本記事は2026年10月15日時点で厚生労働省が公表している社会保障審議会介護給付費分科会の資料(第256回〜第270回)をもとに作成しています。議事録は第262回までしか公表されておらず、第263回以降の委員の発言内容は確認していません。資料に書かれた「論点」や「対応案」は検討の途中経過であり、決定事項ではありません。最終判断は厚生労働省の告示・通知および所轄の指定権者(都道府県・市町村)にご確認ください。
結論|令和9年度の介護報酬改定は「論点を示している段階」で、単位数は決まっていません
- 令和9年度介護報酬改定の議論は2026年4月27日の第256回に始まり、2026年10月14日の第270回までに、ほぼ全てのサービスの論点が一巡しました(分科会の資料一覧による)
- 2026年9月30日の第268回で「基本的な視点(案)」が示されました。ただし案であり、確定していません
- 第269回・第270回では、論点に加えて「対応案」(事務局が『検討してはどうか』と示した案)が出ています。これは決定ではありません
- 基本報酬や加算の単位数、改定率は、現時点で公表されていません
- スケジュールは「12月中に基本的な考え方をとりまとめ、令和9年1月頃に改定案を諮問・答申」という案が示されています。具体的な会議日程は公表されていません
直近の改定の内容は介護報酬改定2026年6月の解説、処遇改善加算の区分と加算率は処遇改善加算2026年6月改定の解説にまとめています。本記事は、その次の改定(令和9年度)に向けた動きを追うものです。
なお、資料の出典表記は「第270回 資料1 スライド31」のように、会議の回、資料番号、各スライドに印字されたページ番号で示します。PDFの先頭から数えたページ番号とは1つずれる場合があります。
最新の動き(日付つき)
審議が進むたびに、この表の先頭へ行を追加して更新します。
| 日付 | 動き | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年10月14日 | 第270回。通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護、療養通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護の論点と対応案が示された | 第270回 資料1〜5 |
| 2026年10月9日 | 第269回。定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護の論点と対応案が示された | 第269回 資料1〜4 |
| 2026年9月30日 | 第268回。「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」が示された | 第268回 資料1 |
| 2026年9月10日・14日・16日 | 第265回〜第267回。関係団体等との意見交換会(3回) | 第265回〜第267回 資料 |
次回の開催日、議事録の公表日、審議報告の日付は、いずれも確認できる公表情報がありません(2026年10月15日時点)。
令和9年度改定とは|第10期介護保険事業計画のスタートに合わせた改定
第268回の資料は、令和9年度から第10期介護保険事業計画(市町村が作る介護サービスの整備計画)の期間が始まると書いています。この期間は、65歳以上人口がピークを迎える一方、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増える2040年を見据えた取組を本格化させる時期と位置づけられています(第268回 資料1 スライド1)。
前回との関係は次のとおりです。
- 令和8年度は、令和9年度改定を待たずに期中改定(通常の改定サイクルの途中で行う改定)が実施されました。介護分野の職員の処遇改善と、食費の基準費用額の引上げが行われました(第256回 資料4 スライド1)。令和8年6月施行の内容は、第263回の資料にも記載があります(第263回 資料1 スライド65)
- 令和9年度改定は、その期中改定の次の改定にあたります。第256回の資料は、令和9年度改定では「介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要がある」との認識のもと、事業者の経営状況を把握した上で、物価や賃金の上昇等を適切に反映するための対応を実施する必要があると書いています(第256回 資料4 スライド1)
- 令和7年の社会保障審議会介護保険部会の意見書と、令和8年6月に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)が、議論の前提になっています(第267回 資料1、第268回 資料1 スライド2)
