2026年調剤報酬改定をわかりやすくまとめ|主要6変更・点数比較・薬局の対応

本記事は法令・通達・官公庁資料に基づき編集部が作成・検証しています。個別の法的・税務判断ではありません。最新の法令はe-Gov法令検索でご確認ください。
2026年調剤報酬改定をわかりやすくまとめ|主要6変更・点数比較・薬局の対応
目次▼

最終更新日: 2026年9月23日(改定率の内訳を大臣折衝資料で確認し各科改定率〈調剤+0.08%〉を追記、マイナ保険証利用率の判定月に代替規定がある旨を施設基準通知で補足)

【結論】 2026年6月1日に令和8年度の調剤報酬改定が施行された。よく見る+3.09%は医科・歯科・調剤を合わせた診療報酬(本体)全体の率(しかも令和8・9年度の2年度平均)で、各科改定率のうち調剤分は+0.08%である(令和7年12月24日 予算大臣折衝)。かかりつけ薬剤師指導料の廃止・地域支援体制加算と後発品加算の5区分統合・調剤管理料の大幅減点(28〜50点→10点)等の主要6変更が6月レセプトから適用される。6月請求でミスが出やすいのは服薬管理指導料の区分選択・経過措置の扱い・地域支援体制加算の新届出の3点。本記事は厚労省告示・通知に基づき、施行後の算定実務の疑問に答える形で解説する。

関連記事
– 令和8年度診療報酬改定の全体像と施設基準の基礎 — 診療報酬改定+3.09%の全体構造と施設基準の届出フロー
– 薬機法改正2026年|指定濫用防止医薬品 — 薬局の調剤業務に加えOTC販売規制も変更
– 管理薬剤師になる要件・年収相場2026 — 改定対応を現場で牽引する管理薬剤師の法定要件と待遇を解説
– 薬局規模別シミュレーション2026 — 月間300〜10,000枚の処方箋規模別・基本料区分別に収支を試算(全7ケース)
– 薬機法+報酬改定 並行対応ロードマップ — 3月〜7月の月別タイムライン
– 電子処方箋の薬局導入ガイド2026 — 加算8点の施設基準12項目・補助金27.7万円・導入期限は令和8年9月
– 社会保険適用拡大2026|短時間労働者への影響と対応 — パート・アルバイトスタッフの保険料負担増加への実務対応
– 2026年税制改正|中小企業・個人事業主への影響まとめ — 薬局の法人税・消費税・人件費に関わる税制変更のポイント
– 診療報酬改定2026年6月|外来・入院・在宅の主要点数変更 — 病院・診療所側の改定全体像と薬局連携で押さえるべき変更
– 4〜6月の残業×社会保険料の落とし穴【2026年版】 — 薬局スタッフの標準報酬月額決定で損しない給与・シフト管理

✅ 2026年5月1日 施行済み
調剤報酬改定と合わせて対応確認を
薬機法改正(指定濫用防止医薬品)が2026年5月1日施行
コデイン・デキストロメトルファン・ジフェンヒドラミン等8成分含有OTC薬の年齢確認・陳列規制・記録保管が2026年5月1日に施行された。OTC販売部門を持つ薬局で対応が未完了の場合は、陳列・POS設定・スタッフ研修を至急完了させること。
📊 無料シミュレーター
2026年改定で
月収はいくら変わる?
1処方箋枚数を入力
2診療科タイプを選択
3収支変化がリアルタイム反映
✓ 無料
✓ 登録不要
✓ 60秒
リアルタイム試算
処方箋枚数500枚
かかりつけ患者30名
月間収支の変化
▲ ¥16,500
年間換算 ▲¥198,000
※デフォルト設定での試算例

令和8年度の診療報酬改定が2026年6月1日に施行された(薬価改定-0.86%は4月1日に先行施行)。本体の改定率は診療報酬全体で+3.09%(令和8・9年度の2年度平均)だが、各科改定率のうち調剤は+0.08%である(根拠:令和7年12月24日 予算大臣折衝)。地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算の統合再編、かかりつけ薬剤師指導料の廃止と服薬管理指導料への一本化、在宅医療の評価拡充など、薬局経営に直結する変更が6月レセプト請求から適用されている。本記事では、主要な変更点の全体像を整理するとともに、施行後の算定実務・経過措置の運用・よくある疑問をQ&A形式で解説する。


【まとめ表】2026年調剤報酬改定 変更点一覧|主要6変更

# 変更項目 ポイント 薬局への影響
1 調剤基本料の引き上げ 全区分+1〜2点、門前薬局等立地依存減算(-15点)新設 基本料区分の再確認が必須
2 地域支援体制加算の統合再編 後発医薬品調剤体制加算と統合→5区分の新体系 後発品使用率85%以上が事実上の前提
3 かかりつけ薬剤師指導料の廃止 服薬管理指導料へ一本化、成果重視の評価に 認定研修の手配が急務
4 調剤管理料の再編 8〜14日分:28点→10点/15〜27日分:50点→10点(いずれも大幅減点) 小児科・耳鼻科門前は要注意
5 在宅医療の評価拡充 医師同時訪問150点新設、緊急訪問強化 在宅参入の経営メリット拡大
6 医療DX・電子処方箋 電子的調剤情報連携体制整備加算(8点・患者1人につき月1回)新設 電子処方箋の導入が加算の前提

改定の全体像|何がいつ変わるのか

施行スケジュール

2026年度の診療報酬改定は、2段階で実施された。

時期 内容 状況
2026年4月1日 薬価改定(-0.86%) 施行済み
2026年6月1日 診療報酬改定(調剤報酬含む) 施行済み

2024年度改定と同様に薬価改定が先行し、2か月後に診療報酬本体の改定が施行された。6月1日以降の処方箋から新点数が適用されており、2026年6月請求分(7月審査分)から新しいレセプトが発生している。

改定率の内訳

項目 改定率
本体(医科・歯科・調剤の合計/2年度平均) +3.09%
令和8年度分 +2.41%
令和9年度分 +3.77%
うち賃上げ分 +1.70%
うち物価対応分 +0.76%
うち食費・光熱水費分 +0.09%
うち緊急対応分 +0.44%
うち効率化・適正化 -0.15%
うち上記を除く改定分(各科に配分される部分) +0.25%
薬価 -0.86%(2026年4月1日施行)

各科改定率(上記の「改定分 +0.25%」を配分したもの)

診療科 改定率
医科 +0.28%
歯科 +0.31%
調剤 +0.08%

【薬局が読み違えやすい点】 ニュースの見出しになる+3.09%は診療報酬全体の率です。薬局の収入が3%増える意味ではありません。 各科改定率で調剤に配分されたのは+0.08%。緊急対応分(+0.44%)の施設類型別配分も、病院+0.40%・医科診療所+0.02%・歯科診療所+0.01%に対し保険薬局は+0.01%です。本記事が後述する調剤管理料の大幅減点(28点・50点→10点)と、この数字は矛盾しません。

根拠: 厚生労働省「診療報酬改定について」(令和7年12月24日 予算大臣折衝)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf

改定率ダッシュボード
本体(2年度平均)

+3.09%

診療報酬(調剤含む)改定率
うち賃上げ

+1.70%

薬剤師・事務職員等の賃上げ原資
うち物価対応

+0.76%

光熱費・材料費等の物価上昇対応
薬価

−0.86%

薬価改定率(2026年4月1日施行)


調剤基本料の見直し|引き上げは+1〜2点、特別調剤基本料は据え置き

新旧点数の比較

区分 改定前 改定後 増減
調剤基本料1 45点 47点 +2
調剤基本料2 29点 30点 +1
調剤基本料3イ 24点 25点 +1
調剤基本料3ロ 19点 20点 +1
調剤基本料3ハ 35点 37点 +2
特別調剤基本料A(同一敷地内薬局) 5点 5点 据え置き
特別調剤基本料B(調剤基本料の届出がない薬局) 3点 3点 据え置き

出典: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」11ページ・13ページ

門前薬局等立地依存減算(新設)

