薬局ダブル改正2026|薬機法5月+調剤報酬6月を1枚で乗り切る月別チェックリスト

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薬局ダブル改正2026|薬機法5月+調剤報酬6月を1枚で乗り切る月別チェックリスト
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最終更新日: 2026年9月21日

【結論】 薬局は2026年薬機法改正(5月1日)+調剤報酬改定(6月1日)のダブル施行に直面し、4月末〜5月初旬がリソース競合の危険時期だった。最大の対策はOTC部門(薬機法)と調剤・経営部門(報酬改定)の対応チーム分離。地域支援・医薬品供給対応体制加算は全区分で後発品使用率85%以上が前提(ただし後述の経過措置あり)。本記事は3〜7月の月別チェックリストで「何を・いつまでに・誰が」を体系化する。

【2026年9月時点の読み方】 本記事のロードマップは3〜7月の準備スケジュールとして書かれており、その期間は既に終わっています。現時点では次の2つの用途で使ってください。

  1. 積み残しの洗い出し — 届出・研修・分譲体制のうち、結局やっていない項目がないかをチェックリストで確認する
  2. 次の期限への備え — 地域支援・医薬品供給対応体制加算は前年5月1日〜当年4月末日の実績で判定し、当年6月1日〜翌年5月末日が算定期間です(保医発0305第8号 第92の6(3)(4))。2027年6月からの算定区分は、2026年5月1日から積み上がっている実績で決まります。いま動けば間に合います

なお後発品85%要件には経過措置があり、令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1〜3を届け出ていた薬局は、令和9年5月31日まで85%を満たしているものとみなされます(同 第92の7(2))。該当する薬局は、その期限までに実際の85%達成を計画してください。

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2026年は薬局にとって前例のない「制度改正の連続施行」の年となる。5月1日に薬機法改正(指定濫用防止医薬品制度の施行)、6月1日に調剤報酬改定が立て続けに施行される。この2つの改正は対応領域が異なるため、同じ人員が両方を担うとリソースが逼迫し、どちらの対応も中途半端になるリスクがある。本記事では、薬局が2つの大型改正を並行して準備するための月別ロードマップと人員配置ガイドを提示し、「何を・いつまでに・誰が」やるべきかを体系的に整理する。


なぜ「並行対応」が必要なのか

2つの改正が重なる構造的リスク

2026年の薬局経営を取り巻く制度変更は、以下の2つが1か月差で連続する。

改正 施行日 主な影響
薬機法改正(指定濫用防止医薬品制度) 2026年5月1日 OTC販売のオペレーション全面変更(陳列・年齢確認・記録保管の義務化)
調剤報酬改定(令和8年度) 2026年6月1日 調剤報酬の点数体系・加算構造の大幅見直し(地域支援体制加算の統合、かかりつけ薬剤師評価の刷新)

【数字の注意】「+3.09%」は調剤の改定率ではありません。 ニュースで見る+3.09%は、医科・歯科・調剤を合わせた診療報酬(本体)全体の率で、しかも令和8年度と令和9年度の2年度平均です(令和8年度単年は+2.41%、令和9年度は+3.77%)。同じ大臣折衝資料が示す各科改定率は、医科+0.28%・歯科+0.31%・調剤+0.08%。薬局が「3%増える」と読むと実態と大きくずれます。

しかもこの+0.08%は、全体の内訳のうち最後の「改定分(+0.25%)」だけを各科に配分したものです。+3.09%の内訳は次のとおりで、いずれも2年度平均です。

内訳 率
賃上げ分 +1.70%
物価対応分 +0.76%
食費・光熱水費分 +0.09%
経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分 +0.44%
後発品置換えの進展等による適正化・効率化 ▲0.15%
上記を除く改定分(→各科に配分) +0.25%
合計 +3.09%

緊急対応分(+0.44%)の配分も施設類型別で、保険薬局は+0.01%(病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%)にとどまります。

出典: 厚生労働省「診療報酬改定について」(令和7年12月24日 予算大臣折衝)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf

それぞれ対応領域は異なるが、準備期間が重複するのが最大の問題だ。薬機法対応は3〜4月が準備のピークであり、調剤報酬改定の届出準備も4〜5月に集中する。管理薬剤師や薬局長が両方の陣頭指揮を執ろうとすると、4月末〜5月初旬にリソース競合が発生する。