介護保険制度全体の仕組みは、介護保険2026年完全ガイドをご覧ください。
決まったこと・議論中・未定の整理
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 決まったこと(過去の改定・法改正として確定済み) | 令和8年6月施行の期中改定。社会福祉法等の一部を改正する法律の成立(令和8年6月)。夜間対応型訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護を統合する方針(法律に規定) |
| 議論中(分科会の資料に書かれた論点・対応案) | 基本的な視点(案)、各サービスの論点、第269回・第270回で示された対応案 |
| 未定 | 改定率、基本報酬・加算の単位数、各加算の算定要件の最終形、施行日、審議報告・答申・告示の日付 |
夜間対応型訪問介護の統合は、第262回の資料に「先般成立した社会福祉法等の一部を改正する法律においては、両サービスを統合することとし、夜間対応型訪問介護については令和8年度末(現在の第9期計画期間)をもって廃止し、経過措置(令和11年度末まで(第10期計画期間中)は経過措置として、従前どおりの実施が可能)を設けることとされている」と記載されています(第262回 資料1 スライド64)。
基本的な視点(案)|第268回で示された5点
第268回 資料1は、改定に当たっての基本認識を3つ(経済状況の変化への対応、人口構造の変化への対応、地域共生社会の実現と高齢者の安心の確保)に整理した上で、基本的な視点を次の5点に集約できるとしています(案)。
- 物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善
- 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
- 地域包括ケアシステムの深化
- 職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保
- 制度の安定性・持続可能性の確保
(第268回 資料1 スライド3〜5)
資料に書かれている内容のうち、事業所の経営に関わる主な点は次のとおりです。
- 令和7年度介護事業経営概況調査では、全サービスにおける赤字事業者の割合は約4割とされています(第268回 資料1 スライド1)
- 第1の視点では、事業者の経営状況や賃上げの状況を把握した上で、物価や賃金の上昇等を介護報酬に適切に反映すること、他職種と遜色のない処遇改善を実現することが挙げられています(スライド3〜4)
- 第2の視点では、中山間・人口減少地域で新たに創設された「特定地域サービス」が機能するよう、サービス提供のあり方、人員配置基準、報酬について検討するとされています(スライド4)
- 第4の視点では、施設系だけでなく居宅系サービスも含めて、AI等の介護テクノロジーの活用や、介護助手等への業務のタスクシフト/シェア(業務の分担)を進めるとされています(スライド2、5)
- 第5の視点では、報酬の評価の適正化・重点化と、報酬体系の整理・簡素化を進めるとされています(スライド5)
この5点は「基本的な視点(案)」です。これを土台に、後述の審議報告が取りまとめられる流れです。個別の単位数や加算の可否は、この資料には書かれていません。
審議の経過|第256回から第270回
令和9年度改定に関する主な会議は次のとおりです(分科会の資料一覧、各回の議事次第による)。
| 回 | 開催日 | 主な議題 |
|---|---|---|
| 第256回 | 2026年4月27日 | 令和8年度介護従事者処遇状況等調査の実施、令和9年度改定に向けた検討の進め方(案) |
| 第257回 | 2026年5月25日 | 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護 |
| 第258回 | 2026年6月15日 | 通所介護系、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護 |
| 第259回 | 2026年6月29日 | 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、居宅介護支援、福祉用具・住宅改修 |
| 第260回 | 2026年7月9日 | 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、特定施設入居者生活介護 |
| 第261回 | 2026年7月23日 | 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築 |