特定の医療機関への処方箋集中率が高い薬局に対し、所定点数から15点を減算する新たな減算規定が設けられた。ただし、令和8年5月31日時点で既に開局している薬局は経過措置の対象となり、当面の間は適用されない。

改定後の区分判定基準(早見表)

自薬局がどの区分になるかは、処方箋受付回数(月あたり)と処方箋集中率(特定の医療機関からの処方箋が占める割合)の組み合わせで決まる。

区分 判定基準 点数
調剤基本料1 下記のいずれにも当てはまらない薬局 47点
調剤基本料2 ①都市部で受付600回超1,800回以下かつ集中率85%超(※1)/②受付1,800回超かつ集中率85%超/③受付4,000回超かつ上位3医療機関の集中率合計70%超/④特定の医療機関からの受付が4,000回超 30点
調剤基本料3イ 同一グループの受付合計が月3万5千回超〜40万回かつ集中率85%超 25点
調剤基本料3ロ 同一グループの受付合計が月40万回超かつ集中率85%超 20点
調剤基本料3ハ 同一グループの受付合計が月40万回超かつ集中率85%以下 37点
特別調剤基本料A いわゆる同一敷地内薬局 5点
特別調剤基本料B 調剤基本料の届出がない薬局 3点

※1 当面の間、既存の薬局(令和8年5月31日までに開設し、改定後も継続して受付1,800回以下のもの)には適用しない。
※2 都市部とは特別区・政令指定都市。ただし半径500m以内に他の保険薬局が無い地点は除く。
※3 医療モール内(医療ビレッジ内を含む)の複数の医療機関は、1つの医療機関とみなして集中率を計算する(今回の変更点)。
※4 「同一グループの保険薬局の数が300以上」という基準は今回の改定で廃止された。

出典: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」13ページ

【注意】数字の桁を取り違えないこと。 「3万5千回」「40万回」は同一グループ全体の合計受付回数であり、1店舗の数字ではない。単独店舗や小規模グループの判定に効いてくるのは「600回」「1,800回」「4,000回」のほうである。自薬局がどちらの軸で判定されるかを先に確認すること。


地域支援体制加算の統合再編|5区分の新体系

最大の変更:2つの加算が1つに

これまで別々に存在していた「地域支援体制加算」と「後発医薬品調剤体制加算」が統合され、新たに「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(5区分)として再編される。後発医薬品調剤体制加算は廃止となる。

新旧の対応関係

新加算 点数 旧制度での位置づけ
加算1 27点 旧・後発医薬品調剤体制加算の後継(安定供給体制+後発品使用率85%以上)
加算2 59点 旧・地域支援体制加算の後継(加算1+調剤基本料1+体制・実績要件)
加算3 67点 加算2の上位区分(さらに高い実績要件)
加算4 37点 旧・地域支援体制加算の後継(加算1+調剤基本料1以外+体制・実績要件)
加算5 59点 加算4の上位区分(高い実績要件)
地域支援・医薬品供給対応体制加算 — 新5区分
加算1

27点

後発品加算の後継
加算2

59点

基本料1+体制要件
加算3 最高区分

67点

加算2の上位
加算4

37点

基本料1以外+体制要件
加算5

59点

加算4の上位区分

全区分共通の前提:後発医薬品使用率85%以上 / 他薬局への医薬品分譲実績あり

共通の前提条件

全区分に共通して、以下の要件を満たす必要がある。

  • 後発医薬品使用率85%以上(数量ベース)
  • 他の薬局への医薬品分譲実績があること(安定供給への貢献)

経過措置

令和8年(2026年)3月時点で後発医薬品調剤体制加算(加算1〜3)を届出済みの薬局は、令和9年(2027年)5月31日まで、後発品使用率の要件を満たしているものとみなされる。


かかりつけ薬剤師評価の刷新

かかりつけ薬剤師指導料が「廃止」

これまで独立していた「かかりつけ薬剤師指導料」(76点)と「かかりつけ薬剤師包括管理料」(291点)は廃止となる。かかりつけ薬剤師の機能は、服薬管理指導料の中に統合される。

新しい服薬管理指導料の体系

区分 対象 点数
1のイ 3月以内再来局+手帳+かかりつけ薬剤師 45点
1のロ 3月以内再来局+手帳(かかりつけ以外) 45点
2のイ 上記以外+かかりつけ薬剤師 59点
2のロ 上記以外(かかりつけ以外) 59点
3 施設訪問(月4回まで) 45点
4 情報通信機器使用 45〜59点

※点数は同額だが、かかりつけ薬剤師で算定した場合はフォローアップ加算(50点・3月に1回)の算定が可能になる(かかりつけ機能の経済的価値)。

オンライン服薬指導(情報通信機器使用)の評価変化

服薬管理指導料4「情報通信機器使用」(45〜59点)は、2026年改定で在宅患者オンライン薬剤管理指導料を吸収・統合した形となっている(旧・在宅患者オンライン薬剤管理指導料は廃止)。点数自体は対面の服薬管理指導料と同水準に保たれており、「オンラインだから低い評価」という構造は解消されつつある。

2026年改定でのオンライン服薬指導の主な変更点

  • 点数: 45〜59点(かかりつけ薬剤師の有無・来局間隔で分岐。旧・在宅患者オンライン薬剤管理指導料との統合による)
  • 算定要件の確認事項: ①患者が映像・音声を通じてリアルタイムで対話できる端末を持つこと、②本人確認の実施(保険証・マイナンバーカードによる確認が推奨される)、③処方医との情報共有体制(必要に応じて処方医に状況報告)

中小薬局でのオンライン服薬指導の現実的対応

高齢患者が多い薬局では「スマートフォンが使えない」「通信環境がない」という課題が依然として大きい。現実的な対応シナリオとしては、(1) まず在宅患者や通院が難しい慢性疾患患者を対象に試験導入し、(2) 患者・家族向けの操作サポート資材を整備した上で、(3) 電話応対に近い形でハードルを下げて実施するという段階的なアプローチが有効である。

在宅患者へのオンライン+訪問のハイブリッド戦略についても検討する価値がある(在宅の点数区分・算定回数・医療/介護保険の使い分けは在宅患者訪問薬剤管理指導料の完全ガイドで詳述)。また、GLP-1受容体作動薬(肥満症・糖尿病治療薬)は適正使用管理の観点から服薬指導の重要性が高い薬剤であり、GLP-1受容体作動薬の薬局での適正使用対応も対人業務強化の参考になる。訪問薬剤管理の月定期訪問に加え、中間フォローをオンラインで実施することで、患者の安心感を高めながら薬剤師の移動コストを抑えることができる。かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)との組み合わせも効果的だ。

新設のかかりつけ薬剤師関連加算

加算 点数 算定頻度
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 50点 3月に1回
かかりつけ薬剤師訪問加算 230点 6月に1回

フォローアップ加算は「患者に頼まれたとき」だけではない

算定要件を、留意事項通知(保医発0305第6号 別添3 区分10の3の12)の原文で確認しておく。ここは要約資料だけを読むと要件を取りこぼす箇所である。

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は、患者若しくはその家族等の求めに応じて又はかかりつけ薬剤師が必要性を認めた場合において、前回の調剤後から、当該患者が再度処方箋を持参するまでの間に、かかりつけ薬剤師が電話等により、服薬状況及び残薬状況等の継続的な確認並びに必要な指導等を個別に実施していた場合に、再度処方箋を受け付けたときに、3月に1回に限り算定する。

「求めに応じて」と「薬剤師が必要性を認めた場合」の二者択一である。患者からの依頼がなければ算定できない、というものではない。

対象患者は次の両方を満たす必要がある。

要件 内容
ア 服薬管理指導料「1のイ」または「2のイ」を算定していること(=かかりつけ薬剤師が行った場合)
イ 直近6月以内に、外来服薬支援料1・服用薬剤調整支援料1もしくは2・調剤管理料の調剤時残薬調整加算もしくは薬学的有害事象等防止加算のいずれかを算定していること(ただし、フォローアップ業務によって当該算定に係る問題〈残薬等〉が解消されている場合を除く)

