障害者雇用 対象企業の判定方法|37.5人カウントの実務と除外労働者の整理

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障害者雇用 対象企業の判定方法|37.5人カウントの実務と除外労働者の整理
目次

最終更新日: 2026年5月

本記事は、2026年7月1日施行の障害者法定雇用率2.7%引上げに伴い、対象企業の規模要件が「常用労働者40人以上」から「常用労働者37.5人以上」に拡大することを受け、自社が雇用義務の対象になるかを判定するための実務手順を整理したものである。雇用率改正の全体像は障害者雇用率2.7%引上げ完全ガイド|2026年7月施行で中小企業がやるべき5ステップ対応を参照されたい。本稿では、ハブ記事では紙幅の都合で省略した「常用労働者の数え方」「短時間・有期・派遣の取扱い」「除外率業種の境界事例」「ロクイチ報告の実務」を、社労士監修の視点で深掘りする。

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⚠️ 本記事は2026年5月時点の障害者雇用促進法・厚生労働省告示・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)公表資料に基づく。 法定雇用率2.7%・対象企業37.5人以上は2026年7月1日施行の確定値。除外率の各業種別引下げ後の数値(建設10%・鉄鋼20%・林業25%、道路旅客運送業・倉庫業・採石業等の廃止)は2025年4月施行済みだが、最新告示で必ず確認すること。※2026年6月1日基準のロクイチ報告は旧基準(40人以上・2.5%)で実施。新基準(37.5人以上・2.7%)の初回報告は2027年6月1日基準。 具体的判定は所轄ハローワーク・社労士に相談されたい。

「うちの会社は対象になるのか?」——2026年7月の障害者雇用率引上げで最も多い問い合わせがこれである。常用労働者37.5人ボーダーは0.5人刻みでカウントされるため、短時間パートが多い小売・飲食・調剤薬局・介護事業所では、正社員数だけ見ても判定できない。本記事は、自社の常用労働者数を正しく算定するための6ステップと、判定境界(37.5人ジャスト・100人ジャスト)の取扱い、除外率業種の組合せ計算、ロクイチ報告の記載要領までを通しで解説する。

実務ポイント

「常用労働者」は雇用契約名称ではなく実態で判定する。1年超の雇用見込みがあれば、契約社員・パート・嘱託・有期の有無を問わず算入対象になる。試用期間中も「引き続き1年超見込み」なら算入する。

短時間労働者(週20〜30時間)は0.5人カウント。週20時間未満は原則対象外で、特定短時間労働者として0.5人算入する特例は障害者本人のカウントに限り、母数(常用労働者数)には含めない点に注意する。

派遣労働者は派遣元でカウント。受入企業(派遣先)の常用労働者には算入しない。請負・業務委託の取扱いは契約実態で判断する。


「常用労働者」の定義——契約名称より実態

法令上の定義

障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)施行規則第6条および厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく障害者雇用状況の報告に関する省令」では、報告対象となる「常用労働者」を「1年を超えて雇用される見込みのある者、または雇入れの日から1年を超えて引き続き雇用されている者」と定義している。

ここでのポイントは2つある。

  1. 雇用契約の形式・名称を問わない: 正社員・契約社員・嘱託・パート・アルバイト・準社員・パートナー社員——どのような呼称であっても、「1年超の雇用見込み」があれば算入する。
  2. 見込み判定は採用時点で行う: 「6か月契約だが更新前提」の場合、採用時点で「更新により1年超になる見込み」と評価できれば、最初の雇入れ時点から常用労働者として算入する。実態として更新が常態化している事業所では、初回契約期間が短くても算入対象となる。

試用期間・契約更新前提の取扱い

雇用形態 雇入れ時点の取扱い 補足
正社員(無期雇用) 算入 試用期間中も算入
1年超の有期雇用契約 算入 契約期間そのものが1年超
6か月契約だが更新前提 算入 更新により1年超見込みが認められる場合
1年契約・更新条項なし 算入 「1年を超えて」とは「1年と1日」以上を意味するため、1年ジャスト契約は厳密には対象外。ただし更新前提なら算入
短期アルバイト(3か月等) 対象外 契約期間1年以下かつ更新見込みなし
季節雇用(毎年同時期に契約) ケースバイケース 同一労働者を毎年雇用する慣行があれば算入

