社会福祉法等改正2026年6月|ケアプラン1割負担・身寄りなし高齢者支援・特定地域サービスの実務ポイント

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社会福祉法等改正2026年6月|ケアプラン1割負担・身寄りなし高齢者支援・特定地域サービスの実務ポイント
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最終更新日: 2026年9月7日

2026年6月19日、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)が参院本会議で可決・成立し、同月25日に公布されました。最大の注目点は「登録有料老人ホーム」入居者のケアプラン(登録施設介護支援)への1割自己負担導入です。これまで利用者負担ゼロだったケアマネジメントへの有料化は介護保険制度創設以来初めての転換で、母体となる住宅型有料老人ホームは12,668棟・定員39万人規模です。中山間地・人口減少地域での「特定地域サービス」創設、身寄りのない高齢者への日常生活・死後事務支援の公的事業化も盛り込まれています。原則施行は令和9年(2027年)4月1日ですが、一部は公布後2〜3年以内の政令指定日となります。

重要: 本記事は、成立した法律の条文(e-Gov 法令検索で施行時点別に確認)と、厚生労働省公表の改正概要に基づきます。各改正事項の詳細施行日・具体的な負担額・対象者要件は今後の政省令・告示で確定します。施行日が未確定の事項は、条文の言い回しどおり「公布の日から起算して○年を超えない範囲内において政令で定める日」と表記します。

実務ポイント

① ケアプラン有料化の対象は「登録有料老人ホーム」入居者のみ。今回の改正で費用負担が生じるのは、都道府県等への登録制度が新設される「中重度要介護者向け有料老人ホーム」の入居者(登録施設要介護被保険者)が受ける「登録施設介護支援」に限定される。在宅の居宅介護支援(一般的なケアプラン)は対象外。費用の90%が給付で、残り10%(1割)が利用者負担となる仕組み。施行は公布後3年以内の政令指定日。

② 身寄りのない高齢者支援が「第二種社会福祉事業」に位置付けられる。入院手続き代行・医療費支払い・葬祭その他の死後事務に係る手続きまで支援する事業を社会福祉事業として整備。「精神上の理由または近隣に居住する家族がいないことその他の理由により日常生活等に支障がある生計困難者」が対象。低所得者は無料または低額。施行は公布後2年以内。

③ 中山間地・人口減少地域に「特定地域サービス」が新設される。都道府県が「特定地域」を指定し、人員配置基準の柔軟化や包括的な評価(月単位定額報酬等)が導入可能に。さらに市町村が事業として直接居宅サービスを提供できる「特定地域居宅サービス等事業」も創設。施行は原則令和9年4月1日。


改正の背景:2040年問題と現役世代急減

2026年は「団塊ジュニア世代」が50歳代後半に差し掛かる年です。2040年には65歳以上人口がピークを迎える一方、現役世代(15〜64歳)が急減することが確実視されています。社会保障の担い手側が細る中、高齢者の多様化・複雑化するニーズに応えられる福祉制度の再構築が急務でした。

介護保険制度そのものの基本的な仕組みは介護保険2026年完全ガイド|誰が・いつから・いくら使える?申請から給付までの全体像で総整理しています。

今回の改正は「介護保険法」「老人福祉法」「社会福祉法」「障害者総合支援法」「児童福祉法」「困窮法」「生保法」「社会福祉士及び介護福祉士法」など、主に次の8法を含む多数の法律にわたる一括改正です。「質の高い福祉サービスの確保」と「社会福祉事業等の安定した経営基盤の確立」の両立を目的として、大きく3つの柱から構成されています。

柱 内容 対応する主な改正
第1柱 地域の実情に応じた包括的な支援体制の拡充 特定地域サービス、登録施設介護支援、身寄りなし高齢者支援
第2柱 福祉人材の安定的な確保および定着支援 ケアマネ更新制廃止、協議会設置、介護福祉士経過措置
第3柱 支援基盤の強化等 社会福祉連携推進法人の業務拡大、残余財産帰属先見直し、DWAT(災害派遣福祉チーム)の法定化

改正事項1:登録施設介護支援(ケアプラン)への1割自己負担導入

これまでの仕組みと今回の変更点

介護保険のケアプラン(居宅介護支援)は、制度創設当初から利用者負担がゼロでした。ケアマネジャーがケアプランを作成する費用は全額が介護保険から給付され、利用者が直接支払う必要はありませんでした。今回の改正ではこの仕組みが一部変わります。

