薬局規模別シミュレーション2026|調剤報酬改定で月収はいくら変わる?

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薬局規模別シミュレーション2026|調剤報酬改定で月収はいくら変わる?
目次

最終更新日: 2026年3月

【結論】 月処方箋枚数300〜10,000枚の薬局は、2026年6月改定で対策なしなら年間-7万〜-700万円の自動減収。最大の減収要因はかかりつけ薬剤師指導料76点の廃止で、基本料増分(1:+2点/3ロ:+1点/3ハ:+2点)と在宅薬学総合体制加算1の30点増ではカバーしきれない。一方、対人業務加算(フォローアップ・服薬情報提供等)を新規取得すれば、対策ありシナリオで年間+1,000〜+4,000万円の増収が可能。本記事は厚労省R8年度告示に基づき、月300・500・1,000・2,000・3,000・5,000・10,000枚の全7規模で項目別に試算する。

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2026年6月1日施行の調剤報酬改定は、薬局の収益構造を大きく変える。かかりつけ薬剤師指導料76点の廃止と調剤管理料の簡素化による減収リスクと、フォローアップ加算(50点)・在宅薬学総合体制加算1の30点増(70→100点)といった対人業務加算の増収チャンスが同時に発生する。本記事では、月間処方箋受付枚数300枚・500枚・1,000枚・2,000枚・3,000枚・5,000枚・10,000枚の全7規模 × 基本料区分(1/3ロ/3ハ)について、改定前後の月間収支を項目別に試算し、「自薬局はいくら影響を受けるのか」を具体的な数値で示す。


📅 2026年6月施行

調剤報酬改定 収支シミュレーター

薬局の規模・処方構成を入力して、改定前後の月間収支変化を試算できます

スライダーを動かすと即時反映

1月間処方箋受付枚数

1か月の処方箋枚数 500枚/月
100枚(小規模)3,000枚(大規模)

2処方日数の構成(診療科タイプ)

診療科プリセット

3かかりつけ薬剤師の届出患者数

現在の届出済み患者数 30
0名(なし)500名
▼ 詳細オプション(基本料区分・在宅患者数)

本シミュレーターは令和8年厚生労働省告示第69号(令和8年3月5日公布・令和8年6月1日施行)に基づく概算です。調剤物価対応料は患者ごと3月1回算定として月間処方箋枚数の1/3で試算。在宅薬学総合体制加算は在宅患者1名あたり月1処方箋として試算(実際の算定には麻薬免許・24時間対応体制等の施設基準あり)。かかりつけ薬剤師指導料廃止の影響は差分-31点(3ヶ月以内再来患者・区分1:服薬管理指導料45点との差分)で試算。調剤ベースアップ評価料は地方厚生局への届出が必須(未届薬局は算定不可)。調剤管理加算廃止の影響は算定率20%として試算(実態は診療科構成により5〜40%程度の差異あり)。かかりつけFU加算はかかりつけ届出患者全数を対象として試算(実際は①かかりつけ届出患者 ②前回来局時に対象加算算定 ③患者・家族の求め ④電話等でのFU実施、の4条件すべて必要)。28日ちょうどの処方は旧50点→新60点で+10点として試算。実際の影響額は各薬局の算定状況により異なります。

試算結果
リアルタイム更新
月間収支の変化
- 年間換算: -
ベースアップ除く概算
※概算参考値。実際の収支変化を保証するものではありません

なぜシミュレーションが必要か

改定の本質:対物業務の減収と対人業務の増収が同時に起きる

2026年6月施行の改定は、「対物業務から対人業務へ」のシフトを加速させる構造になっている。具体的には、次の2つの力が同時に働く。

減収方向の変更:

  • 調剤管理料(8〜27日分)が28〜50点→10点に大幅引下げ
  • 調剤管理加算(3点)の廃止
  • 地域支援体制加算の統合再編に伴う点数差(旧加算の合計から数点のマイナスとなるケースあり)

増収方向の変更:

  • 調剤基本料の全区分2点アップ
  • 調剤ベースアップ評価料(4点/受付1回)の新設
  • かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点/3月に1回)の新設
  • 在宅薬学総合体制加算1が15点→30点(2倍)
  • 残薬調整加算・有害事象防止加算のかかりつけ薬剤師加算(50点)

問題は、減収の大きさが薬局の処方箋構成によって大きく異なることだ。28日以上の長期処方が中心の内科門前薬局と、7〜14日の短期処方が多い小児科門前薬局では、調剤管理料の減収額に数倍の差がつく。一方、増収は「対人業務に取り組んでいるかどうか」で決まる。

だからこそ、自薬局の処方箋枚数・処方日数構成・加算算定状況に基づくシミュレーションが不可欠になる。


改定のポイント早わかり表

シミュレーションの前提となる主要な点数変更を一覧で整理する。各項目の詳細な背景・要件は調剤報酬改定2026年の解説記事を参照されたい。

基本料・管理料の変更

項目 改定前 改定後 増減
調剤基本料1 45点 47点 +2
調剤基本料2 29点 30点 +1
調剤基本料3イ 24点 25点 +1
調剤基本料3ロ 19点 20点 +1
調剤基本料3ハ 35点 37点 +2
特別調剤基本料A 5点 5点 0
特別調剤基本料B 3点 3点 0
調剤管理料(27日分以下に統合) 4〜50点 10点 ※区分再編
調剤管理料(28日分以上に統合) 50〜60点 60点 ※区分再編
調剤管理加算(6種以上) 3点 廃止 -3
かかりつけ薬剤師指導料 76点 廃止 -76
調剤ベースアップ評価料(新設) 4点 +4
物価対応料(新設) 1点(R8年度、3月に1回) +1

調剤管理料の構造再編: 改定前は処方日数で5区分(7日以下4点・8〜14日28点・15〜27日50点・28日50点・29日以上60点)だったが、改定後は「27日以下=10点/28日以上=60点」の2区分に統合された。本記事のシミュレーションは「改定前各区分→改定後区分」への移行による差額(+6/-18/-40/+10/0点)で計算している。

改定率の構造: 全体+3.09%は令和8年度+2.41%・令和9年度+3.77%の2年度平均。令和8年6月施行分は+2.41%が反映され、令和9年6月以降にベースアップ評価料・物価対応料が2倍に拡大される(出典: 厚労省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」)。

新設・拡充された加算

項目 点数 算定頻度
調剤ベースアップ評価料 4点 受付1回ごと
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 50点 3月に1回
かかりつけ薬剤師訪問加算 230点 6月に1回
調剤時残薬調整加算(かかりつけ) 50点 該当時
薬学的有害事象等防止加算(かかりつけ) 50点 該当時
在宅薬学総合体制加算1 30点(旧15点) 受付1回ごと

規模別シミュレーション

前提条件

以下のシミュレーションは、次の前提条件に基づく試算である。実際の影響額は各薬局の処方箋構成により異なるため、あくまで目安として活用されたい。

前提項目 設定値
調剤基本料 基本料1(47点)を前提。基本料2・3の薬局は増分が1点小さくなる
処方日数の構成比(標準型) 7日以下: 15%、8〜14日: 15%、15〜27日: 15%、28日以上: 55%
調剤管理加算(6種以上)の該当率 処方箋の20%
かかりつけ薬剤師の届出患者数 規模に応じて設定(後述)
在宅患者数 規模に応じて設定(後述)
1点 = 10円 保険点数の換算

月間300枚(小規模個人薬局)

典型例:住宅地の個人薬局。薬剤師1〜2名体制。かかりつけ薬剤師の届出患者は少数。在宅は月1〜2件程度。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:10名、在宅患者:2名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+2点) 300枚 x 2点 x 10円 +6,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 300枚 x 4点 x 10円 +12,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 300枚 x 15% x (-18点) x 10円 -8,100円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 300枚 x 15% x (-40点) x 10円 -18,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 300枚 x 15% x 6点 x 10円 +2,700円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 300枚 x 25% x 10点 x 10円 +7,500円
調剤管理加算の廃止(-3点) 300枚 x 20% x (-3点) x 10円 -1,800円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 10名 x 50点 x 10円 / 3月 +1,667円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 10名 x (-76点) x 10円 -7,600円
小計(自動発生分) -5,633円