| 第262回 | 2026年8月5日 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護、高齢者住まいに対するサービス提供の在り方、地域区分 |
| 第263回 | 2026年8月28日 | 処遇改善等、生産性向上、高齢者虐待防止・安全性の確保、業務継続、ハラスメント対策 |
| 第264回 | 2026年9月3日 | 認知症への対応力強化、医療・介護連携、LIFE、口腔・栄養、多床室の室料負担 |
| 第265回〜第267回 | 2026年9月10日・14日・16日 | 関係団体等意見交換会 |
| 第268回 | 2026年9月30日 | 基本的な視点(案) |
| 第269回 | 2026年10月9日 | 定期巡回・夜間対応型、小規模多機能、看護小規模多機能、認知症対応型共同生活介護の論点と対応案 |
| 第270回 | 2026年10月14日 | 通所系、短期入所系の論点と対応案 |
サービス別の論点|会議ごとの整理
ここからは、各回の資料に書かれた「論点」(事務局が議論のために示した問い)を、できるだけ資料の表現に沿って整理します。いずれも決定事項ではありません。
第259回(2026年6月29日)|訪問系・居宅介護支援・福祉用具
第259回の資料は、現状を示した上で論点を挙げる形で、対応案はまだ付いていません。
- 訪問介護:事業所の収支状況を全国平均だけで見るのではなく、立地・規模・事業形態といった特性を踏まえて検討する必要があるのではないか。人口減少・高齢化が進む一方で訪問介護員の不足が大きな課題となっていることを踏まえ、必要なサービスを地域で安定的に提供する方策は何か(第259回 資料1 スライド48)
- 訪問看護:緊急時対応体制や関係機関との連携の一層の充実が求められる中、質の高いサービスを効果的・効率的に提供する事業所を適切に評価する方策は何か(資料3 スライド49)
- 居宅介護支援:ケアマネジャーの役割の重要性が増す一方で担い手不足が見込まれる中、一層の生産性向上を図りつつ、専門性を発揮できる提供体制を確保する方策は何か(資料6 スライド72)
- 福祉用具・住宅改修:選択制の運用のあり方や上限価格の仕組みの検討に加え、福祉用具を適時・適切に提供する方策は何か(資料7 スライド47)
多くのサービスで共通して、令和6年度改定の審議報告を踏まえ、「算定率が低い加算や算定率の高い加算についてどのように考えるか」という論点が挙げられています(報酬体系の簡素化の観点)。
第258回(2026年6月15日)と第270回(2026年10月14日)|通所系・短期入所系
第258回は論点のみ、第270回で対応案が加わりました。
第258回 資料1(通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護、スライド78)の論点は、中重度者や認知症高齢者を含む幅広いニーズに対応できることが求められる中で、利用者の状態に応じた質の高いサービスを提供する方策は何か、というものです。
第270回で整理された論点と、事務局が示した対応案は次のとおりです。
| サービス | 論点(第270回) | 事務局の対応案(検討してはどうか、という案) |
|---|---|---|
| 通所介護等 | 入浴介助を目的とする短時間サービスの評価、入浴介助加算の見直し(資料1 スライド14〜15) | 入浴介助を目的とした事業者が存在しない中山間地域等で、例外的に入浴介助目的のサービスを認めることを検討。入浴介助加算(Ⅱ)の医師等の訪問要件で、情報通信機器等を活用した環境把握を、訪問が困難な場合に限定せず認めることを検討。単価設定の見直しも検討 |
| 通所介護等 | 送迎減算の緩和、共同送迎の推進、延長加算、中重度者ケア体制加算(資料1 スライド30〜32) | 突発的な送迎キャンセルを送迎減算の対象から外すことを検討(通所リハビリテーションも同様に検討)。共同送迎で同乗が認められる範囲に、児童の通園・通学や地域の買い物支援を加えることを検討。算定率の低い延長加算ニ・ホの廃止を提案。地域密着型通所介護の中重度者ケア体制加算の算定要件の見直しを検討 |
| 認知症対応型通所介護 | 報酬の在り方(資料1 スライド41) | 基本報酬の在り方や、重度の利用者を多く受け入れる事業所の評価等を検討。認知症の人の社会参加の機会を確保する事業所への新たな報酬設定も検討 |
| 通所介護等 | 同一建物減算など住まいの形態に応じた報酬(資料1 スライド55) | 現行の減算による評価に代えて、移動コストやサービス提供の実態を反映した報酬区分の見直しを検討 |
