ものづくり補助金2026は、中小企業・小規模事業者の革新的な製品・サービス開発や設備投資を支援する補助金です。現行(第23次公募)は「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠体制です。補助上限は従業員数に応じて異なり、高付加価値化枠は最大2,500万円(大幅賃上げ特例適用時は最大3,500万円)、グローバル枠は一律3,000万円(大幅賃上げ特例適用時は最大4,000万円)です。補助率は原則1/2、小規模事業者・最低賃金引上げ特例適用事業者は2/3に引き上げられます。
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業庁が所管する補助金で、2013年度から毎年継続されています。「設備投資をしたいが資金が足りない」という中小企業にとって、最も活用実績の多い補助金の一つです。
本記事は2026年5月時点で公開されている第23次公募要領(2026年2月6日公開)等を基に作成しています。最新の補助上限・補助率・申請期間は公式サイト(ものづくり補助金総合サイト:portal.monodukuri-hojo.jp、中小企業庁:chusho.meti.go.jp)で必ずご確認ください。
2026年版ものづくり補助金の主要変更点(第23次公募)
第23次公募(2026年2月6日公募要領公開)では、過去回からの大きな制度見直しが行われました。
1. 申請枠は2枠体制に整理
従来存在した「通常枠」「グリーン枠」「省力化(オーダーメイド)枠」「サプライチェーン強靭化枠」「DX枠」等は既に整理・統合されており、現行は次の2枠のみです。
- 製品・サービス高付加価値化枠:革新的な製品・サービス開発のための設備投資が中心
- グローバル枠:海外展開(直接投資・輸出・インバウンド対応・海外企業との共同事業)に取り組む事業者向け
省力化投資については、別制度の「中小企業省力化投資補助金」へ移行しています(ものづくり補助金内の省力化枠は廃止)。
2. 賃上げが「加点項目」から「基本要件」へ
第23次から、賃上げは採択を有利にする加点項目ではなく、応募の前提となる必須要件に変更されました。基本要件として、3〜5年の事業計画期間において以下を満たす必要があります。
- 事業者全体の付加価値額:年平均成長率3.0%以上
- 従業員(非常勤含む)1人あたり給与支給総額:年平均成長率3.5%以上
- 事業場内最低賃金:事業実施都道府県の最低賃金+30円以上
なお、第23次より「給与支給総額(総枠)」での判定は廃止され、「1人あたり」での判定に一本化されました。役員報酬は賃上げ対象から除外されています。
3. 最低賃金引上げ特例による補助率2/3
第21次以降、最低賃金引上げに取り組む事業者には補助率を1/2→2/3に引き上げる特例が設定されています。第23次でも継続されています。
4. 「新事業進出補助金」との統合方針
2026年度内に、ものづくり補助金と新事業進出補助金を制度的に一体化する方針が示されています。第24次以降の公募ではさらに制度設計が変更される可能性があるため、最新動向は公式サイトで確認してください。
申請枠と補助上限・補助率(第23次公募)
2,500万円
3,000万円
100万円
1/2
年率3.5%以上
製品・サービス高付加価値化枠
革新的な製品・サービス開発のための設備投資が中心となる、ものづくり補助金の主軸枠です。補助上限は従業員数に応じて段階的に引き上げられます(出典:第23次公募要領概要版 p.5)。
| 従業員規模 | 補助上限額(基本) |
|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 |
大幅な賃上げに取り組む事業者特例:補助上限額を100〜1,000万円上乗せ(最大で51人以上の場合:2,500万円+1,000万円=最大3,500万円)。
補助下限は規模に関係なく100万円。補助率は原則1/2、小規模事業者・再生事業者・最低賃金引上げ特例適用事業者は2/3。
グローバル枠
海外展開(海外への直接投資、輸出市場開拓、インバウンド対応、海外企業との共同事業)を行う事業者向け。補助上限は100万円〜3,000万円で、従業員数に依存せず一律である点が高付加価値化枠との違いです(出典:第23次公募要領概要版 p.5)。大幅な賃上げに取り組む事業者特例で100〜1,000万円上乗せとなり、グローバル枠では最大4,000万円(3,000万円+1,000万円)となります。
グローバル枠の追加要件として、海外事業の実現可能性調査(FS)の実施、社内の海外事業専門人材の保有、または海外事業に関する外部専門家との連携が求められます。
小規模事業者の定義(補助率2/3適用判定)
| 業種 | 従業員数 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他 | 20名以下 |
