「ものづくり補助金」は再編され、2026年6月29日から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募が実施されています。申請枠は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つに拡大。補助上限は従業員規模・枠に応じて最大2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例適用時は最大3,500万円〜9,000万円)です。補助率は枠によって異なり、革新的新製品・サービス枠は原則1/2(小規模企業・小規模事業者・再生事業者は2/3)、新事業進出枠は小規模事業者を含めて原則1/2、グローバル枠は一律2/3です。申請締切は2026年10月30日(金)18:00厳守で、現在も受付期間中です。電子申請の受付は9月30日18時に始まっており、申請にはGビズIDプライムが必須です。
「ものづくり補助金」の名称で長年親しまれてきたこの補助金(旧名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、2026年6月末に「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へと再編されました。実施主体も独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構/SMRJ)に変わり、特設サイト(shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp)が新設されています。「前に調べたときと枠の名前が違う」「上限額が変わっている」と感じた方は、この再編が原因です。
本記事は2026年10月5日時点で公開されている第1回公募要領(2026年9月28日改定版・1.3版)等を基に作成しています。公募要領は6月29日の公開後、7月17日・8月14日・9月28日と3回改定されているため、申請前に必ず最新版を特設サイト(shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp)・中小企業庁(chusho.meti.go.jp)でご確認ください。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金2026年版の主要変更点(第1回公募)
1. 名称・実施主体が変わった
旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(中小企業庁所管)から、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ再編。実施は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が担います。
2. 申請枠が2枠から3枠に拡大
旧制度の「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠体制から、次の3枠に再編されました。
- 革新的新製品・サービス枠:革新的な新製品・新サービス開発の設備投資が中心(旧・高付加価値化枠に近い性格)
- 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する新設枠
- グローバル枠:海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化を支援
3. 付加価値額要件が3.0%から4.0%に引き上げ
基本要件のうち、事業計画期間における付加価値額の年平均成長率が3.0%以上→4.0%以上に引き上げられました。賃上げ要件(1人当たり給与支給総額 年平均3.5%以上)は据え置きです。
4. 補助下限額が枠によって異なる
旧制度は枠を問わず補助下限額100万円でしたが、新制度では革新的新製品・サービス枠が100万円、新事業進出枠・グローバル枠は750万円と、枠によって下限額が違います。新事業進出枠・グローバル枠は小規模な投資では申請できない点に注意が必要です。
3つの申請枠と補助上限・補助率(第1回公募)
2,500万円
7,000万円
2/3
100万円
750万円
年4.0%以上
革新的新製品・サービス枠
革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援する枠です。既存の製品・サービスの生産プロセスの改善・向上のみを図る事業は対象外で、単に機械装置・システム等を導入するにとどまり新製品・新サービスの開発を伴わないものも対象になりません。省力化のみを目的とした投資を検討している場合は、この枠ではなく中小企業省力化投資補助金2026ガイドの対象になるかを確認してください。