| 療養通所介護 | サービス提供の在り方(資料2 スライド13) | 請求事業所数・利用者数・費用額がいずれも減少傾向にあるため、将来的な在り方について必要な検討を行うこととしてはどうか |
| 通所リハビリテーション | リハビリテーションマネジメントの推進、退院時共同指導加算の拡充(資料3 スライド16〜17、21) | マネジメント加算の算定要件として、リハビリテーション会議での居宅の活動・参加状況の共有や目標設定等を明確化することを検討。生活行為向上リハビリテーション実施加算は、計画を別に作らず通所リハビリテーション計画内に記載する案。退院時共同指導加算の対象に介護老人保健施設・介護医療院の退所者を加える案 |
| 短期入所生活介護 | 長期利用減算の見直し、送迎加算・共同送迎(資料4 スライド13、20) | 長期利用減算を31日目から適用する現行を、61日以上連続の利用者と同程度とする案。季節利用ニーズのある地域では減算を適用しない仕組みを検討。送迎加算を送迎コストの実態に応じて見直し、共同送迎・共同委託を明確化する案(短期入所療養介護も同様に検討) |
| 短期入所療養介護 | 総合医学管理加算の見直し、長期利用者への対応(資料5 スライド9、11) | 総合医学管理加算を区分支給限度基準額の適用外とする案。長期利用減算等は、利用日数のデータを精査した上で短期入所生活介護の対応を踏まえて検討 |
通所介護では、資料が「送迎」を複数の論点にまたがる課題として扱っている点が目を引きます。ただし、いずれも「検討してはどうか」という案の段階です。
第257回(2026年5月25日)と第269回(2026年10月9日)|地域密着型サービス
第257回は論点のみでした。小規模多機能型居宅介護では、人材確保や利用者確保に困難を感じている傾向を踏まえたサービス提供体制の確保策、独居・認知症高齢者を支える役割の評価のあり方が論点でした(第257回 資料1 スライド44)。認知症対応型共同生活介護では、医療ニーズへの対応と介護人材の有効活用、地域に開かれた拠点としての役割が論点でした(資料3 スライド43)。
第269回で、次の論点と対応案が示されました。
| サービス | 論点(第269回) | 事務局の対応案 |
|---|---|---|
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護/夜間対応型訪問介護 | 夜間対応型から定期巡回への円滑な移行、新規開設時の配置基準、住まいの形態に合わせた報酬(資料1 スライド14、17、19) | 定期巡回(Ⅲ)で、24時間の通報・相談対応機能を確保し日中の支援も行う事業所の取組を評価する新たな報酬上の評価を設けることを提案。新規開設時に利用者確保が困難なやむを得ない場合の訪問介護員等の配置基準の見直しを検討 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 見守り・生活相談等の評価、軽度者の早期受け入れと状態維持の評価、利用者増減に応じた柔軟な配置、訪問職員の配置(資料2 スライド13〜14、16〜17) | 地域の多様な主体・資源との連携体制の評価について検討。要介護1・2と要介護3以上の単位数のバランス等、基本サービス費の在り方を検討。看護小規模多機能型居宅介護も同様に検討 |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 機械浴に対応しない事業所の入浴サービスの評価、訪問看護提供体制(資料3 スライド13、15) | 併算定可能なサービスを見直し、療養通所介護等の減算方法を参考に、利用者の状態像に応じて報酬を調整する案 |
| 認知症対応型共同生活介護 | 認知症ケアの地域拠点としての評価、計画作成担当者の配置、3ユニットの夜勤体制(資料4 スライド13、25〜26) | 本人の社会参加や若年性認知症の人の就労支援等に取り組む事業所の評価を検討。経営が厳しい1ユニット事業所の計画作成担当者(介護支援専門員)の配置要件の見直しを検討。見守り機器等を活用し安全確保できる体制を要件に、3ユニットの夜間配置を2人体制とすることを可能とする案 |
認知症対応型共同生活介護の夜勤体制は、現行では3ユニットの事業所で原則3人以上の夜勤職員配置が求められ、一定の要件を満たす場合に例外的に2人以上の配置が可能という前提のうえでの議論です(第269回 資料4 スライド25)。
第260回(2026年7月9日)と第262回(2026年8月5日)|施設・居住系、高齢者住まい
第260回の論点(対応案なし)は次のとおりです。
- 介護老人福祉施設:中重度の高齢者の増加が見込まれる中、安定的にサービスを提供する方策、特別な基本報酬を設定しているサービス類型の報酬(資料1 スライド60)