全体タイムライン|3月〜7月の月別概要

2026年
┌─────────┬──────────────────────────────────────────┐
│  3月    │ [薬機法] 在庫棚卸し・陳列計画策定          │
│         │ [報酬改定] 実績データ集計・基本料シミュレーション│
├─────────┼──────────────────────────────────────────┤
│  4月    │ [薬機法] 陳列改修・POS設定・従業員研修       │
│  (薬価  │ [報酬改定] 届出書類作成・システム改修依頼     │
│  改定)  │ ★4月1日 薬価改定施行(-0.86%)              │
├─────────┼──────────────────────────────────────────┤
│  5月    │ ★5月1日 薬機法改正施行                       │
│  ⚠危険  │ [薬機法] 運用開始・トラブル対応              │
│         │ [報酬改定] 地方厚生局への届出・最終確認       │
├─────────┼──────────────────────────────────────────┤
│  6月    │ ★6月1日 調剤報酬改定施行                     │
│         │ [報酬改定] 新点数運用開始・レセプト確認       │
│         │ [両方] 運用定着・改善サイクル開始             │
├─────────┼──────────────────────────────────────────┤
│  7月    │ [両方] 初月レセプト精査・トラブル洗い出し     │
│         │ 運用安定化・振り返りミーティング              │
└─────────┴──────────────────────────────────────────┘

3月のタスク|情報収集と現状把握

3月は両方の改正に対する「現状の棚卸し」を行う月である。

薬機法側:指定濫用防止医薬品の在庫棚卸し

目標: 自薬局が保有する指定濫用防止医薬品の全容を把握する

  1. 対象8成分の在庫洗い出し
  2. コデイン、ジヒドロコデイン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、ブロモバレリル尿素、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンの8成分含有OTC薬をリストアップ
  3. 特にデキストロメトルファン(咳止め系)とジフェンヒドラミン(睡眠改善薬系)は今回新規追加の成分のため、従来の管理対象外だった製品を見落とさないこと
  4. 外用剤(湿布、目薬等)やトローチ剤は規制対象外。剤形の確認を忘れずに

  5. 現状の陳列場所のマッピング

  6. 対象品が棚のどこに配置されているか図面に落とし込む
  7. 施錠陳列・カウンター後ろ陳列・空箱陳列・専門家監視下陳列の4方式のどれを採用するか検討を開始

  8. 陳列変更計画の策定

  9. 什器・棚の工事が必要な場合は、見積もり取得を3月中に開始(4月着工を目指す)
  10. 業者の繁忙期と重なる可能性があるため、早めの手配が重要

報酬改定側:実績データの集計とシミュレーション

目標: 自薬局の現状を数値で把握し、改定後の影響を試算する

  1. 自薬局の実績データ集計
  2. 直近1年間の処方箋受付回数、後発医薬品使用率(数量ベース)、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数、在宅訪問実績
  3. レセコンからの抽出が基本。月別の推移も把握しておくと、トレンドが見える

  4. 調剤基本料の区分シミュレーション

  5. 自薬局の処方箋集中率(特定の医療機関からの処方箋が占める割合)と受付回数で、基本料区分が変わるかどうかを試算
  6. 数字の対応に注意: よく挙がる「3万5千回」は、同一グループの薬局の合計が1月に3万5千回超40万回以下という調剤基本料3イの基準です。単独店舗の基本料1/2の判定は別の基準で、たとえば調剤基本料2は「集中率85%超かつ受付1月1,800回超」「上位3医療機関で70%超かつ受付1月4,000回超」などの区分になります(保医発0305第8号 第88の2・第88の3)
  7. 特に調剤基本料1(47点)のボーダーラインにいる薬局は要注意

  8. 後発医薬品使用率の確認

  9. 新制度の「地域支援・医薬品供給対応体制加算」は全区分で後発品使用率85%以上(直近3か月の規格単位数量ベース)が前提条件
  10. 85%未満の場合、5区分すべてが算定不可になるため、切替計画を3月中に策定
  11. ただし経過措置があります。 令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1〜3を届け出ていた薬局は、令和9年5月31日までの間に限りこの85%要件を満たしているものとされます(保医発0305第8号 第92の7(2))。該当する薬局は、緊急の切替ではなく令和9年5月末を期限とした計画で構いません。自局が該当するかを先に確認してください

  12. 収支シミュレーション(概算)