| 従業員規模 | 補助上限額(基本) | 賃上げ特例適用時 |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
- 補助下限額:100万円
- 補助率:中小企業者 1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時 2/3)/小規模企業・小規模事業者、再生事業者 2/3
- 補助事業実施期間:交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)
- 補助対象経費:機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費(建物費は対象外)
新事業進出枠(新設)
既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する、今回新設された枠です。要件は①製品等が申請者にとって新規性を有すること、②その製品等が属する市場が申請者にとって新たな市場であること。ここでいう新規性は「日本初・世界初」である必要はなく、あくまで申請者自身にとっての新規性でよい点がポイントです。新分野への進出を支援する制度としては事業再構築補助金2026|業態転換・新規事業参入ガイドもあり、要件や補助率が異なるため自社の事業計画に合わせて使い分けを検討してください。
| 従業員規模 | 補助上限額(基本) | 賃上げ特例適用時 |
|---|---|---|
| 1〜20人 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
| 51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
- 補助下限額:750万円(革新的新製品・サービス枠の100万円と異なるため要注意)
- 補助率:中小企業者(小規模企業・小規模事業者、再生事業者を含む)1/2(特例適用時 2/3)
- 補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)
- 補助対象経費:革新的新製品・サービス枠の対象経費に加えて建物費を含む
グローバル枠
海外市場開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制強化の取組を支援する枠です。取引先に主導された事業は「自発的な取組」とは言えず対象外とされる点に注意してください。補助上限額・補助下限額(750万円)・実施期間は新事業進出枠と同一で、違いは次の2点です。
- 補助率が一律2/3(中小企業者・小規模企業・再生事業者の区別なく)
- 補助対象経費に海外旅費・通訳翻訳費が加わる(建物費は新事業進出枠と同じく対象)
基本要件は5つ(付加価値額要件は3.0%→4.0%に引き上げ)
3枠共通の基本要件は次の5つです。このうち(1)〜(3)は事業計画期間(補助事業終了後3〜5年)で達成する数値目標、(4)(5)は申請までに済ませておく手続きという違いがあります。
| 要件 | 内容 | 旧制度(第23次)との差 |
|---|---|---|
| (1) 付加価値額要件 | 付加価値額の年平均成長率 4.0%以上 | 3.0%→4.0%に引き上げ |
| (2) 賃上げ要件 | 従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上 | 据え置き |
| (3) 事業場内最賃水準要件 | 毎年、事業場内最低賃金が事業実施都道府県の地域別最低賃金より +30円以上 | 据え置き |
| (4) ワークライフバランス要件 | 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」に公表していること | — |
| (5) 子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件 | 後述の(ア)〜(ウ)から1つ選んで取り組むこと | — |
付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算し、年平均成長率は複利(CAGR)で判定します。(2)(3)の要件を達成できなかった場合、補助金の返還義務が生じるため、事業計画書の数値目標は保守的に見積もらず、根拠のある実現可能な水準で設定してください。
このほか、補助事業の実施にあたって金融機関から資金提供を受ける場合のみ、(6)金融機関要件として資金提供元の金融機関から事業計画の確認を受け「金融機関による確認書」を提出する必要があります。自己資金のみで実施する場合は提出不要です。金融機関は事業所の所在地域にある必要はありません。
