重要供給確保医薬品の備蓄と新加算をわかりやすく解説|薬局が満たすべき施設基準と対象成分

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重要供給確保医薬品の備蓄と新加算をわかりやすく解説|薬局が満たすべき施設基準と対象成分
目次

最終更新日: 2026年6月15日(2026年6月1日施行済みの加算点数・施設基準・経過措置を反映)

【結論】 2026年6月1日から施行された「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(加算1〜5)の取得には、重要供給確保医薬品の備蓄が加算1の施設基準として位置づけられている。ただし、この備蓄は法律上の「努力義務」(「努めること」)であり、強制義務でも罰則付きの直接義務でもない。また「備蓄しないと減点される」という理解は誤りで、正確には「加算1を算定できないことによる機会損失」である。対象は重要供給確保医薬品75成分のうち内用薬・外用薬(約18成分)のみ(注射剤・ワクチンは備蓄対象外)。本記事では、告示の根拠・備蓄実務の具体的な手順・加算1〜5の点数と施設基準を管理薬剤師・薬局経営者向けに整理する。点数・対象成分の最終確認は最新の告示・点数表で必ず行うこと。

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この記事の対象読者

  • 薬局経営者・開設者: 加算1の届出可否と経営上の影響を判断したい方
  • 管理薬剤師: 施設基準の5要件・備蓄品目の選定方法・届出手続きを把握したい方
  • 在庫管理担当者: 重要供給確保医薬品の実際の備蓄対象品目と数量算出方法を知りたい方

§1 2026年6月改定で何が変わったか——旧加算の廃止と新加算への再編

2026年6月1日施行の調剤報酬改定において、後発医薬品調剤体制加算(加算1〜3:21〜30点)が廃止され、旧・地域支援体制加算とともに「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(加算1〜5)に統合・再編された。

この改定の背景には2つの政策目的がある。

1. 後発品使用率を「土台」に格上げ:これまで後発品加算は「後発品使用率が高い薬局に上乗せ加算」という位置づけだった。新体系では後発品使用率85%以上が全区分の共通前提(必須条件)となり、単独の評価加算ではなくなった。

2. 医薬品供給対応体制の評価を追加:コロナ禍以降の医薬品供給不安を受け、薬局が地域の医薬品安定供給に貢献する体制を持つかどうかが、加算取得の新たな条件として加わった。重要供給確保医薬品の備蓄はその一部として位置づけられている。

改定前後の比較を以下にまとめる。

項目 改定前(〜2026年5月) 改定後(2026年6月1日〜)
加算名称 後発医薬品調剤体制加算1〜3 地域支援・医薬品供給対応体制加算1〜5
点数 21点・28点・30点 27点・59点・67点・37点・59点(区分により)
後発品要件の扱い 上乗せ加算の評価軸 全区分の共通前提条件
備蓄要件 なし 加算1の施設基準に含む(努力義務)
他局分譲実績 なし 加算1の施設基準に含む

出典: 日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)」(https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2026/20260402_01.pdf)

改定全体の見取り図は2026年調剤報酬改定をわかりやすくまとめた記事で確認してほしい。


§2 重要供給確保医薬品とは——75成分の定義・A群B群・備蓄対象の核心区別

法的根拠と告示の概要

「重要供給確保医薬品」は、医療法第37条第4項および第38条第1項に基づき、厚生労働大臣が指定する医薬品である。2021年以来「安定確保医薬品(506成分)」として運用されてきた枠組みが医療法上に法制化され、「供給確保医薬品(762成分)」の中でも特に重要なものを「重要供給確保医薬品」として位置づけた。

根拠告示:

項目 内容
告示番号 令和7年厚生労働省告示第292号
告示名称 医療法第三十七条第四項及び第三十八条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する供給確保医薬品及び重要供給確保医薬品
告示日 令和7年(2025年)11月10日
適用日 令和7年(2025年)11月20日

