最終更新日: 2026-07-23
令和8年(2026年)7月1日に施行された療養費改定で、接骨院・整骨院やはり灸・マッサージ院の収入は「増えるのか、減るのか」。改定率は+0.60%(過去10年で最大のプラス改定)ですが、同時に柔整は2部位目からの80%逓減、あはきは月16回以降の50%逓減という「減収方向の逓減強化」も新設されました。単純に「+0.60%だから増収」とは言い切れません。本記事では、1日の患者数・平均部位数・施術種別を入力するだけで、改定前後の月間・年間の療養費収入がどう変わるかを即時試算できるシミュレーターを用意しました。数値はすべて厚生労働省専門委員会資料の直読み確定値に基づいています。
免責事項: 本記事のシミュレーターは、令和8年6月1日付・同年6月5日付告示および厚生労働省専門委員会資料(001696843.pdf・001696850.pdf)に基づく概算試算ツールです。施術1件あたりの主要料金(後療料・電療料・施術料・明細書発行加算)の改定差分のみを合算しており、実際の療養費は負傷内容・同意書・各種加算・患者の保険区分等により変動します。支給可否・請求金額は保険者・地方厚生局の判断が優先されます。正確な請求額を保証するものではありません。最新情報は厚生労働省告示・地方厚生局からの通知でご確認ください。
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療養費改定 収入シミュレーター
柔道整復・あはき(はり・きゅう・マッサージ)の施術内容を入力して、改定前後の月間・年間収入の変化を試算できます
1施術種別を選ぶ
21日の施術患者数・営業日数
3柔整:後療の部位数構成
▼ 詳細オプション(電療の実施割合)3あはき:施術メニューと施術単価
4明細書発行加算(新算定方式)
本ツールは施術1件あたりの主要料金の改定差分のみを合算した概算です。実際の療養費は負傷内容・同意書・加算・患者の保険区分等により変動し、支給可否は保険者・地方厚生局の判断が優先されます。
なぜ「+0.60%だから増収」とは限らないのか
令和8年7月改定の改定率は柔整・あはきともに+0.60%で、過去10年で最大のプラス改定です。しかし施術所の実際の収入は、改定率の数字どおりには動きません。理由は、今回の改定が「料金の引き上げ」と「逓減の強化」を同時に盛り込んでいるからです。
増収方向の変更(料金引き上げ):
- 柔整:後療料1部位目が505円→550円(+45円)、電療料が33円→46円(+13円)
- あはき:はり・きゅう施術料(通所1術)が1,610円→1,650円(+40円)、マッサージ1局所が450円→470円(+20円)
- 柔整・あはき共通:明細書発行加算の算定機会が拡大(柔整は月1回→施術1回あたり、あはきは10円を新設)
減収方向の変更(逓減強化):
- 柔整:2部位目からの80%逓減を新設(従来は3部位目からの60%逓減のみ)
- あはき:月16回以降の施術料50%逓減を新設(従来は逓減なし)
つまり、1部位・低頻度の施術が中心の施術所は増収、多部位・高頻度の施術が中心の施術所は逓減強化の影響で増収幅が縮む(場合により減収)という非対称な構造になっています。だからこそ、自院の施術構成に基づく試算が欠かせません。上のシミュレーターは、この2つの力を同時に反映して増減を計算しています。
シミュレーターの計算の前提と使い方
使い方の手順
- 施術種別を選ぶ:「柔道整復(接骨院・整骨院)」か「あはき(はり・きゅう・マッサージ)」を選択します。
- 1日の施術患者数・営業日数を入力:延べ患者数(1日に施術した回数)と月の営業日数をスライダーで設定します。両者を掛けた値が「月間の延べ施術回数」になります。
- 施術内容を入力:
- 柔整の場合:1施術あたりの平均後療部位数(1.0〜3.0部位)を入力します。詳細オプションで電療料の実施割合も設定できます。
- あはきの場合:主な施術メニュー(はり・きゅう1術/2術/マッサージ局所単位)を選び、詳細オプションで月16回以上通う患者の割合を設定します。
- 明細書発行加算:毎回発行するかどうかを選びます。
- 右側のパネルに、改定前・改定後の月間療養費(概算)と月間・年間の増減額、内訳が即時表示されます。
使用している料金と逓減率(すべて一次資料の確定値)
シミュレーターの計算に使っている数値は、次のとおり厚生労働省専門委員会資料の直読みで確定したものです。
柔道整復(出典:001696843.pdf)
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 後療料(1部位目・打撲/捻挫) | 505円 | 550円 |
| 電療料 | 33円 | 46円 |
| 明細書発行加算 | 月1回10円 | 施術1回あたり10円 |
- 部位別の逓減率:1部位目=100%、2部位目=80%(新設)、3部位目=60%(継続)
- 改定前は逓減が「3部位目からの60%」のみで、2部位目は満額でした
あはき(出典:001696850.pdf)
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| はり・きゅう 施術料 通所(1術) | 1,610円 | 1,650円 |