(4) 一般事業主行動計画の公表には1〜2週間かかる — 締切から逆算すること
見落とすと申請できなくなる要件です。 次世代法第12条に基づく一般事業主行動計画を策定し、申請までに厚生労働省の情報サイト「両立支援のひろば」へ公表しておく必要があります。申請締切日時点で有効な計画であることが条件です。
公募要領は掲載に1〜2週間程度かかると明記しており、さらに「公表申請の審査過程で不備が発覚する場合もありますので、2週間以上の余裕をもって公表申請を行ってください」と注意しています。「両立支援のひろば」では審査状況の問い合わせを受け付けておらず、問い合わせても手続きを早めることはできません。公表手続きの遅れを理由とした申請期限の延長は一切認められません。
策定・公表した行動計画は、可能な限り管轄の都道府県労働局へ届け出ることも求められています。
(5) 子育て等に関する職場環境整備 — 3つから1つ選ぶ
次の(ア)〜(ウ)から1つを選んで取り組み、具体的な内容を応募申請時に事業計画へ記載します。(4)の一般事業主行動計画の内容にとどまらない「追加的な取り組み」であることの説明が求められ、実績報告時には取り組んだことの証憑提出が必要です。
- (ア)ライフデザインサービスの活用:若手従業員が使えることを目的に、ライフプラン表・中長期の家計表の作成を伴うサービスや、家計・保険・住宅ローン・資産運用・老後資金の相談に助言を行うサービスを活用する(FP、IFA、銀行・証券会社・保険会社などが提供)
- (イ)家事代行サービス・ベビーシッターサービスの活用:社員の育児等の支援が目的。対象は公募要領が指定する認証事業者一覧に掲載された事業者のサービスに限られる
- (ウ)既存制度の周知・普及・啓発:産前産後休業、育児休業、育休取得者の職場復帰時支援、所定外労働の制限・削減、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、年次有給休暇、女性労働者の就業継続やキャリア形成の支援などを従業員へ周知する
「プラチナくるみん認定」「くるみん認定」「トライくるみん認定」のいずれかを取得している事業者は、この(5)の要件が免除されます。
補助上限・補助率を引き上げる2つの特例
賃上げ特例(補助上限額の引き上げ)
一人当たり給与支給総額の年平均成長率を基準値にさらに+2.5%(合計6.0%以上)、事業場内最低賃金を基準値にさらに+20円(合計+50円以上)とすることで、各枠の補助上限額が上表の「賃上げ特例適用時」欄まで引き上がります。ただし、各申請枠の補助上限額に達しない小規模な投資では適用できません。また、革新的新製品・サービス枠で後述の地域別最低賃金引上げ特例を申請する事業者、および革新的新製品・サービス枠・グローバル枠で申請する再生事業者は、この賃上げ特例を併用できません。
地域別最低賃金引上げ特例(補助率1/2→2/3)
2024年10月から2025年9月までの間で、当該期間の地域別最低賃金以上〜2025年度改定後の地域別最低賃金未満の賃金で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある事業者が対象です。この特例を適用する場合、基本要件のうち(3)事業場内最賃水準要件は除外されます。なお、革新的新製品・サービス枠の小規模企業者・小規模事業者・再生事業者、およびグローバル枠の事業者は、もともと補助率が2/3のためこの特例の対象外です。
対象経費・対象外経費
3枠共通の主な補助対象経費は、機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。これに加えて、新事業進出枠とグローバル枠では「建物費」が対象になり、グローバル枠ではさらに海外旅費・通訳翻訳費が対象に加わります。逆に、革新的新製品・サービス枠だけは建物費が対象外です。建物を伴う投資を考えている場合は、この差が枠選びの分かれ目になります。システム構築費が中心の投資であれば、要件が簡易なデジタル化・AI導入補助金2026|会計・販売管理ツールに最大450万円のほうが使いやすいケースもあります。
対象外経費のうち、読者がつまずきやすいもの:
- 汎用性があり目的外使用になり得るもの:事務用パソコン、プリンタ、文書作成ソフト、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機、カメラ、書籍、家具家電等の購入費・レンタル費
- 自動車等車両・船舶・航空機:購入費、修理費、車検費用、内装費
- 不動産関連:不動産の購入費、構築物の購入費(建物費に付随するものを除く)、簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)の購入費