一次ソース: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80ac0628&dataType=0&pageNo=1

A群・B群の成分数と分類基準

重要供給確保医薬品(ワクチン等別表第二を除く別表第一)は、A群35成分・B群40成分、合計75成分である。それぞれ継続選定分と新規選定分の合計(A群=継続22+新規13、B群=継続20+新規20)として構成されている。成分名の数え方は告示本文の別表で確認してほしい。

区分 成分数 分類の基準
A群 35成分 より高い優先度と評価された成分
B群 40成分 A群に次ぐ優先度の成分
合計 75成分 ワクチン等(別表第二)は除く

重要なポイント: A群とB群の差異は相対的な評価の結果であり、法的効果は変わらない(厚労省資料に明記)。選定の4軸は「対象疾患の重篤性」「代替薬の有無」「患者数・使用頻度」「製造の特殊性」であり、A群だからといって別の義務が生じるわけではない。

薬局実務における核心区別——「75成分のうち備蓄対象は内用・外用のみ(約18成分)」

ここが本記事で最も重要な点である。重要供給確保医薬品75成分の全てが薬局の備蓄対象になるわけではない

地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準で求められる備蓄の対象は、75成分のうち「内用薬および外用薬のみ」である。注射剤・ワクチン・血液製剤は備蓄要件の対象外となっている。

対象区分 成分数(目安) 具体例
内用薬・外用薬(備蓄対象) 約18成分 ワルファリンカリウム錠、シクロスポリンカプセル、コルヒチン錠、ジアゼパム坐剤 等
注射剤(備蓄対象外) 多数 アドレナリン注、セファゾリンナトリウム注 等
ワクチン・血液製剤(備蓄対象外) 多数 人免疫グロブリン 等

備蓄対象の内用・外用の代表的な成分は以下の通りである(令和7年告示第292号に基づく代表例。全成分の確定リストは告示PDFで確認すること)。

成分名 投与形態 薬効分類
A群 シクロスポリン 内用剤 代謝性医薬品
A群 ワルファリンカリウム 内用剤 血液凝固阻止剤
A群 アセトアミノフェン 外用剤(坐剤) 解熱鎮痛消炎剤
B群 エベロリムス 内用剤 代謝性医薬品/腫瘍用薬
B群 コルヒチン 内用剤 痛風治療剤
B群 ジアゼパム 外用剤 催眠鎮静剤・抗不安剤
B群 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム 内用剤 代謝拮抗剤
B群 トルバプタン 内用剤 利尿剤
B群 パゾパニブ塩酸塩 内用剤 腫瘍用薬
B群 バルガンシクロビル塩酸塩 内用剤 抗ウイルス剤
B群 乾燥BCG膀胱内用(日本株) 外用剤 生物学的製剤

出典: 令和7年厚生労働省告示第292号(YG研究会資料をあわせて参照)。備蓄対象の全成分リスト(内用・外用に限定した確定版)は告示本文PDFを直接参照のこと。上記は代表例であり網羅的なリストではない。


§3 備蓄要件の実務——「1か月分程度」の正しい算出方法

「努力義務」という法的性質——強制でも罰則でもない

加算1の施設基準における備蓄要件の正確な表現は「重要供給確保医薬品のうち内用薬および外用薬を1か月分程度備蓄するよう努めること」である。

「努めること」という語は、法令上「努力義務」を意味する定型表現であり、強制義務(しなければならない)ではない。違反に対する直接罰則もない。ただし、この要件を満たすことが加算1の届出に必要であるため、加算1を取得したい薬局にとっては実質的に満たすべき基準となる。

一次ソース: 令和7年11月20日 厚生労働省医政局 医薬産業振興・医療情報企画課 事務連絡(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001598995.pdf)