| はり・きゅう 施術料 通所(2術) | 1,770円 | 1,820円 |
| マッサージ(1局所) | 450円 | 470円 |
| 明細書発行加算 | なし | 10円(新設) |
- 月16回以降の逓減率:改定後は所定料金の50%(新設)。改定前は逓減なし
計算式の考え方
柔整(後療モード)では、平均部位数を「1部位/2部位/3部位」の混合割合に分解し、各部位に部位別逓減率を掛けて1施術あたりの後療料を算出します。改定前は「1部位目505円・2部位目505円(満額)・3部位目303円(60%)」、改定後は「1部位目550円・2部位目440円(80%)・3部位目330円(60%)」で計算します。これに月間の延べ施術回数を掛け、電療料・明細書発行加算を加えて改定前後を比較します。
例:後療2部位(改定後)
– 1部位目:550円
– 2部位目:550円 × 80% = 440円
– 合計:990円(改定前は505円×2=1,010円。1部位目が+45円、2部位目が逓減強化で相殺)
あはき(月16回逓減モード)では、選んだメニューの施術料に延べ施術回数を掛けたうえで、月16回以上通う患者割合に応じて「17回目以降相当分」を50%減算する概算処理を行い、改定後は明細書発行加算(10円/回)を加えます。
概算ツールである点への注意(重要)
このシミュレーターは施術1件あたりの主要料金の改定差分のみを合算した概算です。以下は計算に含めていません(実務では収支に影響します)。
- 初検料・再検料・施療料・往療料・温罨法/冷罨法料の改定差分
- あはきの訪問施術料(区分1〜5)や5か月超・長期逓減、集中減算
- 同意書・施術報告書交付料などの加算
- 患者の保険区分(一部負担割合)による窓口・保険請求の内訳
あくまで「改定で自院の収入がどの方向に・どの程度動くか」の目安としてご利用ください。正確な請求額は、レセコンから抽出した自院の実データを新料金体系に当てはめて算出する必要があります。
改定のポイント要約(柔整)
シミュレーターの背景にある改定内容を簡潔に整理します。各項目の詳しい要件・疑義解釈は解説本記事「令和8年7月療養費改定ガイド」で確認できます。
2部位目から80%逓減の新設(最重要)
今回の柔整改定で最も収入に影響する変更が、後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料の「2部位目からの80%逓減」新設です。従来は3部位目以上に60%逓減が適用されるのみで、2部位目は満額でした。
改定後の逓減の全体像は次のとおりです。
| 部位 | 後療料 | 逓減率 |
|---|---|---|
| 1部位目 | 550円 | 100% |
| 2部位目 | 440円 | 80%(新設) |
| 3部位目以上 | 330円 | 60%(継続) |
多部位施術が多い施術所ほど、1部位目の+45円という増額のメリットが2部位目以降の逓減強化で相殺され、増収幅が縮みます。シミュレーターで平均部位数を上げていくと、この効果が数字で確認できます。
その他の主な変更
- 初検料:1,550円→1,560円(+10円)
- 再検料:410円→420円(+10円)、算定が連続2回まで拡大
- 電療料:33円→46円(+13円・大幅増)
- 温罨法料:75円→80円、冷罨法料:85円→80円(温冷同額化)
- 明細書発行加算:月1回10円→施術1回あたり10円(算定機会が大幅に増加=増収要因)
- 初検料の算定制限(施術終了/中止後3か月以内は算定不可)を新設
改定のポイント要約(あはき)
月16回以降50%逓減の新設(最重要)
はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧における今回の最重要変更が、月16回以降の施術料・訪問施術料・電療料の50%逓減の新設です。改定前は施術回数による逓減がありませんでした。
例:はり・きゅう通所1術で月20回施術(改定後)
– 1〜15回目:1,650円 × 15回 = 24,750円
– 16〜20回目:1,650円 × 50% × 5回 = 4,125円
– 合計:28,875円(全回通常料金なら33,000円)
高頻度で通う患者が多い施術所ほど、この逓減の影響が大きくなります。シミュレーターの詳細オプションで「月16回以上通う患者の割合」を上げると、増収幅が縮む様子が確認できます。
その他の主な変更
- はり・きゅう初検料(1術):1,950円→2,000円(+50円)、(2術):2,230円→2,320円(+90円)
- マッサージ1局所:450円→470円(+20円)
- 訪問施術料4(10〜19人)・5(20人以上)の新区分を新設
- 明細書発行加算10円を新設(発行1回あたり・増収要因)
- 同意書ルールの厳格化(修正液・修正テープ不可、オンライン診療による同意書発行の禁止)
試算を読むときの注意点
1. 「増収」でも手放しでは喜べない
シミュレーターが増収を示しても、その多くは物価高騰・賃上げ対応分です。改定率+0.60%の内訳は「診療報酬改定相当分0.14%+物価上昇対応分0.46%」であり、増収分は人件費・光熱費・材料費の上昇を吸収するための原資という性格が強い点に注意してください。純粋な利益増ではありません。