- 再生可能エネルギーの発電設備:太陽光パネル等。FIT・FIPで売電している場合は関連費用が一切対象外
- 自社の人件費(グローバル枠の海外旅費を除く旅費も対象外)
- 既存事業に活用・共用される経費、事務所の家賃・保証金・敷金・仲介手数料・水道光熱費
- フランチャイズ加盟料、金券、消耗品、接待費、公租公課、各種保険料、支払利息
- 中古品のうち中古市場で広く流通しておらず価格設定の適正性が明確でないもの(3者以上の古物商許可事業者から型式・年式入りの相見積もりを取得している場合等を除く)
実務上の実額ルール:補助対象となる機械装置等は単価10万円(税抜)以上。100万円(税抜)以上のシステム構築費を計上する場合は実績報告時に「要件定義書(費用見積書を含む)または開発費用算出資料」の提出が必要で、100万円(税抜)以上のウェブサイト構築費では「開発費用算出資料」の提出が必要です(ウェブサイト構築費に要件定義書という選択肢はありません)。開発費用算出資料とは、作業単価・作業工数・作業時間・固定費用・作業担当者・作業担当者勤務記録等を示す資料を指します。専門家経費の日額上限は大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師で5万円、准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネータで4万円、それ以外は2万円。1件あたり見積額の合計が50万円(税抜)以上になる場合は3者以上の相見積もりが必要です。
旧制度(ものづくり補助金 第23次)との変更点比較
| 項目 | 旧制度(第23次公募) | 新制度(第1回公募) |
|---|---|---|
| 名称 | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
| 申請枠数 | 2枠(高付加価値化枠/グローバル枠) | 3枠(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠) |
| 付加価値額要件 | 年平均3.0%以上 | 年平均4.0%以上 |
| 賃上げ要件(1人当たり) | 年平均3.5%以上 | 年平均3.5%以上(据え置き) |
| 補助下限額 | 一律100万円 | 枠により異なる(革新枠100万円/新事業進出枠・グローバル枠750万円) |
| 申請締切 | 2026年5月8日17:00(終了) | 2026年10月30日18:00 |
| 採択発表 | 2026年8月7日(発表済み・採択率35.1%) | 2027年1月頃(予定) |
申請スケジュールと今すぐやるべきこと
第1回公募は2026年6月29日に開始され、2026年10月30日(金)18:00の申請締切まで受付中です。申請は本補助金の専用電子申請システムでのみ受け付けられ、GビズIDプライムアカウントの取得が必須です。旧ものづくり補助金とは別の新しいシステムになるため、過去に申請経験がある方も操作マニュアルを確認してください。
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年6月29日(月) |
| 電子申請受付開始 | 2026年9月30日(水) |
| 申請締切 | 2026年10月30日(金)18:00厳守 |
| 採択発表 | 2027年1月頃(予定) |
同一事業者の応募は1回の公募につき1申請までです。親会社が議決権の50%超を持つ子会社は「みなし同一事業者」として合わせて1申請として扱われます。また、交付決定日より前に契約・発注した経費は補助対象外になるため、採択後に順序を誤らないよう注意してください。
重要:交付決定前に設備の発注・契約・支払いをした場合、補助対象外になります。
過去にものづくり補助金を受けた事業者は申請できるのか
第1回公募要領には、旧・第23次公募からの経過措置は置かれていません。既存の受給者を特別扱いする規定はなく、過去の受給歴は「そもそも申請できない(補助対象外)」か「申請はできるが減点される」のどちらかとして扱われます。過去に採択された経験がある事業者は、枠を選ぶ前にまずここを確認してください。
① そもそも申請できないケース(補助対象外)
直近に採択された事業者は、申請そのものができません。 公募要領「1-4-2. 補助対象外となる事業者」の1番目に、次の規定があります。
本補助金の申請締切日を起点にして16か月以内に以下の補助金の補助金交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)、又は申請締切日時点において以下の補助金の交付決定を受けて補助事業実施中の事業者。