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
在宅患者を2名→5名に拡充(在宅薬学総合体制加算1:30点 x 300枚) +90,000円※
残薬調整加算の算定強化(月3件 x 50点) +1,500円

※在宅薬学総合体制加算1(30点)は処方箋受付1回ごとに算定。ただし在宅患者5名以上の実績が加算1の算定要件に影響するため、段階的な拡充が現実的。

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-68,000円
在宅・対人業務を強化した場合 +約1,000,000円以上(在宅体制加算の寄与が大)

月間500枚(標準的な門前薬局)

典型例:クリニック門前の薬局。薬剤師2〜3名体制。かかりつけ薬剤師の届出あり。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:30名、在宅患者:5名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+2点) 500枚 x 2点 x 10円 +10,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 500枚 x 4点 x 10円 +20,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 500枚 x 15% x (-18点) x 10円 -13,500円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 500枚 x 15% x (-40点) x 10円 -30,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 500枚 x 15% x 6点 x 10円 +4,500円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 500枚 x 25% x 10点 x 10円 +12,500円
調剤管理加算の廃止(-3点) 500枚 x 20% x (-3点) x 10円 -3,000円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 30名 x 50点 x 10円 / 3月 +5,000円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 30名 x (-76点) x 10円 -22,800円
小計(自動発生分) -17,300円

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
かかりつけ薬剤師の届出患者を60名に拡充 +5,000円(フォローアップ加算の増加分)
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点 x 5名 / 6月) +19,167円
残薬調整加算の算定強化(月5件 x 50点) +2,500円
有害事象防止加算の算定(月3件 x 50点) +1,500円
在宅薬学総合体制加算1(30点 x 500枚)※要件充足時 +150,000円

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-208,000円
かかりつけ強化のみ 約+250,000円
かかりつけ+在宅体制加算 約+2,000,000円以上

月間1,000枚(中規模薬局)

典型例:病院門前または複数クリニック門前。薬剤師4〜6名体制。在宅チームあり。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:80名、在宅患者:10名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+2点) 1,000枚 x 2点 x 10円 +20,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 1,000枚 x 4点 x 10円 +40,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 1,000枚 x 15% x (-18点) x 10円 -27,000円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 1,000枚 x 15% x (-40点) x 10円 -60,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 1,000枚 x 15% x 6点 x 10円 +9,000円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 1,000枚 x 25% x 10点 x 10円 +25,000円
調剤管理加算の廃止(-3点) 1,000枚 x 20% x (-3点) x 10円 -6,000円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 80名 x 50点 x 10円 / 3月 +13,333円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 80名 x (-76点) x 10円 -60,800円
小計(自動発生分) -46,467円

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
かかりつけ薬剤師の届出患者を150名に拡充 +11,667円(フォローアップ加算増分)
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点 x 10名 / 6月) +38,333円
残薬調整加算の算定強化(月10件 x 50点) +5,000円
有害事象防止加算の算定(月8件 x 50点) +4,000円
在宅薬学総合体制加算1(30点 x 1,000枚)※要件充足時 +300,000円

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-558,000円
かかりつけ強化+在宅体制加算 約+4,000,000円以上

月間2,000枚(大規模・チェーン薬局)

典型例:大病院門前またはチェーン薬局。薬剤師8〜12名体制。組織的な在宅チームを運営。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:200名、在宅患者:20名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+2点) 2,000枚 x 2点 x 10円 +40,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 2,000枚 x 4点 x 10円 +80,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 2,000枚 x 15% x (-18点) x 10円 -54,000円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 2,000枚 x 15% x (-40点) x 10円 -120,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 2,000枚 x 15% x 6点 x 10円 +18,000円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 2,000枚 x 25% x 10点 x 10円 +50,000円
調剤管理加算の廃止(-3点) 2,000枚 x 20% x (-3点) x 10円 -12,000円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 200名 x 50点 x 10円 / 3月 +33,333円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 200名 x (-76点) x 10円 -152,000円
小計(自動発生分) -116,667円