イの「直近6月以内」の実績要件を見落とすと、算定できない患者に算定してしまう。 加えて、実務上の注意点も通知に明記されている。

  • 事前に患者・家族へ「聞き取りや指導の内容」と「この加算で発生する自己負担額」を説明し、了解を得ること
  • 一斉送信の電子メールなど一方的な情報発信では算定できない。アプリ上の定型チェック入力だけで完結する対応も、個別具体的な確認・助言を伴わなければ対象外
  • 「前回の調剤後」に調剤当日は含まれず、「再度処方箋を持参するまでの間」に持参当日は含まれない
  • フォローアップの要因となった処方箋を発行した医療機関以外からの処方箋を持参した場合は対象にならない
  • 業務を行っても残薬等の問題が解消されないときに、みだりに反復しないこと
  • 特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定できない


調剤管理料の簡素化

旧4段階→新2段階に

これまで処方日数に応じて4段階に区分されていた調剤管理料が、大幅に簡素化される。

改定後は「長期処方(28日分以上)=60点」と「それ以外(27日分以下)=10点」の2区分だけになった。改定前の4段階と突き合わせると次のようになる。

投与日数 改定前の区分・点数 改定後 増減
7日分以下 イ 7日分以下 4点 10点 +6点(増点)
8〜14日分 ロ 8日分以上14日分以下 28点 10点 △18点
15〜27日分 ハ 15日分以上28日分以下 50点 10点 △40点
28日分ちょうど ハ 15日分以上28日分以下 50点 60点 +10点(増点)
29日分以上 ニ 29日分以上 60点 60点 据え置き
内服薬以外(注射・外用・屯服等) 2 1以外の場合 4点 10点 +6点(増点)

出典: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」43ページ

【注意】境目は「28日分」です。 改定前の「ハ」は15日分以上28日分以下が50点でした。改定後は28日分が長期処方(60点)側に移ったため、28日分ちょうどの処方は50点→60点と増点になります。減収になるのは8〜27日分(△18〜40点)で、7日分以下と内服薬以外はむしろ増点です。小児科・耳鼻科・皮膚科の処方箋を多く扱う薬局は、この8〜27日分の減収分を他の加算で補う戦略が必要になります。

なお、元の処方が28日分以上で、減数調剤の結果27日分以下になった場合は「1のイ」(長期処方60点)を算定します(疑義解釈資料その7・令和8年5月29日)。

調剤管理加算(3点)の廃止

6種類以上の内服薬処方時に算定していた調剤管理加算(3点)は廃止される。


リフィル処方箋の実務対応と算定上の注意点

リフィル処方箋制度の概要

リフィル処方箋は、2022年4月から既に運用されている既存制度である。一定の要件のもとで1枚の処方箋を医師の再診なしに最大3回まで繰り返し調剤できる仕組みであり、2026年改定で新設される制度ではない点に注意したい。適用可否は医師が判断し、処方箋に「リフィル可」と記載された場合にのみ薬局で繰り返し調剤できる。慢性疾患(高血圧・糖尿病・脂質異常症等)で病状が安定している患者が主な対象であり、患者の通院負担軽減と医療資源の効率化を目的としている。

1回当たりの調剤量は医師が指定し、「次回調剤可能な日」(処方箋に記載される)以降でなければ調剤できない。また、患者の状態変化が疑われる場合や残薬が著しく多い場合は、薬局から処方医に連絡する義務が生じる。

対象外となる医薬品(主なもの)

リフィル処方箋には対象外となる医薬品があり、これらが含まれる処方箋ではリフィル運用ができない。主な対象外は以下のとおり(詳細は厚生労働省「リフィル処方箋に関するQ&A」を要確認)。

  • 麻薬および向精神薬
  • 新医薬品(薬価収載後1年以内のもの。長期処方制限の対象品目)
  • 湿布薬(投与量上限の規定がある場合は別途制限)
  • その他、医師が「リフィルに適さない」と判断した医薬品

これらが処方に含まれる場合、薬局は通常処方として調剤し、リフィル運用は適用されない。受付時に処方内容を確認し、誤算定を防ぐことが重要である。

2026年改定でのリフィル関連の評価

2026年6月1日施行時点では、告示においてリフィル処方箋に特化した新加算の詳細要件は告示・通知を確認することを推奨する。調剤報酬の観点では、リフィル調剤時の服薬フォローアップの評価は「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月に1回)」の算定要件との整合性が重要になっており、リフィル患者を継続的に管理するかかりつけ薬剤師の存在が算定の鍵となる。

薬局側の実務対応

① 服薬期間・来局日のチェック

リフィル処方箋を受け付ける際、薬局は「次回調剤可能日」が到来しているかを必ず確認する。到来前の調剤は認められない。処方箋管理システムやレセコンにリフィル対応機能がある場合は積極的に活用し、次回来局予定日の管理を徹底する。

② 継続的な服薬フォロー

リフィル処方箋は医師の再診がない分、薬局による服薬状況のモニタリングが不可欠だ。毎回の調剤時に、副作用の有無・症状の変化・残薬状況を確認し、薬剤服用歴に記録する。状態の変化(血圧の急上昇・副作用症状の出現など)があれば、患者に医師受診を促すとともに、処方医に連絡するフローを事前に整備しておく必要がある。

③ 残薬調整

リフィル調剤時の残薬確認は特に重要である。残薬が多い場合は次回の調剤量の調整(一部調剤)が可能であり、「調剤時残薬調整加算」(30点・かかりつけ薬剤師50点)の算定対象となりえる。残薬調整の実施記録は薬歴への記録を忘れずに行うこと。

④ 医師連絡の基準(例)

以下のような場合に処方医への連絡が求められると解される(詳細は告示・通知および厚労省Q&Aを確認のこと)。

  • 患者の自覚症状に著しい変化がある場合
  • 残薬が多く、次のリフィル調剤を延期する必要があると判断した場合
  • 処方箋に記載された最終調剤回数(3回目)を迎えた後、患者が継続処方を希望する場合

算定上の留意点

項目 リフィル処方箋 通常処方
服薬管理指導料 各回算定可 各回算定可
調剤管理料 各回算定可(処方日数に応じた区分で) 同左
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 3月に1回算定可(リフィル患者の継続管理も対象) 同左
調剤時残薬調整加算 残薬確認のうえ算定可 同左

リフィル処方箋の場合も、各調剤時に服薬管理指導料・調剤管理料は通常どおり算定できる。2回目・3回目の調剤時も改めて患者への服薬指導を実施し、算定記録を適切に残すことが重要である。

出典: 厚生労働省「リフィル処方箋に関するQ&A」(保医発等)、令和8年度診療報酬改定告示(2026年6月1日施行予定)。最新の告示・通知は厚生労働省の公式サイトで確認のこと。


残薬調整・有害事象防止の新評価

旧「重複投薬・相互作用等防止加算」が2つに分離

新加算 通常 かかりつけ薬剤師 在宅患者
調剤時残薬調整加算 30点 50点 50点
薬学的有害事象等防止加算 30点 50点 50点

特定薬剤管理指導加算(ハイリスク薬対応)

ハイリスク薬を処方された患者への薬学的管理指導を評価する「特定薬剤管理指導加算」は、今改定でも引き続き設定されており、ハイリスク薬を多く扱う薬局にとって重要な収益源となっている。

加算1・加算2の区分と点数

区分 概要 点数
特定薬剤管理指導加算1 ハイリスク薬の薬学的管理・服薬指導(月1回) 10点
特定薬剤管理指導加算2 抗悪性腫瘍剤の注射薬調剤を伴う外来化学療法等での薬剤師連携 100点(月1回)
特定薬剤管理指導加算3 緊急安全性情報・適応外使用等の重要情報提供時 5点