: 「1年を超えて」の解釈について、厚生労働省・JEED発行の「障害者雇用率制度・障害者雇用納付金制度のご案内」では、雇用契約期間が1年と定められている場合でも、更新により1年を超えることが見込まれる場合は対象とすると整理されている。グレーな案件は所轄ハローワークまたはJEED都道府県支部に書面照会することを推奨する。

よくある誤解の整理

実務でしばしば混乱する論点を整理する。

  • 「役員はカウントするか?」: 取締役・監査役等の役員(労働基準法上の労働者でない者)はカウント対象外。ただし「使用人兼務役員(部長兼取締役等)」で労働者性が認められる者は算入する。
  • 「出向社員は出向元と出向先のどちらでカウントするか?」: 賃金支払者・指揮命令者等の実態から「主たる雇用主」を判定する。在籍出向で出向元が主たる雇用主のままの場合は出向元、転籍出向の場合は出向先で算入する。
  • 「外国人技能実習生・特定技能はカウントするか?」: 1年超の在留資格・雇用契約があれば算入する。雇用形態は実習生・特定技能を問わない。

カウントの基本ルール——0.5刻みの世界

週所定労働時間別の人数換算

障害者雇用率制度における労働者数は、週所定労働時間に応じて以下のように換算される。

区分 週所定労働時間 母数(常用労働者数)への算入
通常の労働者 30時間以上 1人
短時間労働者 20時間以上30時間未満 0.5人
超短時間労働者 10時間以上20時間未満 原則対象外(注)
その他 10時間未満 対象外

: 週10時間以上20時間未満の超短時間労働者は、母数(分母)には算入しない。一方、雇用する障害者本人のカウント(分子)では、特定短時間労働者として0.5人算入する特例がある(後述の「障害者本人のカウント」を参照)。母数と分子で扱いが異なるため、判定実務では区別を厳密にすること。

計算の基本式

法定雇用率を満たすために必要な障害者の雇用人数は、以下の式で算定する。

必要雇用障害者数 = (常用労働者の総数 − 除外労働者数) × 法定雇用率

2026年7月1日以降は法定雇用率2.7%を適用し、小数点以下は切り捨てる。

: 通常労働者35人+短時間労働者10人の企業(除外率業種非該当)の場合
– 母数 = 35 + (10 × 0.5) = 40人
– 必要雇用数 = 40 × 0.027 = 1.08人 → 切捨て1人

0.5刻み判定の実務的インパクト

「常用労働者37.5人」というボーダーは、短時間労働者の比率次第で容易にまたぐ。以下の組合せでは、いずれも常用労働者37.5人ジャストとなり、雇用義務が発生する。

通常労働者 短時間労働者(週20〜30時間) 常用労働者数 雇用義務
37人 1人 37.5人 1人(0.5×0.027=0.01人切捨て——37.5×0.027=1.0125→1人)
35人 5人 37.5人 1人
32人 11人 37.5人 1人
27人 21人 37.5人 1人
0人 75人 37.5人 1人

実務上、パート比率の高い小売店・飲食店・調剤薬局・介護事業所等は、正社員30人台でも短時間労働者を加味すると37.5人を超えるケースが多発する。正社員数だけで「うちは対象外」と判断するのは危険である。 なお「常用労働者100人ジャスト=100人以下扱い」の取扱いは、障害者雇用促進法第49条以下および厚生労働省告示・JEED『障害者雇用納付金制度のご案内』に基づく。


雇用形態別の取扱い——有期・派遣・請負の整理

有期雇用労働者

雇用契約期間が1年を超える有期労働者、および1年以下の契約でも更新により1年超の雇用見込みがある労働者は、常用労働者として算入する。判定基準は前述「常用労働者の定義」と同じく、実態として1年超の雇用関係が継続するかである。

派遣労働者の取扱い

派遣労働者は、原則として派遣元事業主で常用労働者としてカウントする。派遣先(受入企業)の常用労働者数には算入しない。

区分 派遣元 派遣先
派遣労働者を母数に算入するか ○(雇用契約があるため) ×
派遣労働者を障害者として雇用するか ×
雇用義務を負うのは 派遣元

: 派遣先の常用労働者数には派遣労働者を含めないが、派遣先で受け入れた障害者の支援(合理的配慮の提供)は派遣先の責務でもある。雇用義務(量の問題)は派遣元、就労環境(質の問題)は派遣元・派遣先の双方が負う構造である。

請負・業務委託・フリーランスの取扱い

請負・業務委託契約の労働者は、雇用契約が存在しないため原則として常用労働者にカウントしない。ただし、契約形式が「業務委託」でも、実態として労働者性が認められる(指揮命令下で業務遂行、就業時間・場所の拘束、専属性が高い等)場合は、雇用契約とみなされる場合がある。