対象品目の絞り込み条件——自局調剤実績がある品目だけ

備蓄の対象は、単に「内用薬・外用薬の約18成分すべてを揃える」ではない。直近1年間に自局で調剤実績のある品目に限定される。具体的な条件は以下の通りである。

条件 詳細
薬効区分 内用薬・外用薬のみ(注射剤・ワクチン除く)
調剤実績期間 直近1年間(開設1年未満の場合は開設月以降)
実績基準 1回以上の調剤実績があること
実績ゼロの成分 在庫保有不要

つまり、「75成分を全部揃えなければならない」でも「18成分を全部揃えなければならない」でもなく、「自局が実際に調剤している成分のうち、内用・外用に該当するものだけ」を1か月分程度備蓄すればよい。

「1か月分」の数量算出方法

1か月分の具体的な算出方法は「直近1年間のレセコンデータ(調剤実績)から算出した平均使用数量の1か月相当」である。

算出手順:

  1. レセコンから直近1年間の各対象成分の調剤数量データを抽出する
  2. 年間総量を12で割り、1か月平均使用数量を算出する
  3. 算出した1か月平均を在庫として現物保有する

注意点: 卸売業者が「代わりに在庫を持つ」という形式では要件を満たさない。自局の棚に現物を保有することが求められている。

また、在庫の確認方法として「棚卸し記録を2年間保存すること」が推奨されており、届出後の確認調査に備えた記録管理が実務上重要になる。

「同一グループ内への分譲」は実績として認められない

加算1の施設基準5要件の一つに「直近1年間に他薬局等に医薬品を分譲した実績があること」がある。ここで注意が必要なのは、同一グループ・同一法人内の薬局間での分譲は、この実績に算入されない点である。グループ内での融通ではなく、他社・他法人薬局等への実際の分譲実績が必要である。


§4 地域支援・医薬品供給対応体制加算 加算1〜5——点数と施設基準の全体像

加算1〜5の点数一覧

2026年6月1日施行の点数は以下の通りである。

区分 点数 算定対象薬局 後発品使用率要件
加算1(新設) 27点 特別調剤基本料B以外すべて 85%以上
加算2 59点 調剤基本料1算定薬局 85%以上+実績要件(3項目以上)
加算3 67点 調剤基本料1算定薬局 85%以上+実績要件(7項目以上)
加算4 37点 調剤基本料1以外算定薬局 85%以上+実績要件(3項目以上)
加算5 59点 調剤基本料1以外算定薬局 85%以上+実績要件(7項目以上)

出典: 日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)」。特別調剤基本料A算定薬局は各点数の10%(端数四捨五入)に減額して算定。特別調剤基本料B算定薬局は算定不可。

加算1の施設基準5要件——全て満たすことが必要

加算1(27点)を取得するには、後発品使用率85%以上に加えて、以下の5要件をすべて満たす必要がある。

要件番号 要件内容
要件1 計画的な調達・在庫管理を実施し、他薬局への分譲に頻繁に頼らないこと
要件2 直近1年間に他薬局等に医薬品を分譲した実績があること(伝票を2年間保存)
要件3 医薬品供給不安時に患者を適切に案内する体制を整備していること
要件4 重要供給確保医薬品のうち内用薬・外用薬を1か月分程度備蓄するよう努めること(努力義務)
要件5 後発医薬品使用割合85%以上

さらに、全区分共通の「流通改善ガイドライン遵守要件」として以下も求められる。

  • 全品目について単品単価交渉の原則を守る
  • 頻回配送・急配への過度な依頼を慎む
  • 温度管理を要する医薬品の不必要な返品を慎む
  • 地域の医療機関・薬局・医療関係団体と連携し情報共有する

加算2〜5の実績要件——9項目から充足数で区分

加算2〜5には、9項目の実績要件のうち一定数以上を満たすことが必要である。

区分 必要充足数 含まれるべき必須項目
加算2 9項目中3項目以上 かかりつけ服薬管理指導20回以上を含む
加算3 9項目中7項目以上 指定なし(高水準の網羅)
加算4 9項目中3項目以上 かかりつけ20回以上・在宅24回以上を含む
加算5 9項目中7項目以上 指定なし(高水準の網羅)