項目 改正前 改正後(施行後)
対象施設 — 登録有料老人ホーム(新設)
費用名称 — 要介護者は「登録施設介護サービス計画費」、要支援者は「登録施設介護予防サービス計画費」
給付割合 — 費用の90%
利用者負担 ゼロ 費用の10%(1割)
対象者 — 登録施設要介護被保険者(要介護者)・登録施設要支援被保険者(要支援者)
施行時期 — 公布後3年以内に政令で定める日

重要な確認事項:今回の「1割負担導入」は、あくまでも新設される「登録施設介護支援」に限った話です。現在、在宅で居宅介護支援(通常のケアプラン作成)を受けている方、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設に入所している方の費用負担には影響しません。改正後の条文では、「居宅介護支援」の定義そのものから「登録有料老人ホームにおける居室において介護を受ける者」が除かれます。登録有料老人ホームの入居者だけが居宅介護支援の枠から抜け、登録施設介護支援に移る構造です。

「登録有料老人ホーム」とは何か

今回の改正で新たに創設される「登録有料老人ホーム」は、主に中重度の要介護者を入居させる住宅型有料老人ホームで、都道府県等への登録制度(事前規制)が導入されます。対象となる要介護状態区分は政令で定められる予定で(現時点では未確定)、現状の入居実態(後述)からは要介護3以上が一つの目安とみられます。

登録の主なポイントは次の3点です。

  1. 登録は5年ごとの更新制です。老人福祉法第29条の16第2項は「前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、
    その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めています。
  2. 登録先は都道府県知事です。同条第1項が「当該有料老人ホームを設置しようとする地の都道府県知事の登録を受けなければならない」
    としています(設置前の事前登録)。
  3. 登録有料老人ホームは、介護保険法上の「特定施設」に位置づけられます(介護保険法第8条第11項)。
    特定施設入居者生活介護の対象となる施設の一つになります。

登録の基準(老人福祉法第29条の18第1項)は次のとおりです。

登録の基準は、①入居契約が書面によるものであること、②厚生労働省令で定める不当な条件を付さない契約であること、
③運営に関する重要事項を定めていること、④設備・運営が都道府県の条例で定める基準に適合すること、の4点です。

背景として、有料老人ホームは急速に拡大しています。2014年からの10年間で、施設数は9,581件から17,246件へ、
入居者数は387,666人から673,689人へと増えました(厚生労働省老健局調べ・2024年6月末時点)。
このうち今回の改正が主に想定する住宅型有料老人ホーム(有料老人ホームのうち、特定施設入居者生活介護の
指定を受けていないもの)は、2024年6月末時点で12,668棟・定員392,346名です。
これとは別にサービス付き高齢者向け住宅があり、その約96%は有料老人ホームにも該当します
(厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」資料)。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の定員604,469人(厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」)と
並べても、無視できない規模になっています。
住宅型の入居者は55.9%(2024年)が要介護3以上の中重度者で、退去理由の最多は「死亡」の55%です
(令和6年度老人保健健康増進等事業「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究」)。
事実上「終の住処」として機能しているにもかかわらず、住宅型は介護保険法上の指定を受けない届出制の施設であり、
制度上の管理が十分でないとの問題意識から登録制度が設けられることになりました。

同時に、同一法人が隣接する介護事業所からのサービスを組み込む「囲い込み」の是正として、外部の独立した事業所がケアプランを作成する「登録施設介護支援」の仕組みが新設されます。

1割負担の具体的な目安

改正後の条文では「費用の90%を給付、残り10%を利用者負担」と規定されています(介護保険法第47条の2第2項
「百分の九十に相当する額」)。登録施設介護支援の報酬単価そのものは今後の告示で決まりますが、
現行の居宅介護支援費を目安として置いてみます。

要介護3〜5の居宅介護支援費(Ⅰ)(一)は月1,411単位です(厚生労働省「介護報酬の算定構造」指定居宅介護支援)。
2026年6月の介護報酬改定で居宅介護支援にも介護職員等処遇改善加算(基本部分の1000分の21)が新設されたため
(令和8年厚生労働省告示第87号)、加算込みでは約1,440単位となります。
1単位あたりの単価は地域区分で変わり、居宅介護支援が属する人件費割合70%の区分では、東京都特別区などの1級地で11.40円、
その他地域で10.00円です(厚生労働省「介護報酬の地域区分について」)。

地域区分 単価 月額の費用(1,440単位相当) 1割負担
1級地(東京都特別区等) 11.40円 約16,400円 約1,640円
その他地域 10.00円 約14,400円 約1,440円