  13. 調剤管理料の減収額(8〜27日処方が多い薬局は特に大きい)
  14. 新加算(かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点、訪問加算230点等)の算定可能性
  15. 改定後の月間収支の概算を算出(詳細は薬局改定影響シミュレーションを参照)
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4月のタスク|両面で準備の最盛期

4月は薬機法・報酬改定ともに具体的な準備作業が集中する月である。薬価改定(4月1日施行)への対応も加わるため、タスク管理が最も重要になる。

薬機法側:ハード・ソフト両面の整備

  1. 陳列棚の改修工事
  2. 3月に策定した計画に基づき、施錠棚の設置やカウンター改修の工事を実施
  3. 4月中旬までの完了が目標(施行日まで2週間のバッファを確保)

  4. POSシステムの設定変更

  5. 対象JANコードへの「年齢確認アラート」フラグの設定
  6. レジスキャン時に確認フローが自動起動する仕組みの構築
  7. システムベンダーへの改修依頼は3月中に発注済みであることが前提
  1. 従業員研修(3段階)
段階 時期 対象 内容
第1段階 4月第1週 管理者・薬剤師 改正法の内容説明、義務内容の確認、トラブル対応方針の決定
第2段階 4月第2〜3週 全スタッフ(登録販売者・レジ担当含む) ロールプレイ研修:年齢確認の声かけ、18歳未満への対応、断り文言の練習
第3段階 4月第4週 全スタッフ 模擬運用:実際の店舗環境で確認フローを通しで実施、問題点の洗い出し

報酬改定側:届出準備とシステム対応

  1. 届出書類の作成
  2. 様式87の3の1(共通の施設基準):調剤基本料の区分、体制・機能の整備状況、在宅体制、処方箋受付回数等。加算1のみを届け出る場合はこの様式だけで足ります
  3. 様式87の3の2(実績要件):届出区分(加算2〜5のいずれか)の選択と、アからケまでの9項目の実績数値。加算2は「エを含む3項目以上」、加算3・5は「7項目以上」、加算4は「エとカを含む3項目以上」を満たす必要があります
  4. 記入上の注意:実績数値は「年間受付1万回あたり」の換算値(実績 × 1万 ÷ 直近1年間の処方箋受付回数)で記載すること。実回数をそのまま記入する誤りが多い。受付回数が1万回未満の薬局は1万回とみなして計算します。なおケ(多職種連携会議への出席回数)だけは薬局当たりの実績で、換算しません
  5. 様式番号に「の1」が要ります。 通知は「別添2の様式87の3の1及び様式87の3の2を用いること」と定めています(保医発0305第8号 第92の7(1))。「様式87の3」と書いて厚生局に照会すると話が通じません

  6. かかりつけ薬剤師の認定研修手配

  7. 研修認定の取得は改定前からの要件で、今回新設されたものではありません。今回の改定で緩和されたのは勤務経験・在籍期間などの数値要件です
  8. 研修未取得の薬剤師は4月中に受講を完了させる必要がある。薬剤師個人に求められる要件は次のとおりです(保医発0305第8号 第97の2)
# 要件 内容
(1)ア 保険薬局勤務経験 届出時点で保険薬剤師として3年以上(保険医療機関の薬剤師経験は1年を上限に通算可)
(1)イ 勤務時間 当該薬局に週31時間以上勤務(育児・介護休業等で所定労働時間が短縮された場合は週24時間以上かつ週4日以上)
(1)ウ 在籍期間 届出時点で当該薬局に継続して6か月以上在籍(産前産後・育児・介護休業からの復職は休業前の在籍期間を合算可)
(2) 研修認定 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること
(3) 地域活動 医療に係る地域活動の取組に参画していること
  • 「在籍1年6月以上」ではありません。 通知の原文は「継続して6か月以上在籍している」です。ここを18か月と誤読すると、実際は要件を満たしている薬剤師を「未達」と判定し、体制整備を不要に遅らせることになります
  • 薬局側にも別途要件があります。週31時間以上勤務する保険薬剤師の継続在籍・勤務期間が平均して1年以上、または管理薬剤師が継続して3年以上在籍していること、およびプライバシーに配慮した独立カウンター等の設置です。なお令和8年5月31日時点でかかりつけ薬剤師指導料等を届け出ていた薬局は、令和8年11月30日までこの薬局側要件を満たすものとみなされます