9項目の全リストは施設基準通知原文で確認すること(本記事ではかかりつけ・在宅の実績数等の主要項目を確認済み)。

経過措置——2027年5月31日まで旧届出薬局は85%要件みなし適用

令和8年(2026年)3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1・2・3の届出を行っていた薬局は、令和9年(2027年)5月31日まで、後発品使用割合85%以上の要件を満たしているものとみなされる経過措置がある。

つまり、旧加算を届出していた薬局は、2027年5月末まで後発品使用率が85%未満であっても新加算の後発品要件をパスできる。2027年6月以降は実際の使用率が問われるため、移行期間中に体制を整えることが重要である。

また、医療用医薬品供給状況報告で「供給不安」と認定された後発品については、2026年9月30日分まで、後発品割合の計算から除外できる措置もある(厚労省医政局事務連絡に基づく)。

経営上のインパクト——加算1の取得可否は年間数百万円単位の差

加算1(27点)の取得可否が収入に与える影響を規模別に整理する。

月間処方箋枚数 加算1(27点)の月間影響 年間影響
500枚 +13,500円 +162,000円
1,000枚 +27,000円 +324,000円
2,000枚 +54,000円 +648,000円
3,000枚 +81,000円 +972,000円

さらに、加算1(27点)から加算2(59点)へ昇格した場合の差額(32点)は月処方箋1,000枚の薬局で月32,000円・年384,000円の追加収入となる。

より詳細な規模別シミュレーションは薬局規模別シミュレーション2026の記事に実数試算をまとめている。


§5 「機会損失型」の正しい理解——「減点」ではなく「加算を取れない」

よくある誤解:「備蓄しないと減点される」

ネット記事や研修資料の中に「未対応で減点」「備蓄しないと加算が下がる」という表現が散見されるが、これは事実と異なる。

正確な構造:

対応状況 結果
備蓄要件等を含む5要件を満たす 加算1(27点)以上を算定可能
要件を満たさない 加算1が算定不可(機会損失)
直接的な「マイナス点数」規定 備蓄未対応に対しては存在しない

未対応の薬局にペナルティとして点数が引かれるわけではない。「加算を取れるチャンスを逃す」という形の不利益であり、これを「機会損失型」と整理できる。

別途存在する減算規定(備蓄とは無関係)

一方、以下の減算規定は実際に存在する(備蓄未対応とは別の話である)。

  • 後発品使用率が基準を下回る場合: 旧後発品加算の廃止に伴い、85%未満の薬局は新加算の共通前提を満たさず算定不可(経過措置期間を除く)
  • 特別調剤基本料Aの薬局: 各加算点数が10%に減額される
  • 門前薬局等: 特定の立地・処方集中に対する調剤基本料の減算規定(-15点等)が別途存在

これらの減算は備蓄要件とは切り離して理解する必要がある。

二極化リスクをどう判断するか

「備蓄に対応しなくても直接の罰則はない」が、加算1(27点)を年間を通じて取得できないことで生じる機会損失は、月間処方箋1,000枚の薬局で年間約32万円、3,000枚の薬局で年間約97万円である。

中規模以上の薬局では、備蓄体制の整備コスト(在庫増加・棚卸し業務・記録管理)と加算1取得による収入増を比較し、費用対効果で判断することが合理的な経営判断となる。


§6 薬局の対応チェックリスト——備蓄体制から届出まで

加算1の届出に向けた実務手順を、ステップ順に整理する。薬機法改正+調剤報酬改定の並行対応ロードマップもあわせて参考にしてほしい。

ステップ1: 重要供給確保医薬品の自局対象品目を特定する

  • [ ] 令和7年告示第292号の別表第一(重要供給確保医薬品75成分)を入手する
  • [ ] 内用薬・外用薬に該当する成分を抽出する(注射剤・ワクチン等は除外)
  • [ ] 抽出した成分のうち、直近1年間に自局で調剤実績のあるものをリストアップする
  • [ ] 調剤実績ゼロの成分は備蓄対象から外す