1割負担はおおむね月1,400円台から1,600円台という水準感になります。ただしこれは現行の居宅介護支援費から置いた目安で、
登録施設介護支援の報酬単価が確定するまでは変動します。

なお、一定以上の所得がある方については、既存の介護保険法第49条の2(一定以上の所得を有する要介護被保険者に係る
居宅介護サービス費等の額)の対象に、登録施設介護サービス計画費と特例登録施設介護サービス計画費が追加されます。
居宅サービスと同じ枠組みで負担割合が上がる扱いです。具体的な所得基準は政省令で定めることとされています。


改正事項2:身寄りのない高齢者への支援を公的事業化

増え続ける「身寄りなし高齢者」

三親等内の親族がいない高齢者は、2024年時点で約286万人(高齢者の7.9%)と推計されており、2050年には約448万人
(同11.5%)まで増加するとみられています(日本総合研究所「増加する『身寄り』のない高齢者」2024年7月)。
三親等内の親族は民法上の扶養義務が及びうる範囲で、引取人のいない遺体があった場合に自治体が照会する範囲でもあります。こうした方々は病院への入院手続きや介護施設への入所手続き、そして亡くなった後の葬儀・家財処分の手続きを一人でこなさなければならず、事業者や施設にとっても対応困難なケースが増えています。

支援の対象者と事業の内容

今回の改正では、「精神上の理由または近隣に居住する家族がいないことその他の理由により日常生活または社会生活を営むのに支障がある生計困難者」を対象とした「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」が、新たな第二種社会福祉事業として位置付けられます。

現行の「福祉サービス利用援助事業」は「精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者」が対象で、
認知症や知的障害のある方を想定した制度でした。改正後は3つの点が変わります。
①対象となる理由に「近隣に居住する家族がいないことその他の理由」が加わり、いわゆる身寄りのない高齢者が明示的に入る、
②支障の範囲が「日常生活」だけでなく「社会生活」にも広がる、
③援助の対象となるサービスに保健医療サービスと「葬祭その他の生計困難者が死亡した場合に必要なサービス」が加わる。
一方で、条文は対象者を「生計困難者」と定めています。現行の第十二号にはこの要件がないため、
経済的な要件の面では絞り込みが入る形です。誰が「生計困難者」に当たるかは今後の政省令で示されます。

支援の内容は、制度の想定として大きく3つのフェーズに分かれます(法律案要綱の骨格は「福祉サービス等の利用の援助」であり、以下の個別業務をどこまで公的支援の対象とするかは今後の政省令・指針で確定します):

【フェーズ1:日常生活中の支援】
– 福祉サービス・保健医療サービスの利用援助
– 日常的な金銭管理(通帳・印鑑の保管など)
– 書類・証書の保管
– 定期的な見守り・声かけ

【フェーズ2:入院・入所時の支援】
– 病院や介護施設への入院・入所手続きの代行
– 緊急連絡先の提供
– 医療費・施設利用料等の支払い代行

死後の支援が条文に書き込まれた点が今回の改正の核心です。第2条第3項第十二号は、援助の対象となるサービスとして
「イ 保健医療サービス」「ロ 葬祭その他の生計困難者が死亡した場合に必要なサービス」を明記しています。

【フェーズ3:死後の支援(新設の核心)】
– 葬儀・納骨の手続き代行
– 家財道具等の処分に関する契約手続き
– 各種官庁への届け出(住民票・年金等)
– 公共料金の解約・精算手続き

費用負担と担い手

費用については「生計困難者」が対象であるため、支払いが困難な方には「無料または低額」での提供が想定されています。担い手については、社会福祉協議会が中心的役割を担う見通しで、民間事業者の参入も促進されます。

広域展開が可能な大規模法人が地域を分担する形での運用が期待されていますが、実際の担い手確保と運営体制については今後の課題です。なお、身寄りがなく住まいの確保に不安を抱える障害のある方については、共同生活援助という選択肢もあります。制度の位置づけや費用は障害者グループホームの利用者負担と支援内容で整理しており、今回の高齢者向け居住支援とあわせて把握しておくと支援の全体像がつかみやすくなります。

項目 内容
根拠規定 改正社会福祉法 第二条第三項第十二号(福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業)
事業区分 第二種社会福祉事業
対象者 精神上の理由または身寄りがない等の理由で日常生活に支障がある生計困難者
施行時期 公布(令和8年6月25日)後2年以内に政令で定める日
費用負担 低所得者は無料または低額
担い手 社協・民間事業者等(詳細は今後の政省令)