  • レセコン・調剤システムのマスタ更新スケジュール確認

  • 6月1日施行に対応したマスタ更新の提供時期をシステムベンダーに確認
  • 通常は施行日の1〜2週間前にマスタが配布されるが、テスト期間を考慮した段取りが必要

  • 地域の薬局との医薬品分譲ネットワーク整備

  • 新しい「地域支援・医薬品供給対応体制加算」の全区分で、「他の薬局への医薬品分譲実績」が要件
  • 近隣薬局との分譲協力体制を4月中に構築しておく
  • 加算1(およびそれを前提とする加算2以上)の施設基準に重要供給確保医薬品の備蓄が含まれる。通知の文言は「重要供給確保医薬品のうち内用薬及び外用薬であるものについて、1か月分程度は備蓄するよう努めること」(保医発0305第8号 第92の1(2)エ)で、注射剤・ワクチンは対象外。さらに留意点(1)で、対象は「直近1年間で調剤しなかったものを除く各品目」について、自局の直近1年間の調剤数量から割り出した1か月分と定められている。つまり固定の成分リストを丸ごと揃えるのではなく、自局が実際に調剤している品目だけが対象。卸に在庫を確保してもらうだけでは備蓄に当たらない。対象品目と必要備蓄量の考え方は重要供給確保医薬品の備蓄要件と地域支援・医薬品供給対応体制加算の詳細解説を参照し、4月中に在庫状況を確認すること

【注意】改定の年は「翌月1日から」ではありません。 地方厚生局への届出は、平常時は「受理月の翌月1日から算定開始」が原則です。しかし令和8年度改定では経過的な取扱いが置かれ、令和8年5月7日(木)から6月1日(月)必着で提出され、要件審査を終えて受理されたものは6月1日から算定できるとされました。つまり6月1日の消印ではなく到着が基準で、5月中の受理は条件ではありません。ただし5月下旬は窓口が混雑するため、厚生局は5月18日(月)までの提出を呼びかけていました。期日を過ぎた届出は通常どおりの取扱い(末日までの受理→翌月1日算定、月の最初の開庁日の受理→当該月1日算定)に戻ります。

出典: 東海北陸厚生局「令和8年度診療報酬改定に伴う施設基準の届出等について」(令和8年5月7日時点)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000483720.pdf

書類不備による差戻しを避けるため、4月中に地方厚生局への事前相談(FAXまたは窓口)を活用すること。事前相談は無料で、記載内容の不備を事前に指摘してもらえる。


5月のタスク|薬機法施行+報酬改定の最終準備

5月は薬機法が施行される月であり、同時に報酬改定の届出期限でもある。最もリソースが逼迫する「危険な月」だ。

薬機法側:5月1日施行→運用開始

  1. 施行日の初動対応
  2. 5月1日の営業開始時点で、陳列変更・POSアラート・確認フローがすべて機能していることを確認
  3. 開店前に管理者がチェックリストで最終点検を実施

  4. 初週のトラブル対応体制

  5. 施行直後は想定外の事態が発生しやすい(購入者からの問い合わせ、年齢確認に対するクレーム、POSの不具合等)
  6. 薬剤師1名を「トラブル対応専任」として配置し、通常業務と分離する

  7. 運用データの記録開始

  8. 年齢確認の実施件数、販売拒否の件数、トラブル事例を記録
  9. 週次でレビューし、運用手順の改善点を洗い出す

報酬改定側:地方厚生局への届出提出

  1. 届出書類の最終確認と提出
  2. 4月中に作成した様式87の3の1、様式87の3の2を最終チェック
  3. 受付は5月7日から。6月1日(月)必着で出せば6月1日から算定できる(前掲の経過的取扱い)
  4. ただし5月18日(月)までの提出が厚生局の推奨。月末ギリギリの提出は差戻し時のリカバリーが困難
  5. 電子申請は5月25日から改定対応分が使えるようになった。5月24日までに出す場合は紙で提出する運用だった

  6. レセコンマスタの更新テスト

  7. 5月中旬〜下旬にシステムベンダーからマスタ更新が配布される想定
  8. テスト環境で新点数の算定が正しく行われるか確認

  9. 新加算の算定シミュレーション(最終版)

  10. 届出区分が確定した段階で、6月以降の月間収支の最終シミュレーションを実施
  11. かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点/3月に1回)、訪問加算(230点/6月に1回)の算定開始タイミングを計画