「労働者性」の判断基準は厚生労働省の労働基準法研究会報告書(昭和60年)等に詳しいが、実務的には次の指標が用いられる。

  • 仕事の依頼に対する諾否の自由があるか
  • 業務遂行上の指揮監督関係があるか
  • 拘束性(時間・場所)があるか
  • 代替性が認められるか
  • 報酬が労務対償性を持つか
  • 機械・器具・原材料を誰が負担しているか
  • 報酬額が同種の労働者と比較して著しく高くないか
  • 専属性の程度

形式上は業務委託でも実態が労働者であれば、ハローワークから常用労働者として算入を求められる可能性がある。ボーダー企業は契約実態の整理を優先すること。

季節雇用・繁忙期短期雇用の取扱い

毎年同時期に同一労働者を雇用する慣行(典型例: 観光地の繁忙期スタッフ、税務シーズンの会計事務所アルバイト等)がある場合、契約期間が形式上は短期であっても、累積で1年を超える雇用関係が継続していれば常用労働者として算入される。「契約書の期間」より「実態の継続性」で判断する点に留意されたい。


除外労働者と除外率業種

除外率制度の概要

除外率制度は、障害者の就業が一般的に困難な業種(鉄鋼業・建設業・林業等)に対し、雇用率の算定基礎となる労働者数から一定割合を除外できる経過措置である。2002年に制度廃止が決定されたが、急激な縮小による事業者への影響を考慮し、段階的に縮小・廃止が進められてきた。

2025年4月以降の除外率(最新版)

2025年4月、各業種の除外率が一律10ポイント引き下げられた。直近の整理は以下のとおりである。

業種 2025年3月まで 2025年4月以降 取扱い
道路旅客運送業(タクシー・バス等) 5% 0% 廃止
倉庫業 5% 0% 廃止
採石業・砂・砂利・玉石採取業 旧設定業種 0% 廃止
建設業 20% 10% 10pt引下げ
鉄鋼業 30% 20% 10pt引下げ
林業(狩猟業含む) 35% 25% 10pt引下げ
船員等 業種別 個別告示 厚労省最新告示で確認

: 上記は主要業種の例示。除外率が設定されている業種・割合は、厚生労働省「障害者雇用率制度の概要」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/04.html)および厚生労働省告示「障害者雇用率設定業種等」(最新版)で確認すること。除外率業種の判定は、自社の主たる事業の日本標準産業分類細分類に基づく。

除外労働者数の計算式

除外率業種に該当する場合、以下の式で除外労働者数を算出する。

除外労働者数 = 常用労働者の総数 × 除外率(小数点以下切捨て)
雇用義務の母数 = 常用労働者の総数 − 除外労働者数

: 建設業(除外率10%)で常用労働者100人の企業の場合
– 除外労働者数 = 100 × 0.1 = 10人
– 雇用義務母数 = 100 − 10 = 90人
– 必要雇用数 = 90 × 0.027 = 2.43人 → 切捨て2人

複数事業所・兼業事業者の取扱い

1つの企業が複数の業種を営む場合、主たる事業の業種で除外率を判定する。事業所ごとに業種が異なる場合でも、原則として企業単位で1つの除外率を適用する。判定が困難な場合は所轄労働局・JEED都道府県支部に書面照会するのが安全である。


100人ボーダーの取扱い——報奨金と納付金の分岐点

100人ジャストはどちら扱いか

障害者雇用納付金制度では、常用労働者100人を境に対象制度が変わる。

  • 常用労働者100人以下: 納付金徴収の対象外。法定雇用率超過分は報奨金(月21,000円/人)の支給対象(要件あり、後述)
  • 常用労働者100人超(101人以上): 納付金(月50,000円/人、一律)徴収対象。法定雇用率超過分は調整金(月29,000円/人)の支給対象

「100人ジャスト」は100人以下として扱われ、納付金対象外・報奨金対象となる。「100人超」とは101人以上を意味する。境界企業は判定基準を所轄JEED都道府県支部に確認することを推奨する。