改正事項3:中山間地等「特定地域サービス」の創設

人口減少地域が抱える介護サービスの維持困難問題

中山間地域や人口減少地域では、介護事業者の撤退・廃業が相次いでおり、人員配置基準を満たすスタッフ確保が困難になっています。現行の介護保険制度は人員・設備・運営基準が全国一律であるため、都市部と同じ基準で事業所を維持することが難しい地域が増えています。

「特定地域サービス」の仕組み

今回の改正では、都道府県が「特定地域」を指定(人口の減少その他の基準に該当する地域)し、その地域に限り以下の特例を適用できるようになります:

特例の内容 具体的な変更
人員配置基準の柔軟化 従業員数・資格要件等を特定地域の実情に合わせた基準に変更可
包括的な評価方式 出来高報酬ではなく月単位の定額報酬の導入を可能に
費用の給付 既存の「特例居宅介護サービス費」「特例施設介護サービス費」の支給事由に特定地域のサービスを追加。給付は費用の90%相当

さらに、区域内に特定地域がある市町村は、地域支援事業として「特定地域居宅サービス等事業」を行えるようになります
(介護保険法第115条の45第3項)。提供できるサービスは条文で限定されており、要介護認定を受けた方には
訪問介護・訪問入浴介護・通所介護・短期入所生活介護の4種類、要支援認定を受けた方には
介護予防訪問入浴介護・介護予防短期入所生活介護の2種類です。市町村は、厚生労働省令で定める基準に適合する者に
この事業の実施を委託することもできます。

ここで注意したいのは、これが介護給付ではなく地域支援事業である点です。公費の負担割合は国が費用の20%、
都道府県が12.5%、市町村が12.5%で(介護保険法第121条〜第124条)、残りは第1号・第2号被保険者の保険料でまかなわれます。
通常の居宅サービスとは費用の流れが異なります。

施設・在宅いずれも対象となります。ただし人員基準がなくなるわけではありません。特定地域居宅サービスについては、
従事する従業者に係る基準と員数、居室の床面積、利用定員、運営に関する事項を都道府県が条例で定めることになっており
(介護保険法第42条)、全国一律の基準に代えて地域の実情に応じた基準を都道府県が設定する仕組みです。

施行時期

原則として令和9年(2027年)4月1日に施行されます。ただし「特定地域居宅サービス等事業」の詳細は厚生労働省令で定める基準によることになっており、一部は政令・省令の整備後に実施可能となります。


改正事項4:福祉人材確保の強化

ケアマネジャーの更新制廃止

現行制度では、介護支援専門員(ケアマネジャー)は5年ごとに更新研修を受けなければ資格を維持できない「更新制」が設けられていました。今回の改正でこの更新制が廃止され、資格取得後の研修体制が見直されます。

更新制廃止は、ケアマネジャーの確保難を背景とした規制緩和の一環です。現場からは「更新研修のコスト・時間負担が重く、資格を手放す要因になっている」との声があがっており、廃止によって人材の定着・確保が期待されます。施行時期は公布後1年6月以内に政令で定める日です。

福祉人材確保協議会の設置(都道府県の努力義務)

都道府県が市町村・公共職業安定所・都道府県福祉人材センター・介護労働安定センター・養成施設・事業者等で構成される「福祉人材確保のための協議会」を設置するよう努める義務が課されます。協議会では人材養成・職場定着・広報・事業所の取り組み状況を情報交換し、確保策を協議します。

介護福祉士養成施設の卒業者に係る経過措置

平成29年度から令和13年(2031年)度までの間に介護福祉士養成施設等を卒業した方は、
卒業した日の属する年度の翌年度の4月1日から5年間、介護福祉士となる資格を有することとされます。
この経過措置の期限は、改正前は令和8年度末までで、今回の改正で5年延長されました(公布日から施行済み)。
さらに、平成29年度から令和8年度までの間に卒業した方については、この5年間を通じて継続して介護等の業務に
従事した場合に、その後も引き続き資格を有することができる措置が設けられます。
あわせて准介護福祉士の資格が廃止されます(現に准介護福祉士の名称を使用している方には、施行後6か月の経過措置があります)。


改正事項5:社会福祉法人・社会福祉連携推進法人の見直し

残余財産の帰属先の変更

社会福祉法人が解散する場合の残余財産について、これまでは「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者」への帰属が原則でしたが、改正後は「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者または地方公共団体」から選定されるよう変更されます。地方公共団体への帰属が法的に明確化されることで、解散後の財産の適切な活用が図られます。