- 介護老人保健施設:在宅復帰・在宅療養支援機能の促進に向けた、医療ニーズへの対応力の強化、看取り、リハビリテーション、薬剤調整の観点での方策(資料2 スライド86)
- 介護医療院:医療ニーズへの対応、看取りへの対応、医療と介護の切れ目ない連携の観点での方策(資料3 スライド67)
- 特定施設入居者生活介護:協力医療機関との連携を含む医療ニーズへの対応の強化、自立支援に資するケアの推進、住宅型有料老人ホームの特定施設入居者生活介護への移行促進(資料4 スライド59)
第262回では、高齢者住まいに関する次の論点が示されました。
- 登録施設介護支援・登録介護予防支援(住宅型有料老人ホームの入居者向けの新しい相談支援類型):ホームと対等な立場で、利用者本位のケアプラン作成を促進する方策、地域生活相談として求める業務の内容、人員配置と報酬の在り方(第262回 資料2 スライド55)
- 入居者への居宅サービス等の報酬の在り方:高齢者住まいの入居者にサービスを提供する事業所の経営実態やサービス提供実態を丁寧に把握した上で、必要な見直しを検討することをどう考えるか(資料2 スライド86)
- 地域区分:公務員の地域手当に準拠してきた原則を踏まえ、令和9年度改定での対応をどう考えるか。国家公務員の地域手当は、令和6年人事院勧告で級地区分の設定単位が市町村単位から都道府県単位を基本とする広域化、段階数が7区分から5区分への見直しがされ、令和7年度から段階的に支給割合が変更されている(資料3 スライド17)
現行の地域区分と単価は介護保険 地域区分一覧2026で確認できます。令和9年度の地域区分が変わるかどうかは、現時点では決まっていません。
第261回(2026年7月23日)|人口減少・サービス需要の変化への対応
社会福祉法等の一部を改正する法律で創設された「特定地域サービス」(中山間・人口減少地域で柔軟なサービス提供を可能にする仕組み)に関する報酬・基準の論点です。
- 配置基準の弾力化:管理者や専門職の配置基準について、事業所間の連携やICT機器の活用を前提にどのような弾力的な対応が可能か(第261回 資料1 スライド56)
- 包括的な評価の仕組み(月単位の1人あたり定額報酬):戸別訪問型の訪問介護事業所を念頭に、移動コストへの対応を含め、経営の予見性を高める報酬設計をどう考えるか。各種加算の包括化、利用状況に応じた複数段階の報酬設定、保険者による提供状況の確認など外部の目が入る仕組みをどう考えるか(スライド70)
- 中山間地域等に係る加算:特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の3つについて、どのような対応が考えられるか(スライド82)
第263回(2026年8月28日)と第264回(2026年9月3日)|横断的なテーマ
| 回 | テーマ | 論点の要旨(資料の表現に沿って要約) |
|---|---|---|
| 第263回 | 介護人材確保に向けた処遇改善等 | 他職種と遜色のない処遇改善に係る取組と離職防止の方策。介護職員等処遇改善加算の加算ⅠとⅡの取得が進んだことを踏まえた対応、介護職員等処遇改善加算・サービス提供体制強化加算の簡素化の観点(資料1 スライド65) |
| 第263回 | 生産性向上 | 夜間の見守り機器を活用した場合の方策、施設系サービスの生産性向上推進体制加算の先進的な取組への評価、訪問系・通所系サービスの生産性向上の評価、経営の協働化・大規模化(資料2 スライド77) |
| 第263回 | 高齢者虐待の防止、安全性の確保 | 経過措置のあるサービスや虐待防止措置の義務の対象外のサービスの取扱い(資料3 スライド39)。居宅サービス事業所等における事故発生予防・再発防止(スライド60) |
| 第263回 | 業務継続 | 業務継続計画の策定等について、報酬上の措置のあり方や、経過措置が設けられているサービスの取扱い(資料4 スライド30) |
| 第263回 | ハラスメント対策 | カスタマーハラスメントの未然防止と発生時の対応、複数名訪問、地域の関係機関との連携、サービス提供拒否の「正当な理由」の整理(資料5 スライド43) |
| 第264回 | 認知症への対応力強化 | 認知症の人の意向を尊重した生活を目標とした各サービスでの方策、加算要件となっている認知症対応力向上のための研修、若年性認知症の人への支援(資料1 スライド59) |
| 第264回 | 医療・介護連携、看取り | 協力医療機関の確保状況を踏まえた今後の在り方、感染対応力の向上、ACP(人生の最終段階の医療・ケアについての話し合い)、看取りに係る評価(資料2 スライド71) |