報奨金の支給要件

常用労働者100人以下の中小企業が報奨金を受給するには、以下の要件を満たす必要がある。

  • 各月の常用労働者数の年間合計の4%または年72人月のいずれか多い数を超えて障害者を雇用していること
  • 法定雇用率(2.7%)以上の達成は当然の前提

報奨金は超過1人月あたり21,000円。年間420人月(35人月×12か月相当)を超える分は16,000円に減額される。

調整金・納付金の単価

区分 対象企業 単価(月額) 減額措置
納付金 常用労働者101人以上 50,000円/人 一律(減額特例なし)
調整金 常用労働者101人以上 29,000円/人 年120人月超分は23,000円
報奨金 常用労働者100人以下 21,000円/人 年420人月超分は16,000円

: かつて常用労働者100人超300人以下を対象に納付金を月額40,000円に減額する経過措置が存在したが、既に適用期限は終了済み。現在は本則の月額50,000円が一律適用される。最新の取扱いは厚生労働省・JEED公式の案内で確認すること。納付金の計算詳細は本クラスター内の納付金計算ガイド(公開予定)で別途解説する。

規模変動企業の取扱い

年度の途中で常用労働者が100人を超えた・下回った場合、ロクイチ報告は6月1日基準の人数で行うため、「6月1日時点の人数」で判定される。年間平均ではなく、毎年6月1日の在籍状況がスナップショットとなる点に留意されたい。


ロクイチ報告の実務——6月1日基準・7月15日提出

ロクイチ報告とは

毎年6月1日現在の障害者雇用状況を、企業がハローワークに報告する制度。正式名称は「障害者雇用状況報告書(様式第6号)」だが、報告基準日が6月1日であることから「ロクイチ報告」と通称される。

項目 内容
対象企業 常用労働者37.5人以上(2026年7月1日以降。それ以前は40人以上)
基準日 毎年6月1日
提出期限 毎年7月15日
提出先 主たる事業所を管轄するハローワーク
提出方法 紙提出・電子申請(e-Gov)・電子申請(マイナポータル)等

報告書の主な記載事項

  • 企業の基本情報(名称・所在地・業種・事業所数)
  • 6月1日時点の常用労働者数(通常/短時間/合計)
  • 除外率業種に該当する場合の除外労働者数
  • 雇用障害者数(身体・知的・精神別、重度・短時間別)
  • 法定雇用率の達成状況
  • 不足している場合の改善計画

報告対象企業の境界事例(2026年)

2026年は法改正の端境期にあたり、ロクイチ報告の対象企業範囲が変動する。

報告基準日 対象企業の規模要件 法定雇用率 備考
2026年6月1日 40人以上(旧基準) 2.5% 2026年7月施行前の基準で報告
2027年6月1日 37.5人以上(新基準) 2.7% 2026年7月施行後の新基準で計算

ロクイチ報告未提出のリスク

報告書未提出の場合、まず文書勧告・公表対象となるリスクがある。報告内容に虚偽がある場合は、障害者雇用促進法第43条第7項違反として行政指導の対象になる。常用労働者数の集計漏れ・短時間労働者の換算ミスは虚偽報告と評価されるリスクがあるため、社労士監修または社内ダブルチェックを推奨する。


障害者本人のカウント——分子側の特例

ここまでは「分母(常用労働者数)」のカウントを解説したが、分子(雇用する障害者本人)のカウントには別の特例がある。判定の整合性を取るため、本記事の最後に簡潔に整理する。

障害種別・勤務形態別のカウント

区分 通常勤務(30時間以上) 短時間勤務(20〜30時間) 特定短時間(10〜20時間)
身体障害者・知的障害者(重度) 2人 1人 0.5人
身体障害者・知的障害者(重度以外) 1人 0.5人 0.5人
精神障害者 1人 1人(特例) 0.5人

精神障害者の短時間勤務「1人」特例

通常、短時間労働者(20〜30時間)は0.5人カウントだが、精神障害者については、2018年4月施行の特例により、雇入れから3年以内かつ精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内であれば「1人」とカウントする取扱いが導入された。

この特例は当初、2023年3月末で期限を迎える予定だったが、2023年4月以降「当分の間」延長されており、2026年5月時点でも継続適用中である(2018年4月施行・現行制度として継続中、有効期限は厚労省告示で都度確認)。具体的な終了時期は政令で定められるため、最新告示で確認すること。

特定短時間労働者の0.5人算入

2024年4月施行の改正により、週10時間以上20時間未満の障害者(特定短時間労働者)も0.5人として分子側に算入できるようになった。これは超短時間勤務での雇用機会を促進する趣旨。ただし、母数(常用労働者数)への算入は従来どおり対象外であるため、母数と分子の取扱いが非対称になる点に注意が必要である。