根拠は社会福祉法第31条第6項です。定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合、
その者は「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者のうちから」選定することとされていましたが、
改正後は「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者又は地方公共団体のうちから」に変わります。
なお、定款で処分されない財産が国庫に帰属する点(第47条第2項)は変わりません。

社会福祉連携推進法人の業務拡大

社会福祉連携推進法人が実施できる業務に、金銭以外の資産の貸付けその他の、社員が社会福祉事業に係る業務を行うのに
必要な金銭以外の資産を備えるための支援(厚生労働省令で定めるもの)が追加されます(社会福祉法第125条)。
既存の「資金の貸付け」の業務が社員のうち社会福祉法人向けに限られているのに対し、新設される資産貸付けの支援には
その限定が付いていません。

あわせて、第二種社会福祉事業を自ら行うことも可能になります。ただし無条件ではなく、
業務を実施する区域において必要な福祉サービスの提供が十分に行われておらず、かつ行われる見込みがない場合に、
認定所轄庁の認可を受けたときに限られます。

DWAT(災害派遣福祉チーム)の法定化

第3柱にはもう一つ、災害時の福祉支援体制の強化が入っています。DWAT は Disaster Welfare Assistance Team の略で、
災害時に避難所などで高齢者の相談支援や介助を行う専門チームです。これまで各都道府県の取り組みとして運用されてきましたが、
今回の改正で法律に位置付けられ、国がチーム員を登録し、平時から研修・訓練を実施する仕組みになります。
あわせて、災害時に必要な個人情報を適切に活用できるよう、秘密保持義務が明確化されます。


改正対応のチェックリスト

有料老人ホーム事業者

  • [ ] 「登録有料老人ホーム」制度の登録要件(厚生労働省令で定める基準)の確認(政省令公表後)
  • [ ] 登録施設介護支援の体制整備(外部のケアマネ事業所との連携)
  • [ ] 入居者への費用負担(1割)説明の準備
  • [ ] 囲い込み防止の運営体制見直し
  • [ ] 重要事項説明書・入居契約書の改定

居宅介護支援事業者・ケアマネジャー

  • [ ] 「登録施設介護支援事業所」としての指定取得の要否確認
  • [ ] 更新制廃止後の研修体制の確認(公布後1年6月以内施行)
  • [ ] 担当する利用者の施設形態の把握(在宅か登録有料老人ホームか)

市町村・地域包括支援センター

  • [ ] 「特定地域」への該当有無の確認(都道府県が指定)
  • [ ] 特定地域居宅サービス等事業実施の検討
  • [ ] 身寄りなし高齢者支援事業の担い手確保策の検討(公布後2年以内施行)

社会福祉協議会・民間支援団体

  • [ ] 身寄りなし高齢者支援事業(第二種社会福祉事業)の実施に向けた体制整備
  • [ ] 死後事務委任契約・日常生活支援契約の様式整備
  • [ ] 低所得者向けの費用負担減免の仕組み検討

各施行時期まとめ

今回の改正は複数の施行期日が設定されています。「公布日」は令和8年(2026年)6月25日です。

施行時期 主な改正内容
公布日(令和8年6月25日) 介護福祉士養成施設卒業者の経過措置(一部)
公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日(最遅2027年12月24日) ケアマネジャー更新制の廃止・法定研修の見直し
同2年(最遅2028年6月24日) 身寄りなし高齢者支援事業(第二種社会福祉事業への位置付け)、登録有料老人ホームの登録制度(一部)
同3年(最遅2029年6月24日) 登録施設介護支援(ケアプラン1割負担)、介護被保険者証の電子資格確認、福祉人材確保協議会設置(努力義務)の一部
原則:令和9年(2027年)4月1日 特定地域サービス・特定地域居宅サービス等事業、小規模市町村地域支援連携協働体制整備事業、社会福祉法人残余財産帰属先見直し、夜間対応型訪問介護の廃止 等

注意:「公布後○年以内に政令で定める日」とは、政府が具体的な施行日を政令(内閣が定める法令)で別途指定することを意味します。実際の施行日は政省令の公布まで確定しません。なお「公布の日から起算して○年を超えない範囲内」とは、公布日を1日目として数えるため、上限は公布日の応当日の前日にあたります(3年なら2029年6月24日)。


よくある質問(FAQ)