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5名以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20名以下 |
業種により異なるため、自社の業種コード(日本標準産業分類)を確認のうえ判定してください。
最低賃金引上げ特例(補助率1/2→2/3)
地域別最低賃金以上〜2025年度改定後の最低賃金未満の賃金で雇用している従業員が、全従業員の30%以上となる月が3か月以上ある事業者が対象。詳細要件は公募要領で確認してください。
対象経費
ものづくり補助金で補助対象となる経費の範囲は比較的広く設定されています(第23次公募要領ベース)。
| 経費区分 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費(必須) | 製造設備、生産ラインの自動化機器、業務システム | 主要経費。必ず計上が必要 |
| 技術導入費 | 特許権・知的財産権の使用料 | 補助対象経費の1/3以内等の上限あり |
| 専門家経費 | コンサルタント・専門家への委託料 | 上限あり |
| 運搬費 | 設備の搬入・設置費用 | 実費精算 |
| クラウドサービス利用費 | SaaS・クラウドシステムの利用料 | 補助事業期間中の利用分が対象 |
| 原材料費 | 試作品製造のための材料費 | 試作開発に限定 |
| 外注費 | 設計・製造・加工の一部外注 | 補助対象経費の1/2以内等の制限あり |
| 知的財産権等関連経費 | 特許申請費用等 | 補助金成果の権利化に限定 |
グローバル枠で追加対象となる経費(海外市場開拓事業の場合):
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費
- 広告宣伝・販売促進費
補助対象外の主な経費:
- 土地・建物の取得費
- 汎用性が高い機器(パソコン、スマートフォン、タブレット等)の単体購入
- 消耗品費
- 人件費(原則対象外)
- 中古品(一定要件下で対象となるケースあり、要公募要領確認)
採択されやすい事業計画書のポイント(3つ)
ものづくり補助金は審査制です。第21次の採択率は34.1%(638件/1,872件)、第20次は33.6%(825件/2,453件)と公表されており、近年は概ね30〜40%台で推移しています。書類の質が採択を左右します。
ポイント①:「革新性」を具体的に示す
ものづくり補助金は「革新的な」製品・サービス開発が対象です。「単なる設備の更新」では採択されにくく、「既存設備では実現できなかった何か」を明確に示す必要があります。
よい例:「新型CNC加工機の導入により、従来比精度±0.01mmが±0.003mmに向上し、航空宇宙部品市場への参入が可能になる」
悪い例:「老朽化した設備を更新して生産効率を上げる」
ポイント②:数値目標を具体的に設定する
審査委員は事業計画書の数字を見て採択可否を判断します。第23次基本要件に対応する数値目標は、根拠とともに具体的に記載してください。
- 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費):年平均3.0%以上で増加
- 従業員1人あたり給与支給総額:年平均3.5%以上で増加(第23次から必須・「総額」判定廃止)
- 事業場内最低賃金:事業実施都道府県の最低賃金+30円以上
- 売上高・粗利益の増加見込み(投資の費用対効果を示す根拠)
ポイント③:賃上げ計画と財務計画を整合させる
第23次から賃上げは「加点項目」ではなく「基本要件」となりました。事業計画書において設備投資による生産性向上→1人当たり給与の引き上げ実現というストーリーを、財務計画と整合させて記載することが必須です。
「補助事業により付加価値が向上し、1人当たり給与を年率3.5%以上引き上げる計画」という記述を、人件費見込み・売上計画と矛盾なく示しましょう。
申請スケジュールと公募期間
ものづくり補助金は通年で複数回の公募が実施されます。
現行(第23次公募)スケジュール:
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 公募要領公開 | 2026年2月6日(金) |
| 電子申請受付開始 | 2026年4月3日(金) |
| 申請締切 | 2026年5月8日(金)17:00(厳守) |
| 採択結果発表予定 | 2026年8月上旬(公式予定) |
第24次以降: 第23次採択発表後(2026年夏以降)に開始見込み。ただし「新事業進出補助金」との統合方針があるため、制度設計が変わる可能性があります。最新情報は公式サイトで確認してください。
重要:交付決定前に設備の発注・契約・支払いをした場合、補助対象外になります。
FAQ
Q: 製造業以外でもものづくり補助金を申請できますか?