6月のタスク|報酬改定施行+運用定着

6月は調剤報酬改定が施行される月であり、薬機法の運用定着も引き続き進める。

報酬改定側:新点数での運用開始

  1. 6月1日からの新点数運用
  2. 調剤基本料、調剤管理料、服薬管理指導料の新点数での算定を開始
  3. 初日の処方箋5枚程度を手作業でも確認し、レセコンの算定結果と突合

  4. レセプト算定の確認

  5. 6月分レセプトの点検を入念に実施(7月10日の提出期限までに)
  6. 廃止された加算(かかりつけ薬剤師指導料76点、後発医薬品調剤体制加算等)が残存していないか確認
  7. 新設加算(調剤ベースアップ評価料4点、調剤物価対応料1点等)の算定漏れがないか確認

  8. 患者への説明対応

  9. 一部負担金の変更(増額または減額)が生じる患者への説明準備
  10. 「かかりつけ薬剤師指導料の廃止」に伴う説明(機能は服薬管理指導料に統合された旨)

両方の改正:運用定着と改善サイクル

  1. 週次レビューの実施
  2. 薬機法対応:年齢確認のオペレーション効率化、トラブル事例の共有
  3. 報酬改定対応:算定漏れ・算定誤りの洗い出し、加算の算定率モニタリング

  4. 改善アクションの実行

  5. 6月末までに「初月の振り返りレポート」を作成し、経営層に報告
  6. 7月以降の運用改善計画(レセプト精査のルーチン化、研修の定期化)を策定

人員配置ガイド|薬機法チーム vs 報酬改定チーム

リソース競合を防ぐ最大のポイントは、対応チームの分離である。

推奨チーム編成

役割 薬機法対応チーム 報酬改定対応チーム
リーダー 登録販売者または薬剤師1名(OTC販売に精通) 管理薬剤師(調剤・施設基準に精通)
メンバー レジ担当スタッフ、店舗運営担当 事務スタッフ(届出書類担当)、経理担当
主な業務 在庫棚卸し、陳列変更、POS設定、従業員研修、年齢確認オペレーション 実績データ集計、届出書類作成、システムベンダー調整、収支シミュレーション
ピーク期 3月下旬〜5月上旬 3月〜5月中旬

薬局長・経営者の役割

薬局長(または経営者)は両チームの統括を担い、以下に専念する。

  • 両チームの進捗を週次で確認(月曜朝のミーティング等)
  • リソース競合が発生した場合の優先順位決定
  • 外部リソース(コンサルタント、システムベンダー、薬剤師会)との連携窓口
  • 経営判断(投資判断、人員増の判断)

「危険な時期」の警告|4月末〜5月初旬のリソース競合

なぜこの時期が危険なのか

日程 薬機法側のタスク 報酬改定側のタスク
4月第4週 模擬運用(全スタッフ参加) 届出書類の最終チェック
4月30日 施行前日の最終確認 届出書類の提出準備
5月1日 施行日:運用開始 届出書類の提出
5月第1週 トラブル対応(集中期) 地方厚生局への問い合わせ対応

回避策

  1. 4月第3週までに薬機法の準備をほぼ完了させる
  2. 陳列変更、POS設定、研修の3つを4月第3週末までに終わらせる
  3. 4月第4週は「模擬運用と微調整のみ」の状態にする

  4. 報酬改定の届出は連休明けすぐに出す

  5. 薬機法施行日(5月1日)当日は届出の発送作業を避ける
  6. 厚生局の受付開始は5月7日(木)。5月2日(土)〜6日(水)は土日祝で窓口が閉まっているため、この間に郵送で発送しておけば連休明けに処理が始まる(ここでいう「提出」は投函の日、「受付開始」は厚生局が処理を始める日)

  7. 5月第1週の薬機法トラブル対応は「専任1名」に限定する

  8. 全員がトラブル対応に追われると、報酬改定の届出作業が止まる
  9. トラブル対応は1名に集約し、他のスタッフは通常業務+届出作業を継続

月別チェックリスト

3月チェックリスト(情報収集・現状把握)

薬機法対応:
– [ ] 指定濫用防止医薬品8成分の在庫リストを作成する(JANコード単位)
– [ ] 対象品の現在の陳列場所をマッピングする
– [ ] 陳列変更方式(施錠/カウンター後ろ/空箱/監視下)を決定する
– [ ] 什器・棚の工事が必要な場合、業者に見積もりを依頼する
– [ ] POSシステムの設定変更をシステムベンダーに発注する