対象となる補助金は次の4つです。
- 中小企業等事業再構築促進補助金(事業再構築補助金)
- 中小企業新事業進出促進補助金(新事業進出補助金)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(本補助金)
第1回公募の申請締切は2026年10月30日ですから、2025年6月30日ごろ以降に採択された事業者は対象外という計算になります。旧ものづくり補助金でいえば、第19次(2025年7月28日発表)以降に採択された事業者は該当する可能性が高いということです。直近の第23次(2026年8月7日発表)で採択された事業者は、締切まで約3か月しか経っていないため確実に該当します。
もう1つ、回数による対象外規定があります。 公募要領「1-4-2」の30番目に、次の規定があります。
応募申請日を起点にして過去3年間に「事業再構築補助金」、「新事業進出補助金」又は「ものづくり補助金」の交付決定を合計で2回以上受けた事業者
つまり過去3年以内に交付決定を2回以上受けていると、16か月ルールに関係なく申請できません。1回だけなら申請はできますが、後述のとおり審査で減点されます。回数の数え方は3つの補助金を通算する点に注意してください。
採択された後にこれらへの該当が判明した場合、採択または交付決定が取り消されます。 「不利になるだけ」ではなく「出しても取り消される」規定なので、心当たりがある場合は事業計画の作成に着手する前に確認してください。
なお、複数の補助金に同時期に応募すること自体は可能です。ただし複数で採択された場合は、交付を受ける補助金を1つだけ選んで交付申請する必要があります。選ばずに複数で交付決定を受けて補助金を受領していたことが発覚すると、交付決定日が遅いほうが取り消され、返還を求められます。
② 申請はできるが減点されるケース
上記の対象外に当たらない場合でも、過去の受給歴・実績は審査で減点されます。
| 減点されるケース | 内容 |
|---|---|
| 補助金を1回使っている | 申請締切日時点を起点として、過去3年間にものづくり補助金または新事業進出補助金で交付決定を1回受けている事業者(2回以上なら上記のとおり対象外) |
| 前回の事業化が進んでいない | 新事業進出補助金・事業再構築補助金・ものづくり補助金を過去に受給し、直近の事業化状況報告の事業化段階が3段階以下の場合 |
| 前回の賃上げ加点が未達だった | 中小企業庁所管の補助金で賃上げの加点を受けて採択されたのに要件を達成できなかった場合、未達が報告されてから18か月間は正当な理由がない限り大幅に減点。対象はものづくり・IT導入・デジタル化AI導入・持続化・事業承継M&A・成長加速化・事業再構築・省力化投資・Go-Techの9制度 |
| 前回の基本要件が未達だった | ものづくり補助金または新事業進出補助金の第1回公募以降に交付決定を受け、賃上げ要件・事業場内最賃水準要件を達成できなかった事業者 |
| 同種の投資が集中している | 特定の期間に類似のテーマ・設備等の申請が集中している場合は別途審査が行われ、過剰投資と判断されると大幅に減点 |
なお、賃上げ加点の未達による減点には例外があります。震災・風水害・落雷・火災その他の災害等(国税通則法第46条に準ずる場合)でやむを得ず未達となったときは、事業化状況報告の提出時に理由を説明することで減点が免除されます。
口頭審査は「早く出した人から」日程を選べる
一定の審査基準を満たした事業者に対して、必要に応じて口頭審査が行われます。ここに締切間際の申請が不利になる仕組みがあります。
- 受験日時の予約案内は、電子申請が完了した事業者から随時送られる
- 予約は先着順。締切間際に申請すると、選べる日時が限定される。空きがなくても個別相談は受け付けられない
- 対象になったにもかかわらず受験しなかった場合は不採択
つまり「10月30日18:00に間に合えばよい」ではなく、電子申請の受付開始(9月30日)後、できるだけ早く提出したほうが有利な設計です。
口頭審査の所要時間・機材の条件・誰が対応できるのか(コンサルタントの同席は認められません)といった実施要領と、書面審査の9つの観点・加点17項目については、本補助金の審査対策|書面審査9観点・加点17項目・口頭審査の実際で詳しく解説しています。
申請の落とし穴(見落としやすい7つのポイント)
落とし穴①:直近に他の補助金で採択されていて、そもそも申請できない
前章のとおり、申請締切日から起算して16か月以内にものづくり補助金・新事業進出補助金・事業再構築補助金・本補助金のいずれかで採択された事業者は補助対象外です。事業計画書の作成にかける労力がすべて無駄になるうえ、気づかずに提出して採択された場合は後から取り消されます。 過去の採択歴は最初に確認してください。