※ 上記は2026年6月1日施行の告示に基づく点数。算定にあたっては地方厚生局の通知・疑義解釈で最終確認のこと。

対象ハイリスク薬の範囲

特定薬剤管理指導加算の対象となる「ハイリスク薬」の主な薬効群は以下のとおりである(告示別表に基づく。最新の確定範囲は告示・通知を確認のこと)。

薬効群 代表的な薬剤
抗悪性腫瘍剤 経口抗がん剤・分子標的薬等
免疫抑制剤 タクロリムス・シクロスポリン等
抗HIV薬 HIV感染症治療薬全般
抗てんかん薬 フェニトイン・バルプロ酸等
血液凝固阻止剤(抗凝固薬) ワルファリン・直接経口抗凝固薬(DOAC)等
強心剤(ジギタリス製剤) ジゴキシン等
テオフィリン製剤 気管支拡張薬
カリウム製剤(注射薬) 電解質補正薬
精神神経用剤 向精神薬・抗精神病薬・睡眠薬等
糖尿病用剤 インスリン・GLP-1受容体作動薬・SU薬等
膵臓ホルモン剤(インスリン等) 自己注射製剤を含む
抗不整脈剤 アミオダロン・フレカイニド等

算定要件のポイント

特定薬剤管理指導加算を算定するためには、以下の対応が必要である。

  1. 文書による説明: 薬効・副作用・服用方法・注意事項を記載した文書を患者に提供し、服薬指導を実施する
  2. 薬剤服用歴への記録: 指導内容・患者の理解度・特記事項(副作用モニタリング結果など)を薬歴に記録する
  3. 薬学管理の継続: 単発の説明に終わらず、定期的な副作用確認・検査値モニタリング・用量変更時の再指導を継続する

実務での記録様式・チェックリスト要点(例:抗凝固薬ワルファリン)

  • PT-INR の直近値と目標値の確認
  • 食事(納豆・ブロッコリー等のビタミンK含有食品)との相互作用確認
  • 出血リスク症状(歯茎・皮下出血など)の有無
  • 処方変更・用量調整の有無と理由の確認
  • 患者が記録している自己管理手帳との照合

精神科や糖尿病科の門前薬局ではハイリスク薬の処方頻度が高く、特定薬剤管理指導加算の積み上げが収益補填に有効な手段となる。調剤管理料の中期処方減収を受けやすい精神科門前薬局は特に、この加算の算定体制を整えることが実務上の優先課題となっている(後述「診療科別シミュレーション」を参照)。


在宅医療の評価拡充

在宅薬学総合体制加算の引き上げ

区分 改定前 改定後 増減
在宅薬学総合体制加算1 15点 30点 2倍
在宅薬学総合体制加算2 イ(単一建物診療患者/単一建物居住者が1人=個人宅) 50点 100点 区分を新設して2倍
在宅薬学総合体制加算2 ロ(イ以外=施設等) 50点 50点 据え置き

改定前の加算2は訪問先を問わず一律50点だった。今回イとロに分かれ、個人宅への訪問(イ)だけが100点に引き上げられている。「ロが新設された」のではなく、従来の50点がロとして残った形である。

出典: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」11ページ・24ページ

【注意】加算1と加算2は併算定しません。 加算2の施設基準は「加算1の施設基準を全て満たすこと」を含むため、要件を満たす薬局は加算2のみを算定します。「加算1の30点に加算2を上乗せ」という読み方は誤りです。また、この加算は調剤基本料への加算であり、在宅患者の処方箋を受け付けて調剤した回数ごとに算定します。

主な新設項目

新設加算 点数 概要
複数名薬剤管理指導訪問料 300点 薬剤師2名体制での訪問
訪問薬剤管理医師同時指導料 150点 医師との同時訪問(6月に1回)

訪問間隔の緩和

従来の「6日以上の間隔」要件が廃止され、週1回が上限に変更。より柔軟な訪問スケジュールが可能になる。


賃上げ対応・物価対応の新加算

調剤ベースアップ評価料(新設)

加算 点数 算定
調剤ベースアップ評価料 4点 処方箋受付1回につき

薬局の薬剤師・事務職員等の賃上げ原資を確保するための評価料で、令和8年度・令和9年度において段階的に評価される。

調剤物価対応料(新設)

加算 点数 算定
調剤物価対応料 1点 3月に1回

その他の主要変更

なお、地域支援・医薬品供給対応体制加算では加算1の施設基準のひとつとして重要供給確保医薬品の備蓄が位置づけられている(加算2〜5も加算1を前提とするため共通)。通知の文言は「重要供給確保医薬品のうち内用薬及び外用薬であるものについて、1か月分程度は備蓄するよう努めること」(保医発0305第8号 第92の1(2)エ)で、注射剤・ワクチンは対象外である。さらに留意点(1)で、対象は「直近1年間で調剤しなかったものを除く各品目」について自局の直近1年間の調剤数量から割り出した1か月分と定められている。固定の成分リストを丸ごと揃えるのではなく、自局が実際に調剤している品目だけが対象であり、卸に在庫を確保してもらうだけでは備蓄に当たらない。対象品目の選定基準・保管管理方法・備蓄量の考え方については、重要供給確保医薬品の備蓄要件と地域支援・医薬品供給対応体制加算の詳細解説を参照されたい。

バイオ後続品調剤体制加算(新設)

バイオ後続品の調剤を行った場合に50点を算定できる新加算が創設された。

電子的調剤情報連携体制整備加算(医療DX・電子処方箋対応)

旧「医療DX推進体制整備加算」の名称変更。全区分が8点に統一された(旧イ10点・ロ8点・ハ6点)。電子処方箋システムによる重複投薬等チェック体制が新たに要件化された。

なぜ2026年改定でDX対応が重視されるか

電子処方箋の普及は、政府が「骨太の方針2025」でも重点施策として位置づけている医療DX推進の中核をなす。医療機関・薬局間のリアルタイムな服薬情報共有により、重複投薬防止・残薬管理・副作用モニタリングの精度が向上することが期待されており、2026年改定では加算の名称変更とともに「重複投薬等チェック体制」を施設基準の要件に明記することで、薬局のDX導入を事実上促す構造になっている。

電子処方箋システム導入のハードル

実態として、電子処方箋対応に伴う薬局側の初期費用・運用コストは、システムベンダーやレセコン改修の範囲によって大きく異なる。一般的な目安としては、HPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)証明書の取得・更新費用、電子処方箋管理サービスへの接続に伴うシステム改修費、スタッフの操作研修コストなどが発生する。規模の小さい薬局にとってはコスト負担が課題となる場合があり、国の補助金(医療機関・薬局向け電子処方箋導入支援補助金等)の活用可否を事前に確認することを推奨する(補助金の有無・額は年度ごとに変動するため、厚生労働省または地方厚生局に確認のこと)。

加算算定要件の詳細(確認推奨事項)

電子的調剤情報連携体制整備加算の施設基準は、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第8号)別添1 第95の2に12項目が定められている。主なものは次のとおり。

  • オンライン請求・オンライン資格確認の体制
  • 電子処方箋を受け付け調剤する体制と、紙処方箋分を含む調剤結果の電子処方箋管理サービスへの登録
  • 重複投薬等チェック機能により不適切な組合せの有無を確認できる体制
  • 電磁的記録による調剤録・薬剤服用歴の管理(電子薬歴)
  • 算定する月の3か月前の件数ベースマイナ保険証利用率が30%以上(施設基準通知 第95の2 の1(7))。ただし同(8)により、3か月前に代えて「その前月」または「前々月」の利用率を用いることもできる(3つの月のどれか1つが30%以上なら要件を満たす)
  • 医療DX推進の体制等の掲示およびウェブサイト掲載
  • サイバーセキュリティ対策、マイナポータルの医療情報等に基づく健康相談体制

なお特別調剤基本料Bを算定する保険薬局は本加算を算定できない。届出は様式87の3の6を用いるが、令和8年5月31日時点で旧・医療DX推進体制整備加算を算定していた薬局は新たな届出を要しない。