: 障害者本人のカウントの詳細(手帳の確認方法、重度判定、ダブルカウントの起算日等)は別記事で解説予定。本記事は「対象企業判定」を主眼とするため、分子のカウントは概要のみとした。


判定6ステップ——実務手順のまとめ

自社が雇用義務の対象になるかを判定するため、以下の手順を順に実行する。

ステップ① 6月1日時点(または直近)の在籍者を抽出

人事システム・給与システムから、6月1日基準の在籍者一覧を抽出する。役員・出向者・派遣受入者の取扱いを確認し、対象/対象外を区分する。

ステップ② 雇用契約期間と更新見込みを確認

各在籍者について、雇用契約期間および更新見込みを確認する。「1年超見込み」基準で算入対象を絞り込む。短期アルバイト・短期契約は除外する。

ステップ③ 週所定労働時間を区分集計

「30時間以上」「20時間以上30時間未満」「10時間以上20時間未満」「10時間未満」の4区分で集計する。「就業規則上の所定労働時間」ではなく「個別契約の週所定労働時間」で区分する点に注意。

ステップ④ 母数(常用労働者数)を計算

母数 = (30時間以上の労働者数) + (20〜30時間の労働者数 × 0.5)

10〜20時間の労働者は母数に含めない。

ステップ⑤ 除外率業種に該当する場合は除外労働者数を控除

雇用義務の母数 = 母数 − (母数 × 除外率)

主たる事業の業種で除外率を判定し、2025年4月引下げ後の数値を適用する。

ステップ⑥ 法定雇用率を乗じて必要雇用数を算出

必要雇用障害者数 = 雇用義務の母数 × 0.027(小数点以下切捨て)

母数が37.5人未満の場合、雇用義務は発生しない(必要雇用数は0人)。母数が37.5人以上の場合、必要雇用数は1人以上となり、雇用義務の対象となる。


よくある落とし穴——実務の盲点5つ

落とし穴① パート比率を見落として「対象外」と誤認する

正社員数だけで「うちは40人未満だから対象外」と判断するのは典型的な誤りである。週20〜30時間のパート・アルバイトは0.5人カウントで母数に算入される。小売・飲食・介護・調剤薬局では、パート比率が50%を超える事業所も珍しくない。必ず短時間労働者を含めて再計算すること。

落とし穴② 派遣労働者を派遣先でカウントしてしまう

「派遣社員も含めて自社の常用労働者数を計算する」は誤り。派遣労働者は派遣元でカウントするのが原則。派遣先(受入企業)の常用労働者数には算入しない。混同すると母数を過大計上してしまう。

落とし穴③ 業務委託の労働者性を見落とす

形式上は業務委託契約でも、実態として労働者性が認められる場合は常用労働者として算入される可能性がある。フリーランス活用が広がる中、契約形式と実態の乖離は監督指導の典型論点となっている。労働者性が疑われる契約は、社労士・弁護士の精査を経て整理することが望ましい。

落とし穴④ 除外率業種の認定を旧基準のまま使う

2025年4月に各業種の除外率が一律10ポイント引き下げられたが、社内マニュアル・計算シートを更新していない企業がある。旧除外率(建設20%・鉄鋼30%・林業35%等)で計算すると、母数を過小計上し、雇用義務人数を見誤る。2025年4月以降の最新除外率を必ず適用すること。

落とし穴⑤ ロクイチ報告の提出漏れ

常用労働者37.5人〜40人規模の企業は2027年6月1日が初回報告基準日となるが、対象企業の認知が遅れがちである。ハローワークから報告書様式が郵送されない場合もあり、自社で対象判定→提出義務の確認を行う必要がある。未提出は文書勧告・公表のリスクがあるため、施行後初回の報告は社労士に確認しながら進めるのが安全。


まとめ——判定境界の3つのチェックリスト

2026年7月施行の障害者雇用率2.7%引上げに向け、以下のチェックリストで自社の対象判定を確認されたい。

母数チェック

  • [ ] 役員・出向者・派遣労働者の取扱いを区分整理した
  • [ ] 1年超の雇用見込み基準で算入対象を絞り込んだ
  • [ ] 短時間労働者(20〜30時間)を0.5人カウントで集計した
  • [ ] 業務委託契約の労働者性を精査した
  • [ ] 母数が37.5人を超えるか、四半期ごとに試算する体制を整えた

除外率チェック

  • [ ] 自社の主たる事業の業種を日本標準産業分類で確認した
  • [ ] 2025年4月引下げ後の除外率を適用している
  • [ ] 複数業種を営む場合の主たる事業を特定した