A: 申請できます。名称に「ものづくり」と入っていますが、中小企業・小規模事業者であれば製造業に限らず、サービス業・IT業・飲食業・小売業なども対象です。ただし、「革新的な製品・サービスの開発」につながる取り組みであることが必要です。例えば、飲食店が自動調理設備を導入して新メニューを開発するケースや、サービス業が業務自動化システムを構築するケースでも採択実績があります。なお、純粋な省力化投資のみを目的とする場合は、別制度の「中小企業省力化投資補助金」の利用も検討してください。
Q: 設備の購入後に申請することはできますか?
A: できません。ものづくり補助金は「交付決定後に行う事業」が対象です。申請前・交付決定前に購入・契約した設備は補助対象外です。「設備を先に買ってから補助金で取り戻そう」という考え方は根本的に誤りです。必ず「申請→採択→交付決定→発注・購入」の順序を守ってください。
Q: 採択率はどのくらいですか? 不採択になった場合は再申請できますか?
A: 公式公表値で、第21次公募の採択率は34.1%(638件/1,872件)、第20次公募は33.6%(825件/2,453件)でした。近年は概ね30〜40%台で推移しています。不採択になった場合、次回の公募で再申請することは可能です。再申請の際は審査員のコメント(不採択通知に含まれる場合あり)を参考に、事業計画書を改善することをおすすめします。また、中小企業診断士などの専門家にサポートを依頼すると採択率が向上するケースがあります。
Q: 補助金を受けた後に何か義務はありますか?
A: あります。補助事業完了後、一定期間(通常5年間)にわたり「事業化状況・知的財産権の取得状況」等を毎年報告する義務があります。また、補助事業で取得した設備等の処分(売却・廃棄等)には事前承認が必要です。さらに、補助事業の成果が想定以上の収益を生んだ場合、補助金の一部返還を求められる「収益納付」制度があります。賃上げ要件(1人当り年率3.5%)も事業計画期間にわたり履行する必要があり、未達成の場合は補助金返還を求められるケースがあります。
Q: 「通常枠」「グリーン枠」はもうないのですか?
A: はい、現行の第23次公募では「通常枠」「グリーン枠」「省力化(オーダーメイド)枠」「サプライチェーン強靭化枠」「DX枠」等は整理・統合されており、申請枠は「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠のみです。省力化投資については別制度の「中小企業省力化投資補助金」へ移行しています。古い情報を掲載しているサイトもあるため、必ず公式の最新公募要領を確認してください。
まとめ
ものづくり補助金は、設備投資を検討している中小企業にとって最大規模の補助金制度の一つです。第23次公募から賃上げ要件の必須化・1人当り判定への一本化など重要な見直しが行われており、申請にあたっては最新の公募要領を必ず確認することが不可欠です。準備期間が長くかかる補助金のため、「設備投資の予定がある」と決まった時点で申請準備を始めることが重要です。
申請準備チェックリスト:
- [ ] GビズIDプライムを取得済み(未取得なら今すぐ申請、取得に2〜3週間)
- [ ] 投資する設備・システムの仕様と見積もりを取得
- [ ] 申請枠を決定(高付加価値化枠/グローバル枠)
- [ ] 付加価値額の向上目標(年率3.0%以上)を数値で設定
- [ ] 1人当り給与支給総額の引き上げ計画(年率3.5%以上)を財務計画と整合
- [ ] 事業場内最低賃金が「事業実施都道府県の最低賃金+30円以上」をクリアするか確認
- [ ] 中小企業診断士等の専門家への相談を検討
2026年度の公募スケジュール・補助上限・申請要件・新事業進出補助金との統合動向は、公式サイト(ものづくり補助金総合サイト・中小企業庁)で必ず最新情報をご確認ください。
一次ソース: 本記事の補助上限額・特例上乗せ額は「ものづくり補助金 第23次公募要領概要版(2026年2月9日公開)p.5」を一次情報源として掲載しています。
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