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
かかりつけ薬剤師の届出患者を350名に拡充 +25,000円(フォローアップ加算増分)
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点 x 20名 / 6月) +76,667円
残薬調整加算の算定強化(月20件 x 50点) +10,000円
有害事象防止加算の算定(月15件 x 50点) +7,500円
在宅薬学総合体制加算1(30点 x 2,000枚)※要件充足時 +600,000円

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-1,400,000円
かかりつけ強化+在宅体制加算 約+8,000,000円以上

月間3,000枚(中規模地域密着薬局・調剤基本料1)

典型例:地域支援体制加算届出済みの地域密着型薬局。薬剤師12〜15名体制。在宅医療チームを本格運用。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:300名、在宅患者:30名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+2点) 3,000枚 x 2点 x 10円 +60,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 3,000枚 x 4点 x 10円 +120,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 3,000枚 x 15% x (-18点) x 10円 -81,000円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 3,000枚 x 15% x (-40点) x 10円 -180,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 3,000枚 x 15% x 6点 x 10円 +27,000円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 3,000枚 x 25% x 10点 x 10円 +75,000円
調剤管理加算の廃止(-3点) 3,000枚 x 20% x (-3点) x 10円 -18,000円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 300名 x 50点 x 10円 / 3月 +50,000円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 300名 x (-76点) x 10円 -228,000円
小計(自動発生分) -175,000円

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
かかりつけ薬剤師の届出患者を450名に拡充 +25,000円(フォローアップ加算増分)
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点 x 30名 / 6月) +115,000円
残薬調整加算の算定強化(月30件 x 50点) +15,000円
有害事象防止加算の算定(月20件 x 50点) +10,000円
在宅薬学総合体制加算1(30点 x 3,000枚)※要件充足時 +900,000円

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-2,100,000円
かかりつけ強化+在宅体制加算 約+12,000,000円以上

月間5,000枚(チェーン旗艦店・調剤基本料3ロ)

典型例:大手チェーン薬局の旗艦店。基本料3ロ(同一グループ内処方箋受付回数40万回超/一定要件)。薬剤師15〜20名体制。本部統制下で在宅・施設訪問を実施。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:500名、在宅患者:50名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+1点/基本料3ロは+1点) 5,000枚 x 1点 x 10円 +50,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 5,000枚 x 4点 x 10円 +200,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 5,000枚 x 15% x (-18点) x 10円 -135,000円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 5,000枚 x 15% x (-40点) x 10円 -300,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 5,000枚 x 15% x 6点 x 10円 +45,000円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 5,000枚 x 25% x 10点 x 10円 +125,000円
調剤管理加算の廃止(-3点) 5,000枚 x 20% x (-3点) x 10円 -30,000円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 500名 x 50点 x 10円 / 3月 +83,333円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 500名 x (-76点) x 10円 -380,000円
小計(自動発生分) -341,667円

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
かかりつけ薬剤師の届出患者を800名に拡充 +50,000円(フォローアップ加算増分)
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点 x 50名 / 6月) +191,667円
残薬調整加算の算定強化(月50件 x 50点) +25,000円
有害事象防止加算の算定(月40件 x 50点) +20,000円
在宅薬学総合体制加算1(30点 x 5,000枚)※要件充足時 +1,500,000円

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-4,100,000円
かかりつけ強化+在宅体制加算 約+20,000,000円以上

月間10,000枚(大型病院門前薬局・調剤基本料3ハ)