落とし穴②:補助下限額が枠によって違う
新事業進出枠・グローバル枠は補助下限額が750万円と、革新的新製品・サービス枠(100万円)より大幅に高く設定されています。交付決定額の減額により補助金額が下限額を下回った場合は採択取消となるため、小規模な投資を新事業進出枠・グローバル枠で申請すると想定外のリスクを負うことになります。
落とし穴③:一般事業主行動計画の公表が間に合わない
基本要件(4)は、次世代法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表しておくことです。公表手続きに1〜2週間かかり、公募要領は不備の発覚を見込んで「2週間以上の余裕をもって」と求めています。 審査状況の問い合わせは受け付けられず、催促もできません。手続きの遅れを理由とした申請期限の延長は一切認められないため、事業計画書より先に着手すべき項目です。
落とし穴④:GビズIDの審査期間を読み違える/有効期限が切れている
GビズIDは2026年7月9日に取扱いが変わりました。法人代表者によるオンライン申請は24時間365日、速やかに審査されるようになった一方、書類申請の審査期間は従来の最大2週間から最大1か月に延びています。書類申請を選ぶと締切に間に合わない可能性があるため、オンライン申請が使えるかを先に確認してください。不備があっても提出書類は返送されず、マイページとメールで通知される点にも注意が必要です。
さらに、同じ2026年7月9日からGビズIDプライム・メンバーに有効期限が設定されました。過去に取得済みの事業者でも期限が切れているとログインできません。マイページで有効期限を確認し、必要なら更新しておいてください。加えて、口頭審査の日程は電子申請を完了した順の先着で埋まるため、締切ぎりぎりの提出は日程選択の面でも不利になります。
落とし穴⑤:汎用性の高い機器は原則対象外と誤解する/気づかない
事務用パソコン、スマートフォン、タブレット等は「業務に使うから」という理由だけでは補助対象になりません。目的外使用になり得る汎用品として原則対象外とされています。
落とし穴⑥:交付決定前に設備を発注してしまう
「採択されたのだから」と交付決定通知を待たずに発注・契約すると、その経費は補助対象外になります。必ず交付決定通知を受けてから動いてください。
落とし穴⑦:革新的新製品・サービス枠を単なる設備更新で申請する
既存の製品・サービスの生産プロセスの改善・向上のみを図る事業や、新製品・新サービス開発を伴わない機械装置・システム等の導入は、革新的新製品・サービス枠の対象外です。「新しい製品・サービスを生み出すための投資か」を事業計画書で明確に説明する必要があります。
FAQ
Q: 申請締切はいつですか? 今から準備しても間に合いますか?
A: 第1回公募の申請締切は2026年10月30日(金)18:00厳守です。電子申請の受付は2026年9月30日18時に始まっており、本記事執筆時点(2026年10月5日)で受付中です。申請に必須のGビズIDプライムは、法人代表者のオンライン申請なら速やかに審査されますが、書類申請だと最大1か月かかるため、未取得で書類申請を選ぶと締切に間に合わないおそれがあります。すでに取得済みの場合も、2026年7月9日から有効期限が設定されたため、期限切れになっていないかマイページで確認が必要です。
Q: 「高付加価値化枠」はどうなったのですか?
A: 旧制度の「製品・サービス高付加価値化枠」は、新制度では性格の近い「革新的新製品・サービス枠」に再編されています。加えて、既存事業とは異なる新市場への進出を支援する「新事業進出枠」が新設され、申請枠は2枠から3枠に拡大しました。「グローバル枠」は名称を維持したまま存続しています。
Q: 以前ものづくり補助金に採択されましたが、また申請できますか?
A: 申請できないケースが2つあります。①申請締切日(2026年10月30日)から起算して16か月以内に採択された場合、②応募申請日から過去3年以内に交付決定を合計2回以上受けている場合は、いずれも補助対象外です。対象となるのはものづくり補助金・新事業進出補助金・事業再構築補助金・本補助金で、締切日時点でこれらの交付決定を受けて補助事業を実施中の場合も①に含まれます(採択を辞退した場合は除きます)。旧ものづくり補助金でいえば第19次(2025年7月28日発表)以降の採択者が①に該当する可能性が高く、直近の第23次(2026年8月7日発表)の採択者は確実に該当します。採択後に判明した場合は採択・交付決定が取り消されるため、事業計画の作成前に確認してください。どちらにも当たらず過去3年以内の交付決定が1回だけであれば申請はできますが、審査では減点されます。
Q: 補助下限額は枠に関係なく共通ですか?