| 第264回 | LIFE(科学的介護情報システム) | LIFE関連加算のデータ提出、アウトカム評価をどう考えるか(資料3 スライド40) |
| 第264回 | 口腔・栄養、一体的取組 | リハビリテーション・機能訓練、栄養、口腔の一体的取組の推進(資料4 スライド78) |
| 第264回 | 多床室の室料負担 | 介護老人保健施設・介護医療院の多床室の室料負担の在り方(資料5 スライド11) |
多床室の室料負担は、令和7年8月から「その他型」「療養型」の介護老人保健施設と「Ⅱ型」の介護医療院で始まっています(資料5 スライド13)。第264回の資料は、財政制度等審議会が、令和6年度改定で導入が見送られた類型にも同様の見直しを実施することが考えられると指摘していることを記載する一方、介護保険部会では「住まいではないところから室料負担を求めるのは適切ではないのではないか」といった意見があったことも併記しています(資料5 スライド11)。どちらの方向に進むかは決まっていません。
今後のスケジュール|決まっていること・未公表のこと
資料で案として示されているもの
第256回の資料4は、スケジュール案を次のように示しています(スライド2)。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年4月〜夏頃 | 主な論点について議論、事業者団体等からのヒアリング |
| 10〜12月頃 | 具体的な方向性について議論 |
| 12月中 | 報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・とりまとめ(基準は、自治体の条例制定・改正に要する期間を踏まえて先行してとりまとめ) |
| 令和9年度政府予算編成 | 資料に時期の記載なし |
| 令和9年1月頃 | 介護報酬改定案の諮問・答申 |
この資料のタイトルは「今後の検討の進め方について(案)」です。第256回の議事録では、複数の委員がこの進め方・スケジュール案に「異論はない」と発言しています。一方、日本介護福祉士会の委員は、改定案の具体的な点数について複数回の議論の場を設けてほしいと要望し、市長の立場で出席した委員は、この案で結構としつつ、地方自治体の条例改正に向けて十分な期間を確保してほしいと要望しています(第256回 議事録)。この資料は第262回にも参考資料として再度配付されましたが、タイトルは「(案)」のままです。
未公表のこと
- 12月の審議報告の日付:未公表
- 改定案の諮問・答申の日付:未公表
- 告示の日付、施行日:未公表
- 第271回以降の開催日:確認できる公表情報なし
参考|前回(令和8年度の期中改定)の実際の日付
参考として、前回の実績を分科会の資料一覧から挙げます。これは令和9年度の日程を予測するものではありません。
- 2025年12月19日:第251回。審議報告のとりまとめに向けた議論
- 2025年12月23日:令和8年度介護報酬改定に関する審議報告
- 2025年12月26日:第252回。令和8年度予算に関する大臣折衝事項の報告、地域区分の報告
- 2026年1月16日:第253回。介護報酬改定案について
審議報告は議論の結果の取りまとめ、改定案は具体的な単位数や基準の案であり、段階が異なります。令和8年度の期中改定は臨時の改定であり、通常の改定とは経緯が違う点にも注意が必要です。
事業所が今できる準備
ここは、資料に基づく事項と、一般的な実務上の助言を分けて書きます。
資料に基づく事項
- 自分のサービスの章を原典で読む。 第269回・第270回のように、対応案まで書かれた資料は、事務局が考えている方向が具体的に分かります。資料は厚生労働省の分科会ページ(出典欄のURL)で公開されています
- すでに期限が決まっている義務を確認する。 協力医療機関の設定には令和9年3月31日までの経過措置があると、第264回の資料に記載があります(第264回 資料2 スライド71)。業務継続計画や高齢者虐待防止措置にも、経過措置が設けられているサービスがあります(第263回 資料3・4)
- 処遇改善加算の取得状況を把握する。 第263回の論点は、加算ⅠとⅡの取得が進んだことを踏まえた対応に触れています。区分の確認は処遇改善加算の解説が参考になります
- 自治体の条例改正に備える。 基準に関する事項は、条例改正に要する期間を踏まえて先行してとりまとめる案が示されています(第256回 資料4 スライド2)
一般的な助言(資料に書かれた内容ではありません)
- 論点に挙がった項目(送迎、配置基準、入浴介助、夜勤体制など)に関する自事業所の実績データ(キャンセル件数、送迎の所要時間、夜間の見守り機器の運用状況など)を、いまのうちに集計しておくと、改定案が出たときの影響試算が早くなります