典型例:大学病院や中核病院の門前薬局。基本料3ハ(同一グループ内処方箋受付回数40万回超かつ集中率95%超等)。薬剤師25〜35名体制。

かかりつけ薬剤師の届出患者数:1,000名、在宅患者:100名と仮定

項目 計算根拠 月間影響額
調剤基本料の増加(+2点/基本料3ハ 35→37点) 10,000枚 x 2点 x 10円 +200,000円
調剤ベースアップ評価料(+4点) 10,000枚 x 4点 x 10円 +400,000円
調剤管理料の減収(8〜14日分:-18点) 10,000枚 x 15% x (-18点) x 10円 -270,000円
調剤管理料の減収(15〜27日分:-40点) 10,000枚 x 15% x (-40点) x 10円 -600,000円
調剤管理料の増収(7日以下:+6点) 10,000枚 x 15% x 6点 x 10円 +90,000円
調剤管理料の増収(28日ちょうど:+10点) 10,000枚 x 25% x 10点 x 10円 +250,000円
調剤管理加算の廃止(-3点) 10,000枚 x 20% x (-3点) x 10円 -60,000円
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 1,000名 x 50点 x 10円 / 3月 +166,667円
かかりつけ薬剤師指導料廃止(-76点/名) 1,000名 x (-76点) x 10円 -760,000円
小計(自動発生分) -583,333円

【注意・上限ケース】 月間10,000枚は大学病院・中核病院門前の一部に限られる実在性ニッチケース。基本料3ハ(35→37点、+2点)は同一グループ内処方箋受付回数等の要件を満たす薬局に適用され、全国の該当薬局数は限定的。シミュレーションは「上限の参考値」として位置づけ、実数値は個別の届出区分・集中率・かかりつけ患者比率により大きく変動する。正式な区分要件は厚労省告示(令和8年厚生労働省告示第69号)を必ず参照されたい。

増収を狙う場合の加算算定シナリオ:

取組み 追加増収額(月間)
かかりつけ薬剤師の届出患者を1,500名に拡充 +83,333円(フォローアップ加算増分)
かかりつけ薬剤師訪問加算(230点 x 100名 / 6月) +383,333円
残薬調整加算の算定強化(月100件 x 50点) +50,000円
有害事象防止加算の算定(月80件 x 50点) +40,000円
在宅薬学総合体制加算1(30点 x 10,000枚)※要件充足時 +3,000,000円

年間ベースの影響:

シナリオ 年間影響額
何も対策しない場合 約-7,000,000円
かかりつけ強化+在宅体制加算 約+40,000,000円以上

規模別の損益まとめ

規模 基本料区分 対策なし(年間) かかりつけ+在宅強化(年間) 差額
月間300枚 基本料1(+2点) -68,000円 +1,000,000円以上 100万円超
月間500枚 基本料1(+2点) -208,000円 +2,000,000円以上 200万円超
月間1,000枚 基本料1(+2点) -558,000円 +4,000,000円以上 400万円超
月間2,000枚 基本料1(+2点) -1,400,000円 +8,000,000円以上 800万円超
月間3,000枚 基本料1(+2点) -2,100,000円 +12,000,000円以上 1,200万円超
月間5,000枚 基本料3ロ(+1点) -4,100,000円 +20,000,000円以上 2,000万円超
月間10,000枚 基本料3ハ(+2点) -7,000,000円 +40,000,000円以上 4,000万円超

※ベースアップ評価料は賃上げ原資のため「対策なし」の計算には含めているが、経営上の自由な利益とは異なる点に注意。
※在宅薬学総合体制加算1は算定要件(在宅業務の実績等)を満たす必要がある。加算2はさらに高い点数が設定されている。


診療科別の影響比較

調剤管理料の減収額は、門前の診療科によって大きく異なる。以下に3つの典型的なパターンを比較する。

前提:処方日数構成比の診療科別パターン

処方日数区分 小児科・耳鼻科・皮膚科 内科・整形外科 混合型(複数科門前)
7日分以下 50% 5% 15%
8〜14日分 30% 5% 15%
15〜27日分 10% 10% 15%
28日ちょうど(+10点) 5% 25% 15%
29日以上(56日・84日等、変動なし) 5% 55% 40%

※処方日数の構成比は薬局により異なるため、上記は典型的な傾向を示した推定値。自薬局のレセコンデータで正確な構成比を確認することを推奨。

月間500枚の場合の調剤管理料影響額(診療科別)

項目 小児科・耳鼻科・皮膚科 内科・整形外科 混合型
7日以下の増収(+6点) +15,000円 +1,500円 +4,500円
8〜14日の減収(-18点) -27,000円 -4,500円 -13,500円
15〜27日の減収(-40点) -20,000円 -20,000円 -30,000円
28日ちょうどの増収(+10点) +2,500円 +12,500円 +7,500円
29日以上(変動なし) 0円 0円 0円
調剤管理料の純影響 -29,500円/月 -10,500円/月 -31,500円/月
年間影響額 -354,000円 -126,000円 -378,000円