とくに注意すべきはマイナ保険証利用率30%以上である。これは体制要件ではなく月ごとに判定される実績要件で、下回った月は算定できない。電子処方箋の詳しい導入手順・施設基準12項目・補助金については、電子処方箋の薬局導入ガイド2026(施設基準12項目と補助金27.7万円)で体系的にまとめている。

中小薬局の現実的対応シナリオ

電子処方箋対応が難しい場合でも、加算を算定しないまま放置するのではなく、段階的な導入計画を立てることが重要だ。①まずレセコンベンダーに接続費用と施設基準要件を問い合わせ、②算定したい月の3か月前のマイナ保険証利用率(件数ベース)が30%以上かを確認し(3か月前が30%に届かなくても、その前月・前々月の利用率で代えられるので3か月分を並べて確認する)、③医療機関等向け総合ポータルサイトから補助金を申請する、というアプローチが現実的である。算定は患者1人につき月1回・8点で、厚生労働省は平均患者450人/月の個人薬局で月3.6万円と試算している(薬局向けスターターキット第2.1版)。医療情報化支援基金の薬局向け補助対象導入期限は令和8年9月で、厚労省はこれを最後の延長と明記しているため、未導入の薬局は期限から逆算して着手したい(詳細は電子処方箋の薬局導入ガイド2026)。

健康保険法等改正2026(令和8年法律第31号)と薬局への影響

2026年6月に成立した健康保険法等改正2026(令和8年法律第31号)は、調剤報酬改定とは別の制度改正として薬局経営に影響する。主な内容は①2026年8月からの高額療養費月額上限引き上げ・年間上限新設、②2027年3月からのOTC類似薬に対する特別料金(患者の追加自己負担)新設、③2027年4月からの未就学児均等割軽減の対象拡大(高校生年代まで)の3点。OTC類似薬の特別料金は「市販品で代替できる薬剤について患者負担を上乗せする」仕組みであり、薬局でのOTC販売促進策や患者への説明対応が求められる場面が増える。同改正が薬局の業務・患者対応・保険外収益に与える影響の詳細は健康保険法等改正2026の薬局への影響をわかりやすく解説(令和8年法律第31号・OTC類似薬特別料金・2027年3月施行)で確認してほしい。

無菌製剤処理加算の対象拡大

対象が6歳未満→15歳未満に拡大され、点数も引き上げ(中心静脈栄養法用輸液:137点→237点など)。

吸入薬指導加算

対象疾患にインフルエンザウイルス感染症が追加。算定間隔は3月に1回→6月に1回に変更(30点は据え置き)。

長期収載品の選定療養

2026年6月1日施行で後発医薬品との価格差にかかる選定療養の自己負担が1/4相当→1/2相当に引き上げられた。


廃止される主な加算・点数一覧

廃止項目 旧点数 後継・代替
かかりつけ薬剤師指導料 76点 服薬管理指導料に統合
かかりつけ薬剤師包括管理料 291点 服薬管理指導料に統合
後発医薬品調剤体制加算1〜3 21〜30点 地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合
重複投薬・相互作用等防止加算 20〜40点 残薬調整加算+有害事象防止加算に分離
調剤管理加算 3点 廃止(後継なし)
医療情報取得加算 1点 廃止
在宅患者オンライン薬剤管理指導料 ― 情報通信機器に統合

薬局規模別の改定影響シミュレーション

2026年6月施行の改定が薬局経営に与える影響を、処方箋受付枚数の規模別に試算する。以下は主要な変更項目ごとの月間影響額の概算である。

規模別の月間影響額(概算)

項目 月間500枚 月間1,000枚 月間2,000枚
調剤基本料の変動(+2点) +10,000円/月 +20,000円/月 +40,000円/月
調剤ベースアップ評価料(+4点) +20,000円/月 +40,000円/月 +80,000円/月
調剤物価対応料(+1点/3月に1回) +1,700円/月 +3,300円/月 +6,700円/月
調剤管理料の減収(8〜27日分:△18〜40点)※構成比30%で試算 △27,000〜60,000円/月 △54,000〜120,000円/月 △108,000〜240,000円/月
調剤管理加算の廃止(△3点)※対象処方比率20%で試算 △3,000円/月 △6,000円/月 △12,000円/月
地域支援・医薬品供給対応体制加算(新加算2: 59点と仮定。旧・地域支援体制加算1の32点+旧・後発医薬品調剤体制加算3の30点=62点との差△3点) △15,000円/月 △30,000円/月 △60,000円/月

上表の「旧加算1: 32点」の出典: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」11ページが、新加算の点数を「地域支援・医薬品供給対応体制加算2 32点 → 59点」と旧点数つきで示している(調剤基本料1の薬局の場合)。この32点が旧・地域支援体制加算1の点数である。旧・後発医薬品調剤体制加算3の30点は本記事の「廃止される主な加算・点数一覧」を参照。

【注意】上表は「両方の旧加算を満たしていた薬局」の場合です。 旧制度で地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算の片方しか算定していなかった薬局にとっては、統合後の59点はむしろ増点になります。自薬局が旧制度で何点算定していたかを先に確認してください。

調剤管理料の規模別月間減収インパクト(概算・処方構成比30%想定)
月500枚
△43,500円
−43,500円
月1,000枚
△87,000円
−87,000円
月2,000枚
△174,000円
−174,000円

8〜14日分(18点減)と15〜27日分(40点減)の中間値29点、対象処方の構成比30%で試算。対人業務加算の積み上げで補填が必要。詳細シミュレーションはこちら →

注意: 上記は一般的な処方構成を前提とした概算値であり、診療科目の構成・処方日数の分布・加算算定率によって大きく変動する。自薬局の実データに基づくシミュレーションを必ず実施すること。

改定の影響を左右する3つの要因

要因 プラスに作用する薬局 マイナスに作用する薬局
処方日数の構成 28日以上の長期処方が多い薬局(調剤管理料60点は維持) 8〜27日の中期処方が多い薬局(28〜50点→10点の大幅減)
かかりつけ機能の発揮 かかりつけ薬剤師の届出が多い薬局(フォローアップ加算50点+訪問加算230点が上乗せ) かかりつけ薬剤師の届出がない薬局(新加算を算定できない)
在宅業務の実施 在宅に取り組む薬局(在宅薬学総合体制加算が2倍に引上げ、医師同時訪問150点新設) 在宅未実施の薬局(在宅薬局との収益格差が拡大)

廃止加算から後継加算への移行フロー

2026年6月施行で廃止される加算と、後継・代替の加算への移行パスを整理する。

かかりつけ薬剤師指導料(76点)→ 服薬管理指導料に統合

  • 旧:かかりつけ薬剤師指導料 76点/回
  • 新:服薬管理指導料1のイ又は2のイ(かかりつけ薬剤師)45〜59点/回 → 差額を新設加算で補填
  • +かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 50点/3月に1回
  • +かかりつけ薬剤師訪問加算 230点/6月に1回
  • 移行のポイント: かかりつけ薬剤師の施設基準が厳格化(認定研修の取得が必須化)。対象薬剤師の研修状況を確認し、未取得者は2026年5月までに受講を完了させること

後発医薬品調剤体制加算(21〜30点)→ 地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合

  • 旧:後発医薬品調剤体制加算1(21点)/ 加算2(28点)/ 加算3(30点)
  • 新:地域支援・医薬品供給対応体制加算1(27点)が後継
  • 共通前提: 後発品使用率85%以上+医薬品分譲実績
  • 経過措置: 2026年3月時点で旧加算を届出済みの薬局は2027年5月末まで後発品使用率要件を猶予
  • 移行のポイント: 旧加算3(30点)→ 新加算1(27点)で3点減。ただし上位の加算2〜5を算定できれば大幅増収になるため、地域支援体制の実績要件充足を並行して進めること