報酬改定対応:
– [ ] 直近1年間の処方箋受付回数・後発品使用率・かかりつけ指導料算定回数を集計する
– [ ] 改定後の調剤基本料区分をシミュレーションする
– [ ] 後発医薬品使用率が85%以上かを確認し、未達の場合は切替計画を策定する
– [ ] 改定後の月間収支を概算シミュレーションする

4月チェックリスト(準備の最盛期)

薬機法対応:
– [ ] 陳列棚の改修工事を4月中旬までに完了する
– [ ] POSシステムの年齢確認アラート設定を完了する
– [ ] 管理者・薬剤師向け説明会を実施する(第1週)
– [ ] 全スタッフ向けロールプレイ研修を実施する(第2〜3週)
– [ ] 年齢確認の標準文言(スクリプト)を作成・配布する
– [ ] 模擬運用を実施する(第4週)

報酬改定対応:
– [ ] 様式87の3の1(共通施設基準)を作成する
– [ ] 様式87の3の2(実績要件)を作成する
– [ ] かかりつけ薬剤師の認定研修受講状況を確認し、未取得者は受講を手配する
– [ ] 地方厚生局への事前相談を実施する
– [ ] レセコンのマスタ更新スケジュールをベンダーに確認する
– [ ] 近隣薬局との医薬品分譲ネットワークを整備する

5月チェックリスト(施行月・届出月)

薬機法対応:
– [ ] 5月1日の開店前に陳列・POS・確認フローの最終点検を実施する
– [ ] 初週はトラブル対応専任を1名配置する
– [ ] 年齢確認の実施件数・販売拒否件数・トラブル事例を記録する
– [ ] 週次レビューでオペレーション改善を実施する

報酬改定対応:
– [ ] 地方厚生局へ届出書類を提出する(5月上旬推奨)
– [ ] 届出受理通知を確認する
– [ ] レセコンのマスタ更新を実施し、テスト算定を行う
– [ ] 6月1日からの算定準備(新加算の算定要件の最終確認)を完了する
– [ ] かかりつけ患者への同意取得・訪問計画を整備する

6月チェックリスト(報酬改定施行・運用定着)

  • [ ] 6月1日からの新点数算定を開始し、初日の処方箋5枚で手動確認する
  • [ ] 廃止加算(かかりつけ薬剤師指導料等)がレセプトに残存していないか確認する
  • [ ] 新設加算(ベースアップ評価料、物価対応料等)の算定漏れがないか確認する
  • [ ] 一部負担金変更への患者説明対応を実施する
  • [ ] 薬機法の運用定着状況を確認し、改善点を実施する
  • [ ] 6月末に「初月振り返りレポート」を作成する

FAQ

A

同じ薬剤師が担当する必要はない。薬機法改正はOTC販売(陳列・年齢確認・記録保管)が中心であり、調剤報酬改定は調剤業務・施設基準(届出・加算算定)が中心である。対応領域が異なるため、可能であれば担当を分離することを推奨する。小規模薬局で分離が難しい場合は、週単位で対応テーマを切り替える方法が有効。

A

薬価改定(-0.86%)への対応は主にレセコンの薬価マスタ更新で完了するため、作業量は限定的。通常はシステムベンダーが自動更新を行う。ただし、在庫評価額の変動による経営影響(薬価差益の縮小)は経理担当が試算しておくこと。レセコンのマスタ更新は4月1日直前に自動配布されるのが通例であり、手動作業は最小限で済む。

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OTC販売を一切行っていない調剤専門薬局であれば、指定濫用防止医薬品制度の直接的な対応は不要。ただし、零売(処方箋なしの一般用医薬品販売)を行っている場合や、店頭に少数でもOTC薬を置いている場合は対象となるため、在庫を確認すること。調剤報酬改定への対応は全保険薬局が対象。

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改定に伴う経過的取扱い(受付5月7日〜6月1日必着)に間に合えば6月1日から算定できる。間に合わなかった場合は通常の取扱いに戻り、各月の末日までに受理されれば翌月1日から、月の最初の開庁日に受理されれば当該月の1日から算定開始となる。たとえば6月末までに受理されれば7月1日からである。1か月分の加算収入の逸失は、月間1,000枚の薬局で地域支援・医薬品供給対応体制加算2(59点)の場合、約59万円に相当する。書類不備による差戻しを防ぐため、事前相談を強く推奨する。