報告体制チェック

  • [ ] ロクイチ報告(6月1日基準・7月15日提出)の担当者を決めた
  • [ ] 集計シートをExcelまたは人事システムで自動化した
  • [ ] 社労士監修または社内ダブルチェック体制を整えた
  • [ ] 100人ジャスト・101人の境界企業は調整金/報奨金の取扱いをJEEDに確認した

雇用率改正の全体像と5ステップ実務対応は障害者雇用率2.7%引上げ完全ガイド|2026年7月施行で中小企業がやるべき5ステップ対応を、納付金の計算詳細は本クラスターの納付金計算ガイド(公開予定)を参照されたい。判定境界の個別ケースは、所轄ハローワーク・JEED都道府県支部・社労士に必ず照会することを推奨する。


FAQ

A

A. 常用労働者37.5人(除外率業種非該当)の場合、必要雇用障害者数は 37.5 × 0.027 = 1.0125人 → 切捨て1人となり、1人の雇用義務が発生します。「37.5人ちょうどなら対象外」ではなく、37.5人以上で雇用義務発生となるため境界判定に注意してください。なお、実務上は0.5刻みで計算するため「37.0人」では雇用義務なし、「37.5人」では1人雇用義務という整理になります。

A

A. 6か月契約でも、更新により1年を超えて雇用される見込みがある場合は常用労働者として算入します。「契約更新が常態化している」「更新条項が雇用契約書に明記されている」「同一労働者の更新実績がある」などの実態があれば、初回契約期間が短くても算入対象です。一方、「3か月限定の繁忙期スタッフ」のように更新の見込みが客観的に否定される場合は対象外となります。

A

A. カウントしません。派遣労働者は派遣元事業主で常用労働者としてカウントするため、派遣先(受入企業)の常用労働者数には算入しません。雇用契約の主体が派遣元にあるためです。ただし、派遣先で受け入れた障害者の合理的配慮(就労環境整備)は派遣先の責務でもあり、派遣元・派遣先の双方で支援を行う構造である点には留意してください。

A

A. 建設業の除外率は2025年4月に20%から 10% に引き下げられました。2026年7月以降もこの10%が適用されます。常用労働者100人の建設業企業の場合、除外労働者数は10人、雇用義務母数は90人、必要雇用数は90×2.7%=2.43人→切捨て 2人 となります。除外率は将来的に廃止される方針が示されており、最新の告示は厚生労働省サイトで確認してください。

A

A. 納付金徴収の対象外です。納付金制度は「常用労働者101人以上(100人超)」を対象とするため、100人ジャストは100人以下扱いで報奨金制度の対象となります。法定雇用率(2.7%)を超えて雇用した場合は、超過1人月あたり21,000円の報奨金が支給対象になります(年間合計4%または72人月のいずれか多い数を超える要件あり)。境界判定は所轄JEED都道府県支部への確認を推奨します。

A

A. 2026年6月1日基準の報告は旧基準(常用労働者40人以上・法定雇用率2.5%)で行います。提出期限は2026年7月15日です。2027年6月1日基準の報告から新基準(常用労働者37.5人以上・法定雇用率2.7%)が適用されます。提出期限は2027年7月15日です。新たに対象となる「常用労働者37.5〜40人」規模の企業は、2027年7月15日が初回提出期限となるため、2026年中に人数集計の体制を整備しておくことが必要です。

A

A. 契約形式ではなく実態で判定します。形式上は業務委託でも、(1) 業務遂行上の指揮監督関係がある、(2) 就業時間・場所の拘束がある、(3) 専属性が高い、(4) 報酬が労務対償性を持つ——等の労働者性指標を満たす場合は、雇用契約とみなされ、常用労働者として算入される可能性があります。労働者性の判断は厚生労働省の労働基準法研究会報告書が参照されますが、実務的にはグレーゾーンが多いため、社労士・弁護士の精査を経て整理することを推奨します。


参考文献・一次ソース

  • 厚生労働省「障害者雇用率制度の概要」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/04.html
  • 厚生労働省「障害者雇用率設定業種等」(最新告示)
  • 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「障害者雇用納付金制度のご案内」https://www.jeed.go.jp/disability/employer/subsidy/sub01.html
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則
  • 厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果」(毎年12月公表)
  • 労働基準法研究会報告書(昭和60年)「労働基準法の『労働者』の判断基準について」

JG

実務ガイド編集部

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