重複投薬・相互作用等防止加算(20〜40点)→ 2つの加算に分離

  • 旧:重複投薬・相互作用等防止加算(残薬調整以外40点、残薬調整20点)
  • 新:調剤時残薬調整加算 30点(かかりつけ薬剤師50点)+薬学的有害事象等防止加算 30点(かかりつけ薬剤師50点)
  • 移行のポイント: 分離により「残薬調整」と「有害事象防止」の両方が発生した場合、それぞれ別の加算として算定できる可能性がある。算定ルールの詳細は告示・通知で確認すること

調剤報酬改定への対応と並行して、2026年5月1日施行の薬機法改正(指定濫用防止医薬品制度)への対応も薬局経営の優先課題だ。OTC販売を行っている薬局は、陳列規制・年齢確認・記録保管の義務化対応を同時進行で進める必要がある。


診療科別の影響と対策シミュレーション

規模(処方箋枚数)に加えて、どの診療科の門前・近隣にあるかが収支への影響を大きく左右する。以下は代表的な4パターンを試算したものである(あくまで概算。自薬局の実データで必ず再試算すること)。

診療科タイプ 処方傾向 調剤管理料への影響 主な対策加算 月額補填の目安
小児科門前 7〜14日処方が中心(発熱・中耳炎等) 大(8〜14日分: 28点→10点) バイオ後続品なし。残薬調整・有害事象防止加算、かかりつけ薬剤師フォロー 対策前 △72,000円 → 対策込みで△9,000円/月(月800枚・中期処方構成50%。内訳は下記の詳細試算)
内科(慢性疾患)門前 28〜56日の長期処方が多い 小(28日以上は60点維持) リフィル処方箋への対応→かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)の積み上げ 収益維持〜微増(フォローアップ加算で補填)
精神科門前 向精神薬・睡眠薬等のハイリスク薬、28〜56日処方が多い 小(長期処方が多いため管理料減少は限定的) 特定薬剤管理指導加算(ハイリスク薬多い)、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 特定薬剤管理指導加算の積み上げで月+数万円〜
在宅特化 訪問調剤が中心、長期・複数薬 小(長期処方かつ在宅加算で増収) 在宅薬学総合体制加算(加算1: 15点→30点に2倍)、訪問薬剤管理医師同時指導料(150点・新設) 加算1の引き上げ分は1件+15点=在宅50件で+7,500円/月。フォローアップ加算等を含めると +30,500円/月(内訳は下記の詳細試算)

小児科門前薬局の詳細試算(月間800枚、中期処方構成比50%の場合)

  • 8〜14日分の調剤管理料減少額: 400枚 × △18点(28点→10点)= △7,200点 → 約△72,000円/月
  • 対策: かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)を月30名で算定→+1,500点 = +15,000円/月
  • ベースアップ評価料(4点×800枚)= +32,000円/月
  • 調剤基本料引上げ(+2点×800枚)= +16,000円/月
  • 差し引き概算: △72,000 + 15,000 + 32,000 + 16,000 = △9,000円/月(残差は残薬調整・有害事象防止加算等でさらに補填可能)

注意: 小児科門前は影響が大きく見えるが、ベースアップ評価料・基本料引上げ・かかりつけ加算の組み合わせで相当程度補填が可能。対人業務算定率を高めることが最大の対策となる。

在宅特化薬局の増収ポテンシャル(月間在宅患者50名の場合)

前提: 患者1人あたり月1回の処方箋受付、加算1のみを算定(加算2の施設基準は未充足)とする。

  • 在宅薬学総合体制加算1の引き上げ分(15点→30点=+15点)× 50件: +750点 = +7,500円/月
  • 訪問薬剤管理医師同時指導料(150点・新設): 月2件実施で +300点 = +3,000円/月
  • かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)× 40名: +2,000点 = +20,000円/月
  • 合計増収概算: +30,500円/月(年間換算 +366,000円)

加算2(イ・個人宅100点)を算定できる薬局であれば、引き上げ分は1件あたり+50点(50点→100点)となり、同じ50件で+2,500点=+25,000円/月になる。ただし加算2には常勤換算3名以上の薬剤師配置・訪問実績240回以上などの要件があり、どの薬局でも取れるものではない。

詳細な規模別・加算組み合わせの収益試算は、薬局規模別シミュレーション2026でインタラクティブに確認できる。


施行後の実務対応チェックリスト(2026年6月〜)

施行直後に確認すべきこと(6月中)

  • [ ] 調剤基本料の区分・点数がレセコンマスタに正しく反映されているか確認(システム担当)
  • [ ] 服薬管理指導料の算定区分(1のイ〜4)がレセコンで選択可能になっているか確認(管理薬剤師)
  • [ ] かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)の算定コードがレセコンに登録されているか確認(管理薬剤師)
  • [ ] 地域支援・医薬品供給対応体制加算の新届出が完了しているか、地方厚生局の受理を確認(薬局管理部門)
  • [ ] 6月1日以降の処方箋を初めて受け付けた際に、新点数で正しく算定されているかテスト確認(管理薬剤師)

届出・経過措置の運用(6月〜2027年5月)

  • [ ] 地域支援・医薬品供給対応体制加算の新区分届出を未提出の場合は至急提出(薬局管理部門)
  • [ ] 後発医薬品使用率85%以上の実績を月次で管理し、経過措置終了(2027年5月末)に向けた改善計画を策定(管理薬剤師)
  • [ ] 近隣薬局との医薬品分譲実績の記録を開始・保存(薬局長)
  • [ ] かかりつけ薬剤師の認定研修取得状況を確認し、未取得者の受講計画を策定(人事担当)
  • [ ] 門前薬局等立地依存減算の経過措置対象(2026年5月31日時点開局)であることを確認・記録(薬局管理部門)

6月以降の算定で迷いやすい点(継続確認)

  • [ ] 服薬管理指導料の区分選択(かかりつけ薬剤師の有無・前回来局からの期間)に誤算定がないか月次で確認(管理薬剤師)
  • [ ] 旧「かかりつけ薬剤師指導料」で算定していた患者を服薬管理指導料の適切な区分へ移行済みか確認(管理薬剤師)
  • [ ] かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(3月に1回)の算定間隔を患者ごとに管理(管理薬剤師)
  • [ ] 調剤管理料が2段階(28日分以上60点・27日分以下10点)に変更されたことを全薬剤師が把握しているか確認(薬局長)
  • [ ] ベースアップ評価料(4点/処方箋受付)・調剤物価対応料(1点/3月に1回)の算定漏れがないか確認(管理薬剤師)

薬局経営者が押さえるべき2026年関連制度ガイド

薬局経営に影響する2026年度の主要な制度変更を分野別にまとめた。


施行後の実務運用Q&A

2026年6月1日施行後に現場で実際に問われている算定実務・運用上の疑問をQ&A形式でまとめた。点数・要件は本記事の各セクションの記述と整合している。告示・通知の解釈が確定していない事項については「疑義解釈で要確認」と明記している。

QA1. 6月のレセプト請求で点数が反映されない時、最初に確認すべきことは?

AA1. まずレセコン(調剤システム)のマスタ更新が完了しているかを確認する。2026年6月1日施行の改定に合わせてベンダーからマスタ更新データ(点数マスタ・施設基準コード等)が提供されているはずだが、適用作業が完了しているかどうかを確認する。確認ポイントは以下の3点。(1) 服薬管理指導料の区分(1のイ〜4)が選択画面に表示されているか。(2) かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)・かかりつけ薬剤師訪問加算(230点)のコードが登録されているか。(3) 調剤管理料が2段階(28日分以上60点・27日分以下10点)になっているか。これらが旧点数のままであればベンダーに問い合わせて更新を適用する。

QA2. 経過措置(地域支援体制加算・後発品使用率)は2027年5月末まで有効と理解しているが、この間は何もしなくてよいか?