A: いいえ、枠によって異なります。革新的新製品・サービス枠は100万円、新事業進出枠・グローバル枠は750万円です。旧制度は枠を問わず一律100万円だったため、特に新事業進出枠・グローバル枠での申請を検討している場合は、投資額がこの下限を満たすか事前に確認してください。
Q: 採択率はどのくらいですか?
A: 第1回公募の採択発表は2027年1月頃の予定であり、本記事執筆時点では採択率は公表されていません。参考情報として、再編前の旧制度(ものづくり補助金)の直近3回の実績は、第23次(旧制度の最終回)が35.1%(448件/1,275件)、第22次が37.5%(582件/1,552件)、第21次が34.1%(638件/1,872件)でした。ただし新制度は申請枠・補助上限・基本要件が大きく変わっており、申請者数の規模も読めないため、旧制度と同水準になる保証はありません。
Q: 補助金を受けた後に何か義務はありますか?
A: あります。補助事業完了後、一定期間(通常5年間)にわたり事業化状況・知的財産権の取得状況等を毎年報告する義務があります。補助事業で取得した設備等の処分(売却・廃棄等)には事前承認が必要です。さらに、補助事業の成果が想定以上の収益を生んだ場合、補助金の一部返還を求められる「収益納付」制度があります。基本要件(付加価値額年4.0%以上、賃上げ年3.5%以上、事業場内最賃+30円以上)についても、賃上げ要件・最賃要件が事業計画期間中に未達成の場合は補助金返還を求められることがあります。
まとめ
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、旧ものづくり補助金の再編によって生まれた新制度で、第1回公募は2026年10月30日18:00の締切まで受付中です。申請枠が3つに増え、付加価値額要件も4.0%に引き上がるなど変更点が多いため、旧制度の情報のまま準備を進めないことが重要です。準備期間が長くかかる補助金のため、「設備投資や新事業進出の予定がある」と決まった時点で申請準備を始めましょう。
申請準備チェックリスト:
- [ ] 過去16か月以内にものづくり補助金・新事業進出補助金・事業再構築補助金・本補助金で採択されていない(該当すると補助対象外)
- [ ] 過去3年以内に上記3補助金の交付決定を合計2回以上受けていない(該当すると補助対象外)
- [ ] 一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」に公表済み(掲載に1〜2週間。2週間以上の余裕をもって申請)
- [ ] 子育て等に関する職場環境整備の取り組み(ア)〜(ウ)から1つを決めた(くるみん認定取得済みなら免除)
- [ ] GビズIDプライムを取得済み・有効期限内(書類申請は審査に最大1か月かかる)
- [ ] 3つの申請枠(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠)のどれに該当するかを確認
- [ ] 投資する設備・システムの仕様と見積もりを取得(50万円以上は3者以上の相見積もり)
- [ ] 申請枠に応じた補助下限額(100万円または750万円)を投資額が満たすか確認
- [ ] 付加価値額の向上目標(年率4.0%以上)を数値で設定
- [ ] 1人当たり給与支給総額の引き上げ計画(年率3.5%以上)を財務計画と整合
- [ ] 事業場内最低賃金が「事業実施都道府県の最低賃金+30円以上」をクリアするか確認
- [ ] 中小企業診断士等の専門家への相談を検討
2026年度の公募スケジュール・補助上限・申請要件の最新情報は、公式サイト(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金特設サイト・中小企業庁)で必ずご確認ください。
一次ソース: 本記事の申請枠構成・補助上限額・補助率・基本要件・スケジュールは「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(2026年9月28日改定版・1.3版)」を一次情報源として掲載しています。公募要領は6月29日の公開後、7月17日・8月14日・9月28日と3回改定されており、本記事作成時点(2026年10月5日)で最新の版に基づいています。
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