内科門前 vs 小児科門前:年間損益の比較(月間500枚)

項目 内科門前 小児科門前 差額
調剤管理料の変動 -126,000円 -354,000円 228,000円
調剤基本料の増加 +120,000円 +120,000円 0円
調剤ベースアップ評価料 +240,000円 +240,000円 0円
年間の自動発生分 +234,000円 +6,000円 228,000円

内科門前薬局は改定の自動発生分だけで年間約23万円のプラスとなる一方、小児科門前薬局は約6,000円のプラスにとどまる。内科は28日ちょうどの処方が多く管理料が増収に転じるが、小児科は8〜14日分の減収が大きくほぼ相殺される。


減収補填戦略

調剤管理料の減収を補填するために活用すべき4つの戦略を、投資対効果の高い順に解説する。

戦略1:かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)の算定体制構築

新設されたかかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月に1回)は、今改定で最もコストパフォーマンスの高い加算である。

項目 内容
点数 50点(500円/回)
算定頻度 3月に1回(年4回)
年間収入(患者1名あたり) 2,000円
患者50名で年間 100,000円
患者100名で年間 200,000円
患者200名で年間 400,000円

算定要件のポイント:

  • かかりつけ薬剤師として届出済みの患者が対象
  • フォローアップ(服薬状況の確認・指導)を実施し、記録すること
  • 3月に1回の算定制限あり

戦略2:在宅薬学管理の拡充

在宅薬学総合体制加算1が15点→30点(2倍)に引き上げられた。在宅未実施の薬局は参入を本格検討すべきタイミングである。

項目 旧点数 新点数 増減
在宅薬学総合体制加算1 15点 30点 +15点
在宅薬学総合体制加算2(単一建物1人) 100点 新設
在宅薬学総合体制加算2(その他) 50点 新設
訪問薬剤管理医師同時指導料 150点 新設

在宅薬学総合体制加算1(30点)は処方箋受付1回ごとに算定できるため、月間1,000枚の薬局が加算要件を満たせば月30万円・年間360万円の増収になる。

戦略3:残薬調整・有害事象防止加算の活用

旧「重複投薬・相互作用等防止加算」が2つに分離され、かかりつけ薬剤師なら各50点で算定できる。

加算 通常 かかりつけ薬剤師
調剤時残薬調整加算 30点 50点
薬学的有害事象等防止加算 30点 50点

両加算は別々に算定できるため、残薬調整と有害事象防止の両方が発生した場合はそれぞれ算定可能な場合がある(算定ルールの詳細は告示・通知を確認)。

月間算定件数別の年間増収額(かかりつけ薬剤師の場合):

月間算定件数 残薬調整のみ 両方算定
月5件 30,000円/年 60,000円/年
月10件 60,000円/年 120,000円/年
月20件 120,000円/年 240,000円/年

戦略4:地域支援体制加算のステップアップ

2026年6月から「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(5区分・27〜67点)に再編される。上位区分を算定できれば大幅な増収になる。

区分 点数 月間500枚の場合 月間1,000枚の場合
加算1 27点 135,000円/月 270,000円/月
加算2 59点 295,000円/月 590,000円/月
加算3 67点 335,000円/月 670,000円/月

加算2(59点)と加算1(27点)の差額は32点。月間1,000枚の薬局で加算1→加算2へステップアップすると、月32万円・年間384万円の増収になる。各区分の実績要件・届出手順は地域支援体制加算の解説記事を参照。


今すぐやること:改定影響シミュレーション実行チェックリスト

最優先(2026年4月中に完了)