AA2. 経過措置は「猶予」であり、2027年5月31日を過ぎると後発品使用率85%未満の薬局は地域支援・医薬品供給対応体制加算の全区分(加算1〜5)を算定できなくなる。今の時点でやるべき実務は以下の2点。(1) 毎月レセコンで後発品使用率を確認し、85%に向けた切替実績をデータで記録する。達成状況の証跡が求められる場合に備えて記録を保存しておくこと。(2) 医薬品分譲実績の記録を今月から始める。近隣薬局との医薬品の融通(分譲)は経過措置の対象外であり、全区分の共通要件として実績が必要。日付・相手先・品目・数量を記録しておくこと。

QA3. 服薬管理指導料の「1のイ」と「1のロ」の選択基準は?かかりつけ薬剤師の同意書がある患者は全員「のイ」で算定してよいか?

AA3. 服薬管理指導料1のイは「3月以内に再来局 かつ 手帳持参 かつ 当該薬剤師がかかりつけ薬剤師として同意取得済み」の患者が対象。かかりつけ薬剤師の同意書がある患者でも、受付時にかかりつけ薬剤師本人が服薬指導を行っているかどうかがポイント。かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が対応した場合は「1のロ」(かかりつけ以外)で算定する。また、「3月以内再来局」の条件を外れている場合は「2のイ」(かかりつけ薬剤師・3月超)になる。誤算定は返戻の原因になるため、窓口での確認フローを統一しておくこと。

QA4. 6月施行をまたいだ処方箋(5月31日処方・6月1日以降受付)の算定はどちらの点数を使う?

AA4. 調剤行為が行われた日(調剤年月日)に施行されている点数を適用するのが原則。具体的には、処方箋の受付・調剤日が6月1日以降であれば新点数で算定する。5月31日に受付した処方を6月1日に調剤した場合は、調剤日基準で判断することになる。実務上は、レセコンの「調剤年月日」に6月1日以降の日付が入っていれば自動的に新点数が適用されるはずだが、切り替え日前後の処方箋については算定結果を目視で確認することを推奨する(疑義解釈で要確認:告示・通知の最終確認を地方厚生局に問い合わせることが望ましい)。

QA5. 地域支援・医薬品供給対応体制加算の「加算2〜5」の判定で、自薬局がどの区分に該当するかの判断が難しい。判定手順は?

AA5. 区分判定の基本的な手順は以下のとおり。ステップ1: まず全区分共通の前提(後発品使用率85%以上+医薬品分譲実績)を満たしているかを確認。満たしていなければ加算1〜5いずれも算定不可(経過措置中は後発品使用率の要件が猶予されている)。ステップ2: 調剤基本料1を算定しているかどうかで「加算2系(基本料1)」か「加算4系(基本料1以外)」かに分かれる。ステップ3: 各区分の実績要件(特定の対人業務や届出の実施件数等)を確認し、上位区分(加算3・5)への該当可否を判定する。詳細な実績要件は告示・通知(令和8年度改定関連)に規定されており、地方厚生局の届出様式(施設基準の届出)で要件一覧を確認するのが最も確実。判定に迷う場合は管轄の地方厚生局に相談することを推奨する。

QA6. 届出が6月1日に間に合わなかった場合、遡及算定はできるか?

AA6. 施設基準の届出は原則として届出受理日以降から算定が可能であり、遡及算定はできない。6月1日時点で届出が未提出・未受理の場合、その間は旧制度または無加算での算定になる。ただし、「届出の受理日」と「算定開始日」の扱いについては地方厚生局ごとに確認が必要な場合があるため、個別に問い合わせることを推奨する。なお、算定開始後に要件を満たさなくなった場合(後発品使用率が85%を下回る等)は速やかに変更届出が必要。経過措置終了後の2027年6月以降の算定のためにも、今から要件充足の記録を積んでおくこと。

QA7. かかりつけ薬剤師の要件が緩和されたと聞いたが、旧要件で登録済みの薬剤師はどうなるか?再登録・再同意は必要か?

AA7. 2026年6月改定で薬剤師個人の要件が一部緩和された(週31時間以上勤務、当該薬局在籍6か月以上)。旧要件を満たして登録・届出済みの薬剤師は、新要件も満たしているとみなされるため、患者への再同意取得や届出のやり直しは原則として不要。一方、6月改定で新設された薬局単位の要件(常勤薬剤師の平均在籍1年以上、または管理薬剤師継続3年以上在籍のいずれか)については、自薬局が満たしているかを確認する必要がある。この薬局単位要件を満たしていない場合、個人の要件を充足した薬剤師がいてもかかりつけ薬剤師の届出が認められない可能性がある(疑義解釈で要確認)。

QA8. 調剤時残薬調整加算(30点・かかりつけ50点)と薬学的有害事象等防止加算(30点・かかりつけ50点)は、1回の調剤で両方算定できるか?

AA8. 留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号 別添3)が、2つの加算を実施内容で明確に切り分けています。

  • 調剤時残薬調整加算 — 残薬を確認し、処方医に連絡・確認して調剤日数や数量を減らした場合。「複数の処方について実施した場合であっても、処方箋受付1回につき1回のみ算定可能」(区分10の2の2(9))
  • 薬学的有害事象等防止加算 — 併用薬との重複投薬、飲食物等との相互作用、その他薬学的観点から必要と認める事項について処方医に連絡・確認し、「処方の変更(残薬調整に係るものを除く。)」が行われた場合(同3(1))。「同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定」(同3(6))

ポイントは、有害事象等防止加算の側が「残薬調整に係るものを除く」と明記している点です。 同じ1つの処方変更を両方の加算で二重に算定することはできません。残薬調整とは別に、重複投薬や相互作用を理由とした処方変更が実際に行われた場合にのみ、それぞれの要件で判断することになります。実施した業務の内容を区分して薬歴に記録し、算定根拠を残してください。

なお、残薬調整加算については「単に7日分以上の残薬があったことをもって機械的に行ってはならない」、6日分以下相当の変更は「処方医が同意していることのみをもって行う場合は算定できない」、調剤日数・数量を「0」にすることはできない——といった具体的な禁止事項も通知に明記されています。また両加算とも、調剤管理料を算定していない場合は算定できません。

QA9. ベースアップ評価料(4点)の収入は必ず賃上げに充てる必要があるか?使途の確認はされるか?

AA9. ベースアップ評価料は「薬局の薬剤師・事務職員等の賃上げ原資を確保する」ことを目的とした評価であり、算定にあたっては施設基準で賃上げ実施を前提とした届出が求められる。実際の監査・個別指導においては、ベースアップ評価料を算定した薬局が実際に給与改善を行っているかどうかが確認対象になりえる。賃上げの記録(給与台帳・就業規則の変更等)を保管しておくことが重要。なお、ベースアップ評価料で得た収入のすべてを賃上げに充てなければならないという厳格な規定の有無については告示・通知を確認のこと(疑義解釈で要確認)。

QA10. 長期収載品の選定療養で患者の自己負担が増える。薬局での説明・算定の実務は?

AA10. 長期収載品の選定療養は、後発医薬品が存在する先発医薬品について後発品との価格差の一部を患者の自己負担とする制度。後発医薬品との価格差にかかる選定療養の自己負担が、令和8年3月27日告示により2026年6月1日から1/4相当→1/2相当に引き上げられた(施行済み)。6月請求分から新しい自己負担割合での算定が始まっている。薬局での実務上のポイントは以下の2点。(1) 患者への説明と同意記録:患者が先発品を希望する場合に選定療養の対象になることを説明し、追加負担が発生することを伝える必要がある。説明したことと患者の同意内容を薬歴に記録しておくこと。(2) レセコンの対応:選定療養の算定にはレセコンの設定が必要。ベンダーに選定療養コードの設定状況を確認のこと。


FAQ

Q1. 調剤報酬改定2026はいつから施行されたか?

A1. 2026年6月1日に施行された。薬価改定は2026年4月1日に先行して実施されており、現在は両方が施行済みの状態である。2024年度改定と同様の2段階方式で実施された。

Q2. 後発医薬品調剤体制加算が廃止されると聞いたが、代わりの加算はある?