A

なりません。今回の1割負担導入の対象は「登録有料老人ホーム」の入居者が受ける「登録施設介護支援」に限定されます。在宅で居宅介護支援(通常の訪問ケアプラン作成)を利用している方や、特別養護老人ホーム・老人保健施設に入所している方の費用負担には影響しません。

A

法律は令和8年(2026年)6月25日に公布されましたが、この事業の施行日は「公布後2年以内に政令で定める日」とされています。つまり最短では令和8年(2026年)後半以降(政令の公布次第)、最遅で令和10年(2028年)6月24日までに施行される見通しです。具体的な開始時期は政令の公布をお待ちください。現時点で利用できるサービスとしては、各市区町村の「日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)」や、任意後見・法定後見制度が選択肢となります。

A

都道府県が「人口の減少その他の厚生労働省令で定める基準に該当する地域」を「特定地域」として指定します。具体的な基準は今後の厚生労働省令で規定されますが、過疎地域や中山間地域が対象となることが想定されます。ご自身の地域が対象かどうかは、都道府県の介護保険担当部署または市区町村の地域包括支援センターにご確認ください。

A

今回の改正によりケアマネジャーの5年ごとの更新研修制度が廃止されます。施行後は更新手続きなしに資格を維持できるようになります。ただし、施行時期は「公布後1年6月以内に政令で定める日」(公布日2026年6月25日から起算し、最遅で令和9年(2027年)12月24日)であり、具体的な施行日まではこれまで通り更新研修が必要です。また研修制度自体の見直しも行われますが、詳細は今後の法定研修規定改正を確認してください。

A

従来は残余財産を「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者」に帰属させることとされていましたが、改正後は「社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者または地方公共団体」のうちから選定される形になります。地方公共団体(都道府県・市区町村等)への帰属が法的に選択肢として明確化されることで、地域の福祉財源として活用しやすくなります。施行は原則令和9年(2027年)4月1日です。

A

いいえ。今回の「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)は、社会福祉法・介護保険法・老人福祉法・障害者総合支援法・児童福祉法・生活困窮者自立支援法・生活保護法・社会福祉士及び介護福祉士法など多数の法律を一括して改正する総合的な改正法です。高齢者・障害者・子ども・困窮者に係る福祉制度全般を横断的に見直す内容となっています。

A

はい。今回の改正により「夜間対応型訪問介護」が地域密着型サービスから廃止されます。施行は原則令和9年(2027年)4月1日です。夜間の訪問介護のニーズは今後も定期巡回・随時対応型訪問介護看護や通常の訪問介護で対応する形になります。現在夜間対応型訪問介護を利用している方・提供している事業者は、施行前に代替サービスの確認・移行計画の策定が必要です。

ただし経過措置があります。施行日(2027年4月1日)の時点ですでに夜間対応型訪問介護の事業を行っている事業者については、
施行日から起算して3年を経過する日までは改正前の規定がそのまま効力を持ち、その間に提供したサービスの保険給付も
従来どおり扱われます。つまり既存事業者には約3年の移行期間が確保されています。新規の指定申請については、
施行日前に申請していて処分が出ていないものは従前の例によります。


まとめ:関連制度との連動で全体像を把握する

2026年6月の社会福祉法等改正は、単独でなく同年6月1日施行の介護報酬改定2026年6月と連動して介護制度の大規模な再構築を進めるものです。また、2026年6月同時期に改正が成立した健康保険法等改正(令和8年法律第31号)とも合わせて理解が必要です。

利用者・家族の立場では「ケアプラン(登録施設介護支援)への1割負担導入が本当に対象になるか」を確認することが最初の実務対応です。住宅型有料老人ホームに入居しているか否か、そしてそのホームが「登録有料老人ホーム」として登録される施設かどうかが分岐点となります。

介護事業者・社会福祉法人の立場では、登録制度への対応、ケアマネ体制の見直し、人口減少地域の事業所では「特定地域サービス」活用の検討が主な対応事項です。

いずれの対応も、詳細は今後の政省令・告示の公布を待って確定します。厚生労働省の介護保険最新情報ページで随時最新情報を確認することをお勧めします。


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免責事項: 本記事は令和8年6月25日公布の社会福祉法等改正(令和8年法律第51号)による改正後の条文と、厚生労働省公表の改正概要に基づき作成しています。改正事項の詳細(対象者要件・費用額・施行日等)は今後の政省令・告示で確定します。本記事は情報提供を目的とするものであり、個別の法律相談や制度適用についての判断は、厚生労働省・都道府県・市区町村または専門家(社会福祉士・弁護士・行政書士等)にご相談ください。

JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

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