- 人材確保と加算の財源の関係は、介護事業所の人材確保と処遇改善の原資の解説で試算の考え方を整理しています
- 対応案の段階で人員配置や運営を変えるのは避け、審議報告や告示を待って判断するのが安全です
FAQ
現時点では分かりません。単位数や改定率は公表されていません。基本的な視点(案)は、物価・賃金の上昇等を介護報酬に適切に反映することを第1の視点に挙げています(第268回 資料1 スライド3)。同時に、報酬の評価の適正化・重点化を進めるとも書いており(スライド5)、水準がどうなるかは今後の審議と予算編成で決まります。
資料に案として示されているのは、12月中に基本的な考え方をとりまとめ、令和9年1月頃に改定案を諮問・答申する流れです(第256回 資料4 スライド2)。具体的な日付は公表されていません。
決まっていません。第270回の資料は、利用者の都合による突発的な送迎キャンセルを例外的に送迎減算の対象から外すことを検討してはどうか、と示しています(第270回 資料1 スライド32)。送迎減算そのものをなくす案ではなく、また検討段階の案です。
法律上、夜間対応型訪問介護は定期巡回・随時対応型訪問介護看護と統合される方針で、令和8年度末をもって廃止し、経過措置が設けられると資料に記載されています(第262回 資料1 スライド64)。経過措置の期限は、第262回の資料が「令和11年度末まで(第10期計画期間中)」、第269回の資料が「令和11年3月までの猶予期間」と書いており、資料の間で表記が一致していません。期限は今後の告示・通知で確認してください。第269回では、定期巡回(Ⅲ)で24時間の通報・相談対応と日中の支援を行う事業所を評価する新たな報酬上の評価が提案されています(第269回 資料1 スライド14)。報酬は決定前です。
居宅介護支援では、担い手不足が見込まれる中での生産性向上と提供体制の確保が論点です(第259回 資料6 スライド72)。住宅型有料老人ホームの入居者向けの登録施設介護支援・登録介護予防支援については、ホームと対等な立場でのケアプラン作成を促す方策や人員配置・報酬の在り方が論点です(第262回 資料2 スライド55)。
まとめ
令和9年度介護報酬改定の議論は、2026年4月の第256回から2026年10月14日の第270回までで、主要なサービスの論点が一巡しました。第268回で基本的な視点(案)が示され、第269回・第270回では、事務局の対応案も出ています。
一方で、改定率、単位数、算定要件の最終形、審議報告・答申・告示の日付は、いずれも未公表で、決まっていません。資料のスケジュール案は、12月中の基本的な考え方のとりまとめと、令和9年1月頃の改定案の諮問・答申です。
次の動き(審議報告、改定案の諮問・答申、告示)が出た時点で、本記事の「最新の動き」を更新します。論点や対応案を確定事項と取り違えないよう、必ず厚生労働省の原典で確認してください。同じ令和9年度に予定されている障害福祉側の改定は令和9年度障害福祉サービス等報酬改定の審議状況で追っています。
根拠・参考
- 厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」資料一覧(第256回〜第270回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html - 第256回 資料4「令和9年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)」、同回議事録
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001695747.pdf - 第268回 資料1「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001753962.pdf - 第269回 資料1〜4
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76456.html - 第270回 資料1〜5
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76633.html - 第257回〜第264回の各資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事業所・法人に対する経営上または法律上の助言ではありません。審議中の論点・対応案は変更・撤回されることがあり、改定の内容は、厚生労働省が公布する告示・通知によって確定します。実際の対応は、最新の公表資料と、所轄の指定権者(都道府県・市町村)の案内でご確認ください。