2. 逓減強化の影響は「施術構成」で決まる
同じ月間患者数でも、1部位・低頻度中心の施術所と、多部位・高頻度中心の施術所では改定後の収入の動きが大きく異なります。自院がどちらのタイプに近いかを、レセコンの実データ(平均部位数・月16回以上の患者比率)で確認することが重要です。シミュレーターはその「あたり」をつけるための道具です。
3. 明細書発行加算は「発行体制」が前提
明細書発行加算(柔整:毎回10円/あはき:新設10円)は、費用支払いのたびに無償で明細書を交付することが要件です。発行しない選択をすると、この増収は得られません(シミュレーターで「発行しない」を選ぶと反映されます)。月まとめ発行を選ぶ患者には別紙様式5の意向確認が必要です。
4. レセコンの新料金対応を必ず確認
7月請求分から逓減率欄の記載が変わります(柔整の2部位目逓減欄は「80」)。レセコンソフトが新料金体系・新様式に対応しているか、施行前後で必ず確認してください。手書き対応の場合は逓減欄の修正で当面は対応可能です(疑義解釈問6)。
FAQ:収入シミュレーションに関するよくある質問
いいえ。本ツールは施術1件あたりの主要料金(後療料・電療料・施術料・明細書発行加算)の改定差分のみを合算した概算です。初検料・往療料・各種加算・訪問施術料などは含めていません。正確な収支は、レセコンから抽出した自院の直近3か月の実データ(部位数構成・施術頻度・加算算定件数)を新料金体系に当てはめて再計算してください。本ツールは「増減の方向と規模感をつかむ」目的でご利用ください。
2部位目からの80%逓減が新設されたためです。改定前は2部位目も満額(505円)でしたが、改定後は550円×80%=440円に逓減されます。1部位目は+45円の増額ですが、2部位目以降は逓減が強化されるため、多部位施術の比率が高いほど増収幅が縮みます。3部位施術が中心の施術所では、改定前後でほぼ横ばい〜わずかな増収にとどまるケースもあります。
改定後は月16回目以降の施術料が所定料金の50%に逓減される(新設)ためです。高頻度で通院する患者の17回目以降相当分が半額になるので、その比率が高いほど施術料の引き上げ効果が相殺されます。本ツールでは「該当患者の来院回数の一部が半額になる」という概算処理をしています。訪問施術中心の施術所は、別途集中減算(同一施設集中率90%以上で80%)の影響もあるため、解説本記事も併せてご確認ください。
明細書発行加算(10円/回)が加算されなくなります。ただし今回の改定・通知(保医発0605第4号)では、施術者は費用の支払いごとに無償で明細書を交付する義務があります。「発行しない」は加算の影響を確認するための比較用オプションであり、実務上は毎回発行が原則です。発行の手間を減らしたい場合は、患者の意向確認のうえ月まとめ発行を選択できます。
月間の増減額を単純に12倍しています。実際には季節による患者数変動、患者ごとの施術頻度のばらつき、途中からの加算算定開始などがあるため、あくまで目安です。年間の正確な影響を知るには、複数の代表的な施術パターンで試算し、患者構成の比率で加重平均する方法が実務的です。
+0.60%は療養費全体の改定率(財源ベース)であり、個々の施術所の収入変化とは一致しません。本ツールは「後療料・施術料・明細書発行加算といった主要項目の実額差分」を積み上げているため、料金引き上げ幅の大きい項目(電療料+13円、明細書発行加算の算定方式変更など)を多く算定する施術所は+0.60%より大きく増え、逓減強化の影響を強く受ける施術所は増収幅が小さく出ます。この「平均と実態のずれ」を可視化するのがシミュレーターの目的です。
まとめ
令和8年7月1日施行の療養費改定は、改定率+0.60%(過去10年最大)というプラス改定でありながら、柔整の2部位目80%逓減・あはきの月16回以降50%逓減という逓減強化を同時に盛り込んだ、施術所ごとに影響が大きく分かれる改定です。
- 1部位・低頻度中心の施術所:料金引き上げと明細書発行加算の算定機会拡大により、素直に増収になりやすい
- 多部位・高頻度中心の施術所:逓減強化の影響で増収幅が縮む、または横ばいになるケースがある
上のシミュレーターで自院の施術構成を入力し、増減の方向と規模感をつかんだうえで、レセコンの実データで精査することをおすすめします。改定内容の詳細な要件・料金表・疑義解釈Q&Aは、解説本記事「令和8年7月療養費改定ガイド」で確認できます。同じく報酬改定の影響を数字で試算したい薬局経営者の方は「薬局規模別シミュレーション2026」も参考にしてください。
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本記事のシミュレーターおよび数値は、厚生労働省専門委員会提出資料(001696843.pdf・001696850.pdf)の直読み確定値、および同省発出の告示・疑義解釈(事務連絡)に基づきます。告示の正文は各地方厚生局ページまたは厚生労働省ウェブサイトでご確認ください。本ツールは概算試算であり、実際の請求額・支給決定を保証するものではありません。