  • [ ] レセコンから直近3か月の処方箋データを抽出する(管理薬剤師):処方日数区分別の枚数、調剤管理加算の算定件数、かかりつけ薬剤師指導料の算定件数を一覧化
  • [ ] 自薬局の処方日数構成比を算出する(管理薬剤師):7日以下/8〜14日/15〜27日/28日以上の4区分の比率を確認し、本記事のシミュレーションと比較
  • [ ] 調剤管理料の減収額を試算する(経営担当):自薬局の処方日数構成比 x 月間枚数 x 点数変動で月間・年間の減収額を算出

重要(2026年5月中に完了)

  • [ ] かかりつけ薬剤師の同意患者数を棚卸しする(管理薬剤師):現在の同意患者数と、フォローアップ加算(50点 x 同意患者数 / 3月)の年間収入を算出
  • [ ] 在宅業務の実績と在宅薬学総合体制加算の算定可否を確認する(薬局長):在宅患者数、訪問回数、加算1の要件充足状況を確認
  • [ ] 地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出区分を決定する(薬局長・経営層):後発品使用率85%の達成状況、加算2以上の実績要件の充足状況を確認
  • [ ] 新点数に基づく年間収支計画を策定する(経営担当):減収額と増収可能額を対比し、必要な投資(人材・設備)を経営層に提案

中期(2026年6月以降)

  • [ ] かかりつけ薬剤師の患者同意取得を月次目標で管理する(管理薬剤師):月間の新規同意件数を薬剤師ごとに記録し、進捗を共有
  • [ ] 在宅業務の拡充計画を実行する(薬局長):地域の在宅医・ケアマネジャーとの連携構築、在宅薬剤師の研修・配置
  • [ ] 残薬調整・有害事象防止の算定実績を月次で分析する(管理薬剤師):算定件数の推移をモニタリングし、改善策を検討
  • [ ] 改定後3か月時点で収支シミュレーションの精度検証を行う(経営担当):2026年6〜8月の実績データで当初シミュレーションとの乖離を確認し、戦略を修正

FAQ

A

本記事のシミュレーションは「標準的な処方日数構成」を前提とした概算である。自薬局への適用にあたっては、レセコンから実際の処方日数構成比を抽出し、新点数に当てはめて再計算することを推奨する。特に、8〜27日分の処方が多い薬局は減収額が大きくなり、28日以上が多い薬局は影響が軽微になる。

A

使えない。調剤ベースアップ評価料は薬剤師・事務職員等の賃上げ原資として充当することが前提の評価料である。経営上の自由な利益としてカウントすべきではない。シミュレーションでは増収項目として計上しているが、同額が人件費に転嫁される点に注意。月間1,000枚の薬局で月4万円(年間48万円)の増収だが、同額の人件費増が発生する。

A

在宅薬学総合体制加算1は、在宅患者への薬学的管理・指導の実績がある薬局が処方箋受付1回ごとに算定できる加算である。具体的な算定要件(在宅患者数の基準等)は告示・通知で確認されたい。なお、加算2はさらに高い実績要件と引き換えに100点(単一建物1人)または50点(その他)が設定されている。詳細は調剤報酬改定2026年の解説記事の在宅医療セクションを参照。

A

調剤基本料2(30点)・3イ(25点)・3ロ(20点)の薬局は、基本料の増加幅が+1点(本記事の前提は+2点)になるため、月間収入の増加が半分になる。月間1,000枚の場合、基本料の増収は月1万円(本記事の前提は月2万円)になる。また、地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定区分が加算4(37点)・加算5(59点)になる点も異なる。

A

可能性がある。改定率は令和8年度+2.41%・令和9年度+3.77%の2段階構造であり、2027年6月にも追加の点数変更が予定される可能性がある。本記事のシミュレーションは令和8年度改定分のみを反映しているため、令和9年度分の変更が公表された時点で再試算が必要になる。


免責事項

本記事は2026年3月時点での答申内容・公表資料に基づいて作成したシミュレーションです。記載の点数・計算結果は一般的な処方構成を前提とした概算であり、実際の影響額は各薬局の処方箋構成・加算算定状況により異なります。告示・通知の公布後に算定要件や施設基準の詳細が変更される場合があります。正式な施行内容は厚生労働省の告示・通知を必ずご確認ください。本記事の内容に基づく経営判断により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます。


参考資料・一次情報

本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。