ステップ2: 備蓄数量を算出する

  • [ ] レセコンから各対象成分の直近1年間の調剤数量を抽出する
  • [ ] 年間総量÷12で1か月平均使用数量を算出する
  • [ ] 算出した数量を「目標在庫量」として設定する
  • [ ] 在庫管理システム(棚卸し記録)に登録し、2年間保存できる体制を整える

ステップ3: 施設基準の全5要件を確認する

  • [ ] 計画的な調達・在庫管理ができているか(過度な急配・頻回配送に頼っていないか)
  • [ ] 直近1年間に他薬局等(グループ外)への分譲実績があり、伝票を保存しているか
  • [ ] 医薬品供給不安時に患者を案内する体制(代替薬探索・転院サポート等)があるか
  • [ ] 上記の重要供給確保医薬品備蓄が目標水準に達しているか(努力義務)
  • [ ] 後発品使用割合が85%以上か(または経過措置の対象か)

ステップ4: 流通改善ガイドラインの遵守状況を点検する

  • [ ] 仕入れ交渉が単品単価交渉の原則に沿っているか
  • [ ] 頻回配送・急配への依存を減らす在庫管理ができているか
  • [ ] 地域の医療機関・薬剤師会と医薬品情報を共有する仕組みがあるか

ステップ5: 届出を行う

  • [ ] 地方厚生局に施設基準の届出書類を提出する
  • [ ] 届出年月日を記録し、以後の基準変更に備える
  • [ ] 経過措置の終了日(2027年5月31日)をカレンダーに入れ、使用率の実態確認を予定する

FAQ|重要供給確保医薬品と加算に関するよくある質問

A

令和7年厚生労働省告示第292号(「医療法第三十七条第四項及び第三十八条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する供給確保医薬品及び重要供給確保医薬品」)が一次資料です。厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80ac0628&dataType=0&pageNo=1)から参照できます。75成分(A群35・B群40、ワクチン等別表第二除く)が収載されており、内用・外用と注射剤等の区別はリスト内の剤形欄で確認してください。全成分の確定版リストは告示PDFを直接参照することを推奨します。

A

法律上は「努力義務」(「努めること」)です。強制義務でも罰則付きの直接義務でもありません。ただし、地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準として位置づけられているため、加算1の届出を行う薬局には実質的に必要な要件となります。届出をしない薬局には加算1が算定できないという機会損失が生じますが、直接の罰則はありません。

A

いいえ。備蓄対象は75成分のうち内用薬・外用薬(約18成分)のみであり、さらに直近1年間に自局で調剤実績のある品目に限定されます。調剤実績がゼロの成分は在庫保有不要です。たとえば、がん治療薬を扱わない一般的な門前薬局であれば、対象は数品目程度に絞られる場合があります。自局のレセコンデータから対象品目を特定することが第一歩です。

A

減点(減算)規定は存在しません。正確には「加算1(27点)を算定できないことによる機会損失」です。備蓄しない薬局の点数が現行より下がるわけではなく、「加算を取れるチャンスを逃す」という形の不利益です。この区別は重要で、「未対応で減点」という表現は事実と異なります。なお、備蓄要件とは別に、後発品使用率の基準未達や特別調剤基本料Aに関する減算規定は別途存在します。

A

月間処方箋枚数によって異なります。月1,000枚の薬局で月27,000円・年324,000円の差です。さらに加算1から加算2(59点)に昇格した場合の差額(32点)は月32,000円・年384,000円の追加収入となります。規模別の詳細試算は薬局規模別シミュレーション2026の記事で確認できます。

