。具体的な内容は決まっていません
事業主が今からできること
- 対象者の洗い出し:週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の従業員を、一覧にします。短時間のアルバイトのほか、スポット的に働く人も、契約上の所定労働時間で確認します
- 契約内容の確認:労働条件通知書に、所定労働時間が正しく書かれているかを確認します。実際には週10時間以上働いているのに、契約上は週9時間のままというケースは、契約の実態と合っているかを見直します。雇用契約書の書き方は、雇用契約書の必須項目と書き方で整理しています
- 加入手続きの準備:被保険者になる人について、資格取得届を提出します。提出の期限や様式は、今後の省令で決まる部分があるため、施行が近づいたら厚生労働省・ハローワークの案内を確認します
- 給与計算の見直し:新たに雇用保険料を控除する従業員が増えます。給与計算のシステムや委託先に、対象者の追加を連絡します。最低賃金の改定時の確認は、最低賃金2026年度改定でも触れています
- 本人への説明:保険料の負担が発生すること、失業したときに給付を受けられる可能性があることを、事前に説明します。パート従業員からの質問には、社会保険との違いを明確に答えられるようにしておきます
- 複数の事業所で働く人の確認:ダブルワークの従業員は、どちらの事業所で被保険者になるかの判断が必要です。部会報告(資料p.11)は、主たる賃金を受ける一の雇用関係でのみ被保険者とする現行の考え方を前提に、判断の基本的な考え方を施行までに明確化して周知すべきとしています。具体的な基準は、現時点では確認できていません
雇用保険の加入漏れが後から判明すると、さかのぼって加入し、追徴の保険料が発生することがあります。実務の流れは、雇用保険加入漏れの対応方法で解説しています。
パートタイム労働者の労働条件の明示ルールの改正(2026年10月)もあります。詳しくはパート・有期雇用2026年10月ルール改正をご覧ください。
パート本人が知っておきたいこと
- 2028年10月1日以降、週の所定労働時間が10時間以上の人は、原則として雇用保険に加入します。加入は事業主が手続きをします。本人が選ぶ制度ではなく、要件を満たせば加入が義務になります。加入すると、給与明細に雇用保険料の控除が載るようになります
- 保険料は、賃金から差し引かれます。令和8年度の料率で言えば、賃金の5/1,000(0.5%)が労働者負担です。令和10年度以降の料率は、改めて決まります
- 失業したとき、離職日以前の2年間に被保険者期間が12か月以上あれば、基本手当を受けられます(特定受給資格者などは1年間に6か月以上)。1か月と数える基準は「賃金の支払の基礎となった日数が6日以上、または時間数が40時間以上」に緩和されます
- 加入していた期間は、育児休業給付や教育訓練給付などの給付の要件にも関わります
- 週所定労働時間が10時間未満の人は、原則として加入できません。年齢が65歳以上で、複数の事業所で働く場合は、本人の申出による特例があります
よくある質問
法第6条第1号は「一週間の所定労働時間が十時間未満である者」を適用しないと定めています。裏返すと、10時間ちょうどは「10時間未満」ではないため、適用除外に当たりません。厚労省資料も「10時間以上」と表現しています。なお、31日以上の雇用見込みなど他の要件も満たす必要があります。
入れません。現行の基準は週20時間以上であり、施行日は令和10年10月1日です。例外は、65歳以上で複数の事業所で働く人が申出をする特例(マルチジョブホルダー)などに限られます。
法第6条第4号により、学校の学生・生徒のうち省令で定める人は適用除外です。この規定は今回の改正の対象外で、厚労省資料にも変更の記載はありません。ただし、どの学生が除外されるかの細目は省令で決まっているため、個別のケースはハローワークで確認してください。
なりません。社会保険(健康保険・厚生年金保険)の基準は週20時間以上のままです。雇用保険の適用拡大とは別の制度です。
新たに被保険者になる従業員の賃金に対して、事業主負担分の保険料がかかるため、全体の負担は増えます。部会報告は、新たな対象者についても現行と同水準の保険料率とする考え方を示しています。令和10年度の料率は未確定です。
雇用関係助成金の中には、雇用保険の被保険者であることなどを要件にしているものがあります。厚労省資料は、適用拡大に間に合うよう必要な措置を行うとしていますが、具体的な内容は公表されていません。利用を考えている助成金の最新の要領で確認してください。
まとめ
- 雇用保険の適用基準は、令和10年(2028年)10月1日から、週所定労働時間「20時間以上」から「10時間以上」に引き下げられます。施行日は、令和6年法律第26号の附則第1条第4号で確定しています
- 給付の基準も半分になります。被保険者期間の1か月の基準は、日数11日以上が6日以上に、時間数80時間以上が40時間以上になります。賃金日額の法定の下限額は2,460円から1,230円になります。内職減額は廃止されます
- 学生の扱いやマルチジョブホルダーの細目、保険料率、雇用関係助成金の取扱いなど、省令や運用で決まる部分は、今後公表されます
- 社会保険の適用拡大とは別の制度です。社会保険は週20時間のままです
- 事業主は、対象者の洗い出しと契約内容の確認から始めるのが現実的です。施行が近づいたら、厚生労働省の案内で最新の手続きを確認してください
根拠・参考
- 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第6条・第14条・第17条・第37条の5(令和10年10月1日施行版)、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)附則第1条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 厚生労働省 職業安定分科会雇用保険部会(第205回)資料1「令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について」(令和7年8月20日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001542937.pdf - 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/001692566.pdf - 厚生労働省「雇用保険料率について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事業所・個人に対する法律上または労務上の助言ではありません。省令・通達で定められる細目は、今後変更・追加される可能性があります。実際の手続きや要件は、最新の法令、厚生労働省の公表資料、管轄のハローワーク・都道府県労働局の案内でご確認ください。