A2. 後発医薬品調剤体制加算は「地域支援・医薬品供給対応体制加算」(5区分・27〜67点)に統合・再編される。旧加算1〜3を届出済みの薬局は2027年5月末までの経過措置がある。全区分の共通前提として後発品使用率85%以上が求められる。

Q3. かかりつけ薬剤師指導料が廃止されると収入は下がる?

A3. 名称上は「廃止」だが、機能は服薬管理指導料に統合され、新たにフォローアップ加算(50点・3月に1回)、訪問加算(230点・6月に1回)が新設された。かかりつけ機能を発揮できる薬局にとっては実質的に評価拡大の方向にある。

Q4. 調剤管理料が大幅に変わるようだが、影響が大きい薬局は?

A4. 8〜27日分の処方が多い薬局(小児科・耳鼻科・皮膚科の門前など)は影響が大きい。この区間の調剤管理料が28〜50点→10点に下がるため、処方箋1枚あたり18〜40点の減収となる。対人業務加算の算定強化で補う戦略が必要。

Q5. 在宅をやっていない薬局でも影響はある?

A5. 影響はある。在宅関連の加算が大幅に引き上げられ、医師同時訪問の新評価(150点)も創設された。在宅に取り組まない薬局は、在宅薬局との収益格差が広がる構造になっている。また、調剤管理料の中期処方減収を補うためにも在宅参入は有力な選択肢。

Q6. 門前薬局等立地依存減算はすべての門前薬局に適用される?

A6. 適用されない。この減算は令和8年6月1日以降に新規開設した薬局が対象で、2026年5月31日時点で既に開局している薬局は当面の間、適用対象外とされている。ただし、処方箋集中率の計算方法が変わった点(医療モール内の複数の医療機関を1つの医療機関とみなす)は既存薬局にも及ぶため、医療モール内の薬局は集中率を計算し直し、基本料区分が変わらないかを確認する必要がある。

Q7. 施行後に優先して取り組むべきことは何か?

A7. 施行済みの現時点での優先事項は3点。(1) レセコンマスタの更新確認と新点数での算定テスト(6月請求の誤算定防止)、(2) 地域支援・医薬品供給対応体制加算の新区分届出が受理済みかの確認(未提出の場合は至急提出)、(3) 後発品使用率の月次管理体制の構築(経過措置は2027年5月末まで。達成に向けた計画的な取り組みが必要)。

Q8. 薬価改定と調剤報酬改定の施行時期は違うのか?

A8. 施行時期は異なる。薬価(薬の公定価格)の見直しは2026年4月1日に先行施行されており、後発医薬品・新薬等の薬価が既に変更になっている。調剤報酬(調剤基本料・各種加算の点数)は2026年6月1日施行のため、6月1日以降の調剤から新点数で算定している。現在は両方が施行済みの状態である。

Q9. 6月1日施行後に未完了のまま残りやすい届出・手続きは何か?

A9. 施行後に確認が必要な届出事項は以下のとおり。(1) 地域支援・医薬品供給対応体制加算の新区分への変更届出:旧・後発品加算・地域支援体制加算からの切り替えとして5月末までの提出が求められたが、未提出の場合は至急地方厚生局へ提出する。(2) 後発品使用率の月次確認体制の構築:経過措置期間中(〜2027年5月末)であっても、85%達成に向けた実績記録が必要。(3) かかりつけ薬剤師の認定研修と届出:要件未充足の薬剤師がいる場合は引き続き研修受講を進め、届出を完了させること。届出変更が必要かどうかは管轄の地方厚生局に個別確認することを推奨する。

Q10. リフィル処方箋を受け付けると調剤報酬はどう算定するのか?

A10. リフィル処方箋の2回目・3回目の調剤時も、服薬管理指導料・調剤管理料はそれぞれの処方日数・患者区分に基づいて通常どおり算定できる。1枚の処方箋での繰り返し調剤だが、調剤行為ごとに報酬が発生する。かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月に1回)や残薬調整加算も対象となりえるため、慢性疾患患者をリフィル対応に移行しながらかかりつけ薬剤師登録を進めることが、収益的にも合理的な選択だ。詳細要件は告示・通知を確認のこと。

Q11. 電子処方箋を導入していない薬局は電子的調剤情報連携体制整備加算(8点・月1回)を算定できない?

A11. 電子処方箋を受け付け調剤する体制と重複投薬等チェック体制の整備が施設基準に含まれるため、未導入の場合は算定できない。加算は患者1人につき月1回・8点(80円)の算定であり(受付1回ごとではない)、厚生労働省は平均患者450人/月の個人薬局で月3.6万円と試算している。なお電子処方箋の導入を義務づける法令はなく、「2030年に義務化される」という政府方針も存在しない。2030年は電子カルテの普及目標年である。ただし医療情報化支援基金の薬局向け補助対象導入期限は令和8年9月で、厚労省はこれを最後の延長と明記しているため、期限後の導入は全額自己負担になる。あわせて、施設基準にはマイナ保険証利用率30%以上という実績要件がある(原則は算定する月の3か月前の実績だが、その前月・前々月の実績で代えることもできるので、3か月分を確認してから判断したい)。電子処方箋の薬局導入ガイド2026で施設基準12項目・補助金・手順を確認の上、早期導入の費用対効果を検討してほしい。

Q12. 小児科門前と精神科門前では、今回の改定でどちらの影響が大きい?

A12. 調剤管理料の減収という観点では、小児科・耳鼻科門前の方が影響が大きい。7〜14日処方が中心で、この区間の調剤管理料が最大40点減となるためだ。一方、精神科門前は28〜56日の長期処方が多いため管理料の減収幅は小さい。ただし精神科は向精神薬などハイリスク薬の比率が高く、特定薬剤管理指導加算の算定強化で増収を図りやすい構造にある。診療科特性に合わせた加算戦略の詳細は「診療科別の影響と対策シミュレーション」を参照のこと。


免責事項

本記事は2026年9月23日時点の情報を反映しています(薬機法改正5/1施行済み・薬価改定2026年4月1日施行済み・調剤報酬改定2026年6月1日施行済み)。点数・区分は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」および令和8年3月5日 保医発0305第8号に基づき照合しています。施行後の実務運用Q&Aは著者の解釈を含みます。算定要件・施設基準の詳細・疑義解釈は厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料を必ずご確認ください。個別の算定可否については管轄の地方厚生局または審査支払機関にお問い合わせください。


参考資料・一次情報

本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

  • 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定関連資料 — 厚生労働省(答申書・個別改定項目等の一覧)
  • 令和6年度診療報酬改定について — 厚生労働省(前回改定の参考資料)
  • 厚生労働省「診療報酬改定について」(令和7年12月24日 予算大臣折衝)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf — 改定率+3.09%の内訳・各科改定率(調剤+0.08%)・薬価▲0.86%の出典
  • 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001717704.pdf — 調剤基本料の区分判定基準(13ページ)・各加算の新旧点数(11ページ)・在宅薬学総合体制加算(24ページ)・調剤管理料(43ページ)の出典
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添3 調剤報酬点数表に関する事項(令和8年3月5日 保医発0305第6号)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713883.pdf — 各加算の算定要件の原本
  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第8号)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757367.pdf — 地域支援・医薬品供給対応体制加算ほか施設基準の原本
  • 中央社会保険医療協議会「個別改定項目について(いわゆる「短冊」)」(令和8年2月) ※最新版は中医協の審議会ページで確認してください
  • 中央社会保険医療協議会 総会(第647回・令和8年2月13日)答申書 ※最新版は中医協の審議会ページで確認してください
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係る疑義解釈資料の送付について」(随時公表) ※地方厚生局・審査支払機関の疑義解釈回答と合わせて参照してください
JG

実務ガイド編集部

AI執筆 + 編集部レビュー済み

本記事はAIが初稿を作成し、編集部が法令原文・官公庁通知・審議会資料等の一次情報と照合のうえ、内容を確認・編集しています。行政手続き・法改正・制度改正の実務情報を専門に扱う編集チームが、企業実務担当者・士業専門家向けに正確性の高いコンテンツを提供します。