A

変わりません。告示では「A群とB群の差異は相対的な評価の結果であり、法的効果が異なるものではない」と明記されています。備蓄要件でも「重要供給確保医薬品(A群・B群)のうち内用薬・外用薬」という表現で区別なく扱われています。薬局実務上は「A群か B群か」ではなく「内用薬・外用薬か否か」「自局調剤実績があるか否か」で判断してください。

A

旧後発品加算届出薬局向けの経過措置(後発品85%要件みなし)は2027年5月31日までです。2027年6月以降は実際の後発品使用割合が85%以上である必要があります。今から以下の準備を進めることを推奨します。(1) 毎月の後発品使用割合を把握し、85%未満の場合は後発品切替を積極的に進める。(2) 供給不安薬の計算除外(2026年9月分まで有効)を適切に活用する。(3) 2026年中に加算1の施設基準を整備し、届出を完了させる。

A

認められません。加算1の施設基準「直近1年間に他薬局等に医薬品を分譲した実績」における「他薬局等」は、同一グループ・同一法人内の薬局への融通を含まないことが確認されています。グループ外の薬局や医療機関への分譲実績が必要です。伝票を2年間保存する義務もあるため、分譲の際は伝票記録を徹底してください。


まとめ

重要供給確保医薬品と地域支援・医薬品供給対応体制加算について、実務上の要点を整理する。

  • 告示根拠: 令和7年告示第292号(2025年11月20日適用)。A群35・B群40の75成分(ワクチン等除く)。A群・B群に法的効果の差はない
  • 備蓄対象の核心: 75成分のうち内用薬・外用薬(約18成分)のみ。注射剤・ワクチンは対象外。さらに自局の調剤実績がある品目に限定
  • 備蓄の法的性質: 「1か月分程度を備蓄するよう努めること」= 努力義務。強制義務・直接罰則なし。
  • 未対応の影響: 「減算される」ではなく「加算1が取得できない機会損失」。月1,000枚の薬局で年間約32万円の差。
  • 新加算の体系: 後発品加算(21〜30点)廃止→地域支援・医薬品供給対応体制加算1〜5(27〜67点)に再編。後発品85%が全区分の共通前提。
  • 経過措置: 旧届出薬局は2027年5月31日まで後発品85%みなし。早期に備蓄体制を整え、届出を完了させることが望ましい。

加算1の施設基準整備と届出は、並行対応ロードマップ2026の月別チェックリストと組み合わせて進めてほしい。


免責事項

本記事は2026年6月15日時点で公表されている情報(令和7年厚生労働省告示第292号・日本薬剤師会公表の令和8年6月1日施行調剤報酬点数表等)に基づいて作成しています。重要供給確保医薬品の対象成分数・各加算の点数・施設基準の要件・経過措置の期間は、厚生労働省の通知・告示改正等により変更される場合があります。対象成分の確定リスト・加算点数・施設基準の要件は、必ず最新の告示・点数表・施設基準通知原文でご確認ください。本記事は薬局実務者向けの一般的な情報提供を目的としており、個別の届出可否・加算の算定判断・医薬品の在庫管理方法の可否を推奨・保証するものではありません。最終的な判断は、地方厚生局・都道府県薬剤師会・顧問専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく判断・行動によって生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます。


参考資料・一次情報

  • 厚生労働省告示「医療法第三十七条第四項及び第三十八条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する供給確保医薬品及び重要供給確保医薬品」令和7年告示第292号(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80ac0628&dataType=0&pageNo=1)
  • 日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)」(https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2026/20260402_01.pdf)
  • 厚生労働省医政局 医薬産業振興・医療情報企画課 事務連絡(令和7年11月20日)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001598995.pdf)
  • 厚生労働省「医療用医薬品供給状況報告」(後発品計算除外措置の根拠、https://gemmed.ghc-j.com/?p=73951 ほか)
JG

実務ガイド編集部

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