なお、加算の算定期間は年単位で区切られている点にも注意したい。地域支援・医薬品供給対応体制加算は、前年5月1日〜当年4月末日の実績で適合性を判断し、当年6月1日〜翌年5月末日まで算定できる(保医発0305第8号 第92の6(3)(4))。年度途中に新たに基準を満たした場合は、その時点で届出でき、受理された翌月1日から翌年5月末日まで算定できる。

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以下の活用が考えられる。(1) 日本薬剤師会・各都道府県薬剤師会:改正の説明会・研修会の受講、届出書類の記載相談。(2) 薬局経営コンサルタント:収支シミュレーション、加算算定戦略の策定。(3) システムベンダー:POS設定変更・レセコンマスタ更新の技術サポート。(4) 什器業者:施錠棚の設置工事。外部リソースを活用する場合も、3月中に依頼を行い、4月の対応に間に合うスケジュールを確保すること。


今すぐやること:並行対応アクションチェックリスト

最優先(2026年3月中)

  • [ ] 指定濫用防止医薬品8成分の在庫リストを作成し、陳列変更計画を策定する(OTC担当)
  • [ ] 直近1年間の実績データ(後発品使用率、かかりつけ指導料算定回数等)をレセコンから抽出する(管理薬剤師)
  • [ ] 改定後の調剤基本料区分と月間収支をシミュレーションする(薬局長・経営層)
  • [ ] 薬機法対応チームと報酬改定対応チームの担当者を決定する(薬局長)
  • [ ] 什器業者・システムベンダーへの発注を完了する(事務担当)

重要(2026年4月中)

  • [ ] 薬機法対応の陳列変更・POS設定・従業員研修を4月中旬までに完了する(薬機法チーム)
  • [ ] 届出書類(様式87の3の1、87の3の2)を作成し、地方厚生局へ事前相談を実施する(報酬改定チーム)
  • [ ] かかりつけ薬剤師の認定研修受講状況を確認し、未取得者は受講を手配する(人事担当)
  • [ ] 近隣薬局との医薬品分譲ネットワークを整備する(管理薬剤師)
  • [ ] 4月第2週時点で「予定通りか」を中間チェックし、遅延があれば対策を実行する(薬局長)

必須(2026年5月中)

  • [ ] 5月1日の薬機法施行に対応し、初週のトラブルを記録・改善する(薬機法チーム)
  • [ ] 地方厚生局へ届出書類を提出し、受理通知を確認する(報酬改定チーム)
  • [ ] レセコンマスタの更新テストを実施する(システム担当)
  • [ ] 6月1日からの新加算算定準備を完了する(管理薬剤師)

関連記事

並行対応ロードマップの各論は、以下の記事で詳しく解説している。


免責事項

本記事は2026年9月21日時点で公布・発出済みの告示・通知に基づいて作成しています(施設基準は令和8年3月5日 保医発0305第8号、届出の取扱いは各地方厚生局の令和8年度改定案内を参照)。通知は訂正版が出ることがあるため、実際の届出・算定にあたっては厚生労働省および所管の地方厚生局の最新版をご確認ください。本記事の内容に基づく判断・行動によって生じたいかなる損害についても、筆者及び運営者は責任を負いかねます。


参考資料・一次情報

本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

  • 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定関連資料 — 厚生労働省(答申書・個別改定項目の一覧)
  • 厚生労働省「診療報酬改定について」(令和7年12月24日 予算大臣折衝)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf — 改定率+3.09%・各科改定率(調剤+0.08%)・薬価▲0.86%の出典
  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第8号)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757367.pdf — 地域支援・医薬品供給対応体制加算(第92)、かかりつけ薬剤師の施設基準(第97の2)、届出様式の一覧
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001717704.pdf
  • 東海北陸厚生局「令和8年度診療報酬改定に伴う施設基準の届出等について」(令和8年5月7日時点)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000483720.pdf — 届出期日(5月7日〜6月1日必着)の出典
  • 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容」(https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html)
  • 厚生労働省「令和7年の薬機法等の一部改正について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58083.html)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)
  • 中央社会保険医療協議会 総会(第647回・令和8年2月13日)答申書
JG

実務ガイド編集部

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